JP2787683B2 - 新規なペナム誘導体およびその塩 - Google Patents

新規なペナム誘導体およびその塩

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の使用分野] 本発明は、新規なペナム誘導体およびその塩、さらに
詳しくは、一般式 [式中、R1は水素原子、アミノ保護基またはアシル基
を;R2は置換されていてもよい低級アルキル、アリール
もしくは環の炭素原子で結合する複素環式基、シアノ
基、保護されていてもよいカルボキシル基、ニトロ基ま
たは式−COR5(式中、R5はアミノ、モノ低級アルキアミ
ノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルキルまたはマリー
ル基を示す。)で表される基を;R3は保護されていても
よいカルボキシルまたはカルボキシラト基を;R4は水素
原子、低級アルコキシ、低級アルキルチオまたはホルム
アミド基を;およびnは0または1を示す。] で表わされる新規なペナム誘導体およびその塩に関す
る。
本発明の目的は、広範囲な抗菌スペクトル、すなわ
ち、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して優れた抗
菌活性を発揮し、特にβ−ラクタマーゼに対して安定
で、耐性菌に対しても優れた抗菌活性を発揮するととも
に、人および動物に対する医薬として有用な新規化合物
を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、他のペナム誘導体の中
間体として有用な化合物を提供することにある。
[従来の技術] 従来知られているペナム誘導体は、比較的広範囲な抗
菌スペクトルを有しているが、耐性菌に対する効果が弱
く、かならずしも満足すべきものではない。
[発明が解決しようとする課題] このような状況下において、広範囲な抗菌スペクトル
を有し、かつβ−ラクタマーゼに対し安定で、耐性菌に
対しても強い抗菌活性を発揮するペナム誘導体の開発が
望まれていた。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、上記課題を解決するための化合物を鋭
意研究した結果、一般式[I]で表わされるペナム誘導
体およびその塩を見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、特にことわらないかぎり、低級ア
ルキル基とは、たとえば、メチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブ
チル、tert−ブチル、ペンチルなどの直鎖または分岐鎖
状C1〜5アルキル基を;アリール基とは、たとえば、
フェニル、ナフチル、インダニルなどを;ハロゲン原子
とは、たとえば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨ
ウ素原子などを;複素環式基とは、たとえば、チエニ
ル、フリル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イ
ミダゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジア
ゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリ
ル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、
キノリル、イソキノリル、ピリミジニル、ピラジニル、
ピリダジニル、1,2,4−トリアジニル、イミダゾ[1,2−
b][1,2,4]トリアジニル、ピロリジニル、モルホリ
ニル、キヌクリジニルなどの酸素、窒素および硫黄原子
から選択された少なくとも一種の異項原子を含有する4
員、5員、6員または縮合複素環式基を意味し、また、
窒素原子を含有する複素環式基は4級化されていてもよ
い。
R1におけるアミノ保護基としては、たとえば、ホルミ
ル、tert−ブトキシカルボニル、tert−アミルオキシカ
ルボニル、トリチル、トリメチルシリル、ベンジリデ
ン、2,2,2−トリクロロエトリキシカルボニル、p−ニ
トロベンジリデン、ベンジルオキシカルボニル、p−ニ
トロベンジルオキシカルボニルなどの通常知られたアミ
ノ保護基が挙げれる。
また、R1におけるアシル基としては、ペニシリンおよ
びセファロスポリン系化合物の分野で通常使用されてい
るアシル基が挙げられ、たとえば、ホルミル、アセチ
ル、2,6−ジメトキシフェニルカルボニル、5−メチル
−3−フェニルイソキサゾール−4−イルカルボニル、
4−アミノメチルフェニルアセチル、ヒドロキシアセチ
ル、フェノキシアセチル、1−テトラゾリルアセチル、
シアノメチルチオアセチル、カルボキシエチルチオアセ
チル、2−チエニルアセチル、α−ブロモ−2−チエニ
ルアセチル、5−メトキシ−2−チエニルラセチル、フ
ェニルアセチル、α−アミノフェニルアセチル、α−ヒ
ドロキシフェニルアセチル、α−カルボキシフェニルア
セチル、、α−スルホウェニルアセチル、3−ブロモフ
ェニルアセチル、α−(4−エチル−2,3−ジオキソ−
1−ピペラジンカルボキサミド)フェニルアセチル、α
−(4−エチル−2,3−ジオキソ−1−ピペラジンカル
ボキサミド)−p−ヒドロキシフェニルアセチル、α−
(4−エチル−2,3−ジオキソ−1−ピペラジンカルボ
キサミド)−3,4−ジヒドロキシフェニルアセチル、α
−(4−エチル−2,3−ジオキソ−1−ピペラジンカル
ボキサミド)−3,4−ジアセトキシフェニルアセチル、
α−(4−エチル−2,3−ジオキソ−1−ピペラジンカ
ルボキサミド)−α−(3,4−ジアセトキシ−6−クロ
ロフェニル)アセチル、α−(4−エチル−2,3−ジオ
キソ−1−ピペラジンカルボキサミド)−α−(3,4−
ジアセトキシ−6−フルオロフェニル)アセチル、α−
(4−エチル−2,3−ジオキソ−1−ピペラジンカルボ
キサミド)−(2−アミノチアゾール−4−イル)アセ
チル、α−(4−エチル−2,3−ジオキソ−1−ピペラ
ジンカルボキサミド)−α−(6−クロロ−3,4−ジヒ
ドロキシフェニル)アセチル、α−(4−エチル−2,3
−ジオキソ−1−ピペラジンカルボキサミド)−α−
(6−フルオロ−3,4−ジヒドロキシフェニル)アセチ
ル、α−(4−シクロプロピル−2,3−ジオキソ−1−
ピペラジンカルボキサミド)フェニルアセチル、α−
(2−オキソ−1−イミダゾリジンカルボキシサミド)
−α−フェニルアセチル、α−[3−(メチルスルホニ
ル)−2−オキソ−1−イミダゾリジンカルボキサミ
ド]−α−フェニルアセチル、α−[4−ヒドロキシ−
1,5−ナフチリジン−3−カルボキシサミド]−α−フ
ェニルアセチル、α−(4−フェニル−2,3−ジオキソ
−1−ピペラジンカルボキサミド)フェニアセチル、α
