JP2781699B2 - ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物及びその製造法 - Google Patents

ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物及びその製造法

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JP2781699B2
JP2781699B2 JP4109930A JP10993092A JP2781699B2 JP 2781699 B2 JP2781699 B2 JP 2781699B2 JP 4109930 A JP4109930 A JP 4109930A JP 10993092 A JP10993092 A JP 10993092A JP 2781699 B2 JP2781699 B2 JP 2781699B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は改良されたポリアリーレ
ンサルファイド樹脂組成物及びその製造法に関する。更
に詳しくは、ポリアリーレンサルファイド樹脂に特定の
ポリオレフィン系樹脂及び分子内に炭素二重結合とエポ
キシ基を有する化合物を配合してなる耐衝撃性、耐熱性
に優れたポリアリーレンサルファイド樹脂組成物及びそ
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
電気・電子機器部品材料、自動車機器部品材料、化学機
器部品材料等には、高い耐熱性でかつ耐化学薬品性を有
し、なおかつ難燃性の熱可塑性樹脂が要求されてきてい
る。ポリフェニレンサルファイドに代表されるポリアリ
ーレンサルファイド樹脂もこの要求に応える樹脂の一つ
であり、対コスト物性比が良いこともあって需要を伸ば
している。しかしながら、この樹脂はナイロン、ポリカ
ーボネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレ
ート等のエンジニアリングプラスチックスと比較して、
靭性に乏しく、脆弱であるという重大な欠点を有してい
る。この問題を解決する手段としてガラス繊維や炭素繊
維等の繊維状強化材や他の充填剤を配合することによ
り、強度、剛性、靭性、耐熱性等の性能が大幅に改善さ
れることが知られている。しかし、かかる強化材等の配
合によってもなお、上記のエンジニアリングプラスチッ
クスに比べて脆弱であり、優れた耐化学薬品性、耐熱
性、難燃性を有するにもかかわらず、多くの用途への適
用が制限されている。
【0003】一方、柔軟性ポリマーとのポリマーブレン
ドは耐衝撃性を向上させる有力な方法であるが、柔軟で
かつ耐熱性、耐薬品性に優れるポリマーが少ないこと
や、ポリアリーレンサルファイド樹脂との相溶性が悪い
ため、成形品の外観が悪く、またポリアリーレンサルフ
ァイド樹脂の特徴を損なわずに靭性や耐衝撃性等の機械
的・物理的性質が改善されたポリアリーレンサルファイ
ド樹脂組成物を得るに至っていない。柔軟なポリマーの
1つとしてポリオレフィン系樹脂の配合が挙げられ、比
重の小さいポリオレフィン系樹脂をポリアリーレンサル
ファイド樹脂に配合することは、自動車部品等の軽量化
の要求にも応える一つの手法であるが、ポリアリーレン
サルファイド樹脂とポリオレフィン系樹脂との組み合わ
せは相溶性が悪く、成形品とした場合にその表面状態が
悪く、表面剥離等を生じる場合もある。その改良策とし
て、例えばエポキシ又は不飽和カルボン酸変成ポリオレ
フィン系樹脂を配合する方法が提案されている(特開昭
63−213562号公報、特開昭64−26670号
公報)が、実用面でまだ十分でなく、更に一層の靭性、
耐衝撃性等の向上が望まれている。
【0004】本発明は、かかるポリアリーレンサルファ
イド樹脂とポリオレフィン系樹脂との樹脂組成物におけ
る上記の如き問題点を解決し、靭性や耐衝撃性等の機械
的物性に優れ、良好な耐熱性、耐化学薬品性、難燃性等
を有し、軽量で表面状態も良い成形材料を提供すること
を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、これらの
課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリアリーレン
サルファイド樹脂と特定の限定されたポリオレフィン系
樹脂の溶融混練時に、分子内に炭素二重結合とエポキシ
基を有する化合物を配合することにより、ポリアリーレ
ンサルファイド樹脂と特定のポリオレフィン系樹脂の相
溶性が著しく改良され、ポリアリーレンサルファイド樹
