JP2786651B2 - バランサシャフトのスラスト軸受構造 - Google Patents

バランサシャフトのスラスト軸受構造

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JP2786651B2
JP2786651B2 JP1030683A JP3068389A JP2786651B2 JP 2786651 B2 JP2786651 B2 JP 2786651B2 JP 1030683 A JP1030683 A JP 1030683A JP 3068389 A JP3068389 A JP 3068389A JP 2786651 B2 JP2786651 B2 JP 2786651B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] 〈産業上の利用分野〉 本発明は、往復ピストンエンジンが発生する起振力を
相殺するためにシリンダブロックに設けられるバランサ
シャフトのスラスト軸受構造に関する。
〈従来の技術〉 車輌用往復ピストンエンジンとしては最も普及してい
ると言える4サイクル直列4気筒エンジンに於いて発生
する2次起振力を打消すための手段として、カウンタウ
ェート部を有するバランサシャフトをクランクシャフト
と共に回転させるようにした構造が知られている(特開
昭62−156622号公報など参照)。
このバランサシャフトは、シリンダブロックに於ける
シリンダの側方に延設されることが通例であり、シリン
ダブロックのジヤーナル壁に設けられた軸受孔に、シリ
ンダ列方向端から挿通される。また、4サイクル直列4
気筒エンジンの場合には、一般的にシリンダ列方向中央
部、即ち、第2・第3気筒の側方にカウンタウェート部
が配設されるため、バランサシャフトの一端はシリンダ
ブロックの内部にて支持されている。従って、バランサ
シャフトの軸方向変位の規定措置は、クランクシャフト
と連結するためにシリンダブロックのクランクプーリ側
端面から突出した側の端部についてのみ行なわれる。
このようなバランサシャフトに於けるスラスト軸受け
の構造としては、上記公報に開示されている如く、シリ
ンダブロック端面からの突出部を軸受孔の内径よりも縮
径し、この縮径部に遊嵌した環状板をシリンダブロック
の端面にボルト止めすることをもってその外向きの移動
を押えると同時に、クランクシャフトと連動駆動するた
めのピニオンギヤを環状板の端面から突出した軸端に固
着し、これによりその内向きの移動を押えるようにした
構造が知られている。
〈発明が解決しようとする課題〉 しかるに、この構造によると、環状板を固定するため
のボルト孔をシリンダブロックに設けねばならない上、
複数のボルトを締結する作業が付加されることから、製
造肯定の繁雑化を招くことが考えられる。
本発明は、このような不都合を解消すべくなされたも
のであり、この主な目的は、製造工数を削減することが
可能なバランサシャフトのスラスト軸受け構造を提供す
ることにある。
[発明の構成] 〈課題を解決するための手段〉 このような目的は、本発明によれば、往復ピストンエ
ンジンの起振力を打消すためにシリンダブロックに設け
られるバランサシャフトの前記シリンダブロックからの
突出部に周方向溝を形成すると共に、半円形をなす係合
部を前記周方向溝に係合させたスラストプレートを前記
シリンダブロック端面と該シリンダブロック端面に固着
される他部材との間に挾持させるようにしてなるバラン
サシャフトのスラスト軸受構造であって、前記バランサ
シャフトの軸受孔の中心から偏倚した位置に中心を置く
円に内周輪郭が接した窪みを前記他部材が接合する前記
シリンダブロック端面に形成すると共に、少なくともそ
の一部を前記窪み内に没入させるべく前記窪みの内周輪
郭に対応した形状の位置決め部を前記スラストプレート
に形成したことを特徴とするバランサシャフトのスラス
ト軸受構造を提供することにより達成される。
〈作用〉 このようにすれば、内周輪郭が円形をなす窪みは容易
に加工でき、スラストプレートを内周輪郭が円周の一部
をなす窪みに係合する形状とすることで、スラストプレ
