JP2788594B2 - 歯科鋳造用合金 - Google Patents

歯科鋳造用合金

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JP2788594B2
JP2788594B2 JP5214890A JP21489093A JP2788594B2 JP 2788594 B2 JP2788594 B2 JP 2788594B2 JP 5214890 A JP5214890 A JP 5214890A JP 21489093 A JP21489093 A JP 21489093A JP 2788594 B2 JP2788594 B2 JP 2788594B2
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謙蔵 佐々木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯科用に使用する合金
で、クラウン、ブリッジ、クラスプ及びバーに使用する
合金に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、歯科用に使用する合金、特にクラ
ウン、ブリッジ、クラスプ及びバーに使用する合金はニ
ッケルを主体とした合金が主である。しかし、最近、ニ
ッケルによるアレルギーが問題視されているため、近い
将来、ニッケルを主体とする合金は使用禁止になる模様
である。
【0003】従来、クラウン、ブリッジ、クラスプ及び
バーに使用する合金として、ニッケル合金に代わるもの
として金パラジウム合金があるが、この合金は高価で一
般的でない。
【0004】一方、歯科鋳造用合金としてコバルトクロ
ム合金もJISに規格されているが、このものは一般に
融点は高く、JISの規定では強度も70kgf/mm
2 以上と高く、また硬さもビッカース硬度で250以上
と硬いため加工が困難で、クラウン、ブリッジには不向
きとされ、硬さと強さが必要である総入れ歯等の主に金
属床に使用されてきた。
【0005】そして、この従来の金属床に使用される市
販の歯科鋳造用コバルトクロム合金の組成は、重量%
で、コバルト:35〜50%、ニッケル:15%以下、
クロム:15〜30%、モリブデン:4〜8%、タング
ステン:2〜5%を含有し、その他に鉄、炭素が含有さ
れ、さらに、脱酸剤として、マンガン、シリコン、カル
シウム等を含有するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
なアレルギーをひき起こす可能性のあるニッケルを使用
することなく、クラウン、ブリッジ、クラスプ及びバー
に容易に使用できるコバルトを主体とする歯科鋳造用合
金、すなわち、強度、硬度も低下して研削性、切削性を
良好にし、さらに、融点を低下して都市ガス−酸素混合
炎によるバーナー溶解を可能にし、ニッケル合金に劣ら
ず軟らかく加工し易く、金パラジウム合金と比較して研
磨性、切削性がほとんど変わらないコバルトを主体とす
る歯科鋳造用合金を提供することである。
【0007】さらに、本発明は、鋳造のままで使用され
る、鋳造欠陥のない、即ち、巣がなく、かつ、折れるこ
とのない、結晶が微細化された歯科鋳造用合金を提供す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は、重量%で、 クロム :5〜18%、 銅 :3〜18%、 マンガン :15〜25%、 シリコン :0.5〜4%、 カルシウム:0.05〜1%、 鉄 :10〜18%、 コバルト :残余 からなる歯科鋳造用合金とし、
【0009】さらに、上記成分組成に、 レニウム :0.001〜0.3% を含有する歯科鋳造用合金とする。
【0010】
【作用】本発明の成分組成範囲の限定理由を以下に述べ
る。
【0011】クロムは、5%未満では強度は低くなるが
口腔内に於いて変色が激しくなり、又、18%を超える
と強度が高くなり、硬さも硬くなり、研削性、切削性が
悪くなる。そこで、クロムは5〜18%とする。
【0012】銅は、3%未満では強度が十分に低下せ
ず、又、18%を超えると口腔内変色が激しくなる。そ
こで、銅は3〜18%とする。
【0013】マンガンは、15%未満では融点が高く、
強度が上昇して加工性が悪化し、又、25%を超えると
脆くなる。そこで、マンガンは15〜25%とする。
【0014】シリコンは、脱酸剤として添加されるが、
0.5%未満では脱酸効果が乏しく、又、4%を超える
と強度が上昇し加工性が悪化する。そこで、シリコンは
0.5〜4%とする。
【0015】カルシウムは、シリコンと同様に脱酸剤と
して添加されるが、カルシウム0.05%未満では脱酸
効果が乏しく、又、カルシウム1%以上では強度が上昇
し加工性が悪化する。そこで、カルシウムは0.05〜
1%とする。
【0016】鉄は、10%未満では強度が十分に低下せ
ず、又、18%を超えると口腔内変色が悪くなる。そこ
で、鉄は10〜18%とする。
【0017】レニウムは、本発明合金において結晶を微
細化し、鋳造のままで使用しても鋳造欠陥即ち巣をなく
し、且つ、折れにくくするのに有効な元素であって、
0.001%未満ではその効果に乏しく、又、0.3%
を超えると強度が上昇し加工性が悪化する。そこで、レ
ニウムは0.001〜0.3%とする。
【0018】
【実施例】次に、本発明合金の実施例を挙げ、その性能
について述べる。
【0019】まず、実施例1は、本発明の請求項1の発
明に関するものである。
【0020】実施例1、 重量%で、 クロム 8%、 銅 10%、 マンガン 17%、 シリコン 2%、 カルシウム 1%、 鉄 15%、 コバルト 残余 からなる合金を溶製した。
【0021】この合金の性能の試験結果を示すと、引張
り強さは55kg/mm2 、伸び:2.5%、硬さ(ビ
ッカース):170、融点1.170℃で、口腔内変色
も良好である。
【0022】実施例2および実施例3は、本発明の請求
項2の発明に関するものである。
【0023】実施例2、 重量%で、 クロム 8%、 銅 15%、 マンガン 19%、 シリコン 2.5%、 カルシウム 0.5%、 鉄 14%、 レニウム 0.05%、 コバルト 残余 からなる合金を溶製した。
【0024】この合金の性能の試験結果を示すと、引張
り強さは48kg/mm2 、伸び:3.5%、硬さ(ビ
ッカース):150、融点1.130℃で、鋳造欠陥は
なく、口腔内変色も良好である。
【0025】実施例3、 重量%で、 クロム 15%、 銅 15%、 マンガン 20%、 シリコン 1.5%、 カルシウム 0.5%、 鉄 12%、 レニウム 0.15%、 コバルト 残余 からなる合金を溶製した。
【0026】この合金の性能の試験結果を示すと、引張
り強さは58kg/mm2 、伸び:2%、硬さ(ビッカ
ース):165、融点1.160℃で、鋳造欠陥はな
く、口腔内変色も良好である。
【0027】
【発明の効果】以上の試験結果から判るように、本発明
合金は、ニッケルを含有しないのでニッケルアレルギー
の問題を解消し、従来の金属床に使用されてきた歯科鋳
造用コバルトクロム合金に比して、強度を低下せしめ、
硬さも柔らかくして、研削性、切削性などの加工性を改
良し、融点を低下せしめて都市ガス−酸素混合炎による
バーナー溶解を可能にし、さらに鋳造欠陥もなくし、折
れにくくしているので、クラウン、ブリッジ、クラスプ
及びバーに最適な歯科鋳造用合金である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、クロム5〜18%、銅3〜1
    8%、マンガン15〜25%、シリコン0.5〜4%、
    カルシウム0.05〜1%、鉄10〜18%を含有し、
    残余コバルトからなる歯科鋳造用合金
  2. 【請求項2】 重量%で、クロム5〜18%、銅3〜1
    8%、マンガン15〜25%、シリコン0.5〜4%、
    カルシウム0.05〜1%、鉄10〜18%、レニウム
    0.001〜0.3%を含有し、残余コバルトからなる
    歯科鋳造用合金
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