脂の優れた特性をあまり損なうことなく上記の目的を満
足するポリアリーレンサルファイド樹脂組成物を提供し
得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、
本発明は、 (A)ポリアリーレンサルファイド樹脂99〜20重量部と (B)曲げ弾性率が5000kg/cm 2 以下のエチレン・プロピ
レン共重合体及び/又は曲げ弾性率が5000kg/cm 2 以下の
エチレン・プロピレン・ジエン共重合体1〜80重量部と
からなる樹脂成分 100重量部に対して、 (C)分子内に炭素二重結合とエポキシ基を有する化合
物を 0.1〜15重量部、 (D)ラジカル開始剤を(C)成分に対して0〜20重量
%、 (E)繊維状充填剤、粒子状充填剤、板状充填剤及び中
空状充填剤から選ばれるいずれか1種又はそれらの混合
物を(A)成分と(B)成分の合計 100重量部に対して
0〜 400重量部配合し、溶融混練してなることを特徴と
するポリアリーレンサルファイド樹脂組成物、並びに少
なくとも(A)、(B)、(C)成分及び必要に応じ
(D)成分を配合し、少なくとも30秒以上加熱溶融混練
処理することを特徴とするポリアリーレンサルファイド
樹脂組成物の製造法である。
【0006】本発明の組成物における(A)成分として
のポリアリーレンサルファイド樹脂は、主として繰り返
し単位-(-Ar-S-)-(ただしArはアリーレン基)で構成さ
れたものである。アリーレン基(-Ar-)としては、例え
ば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニ
レン基、置換フェニレン基(但し置換基はアルキル基、
好ましくはC1〜C5のアルキル基、又はフェニル基)、
p,p’−ジフェニレンスルホン基、p,p’−ビフェ
ニレン基、p,p’−ジフェニレンエーテル基、p,
p’−ジフェニレンカルボニル基、ナフタレン基などが
使用できる。この場合、前記のアリーレン基から構成さ
れるアリーレンサルファイド基の中で、同一の繰り返し
単位を用いたポリマー、即ちホモポリマーを用いること
ができ、又、組成物の加工性という点から、異種繰り返
し単位を含んだコポリマーが好ましい場合もある。ホモ
ポリマーとしては、アリーレン基としてp−フェニレン
基を用いた、p−フェニレンサルファイド基を繰り返し
単位とする実質上線状のものが特に好ましく用いられ
る。又、コポリマーとしては、前記のアリーレン基から
なるアリーレンサルファイド基の中で、相異なる2種以
上の組み合わせが使用できるが、中でもp−フェニレン
サルファイド基を主とし、m−フェニレンサルファイド
基を含む組み合わせが特に好ましく用いられる。この中
でp−フェニレンサルファイド基を60モル%以上、より
好ましくは70モル%以上含む実質上線状のものが、耐熱
性、成形性、機械的特性等の物性上の点から適当であ
る。この場合、成分の繰り返し単位がランダム状のもの
より、ブロック状に含まれているもの(例えば特開昭6
1−14228号公報に記載のもの)が、加工性が良
く、且つ耐熱性、機械的物性も優れており、好ましく使
用できる。本発明に使用する(A)成分としてのポリア
リーレンサルファイド樹脂は、比較的低分子量の線状ポ
リマーを酸化架橋又は熱架橋により溶融粘度を上昇さ
せ、成形加工性を改良したポリマーも使用できるが、2
官能性モノマーを主体とするモノマーから縮重合によっ
て得られる実質的に線状構造の高分子量ポリマーを使用
することもできる。得られる成形物の物性は後者の実質
的に線状構造ポリマーの方が高く好ましい場合が多い。
又、本発明のポリアリーレンサルファイド樹脂として
は、前記のポリマーの他に、モノマーの一部分として3
個以上の官能基を有するモノマーを混合使用して重合し
た分岐又は架橋ポリアリーレンサルファイド樹脂、又は
これを前記の線状ポリマーにブレンドした配合樹脂も用
いることができ好適である。
【0007】本発明で使用する成分(B)は曲げ弾性率
が5000kg/cm 2 以下のエチレン・プロピレン共重合体(以
下これをEPRという)及び/又は曲げ弾性率が5000kg
/cm 2 以下のエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(以
下これをEPDMという)である。これらは1種又は2
種以上の混合物で使用することが出来る。特に、上記
チレン・プロピレン共重合体やエチレン・プロピレン・
ジエン共重合体エラストマーは、後述の実施例に示す如
く、ポリエチレンやポリプロピレンの如き、他の一般的
なポリオレフィン系樹脂に比して靭性改善に著しい効果
がある。成分(B)の使用量は、目的とする物性によっ
