JP2782157B2 - 潤滑剤組成物 - Google Patents

潤滑剤組成物

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JP2782157B2 JP35185993A JP35185993A JP2782157B2 JP 2782157 B2 JP2782157 B2 JP 2782157B2 JP 35185993 A JP35185993 A JP 35185993A JP 35185993 A JP35185993 A JP 35185993A JP 2782157 B2 JP2782157 B2 JP 2782157B2
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芳次 宮下
康典 真喜志
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴムや合成樹脂を押出
成形するときに、ダイス内面に供給される潤滑剤組成物
に関し、詳しくはゲル化が抑制され長期間潤滑機能を維
持できる潤滑剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】加硫可能なポリエチレン等の合成樹脂や
ゴム等の混合物を押出成形機と長ランドダイス装置とを
用いて成形ならびに成形物の加硫を行う方法が知られて
いる。この方法は、エンジニアプラスチック、カテーテ
ル、MDCV分野等での成形加工に利用され、美麗な外
表面が得られ、寸法精度に優れ、また、加圧媒体の導入
を必要としない等の利点を有する。上記方法では、成形
品をダイス内壁に密着させながら円滑に進行させるた
め、潤滑および離型の作用を付与する潤滑剤が使用され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記潤滑剤
は、押出し樹脂の融点よりも10〜20℃高い温度、さ
らに該樹脂を成形架橋用のダイスを使用して押出成型と
同時に架橋する場合には、該潤滑剤は該ダイスの内面に
供給され、その際には少なくとも180℃以上の高温に
曝される上、場合によっては長時間その温度で継続使用
されることになる。このとき、主成分であるポリアルキ
レングリコールの分子量が極端に増大し潤滑剤が流動性
を失うことがある。このように、潤滑剤が流動性を失う
と、潤滑剤としての機能が無くなり、該潤滑剤が成形品
の表面に付着したり、さらにはくい込んだりして、成形
品の表面が粗れたり、キレツが発生する等の問題が生じ
る。なお、以下の説明では、上記潤滑剤が流動性を失う
現象を「ゲル化」という。
【0004】本発明の目的は、上記問題を解決して高温
度下に使用されてもゲル化せず、潤滑剤機能を長時間維
持できる潤滑剤組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記ポリ
アルキレングリコールがゲル化する発生原因について鋭
意研究を重ねた結果、潤滑剤を製造するときに使用され
るアルカリ触媒が残存することにあることを見出した。
即ち、ポリアルキレングリコールは、通常アルカリ触媒
を用いた重縮合反応によって製造されるので、得られる
ポリアルキレングリコール中にはアルカリ触媒が残存す
ることは避けられない。このようなポリアルキレングリ
コールは、アルカリ性を呈している。上記アルカリ触媒
が残存するポリアルキレングリコールが高温度に加熱さ
れると、該アルカリ触媒の作用によって、ポリアルキレ
ングリコール自身の重縮合反応が生起して、分子量が極
端に増大してゲル化するのである。
【0006】本発明は上記知見に基づき完成したもので
あって、本発明の潤滑剤組成物は、ゴムまたは樹脂を押
出して成形架橋する際にダイス内面に供給されるもので
あって、主成分がアルカリ触媒を用いた重縮合反応によ
って製造されたポリアルキレングリコール(以下、該ポ
リアルキレングリコールを単に「ポリアルキレングリコ
ール」と称する。)である潤滑剤に酸化防止剤が配合さ
れてなるものである。また、本発明の潤滑剤組成物は、
上記潤滑剤組成物にさらに酸成分が配合されて、pH
8.0以下に調整されてなるものである。本発明の好ま
しい態様としては、酸化防止剤がビスフェノール系酸化
