JP2781436B2 - オレフィン系重合体を含有する樹脂組成物 - Google Patents

オレフィン系重合体を含有する樹脂組成物

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JP2781436B2 JP50301189A JP50301189A JP2781436B2 JP 2781436 B2 JP2781436 B2 JP 2781436B2 JP 50301189 A JP50301189 A JP 50301189A JP 50301189 A JP50301189 A JP 50301189A JP 2781436 B2 JP2781436 B2 JP 2781436B2
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順一 中橋
至 名取
健一 樋上
信賢 落合
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、熱可塑性樹脂の改質剤或いは熱可塑性樹脂
組成物の混和剤として有用なオレフィン系重合体及びそ
れを含有する樹脂組成物に関する。さらに詳細には、数
平均分子量が500〜50,000であり末端にのみ酸無水基を
有するオレフィン系ポリマーからなるポリアミドの改質
剤、ならびにそれを混和剤として含有するポリアミド−
オレフィン系ポリマー樹脂組成物に関する。
背景技術 熱可塑性樹脂の改質剤として、他の特長を有する樹脂
を配合して、一般にポリマーアロイと呼ばれる樹脂組成
物を得ることはよく知られている。しかしながら、本質
的に非相溶な樹脂同士のアロイ化は、分散性の悪さに起
因する相分離などが起こり、改質の目的を達成できない
場合が多い。そこで、この目的を達成するために様々な
混和剤を添加することが試みられている。
たとえば、ポリアミド、ポリオレフィンという非相溶
な樹脂同士のアロイ化における混和剤としては、ポリオ
レフィンに不飽和カルボン酸又はその誘導体をラジカル
発生剤の存在下にグラフトさせた化合物や、オレフィン
系モノマーとカルボン酸又はその誘導体を共重合し、金
属塩にて中和した化合物や、ポリアミドとポリオレフィ
ンを共重合した化合物などが知られている。
しかしながら、従来公知の混和剤は、十分に満足でき
るものではなかった。
例えば、USP4,174,358にはポリアミドと接着部位(例
えばカルボン酸又はその誘導体)を有するエラストマー
を用いることが開示されている。しかし、このエラスト
マーは特定のモジュラスを有していなければならず、そ
の使用量も少量では効果がない。又、USP4,174,358で得
られてポリアミド樹脂組成物は加工時にゲル化や褐色へ
の変色が起きるという欠点がある。
また、特開昭60−1255および特開昭62−265349等に
は、ポリアミドとオレフィン系ポリマーの共重合体やブ
ロックポリマーの使用が開示されているが、これらの共
重合体やブロックポリマーは、製造し難く工業的に不利
であるばかりでなく、その効果も不十分である。
発明の開示 本発明の1つの目的は、ポリアミドの改質剤として有
用であり、又ポリアミドとオレフィン系ポリマーのアロ
イ化において改良された分散効率を与える混和剤として
有用なオレフィン系重合体を提供することである。
本発明の他の1つの目的は、ポリアミドと上記の末端
にのみ酸無水基を有するオレフィン系重合体との組成物
であって靭性、特に引張伸度が非常に改善されたポリア
ミド樹脂組成物を提供することである。
本発明の更に他の1つの目的は、上記の混和剤として
の末端にのみ酸無水基を有するオレフィン系重合体を含
有することによって分散効率が改良され、靭性(引張伸
度や耐衝撃性)、耐不凍液性(耐LLC性)、低吸水性、
ウェルド部強度等に優れたポリアミド−オレフィン系ポ
リマー系樹脂組成物を提供することである。
本発明でいう分散効率とは異種の樹脂のアロイ化にお
いて、ある樹脂中に他の樹脂が均一に微分散される効率
を意味する。アロイ化における均一な微分散とは、相剥
離に代表されるような表面外観の改良を示すばかりでな
く、諸物性の向上、耐薬品性の向上などにもつながるポ
リマーアロイの基本である。
本発明によれば、数平均分子量が500〜50,000であり
末端にのみ酸無水基を有するオレフィン系ポリマーが提
供される。
本発明者らは、このポリマーをポリアミドとブレンド
して用いるとポリアミド単独に比較して靭性、特に引張
伸度が非常に改善された組成物が得られること、又この
ポリマーをポリアミドとポリオレフィンのアロイ化にお
いて混和剤として用いると、ポリアミド中へのポリオレ
フィン、又はポリオレフィン中へのポリアミドの分散効
率が極めて改良され、高い靭性(引張伸度や耐衝撃
性)、低吸水性、高いウェルド部強度を有し、しかも成
形流動性の良い樹脂組成物が得られることを知見した。
即ち、本発明の数平均分子量が500〜50,000であり末端
のみ酸無水基を有するオレフィン系ポリマーは、ポリア
ミドとブレンドした場合、ポリアミド単独に比べて靭
性、特に引張伸度が非常に改良された樹脂組成物が得ら
れる。又、本発明の上記のオレフィン系ポリマーを成分
(A)とし、ポリアミド〔成分(B)〕及び成分(A)
のオレフィン系ポリマー以外のオレフィン系ポリマー
〔成分(C)〕とブレンドして3成分系組成物とした場
合、成分(A)は成分(B)と成分(C)との混和剤と
して働いて、成分(B)中への成分(C)、または成分
(C)中への成分(B)の分散効率が改善され、靭性
(引張伸度や耐衝撃性)、耐LLC性、低吸水性が格段に
改良された樹脂組成物が得られる。これら本発明の樹脂
組成物は、輸送機器(自動車、船舶等)、器具、工具、
電子、電気、スポーツ、レジャー分野等の構造部材、コ
ネクター、チューブ等の材料であるエンジニアリングプ
ラスチックスとして有用である。
したがって、本発明の他の態様によれば、 (A)数平均分子量が500〜50,000であり末端にのみ酸
無水基を有するオレフィン系ポリマー、 (B)ポリアミド、及び (C)成分(A)のオレフィン系ポリマー以外のオレフ
