JP2782915B2

JP2782915B2 - 耐熱性に優れた光学読取りマーク記録布帛およびそれが添付された縫製品

Info

Publication number: JP2782915B2
Application number: JP2114475A
Authority: JP
Inventors: 史朗今井; 三宜岡本; 浩義浅田
Original assignee: TORE KK
Current assignee: TORE KK
Priority date: 1990-04-28
Filing date: 1990-04-28
Publication date: 1998-08-06
Anticipated expiration: 2013-08-06
Also published as: WO1993004230A1; JPH0415779A; EP0555473A4; EP0555473B1; EP0555473A1

Description

【発明の詳細な説明】［産業用の利用分野］本発明は、識別マークを光学的に読み取り可能に記録
した布帛または該布帛が添付された縫製品などに関す
る。

さらに詳しくは、布帛を構成する極細繊維の表面を樹
脂被覆で被覆することにより、耐熱性に優れた識別マー
クを光学的に読み取り可能に記録した布帛または該布帛
が添付された縫製品などに関するものである。

本発明でいう識別マークに記載する事項とは、例え
ば、製造メーカーが付与するメーカーコード、商品アイ
テムコード、加工方法、洗濯方法、取扱い方法、サイ
ズ、色彩、製造年月日等の各種データ、あるいは、販売
店が付与する販売店コード、価格、仕入れ関係データ等
であり、また、むろんこれら以外でも、各種業態で有用
なその他の情報等であってもよい。

さらに、該マークは、持ち主、預かり主、取扱い店等
を識別するための情報またはそれらの名前そのもの等で
あってもよい。

［従来の技術］ POS（Point of Sale）システムを中心とした流通業
界では、単品識別表示用バーコードシンボルが広く利用
されている。例えば、販売店では、該バーコードを読み
取ることにより、レジスターへのキー入力が省略でき、
さらにまた、販売傾向を迅速に把握するための在庫管理
あるいは販売実績管理等に利用されている。

しかしながら、布地あるいは衣料あるいは寝具等の縫
製品に識別バーコードを印刷しようとする場合には、従
来の布帛では得られる印刷が不鮮明であったり、あるい
は、印刷（光学的）濃度が薄いという問題があり、光学
記録体として現在最も多く用いられている紙あるいはフ
ィルム類と比較して、明らかに得られるパターンに差が
認められる。かかる印刷品質は、光学読取り装置の読取
り精度および／または読取りエラー率に大きく影響を及
ぼすため、いまだかって、光学読取りマークの記録され
た布帛は実用化に至っていないのが実状である。

また、かかる光学読取りマークを、刺繍糸等を用いて
所望のパターンに縫い付けたり、あるいは刺繍すること
により得ようとする提案もなされてはいるが、かかる方
法では、刺繍糸の繊度によりパターンエッジの形状が決
まるため、該繊度を細くしなければならないという問題
があり、さらに、装置が複雑になったり、該加工工程に
長時間を要するなど生産性の点で非常に大きな問題があ
る。

また、流通の各段階で、布帛あるいは衣料あるいは寝
具等の縫製品に、製造メーカー、ブランド名、素材等の
品質、価格等を記録した札を付加することもあるが、こ
れとて非常に繁雑な作業を伴なうものであった。

さらに、例えば１つの業態として、クリーニング店、
クリーニング業界における顧客管理、取扱い代理店管理
等に識別バーコード等を付与した札を利用するというこ
とが考えられるが、この場合、該バーコード等が繰り返
し使用することができるものであれば、クリーニングに
出すたびに該札を取り付けるという繁雑な作業が不要と
なり、非常に有用なものとなると考えられる。

本発明者らは、かかる数々の問題点を解決し、それぞ
れの業態において各種の有用な識別コードを鮮明に印刷
することができ、かつ、耐久性よく使用でき、さらにま
た、ほとんどエラーなく正確に読み取ることが可能な良
好な印刷品質を有する光学読取りマーク記録体として、
すでに、１〜0.00001デニールの極細繊維を主体として
なる布帛を提案した。しかしながら、かかる布帛を用い
ることにより、印刷品質が良好で、ほとんどエラーなく
正確に読み取ることが可能な光学読取りマーク記録体を
得ることができたが、かかる布帛においても、クリーニ
ング業界、特にランドリー業界での、高温プレスを繰り
返し受ける等の負荷を受けることによって印刷品質が低
下してくるという問題点があった。

