JP2781599B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、冷凍空調用冷媒圧縮機等に用いられるスク
ロール圧縮機に係り、特に密閉容器内にスクロース圧縮
機と電動機を駆動軸に連結し、駆動軸を水平方向に収納
し、密閉容器室を高圧雰囲気に保持したスクロール圧縮
機の吐出ガス通路および全体構造に関する。

〔従来の技術〕

スクロール圧縮機と電動機を駆動軸に連結し、駆動軸
を水平方向にして密閉容器内に収納し、密閉容器室を高
圧雰囲気に保持したスクロール圧縮機は例えば、特開昭
61−87994号に記載されている。

フレームは２つの駆動軸支承部を有し、電動機は、ボ
ルトでフレームに取付られ、フレーム外周で密閉容器に
圧入固定されている。

吐出ガスは通路より電動機外周を通り、吐出管より圧
縮機外へ導びかれ、又各摺動部への給油は、フレームに
設けた軸受間に閉口する吸油パイプを介し密閉容器内の
油溜りと駆動軸外周部分を連通し、ここから駆動軸内に
設けた給油孔を介して、遠心力により各摺動部に給油し
ている。

又、電動機下部は常に油に浸漬されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかるに上記の構造では次の如き問題がある。

（１） 吐出ガスの一部は通路よりモータ外周を通り、
反スクロール圧縮機側に導びかれるが一部は直接、吐出
管より圧縮機外へ導びかれるため、モータの冷却がむず
かしい。

（２） 駆動軸をフレームに設けた２つの軸受で支承す
るため、駆動軸は各々の軸受の隙間と各々の軸受の距離
の比で傾きが生じ、駆動軸が傾くと、旋回スクロールに
設けた軸受、又フレームに設けた各々の軸受は片当りを
生じ極部面圧が大きくなり、軸受焼付に至る恐れがあ
る。

（３） ロータの重さをフレームに設けた各々の軸受で
支承するため、ロータが大きく重くなると、振れ回りを
生じ、軸受焼付に至る恐れがある。

（４） 給油構造は給油通路が複雑であり、又、駆動軸
の外周部から駆動軸内の給油孔へ油が遠心力によって入
らない場合があり給油が不安定になる恐れがある。

（５） 電動機が大きく重くなり、製品重量が、大きく
なると、製品重心がフレームと密閉容器の固定面内から
外れ、固定部にモーメントが加わり、固定面強さが低下
し、圧縮機の保持が出きなくなる恐れがある。又、固定
面強さを増すため、密閉容器とフレームの圧入代を大き
くとると、フレームに設けた各々の軸受の変形が大きく
なり軸受焼付に至る恐れがある。

本発明の目的は、電動機の冷却方法として、吐出ガス
による強制冷却を行い、駆動軸の傾きを押さえるため、
電動機の反スクロール圧縮機側に、駆動軸支承部を有す
るカバーを設け、該カバーに給油パイプを設け、油溜り
から油を導びき、フレームの両側でケーシングに固定す
ることにより、信頼性の高い二重ケーシングスクロール
圧縮機を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため本発明は、固定スクロール及
び旋回スクロールを有するスクロール圧縮機部と電動機
とを駆動軸によって連結し、該駆動軸を水平方向に配置
し、密閉容器内を高圧雰囲気とした横形のスクロール圧
縮機において、前記スクロール圧縮機部を保持すると共
に前記電動機を圧入固定し、水平方向両側端部が前記密
閉容器内に固嵌されたフレームと、前記電動機を覆うよ
うに前記フレームの端部に取付けられたモータカバー
と、前記駆動軸を支承するために前記フレーム及びモー
タカバーにそれぞれ設けられた支承部と、前記モータカ
バーに取付けられ、前記密閉容器下部に形成された油溜
り部から前記駆動軸端部に油を導びく給油パイプを有し
各摺動部へ油を導く給油手段と、前記固定スクロールと
密閉容器との間に設けられた第１の部屋と、前記密閉容
器の上部に設けられた吐出接続口と、前記吐出接続口に
連通し前記電動機の部分における前記フレーム外周部に
形成された第２の部屋と、前記フレームの圧縮機部側の
外周上部に形成され、前記第１の部屋と電動機部の一端
側とを連通する通路と、前記モータカバー上方に設けら
れた孔を介し、前記電動機の他端側と前記第２の部屋と
を連通する通路を備え、圧縮機部からの吐出ガスが第１
の部屋、電動機のローターとステーターとの間、及び第
２の部屋を通り、吐出接続口から吐出される構成とした
ことを特徴とするものである。