−[4−(o,p−ジクロロフェニル)−2,3−ジオキソ−
1−ピペラジンカルボキサミド]フェニルアセチル、α
−(4−オキソ−4H−チオピラン−3−イルカルボキサ
ミド)−α−フェニルアセチル、2−チエニル−2−メ
トキシイミノアセチル、2−(2−アミノチアゾール−
4−イル)アセチル、2−(2−アミノチアゾール−4
−イル)−2−メトキシイミノアセチル、α−ジフルオ
ロメチルオアセチル、α−(cis−2−シアノビニル)
チオアセチル、α−[3´−(4−フェニルフェニルカ
ルボニル)−3´−メチル−1´−ウレイド]−α−フ
ェニルアセチル、α−(4−クロロフェニル−イミダゾ
ール−4−イル)カルボキサミドフェニルアセチルなど
が挙げられる。
R2における置換されていてもよい低級アルキル、アリ
ールまたは環の炭素原子で結合する複素環式基の置換基
としては、たとえば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、
アエチルオキシ、ベンゾイルオキシなどのアシルオキシ
基、アミノ基、メトキシ、エキトシなどの低級アルコキ
シ基、フェニルオキシなどのアリールオキシ基、スルホ
ニル基、メチルアミノ、エチルアミノなどのモノ低級ア
ルキルアミノ基、ジメチルアミノなどのジ低級アルキル
アミノ基、ニトル基、カルボキシル基、複素環式チオ
基、ピリジニウム、イミダゾリウム、キノリウム、1−
メチルピロリジニウムなどの環式アンモニオ基などの基
が挙げられ、R2における低級アルキル、アリールまたは
複素環式基は、上記置換基から選ばれる1つ以上の置換
基で置換されていてもよい。なお、複素環式チオ基の複
素環式基としては、前述した複素環式基と同じ基が挙げ
られる。
R2およびR3の保護されていてもよいカルボキシル基の
保護基としては、従来ペニシリンおよびセファロスポリ
ン系化合物の分野で通常知られているものが挙げられ、
たとえば、接触還元、化学的還元またはその他の緩和な
条件で処理することにより脱離するエステル形成基、ま
たは、生体内において容易に脱離するエステル形成基、
または水もしくはアルコールで処理することにより容易
に脱離する有機シリル基、有機リン基もしくは有機スズ
基などのエステル形成基が挙げられる。これらの保護基
のうち、好適な保護基としては、具体的には、たとえ
ば、メチル、プロピル、tert−ブチルなどの低級アルキ
ル基;アリール基;アリル基;ベンジル、4−メトキシ
ベンジル、4−ニトロベンジル、3,4−ジメトキシルベ
ンジル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ(tert−ブチル)ベ
ンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリチル、ビ
ス(メトキシフェニル)メチルなどのアルアルキル基;
フタリジル基;2−ヨードエチル基、2,2,2−トリクロロ
エチルなどのハロ低級アルキル基;アセトキシメチル、
プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、イ
ソブチリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、バ
レリルオキシメチル、1−アセトキシメチル、1−ピバ
ロイルオキシエチル、1−アセトキシ−n−プロピル、
1−ピバロイルオキシ−n−プロピルなどのアシルオキ
シ−低級アルキル基;(5−メチル−2−オキソ−1,3
−ジオキソール−4−イル)メチルなどの(5−低級ア
ルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)
低級アルキル基;メトキシメチル、エトキシメチル、プ
ロポキシメチル、イソプロポキシメチルなどのアルコキ
シ−低級アルキル基;メトキシカルボニルオキシメチ
ル、1−メトキシカルボニオキシエチル、1−エトキシ
カルボニルオキシエチル、1−プロポキシカルボニルオ
キシエチルなどのアルコキシカルボニルオキシ−低級ア
ルキル基などが挙げられる。
R4の低級アルコキシ基としては、R2の置換基で説明し
たと同様の低級アルコキシ基などが挙げられ、また、低
級アルキルチオ基としては、たとえば、メチルチオ基、
エチルテオ基などの低級アルキルチオ基が挙げられる。
R5のモノ低級アルキルアミノおよジ低級アルキルアミ
ノ基としては、R2の置換基で説明したと同様のモノ低級
アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノ基などが挙
げられる。
これらR1〜R4の各基およびそれらの置換基が、アミノ
基、モノ低級アルキルアミノ基、ヒドロキシル基、カル
ボキシル基などの基を有している場合、これらの基は、
通常知られている保護基で保護されていてもよい。アミ
ノ基およびモノ低級アルキルアミノ基の保護基として
は、たとえば、R1で述べたと同様のアミノ保護基が挙げ
られ、ヒドロキシル基の保護基としては、たとえば、ホ
ルミル、アセチル、ベンジル、テトラヒドロピラニル、
ベンジルオキシカルボニル、トリメチルシリル、p−ニ
トロベンジルオキシカルボニル基などが挙げられる。ま
た、カルボキシル基の保護基としては、たとえば、R2
よびR3で述べたと同様のカルボキシ基が挙げられる。
一般式[I]の化合物の塩としては、通常知られてい
るアミノ基などの塩基性基またはヒドロキシル基もしく
はカルボキシル基などの酸性基における塩を挙げること
ができる。塩基性基における塩としては、たとえば、塩
酸、硫酸などの鉱酸との塩;ギ酸、クエン酸、トリクロ
ロ酸、トリフルオロ酢酸などのカルボン酸との塩;メタ
ンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスル
ホン酸、メシチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸
などのスルホン酸との塩などを、また、酸性基における
塩としては、たとえば、ナトリウム、カリウムなどのア
ルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウムなどのア
ルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジ
ン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、
N−メチルモルホリン、ジエチルアミン、ジシクロヘキ
シルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベン
ジル−β−フェネチルアミン、1−エフェナミン、N,N
´−ジベンジルエチレンジアミンなどの含窒素有機塩基
との塩などを挙げることができる。
また、一般式[I]の化合物およびその塩において、
異性体(たとえば、光学異性体、幾何異性体、互変異性
体など)が存在する場合、本発明は、それらすべての異