防止剤および/またはチオエーテル系酸化防止剤であ
り、上記潤滑剤の0.5重量%以上配合される。また、
酸成分が有機カルボン酸または無機リン酸あるいは無機
リン酸塩の少なくとも一種よりなるものである。また、
主成分がポリアルキレングリコールである潤滑剤は、4
0℃における粘度が15,000〜20,000センチ
ストークスを有するものである。また、上記高粘度潤滑
剤に、40℃における粘度が200〜1,000センチ
ストークスである低粘度潤滑剤を混合してなる混合潤滑
剤であってもよく、この混合潤滑剤は、高粘度潤滑剤/
低粘度潤滑剤=80〜99/20〜1(重量比)に混合
されてなるものである。
【0007】以下、本発明の潤滑剤組成物についてより
詳細に説明する。本発明の潤滑剤組成物は、主成分がポ
リアルキレングリコールである潤滑剤に酸化防止剤を配
合したことを特徴とする。上記潤滑剤としては、例えば
エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレ
ンオキシドと脂肪族一価アルコールとを付加重合または
付加共重合させたポリアルキレングリコール油や、ポリ
オキシアルキレンおよび2種以上のアルキレンオキサイ
ドのランダム、ブロックおよびグラフトコポリマーなら
びにそれらの誘導体等が挙げられる。
【0008】上記アルキレンオキサイドのランダム、ブ
ロックおよびグラフトコポリマーならびにそれらの誘導
体としては、例えば、ポリエチレングリコールラウリル
エーテルなどのアルキルエーテル型のもの、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテルなどのアルキルアリル
エーテル型のもの、ポリエチレングリコールステアリル
チオエーテルなどのアルキルチオエーテル型のものがあ
る。この範疇に入る具体的なものとしては、ユニルーブ
50MB−26X、ユニルーブ50MB−168X、プ
ロノン#201、プロノン#204、ニッサンノニオン
NS−210(以上日本油脂(株)製の界面活性剤)、
ニューポールP−P4000(三洋化成工業(株)製の
界面活性剤)などの工業製品がある。
【0009】また、例えばポリオキシエチレントール油
エステル、ポリオキシエチレンロジン酸エステルなどの
アルキルエステル型、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタントリス
テアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエ
ートなどのソルビタンアルキルエステル型、ポリオキシ
エチレンジクレジルホスフェートなどのリン酸エステル
型のものがある。この範疇に入る具体的なものとして
は、ノニオンLT221、ノニオンST221、ノニオ
ンOT221(以上日本油脂(株)製の界面活性剤)な
どの工業製品がある。
【0010】また、例えばN,N−ジ(ポリオキシエチ
レン)ステアリルアミン等のアミンとの縮合型、ポリオ
キシエチレンステアリルアミド、ポリオキシエチレンノ
ニルベンゼンスルホニルアミドなどのアミドとの縮合型
がある。この範疇に入る具体的なものとしては、ナイミ
ッドS205、ナイミッドS215(以上日本油脂
(株)製の界面活性剤)などの工業製品がある。
【0011】本発明では、潤滑剤として上記の主成分が
ポリアルキレングリコールである潤滑剤の1種または2
種以上の混合物が好適に使用できる。
【0012】上記潤滑剤の粘度は、ゴムや合成樹脂等を
押出成形するときに、外表面が美麗な、また、寸法精度
に優れる成形品を製造するために重要な役割を果たす。
本発明では、40℃における粘度が 1,000〜30,000セン
チストークス、好ましくは5,000 〜25,000センチストー
クス、より好ましくは10,000〜20,000センチストクスを
有する潤滑剤が使用される。上記潤滑剤が40℃におけ
る粘度が 1,000センチストークス未満であると、潤滑剤
が有する本来の潤滑作用が低下して潤滑剤が偏在しやす
くなり、例えばダイス内壁と成形品との界面全体にわた
り均一にゆきわたらせ、連続皮膜を形成することが困難
になる。一方、30,000センチストークスを越えると、潤
滑剤がゲル化し易くなり、例えば長ランドダイス内への
