JP2783215B2 - 液晶光学素子 - Google Patents

液晶光学素子

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電圧無印加時に透
明状態あるいは選択反射状態となり、電圧印加時に散乱
状態となる液晶光学素子に関するものであり、本発明の
液晶光学素子は、文字、図形等を表示する表示装置、光
シャッター等に利用される。
【0002】
【従来の技術】液晶を用いた表示素子は、従来、ネマチ
ック液晶を使用したTN型や、STN型のものが実用化
されている。また近年、強誘電液晶や反強誘電液晶の開
発も行われている。しかしこれらの素子は偏光板を要す
るため、明るさ、コントラストにおいて制限を受けると
いう欠点を有している。
【0003】一方、特公平3−52843号公報に開示
された、液晶をカプセル化し、高分子樹脂中に分散する
方法では、偏光板を要しないため光の利用効率が高いと
いう利点を有している。このPDLCまたはNCAPと
呼ばれる液晶光学素子においては、カプセル内の液晶の
屈折率が電界の有無によって変化することを利用してい
る。つまりカプセル材の屈折率を電圧印加下の液晶の屈
折率と等しく設定することにより電圧印加下では光を透
過し透明となり、電圧を除いた時には光を散乱し不透明
となる光学素子が得られる。しかしながら上記液晶光学
素子は、高分子樹脂と液晶との屈折率差を利用している
ため、光透過率の温度依存性が大きい、光透過率の視野
角依存性が大きい等の問題があった。
【0004】これに対し、国際出願92/19695号
公報に開示されたカイラルネマチック液晶中に微量の高
分子樹脂を分散する方法では、電界無印加下に液晶相は
プレナーテクスチャーを形成し素子は透明となり、電圧
印加下にフォーカルコニックテクスチャーを形成し不透
明となる液晶光学素子が得られている。一般にPSCT
と呼ばれるこの液晶光学素子は、カイラルネマチック液
晶の相変化による光の透過散乱現象を利用しており、液
晶と高分子樹脂との屈折率差を利用するもではない。こ
のため、光透過率の温度依存性が小さく、また、光透過
率の視野角依存性も小さいという利点を有している。さ
らにカイラルピッチの調整により、選択反射によるカラ
ー化も可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記国際出願92/1
9695号公報において、高分子樹脂前駆体としては
4,4′−ビスアクリロイルビフェニルが例示されてい
る。しかしながら、上記開示技術の液晶光学素子は、光
透過型で駆動電圧が14V以上と高く、薄膜トランジス
タ(TFT)等で駆動することが出来ないという問題点
があった。また上記開示技術による素子はヒステリシス
が大きく、階調表示が出来ないという問題もあった。
【0006】特開平5−224187号公報では、上記
液晶光学素子の特性の改善が提案されており、高分子樹
脂前駆体として4,4′−ジアクリロイルオキシ−3,
3′,5,5′−テトラメチルビフェニルが例示されて
いる。しかしながら、この液晶光学素子も駆動電圧が約
10Vと高く、またヒステリシスも0.8Vと大きく、
十分なものとは言えない。これらの2つの開示技術は、
いずれも高分子樹脂前駆体としてビフェニル骨格を有し
ている化合物を使用している。
【0007】
【課題を解決するための手段】一般に、駆動電圧やヒス
テリシス等の電気光学特性は、高分子樹脂とカイラルネ
マチック液晶との相互作用が大きく影響していることが
知られているが、その相互作用を化学構造から予想する
ことはできていない。
【0008】本発明者らは、前述の課題を解決するため
に鋭意研究した結果、一般式(I)
【0009】
【化2】
【0010】(式中、R1 、R2 はそれぞれ水素原子ま
たはメチル基を、R3 、R4 はそれぞれ直接結合または
酸素原子を、R5 、R6 、R7 、R8 はそれぞれ独立
し、水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基を示
す。)で示される化合物を含む高分子樹脂前駆体を光重
合した化合物を、上記相変化型の液晶光学素子のカイラ
ルネマチック液晶中に分散する高分子樹脂として使用す
ることにより、低電圧駆動が可能であり、ヒステリシス
特性の優れた液晶素子が得られることを見出した。
【0011】つまり本発明は、電極層が付いた少なくと
も一方が透明な2枚の基板間に液晶と高分子樹脂とから
なる調光層を挟持した液晶光学素子において、前記高分
子樹脂が、一般式(I)で示される化合物を含む高分子
樹脂前駆体を光重合した化合物であることを特徴とする
液晶光学素子に関する。
【0012】一般式(I)中、R5 、R6 、R7 、R8
は、水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基を示
す。これは、アルキル基の炭素数が11以上に増加する
と、液晶への溶解性が著しく低下するためである。な
お、R5 、R6 、R7 、R8 は好ましくは水素原子また
は炭素数が1〜5のアルキル基を、さらに好ましくは水
素原子またはメチル基を示す。
【0013】本発明の一般式(I)で示される高分子樹
脂前駆体はシアノ系、塩素系、フッ素系液晶などに可溶
であり、上記相変化型の液晶光学素子のカイラルネマチ
ック液晶中に分散する高分子樹脂として使用することに
より、低電圧駆動かつヒステリシス特性の優れた液晶素
子が得られる。
【0014】本発明の液晶光学素子の調光層に用いられ
る高分子樹脂は一般式(I)で示される化合物を含む高
分子樹脂前駆体を単独で光重合したホモポリマーであっ
ても良いし、他の一種類以上の高分子樹脂前駆体とのコ
ポリマーであっても構わない。その際、他の高分子前駆
体の比率は50重量%以下が望ましい。
【0015】他の光重合性の高分子樹脂前駆体として
は、アクリロイル基、ビニル基等の通常の光重合性基を
有する高分子樹脂前駆体であればいずれも使用できる。
光重合性基は、高分子樹脂前駆体一分子中に複数あって
も構わない。
【0016】例えば、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、ブチルエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリ
レート、2−シアノエチルアクリレート、ベンジルアク
リレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレ
ート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、ジシクロ
ペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレ
ート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリ
ルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデシル
アクリレート、ラウリルアクリレート、モルホリンアク
リレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシ
ジエチレングリコールアクリレート等の単官能アクリレ
ート化合物、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチ
ルエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレー
ト、2−シアノエチルメタクリレート、ベンジルメタク
リレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、2−エトキシエチルアク
リレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジ
シクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニル
メタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒ
ドロフルフリルメタクリレート、イソボニルメタクリレ
ート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレ
ート、モルホリンメタクリレート、フェノキシエチルメ
タクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタク
リレート等の単官能メタクリレート化合物、ジエチレン
グリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ
アクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレ
ート、ジシクロペンタニルジアクリレート、グリセロー
ルジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリ
レート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テト
ラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテト
ラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエ
リスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ウレ
タンアクリレートオリゴマー等の多官能アクリレート化
合物、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,4
−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレン
グリコールジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメ
タクリレートグリセロールジメタクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリ
コールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジ
メタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、
ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジトリメチ
ロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトー
ルモノヒドロキシペンタメタクリレート、ウレタンメタ
クリレートオリゴマー等の多官能メタクリレート化合
物、スチレン、アミノスチレン、酢酸ビニル等があるが
これに限定されるものではない。
【0017】高分子樹脂は、カイラルネマチック液晶中
に0.5重量%以上8.0重量%以下含有されているこ
とが望ましい。0.5重量%以下の場合には、散乱強度
が低下しするためコントラストが低くなり、多すぎると
電圧無印加時の透過率が低下し、かつ駆動電圧が非常に
高くなる。
【0018】高分子樹脂前駆体の光重合に用いられる光
線としては可視光線、紫外線の他、電子線を用いること
ができる。可視光線、紫外線による光重合を行う際には
反応促進のために光重合開始剤を添加することが望まし
い。その光重合開始剤としては、2,2−ジエトキシア
セトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェ
ニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル−)
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1
−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メ
チルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メ
チルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等
のアセトフェノン系、ベンゾインメチルエーテル、ベン
ゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテ
ル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系、ベン
ゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾ
フェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェ
ノン等のベンゾフェノン系、チオキサンソン、2−クロ
ルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン等のチオ
キサンソン系、ジアゾニウム塩系、スルホニウム塩系、
ヨードニウム塩系、セレニウム塩系等の通常の光重合開
始剤が使用できる。開始剤は固体でも液体でも構わない
が素子の均一性の点から液晶中に溶解または相溶するも
のが望ましい。開始剤濃度は高分子樹脂前駆体の30重
量%以下が好ましい。また必要の応じてメチルジエタノ
ールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸等の光開始助
剤を添加することもできる。
【0019】本発明の液晶光学素子に使用される液晶と
しては、正の誘電異方性を有するネマチック液晶中にカ
イラル剤を混合したカイラルネマチック液晶が使用され
るが、これと類似の特性を有している通常のコレステリ
ック液晶も使用することができる。
【0020】ネマチック液晶としては、シアノ系、フッ
素系、塩素系等のいずれの液晶でも使用することができ
るが、高電荷保持率、高△n、高△εの液晶が望まし
く、特にフッ素系および塩素系液晶が有効である。また
カイラル剤も、特に制限は無いが、液晶と相溶すること
が望ましい。
【0021】ネマチック液晶とカイラル剤の混合比は、
目的とするカイラルピッチにより決定される。素子の駆
動電圧とコントラストの関係より、光透過型として使用
する場合、カイラルピッチは0.8μm <P・n<6.