ィン系ポリマー からなる組成物であって、成分(A)、(B)及び
(C)の配合量をa、b及びc重量%とするとき、0.01
≦a≦50、5≦b≦99.99、0≦c≦94.99、a+b+c
=100であるポリアミド樹脂組成物が提供される。
本発明の数平均分子量が500〜50,000であり末端にの
み酸無水基を有するオレフィン系ポリマーについて次に
説明する。
このオレフィン系ポリマーは、主鎖に次式I、II又は
IIIの単位を繰り返し単位として有する重合体である。
〔式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基または (Q1−Q5は水素、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン
原子例えば臭素、塩素を示す)、R2は炭素数1〜12のア
ルキル基、R3はR1と同じ意味を有する。〕。繰り返し単
位(II)の例としては、プロピレン、1−ブテン、1−
ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、
1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等α−オレフ
ィンを付加重合した時に現われる繰り返し単位、スチレ
ン、3−メチルスチレン、2,4,5臭素化スチレン等スチ
レン系モノマーを付加重合した時に現われる繰り返し単
位が挙げられる。
繰り返し単位(III)の例としては、イソブテン、α
−メチルスチレン、α−メチル−2,4,5臭素化スチレン
等を付加重合した時に現われる繰り返し単位が挙げられ
る。
又、主鎖中に−CH=CH−を50重合%まで有していても
良い。主鎖中に−CH=CH−が50重量%以上有していると
耐熱性が悪く高温下で変色、ゲル化が起こるので好まし
くない。−CH=CH−は好ましくは20重量%以下、更に好
ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下で
ある。又、主鎖中に 等の結合を1重量%以下程度含有していても良い。これ
ら極性結合基の量が1重量%以上有すると混和剤として
の働きが悪くなる。
成分(A)の主鎖を構成する重合体の例としては、α
−オレフィンの単独重合体であるポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリヘキセン、
ポリオクテニレン、α−オレフィンの共重合体であるエ
チレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合
体、エチレン−プロピレン−1,6−ヘキサジエン共重合
体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノル
ボルネン共重合体、ジエン系モノマーの単独重合体であ
るポリブタジエン、共重合体であるブタジエン−スチレ
ン共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体の水素添加
物、1,2−ポリブタジエンの水素添加物、1,4−ポリブタ
ジエンの水素添加物、及び1,2−ポリブタジエンと1,4−
ポリブタジエンの混合体の水素添加物等を挙げることが
できる。
本発明のオレフィン系ポリマーが末端に有する酸無水
基は、分子内に少なくとも1つの酸無水基を有する分子
構造単位で存在する。酸無水基の存在する分子構造単位
には、例えば下記のものがある。
特に は好適な例である。
なお、本発明のオレフィン系ポリマーは、酸無水基を
末端にのみ有することが重要である。側鎖や主鎖中に酸
無水基が存在すると、得られた組成物の分散効率はあま
り改良されず、引張伸度、耐衝撃性、ウェルド部強度等
に優れた組成物は得られない。末端であれば片末端でも
両末端でもよいが、両末端に結合している方が好まし
い。
数平均分子量は500〜50,000である。
数平均分子量が500より低いと熱的に不安定となり、
組成物の加工時に揮発して発泡等の良くない状況を引き
起こしたり、また混和剤としての働きも成分(A)の主
鎖部分と成分(C)のオレフィン系ポリマーとのからみ
あいが不十分となり分散効率向上効果はある程度あるも
のの靭性(引張伸度や耐衝撃性)が十分出ないという結
果となる。好ましくは1,000以上である。
数平均分子量が50,000を超えると末端の酸無水基の濃
度が低くなるため混和剤としての働きが悪くなる。又、
分子量が高いと溶融粘性或いは溶液粘性が高くなるため
末端に酸無水基を導入する際の取り扱いが困難になる。
それ故、数平均分子量は好ましくは20,000以下、更に好
ましくは10,000以下、最も好ましくは6,000以下であ
る。
このオレフィン系ポリマーの製造方法に特に制限はな
い。例えば、まず末端基として を有するオレフィン系ポリマー(X)を作っておき、こ
れに酸無水基を有しかつ上記末端基と反応し得る官能
基、例えば 等を有する化合物(Y)を反応せしめることにより目的
とするオレフィン系ポリマーを製造することができる。
その際、酸無水基の代りに近接した2つのカルボン酸基
と上述の官能基を有する化合物(Y′)をオレフィン系
ポリマー(X)と反応せしめ、その後ジカルボン酸を閉
環し酸無水基とする方法もとり得る。
末端に反応性基を有するオレフィン系ポリマー(X)
はアニオン(カチオン)リビング重合又はラジカル重合
で得られる。例えばアニオン(カチオン)リビング重合
の例としては、ジエン系モノマー例えば1,3−ブタジエ
ン、1,3−ペンタジエン、イソプレン等をナトリウムナ
フタレン等の触媒を用いて重合を進め、エチレンオキサ
イドを添加し末端に反応させて−OH基を導入した後、水
素添加する方法、同じくジエン系モノマーをナトリウム
ナフタレンを用いて重合を進め炭酸ガスを末端に反応さ
せて を導入し、水添する方法、イソブチレンを塩化クミルと
三塩化ホウ素を用いてカチオン重合し、末端の塩素原子
をtert−ブチルアルコールのカリウムアルコラート、テ