ートの全方向についての位置決めが簡単にかつ確実に行
える。しかも、その一部を窪み内に没入させることで、
バランサシャフトの軸長を増大させずに済む。
〈実施例〉 以下に添附の図面を参照して本発明の好適実施例につ
いて詳細に説明する。
第1図は、本発明に基づき構成された直列4気筒エン
ジンに於けるシリンダブロック1の平面図を示してい
る。このシリンダブロック1は、例えばアルミニウム合
金を鋳造してなり、シリンダブロック外壁2とシリンダ
ブロック内壁3との間にウォータジャケット4が郭成さ
れ、ウォータジャケット4の内側に位置するシリンダブ
ロック内壁3内に鋳込まれたライナ5により、ピストン
(図示せず)が摺動するシリンダボア6a〜6dが形成され
ている。
シリンダブロック1の上面は、平滑に研削されてシリ
ンダヘッド接合面7が形成されている。このシリンダヘ
ッド接合面7に於けるウォータジャケット4の周囲であ
って、互いに隣接する各シリンダボア6a〜6dの中間位
置、及びシリンダ列方向両端には、略等間隔をおいて各
一対、計10本のボルト孔8がシリンダ軸線に沿って穿設
されている。これらのボルト孔8には、シリンダヘッド
(図示せず)を締結するためのヘッドボルトを螺着すべ
く内ねじが形成されている。
シリンダヘッド接合面7におけるシリンダ列方向両端
に位置する第1のシリンダボア6a及び第4シリンダボア
6dの側部には、クランクケース内に連通すべく通路10が
形成されている。これらの通路10は、第1シリンダボア
6a側部のものが一対、そして第4シリンダボア6d側部の
ものが二対、それぞれシリンダ列方向中心線を挟んで概
ね対称の位置に開口しており、一方の側が、動弁機構回
りを潤滑した潤滑油をオイルパンへ戻すための油戻し通
路として機能し、他の側が、シリンダヘッドとクランク
ケース間にてブローバイガスを流通させるためのクラン
クケース内換気通路として機能する。本実施例の場合、
第1図に於ける右側に位置する通路が主に油戻し通路と
なるように、エンジンを傾斜させて車輌に搭載するもの
としている(第9図参照)。
また、シリンダブロック外壁2の第2・第3シリンダ
ボア6b・6c間に於ける右側の部分には、シリンダヘッド
内に設けられる動弁機構(図示せず)へ向けての潤滑油
が流通する潤滑油吐出路11が、ボルト孔8と平行に穿設
されている。
第2図に示すように、シリンダブロック1のシリンダ
列方向両端部及び互いに隣接する各シリンダボア6a〜6d
の中間位置には、後記するクランクシャフトのジャーナ
ル部を枢支すべく軸受半部12を有するジャーナル壁13a
〜13eが形成されている。これらジャーナル壁13a〜13e
は、シリンダ軸線に平行し、かつシリンダ列方向に直交
する面に沿って形成されており、その下面には、後記す
るベアリングキャップを締結すべく各一対、計10本のボ
ルト孔14がシリンダ軸線に沿って穿設されている。ま
た、オイルパンを接合すべく平面に研削されたシリンダ
ブロック1の下面には、オイルパンフランジ15が外向き
に形成されると共に、複数のボルト孔16が穿設されてい
る。
一方、第1〜第3シリンダボア6a〜6cの両側方には、
第3図に示すように、左右一対のバランサシャフト17
が、シリンダ列方向に延設される。これらバランサシャ
フト17は、軸心に対する偏心位置に重心が設けられたカ
ウンタウェート部18と、カウンタウェート部18の一端側
から延出された延長軸部19とからなっており、この延長
軸部19の遊端側に第1軸受部20aが、またカウンタウェ
ート部18の他端部に第2軸受部20bが、そしてカウンタ
ウェート部18の中間部に第3軸受部20cが、それぞれ形
成されている。また、カウンタウェート部18は、シリン
ダ列方向中央部に於ける第2・第3シリンダボア6b・6c
の側方に配設されており、第1シリンダボア6a側の第1
ジャーナル壁13aに設けられた第1軸受孔21aに第1軸受
部20aが、また第3・第4シリンダボア6c・6d間の第4
ジャーナル壁13dに設けられた第2軸受孔21bに第2軸受
部2bが、そして第2・第3シリンダボア6b・6c間の第3