性体を包合し、また、すべての結晶型および水和物も包
合する。
つぎに、本発明化合物の製造法について説明する。
一般式[I]の化合物およびその塩は、たとえば、以
下の製造ルートにしたがって製造することができる。
[式中、R1aはフェニルアセチル基、フェノキシアセチ
ル基、アセチル基またはR1と同様のアミノ保護基を;R2a
はR2と同様の置換されていてもよいアリールもしくは環
の炭素原子で結合する複素環式基、シアノ基、保護され
ていてもよいカルボキシル基、ニトロ基または式−COR5
(式中、R5は前記したと同じ意味を有する。)で表され
る基を;R3aはR3と同様の保護されていてもよいカルボキ
シル基を;R6a、R6bおよびR6cは同一または異なって、置
換されていてもよい低級アルキルまたはアリール基を;X
はハロゲン原子を;R1、R3、R4およびnは前記したと同
じ意味を有する。]一般式[I a]、[I b]、[I
c]、[II]または[III]の化合物としては、一般式
[I]の化合物の塩で挙げたと同様の塩が挙げられる。
(1)一般式[III]の化合物の製法 一般式[II]の化合物またはその塩を、溶媒の存在下
または不存在下、酸化反応に付すことによって、一般式
[III]の化合物またはその塩を製造することができ
る。
所望によりこの反応に用いられる溶媒としては、反応
に不活性な溶媒であれば特に限定されることなく使用で
き、たとえば、水;テトラヒドロフラン、ジオキサン、
1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテルなどのエー
テル類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;塩化メチ
レン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類;アセ
トン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジメチルス
ルホキシド;およびスルホランなどが挙げられ、これら
の溶媒は2種類以上混合して使用してもよい。
この反応に用いられる酸化剤としては、ジメチルスル
ホキシド−N,N´−ジシクロヘキシルカルボジイミド、
ジメチルスルホキシド−無水酢酸、酸化クロムおよび二
酸化マンガンなどが挙げられる。
酸化剤の使用量は、一般式[II]の化合物またはその
塩に対して、通常、等モル以上である。
この反応は、通常、−50〜180℃、好ましくは、0〜3
0℃で、5分〜30時間実施すればよい。
(2)一般式[I a]の化合物の製法 一般式[III]の化合物またはその塩に、一般式[I
V]または[V]の化合物を、溶媒の存在下、反応させ
ることによって、一般式[I a]の化合物またはその塩
を製造することができる。
この反応に用いられる溶媒としては、反応に不活性な
溶媒であれば特に限定されることもなく使用でき、たと
えば、水;テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジ
メトキシエタン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;
ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;N,N−ジメ
チルホルムアミドなどのアミド類;メタノール、エタノ
ールなどのアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム
などのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシド;
およびスルホランなどが挙げられ、これらの溶媒は2種
類以上混合して使用してもよい。
この反応において、一般式[IV]の化合物を用いる場
合、塩基の存在下に反応させるのが好ましく、使用され
る塩基としては、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、
トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリ
ン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
(DBU)、酢酸ナトリウムなどの酢酸アルカリなどの有
機塩基;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの
炭酸水素アルカリ、炭酸ナトリウムなどの炭酸アルカ
リ、水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリなどの無機
塩基;n−ブチルリチウム、カリウムtert−ブトキシド、
リチウムメトキシドなどと有機金属塩基;水酸化ナント
リウム、水酸化リチウムなどの金属水素化物などが挙げ
られる。
一般式[IV]または[V]の化合物の使用量は、一般
式[III]の化合物またはその塩に対して、それぞれ通
常、等モル以上である。
また、所望により用いられる塩基の使用量は、一般式
[III]の化合物またはその塩に対して、等モル以上で
ある。
この反応は、通常、−20〜180℃、好ましくは、0〜3
0℃で、5分〜30時間実施すればよい。
(3)一般式[I b]の化合物の製法 一般式[I a]の化合物またはその塩のアシル基また
はアミノ保護基を脱離することにより、一般式[I b]
の化合物またはその塩を製造することができる。
具体的には、一般式[I a]の化合物またはその塩に
五塩化リンなどのハロゲン化剤を作用させてイミノハラ
イドとし、ついで、アルコールと反応させてイミノエー
テルとし、さらにこれを加水分解することにより、一般
式[I b]の化合物またはその塩へ誘導することができ
る。
さらに、具体的には、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカ
ル・ソサエティ(J.Chem.Soc.)第83巻、第230頁、(19
03年)、カナダ特許第770125号、英国特許第1041985
号、特公昭49−40479号および特公昭45−40899号などに
記載の方法またはそれに準じた方法により、一般式[I
b]の化合物またはその塩を製造することができる。
(4)一般式[I c]の化合物の製法 一般式[I b]の化合物、その塩またはそれらの反応
性誘導体に、溶媒の存在下、一般式[VI]の化合物、そ
の塩またはそれらの反応性誘導体を反応させることによ
り、一般式[I c]の化合物またはその塩を製造するこ
とができる。
一般式[VI]の化合物の反応性誘導体としては、特開
昭56−127375号、同59−93085号および同62−135477号
などに記載の酸ハロゲン化物、酸無水物、混合酸無水
物、活性酸アミド、活性エステル、活性チオロエステ
ル、酸アジドおよび一般式[VI]の化合物とビルスマイ
ヤー試薬との反応性誘導体などが挙げられる。