供給が困難になる。
【0013】また、本発明では、上記40℃における粘
度が、 1,000〜30,000センチストークスを有する高粘度
潤滑剤に、低粘度潤滑剤を混合してなる混合潤滑剤を使
用することができる。この混合潤滑剤を使用すると、高
温度における潤滑剤粘度を大幅に下げることなく常温で
の粘度低下を実現でき、作業性が向上すること、また、
潤滑剤使用時にゲル化による粘度急増現象が抑止でき好
ましい。上記低粘度潤滑剤としては、粘度が200 〜1,00
0 センチストークス、好ましくは300 〜500 センチスト
ークスを有する潤滑剤が適当である。
【0014】本発明では、上記混合潤滑剤は、重量比で
高粘度潤滑剤/低粘度潤滑剤=80〜99/20〜1、
好ましくは85〜95/15〜5の割合で混合される。
なお、この場合、混合潤滑剤の40℃における粘度が、
1,000〜20,000センチストークスの範囲内となる組合せ
およびその混合量を選択することが好ましい。上記低粘
度潤滑剤の混合量が、上記割合よりも少ない場合は上記
作用を奏さず、一方、多い場合は、混合潤滑剤の粘度が
大幅に低下するので、潤滑剤が有する本来の潤滑作用が
低下する。なお、上記混合潤滑剤とするときは、粘度が
相違するだけで、互いに実質的に同一の主分子構造を有
するポリアルキレングリコールを主成分とする潤滑剤を
選択使用することが好ましい。
【0015】前記したように、本発明で使用するポリア
ルキレングリコールを主成分とする潤滑剤には、アルカ
リ触媒が残存しているので、潤滑剤が高温度下で使用さ
れると、該アルカリ触媒の作用でポリアルキレングリコ
ール自身が重縮合を起こしてゲル化し、潤滑剤としての
機能を失うことになる。本発明では、該潤滑剤に酸化防
止剤を配合して、ポリアルキレングリコール自身の重縮
合開始を抑制させるようにしたことを特徴とする。即
ち、上記酸化防止剤は、潤滑剤組成物においてラジカル
捕捉剤または過酸化物分解剤として機能し、上記潤滑剤
中のポリアルキレングリコールの重縮合における反応開
始・成長反応を抑制するように作用するのである。上記
酸化防止剤としては、潤滑剤中のポリアルキレングリコ
ールの重縮合が抑制できるものであればいずれの種類も
使用でき、例えばフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化
防止剤、リン系酸化防止剤等の公知のものが使用でき
る。本発明では、上記酸化防止剤のうち、特にビスフェ
ノール系およびチオエーテル系の酸化防止剤が好適に使
用できる。本発明では、上記ビスフェノール系酸化防止
剤、チオエーテル系酸化防止剤を各単独または混合物と
して使用することが好ましい。また、他の公知の酸化防
止剤と組合わせて使用することもできる。
【0016】上記ビスフェノール系酸化防止剤として
は、一般式:Ar−X−Ar’(ただし、ArおよびA
r’は、0H基、第3級ブチル基および第3級ブチル基を
除く炭素数が1〜4のアルキル基を有する単環芳香環で
ある。また、Xは、硫黄原子または炭素数が1〜4のア
ルキレン基である。)で示されるものが使用できる。こ
のようなビスフェノール系酸化防止剤として、例えば
2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチ
ル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス
−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,
4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール)等が挙げられ、具体的には、ノクラック
NS−5,NS−6,ノクラック300(大内新興社
製)や、ヨシノックスSR,BB,2246G,42
5,250(吉富製薬社製)等の工業製品がある。
【0017】また、上記チオエーテル系酸化防止剤とし
ては、分子内に少なくとも1個の−CH2 CH2 −S−
CH2 CH2 −結合を有するものが好適に使用できる。
このようなチオエーテル系酸化防止剤として、例えばジ
ラウリル−3,3’−チオジプロピオナート、ジステア
リル−3,3’−チオジプロピオナート、ジミリスチル