［発明が解決しようとする課題］本発明は、かかる耐熱性の問題点を解決し、各種の有
用な識別コードを鮮明に印刷することができ、かつ、例
えば、ランドリー業界での過酷な高温プレス等を繰り返
し受けても印刷品質が低下することなく耐久性よく使用
でき、さらにまた、ほとんどエラーなく正確に読み取る
ことが可能な良好な印刷品質を有する光学読取りマーク
記録体を提供することを目的とする。

なお、本発明でいう光学読取りマークとは、バーコー
ド、OCR（Optical Character Recognition）等に記号
化されたもの、あるいは氏名等を表示する文字をも含
み、それらに応じた任意の読取り装置によって光学的に
読取り処理可能なものであれば、規格は特に限定される
ものではない。

［課題を解決するための手段］本発明者らは、かかる問題点を改善する方法について
鋭意検討した結果、ついに本発明を完成するに至った。

本発明の目的は、次の構成をとることによって達成さ
れる。

すなわち、本発明は、１〜0.00001デニールの極細繊
維を主体としてなり、光学的に読取り可能に記録した識
別マークを有する布帛であって、かつ、少なくとも該識
別マーク部に位置する極細繊維の単繊維表面がトリアジ
ン誘導体および／またはメラミン誘導体系樹脂で主とし
て被覆されていることを特徴とする耐熱性に優れた光学
読取りマーク記録布帛とすることによって達成される。

また、かかる本発明の光学読取りマーク記録布帛にお
いて、好ましくは、識別マークが、少なくともバーコー
ドタイプに一部が記号化されたものであることを特徴と
するものであり、あるいはまた、氏名を表示する文字で
あることを特徴とするものである。さらにまた、より好
ましくは、該識別マークが、バーコードタイプと氏名を
表示する文字とが併記されたものであることを特徴とす
るものである。

また、好ましくは、該布帛が織編物または不織布であ
ることを特徴とするものであり、あるいはまた、織編物
である場合、該織編物のタテ糸、ヨコ糸の織りまたは編
み密度積が1,000本/cm2以上であり、かつ、構成繊維本
数積が5,000,000本/cm2以上であることを特徴とするも
のであり、あるいはまたは、不織布である場合、１〜0.
00001デニールの極細繊維を主体としてなり、かつ、該
不織布の見掛け密度が0.15g/cm3以上であることを特徴
とするものである。

また、好ましくは、光学的に読取り可能な識別マーク
がプリントにより布帛に記録されたものであることを特
徴とするものである。

さらにまた、かかる上述に記載の布帛が添付されてい
ることを特徴とする縫製品である。

あるいはまた、１〜0.00001デニールの極細繊維を用
いた十分に緻密な織編物を少なくとも一部に有する縫製
品において、該織編物部が光学的に読取り可能に記録し
た識別マークを有する布帛であって、かつ、少なくとも
識別マーク部に位置する極細繊維の単繊維表面がトリア
ジン誘導体および／またはメラニン誘導体系樹脂で主と
して被覆されていることを特徴とする縫製品である。

［作用］以下に、本発明の詳細に説明する。

本発明の光学的に読取り可能な識別マーク布帛におい
て、１デニール以下の極細繊維を製造する方法は、特に
限定されるものでなく、従来から公知の各種の極細繊維
の製造技術等を用いることができる。例えば、一般に海
島型複合繊維である高分子相互配列体繊維による方法、
また、その島成分がさらに海島型の高分子相互配列体繊
維から製造してもよく、また、剥離型分割繊維による方
法でも、あるいはまた、直接紡糸する方法において、紡
糸条件を極細繊維を紡糸する条件に設定して作ってもよ
い。