て異なるが、ポリアリーレンサルファイド樹脂99〜20重
量部に対して1〜80重量部が好ましく、更に好ましくは
ポリアリーレンサルファイド樹脂95〜50重量部に対し5
〜50重量部である。EPRやEPDMが少ない場合は、
この樹脂組成物の靭性向上が十分得られない。また、
PRやEPDMが80重量部を越えると、熱変形温度が著
しく低下して好ましくない。
【0008】本発明は成分(C)として、分子内に炭素
二重結合とエポキシ基を持つ化合物、例えばエポキシ基
含有ビニル又はアリル化合物等を配合することに特徴が
ある。かかる成分(C)としては、溶融混練時に揮発放
散しないため、その沸点が少なくとも 150℃以上、好ま
しくは 200℃以上のものであり、例えばアリルグリシジ
ルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタ
クリレート、ビニル安息香酸グリシジルエステル、アリ
ル安息香酸グリシジルエステル、N−〔4−(2,3−
エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル〕ア
クリルアミド、N−ジアリルアミノエポキシプロパン、
ケイ皮酸グリシジルエステル、シンナミリデン酢酸グリ
シジルエステル、カルコングリシジルエーテル、エポキ
シヘキセン、ダイマー酸グリシジルエステル、エポキシ
化ステアリルアルコールとアクリル酸又はメタクリル酸
のエステル等が挙げられ、2種以上を併用することもで
きる。特に好ましくは、グリシジルメタクリレート、ビ
ニル安息香酸グリシジルエステル、アリル安息香酸グリ
シジルエステル、N−〔4−(2,3−エポキシプロポ
キシ)−3,5−ジメチルベンジル〕アクリルアミド、
N−ジアリルアミノエポキシプロパンである。成分
(C)の使用量は、ポリアリーレンサルファイド樹脂
〔成分(A)〕とポリオレフィン系樹脂〔成分(B)〕
の合計 100重量部に対して 0.1〜15重量部であり、好ま
しくは1〜10重量部である。添加する成分(C)の量は
その種類と目的とする組成物の物性用途によって異なる
が、過小の場合は、(A)、(B)成分の分散性の向上
が得られず、樹脂組成物の靭性向上効果が少なく、成形
品表面で剥離を生じる場合があり、好ましくない。又、
過大になると溶融粘度が上がり過ぎて成形加工上の不都
合やブリードアウトを生じる場合があり好ましくない。
【0009】本発明で用いる成分(D)のラジカル開始
剤は必ずしも必須とされる成分でないが、一層の靭性を
向上させるためには配合することが好ましい。成分
(D)のラジカル開始剤としては溶融混練温度において
フリーラジカルを発生するものであれば何ら限定される
ものではなく、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤等公知
のラジカル開始剤が使用できるが、分解温度が比較的高
い方が好ましく、分解半減期を1分とする温度が少なく
とも 130℃以上、好ましくは150℃以上のものが好適で
ある。かかる見地から好ましいラジカル開始剤として
は、例えば2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイ
ドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、
t−ブチルキュミルパーオキサイド、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘ
キシン−3、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)バレレート、2,3−ジメチル−2,3−ジ
フェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニ
ルブタン、2,3−ジメチル−2,3−ジ(p−メチル
フェニル)ブタン、2,3−ジメチル−2,3−ジ(ブ
ロモフェニル)ブタン等が挙げられ、2種以上を併用す
ることもできる。成分(D)のラジカル開始剤の使用量
は、成分(C)の分子内に炭素二重結合とエポキシ基を
持つ化合物に対して0〜20重量%であり、好ましくは
0.1〜10重量%である。添加するラジカル開始剤の量が
過大の場合は溶融混練処理時に発泡して不都合を生じる
場合がある。
【0010】尚、本発明の組成物は、予め成分(B)に
成分(C)、好ましくは成分(D)をも混合し、一旦溶
融混練して成分(B)を変性し、これに成分(A)、場
合により(E)成分も添加し加熱溶融混練処理しても良
く、斯くすることにより、靱性や耐衝撃性等の機械的物