−3,3’−チオジプロピオナート、ビス〔2−メチル
−4−(3−n−アルキルチオプロピオニロキシ)−5
−t−ブチルフェニル〕スルフィド等が挙げられ、具体
的には、DLTPP 「ヨシトミ」、DSTP「ヨシトミ」、DMTP
「ヨシトミ」(吉富製薬社製)やMark AO-23 ,Mark AO-
412S,Mark AO-503(アデカアーガス社製)等の工業製品
がある。
【0018】上記酸化防止剤は、潤滑剤に対して少なく
とも0.5重量%、好ましくは1.0〜10重量%、よ
り好ましくは2.5〜7.0重量%の範囲で配合され
る。上記酸化防止剤の添加量が0.5重量%未満である
と、ゲル化抑制効果が不足し、10重量%を越えると該
酸化防止剤が潤滑剤に溶解せず、相分離するうえ、コス
ト上昇が顕著になって好ましくない。
【0019】本発明の潤滑剤組成物では、さらに酸成分
を配合して潤滑剤組成物のpH値を8.0以下に調整す
ることが好ましい。この酸成分を配合することによっ
て、潤滑剤中に残存するアルカリ触媒由来のアルカリ成
分が酸成分と反応して消費され、潤滑剤組成物のpH値
は低下するようになる。この構成とすることによって、
潤滑剤組成物が高温度下に使用されたとしても、ポリア
ルキレングリコール自身が重縮合反応を起こすことが抑
制される。
【0020】潤滑剤組成物に配合する酸成分としては、
上記潤滑剤組成物中のアルカリ成分と反応できるもので
あればいずれの種類も使用できるが、本発明では、有機
カルボン酸または無機リン酸あるいは無機リン酸塩が好
適に使用でき、上記のなかでも特に弱酸性の酸成分の使
用が好ましい。本発明では、上記酸成分は、一種または
二種以上の混合物として使用される。
【0021】上記有機カルボン酸としては、脂肪族カル
ボン酸または芳香族カルボン酸が使用できる。脂肪族カ
ルボン酸としては、炭素数が2以上で10以下のものが
好適に使用でき、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉
草酸等の脂肪族モノカルボン酸、しゅう酸、マロン酸、
フマル酸、琥珀酸、酒石酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙
げられる。脂肪族カルボン酸において、炭素数が2未満
では揮発し易く、一方、10を越える脂肪族カルボン酸
では固体化して、いずれの場合にもその扱いが困難とな
り好ましくない。本発明では、上記脂肪族カルボン酸の
うち、特に炭素数2〜5を有する低級脂肪族モノカルボ
ン酸を使用すると、該カルボン酸が水溶性となり洗浄除
去することが容易になり好ましい。また、芳香族カルボ
ン酸としては、サリチル酸、安息香酸、フタル酸等の芳
香族モノカルボン酸またはジカルボン酸が好適に使用で
きる。なお、上記有機カルボン酸の不飽和体や異性体も
同様に使用できる。
【0022】また、無機リン酸としては、例えばメタリ
ン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、三リン酸、四リン酸
が挙げられる。また、無機リン酸塩としては、例えば上
記各種リン酸のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウ
ム塩、カルシウム塩もしくはこれらの酸性塩等が挙げら
れる。
【0023】本発明の潤滑剤組成物は、容器に所定量の
主成分がポリアルキレングリコールである潤滑剤と酸化
防止剤、必要に応じて酸成分とを同時にまたは別個に仕
込み、攪拌装置によって十分に混合することで調製され
る。
【0024】以上、説明したように、本発明の潤滑剤組
成物は、これを押出し樹脂の融点よりも10〜20℃高
い温度、さらに該樹脂を押出成型と同時に架橋する場合
には、少なくとも180℃以上の高温に曝され、場合に
よっては長時間その温度で継続使用されても、主成分で
あるポリアルキレングリコールがゲル化することが大幅
に抑制される。したがって、該潤滑剤組成物を用いるこ
とによって、押出成形した成形品の外表面にゲル化した
ポリアルキレングリコールが付着したり、さらにこれが
くい込んだりして、該成形品の表面が粗れたり、キレツ
が発生する等の問題が解消できるようになる。