かかる極細繊維を製造する方法は、いくつかの方法が
知られており、例えば、「化学と工業」第36巻第521〜5
23頁（1983年、日本化学会発行）にも説明されている通
りであり、本発明ではそれらの方法のうち適宜のものを
用いることができる。いうまでもなく、これらの方法に
限定されるうものではない。

なお、本発明でいう１〜0.00001デニールの極細繊維
において、その断面形状は、円形に限られるものではな
く、三角、四角、楕円あるいは多角形、あるいは不定形
のものであってもかまわない。偏平率の大きな楕円形状
のものや矩形状断面形状のものなどは、同一単糸繊度で
比較した場合、表面の平坦性が向上し、より好ましい形
状といえる。

本発明の光学的に読取り可能な識別マーク布帛は、か
かる極細繊維を主体とした布帛であれば、織編物や不織
布のいずれであってもよい。

織編物の場合、平織り、斜文織、朱子織、これらの二
重織りあるいは変化組織など限定はない。また、編物で
あるならば、ヨコ編み、タテ編みなどすべての編み組織
のものが含まれる。さらに、かかる織編物が立毛を有す
るものであってもかまわない。また、不織布において
は、一般的なスパンボンド法、メルトブロー法、フラッ
シュ紡糸法によるもの、あるいは、湿式法やニードルパ
ンチ法によって得られるものなどいずれであってもかま
わない。また、これらの立毛品であってもよい。

本発明の光学的に読取り可能な識別マーク布帛を織編
物によって構成する場合、タテ糸、ヨコ糸の織りあるい
は編み密度の積は、1,000本/cm²以上であるものが好ま
しく、また、タテ糸、ヨコ糸における構成繊維本数の積
が5,000,000本/cm²以上であることが好ましい。かかる
場合、着色剤の織編物への印刷効率が非常に良好とな
り、より極めて実用的な光学濃度と識別マークのパター
ン境界の鮮明さを得ることができる。さらに好ましく
は、かかる緻密な織編物にウオータージェットパンチ処
理を施せば、布帛表面がより緻密化し、さらに、布帛が
変形しにくくなるので特に好ましい。

不織布の場合、緻密でかつ平坦な表面構造であること
がより好ましく、例えば、見掛け密度で0.14g/cm³以上
のものが好ましい。例えば、カレンダー加工やウオータ
ージェットパンチ処理を施したものは好適に使用するこ
とができる。

本発明においては、上述したごとく、１〜0.00001デ
ニールの極細繊維を主体として用いて布帛化することに
より、繊維間隔が非常に緻密となり、ほぼ隙間のみられ
ない断面構造となる。さらに、該布帛表面に適宜な外圧
処理、例えば、プレス処理などを加えることにより、よ
り一層各極細単繊維の配列がフラット化されて緻密にな
り、布帛の表面構造がフラットな最密充填構造となり、
着色剤が有効に転写される表面状態となるので好まし
い。

また、上述の布帛の緻密性を高めるために、例えば、
熱収縮の高い糸を用いて布帛形成後に熱収縮させる、ウ
ォータージェットパンチ処理等を施す、あるいは、例え
ば、ベンジルアルコール、石炭酸、塩化メチレンなどの
薬剤処理を施すなど、またあるいは、これらの処理を組
み合わせてもよいが、布帛構造をより緻密化させること
も好ましい有効な手段である。

本発明の識別マークの記録方法としては、電子写真方
式、熱転写方式、インクジェット方式、静電方式などの
プリント方式であっても、あるいはスタンプ、各種の版
材を用いた印刷であってもよく、通常の繊維を用いた布
帛に比較し格段に優れた印刷品質を実現することができ
る。

なお、耐加工性の転写剤あるいはインクとしては、昇
華堅牢性の良好なものを用いるのが好ましく、たとえば
分子量の大きな昇華堅牢性の良好な染料等を用いるのが
好ましい。

さて、本発明の耐熱性に優れた光学読取りマーク記録
布帛は、かかる極細繊維を主体として構成された布帛に
光学読取りマークを印刷した後、かかる極細繊維の表面
をトリアジン誘導体系および／またはメラミン誘導体系
樹脂で被覆することによって達成される。