なお、モータカバーの駆動軸支承部軸受にスパイラル
状の油溝を設けることにより、油をより確実に各摺動部
に供給することができる。

また、モータカバーの下方にモーター室と油溜りを連
通する孔を設けることにより、モーター室内の油を油溜
りに戻すことができ、運転中に電動機部に油が浸漬する
のを防止できる。

さらに、前記密閉容器は、円筒状のケーシングとこの
ケーシングの両端を覆うように該ケーシングに取り付け
られたキャップとにより構成すると良い。また、前記両
側のキャップには圧縮機を固定するための足を取り付け
ることができる。

また、前記モータカバーに油溜り部から油を導びく、
給油パイプを設け、該給油パイプを介し各摺動部に送油
する構成を有する。

〔作用〕

駆動軸の回転により旋回スクロールに旋回運動を与え
る。これにより、吸入ガスは旋回スクロールと固定スク
ロールのラップと台板で形成される空間に入り該空間が
中心方向に移動するに従がいその容積を減少し、吐出ポ
ートから吐出ガスとして吐き出される。吐出されたガス
は、フレーム上方に設けられた通路からモーター室に入
り、モーターを強制冷却した後、吐出管接続口から圧縮
機外へ導びかれる。

一方給油は、差圧給油（吐出圧力−中間圧力）で行わ
れる。すなわち、モータカバーに設けた給油パイプから
油溜り部の油を導びき、駆動軸内の給油孔を通り各摺動
部に給油される。

また、ガス圧縮過程に生じるガス圧、旋回スクロール
の慣性力等の力は駆動軸を支承する軸受で支承する。こ
の際、駆動軸の傾きは、フレームに設けた旋回スクロー
ルに近い軸受とモータカバーに設けた軸受の各々の軸受
隙間を各々の軸受の距離の比で生じる。

また、圧縮機重心は、フレーム両側のケーシングとの
固定面内に収まるため、輸送中および運転中の加振に対
し、固定面にモーメントが加わることはない。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を第１図〜第６図により説明
する。

第１図は本発明の一実施例に係る横形の冷媒スクロー
ル圧縮機の全体構造を示す縦断面図である。また、第２
図は、第１図におけるフレーム上方に設けた通路の上面
図、第３図は、第１図におけるＡ−Ａ断面。第４図は軸
受の展開図。第５図は第４図におけるＢ−Ｂ断面。第６
図は第１図における左側面図である。第１図において、
密閉容器１内にはスクロール圧縮機構２とこれを駆動す
る電動機３とが水平に配置して収納され、容器１下方は
油溜り４となっている。

スクロール圧縮機構２は、旋回スクロール５、固定ス
クロール６、電動機３で駆動されるクランク軸である駆
動軸７、フレーム８、自転防止機構９よりなっている。

旋回スクロール５は台板（鏡板）5a上に渦巻き状のラ
ップ5bを有する。また台板5aの背面には駆動軸７のクラ
ンクピン部7aが挿入される軸受5cが設けられ、また台板
5aには圧縮途中のラップ5b空間と背圧室8cとを連通する
均圧孔5bが設けられている。

固定スクロール６も同様に台板6a上に渦巻き状のラッ
プ6bを有する。またラップ外周部には吸入孔6c、ラップ
中心部には吐出孔6dが設けられている。

ケーシング1aに固定されたフレーム８には駆動軸７を
支承する軸受8a,8a′、旋回スクロール５を固定スクロ
ール６との間で挾持する台座8b、旋回スクロール５に適
切な押し付け力を与えるための背圧室8c、ケーシング1a
との固定面8d,8e、ステータ3aを支持するフレーム壁8
f、このフレーム壁により出来る部屋8g、固定スクロー
ル６側と、部屋8gを連ぐ通路8h、モータカバー10の取付
面8iと固定スクロール６側と油溜り４を連ぐ通路8j、が
設けられている。

旋回スクロール５と固定スクロール６は互いにラップ
5b,6bを内側に向けて組み合わされ、固定スクロール６
とフレーム８の台座8bとにより旋回スクロール５を挾持
する。旋回スクロールの背面とフレームの間には旋回ス
クロールの自転を防止するための自転防止機構９が設置
されている。