トラヒドロフランを用いて引きぬくことにより末端に−
CH=CH2を作る方法等が挙げられる。
ラジカル重合の例としてはジエン系モノマーを過酸化
水素を反応開始剤としてラジカル重合し末端基が−0Hの
ポリマーを得た後水添する方法、ジエン系モノマーを、
アゾビスイソブチロニトリルとビス−4−アミノフェニ
ルジスルフィドを開始剤としたラジカル重合により重合
した後水添して−NH2末端基を有するポリマーを得る方
法が挙げられる。
オレフィン系ポリマー(X)と酸無水基を有する化合
物(Y)との反応は、ポリマー(X)の末端基である−
OH、−NH2と化合物(Y)が有する との反応、ポリマー(X)の末端基である−CH=CH2
化合物(Y)の−CH=CH2との反応、ポリマー(X)の
−COOHと化合物(Y)の−OHとの反応等である。この反
応のうち、特に好適なものについて以下に詳しく述べ
る。
即ち、本発明の末端に酸無水基を有するオレフィン系
ポリマーは、例えば、次の化学構造式(イ) で示される化合物を一般式(ロ) (但し、数平均分子量は500〜20,000であり、m:nは9
0:10である。) で示される化合物と反応させることにより合成される。
この反応方法について次に詳しく述べる。
反応系中には、副生してくる塩酸の受容体が必要であ
り、アミン類、ピリミジン類、ピリジン類などのような
塩基性物質がこの目的のために用いらるが、特にピリジ
ン、トリエチルアミンが好適である。その量は発生して
くる塩酸の量に対応する量であり、化合物(イ)と同当
量の量を用いる。
反応は上述した塩基性物質の存在下、有機溶媒中で行
われる。
本発明で用いられる有機溶媒としては、化学構造式
(イ)で示される化合物と一般式(ロ)で示される化合
物の共通溶媒が好ましい。例えば、トルエン、キシレ
ン、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルエステル、テトラ
ヒドロフランなどを溶媒として用いることができる。そ
の量は化合物(ロ)の約1〜2倍である。
反応時間は通常1〜30時間、好ましくは3〜10時間程
度である。反応温度は−20〜60℃の範囲が好ましく、特
に0〜30℃の範囲が好ましい。圧力については特に制限
されないが、常圧で行うのが便利である。又、原料の仕
込比は、化合物(ロ)1当量に対して化合物(イ)を2
〜5当量である。
反応終了後、副生してくる塩酸塩をロ別し、反応溶媒
を留去した後に、さらにクロロホルムに代表されるよう
なハロゲン系溶媒に反応混合物を溶解し、残留している
塩酸塩及び未反応の化学構造式(I)で示される化合
物、さらにこの化合物の加水分解物などの不純物をシリ
カゲルに代表されるような濾過剤を用いて十分に除去し
て精製することが好ましい。この精製方は、上述した不
純物を十分に除去できる有利な方法である。
精製が十分でない場合には、製造された共重合体が、
着色、物性の低下を起こすなど、極めて不都合な結果を
招く。
一般式(ロ)で示される化合物は、例えば、アニオン
リビング重合やラジカル重合などで作ることができる。
ジエン系モノマー、例えば、1,3−ブタジエン、1,3−
ペンタジエン、イソプレンなどを、適量のテトラヒドロ
フラン、ジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒や、シ
クロヘキサン、n−ヘキサンのような炭化水素系溶媒に
溶解し、モノマー1当量に対して0.0001〜1当量のナト
リウムナフタレン、リチウムナフタレン、1,2−ジリチ
オ−1,2−ジフェニルエタン、ジヒドロナフタレンジリ
チウム、金属ナトリウム、金属リチウム等の重合触媒を
用いて、反応温度−80℃〜25℃程度で数時間〜数十時間
反応させた後に、エチレンオキシド、プロピレンオキシ
ド、スチレンオキシド等で末端を停止し、更にパラジウ
ムカーボン等の水素添加触媒を用いて水素添加反応を行
う方法により化合物(ロ)を作ることができる。また上
記ジエン系モノマー1当量に対し、0.001〜1当量の過
酸化水素を反応開始剤として、ベンゼン、トルエンなど
のような炭化水素系溶媒中、0〜80℃程度の温度で、数
時間〜数十時間ラジカル重合を行った後に、上記方法と
同様にして水素添加する方法によっても化合物(ロ)を
作ることができる。しかし、これらの方法に限定される
ものではない。
本発明でいうポリアミドとは、アミド結合を有する線
状ポリマーであり、有機ジアミンと有機ジカルボン酸と
から重縮合して得られるもの、アミノカプロン酸を重縮
合して得られるもの、ラクタムを開環重合して得られる
ものがある。有機ジアミンの例としては、テトラメチレ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレン
ジアミン、メタキシリレンジアミン等が挙げられ、有機
ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデ
カン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられ
る。アミノカプロン酸としては、11−アミノウンデカン
酸、ラクタムとしてはε−カプロラクタム、ω−ラウロ
ラクタク等が挙げられる。ポリアミドはこれらの共重合
体であっても良いし、ポリマーブレンドであっても良
い。
具体的にポリアミドを例示すると、ナイロン6、ナイ
ロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイ
ロン612、ナイロン46、ナイロン1212、ナイロン6T66
(Tはテレフタル酸を示す)、ナイロン6T6I(Iはイソ
フタル酸を示す)、ナイロン6T66612等が挙げられる。
数平均分子量は500〜100,000程度であり、通常10,000〜
50,000のものが多く用いられる。硫酸相対粘度としては
1.5〜8.0、好ましくは2.0〜5.0である。数平均分子量
は、ポリアミドの−NH2及び−COOHの両末端基量を各々
aグラム当量/g、bグラム当量/とすると、2/(a+
b)で与えられる。末端基の内アミノ末端基は存在する