かかるトリアジン誘導体系樹脂被膜は、例えば、以下
の述べるトリアジン誘導体化合物と、これに無機酸、有
機酸またはその塩類との混合水溶液を上記布帛に付着せ
しめ、少なくとも25％の水分を保持せしめた状体で相対
湿度40％以上の雰囲気中で加熱処理することによって達
成される。

また、メラミン誘導体系樹脂被膜は、例えば、以下に
述べるメラミン誘導体化合物、アニオン界面活性剤およ
び酸性触媒の混合水溶液で該布帛を付着処理した後、水
分の存在下で加熱処理することにより達成される。

トリアジン誘導体化合物としては、例えば、次の一般
式で示される化合物のものが挙げられる。

（ただし、R₀〜R₂:−Ｈ、−OH、−C₆H₅、−Cn₀H₂n
₀₊₁（n₀:1〜10）、−COOCn₁H₂n₁₊₁（n₁:1〜20）、−CON
R₃R₄、−NR₃R₄ ここで、R₃、R₄:−Ｈ、−OCn₃H₂n₃₊₁、−CH₂OCn₃H₂n
₃₊₁−CH₂COOCn₃H₂n₃₊₁（n₃:1〜20）−CH₂OH、−CH₂CH₂O
H、−CONH₂、−CONHCH₂OH−０−（Ｘ−Ｏ）−n₄R₅（X:C
₂H₄、C₃H₆、C₄H₈、n₄:1〜1500）R₅:−Ｈ、−CH₃、−C₂H
₅、−C₃H₇）さらに、上記一般式で示される化合物のエチレン尿素
共縮合化合物、ジメチロール尿素共縮合化合物、ジメチ
ロールチオ尿素共縮合化合物などでもよい。

無機酸としては、例えば、硫酸、塩酸、炭酸、リン
酸、などを使用することができる。また、有機酸として
は、例えば、ギ酸、酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸クエン酸、酒
石酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、マレイン酸、イ
タコン酸、メチルフマル酸、フタール酸、イソフタール
酸など、適宜のものを使用することができる。

また、メラミン誘導体化合物とは、例えば、次の一般
式で示される化合物である。

ただし、R₁〜R₆:−Ｈ、−OH、−CH₂OCH₃、−CH₂OC
₂H₅、−CH₂OH、−CH₂CH₂OH、−CH₂CH₂CH₂OH 上記メラミン誘導体化合物を樹脂化させる触媒として
は、上述の無機酸あるいは有機酸、およびそれらのアン
モニウム、ナトリウム、カリウム等の有機塩を使用する
ことができる。

また、アニオン界面活性剤としては、石鹸、ザルコシ
ネートのカルボン酸系アニオン活性剤、高級アルコール
硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫
酸化オレフィン等の硫酸エステル塩系のアニリン活性
剤、アルキルナフタリンスルホン酸塩、イゲポンＴ、エ
アロゾルOT、リグニンスルホン酸塩のごときスルホン酸
塩系はアニオン活性剤、高級アルコールリン酸エステル
塩、リン酸エステル塩系のアニオン活性剤などを使用す
ることができる。かかるアニオン界面活性剤は、樹脂化
に際して必ずしも必要とはしないが、混合水溶液中に加
えたほうが、均一な樹脂化が達成されるので好ましい。

かかるトリアジン誘導体化合物あるいはメラミン誘導
体化合物、酸、好ましくはアニオン界面活性剤を混合し
た水溶液に、前述の布帛を浸漬、塗布、噴霧等の手段に
より付着させる。該水溶液を付着させた後、熱処理によ
り樹脂化し、本発明の耐熱性に優れたマーク記録布帛を
得ることができるが、好ましくは、布帛に水分が存在す
る状態下で、40％RH以上の湿度で、40〜140℃の温度条
件で加熱処理を施すことにより、繊維表面にほぼ均一に
被膜化させることができ、好ましい。

本発明は、かかる技術構成をとることにより、耐熱性
に優れた光学読取りマーク記録布帛を得ることができる
というものであるが、かかる処理後に、柔軟仕上げ、硬
仕上げ、撥水処理、帯電妨止処理などの仕上げ処理を、
耐熱性を損なわない範囲で実施することもできる。