また、一般式[I b]の化合物またはその塩の反応性
誘導体としては、たとえば、トリメチルシラニル、ジメ
チルシランジイル、イソプロピルジメチルシラニル、ト
リメトキシシラニル、ジメトキシメチルシラニル、ジメ
チルメトキシシラニル、ジメトキシシランジイルなどの
有機シリル基、またはジメトキシホスフィニル、1,3,2
−ジオキソオホスホラン−2−イル、4−メチル−1,3,
2−ジオキソホスホラン−2−イル、1,3,2−ジオキソホ
スファン−2−イルなどの有機リン基が反応部位である
アミノ基に結合した化合物などが挙げられる。
この反応に用いられる溶媒としては、反応に不活性な
溶媒であれば特に限定されることなく使用でき、たとえ
ば、水;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオ
キサンなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム
などのハロゲン化炭化水素類;アセトニトリルなどのニ
トリル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール
などのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N
−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ベンゼン、ト
ルエンなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチ
ルなどのエステル類;アセトンなどのケトン類;ジメチ
ルスルホキシド;ピリジンなどが挙げられ、これらの溶
媒は2種類以上混合して使用してもよい。
また、この反応は塩基の存在下に行うことができる。
所望により用いられる塩基としては、たとえば、(2)
で挙げたと同様の塩基が挙げられる。
一般式[VI]の化合物を遊離酸または含窒素有機塩基
との塩の状態で使用する場合は、適当な縮合剤を用い
る。使用される縮合剤としては、たとえば、N,N´−ジ
シクロヘキシルカルボジイミドなどのN,N´−ジ置換カ
ルボジイミドが挙げられる。
一般式[VI]の化合物、その塩またはそれらの反応性
誘導体の使用量は、一般式[I b]の化合物、その塩ま
たはそれらの反応性誘導体に対して、それぞれ0.9倍モ
ル以上、好ましくは、0.9〜1.5倍モルである。
この反応は、通常、−50〜80℃で、5分〜30時間実施
すればよい。
以上説明した各工程おいて用いられる一般式[I
a]、[I b]、[I c]、[II]または[III]の化合物
もしくはそれらの塩に異性体などが存在する場合、通常
の方法でそれぞれ単離および精製することができる。
また、R1a、R2aおよびR3aの基中に反応に活性な基が
存在するときは、反応に際し、通常の保護基で保護して
おいてもよく、反応後常法によりその保護基を脱離させ
ることもできる。
また、R2が置換されていてもよい低級アルキル基であ
る一般式[I]の化合物またはその塩は、一般式[I
a]、[I b]または[I c]の化合物もしくはそれらの
塩を、たとえば、加水分解、置換、アシル化、酸化、還
元、ハロゲン化、アルキル化、アミノ化、チオール化、
4級化などの通常知られた方法、並びにこれらの方法を
適宜組合わせることにより、誘導することができる。さ
らに具体的には、たとえば、R2が置換されていてもよい
メチル基である一般式[I]の化合物は、一般式[I
a]の化合物の中で、R2aが保護されたカルボキシル基で
ある化合物の保護基を脱離した後、還元して、R2がヒド
ロキシメチル基である一般式[I]の化合物に誘導し、
これをハロゲン化して、R2がハロゲノメチル基である一
般式[I]の化合物に誘導し、ついで、この化合物を各
種の置換反応に付せば、R2が置換されていてもよいメチ
ル基である他の本発明化合物へ誘導することができる。
また、R4が低級アルコキシ基である一般式[I]の化
合物またはその塩は、R4が水素原子である一般式[I]
の化合物またはその塩を常法にしたがって変換すること
ができる。R4が低級アルキルチオ基である一般式[I]
の化合物またはその塩は、一般式[I b]の化合物また
はその塩のアミノ基を、たとえば、前述したアミノ保護
基で保護した後、低級アルキルチオ基を導入するか、ま
たはさらに所望により脱保護するか、もしくは脱保護し
た後、前述した(4)のアシル化反応に付すことによっ
て得ることができる。R4がホルムアミド基である一般式
[I]の化合物またはその塩は、R4が低級アルキルチオ
基である一般式[I]の化合物またはその塩をホルムア
ミド化することによって得ることができる。低級アルキ
ルチ基の導入およびホルムアムド化の具体的な方法とし
ては、たとえば、特開昭58−38288号に記載の方法また
はそれに準じた方法が挙げられる。
さらに、たとえば、エステル化、加水分解、付加、ア
シル化、酸化、還元、環化、ハロゲン化、アルキル化、
アミノ化、チオール化、4級化、アリールオキシ化、ス
ルホニル化、アルキルアミノ化またはウィッティヒ反応
などの通常知られた方法、並びにこれらの方法を適宜組
合わせることにより、本発明化合物を他の本発明化合物
へ誘導することもできる。
つぎに、本発明化合物を製造するための原料である一
般式[IV]または[V]の化合物は、たとえば、オーガ
ニック・リアクションズ(Organic Reactions)第14
巻、第270〜490頁(1965年)などに記載の方法または自
体公知の方法などを適宜組み合わせることにより製造で
き、製造ルートの例を挙げれば以下に示すレートが挙げ
られる。
[式中、R2a、R6a、R6b、R6cおよびXは前記したと同し
意味を有する。] さらに、本発明化合物を製造するための原料である一
般式[II]の化合物またはその塩は、たとえば、ジャー
ナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J.A
m.Chem.Soc)第71巻、第122頁(1949年)などに記載の
方法または自体公知の方法を適宜組み合せることにより
製造することができる。
本発明化合物を医薬として用いる場合、通常製剤化に
使用される担体を適宜用い、常法にしたがって、錠剤、
カプセル剤、散剤、シロップ剤、顆粒剤、座剤、軟膏
剤、注射剤などに調製する。また、投与方法、投与量お
よび投与回数は患者の症状に応じて適宜選択することが
でき、通常成人に対しては、経口または非経口(たとえ
ば、注射投与、点滴、直腸部位への投与など)的投与に
より、0.1〜100mg/kg/日を1〜数回に分割して投与すれ
ばよい。
[発明の効果] つぎに、本発明の代表的化合物についての抗菌作用を
示す。
1.抗菌作用 試験方法: 日本化学療法学会標準法[ケモセラピー(Chemothera
py)第29巻、第1号、第76〜第79頁(1981)]にしたが