駆動軸７は一端に前記軸受5cに支持されているクラン
クピン7aを有する。また駆動軸７内には給油孔7cが該軸
７の回転中心上に設けられている。この給油孔7cは一端
がクランクピン7aの端面に開口し、他端は、モータカバ
ー10に設けた軸受10aの端面に開口すると共に、給油孔7
fを介して軸受8a,8a′に開口している。

モータカバー10は、駆動軸７を支承する軸受10a、油
溜り４から油を導びく給油パイプ11、給油パイプ孔10b
と軸受10aの端面に開口する給油孔10c、電動機３のリー
ド線3cの取出孔10d、又このリード線保護ブッシュ12を
設け、このモータカバー10をフレーム８に取付けること
によって形成される部屋10eと吐出接続口Iiに開口する
通路10f、部屋10eと油溜り４を連ぐ孔10gが設けられて
いる。（第３図参照） また、給油パイプ11は給油パイプ孔10bに圧入締結さ
れ、第４図、第５図に示す通り軸受10aは、駆動軸回転
方向に対し、部屋10eに引き込む方向に油溝10a′を有す
る。

電動機３はステータ3a、ロータ3b、リード線孔から成
り、ステータ3aはフレーム8f部に圧入固定されている。
一方ロータ3bには、ウエイト3d、反ウエイト側には羽根
3eを有し、駆動軸７に圧入固定されている。

容器１はフレーム８を支持するケーシング1a、この両
側には、ケーシング1aを覆うようにキャップ1b,1cから
成り、キャップ1bにはアシ1d、吸入接続口1e、が設けら
れている。また、キャップ1cにはアシ1d、電源端子1f、
カバー1g,1hが設けられている。ケーシンゲ1aには吐出
接続口1iが設けられている。

なお第６図に示す通りアシ1dには、数個（図示３個）
の穴1d′があり、この穴を溶接で埋めることにより、キ
ャップ1b,1cに固定している。

次に前記構造のスクロール圧縮機の作用について説明
する。電動機３により駆動軸７が回転すると、クランク
ピン7aの回転運動および自転防止機構９の作用により旋
回スクロール５は自転することなく旋回運動を行う。こ
の結果、旋回スクロール５と固定スクロール６のラップ
5b,6b及び台板5a,6aで形成される空間は中心に移動しつ
つその容積を減少し、吸入孔6cより吸入したガスを圧縮
し、吐出孔6dより吐出する。

吐出されたガスは第１の部屋を構成するキャップ1bに
衝突し、油とガスに分離される。ガスは、フレーム８に
形成した通路8hを通り、部屋8gに導びかれる。一方、ロ
ータ3bに設けた羽根3eにより、ガスは拡散し冷却され、
電動機３のステータ3aとロータ3bで形成される通路を通
過することにより電動機を冷却した後、部屋10e、通路1
0fを通り、吐出接続口1iより吐出される。

スクロールが圧縮作用を行うと旋回スクロール５と固
定スクロール６を離そうとする力が作用するので、これ
を防止するため、旋回スクロールの背面の背圧室8c内の
圧力は、均圧孔5dにより、吐出圧力より低く、吸入圧力
より高い圧力（中間圧力）に保たれる。

これにより、旋回スクロールの軸受5cとフレームの軸
受8a′と背圧室8c側端面は上記中間圧力に保たれるの
で、油溜り４の油は、サイドカバー10に設けた給油パイ
プ11、給油孔10c、を介して駆動軸の給油孔7cの端部ま
で、吐出圧力と中間圧力の差圧によって導びかれるた
め、給油孔7c内は油で満たされ、更に給油孔7fを介し軸
受8a,8a′に給油される。軸受5cは、その端面に給油孔7
cを介して送られた油によって給油される。また軸受10a
は、その端面に給油孔10cを介して送られた油を、軸受1
0aに有する油溝10a′により引き込むことによって給油
される。

ここで吐出圧力は吐出孔6dの圧力は、吐出接続口1iに
向からに従がい圧力損失分だけ低下していく。すなわち
吐出孔6dの圧力＞部屋8g＞部屋10e＞吐出接続口とな
る。