ジャーナル壁13cに設けられた第3軸受孔21cに第3軸受
部20cが、それぞれ回転自在に嵌合している。
このようにしてバランサシャフト17は、振れ回りを生
ずることのないように十分に高い剛性をもってシリンダ
ブロック1に支持される。
両バランサシャフト17の一方の軸端は、第1ジャーナ
ル壁13aから突出しているが、この軸端にはタイミング
プーリ22がそれぞれ固着されている(第9図参照)。こ
のタイミングプーリ2とクランクシャフト33に固着され
たクランクプーリ25との間をタイミングベルト26を介し
て連結することにより、両バランサシャフト17が、クラ
ンクシャフト33の2倍の回転速度で互いに逆方向に回転
駆動される。本実施例の場合、両バランサシャフト17の
うちの第3図及び第9図に於ける左側に位置するものが
タイミングプーリ22側から見て時計方向に、右側に位置
するものが反時計方向にそれぞれ回転するようにされて
いる。また上記タイミングベルト26は、シリンダブロッ
ク端面に設けられたテンションプーリ27により所定の張
力が与えられる。
尚、第1・第2シリンダボア6a・6b間の第2ジャーナ
ル壁13bには、第2・第3両軸受部20b・20cが共に通過
し得る大径の孔23が開設され、また第4シリンダボア6b
側の第5ジャーナル壁13eには、第2軸受孔21bを加工す
るための工具挿入孔24が開口している。この工具挿入孔
24は、トランスミッションケース(図示せず)を取付け
ることにより閉塞される。
第4図に示すように、各ジャーナル壁13a〜13eの平坦
に研削された下面には、その中央部に前記した軸受半部
12が凹設されると共に、それぞれベアリングキャップ30
aが固着される。
各ベアリングキャップ30aは、それぞれに対応する各
ジャーナル壁13a〜13eの下面に接合する平坦な上面を有
しており、この上面中央部に、一方の軸受半部12に対応
する他方の軸受半部31が凹設されている。そして、互い
に接合して実質的に真円輪郭をなすものとされた両軸受
半部12・31の内周に、軸受メタル32を介してクランクシ
ャフト33が回転自在に支持される。また、各ベアリング
キャップ30aは、その下面を平坦に研削されており、ギ
ャラリ部材34を接合することをもって互いに一体的に連
結される。
ギャラリ部材34は、各ベアリングキャップ30aの下面
にそれぞれ接合する脚部35aと、これら脚部35a同士をシ
リンダ列方向に沿って互いに連結する3本の中空部36a
〜36cとからなり、一体的に鋳造成形されている。これ
ら中空部36a〜36cのうちの中央部に延在する第1中空部
36aは、全ての脚部35a同士の下面を連結し、この第1中
空部36aの両側に延在する第2・第3中空部36b・36c
は、第1〜第4ジャーナル壁13a〜13dに対応する各脚部
同士の両側端部を連結している。これら3本の中空部36
a・36b・36cは、図示されない連結管をもって互いに連
結されており、これによりその内部が互いに連通してい
る。
各ベアリングキャップ30a及びギャラリ部材34の各脚
部35aには、それぞれ対応するジャーナル壁13a〜13eの
各ボルト孔14に整合する位置に同軸的にボルト挿通孔40
・41が穿設されている。これらボルト挿通孔40・41を介
して各ボルト孔14に挿通螺着された各一対のボルト42を
もって、それぞれ対応するジャーナル壁13a〜13eをベア
リングキャップ30a及びギャラリ部材34の脚部35aが一体
的に固着される。
各中空部には、それぞれオイルギャラリが内設されて
いる。中央の第1中空36aに内設された第1オイルギャ
ラリ43aからは、各脚部35a及び各ベアリングキャップ部
30aと、各ジャーナル壁13a〜13eとを共に貫通して各軸
受メタル32の内周部に連通する中央分岐油路44aが形成
されている。そして両脇の第2・第3中空部36b・36cに
それぞれ内設された第2・第3オイルギャラリ43b・43c
からは、第1・第3・第4ジャーナル壁13a・13c・13d
と、これらに対応する各脚部35a及び各ベアリングキヤ
ップ30aとを貫通し、両バランサシャフト17に於ける軸
受部20a〜20cを支持するための各軸受孔21a〜21cの内周