い、ペプトン、ブロス(Peptone broth)(栄研化学社
製)で37℃、20時間培養し、菌量を106個/mlに調製した
菌液の1白金耳を、薬剤を含むハート インフュージョ
ン アガー(Heart Infusion agar)培地(栄研化学社
製)に接種し、37℃で20時間培養した後、菌の発育の有
無を観察し、菌の発育が阻止された最小濃度をもってMI
C(μg/ml)とした。
その結果を表−1に示す。また、表−1中の*の記号
は、β−ラクタアーゼ産生株を意味する。
なお、試験化合物で使用されているEtはエチル基を意
味し、R2はつぎの式で表わされる化合物の置換基を意味
する。
[実施例] つぎに、本発明を参考例および実施例を挙げて説明す
る。なお、参考例および実施例で使用されている記号は
下記の意味を有する。
Me:メチル、Et:エチル、Ac:アセチル、PNB:p−ニトロベ
ンジル、DPM:ジフェニルメチル また、混合溶媒の混合比は、すべて容量比であり、カ
ラムクロマトグラフィーにおける担体は、特にことわら
ないかぎり、メルク社製のシリカゲル[キーゼルゲル6
0、アート.7734(kieselgel 60,Art.7734)]を用い
た。
参考例1 (3R、4R)−4−(ジフェニルメトキシカルボニルメ
チルチオ)−3−フェニルアセトアミド−2−アゼチジ
ノン50.0g、グリオキシル酸p−ニトロベンジルエステ
ル・1水和物24.7gおよび塩化メチレン400mlの混合液
に、氷冷下、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−
7−エン0.79mlを加えた後、室温で2時間撹拌する。反
応液を水200ml中へ投入し、2N塩酸でpH3.0に調製した
後、有機層を分取する。無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た後、減圧下に溶媒を留去すれば、(3R、4R)−4−
(ジフェニルメトキシカルボニルメチルチオ)−1−
[ビドロキシ−(p−ニトロベンジルオキシカルボニ
ル)メチル]−3−フェニルアセトアミド−2−アゼチ
ジノン74.0g(収率97.6%)を得る。
IR(KBr)cm-1CO 1770,1750 参考例2 (3R、4R)−4−(ジフェニルメトキシカルボニルメ
チルチオ)−1−[ヒドロキシ−(p−ニトロベンジル
オキシカルボニル)メチル]−3−フェニルアセトアミ
ド−2−アゼチジノン25.0gおよびテトラヒドロフラン2
00mlの溶液に氷冷下、2,6−ルチジン6.52mlを加え、つ
いで、チオニルクロライド3.75mlを5分間を要して滴下
する。同温度で30分間撹拌した後、析出晶を去し、減
圧下に溶媒を留去する。得られた残留物にトルエン30ml
を加え、再び減圧下に溶媒を留去する。得られた残留物
を塩化メチレン200mlに溶解させ、氷冷下、m−クロロ
過安息香酸7.16gを10分間を要して分割添加し、同温度
で30分間撹拌した後、反応液を氷水200ml中へ投入し、
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH7に調整する。有機
層を分取し、水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無
水硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧下に溶媒を留去す
れば、無定形の(3R、4R)−1−[クロロ−(p−ニト
ロベンジルオキシカルボニル)メチル]−4−(ジフェ
ニルメトキシカルボニルメチルスルフェニル)−3−フ
ェニルアセトアミド−2−アゼチジノンを得る。これを
無水テトラヒドロフラン500mlに溶解させ、氷冷下、N,O
−ビストリメチルシリルアセトアミド10.15mlを加えた
後、室温で15分撹拌する。ついで、反応液を−78℃に冷
却し、へキサメチルホスホリルトリアミド50mlを加えた
後、同温度でヘキサメチルジシラザンのリチウム塩の溶
液[ヘキサメチルジシラザン9.46ml、テトラヒドロフラ
ン50mlおよび15%−n−ブチルリチウムヘキサン溶液2
9.9mlから調製]を15分間を要して滴下し、さらに同温
度で15分間撹拌する。反応液を水400ml、酢酸エチル200
mlおよび6Nを塩酸7.5mlの混合液中へ投入する。有機層
を分取し、水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水
硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧下に溶媒を留去し、
得られた残留物にトルエン100mlを加え、析出物を取
すれば、融点184〜185℃(分解)を示す(S)−6β−
フェニルアセトアミド−2−ジフェニルメトキシカルボ
ニルペナム−3−カルボン酸−1−オキシドp−ニトロ
ベンジンエステル4.5g(収率18.1%)を得る。
IR(KBr)cm-1co 1780,1750,1730,1650 さらに、液をカラムクロマトグラフィ−[溶出溶
媒;トルエン:酢酸エチル=3:1]で精製すれば、融
点、200.5〜200.6℃(分解)を示す(R)−6β−フェ
ニルアセトアミド−2−ジフェニルメトキシカルボニル
ペナム−3−カルボン酸−1−オキシドp−ニトロベン
ジルエステル4.5g(収率18.1%)を得る。
IR(KBr)cm-1co 1800,1740,1655 参考例3 6β−フェニルアセトアミド−2−ジフェニルメトキ
シカルボニルペナム−3−カルボン酸−1−オキシドp
−ニトロベンジルエステル5.0g、塩化メチレン25mlおよ
びN,N−ジメチルホルムアミド25mlの混合液に、−30℃
で三臭化リン3.52mlを加え、同温度で30分間撹拌する。
反応液を、水150mlおよび酢酸エチル100mlの混合液中へ
飽和炭酸ナトリウム水溶液でpH7に調整しながら投入す
る。有機層を分取し、水および飽和食塩水で順次洗浄し
た後、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧下に溶媒
を留去し、得られた残留物にジエチルエーテル50mlおよ
び酢酸エチル5mlを加え、析出物を取すれば、融点14
7.3〜148,0℃を示す6β−フェニルアセトアミド−2−
ジフェニルメトキシカルボニルペナム−3−カルボン酸
p−ニトロベンジルエステル4.2g(収率86.1%)を得
る。
IR(KBr)cm-1co 1775,1735,1685 参考例4 6β−フェニルアセトアミド−2−ジフェニルメトキ
シカルボニルペナム−3−カルボン酸p−ニトロベンジ
ルエステル4.0g、塩化メチレン20mlおよびアニソール20
mlの混合液に、−30℃で塩化アルミニウム2.5gおよびア
ニソール10mlの溶液を5分間を要して滴下する。同温度
で20分間撹拌した後、反応液を水150mlおよび酢酸エチ
ル100mlの混合液中へ投入する。有機層を分取し、水お