0μm の条件を満たすことが望ましい(Pは液晶のカイ
ラルピッチで、nは液晶の平均屈折率である)。また、
選択反射型として使用する場合は0.38μm <P・n
≦0.8μm の条件を満たすことがが望ましい。
【0022】本発明に用いられる基板の材質は、ガラ
ス、プラスチック、金属等が使用できる。またカラーフ
ィルターを有する基板を用いて、カラー化することがで
きる。
【0023】基板は電極層が調光層側になるように設置
する。
【0024】電極層としてはITO等の材質のものが利
用できるが、使用する基板自身が導電性を有している場
合は、基板を電極としても利用することもできる。
【0025】これらの電極層付き基板は液晶が配向する
ように処理されていないものでもよいが、処理されてい
ることが望ましい。この際、2枚の基板ともホモジニア
ス配向であっても良いし、一方がホモジニアス配向で、
もう一方がホメオトロピック配向である、いわゆるハイ
ブリッドであっても構わない。これらの配向処理には、
TN液晶、STN液晶等に用いられるポリイミド等の通
常の配向膜が利用できる。またラビング処理することが
望ましい。
【0026】基板の間隔設定には、通常の液晶デバイス
に用いられるガラスまたは高分子樹脂等から成るロッド
状、球状のスペーサーを使用することができ、その間隔
は3μm 以上30μm 以下程度が望ましい。
【0027】本発明の液晶光学素子は、ギャップの定ま
った基板間に、カイラルネマチック液晶および高分子樹
脂前駆体の混合物を挟持した後、光を照射して製造する
ことができる。この際、混合物の注入は、減圧下でも常
圧下でも構わない。また必要であれば、加温を行っても
構わない。
【0028】本発明の液晶光学素子は、調光層を電極層
を有する2枚の透明な基板間に挟持した構造である光透
過型のみならず一方の基板が不透明な構造にも適応でき
る。例えば調光層を電極層を有する透明な基板と電極層
を有する光反射板間に挟持した素子構造、電極層を有す
る透明な基板と電極層を有する光吸収板間に挟持した素
子構造等がある。
【0029】光反射板は光を反射する材料で構成されて
いれば無機材料でも有機材料でも構わない。また反射強
度または反射波長は目的とする素子特性により任意に変
更できる。その構造は光反射材料が光反射板全体を形成
しているものであっても良いし、光反射材料がガラス等
の別の材質の基板上にコーティングされていても良い。
光反射材料をコーティングした場合、光反射材料が調光
層側にある必要はない。また光反射材料をコーティング
する基板は光反射材料が調光層側に位置していない場合
は必ずしも透明である必要はない。
【0030】光吸収板は光を吸収する材料で構成されて
いればあれば無機材料でも有機材料でも構わない。吸収
強度または吸収波長は目的とする素子特性により任意に
変更できる。その構造は光吸収材料が光吸収板全体を形
成しているものであっても良いし、光吸収材料がガラス
等の別の材質の基板上にコーティングされていても良
い。光吸収材料をコーティングした場合、光吸収材料が
調光層側にある必要はない。また光吸収材料をコーティ
ングする基板は光吸収材料が調光層側に位置していない
場合は必ずしも透明である必要はない。光反射材料また
は光吸収材料が導電性を有している場合はこれらを電極
としても利用することもできる。
【0031】本発明の液晶光学素子の用途としては、窓
や間仕切り等の建築材料や文字や図形を表示する表示装
置がある。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例を用いて詳
細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下
の実施例に限定されるものではない。
【0033】なお、本発明の実施例に記述されている駆
動電圧、コントラスト、ヒステリシス幅、応答時間、電
荷保持率は以下のように定義する。
【0034】駆動電圧:光透過率−電圧曲線において、
透過率の最も低い値をTmin (%)、透過率の最も高い
値をTmax (%)とすると、駆動電圧V10は式(1)で
示される光透過率T10となるときの印加電圧である。
【0035】 T10=0.1×(Tmax −Tmin )+Tmin (%) (1) コントラスト:式(2)より求められる。
【0036】 コントラスト=Tmax /Tmin (2) ヒステリシス:式(3)で示される光透過率T50におけ
る電圧増加時の光透過率−電圧曲線と電圧減少時の光透
過率−電圧曲線間の電圧差である。
【0037】 T50=0.5×(Tmax −Tmin )+Tmin (%) (3) 応答時間:オンの応答時間は電圧印加後、光透過率がT
max からT10まで変化するのに要する時間であり、オフ
の応答時間は光透過率がTmin からT90まで変化するの