部に連通する側部分岐油路44b・44cが形成されている。
尚、各ボルト挿通孔40・41及び各分岐油路44a・44b・
44cに於けるジャーナル壁・ベアリングキャップ・脚部
の各接合部には、中空の位置決めピン45が接合部に跨が
って適宜嵌入されている。また、各オイルギャラリ43a
・43b・43cは、後記するオイルポンプに連結された潤滑
油の一次供給路53に連通している。
シリンダブロック1に於ける第1ジャーナル壁13a側
の端面には、第5図に示すように、ウォータポンプ取付
部61、テンションプーリ取付部62a・62bなどと共に、平
滑に研削されたオイルポンプ取付面63(請求項1の「他
部材が接合するシリンダブロック端面」に対応)が形成
されている。このオイルポンプ取付面63には適宜な間隔
を置いて複数のタップ孔64が穿設されている。そして前
記したバランサシャフト17の第1軸受部20aを支持する
ための第1軸受孔21aは、このオイルポンプ取付面63に
於ける上側の部分に開口している。
第1軸受孔21aの開口部周囲は、基本的にはオイルポ
ンプ取付面63と同一の平面とされているが、その下側の
部分が一部窪められている。この窪み65は、概ね第1軸
受孔21aの内周縁上に、つまりバランサシャフト17の第
1軸受孔21aの中心から偏倚した位置に中心を置く円周
線に沿う円周輪郭を有すると共に、その底面は、オイル
ポンプ取付面63と平行をなす平面に研削されている。こ
の底面の中央部にも1つのタップ孔66が穿設されてい
る。
オイルポンプ取付面63に取付られるオイルポンプ67
(請求項1の「他部材」に対応)は、公知形式のトロコ
イド式ポンプであり、第6図に示すように、ポンプハウ
ジング68の中央部にカバー69にて閉塞されたポンプ室70
が郭成されており、この内部には、外ロータ71と内ロー
タ72とが装着されている。またポンプ室70より下向きに
吸入路73が、斜め上向きに吐出路74が、それぞれ形成さ
れており、吸入路73はオイルパン内の油面下(図示せ
ず)に連通し、吐出路74は前記した一次供給路53に連通
するものとされている。このオイルポンプ67は、内ロー
タ72の中心部に形成されたクランクシャフト嵌合孔75に
挿通されるクランクシャフト33により直接駆動される。
ポンプハウジング68の上側の部分には、その内周にオ
イルシール76が嵌着されたバランサシャフト挿通孔77が
開設されている。そしてシリンダブロック1との接合面
78側に於けるこの挿通孔77の外周部下側に隣接する概ね
半円周に亘る部分には、接合面78と略同一平面を有する
島状突出部79が形成されている。この突出部79の中央に
は、径方向溝80が形成されている。この径方向溝80は、
第9図に示す傾斜をもってエンジンを車輌に搭載するこ
とにより、概ね垂直方向となるような角度にて形成され
ている。これにより、潤滑油戻しの確実化に寄与してい
る。また、接合面78には、前記したオイルポンプ取付面
63に穿設されたタップ孔64に対応するボルト孔81が穿設
されている。
一方、オイルポンプ取付面63に於ける窪み65部分に
は、第7図に示すように、スラストプレート82が嵌め込
まれる。このスラストプレート82は、窪み65の内周輪郭
と略等しい曲率の外周輪郭部分(請求項1の「位置決め
部」に対応)を有する基部83と、半円形の内周を有する
係合部84とからなっており、窪み65の底面中央部に穿設
されたタップ孔66に対応するビス孔85が、基部83の中央
部に穿設されている。
他方、第1軸受け孔21aから突出したバランサシャフ
ト17の軸端は、第1軸受部20aの外径寸法より適宜に縮
径されると共に、スラストプレート82の厚さと略等しい
軸方向寸法を置いて第1軸受部20aと同等の外径寸法の
鍔86が形成されている。これにより、第1軸受部20aの
端面と鍔86との間に、上記したスラストプレート82が係
合し得る係合溝87が形成される。
また、第1軸受部20aには、その外周面から係合溝87
の底部に向けて油孔88が形成されている。そして前記し
た側部分岐油路44c・44bを介して第1軸受孔21aに供給