【0025】なお、上記潤滑剤組成物において、酸成分
を併用する場合、特に無機リン酸を使用する場合には、
リン酸に対して耐腐食性を有する部品、部材、機械等を
用いた成形装置と使用することが好ましい。また、潤滑
剤中に残存するアルカリ触媒が酸成分で中和されると、
該組成物中には不溶性の塩が生成するので、上記潤滑剤
組成物の使用に際しては、予め該不溶性の塩を濾過する
ことが好ましい。
【0026】
【作用】上記構成の潤滑剤組成物によれば、主成分がポ
リアルキレングリコールである潤滑剤に酸化防止剤が配
合されているので、酸化防止剤の作用によって、潤滑剤
中のポリアルキレングリコールの反応開始・成長反応が
抑制され、ポリアルキレングリコールの重縮合が抑制さ
れるようになる。また、酸成分が配合されているので、
潤滑剤中に残存するアルカリ触媒由来のアルカリ成分が
該酸成分と反応して消費されるようになり、高温度下に
おけるポリアルキレングリコールが自己重縮合を起こす
ことが抑制されるようになる。このように、潤滑剤中の
ポリアルキレングリコールが重縮合を起こすことが大幅
に抑制されるようになるので、潤滑剤がゲル化すること
が防止され、潤滑剤組成物が高温度下に使用されても、
潤滑剤の流動性が損なわれることなく、また、長期間に
わたり潤滑剤の機能が維持されるようになる。
【0027】
【実施例】以下、実施例を示し本発明をより具体的に説
明する。 実施例 (潤滑剤組成物の調製)潤滑剤として、主成分がポリア
ルキレングリコールであり40℃における粘度がそれぞ
れ約 17,500 、1,050 、24,940、178 、142 を有する5
種類の市販製品を使用した。また、酸化防止剤として、
市販のビスフェノール系酸化防止剤およびチオエーテル
系酸化防止剤を使用した。上記潤滑剤および酸化防止剤
を、表1に示すように、配合して潤滑剤組成物を調製し
た。各潤滑剤組成物のpH値は、表1に示す通りであっ
た。なお、一部の潤滑剤組成物には酸成分を配合して、
pH値を調整した。
【0028】実験例 上記実施例で調製した各潤滑剤組成物を用いて、図1に
示す架橋電線製造装置で電線を製造した。なお、上記架
橋電線製造装置は、図示しない押出装置と、クロスヘッ
ドに対してダイスホルダーを介して接続された長ランド
ダイス装置とで構成され、該長ランドダイス装置は、ダ
イス長が600mm、ダイス径が69.9mmの長ランドダ
イス部を有し、その成形域は長さが500mm、温度が1
30℃であり、架橋域は長さが5500mm、温度が25
0℃である。なお、この実験例では、導体として1mm厚
さの半導電性ポリエチレン層を有する外径29mmの素線
を91本撚ってなる外径600mmの撚線を使用した。ま
た、該撚線を被覆する材料としては、ジクミルパーオキ
サイドを添加した市販の低密度ポリエチレンを使用し
た。上記構成の装置を用いて架橋電線が製造される工程
を簡単に説明すると、線速35m/分で走行される導体
上に、押出機(図示せず)によってポリエチレンが被覆
され、ダイス片を通過する際に所定の寸法に成形され
る。潤滑剤供給装置から供給される潤滑剤組成物によっ
て長ランドダイス装置の内壁面はコートされているの
で、該未架橋電線は長ランドダイス内を円滑に移行し、
ヒーターによって例えば200℃に加熱された領域にお
いて架橋がなされ、その後水冷装置によって冷却されて
ポリエチレンが被覆された架橋電線が製造されるのであ
る。
【0029】上記製造された各架橋電線の外表面の仕上
り状態は、その評価基準は、◎…潤滑剤の粘度変化なく
優れる、○…潤滑剤の粘度が多少変化したが良好、△…
潤滑剤の粘度が大幅に変化して劣るの3段階で判定し
た。ただし、下記表1中、*1は、40℃におけるセン
チストークスである。*2は、潤滑剤の粘度が低くゲル
化はしないが、潤滑効果がなくなった結果である。ま
た、配合量は、重量%である。表1中、「ユニルーブ7
5DE2620」、「ユニルーブ50DE2620」、
「ユニルーブ75DE170」、「ユニルーブ75DE
3800」、「ユニルーブ50MB16X」、「ユニル
ーブ50MB26X」、および「ユニルーブ50TG−
32」は、いずれも日本油脂株式会社の脂肪酸誘導体化
成品であるポリアルキレングリコール誘導体の商品名で
ある。「ノクラックNS−6」は、大内新興化学工業株