性に優れたポリアリーレンサルファイド樹脂組成物が得
られる又、本発明では、成分(A)、(B)、
(C)、(D)を溶融混練する場合、必ずしも必須では
ないが、リン系、窒素系、スズ系等のエポキシ開環触媒
を少量添加するのが好ましく、斯くすることにより、溶
融混練時間が短縮でき、機械的物性に優れたポリアリー
レンサルファイド樹脂組成物が得られる。
【0011】次に本発明で用いる(E)成分の充填剤も
必ずしも必須とされる成分ではないが、機械的強度、耐
熱性、寸法安定性、電気的性質等の性能に優れた成形品
を得るためには配合することが好ましい。これは目的に
応じて繊維状、粉粒状、板状又は中空状の充填剤が用い
られる。繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベス
ト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ
繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、
硼素繊維、チタン酸カリ繊維、更にステンレス、アルミ
ニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などの無
機質繊維状物質が挙げられる。特に代表的な繊維状充填
剤はガラス繊維又はカーボン繊維である。尚、ポリアミ
ド、フッ素樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維
状物質も使用することができる。一方、粉粒状充填剤と
しては、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラス
ビーズ、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウ
ム、カオリン、タルク、クレー、硅藻土、ウォラストナ
イトの如き硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、アルミナの如
き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの
如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如
き金属の硫酸塩、その他炭化硅素、窒化硅素、窒化硼
素、各種金属粉末等が挙げられる。板状充填剤として
は、マイカ、ガラスフレーク、各種金属箔等が挙げられ
る。又、中空状充填剤としては、シラスバルーン、金属
バルーン、ガラスバルーン等が挙げられる。これら充填
剤の表面は、有機シラン、有機ボラン、有機チタネート
等を使用して表面処理を施すことが好ましい。これらの
無機充填剤は1種又は2種以上併用することができる。
繊維状充填剤、特にガラス繊維又はカーボン繊維と、粒
状又は板状充填剤の併用は特に機械的強度と寸法精度、
電気的性質等を兼備する上で好ましい組み合わせであ
る。無機充填剤の添加量は樹脂成分(A)と(B)の合
計 100重量部に対し 400重量部以下であり、これ以上で
あると成形加工性や靭性を害し好ましくない。特に好ま
しくは 250重量部以下である。尚、本発明の組成物には
その目的を逸脱しない範囲で、他の熱可塑性樹脂、例え
ばポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド
系樹脂、天然ゴム、合成ゴム等を補助的に少量配合する
ことも出来る。又、難燃剤、酸化防止剤、紫外線防止
剤、滑剤、離型剤、核剤、発泡剤、架橋剤、着色剤等の
添加剤を加えても差し支えない。
【0012】本発明組成物の調製法は種々の公知の方法
で可能であるが、少なくとも(A)、(B)、(C)の
3成分の共存下で、要すれば(D)成分も加えて加熱溶
融し、30秒以上混練処理することが望ましく、(E)成
分、その他の成分も同時に併用配合してもよく、又、別
に加えてもよい。具体的には、例えば(A)、(B)、
(C)成分、場合により(D)、(E)成分を予めタン
ブラー又はヘンシェルミキサーのような混合機で均一に
混合した後、1軸又は2軸の押出機に供給して溶融混練
処理し、ペレットを製造する。この際、(C)、(D)
成分の溶液を予め準備し、それを粉末状の(A)、
(B)成分に加えた後、乾燥して混合に供するのが好ま
しく、特に、配合量の少ない(D)成分は、この様な溶
液配合法の方が均一に分散し有効であるが、斯かる方法
に限定されるわけではなく均一に分散すれば如何なる方
法でもよい。又、(E)成分その他は溶融混練処理の途
中又は後で加えてもよい。又、本発明の組成物の調製に
は、予め(B)成分に(C)成分の一部又は全部を加