よび飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥する。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物
をカラムクロマトグラフィ−[溶出溶媒;クロロホル
ム:メタノール=100:1〜10:1]で精製する。これを水5
0mlおよび酢酸エチル50mlの混合液に溶解させ、2N硫酸
でpH2.0に調整した後、有機層を分取する。水および飽
和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
する。減圧下に溶媒を留去すれば、無定形の6β−フェ
ニルアセトアミド−2−カルボキシペナム−3−カルボ
ン酸p−ニトロベンジルエステル2.4g(収率80.0%)を
得る。
IR(KBr)cm-1co 1790,1740,1650 参考例5 N,N−ジメチルホルムアミド0.57mlおよび塩化メチレ
ン10mlの溶液に氷冷下、塩化オキサリル1.29mlを加え、
室温で15分間撹拌した後、減圧下に溶媒を留去する。こ
れを、−30℃で6β−フェニルアセトアミド−2−カル
ボキシペナム−3−カルボン酸p−ニトロベンジルエス
テル1.8gおよびテトラヒドロフラン20mlの溶液中へ加
え、さらに−20〜−15℃で1時間撹拌する。ついで、反
応液を−78℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム0.28g
およびN,N−ジメチルホルムアミド5mlの溶液を2分間を
要して滴下し、さらに−70℃で15分間撹拌する。反応液
を水30および酢酸エチル30mlの混合液中へ投入し、飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液でpH6.5に調整する。有機層
を分取し、水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水
硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧下に溶媒を留去すれ
ば、無定形の6β−フェニルアセトアミド−2−ヒドロ
キシメチルペナム−3−カルボン酸p−ニトロベンジル
エステル2.2g(収率70%)を得る。
IR(KBr)cm-1co 1780,1750,1740,1670 実施例1 6β−フェニルアセトアミド−2−ヒドロキシメチル
ペナム−3−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル4.
1g、ベンゼン15mlおよびジメチルスルホキシド15mlの混
合液に、氷冷下、N,N′−ジシクロロヘキシルカルボジ
イミド4.58gおよびジクロロ酢酸0.37mlを順次添加す
る。同温度で30分間撹拌した後、反応液を水50mlおよび
酢酸エチル50mlの混合液中へ投入し、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液でpH7に調整する。不溶物を去した後、
有機層を分取し、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥する。減圧下に溶媒を留去すれ
ば、6β−フェニルアセトアミド−2−ホルミルペナム
−3−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル(化合物
A)を得る。
一方、ジフェニルメトキシカルボニルメチルトリフェ
ニルホスホニウムブロミド7.6gおよびN,N−ジメチルホ
ルムアミド30mlの溶液に氷冷下、カリウムtert−ブトキ
シド1.2gを加え、室温で1時間撹拌する。再び氷冷下
で、化合物Aおよびテトラヒドロフラン20mlの溶液を5
分間を要して滴下した後、同温度で30分間、さらに室温
で1時間撹拌する。反応液を水100mlおよび酢酸エチル5
0mlの混合液中へ投入し、有機層を分取した後、水およ
び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥す
る。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物をカラムク
ロマトグラフィー[溶出溶媒;トルエン:酢酸エチル=
10:1]で精製すれば、融点115〜118℃を示す6β−フェ
ニルアセトアミド−2−(trans−2−ジフェニルメト
キシカルボニルビニル)ペナム−3−カルボン酸p−ニ
トロベンジルエステル3.25g(収率55.2%)を得る。
IR(KBr)cm-1co 1780,1740,1705,1645 NMR(CDCl3)δ値; 3.52(2H,s),4.74(1H,m), 5.23(2H,S),5.32(1H,d,J=5Hz), 5.63(1H,dd,J=5Hz,J=8Hz)6.06(1H,m), 6.18(1H,d,J=8Hz),6.40(1H,m), 6.68(1H,d,J=8Hz),6.90(1H,s),7.15(5H,s), 7.28(10H,s),7.40(2H,d,J=9Hz), 8.12(2H,d,J=9Hz) 同様にして、表−2の化合物を得た。
実施例2 6β−フェニルアセトアミド−2−(trans−2−ジ
フェニルメトキシカルボニルビニル)ペナム−3−カル
ボン酸p−ニトロベンジルエステル3.25g、塩化メチレ
ン30mlおよびアニソール30mlの混合溶液に、−40℃で塩
化アルミニウム1.92gおよび塩アニソール20mlの容器を
5分間を要して滴下する。−30〜−20℃で30分間撹拌し
た後、水50mlおよび酢酸エチル70mlの混合液中へ投入す
る。有機層を分取し、水および飽和食塩水で順次洗浄し
た後、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧下に溶媒
を留去し、得られた残留物をカラムクロマトグラィー
[溶出溶媒;クロロホルム:メタノール=100:1〜10:
1]で精製する。これを酢酸エチル30mlおよび水30mlに
溶解させ、2N硫酸でpH2.0に調整する。有機層を分取
し、水および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥する。減圧下に溶媒を留去すれば、6β
フェニルアセトアミド−2−(trans−2−カルボキシ
ビニル)ペナム−3−カルボン酸p−ニトロベンジルエ
ステル1.89g(収率77.1%)を得る。
IR(KBr)cm-1co 1780,1740,1710,1645 実施例3 N,N−ジメチルホルムアミド0.37mlおよび塩化メチレ
ン20mlの溶液に、氷冷下、塩化オキサリル0.84mlを加え
た後、室温で15分間撹拌する。ついで、減圧下に溶媒を
留去し、乾固する。得られた結晶を、6β−フェニルア
セトアミド−2−(trans−2−カルボキシビニル)ペ