方が好ましく、10ミリグラム当量/kg以上、好ましくは4
0ミリグラム当量/kg以上、更には70ミリグラム当量/kg
以上が好ましい。アミノ末端基が多いほど組成物の衝撃
性は向上する傾向にありこの点では好ましいが、成形流
動性は悪くなる傾向にあるので上限は約110ミリグラム
当量/kgが好ましい。これを越えるとポリアミドの分子
量が低くなり、機械的物性が低下する。
成分(C)としてのオレフィン系ポリマーは、成分
(A)としてのオレフィン系ポリマー以外のオレフィン
系ポリマーであり、α−オレフィンの単独重合体、2種
類以上のα−オレフィンの共重合体、α−オレフィンを
主成分とし他のジエンモノマー、極性ビニルモノマー、
スチレン系モノマーを共重合成分とする共重合体、ジエ
ン系モノマーの単独重合体及びこれを水素添加したも
の、及びジエンモノマーとスチレン系モノマーの共重合
体及びこれを水素添加したものを含む。
α−オレフィンモノマーとしてはエチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペン
テン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−
ドデセン等が例示でき、ジエンモノマーとしては1,4−
ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボル
ナジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等の非共
役ジエン、ブラジエン、イソプレン、ピペリレン等の共
役ジエン等を挙げられ、極性ビニルモノマーとしては、
アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げ
られ、スチレン系モノマーとしてはスチレン、α−メチ
ルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
α−オレフィンの単独重合体としてはポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリブテン、ボリペンテン、ポリヘキ
セン、ポリオクテニレン等が挙げられ、α−オレフィン
の共重合体としてはエチレン−プロピレン共重合体、エ
チレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1,6
−ヘキサジエン共重合体、エチレン−プロピレン−5−
エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン−ア
クリル酸共重合体の金属中和物、エチレン−メタクリル
酸−メタクリル酸イソブチル共重合体の金属中和物等が
挙げられる。
ジエン系モノマーの単独重合体としてはポリブタジエ
ンを挙げることができ、また共重合体としてはブタジエ
ン−スチレン共重合体、ブタジエン−スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体、ジエン系モノマーの共重合体の水
素添加物としてはブタジエン−スチレン共重合体の水素
添加物、ジエン系モノマーの単独重合体の水素添加物と
しては1,2−ポリブタジエンの水素添加物、1,4−ポリブ
タジエンの水素添加物、及び1,2−ポリブタジエンと1,4
−ポリブタジエンの混合体の水素添加物等を挙げること
ができる。
水素添加したものの場合、不飽和度は20重量%以下が
好ましい。更に好ましくは10重量%以下、更には5重量
%以下である。水素添加が不十分で不飽和度が高いと熱
的に不安定で加工時に変色やゲル化を起こす。
成分(C)としてのオレフィン系ポリマーの数平均分
子量は20,000〜1,000,000である。上限は好ましくは50
0,000、更に好ましくは200,000、最も好ましくは100,00
0である。下限は好ましくは30,000、更に好ましくは40,
000である。分子量が高すぎると溶融粘性が高くなり分
散が悪くなって靭性が高くならない。分子量が低すぎる
と熱的に不安定である。
本発明における成分(C)のオレフィン系ポリマーは
その一部又は全てが、主鎖又は側鎖に酸無水基を導入す
ることによって変性されていても良い。かかる変性オレ
フィン系ポリマーを用いると、得られた組成物の靭性、
特に耐衝撃性が向上する。また、少量の成分(A)によ
り、分散性が向上する。成分(C)に用いることのでき
る酸無水基変性オレフィン系ポリマーの酸無水基の好ま
しい含有量の下限は0.01重量%、更に好ましくは0.1重
量%、最も好ましくは0.5重量%である。上限は好まし
くは5重量%、更に好ましくは2重量%である。酸無水
基の含有率が高すぎると組成物の成形流動性が低下し、
射出成形に不向きとなったり、変色やゲル化の原因とな
る。低すぎると靭性向上効果が少ない。
酸無水基を有するものと有さないものとの配合重量比
は特に限定されないが、好ましくは50/50〜3/97、更に
好ましくは20/80〜5/95、最も好ましくは15/85〜10/90
である。酸無水基を有するものが多いと成形流動性が低
下し、射出成形に不向きとなったり、変色、ゲル化等の
問題が出る。
成分(C)のオレフィン系ポリマーとして用いること
のできる主鎖又は側鎖に酸無水基が導入された変色オレ
フィン系ポリマーの製造方法としては、上記の無変性オ
レフィン系ポリマーに不飽和酸無水物、例えば、無水マ
レイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等を付加
する方法、オレフィン系ポリマーを重合する際に上述の
不飽和酸無水物を共重合させるか、もしくは不飽和ジカ
ルボン酸、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸等を共重合し、しかる後、脱水して酸無水基を形成
する方法がある。なかでも、オレフィン系ポリマーに不
飽和酸無水物を付加させる方法が好ましい。付加する方
法には、例えばオレフィン系ポリマーと上記の不飽和カ