式会社の酸化防止剤である2,2’−メチレン−ビス−
(4−メチル−6−第三−ブチルフェノール)の商品名
である。「Mark AO−23」は、アデカ・アーガ
ス化学株式会社の酸化防止剤であるビス[2−メチル−
4−{3−n−アルキル(C 12 またはC 14 )チオプ
ロピオニルオキシ}−5−第三ブチルフェニル]スルフ
ィドの商品名である。また「Mark AO−503
A」は、アデカ・アーガス化学株式会社の酸化防止剤で
あるジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネートの
商品名である。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】上記表1からも明らかなように、本発明
の潤滑剤組成物は、高温度条件下で使用されてもゲル化
せず、潤滑剤機能を長期間維持できる。この潤滑剤組成
物を、例えば過酷な加熱条件が課せられる長ランドダイ
ス成形架橋等に用いても、潤滑剤がゲル化することなく
潤滑剤機能を長時間維持できる。したがって、本発明の
潤滑剤組成物は、高温で溶融樹脂を押出成形する場合の
成形ダイス用潤滑剤として好適であり、この潤滑剤組成
物を使用することによって、美麗な外表面仕上がりを有
する押出成形品を安定して製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の潤滑剤組成物を用いる架橋電線製造装
置を示す断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 135:28) C10N 20:00 20:02 30:02 30:10 40:36 (56)参考文献 潤滑、第32巻、第2号、(1987)、 P.95−99 PETROTECH、第8巻、第6号 (1985)、P.562−566 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10M 105/18 C10M 129/10 - 129/14 C10M 135/20 - 135/30

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴムまたは樹脂を押出して成形架橋する
    際にダイス内面に供給される潤滑剤組成物であって、
    成分がアルカリ触媒を用いた重縮合反応によって製造さ
    れたポリアルキレングリコールである潤滑剤に酸化防止
    剤が配合されてなり、pHが8.0以下に調整されてな
    潤滑剤組成物。
  2. 【請求項2】 酸化防止剤が、ビスフェノール系酸化防
    止剤および/またはチオエーテル系酸化防止剤である請
    求項1記載の潤滑剤組成物。
  3. 【請求項3】 主成分がポリアルキレングリコールであ
    る潤滑剤が、40℃における粘度が1,000 〜30,000セン
    チストークスである請求項1または2記載の潤滑剤組成
    物。
  4. 【請求項4】 主成分がポリアルキレングリコールであ
    る潤滑剤が、40℃における粘度が1,000 〜30,000セン
    チストークスである高粘度潤滑剤と、200 〜1,000 セン
    チストークスである低粘度潤滑剤とよりなる混合潤滑剤
    である請求項1または2記載の潤滑剤組成物。
  5. 【請求項5】 混合潤滑剤が、高粘度潤滑剤/低粘度潤
    滑剤=80〜99/20〜1(重量比)で混合されたも
    のである請求項4記載の潤滑剤組成物。
  6. 【請求項6】 酸化防止剤が、潤滑剤の0.5重量%以
    上配合されたものである請求項1または2記載の潤滑剤
    組成物。
  7. 【請求項7】 さらに酸成分が配合されてなる請求項1
    〜6のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
  8. 【請求項8】 酸成分が、有機カルボン酸または無機リ
    ン酸あるいは無機リン酸塩の少なくとも一種よりなるも
    のである請求項2記載の潤滑剤組成物。
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