え、必要に応じ(D)成分をも加えて加熱溶融混練した
後、これを(A)成分に加えて更に溶融混練してもよ
い。この場合、(E)成分その他を配合する必要がある
時は、(A)成分と同時に添加してもよく、又、(A)
成分との溶融混練の途中又は後で加えてもよい。混練処
理温度は、樹脂成分が溶融する温度より5℃ないし 100
℃高い温度であり、特に好ましくは樹脂の融点より10℃
ないし60℃高い温度である。高温過ぎると各成分の分解
や異常反応を生じ好ましくない。又、混練処理時間は処
理温度及び(C)、(D)成分の種類と添加量によって
異なるが、少なくとも30秒以上15分以内、好ましくは1
〜10分である。
【0013】かかる本発明における樹脂組成物の靭性向
上効果について詳細な機構は十分解明されていないが、
ポリアリーレンサルファイド樹脂と特定のEPR又はE
PDMが(C)成分により結合して、ポリアリーレンサ
ルファイド樹脂とEPR又はEPDMの相溶性が向上
し、靭性の高い組成物が得られるものと解される。
【0014】
【発明の効果】上記の説明及び実施例から明らかな如
く、本発明のポリアリーレンサルファイド樹脂組成物は
各成分の分散性が向上し、ポリアリーレンサルファイド
樹脂の本来有する耐熱性、耐薬品性、難燃性等を保ち、
しかも著しく靭性、耐衝撃性が高い成形材料を提供する
ことができ、又、外観が良好な成形品を提供することが
できる。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1〜8、比較例1,2 (A)ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)(呉
羽化学工業株式会社製フォートロンKPS)70重量部、
(B)エチレン・プロピレン共重合体(EPR)(日本
合成ゴム株式会社製EP912P)30重量部、及び
(C)N−〔4−(2,3−エポキシプロポキシ)−
3,5−ジメチルベンジル〕アクリルアミド(C−
1)、場合により(D)2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(D−1)の10%ア
セトン溶液を加えて混合し溶剤を除去後、場合により更
に(E)ガラス繊維(直径10μm、長さ3mmのチョップ
ドストランド)を加え、表1に示す配合量としてヘンシ
ェルミキサーで5分間予備混合した。次いでこれをシリ
ンダー温度 310℃の押出機で溶融混練し(滞留時間約2
分間)、ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物のペレ
ットを作製した。次に、射出成形機でシリンダー温度 2
90℃、金型温度 150℃の条件でASTM試験片を成形
し、引張試験と衝撃試験及び熱変形温度(荷重18.6kg)
の測定を行った。又、その引張試験片の表面状態を肉眼
で観察して評価した。結果は表1にまとめて示す。
【0016】実施例9〜11、比較例3〜9 前記実施例及び比較例と同じ(A)PPS樹脂、(B)
EPR樹脂及び(C)N−〔4−(2,3−エポキシプ
ロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル〕アクリルアミ
ド(C−1)を表2に示す割合で配合し、以下前例と同
様に評価した。結果を表2に示す。
【0017】実施例12〜15、比較例10〜13 実施例4,9〜11、比較例1,3〜7に、更に表3に
示す如く(E)ガラス繊維を配合して前例と同様に評価
を行った。結果を表3に示す。
【0018】実施例16、比較例14〜20 (B)成分として実施例4のEPRをポリエチレン(P
E)(三井石油化学工業株式会社製ハイゼックス210
0J)、ポリプロピレン(PP)(住友化学工業株式会
社製ノープレンX101A)、ポリメチルペンテン(P
MP)(三井石油化学工業株式会社製TPX RT18
XB)、EPDM樹脂(日本合成ゴム株式会社製EP1
81SP)に代え、表4に示す割合で配合して実施例
4、比較例1と同様に行った。結果を表4に示す。
【0019】実施例1721 (C)成分として実施例2のC−1をグリシジルメタク
リレート(C−2)、N−ジアリルアミノエポキシプロ
パン(C−3)に代え、又、(D)成分としてD−1を
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3(D−2)、2,3−ジメチル−2,
3−ジフェニルブタン(D−3)、2,5−ジメチルヘ
キサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド(D−4)に
代え、実施例2と同様に行った。結果を表5に示す。