本発明の耐熱性に優れた光学読取りマーク記録布帛
は、該布帛のごとく一部にマークが記録されたものであ
ってもよく、該布帛自身が衣料製品、寝装製品あるいは
各種繊維製品の一部あるいは全部を構成した縫製品であ
ってもよく、また、例えば、細幅のテープ状のものなど
であって、衣料、寝具等の縫製品に縫い付け、あるい
は、融着、針止めなどの適宜の手段で取り付けられて使
用されるような小片状のものであってもよく、また、あ
るいは、上述した特徴を有する縫製品識別マーク札とし
て適宜のものに付けられて使用されるものであってもよ
い。

［実施例］以下に、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に
よって、本発明の有効性や権利の範囲が限定されたり制
約をうけるものではない。むしろ、次の応用や展開をも
たらすものである。

実施例１海成分として、アルカリ易可溶型の共重合ポリエステ
ルを、島成分としてポリエチレンテレフタレートを用
い、島／海成分比90/10、島本数70本で、フィラメント
数10本、トータル繊度50デニールからなる高分子相互配
列体繊維を紡糸し、ついで、かかる糸を用いて、タテ57
本/cm、ヨコ43本/cmの生機密度を有する高密度タフタを
得た。

しかる後、海成分を溶解除去し、極細単糸繊度0.06デ
ニールで、タテ、ヨコ密度各々61本/cm、45本/cmで、密
度積2,745本/cm3以上であり、構成繊維本数積が1,34
5、,000,000本/cm3以上の極細繊維布帛を得た。

しかる後、該布帛にウオータージェットパンチ処理を
施し、極細繊維同志を交絡させるとともに布帛をより緻
密化させた。

ついで、該布帛に、インクジェットプリンタを用い
て、JISに規格されるJAN（Japanese Arricle Numbe
r）バーコードを印刷した。

しかる後、メチル化トリメチロールメラミン15％、過
硫酸アンモニウム１％、界面活性剤としてジナフチルメ
タンジスルホン酸を用いた混合水溶液に上述の布帛を浸
漬し、100wt％（対布帛）付着させ、100％RHの湿度、10
5℃の温度条件下に５分間反応させて後、さらにまた上
記の浸漬、反応処理をもう一度繰り返した。ついで、未
反応物をソーピングにより洗浄し乾燥し、光学読取りマ
ーク記録布帛を得た。

印刷されたバーコードシンボルは、その光学特性を評
価したところ、JIS規格を満足し、コードシンボル検証
機を用いた読取り検査での問題のないものであった。

また、耐熱性評価として、50℃で洗濯したのち、190
℃のプレス温度で30秒間プレスの操作を何回か繰り返し
た。本発明の耐熱性向上の処理を施さなかった布帛は、
染料が昇華したためか、操作ごとに印刷が薄れ、10回以
上のかかる操作後ではもはやコードシンボル検証機では
読み取ることができなかった。しかしながら、本発明の
布帛は同様操作を50回繰り返した後も、正確に読み取る
ことができ耐熱性に優れたものであった。

実施例２実施例１と同様にインクジェットプリンタを用いて、
JANバーコードと本発明者の名前を漢字で印刷した後、
かかる布帛を、前述のメラミンの一般式で示されるR₁〜
R₆がいずれもCH₂OHであるもの12％、酒石酸アンモン１
％、C₁₂H₂₅COONa0.3％の混合水溶液で処理し、さらに、
100％RHの湿度、105℃の温度条件下に５分間反応させて
後、実施例１と同様にこの処理をもう一度繰り返した。

こうして得られた布帛を、ポリエステルおよび綿の洗
濯、アイロンプレス条件にて、洗濯・プレス処理を50回
繰り返した。

こうして得られた試料を、コードシンボル検証機を用
いた読取り検査に供したところ、いずれの洗濯条件下で
処理をしても、バーコードは正確に読み取ることがで
き、耐久性、耐熱性ともにすこぶる優れたものであっ
た。