したがって、キャップ1aにて衝突分離された油は、孔
8jから油溜り４に戻り、また、部屋8g,10eの油も孔10g
から油溜り４に戻る。

また、圧縮機の運転により生じる力は、駆動軸を支承
する各々の軸受で支持される。この場合、駆動軸の傾き
は、軸受8aと軸受10aの各々の軸受隙間と各々の軸受の
距離の比で生じる。本発明では、各々の軸受の距離を十
分に取ることができるため傾き量が小さく、片当りによ
る局部面圧が大きくならない。

更に密閉容器は、ケーシング1aにキャップ1b,1cをか
ぶせる構造であるため、キャップ1b,1cには各々の部品1
d,1e,1f,1gをあらかじめ取付けた状態で、ケーシング1a
と各々のキャップ1b,1cの自動溶接が可能である。すな
わち、溶接棒等が、各々の部品に当たり邪魔になること
なく溶接可能である。

〔発明の効果〕 本発明によれば、次の効果が得られる。

（１）モーターをフレームに圧入固定したことにより二
重ケーシング構造にしているので、特にモータから発生
する騒音を大幅に低減することができる。

（２）スクロール圧縮機部を保持すると共に電動機を圧
入固定し、水平方向両側端部が密閉容器内に固嵌された
フレームを備えているので、駆動軸を水平方向に配置し
た横形スクロール圧縮機の駆動軸の傾きを押さえること
ができ、軸受への片当たりによる局部面圧上昇を防止で
きる。また、フレームをその両側でケーシングに固定し
ているので、製品の安定性がよくなり生産性が向上する
とともに、信頼性の高い圧縮機が得られる。

（３）圧縮機部からの吐出ガスが第１の部屋、電動機の
ローターとステーターの間、及び第２の部屋を通り、吐
出接続口から吐出される構成としたので、電動機の冷却
を吐出ガスにより確実に行なうことができる。

（４）密閉容器内を高圧雰囲気とし、前記密閉容器下部
に形成された油溜り部から前記駆動軸端部に油を導びく
給油パイプを有する給油手段により各摺動部へ油を導く
構成としているので、横形のスクロール圧縮機における
給油構造を簡単に構成でき、安定した給油が可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の横形冷媒スクロール圧縮機
の全体構造を示す縦断面、第２図は、第１図におけるフ
レーム上方に設けた通路の上面図、第３図は第１図のＡ
−Ａ断面図、第４図は軸受の展開図、第５図は第４図の
Ｂ−Ｂ断面図、第６図は第１図の左側面図である。 １……密閉容器、２……スクロール圧縮機構、３……電
動機、４……油溜り、５……旋回スクロール、６……固
定スクロール、７……駆動軸、８……フレーム、９……
自転防止機構、10……モータカバー、11……給油パイ
プ、12……リード線保護ブッシュ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】固定スクロール及び旋回スクロールを有す
   るスクロール圧縮機部と電動機とを駆動軸によって連結
   し、該駆動軸を水平方向に配置し、密閉容器内を高圧雰
   囲気として横形のスクロール圧縮機において、 前記スクロール圧縮機部を保持すると共に前記電動機を
   圧入固定し、水平方向両側端部が前記密閉容器内に固嵌
   されたフレームと、 前記電動機を覆うように前記フレームの端部に取付けら
   れたモータカバーと、 前記駆動軸を支承するために前記フレーム及びモータカ
   バーにそれぞれ設けられた支承部と、 前記モータカバーに取付けられ、前記密閉容器下部に形
   成された油溜り部から前記駆動軸端部に油を導びく給油
   パイプを有し各摺動部へ油を導く給油手段と、 前記固定スクロールと密閉容器との間に設けられた第１
   の部屋と、 前記密閉容器の上部に設けられた吐出接続口と、 前記吐出接続口に連通し前記電動機の部分における前記
   フレーム外周部に形成された第２の部屋と、 前記フレームの圧縮機部側の外周上部に形成され、前記
   第１の部屋と電動機部の一端側とを連通する通路と、 前記モータカバー上方に設けられた孔を介し、前記電動
   機の他端側と前記第２の部屋とを連通する通路と、 を備え、 圧縮機部からの吐出ガスが第１の部屋、電動機のロータ
   ーとステーターとの間、及び第２の部屋を通り、吐出接
   続口から吐出される構成としたことを特徴とするスクロ
   ール圧縮機。