【0020】実施例2225 予め実施例1と同じエチレン・プロピレン共重合体(E
PR)100 重量部に対し、N−〔4−(2,3−エポキ
シプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル〕アクリル
アミド(C−1)を5重量部加え、更に2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(D
−1)をC−1に対し0.5 重量%加え、その混合物を一
旦シリンダー温度 200℃の押出機で溶融混練し、変性E
PRを作製した。次に、実施例1と同じPPSと変性E
PRを表6に示す割合で配合し、シリンダー温度 310℃
の押出機で溶融混練してポリフェニレンサルファイド樹
脂組成物のペレットを作製し、実施例1と同様に評価し
た。結果を表6に示す。
【0021】実施例26、比較例21〜22 比較例15、比較例17、実施例16 で用いたポリエチ
レン(PE)、ポリプロピレン(PP)、EPDM樹脂
に代えて、実施例23と同様にして変性した変性PE、
変性PP、変性EPDMを夫々調製し、表7に示す割合
でPPSと配合して、実施例23と同様に同様に行っ
た。結果を表7に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】
【表6】
【0028】
【表7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5:14 7:00) (56)参考文献 特開 昭58−154757(JP,A) 特開 昭62−11715(JP,A) 特開 平5−148425(JP,A) 特開 平4−283264(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 251/00 - 291/00 C08K 3/00 - 13/08 C08L 51/00 - 51/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリアリーレンサルファイド樹脂99
    〜20重量部と (B)曲げ弾性率が5000kg/cm 2 以下のエチレン・プロピ
    レン共重合体及び/又は曲げ弾性率が5000kg/cm 2 以下の
    エチレン・プロピレン・ジエン共重合体1〜80重量部と
    からなる樹脂成分 100重量部に対して、 (C)分子内に炭素二重結合とエポキシ基を有する化合
    物を 0.1〜15重量部、 (D)ラジカル開始剤を(C)成分に対して0〜20重量
    %、 (E)繊維状充填剤、粒子状充填剤、板状充填剤及び中
    空状充填剤から選ばれるいずれか1種又はそれらの混合
    物を(A)成分と(B)成分の合計 100重量部に対して
    0〜 400重量部配合し、溶融混練してなることを特徴と
    するポリアリーレンサルファイド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(D)ラジカル開始剤を(C)成分に対し
    て0.1 〜10重量%配合してなる請求項1記載のポリアリ
    ーレンサルファイド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(C)成分が沸点 150℃以上の化合物であ
    る請求項1又は2記載のポリアリーレンサルファイド樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】(D)成分が分解半減期1分を要する温度
    が少なくとも 130℃以上のラジカル開始剤である請求項
    1〜3の何れか1項記載のポリアリーレンサルファイド
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4の何れか1項記載の(A)、
    (B)、(C)成分及び必要に応じ(D)成分の共存下
    で、少なくとも30秒以上加熱溶融混練処理することを特
    徴とするポリアリーレンサルファイド樹脂組成物の製造
    法。
  6. 【請求項6】請求項1〜4の何れか1項記載の組成物の
    調製に際し、予め(B)成分に(C )成分を加え、必要
    に応じ(D)成分の共存下で一旦加熱溶融混練して
    (B)成分を変性し、これに(A)成分、場合により
    (E)成分も添加し加熱溶融混練処理することを特徴と
    するポリアリーレンサルファイド樹脂組成物の製造法。
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