される潤滑油は、第1軸受孔21aに嵌着された軸受メタ
ル89の内周面に凹設された油溝90に沿って第1軸受孔21
aの全周に回り込み、油孔88から係合溝87の底部に向け
て、常時潤滑油が吐出されるようになっている。
次にバランサシャフト17の組付け要領について説明す
る。
先ず、バランサシャフト17の軸端である第2軸受部20
bを第1軸受孔21aに臨ませて、シリンダブロック1内に
バランサシャフト17を挿入する。この時、第1軸受部20
aと鍔86との間の係合溝87にスラストプレート82を予め
係合させておく。
次いでスライトプレート82をオイルポンプ取付面63の
窪み65に嵌め込み、ビス孔85を介してタップ孔66にビス
91を螺着することをもって、バランサシャフト17の軸方
向位置が規定される。この状態にて、スラストプレート
82外周と窪み65内周との曲面同士が互いに補完的に係合
し、スラストプレート82の上下及び左右方向の位置決め
がなされ、ビス91により軸方向の移動が規定される。
次に、ポンプハウジング68のバランサシャフト挿通孔
77にバランサシャフト17の軸端を挿通しつつ、オイルポ
ンプ67をシリンダブロック1に取付ける。シリンダブロ
ック1のオイルポンプ取付面63にポンプハウジング68の
接合面78を接合し、ボルト孔81を介してタップ孔64にボ
ルトを螺着することにより、シリンダブロック1の端面
にオイルポンプ67が固定される。このとき、クランクシ
ャフト嵌合孔75及びバランサシャフト挿通孔77がポンプ
ハウジング68に一体形成されているので、各シャフト相
互間の組付精度を容易に確保することができる。むろ
ん、バランサシャフト挿通孔77の開口は、オイルシール
76にて油密に閉じられる。
このようにして、スラストプレート82は、窪み65の底
面とポンプハウジング68内面の島状突出部79との間に挾
持され、その軸方向移動が強固に規定される。
側部分岐油路44b・44cから供給された潤滑油は、第1
軸受孔21aの軸受メタル89内面から流出する。そして油
溝90を介して油孔88から係合溝87の底に吐出し、鍔86の
内面及び第1軸受部20aの端面とスラスプレート82の両
面との間を潤滑し、島状突出部79中央の溝80から流れ落
ちる。ここでスラストプレート82が係合溝87の下半分に
のみ係合していることから、係合溝87の上側の部分が潤
滑油を好適に保持し、油膜切れを起すことがない。
第10図は、スラストプレートの変形実施例を示してい
る。このスラストプレート82′の両面には、バランサシ
ャフト17の軸心に関して対称な位置に、一対の溝92が凹
設されている。この溝92は、係合部84の内周に抜き通さ
れると共に、第11図に示すように、その断面形状が台形
をなしており、潤滑油は、この溝92を伝わってバランサ
シャフト17の係合溝87とスラストプレート82′との互い
の接触面間に流れ落ちつつバランサシャフト17の回転に
て引きずられるようにして円周方向に回り込み、油膜の
形成に寄与することとなる。
[発明の効果] このように本発明によれば、窪みの内周輪郭が円形な
ので容易に加工が行え、スラストプレートを内周輪郭が
円周の一部をなす窪みに係合する形状とすることでスラ
ストプレートの全方向についての位置決めが簡単にかつ
確実に行える。従って、スラストプレートの周方向溝に
対する係合部を半円形とすることでバランサシャフトに
対する取付けが径方向から簡単に行なえること、及びオ
イルポンプハウジングなどの如き別部材をシリンダブロ
ック端面に固着することをもってシリンダブロック端面
にスラストプレートが固定されるものとすることでスラ
ストプレートをシリンダブロックに固定することのみを
目的とした工程が不要となることと相俟って、製造工程
を簡略化する上に大きな効果を奏することができる。し
かも、スラストプレートを窪み内に没入させることによ
り、バランサシャフトの軸長を増大させずに済む。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に基づき構成されたエンジンのシリンダ
ブロックの平面図であり、第2図は底面図であり、第3