ナム−3−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル1.89
gおよびテトラヒドロフラン30mlの溶液に−30℃で加え
た後、−20〜−10℃で1時間撹拌する。ついで、−70℃
に冷却し、水酸化ホウ素ナトリウム420mgおよびN,N−ジ
メチルホルムアミド15mlの溶液を5分間を要して滴下し
た後、同温度で15分間撹拌する。反応液を水50mlおよび
酢酸エチル30mlの混合液中へ投入する。有機層を分取
し、水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥する。減圧下に溶媒を留去し、得られた残
留物をカラムクロマトグラフィー[溶出溶媒;トルエ
ン:酢酸エチル=5:1]で精製すれば、6β−フェニル
アセトアミド−2−(trans−3−ヒドロキシ−1−プ
ロペニル)ペナム−3−カルボン酸p−ニトロベンジル
エステル1.07g(収率58.2%)を得る。
IR(KBr)cm-1co 1780,1745,1670 NMR(CDCl3)δ値; 3.60(2H,s),3.98(1H,d,J=11Hz), 4.02(1H,d,J=11Hz),4.50〜4.71(2H,m), 5.23〜5.33(3H,m),5.55〜5.73(2H,m), 6.26(1H,d,J=8Hz),7.13(1H,m),7.27(5H,s), 7.42(2H,d,J=9Hz),8.16(2H,d,J=9Hz) 実施例4 6β−フェニルアセトアミド−2−(trans−3−ヒ
ドロキシ−1−プロペニル)ペナム−3−カルボン酸p
−ニトロベンジルエステル50mlを塩化メチレン2mlに溶
解させ、ピリジン0.1mlおよび無水酢酸0.1mlを順次添加
した後、室温で一夜放置する。反応液を水5ml中に投入
し、2N塩酸でpH2に調整する。有機層を分取し、飽和食
塩水で洗浄した後、無水硝酸マグネシウムで乾燥する。
減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物をカラムクロマ
トグラフィー[溶出溶媒;トルエン:酢酸エチル=10:
1]で精製すれば、6β−フェニルアセトアミド−2−
(trans−3−アセトキシ−1−プロペニル)ペナム−
3−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル38mg(収率
70.4%)を得る。
IR(KBr)cm-1co 1785,1740,1675 実施例5 6β−フェニルアセトアミド−2−(trans−3−ヒ
ドロキシ−1−プロペニル)ペナム−3−カルボン酸p
−ニトロベンジルエステル100mgをN,N−ジメチルホルム
アミド2mlに溶解させ、氷冷下、トリフェニルホスフィ
ン80mlおよび四臭化炭素100mgを順次添加した後、同温
度で30分間撹拌する。反応液に酢酸エチル10mlを加えた
後、減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物をカラムク
ロマトグラフィー[溶出溶媒;トルエン:酢酸エチル=
20:1]で精製すれば、6β−フェニルアセトアミド−2
−(trans−3−ブロモ−1−プロペニル)ペナム−3
−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル80mg(収率7
0.8%)を得る。
IR(KBr)cm-1co 1780,1745,1665 実施例6 6β−フェニルアセトアミド−2−(trans−3−ブ
ロモ−1−プロペニル)ペナム−3−カルボン酸p−ニ
トロベンジルエステル70mgをN,N−ジメチルホルムアミ
ド2mlに溶解させ、氷冷下、5−メルカプト−1,2,3,−
チアジアゾールのナトリウム塩30mgを加え、同温度で1
時間撹拌する。反応液を氷水10mlおよび酢酸エチル10ml
の混合液中へ投入する。有機層を分取し、飽和食塩水で
洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧下
に溶媒を留去し、得られた残留物をカラムクロマトグラ
フィー[溶出溶媒;トルエン:酢酸エチル=20:1]で精
製すれば、6β−フェニルアセトアミド−2−[trans
−3−(1,2,3−チジアゾール−5−イル)チオ−1−
プロペニル]ペナム−3−カルボン酸p−ニトロベンジ
ルエステル55mg(収率73.3%)を得る。
IR(KBr)cm-1co 1780,1745,1670 実施例7 6β−フェニルアセトアミド−2−(trans−3−ブ
ロモ−1−プロペニル)ペナム−3−カルボン酸p−ニ
トロベンジルエステル80mg、ヨウ化ナトリウム22mgおよ
びピリジン2mlの混合溶液を室温で3時間撹拌する。つ
いで、減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物にジエチ
ルエーテル10mlを加え、析出物を取すれば、6β−フ
ェニルアセトアミド−2−(trans−3−ピリジウム−
1−プロペニル)ペナム−3−カルボン酸p−ニトロベ
ンジルエステルアイオダイド90mg(収率91.8%)を得
る。
IR(KBr)cm-1co 1780,1740,1660 同様にして、つぎの化合物を得た。
IR(KBr)cm-1co 1780,1745,1650 実施例8 6β−フェニルアセトアミド−2−[trans−2−
(1,2,3−チアジアゾール−5−イル)ビニル]ペナム
−3−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル150mg、
N,N−ジメチルアニリン0.1mlおよび塩化メチレン3mlの
混合溶液に、−30℃で五塩化リン74mgを加えた後、−30
〜−20℃で1時間撹拌する。ついで、−40℃に冷却し、
メタノール0.33mlを加え、−20〜−15℃で2時間撹拌す
る。反応液を水3ml中に投入し、2時間撹拌した後、飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH7に調整する。生成し
た6−アミノ−2−[trans−2−(1,2,3−チアジアゾ
ール−5−イル)ビニル]ペナム−3−カルボン酸p−
ニトロベンジルエステルを含有する有機層を分取し、飽
和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥す
る。この溶液を−20℃に冷却し、D−α−(4−エチル
−2,3−ジオキソ−1−ピペラジンカンボキサミド)フ
ェニルアセチルクロリド150mgを加えた後、−10℃で1
時間撹拌する。反応液を水5ml中に投入し、飽和炭酸水
素ナトリウム水溶液でpH7に調整する。有機層を分取
し、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥
する。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物をカラム