［発明の効果］以上説明したごとく、本発明によれば、構成繊維の繊
度を十分に細くし、しかも高密度で緻密な布帛となし、
さらに、該極細繊維の表面をトリアジン誘導体系樹脂お
よび／またはメラミン誘導体系樹脂で被服することによ
り、エラーもほとんど生じることなく、正確に光学読取
り装置により読み取ることができ、さらに、洗濯時に施
される高温のプレス処理などによっても劣化、退色する
ことのない耐熱性にすぐれた光学読取りマーク記録布帛
が達成されたのである。

本発明の耐熱性にすぐれた光学読取りマーク記録布帛
は、繊維関連あらゆる流通業界に大きな変革をもたらす
ことができたものであり、すなわち、たとえば、布帛の
加工処理工程における分類区分、製造年月日、製造メー
カー、商品アイテム、色柄、サイズ、洗濯方法、販売店
コード、価格等を記録した衣料あるいは寝具等の縫製品
全てについて、在庫や販売実績管理や、あるいは、クリ
ーニングやランドリー業界における顧客管理などに有効
に用いることができる。

特に、クリーニングやランドリー業界における顧客管
理などには、優れた耐熱性、耐久性を有することからも
好ましく用いることができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭62−41375（ＪＰ，Ａ) 特開昭63−105139（ＪＰ，Ａ) 特開平３−185173（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G06K 19/00 - 19/18 D06H 1/04 B41M 5/00

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】１〜0.00001デニールの極細繊維を主体と
してなり、光学的に読取り可能に記録した識別マークを
有する布帛であって、かつ、少なくとも該識別マーク部
に位置する極細繊維の単繊維表面がトリアジン誘導体お
よび／またはメラミン誘導体系樹脂で主として被覆され
ていることを特徴とする耐熱性に優れた光学読取りマー
ク記録布帛。
【請求項２】識別マークが、少なくともバーコードタイ
プに一部が記号化されたものであることを特徴とする請
求項第（１）項記載の耐熱性に優れた光学読取りマーク
記録布帛。
【請求項３】識別マークが、氏名を表示する文字である
ことを特徴とする請求項第（１）項記載の耐熱性に優れ
た光学読取りマーク記録布帛。
【請求項４】識別マークが、バーコードタイプと氏名を
表示する文字とが併記されたものであることを特徴とす
る請求項第（１）項記載の耐熱性に優れた光学読取りマ
ーク記録布帛。
【請求項５】布帛が織編物または不織布であることを特
徴とする請求項第（１）項、第（２）項、第（３）項ま
たは第（４）項記載の耐熱性に優れた光学読取りマーク
記録布帛。
【請求項６】布帛が、織編物であって、かつ、該織編物
のタテ糸、ヨコ糸の織りまたは編み密度積が1,000本/cm
²以上であり、かつ、構成繊維本数積が5,000,000本/cm²
以上であることを特徴とする請求項第（４）項記載の耐
熱性に優れた光学読取りマーク記録布帛。
【請求項７】不織布が、１〜0.00001デニールの極細繊
維を主体としてなり、かつ、該不織布の見掛け密度が0.
15g/cm³以上であることを特徴とする請求項第（１）
項、第（２）項、第（３）項または第（４）項記載の耐
熱性に優れた光学読取りマーク記録布帛。
【請求項８】光学的に読取り可能な識別マークがプリン
トにより布帛に記録されたものであることを特徴とする
請求項第（１）項、第（２）項、第（３）項、第（４）
項、第（５）項、第（６）項または第（７）項記載の耐
熱性に優れた光学読取りマーク記録布帛。
【請求項９】請求項第（１）項、第（２）項、第（３）
項、第（４）項、第（５）項、第（６）項、第（７）項
または第（８）項記載の布帛が添付されていることを特
徴とする縫製品。
【請求項１０】１〜0.00001デニールの極細繊維を用い
た十分に緻密な織編物を少なくとも一部に有する縫製品
において、該織編物部が光学的に読取り可能に記録した
識別マークを有する布帛であって、かつ、少なくとも識
別マーク部に位置する極細繊維の単繊維表面がトリアジ
ン誘導体および／またはメラニン誘導体系樹脂で主とし
て被覆されていることを特徴とする縫製品。