図は水平面にて部分的に切除して示す切断端面図であ
る。 第4図は第1図のIV−IV線に沿う切断端面図である。 第5図は第1図のV方向から見た立面図である。 第6図はオイルポンプのシリンダブロックに対する取付
面側を示す立面図である。 第7図はシリンダブロックに於ける第1ジャーナル壁の
バランサシャフト支持部の拡大図であり、第8図は第7
図のVIII−VIII線に沿う部分断面図である。 第9図はプーリの配置を示すシリンダブロックの立面図
である。 第10図はスラストプレートの変形実施例であり、第11図
は第10図のXI−XI線に沿う部分断面図である。 1……シリンダブロック、2……シリンダブロック外壁 3……シリンダブロック内壁 4……ウォータジャケット 5……ライナ、6a〜6d……シリンダボア 7……シリンダヘッド接合面 8……ボルト孔、9……クランクケース 10……通路、11……潤滑油吐出路 12……軸受半部 13a〜13e……ジャーナル壁 14……ボルト孔、15……オイルパンフランジ 16……ボルト孔、17……バランサシャフト 18……カウンタウェート部 19……延長軸部、20a〜20c……軸受部 21a〜21c……軸受孔 22……タイミングプーリ 23……開口、24……工具挿入孔 25……クランクプーリ、26……タイミングベルト 27……テンションプーリ 30a……ベアリングキャップ 31……軸受半部、32……軸受メタル 33……クランクシャフト 34……ギャラリ部材、35a……脚部 36a〜36c……中空部 37……連結部材、38……連結管 39……プラグ、40・41……ボルト挿通孔 42……ボルト 43a〜43c……オイルギャラリ 44a〜44c……分岐油路 45……位置決めピン、53……一次供給路 61……ウォータポンプ取付部 62a・62b……テンションプーリ取付部 63……オイルポンプ取付面 64……タップ孔、65……窪み 66……タップ孔、67……オイルポンプ 68……ポンプハウジング 69……カバー、70……ポンプ室 71……外ロータ、72……内ロータ 73……吸入路、74……吐出路 75……クランクシャフト嵌合孔 76……オイルシール 77……バランサシャフト挿通孔 78……接合面、79……島状突出部 80……溝、81……ボルト孔 82……スラストプレート 83……基部、84……係合部 85……ビス孔、86……鍔 87……係合溝、88……油孔 89……軸受メタル、90……油溝 91……ビス、92……溝
フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭52−166010(JP,U) 実開 昭62−24153(JP,U) 実開 昭63−98416(JP,U) 実開 昭60−157903(JP,U) 特公 昭54−2342(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16F 15/26 F02B 77/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】往復ピストンエンジンの起振力を打消すた
    めにシリンダブロックに設けられるバランサシャフトの
    前記シリンダブロックからの突出部に周方向溝を形成す
    ると共に、半円形をなす係合部を前記周方向溝に係合さ
    せたスラストプレートを前記シリンダブロックのクラン
    ク軸方向端面と該端面に固着される他部材との間に挾持
    させるようにしてなるバランサシャフトのスラスト軸受
    構造であって、 前記バランサシャフトの軸受孔の中心から偏倚した位置
    に中心を置く一つの円に内周輪郭が接した窪みを前記シ
    リンダブロック端面における前記他部材の接合面に形成
    し、 少なくともその一部を前記窪み内に没入させるべく前記
    窪みの内周輪郭と等しい外形輪郭の位置決め部を前記ス
    ラストプレートに形成したことを特徴とするバランサシ
    ャフトのスラスト軸受構造。
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