ルボン酸無水物とを溶融混練することで付加させる方法
がる。この場合、ラジカル発生剤の存在は付加反応を促
進する。不飽和カルボン酸無水物は無水マレイン酸が好
ましい。また、オレフィン系ポリマーと不飽和カルボン
酸無水物とラジカル発生剤を溶媒に溶解して付加反応さ
せる方法もある。
本発明の分散性が改良された樹脂組成物には、成分
(A)及び(B)からなる組成物と、成分(A)、成分
(B)及び成分(C)からなる組成物がある。成分
(A)及び成分(B)からなる組成物は、ポリアミド単
独に比べて靭性、特に引張伸度が非常に改良される。成
分(B)を主体として成分(A)および成分(C)を配
合した組成物は、ポリアミド単独に比べて耐衝撃性や耐
LLC性、低吸水性が改良された組成物となる。また、成
分(C)を主体として成分(A)及び成分(B)を配合
した組成物は、オレフィン系ポリマーに比べ、耐熱性や
ガスバリア性に優れる。
本発明の組成物において、成分(A)、(B)及び
(C)の配合量をa,b及びc重合%とすると、0.01≦a
≦50、5≦b≦99.99、0≦c≦94.99、a+b+c=10
0である。
上記したように、ポリアミドの靭性、特に引張伸度を
向上させる目的及び溶融粘性を上げてチューブ押出性や
ブロー成形加工の加工性を良くする目的の場合、成分
(C)の量をゼロにして成分(A)と(B)のみからな
る組成物でも良く、成分(A)の配合量の下限は0.01重
量%、好ましくは0.1重量%、更に好ましくは1重量%
である。上限は50重量%、好ましくは20重量%、更に好
ましくは10重量%である。成分(A)が0.01重量%以下
だと十分引張伸度が改善されず溶融粘性が上がらない。
成分(A)が50重量%より多いとポリアミドの持つ剛性
や耐薬品性、耐熱性が損なわれ、又、溶融粘性が高くな
り過ぎる。
また、本発明によれば、耐衝撃性、耐LLC性、低吸水
性に優れた成分(A)、(B)及び(C)の3成分系組
成物が提供される。
3成分系の場合、成分(A)は下限は0.01重量%、好
ましくは0.5重量%、更に好ましくは3重量%である。
上限は好ましくは20重量%、更に好ましくは5重量%で
ある。3成分系組成物の場合、成分(A)は成分(B)
と成分(C)との混和剤として働いて、成分(B)中へ
の成分(C)、または成分(C)中への成分(B)の分
散効率が改善される。0.01重量%以下だと混和剤として
の働きが不十分となり組成物が加工時に相剥離し易い。
成分(A)は混和剤として用いる場合あまり多くなくて
よく、20重量%までが好ましい。多く配合しすぎてもそ
れだけの効果がなく経済的に効率が悪い。
ポリアミドの引張伸度、耐衝撃性を改良する目的にお
いては、成分(C)の下限は好ましくは5重量%、更に
好ましくは15重量%、上限は50重量%、好ましくは30重
量%である。成分(C)が多すぎるとポリアミドの耐熱
性や機械的強度が損なわれる。成分(C)が少ないと目
的とする効果が小さい。また、この場合、成分(C)の
少なくともその一部に酸無水基変性オレフィン系ポリマ
ーを用いることが好ましい。
成分(B)は、下限は好ましくは50重量%、更に好ま
しくは70重量%、上限は好ましくは95重量%、更に好ま
しくは85重量%である。成分(B)が少なすぎるとポリ
アミド本来の機械的性質や耐熱性が損なわれる。成分
(B)が多すぎると引張強度、耐衝撃性の向上が十分で
ない。
ポリアミドの低吸水性化、並びに耐LLC性を改良する
目的においては成分(C)が20重量%から60重量%であ
ることが好ましい。成分(C)が20重量%より少ないと
耐LLC性の改良効果が少なく、60重量%より多いとポリ
アミド本来の持っている耐熱性、剛性が損なわれる。
又、成分(B)については、40重量%より少ないとポリ
アミドの耐熱性、剛性が損なわれ、80重量%より多いと
耐LLC性改良効果が少ない。
ポリオレフィンの耐熱性や流体(例えば酸素、ガソリ
ン等の気体や液体)のバリヤー性を改良する目的におい
ては成分(B)が5重量%から40重量%であることが好
ましい。5重量%より少ないと、耐熱性、ガスや液体の
バリヤー性の改良効果が少なく、40重量%より多いと、
吸水性が増加し、好ましくない。又、成分(C)につい
ては、60重量%から94.99重量%であることが好まし
い。60重量%より少ないとポリオレフィン本来の特性が
失われ好ましくなく、94.99重量%より多いと、耐熱
性、ガスや液体のバリヤー性の改良効果が少ない。
本発明の成分(A)、(B)及び(C)のブレンド方
法は溶融混練することが好ましい。ウェルナーフライデ
ラー社のZSK2軸押出機、池貝鉄工社の2軸押出機、ブス
社のコニーダーや多軸混練機等が例示される。多成分は
全て押出機のホッパーから供給しても良いし、いくつか
の成分をサイドフィードとしてよい。
本発明の組成物は、更に吸水性を下げたり、寸法安定
性を向上させたり、剛性を高めたり、熱時剛性を上げた
りする目的で、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレ
ンサルファイド、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポ
リカーボネート等の熱可塑性樹脂と混ぜて用いることも
できる。その配合量は、本発明組成物100重量部に対し1
00重量部迄である。
また、ポリアミド用、ポリオレフィン用の周知の添加
剤を添加することができ、その量はこの分野で通常用い
る量範囲であればよい。添加剤としては、銅化合物、ア
ルカリ金属化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ヒ
ンダードアミン化合物等の熱安定剤、ステアリン酸金属
塩、モンタン酸金属塩、モンタン酸エステル、ビスアミ
ド化合物、シリコン系化合物等の滑剤離型剤、ガラス繊
維、タルク、ウォラストナイト、カオリン、マイカ、チ
タン酸カリウム等の繊維状、非繊維状の無機フィラー、
炭素繊維、アラミド繊維等の有機補強剤、難燃剤、顔
料、染料、紫外線吸収剤、結晶核剤等が挙げられる。