に要する時間である。なお光透過率T10は式(1)で、
90は式(4)で示される。
【0038】 T90=0.9×(Tmax −Tmin )+Tmin (%) (4) 電荷保持率:パルス幅60μs、振幅5Vのパルス電圧
を素子に印加する。パルス印加後、16.7msの間に
素子が保持している電圧をVとすると、電荷保持率は式
(5)で示される。
【0039】 電荷保持率=(V/5)×100(%) (5)
【実施例1】フッ素系ネマチック液晶RDP40957
(RODIC社製)95.5wt%、カイラル剤S81
1(メルク社製)2.4wt%(カイラルネマチック液
晶のカイラルピッチは3.5μm )、以下の構造式で示
される高分子樹脂前駆体
【0040】
【化3】
【0041】2.0wt%および重合開始剤ベンゾイン
メチルエーテル0.10wt%の混合液を2枚のホモジ
ニアス配向処理された電極層付き透明ガラス基板から成
るギャップ10μm の液晶セルに注入した。この液晶セ
ルを30℃に保ち、0.1mW/cm2 の紫外線(波長3
65nm)を150分間照射し、高分子樹脂前駆体を硬化
させた。
【0042】作製した液晶光学素子の電気光学特性は、
光源としてヘリウム−ネオンレーザ、検出器としてフォ
トダイオードを用いて1kHzの矩形波を印加して測定
した。光学系のF値は15であった。25℃での特性は
以下の通りである。
【0043】 駆動電圧 7.5V 光透過率(電圧無印加時) 84% 光透過率(9V印加時) 1.5% コントラスト 56 ヒステリシス 0.25V 応答時間(オン;8V印加) 23ms (オフ) 14ms 電荷保持率 96%
【実施例2】塩素系ネマチック液晶TL215(メルク
社製)95.0wt%、カイラル剤S811(メルク社
製)3.0wt%(カイラルネマチック液晶のカイラル
ピッチは3.0μm )、以下の構造式で示される高分子
樹脂前駆体
【0044】
【化4】
【0045】1.9wt%および重合開始剤ベンゾイン
メチルエーテル0.10wt%の混合液を2枚のホモジ
ニアス配向処理された電極層付き透明ガラス基板から成
るギャップ10μm の液晶セルに注入した。この液晶セ
ルを30℃に保ち、0.1mW/cm2 の紫外線(波長3
65nm)を150分間照射し、高分子樹脂前駆体を硬化
させた。
【0046】作製した素子の電気光学測定法は実施例1
と同等である。
【0047】 駆動電圧 8.0V 光透過率(電圧無印加時) 83% 光透過率(9V印加時) 2.0% コントラスト 41.5 ヒステリシス 0.30V 応答時間(オン;8V印加) 15ms (オフ) 13ms 電荷保持率 83%
【比較例1】高分子樹脂前駆体として、4,4′−ビス
アクリロイルビフェニルを使用する以外は実施例1と同
等の条件で行った。
【0048】 駆動電圧 15.2V 光透過率(電圧無印加時) 83% 光透過率(20V印加時) 2.5% コントラスト 33 ヒステリシス 4.0V 応答時間(オン;20V印加) 13ms (オフ) 17ms 電荷保持率 93%
【発明の効果】本発明の液晶光学素子によれば、相変化
型の液晶光学素子の駆動電圧が低下し、TFT、MIM
等によるアクティブマトリックス駆動が可能となる。ま
たヒステリシスも低下するため、階調表示が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係わる液晶光学素子の光透
過率を示すグラフである。
【図2】本発明の実施例2に係わる液晶光学素子の光透
過率を示すグラフである。
【図3】本発明の実施1に係わる液晶光学素子の構造を
示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 電極層 3 配向膜 4 高分子樹脂 5 カイラルネマチック液晶

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電極層が付いた少なくとも一方が透明な2
    枚の基板間にカイラルネマチック液晶と高分子樹脂とか
    らなる調光層を挟持し、電界無印加時にプレナーテクス
    チャーとなり、電界印加時にフォーカルコニックテクス
    チャーとなる液晶光学素子において、 前記高分子樹脂が、一般式(I) 【化1】 (式中、R1 、R2 はそれぞれ水素原子またはメチル基
    を、R3 、R4 はそれぞれ直接結合または酸素原子を、
    5 、R6 、R7 、R8 はそれぞれ独立し、水素原子ま
    たは炭素数が1〜10のアルキル基を示す。)で示され
    る化合物を含む高分子樹脂前駆体を光重合した化合物で
    あることを特徴とする液晶光学素子。
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