クロマトグラフィー[溶出溶媒;クロロホルム:アセト
ン=5:1]で精製すれば、D−6β−[α−(4−エチ
ル−2,3−ジオキソ−1−ピペラジンカルボキサミド)
フェニルアセトアミド]−2−[trans−(1,2,3−チア
ジアゾール−5−イル)ビニル]ペナム−3−カルボン
酸p−ニトロベンジンエステル130mg(収率65%)を得
る。
IR(KBr)cm-1co 1785,1745,1715,1680 NMR(CDCl3)δ値; 1.20(3H,t,J=7Hz),3.43〜4.45(6H,m), 4.91(2H,m),5.40(2H,s),5.50〜6.20(4H,m), 6.78(1H,dJ=11Hz),6.86(1H,d,J=9Hz), 7.35〜7.70(7H,m),8.40(2H,d,J=10Hz), 8.79(1H,s),10.04(1H,d,J=7Hz), 同様にして、表−3の化合物を得た。
実施例9 6β−フェニルアセトアミド−2−(trans−3−ヒ
ドロキシ−1−プロペニル)ペナム−3−カルボン酸p
−ニトロベンジルエステル300mgおよび塩化メチレン5ml
の混合溶液に、氷冷下、トリメチルシリクロリド0.084m
lおよびトリエチルアミン0.084mlを順次添加し、10〜15
℃で30分間撹拌する。−30℃に冷却し、ジメチルアニリ
ン0.23mlを加えた後、五塩化リン160mgを加え、−30〜2
0℃で1.5時間撹拌する。ついで、−40℃に冷却し、メタ
ノール0.73mlを加え−30〜−20℃で2時間撹拌する。反
応液を水3ml中に投入した後、飽和炭酸水素ナトリウム
水溶液でpH7に調整する。生成した6−アミノ−2−(t
rans−3−ヒドロキシ−1−プロペニル)ペナム−3−
カルボン酸p−ニトロベンジルエステルを含有する有機
層を分取し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥する。この溶液を−20℃に冷却し、D−α−
(4−エチル−2,3−ジオキソ−1−ピペラジンカルボ
キサミド)フェニルアセチルクロリド250mlを加え、−1
0℃で1時間撹拌する。反応液を水5mlに投入し、飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液でpH7に調整する。有機層を分
取し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム
で乾燥する。減圧下に溶媒を留去し、得られた残留物を
カラムクロマトグラフィー[溶出溶媒;クロロホルム:
アセトン=5:1]で精製すれば、D−6β−[α−(4
−エチル−2,3−ジオキソ−1−ピペラジンカルボキサ
ミド)フェニルアセトアミド]−2−(trans−3−ヒ
ドロキシ−1−プロペニル)ペナム−3−カルボン酸p
−ニトロベンジルエステル250mg(収率61%)を得る。
IR(KBr)cm-1co 1780,1740,1710,1680 実施例10 D−6β−[α−(4−エチル−2,3−ジオキソ−1
−ピペラジンルボキサミド)フェニルアセトアミド]−
2−[trans−2−(1,2,3−チアジアゾール−イル)ビ
ニル」ペナム−3−カルボン酸p−ニトロベンジルエス
テル120mg、水3mlおよび酢酸エチル3mlの混合溶液に5
%−パラジウム炭素100mgを加え、1.5時間水素添加す
る。炭酸水素ナトリウム13mgを加え、10分間撹拌した
後、触媒を去し、水層を分取する。この水溶液を約半
量まで濃縮した後、カラムクロマトグラフィー[LC−SO
RB 40−60,ケムコ社製、溶出溶媒;5%アセトニトリル水
溶液]で精製すれば、融点180〜183℃を示すD−6β−
[α−(4−エチル−2,3−ジオキソ−1−ピペラジン
カルボキサミド)フェニルアセトアミド]−2−[tran
s−2−(1,2,3−チアジアゾール−5−イル)ビニル]
ペナム−3−カルボン酸のナトリウム塩50mg(収率50
%)を得る。
IR(KBr)cm-1co 1765,1710,1670,1600 NMR(d6 −DMSO)δ値; 1.10(3H,t,J=7Hz),3.20〜4.03(6H,m), 4.24(1H,d,J=2.5Hz), 5.10(1H,dd,J=2.5Hz,J=11Hz), 5.20(1H,d,J=4Hz), 5.43(1H,dd,J=4Hz,J=8Hz), 5.73(1H,d,J=8Hz),6.07(1H,m), 6.70(1H,d,J=11Hz),7.25(5H,m), 9.02(1H,d,J=8Hz),9.24(1H,s), 9.75(1H,d,J=8Hz) 同様にして、表−4および表−5の化合物を得た。
実施例11 6β−フェニルアセトアミド−2−[trans−2−
(ピリジン−3−イル)ビニル]ペナム−3−カルボン
酸ナトリウムを水に溶解させ、等モルの塩酸を加え、減
圧下に乾固して得た6β−フェニルアセトアミド−2−
[trans−2−(ピリジン−3−イル)ビニル]ペナム
−3−カルボン酸25mgおよびN,N−ジメチルホルムアミ
ド1mlの溶液にメチレアイオダイド0.02mlを加え、室温
で4時間撹拌する。ついで、減圧下に溶媒を留去し、得
られた残留物をカラムクロマトグラフィー[LC−SORB 4
0−60,ケムコ社製、溶出溶媒;20%アセトニトリル水溶
液]で精製すれば、融点235〜240℃を示す6β−フェニ
ルアセトアミド−2−[trans−2−(1−メチル−3
−ピリジニオ)ビニル]ペナム−3−カルボン酸の分子
内塩10mg(収率38.5%)を得る。
IR(KBr)cm-1co 1760,1640,1600 同様にして、つぎの化合物を得た。
融点;210〜215℃ IR(KBr)cm-1co 1760,1640,1600
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 499/00 - 499/82 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 [式中、R1は水素原子、アミノ保護基またはアシル基
    を;R2は置換されていてもよい低級アルキル、アリール
    もしくは環の炭素原子で結合する複素環式基、シアノ
    基、保護されていてもよいカルボキシル基、ニトロ基ま
    たは式−COR5(式中、R5はアミノ、モノ低級アルキルア
    ミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルキルまたはアリ
    ール基を示す。)で表される基を;R3は保護されていて
    もよいカルボキシルまたはカルボキシラト基を;R4は水
    素原子、低級アルコキシ、低級アルキルチオまたはホル
    ムアミド基を;およびnは0または1を示す。] で表わされるペナム誘導体およびその塩。
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