上記したように、本発明によれば、ポリアミド〔成分
(B)〕に成分(A)を配合することにより、ポリアミ
ドの靭性が大巾に向上する。即ち、引張伸度、ヒンジ特
性等が大きく向上する。また、溶融粘度が大きくなるの
でチューブの押出加工やブロー成形が可能となる。更
に、成分(C)を配合することで、耐衝撃性が大巾に向
上し、同時に吸水率も低くなる。又、耐LLC性も向上す
る。このものももちろんチューブ用に適した材料であ
る。また、ポリオレフィン〔成分(C)〕を主体として
ポリアミド〔成分(B)〕と成分(A)を配合すること
によりポリオレフィンの耐熱性、ガスや液体のバリア性
が大巾に向上する。本発明を実施するための最良の形態 以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によ
って限定されるものではない。
用いた原料及び試験方法を先ず示す。
(1)原料 Ny66 ナイロン66。数平均分子量は約17000で末端NH2基を46
mg当量/kg有する。
Ny6T66 ナイロン6Tとナイロン66の共重合体。6T成分対66成分
の重量比36:66。硫酸相対粘度(JIS K6810、98%H2S
O4)2.65。
Ny6T66612 ナイロン6Tとナイロン66とナイロン612の共重合体。6
T成分対66成分対612成分の重量比40:55:5 硫酸相対粘度(JIS K6810、98%H2SO4)2.67。
THPB−1 実施例1で得られた末端トリメリット酸無水物変性水
素添加ポリブタジエン。
THPB−2 実施例2で得られた末端トリメリット酸無水物変性水
素添加ポリブタジエン。
HTR−1 水添したスチレン−ブタジエン ブロックコポリマ
ー、分子量5万、スチレン成分32重量%。引張モジュラ
スは370kg/cm2
HTR−2 水添したスチレン−ブタジエン ブロックコポリマ
ー、分子量5万、スチレン成分18重量%。引張モジュラ
スは38kg/cm2
MHTR−1 上記HTR−1に無水マレイン酸を1.8重量%付加したも
の。引張モジュラスは370kg/cm2
MHTR−2 上記HTR−2に無水マレイ酸を1.4重量%付加したも
の。引張モジュラスは40kg/cm2
MHTR−3 水添したスチレン−ブラジエン ブロックコポリマー
であり、分子量5万、スチレン成分42重量%であって無
水マレイン酸を1.8重量%付加したもの。引張モジュラ
スは2,300kg/cm2
EPDM エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンター
ポリマー、日本国三井石油化学工業(株)製、三井エラ
ストマーK 9720。
EP エチレン−プロピレン共重合体、日本国三井石油化学
工業(株)製タフマーP0180。
MEP 上記EPに無水マレイン酸を1.8重量%付加したもの。
MEPDM 上記EPDMに無水マレイン酸を1.8重量%付加したも
の。
上記において、〜は成分(B)に対応し、〜
は成分(A)に対応し、〜は成分(C)に対応す
る。
(2)試験方法 アイゾット衝撃試験 アイゾット衝撃試験(ノッチ付き)は、 ASTM D256に従い試験した。
曲げ試験 ASTM D790に従い試験した。
引張試験 ASTM D638に従い試験した。
分散粒径 曲げ試験片を液体窒素で冷却し、割断し、断面を熱キ
シレンでエッチングした後、走査電子顕微鏡で観察し
た。
相剥離 厚さ1mmのダンベル片を射出成形し、成形品表面を観
察した。
混和性 引張試験終了後の試験片の破断面観察により、剥離状
態を評価した。
流動性 溶融時の流動性は、シリンダー温度290℃、射出圧536
kg/cm2、金型温度80℃で第1図に示す金型で成形を行っ
て測定する。第1図において、溶融した樹脂がスプルー
開口部1から第1図右側の蛇形金型(巾6.0mm、厚さ1.5
mm)内に流れ込み、ゲート2を通って矢印の方向へ流れ
てゆく。樹脂は金型にしだいに温度を奪われ、ある所ま
で流れると固化しそれ以上流れなくなる。この時、ゲー
ト2から矢印の方向へ流れていった樹脂の先端までの長
さを流動長とし流動性の尺度とする。
ウェルド部強度 溶融樹脂が、向流衝突しウェルド部を形成させるよう
にした金型を用いて、ウェルド部試験片を作成した。当
該試験片の引張強度を測定した。
実施例1 (両末端に酸無水基を有するオレフィン系ポリマーの製
造) 両末端に水酸基を有する水素添加ポリブタジエン〔NI
SSO−PB、GI−3000、日本国日本曹達(株)製〕300g、
ピリジン15.8gを酢酸エチルエステル400ml中に溶解す
る。この混合液を冷却した後、乾燥窒素雰囲気下、無水
トリメリット酸クロライド42.1gを酢酸エチルエステル2
00mlに溶解した溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了
後室温まで昇温し、さらに8時間撹拌した。沈殿してく
る不溶物を濾別し、濾液をロータリーエバポレーターに
て濃縮し、残渣をクロロホルム500mlに溶解し、不溶物
を濾別後、濾液をシリカゲルカラムに通し、精製を行っ
た。溶媒をロータリーエバポレーターにて留去した後、
得られた生成物は微黄色の粘調液状ポリマーであった。
この化合物は次式 (式中、末端基定量から求めた数平均分子量は4,860で
あった。それ故、lは約8、m、nは1H−NMRによりm/n
≒9/1であることが確認された。) で示され、収量は295gであった。
薄層クロマトグラフィーを用いて、生成物中には、不
純物である遊離の無水トリメリット酸、無水トリメリッ
ト酸クロライド、ピリジンが存在しないことを確認し
た。
生成物のIRスペクトルを示す第2図には、酸無水基の
C=0伸縮振動が1850cm-1、1780cm-1付近に観察され、
さらにエステルのC=0伸縮振動が1720cm-1付近に、C
−0伸縮振動が1300〜1220cm-1の領域に観察され、酸無
水基の存在とともにエステル結合の存在が確認され、本
発明の末端に酸無水基を有するオレフィン系ポリマーで
あることがわかる。また、比較として示した原料の両末
端に水酸基を有する水素添加ポリブタジエンのIRスペク
トル(第3図)に観察される水酸基の吸収が完全に消失
している。
実施例2 両末端に水酸基を有する水素添加ポリブタジエンとし
て日本国日本曹達(株)製NISSO−PB GI−1000を用い
て、実施例1と同様にして両末端にトリメリット酸無水
物基を有する水添ポリブタジエンを作った。末端基定量
から求めた数平均分子量は1,520であり、収量は290gで
あった。
実施例3 両末端に水酸基を有する水素添加ポリブタジエン〔NI
SSO−PB、GI−3000、日本国日本曹達(株)製〕300g、
ピリジン15.8gを酢酸エチルエステル400ml中に溶解す
る。この混合液を氷冷した後、乾燥窒素雰囲気下、無水
トリメリット酸クロライド21.1g、テレフタル酸クロラ
イド10.2gを酢酸エチルエステル200mlに溶解した溶液を
1時間かけて滴下した後、実施例1と同様の操作を行っ
た。
得られた生成物は微黄色の粘稠な液状ポリマーであ
り、収量は292gであった。数平均分子量は約9,000であ
り、IRスペクトルにより、酸無水基及びエステル結合の
存在を確認した。
実施例4 両末端に水酸基を有する水素添加ポリブタジエン〔NI
SSO−PB、GI−3000、日本国日本曹達(株)製〕300g、
ピリジン15.8g、無水トリメリット酸クロライド3.6g、
テレフタル酸クロライド16.9gを実施例3と同様にして
反応させた。
得られた生成物は微黄色の粘稠な液状ポリマーであ
り、収量は296gであった。数平均分子量は約20,000であ
り、IRスペクトルにより、酸無水基及びエステル結合の
存在を確認した。
参考例1 末端に官能基を有さない水素添加ポリブタジエン〔NI
SSO−PB、BI−3000、日本国日本曹達(株)製〕56.0g、
無水マレイン酸6.0gを乾燥窒素気流下120℃に加熱し
た。無水マレイン酸が完全に溶解した後、少量のアセト
ンに溶解した過酸化ベンゾイル2.4gをゆっくりと加え、
120℃で5時間反応させた。
反応終了後、n−ヘキサンに溶解し、シリカゲルカラ
ムにて未反応の無水マレイン酸を除去した後、ロータリ
ーエバポレータにて溶媒を留去すると得られた生成物は
微黄色の液状ポリマーであった。
この化合物は次式 であると考えられ、酸無水基は末端ではなく主鎖中に付
加されている。収量は54gであった。数平均分子量は4,6
00であった。IRスペクトルにより酸無水基の吸収を確認
した。
この化合物をナトリウムメトキシドにより滴定したと
ころ無水マレイン酸の付加率は6.0重量%であった。
実施例5〜15、比較例1〜3 Ny66、Ny6T66、Ny6T66612とTHPB−1を池貝鉄工社製P
CM302軸押出機を用いて溶融混練し、ペレタイズした
後、射出成形機で成形し評価した。評価結果を第1表に
示す。ポリアミドにTHPBを添加すると引張伸度が向上す
ることが判る。THPBの添加による成形流動性の低下は小
さい。
実施例16〜28、比較例4〜5 Ny66、THPB−1、HTR−2を実施例5と同様にして溶
融混練し、評価した。第2表に結果を示す。高いアイゾ
ット衝撃強度が得られている。
Ny66、THPB−1のみからなる組成物もアイゾット衝撃
強度が向上するがその向上の程度は小さい。
実施例29〜34、比較例6 Ny66、THPB−1、HTR−2、MHTR−2からなる4成分
系の組成物について配合割合を変えて実施例5と同様に
して組成物ペレットを作り、アイゾット衝撃強度を評価
した。結果を第3表に示す。THPB−1の効果がよく判
る。
実施例35〜43、比較例7〜11 Ny66、EPDM、MEPDM、HTR−1、MHTR−1、THPB−1、
THPB−2を用いて実施例5と同様にして第4表の組成物
を作り評価した。ここでもTHPBの効果が見られる。
実施例44〜48 Ny66、HTR−1、MHTR−2、MHTR−3、EP、MEP、THPB
−1を用いて実施例5と同様にして第5表の組成物を作
り評価した。本発明組成物は高い衝撃強度を有する。
実施例49、比較例12〜14 Ny66、HTR−1及びMHTR−1にTHPB−1を添加したも
の、添加しないもの、THPB−1の代りにTHPB−1の原料
として用いている末端がOHの水添ポリブタジエンを添加
したもの及び、THPB−1の代りに参考例1にて製造した
水添ポリブタジエンの主鎖中に無水マレイン酸が付加し
た付加物を添加したものそれぞれについて比較評価し
た。結果を第6表に示す。末端に酸無水基を有するTHPB
−1を添加したもののみが高い効果を持つことがよくわ
かる。
上記の実施例5〜49及び比較例1〜14において、2軸
押出機による溶融混練条件はナイロンの種類により次の
ように設定した。
実施例50 Ny66とポリプロピレン(日本国旭化成工業(株)製、
旭化成ポリプロM−1600)を重量比で7:3の割合にてブ
レンドしたブレンド物100重量部に、MHTR−1を2重量
部、及びTHPB−1を1重量部配合し、ブレンドした。得
られたブレンド物を2軸混練機(日本国池貝鉄工社製PC
M30)にて混練機押出して組成物を得た。
実施例51 MHTR−1を4重量部、及びTHPB−1を2重量部を配合
した他は、実施例50と同様にして組成物とした。
比較例15 MHTR−1を3重量部だけ配合した他は、実施例50と同
様にして組成物とした。
比較例16 MHTR−1を12重量部だけを配合した他は、実施例50と
同様にして組成物とした。
比較例17 Ny66とポリプロピレンM−1600だけを溶融押出しする
ことで組成物を作製した。
実施例50〜51、比較例15〜17で得た樹脂組成物を射出成
形機(東芝IS 50EP)にて、樹脂温度286℃、金型温度80
℃、射出圧480kg/cm2の条件でテストピースを成形し、
物性を評価した。その結果を第7表にまとめて示す。
実施例52 実施例51の組成物100重量部にガラス繊維(旭ファイ
バーグラス製FT−II)50重量部を配合し、2軸混練機
(日本国池貝鉄工社製PCM45)にて混練機押出して組成
物を得た。
実施例53 Ny66を80重量部、ポリプロピレンを20重量部、MHTR−
1を5重量部、THPB−1を2重量部、ガラス繊維53重量
部を配合した他は、実施例52と同様にして組成物とし
た。
実施例52〜53で得た樹脂組成物を射出成形機(東芝IS
50EP)にて、樹脂温度290℃、金型温度80℃、射出圧力
720kg/cm2の条件でテストピースを成形し、物性を評価
した。その結果を第7表にまとめて示す。
参考例2 両末端に水酸基を有する水素添加ポリブタジエン〔NI
SSO−PB GI−3000、日本国日本曹達(株)製〕11.25gを
乾燥したCHCl3400ml中に溶解した。この溶液にCu(Mn
O42・8H2O30gを加え、室温で24時間撹拌した。反応終
了後100mlのジエチルエーテルを加え更に5分間撹拌し
た後、セライトにてロ過を行い無機物を除去した。ロ液
をシリカゲルカラムに通した後、ロータリーエバポレー
ターにて濃縮し、微黄色粘稠なポリマー108gを得た。
生成物のIRスペクトルには、3,300cm-1付近の水酸基
の吸収は観察されず、1,760cm-1付近にカルボン酸のカ
ルボニル基の強い吸収が観察された。両末端がカルボキ
シル基の水素添加ポリブタジエンになっていた。
参考例3 400ccのオートクレーブに、50%AH塩(アジピン酸/
ヘキサメチレンジアミン)水溶液120gを仕込み、N2で3
回置換した後、230℃で1時間加熱撹拌し、水を放出さ
せた。次に参考例2にて製造した両末端にカルボキシル
基を有する水素添加ポリブタジエン50gを加え、反応温
度を230℃から300℃に徐々に昇温しながら撹拌した。30
0℃で3時間反応すると102.8gの反応生成物が得られ
た。
比較例18 Ny66、参考例3にて製造した反応生成物及びHTR−2
を、各々74.8、5.8、19.4重量部の割合で実施例5と同
様にして組成物ペレットを作りアイゾット衝撃強度を評
価した。アイゾット衝撃強度は9kg・cm/cmであった。実
施例25と比較すると、きわめて低い値を示し、THPB−1
の効果がよくわかる。
比較例19〜20 両末端にカルボキシル基を有する数平均分子量1300の
水添ポリブタジエン〔NISSO−PB GI−1000、日本国日本
曹達(株)製〕、参考例2にて製造した数平均分子量45
00の量末端にカルボキシル基を有する水素添加ポリブタ
ジエンを各々2.9重量%用い、それにNy66を77.7重量%
及びHTR−2を19.4重量%配合し、実施例5と同様にし
て組成物ペレットを作り、アイゾット衝撃強度を測定し
たところ、それぞれ4.3kg・cm/cm、4.6kg・cm/cmとい
う、実施例25と比べてきわめて低い値を示し、本発明の
THPB−1の効果がよくわかる。
比較例21〜22 比較例19〜20でそれぞれ用いた両末端にカルボキシル
基を有する数平均分子量1300及び4500の水添ポリブタジ
エンのそれぞれ1重量%に、Ny66を77.7重量%、HTR−
2を18.3重量%、MHTR−1を3.7重量%配合し、実施例
5と同様にして組成物ペレットを作り、アイゾット衝撃
強度を測定したところ、それぞれ21kg・cm/cm、22kg・c
m/cmという、実施例49と比べてきわめて低い値を示し、
本発明のTHPB−1の効果がよくわかる。
図面の簡単な説明 第1図は実施例14〜15、実施例50〜53ならびに比較例
3及び比較例15〜17において樹脂組成物の流動性を評価
するために用いた金型を示す概略図であり、第2図及び
第3図は実施例1で得た本発明の末端のみに酸無水基を
有するオレフィン系ポリマー及びその原料である水添ポ
リブタジエンのそれぞれのIRスペクトルを示す。
産業上の利用可能性 本発明の数平均分子量が500〜50,000であり末端にの
み酸無水基を有するオレフィン系ポリマーは、ポリアミ
ドとブレンドした場合、ポリアミド単独に比べて靭性、
特に引張伸度が非常に改良された樹脂組成物が得られ
る。又、本発明の上記のオレフィン系ポリマーを成分
(A)とし、ポリアミド〔成分(B)〕及び成分(A)
のオレフィン系ポリマー以外のオレフィン系ポリマー
〔成分(C)〕とブレンドして3成分系組成物とした場
合、成分(A)は成分(B)と成分(C)との混和剤と
して働いて、成分(B)中への成分(C)、または成分
(C)中への成分(B)の分散効率が改善され、ポリア
ミド単独に比べて靭性(引張伸度や耐衝撃性)、耐LLC
性、低吸水性が格段に改良された樹脂組成物が得られ、
またはポリオレフィン単独に比べて耐熱性、ガスバリア
性が格段に改良された樹脂組成物が得られる。これら本
発明の樹脂組成物は、輸送機器(自動車、船舶等)、器
具、工具、電子、電気、スポーツ、レジャー分野等の構
造部材、コネクター、チューブ、容器等の材料として有
用である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 8/00,8/46 C08L 23/00 - 23/36 C08L 77/00 - 77/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】数平均分子量が500〜50,000であり、末端
    にのみ酸無水基を有するオレフィン系ポリマーからなる
    ポリアミドの改質剤。
  2. 【請求項2】数平均分子量が500〜50,000であり、末端
    にのみ酸無水基を有するオレフィン系ポリマーからなる
    ポリアミド及びポリオレフィン用の混和剤。
  3. 【請求項3】(A)数平均分子量が500〜50,000であ
    り、末端にのみ酸無水基を有するオレフィン系ポリマ
    ー、 (B)ポリアミド、及び (C)成分Aのオレフィン系ポリマー以外のオレフィン
    系ポリマー からなる組成物であって、成分(A)、(B)及び
    (C)の配合量をa、b及びc重量%とするとき、0.01
    ≦a≦50、5≦b≦99.99、0≦c≦94.99、a+b+c
    =100であるポリアミド樹脂組成物。
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