JP2781417B2 - コンタクトレンズ用溶液及びそれを用いたコンタクトレンズの親水化方法 - Google Patents

コンタクトレンズ用溶液及びそれを用いたコンタクトレンズの親水化方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、コンタクトレンズ用溶液、及びそれを用い
たコンタクトレンズの親水化方法に係り、特に、硬質コ
ンタクトレンズ及び非含水性ソフトコンタクトレンズ等
の非含水性コンタクトレンズの表面を親水性化するため
の表面親水性化剤として利用出来るコンタクトレンズ用
溶液、並びにそのような溶液による非含水性コンタクト
レンズの親水化方法に関するものである。
(背景技術) 従来より使用されている非含水性のコンタクトレンズ
には、メチルメタクリレートを主成分とするハードコン
タクトレンズや、シロキサニルメタクリレート、フルオ
ロアルキルメタクリレート等を主成分とする高酸素透過
性ハードコンタクトレンズ、およびポリジメチルシロキ
サンを主成分とするシリコーンラバーやアクリル酸ブチ
ルを主成分とするブチルラバーからなる非含水性ソフト
コンタクトレンズがある。
ところで、これらのコンタクトレンズは非含水性であ
るところから、その表面が疎水性を帯びており、中で
も、近年注目されている、高酸素透過性非含水性コンタ
クトレンズは、特に強い疎水性を有している。何故な
ら、レンズの酸素透過性を高めるためには、一般にレン
ズの形成材料中のシリコーン成分やフッ素成分が増大せ
しめられる傾向となっており、換言すれば、酸素透過性
の高いレンズ程、シリコーン成分やフッ素成分の含有率
が高いのであり、その結果として、レンズ表面が強い疎
水性を有することとなってしまうのである。そして、こ
のようなレンズ表面の疎水性に起因して、非含水性のコ
ンタクトレンズを装用した場合には、しばしば脂質汚れ
が付着し、レンズにくもりの症状が現れて、視界が良好
でなくなってしまう問題があった。
そのため、このようなコンタクトレンズの疎水性表面
を親水性化する方法として、プラズマ表面処理や酸、ア
ルカリ等による化学処理等が考えられているが、これら
の方法では親水性の耐久性に問題があり、また、再び処
理を施すにはかなりの手間が必要となるものである。
これに対して、親水性のポリマーを含有する溶液中
に、コンタクトレンズを浸漬して、該ポリマーをコンタ
クトレンズの表面に付着せしめることにより、コンタク
トレンズの表面改質を行なう、ウェッティング・ソリュ
ーションを用いる方法がある。この方法によれば、必要
に応じて、比較的簡便に繰り返して親水性化処理を行な
うことが出来るところから、レンズ表面の親水性を持続
せしめることが出来るのである。
例えば、特公昭48−37910号公報には、ポリビニルア
ルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピ
ロリドン等の水溶性ポリマーを含有するコンタクトレン
ズ用溶液が開示されている。しかしながら、かかる処理
溶液は、メチルメタクリレートからなるハードコンタク
トレンズやメチルメタクリレートを主成分とした高酸素
透過性ハードコンタクトレンズ等の比較的弱い疎水性の
レンズに対しては有効であるものの、シリコーン成分や
フッ素成分を多く含有する非含水性コンタクトレンズに
対しては、該レンズの表面が強い疎水性であるため、溶
液中に含有される水溶性ポリマーがレンズ表面に付着し
難く、有効でなくなってしまうという欠点がある。
また、特開昭63−246718号公報には、イオン電荷を有
する重合体物質からなるコンタクトレンズの表面処理用
レンズ溶液が開示されている。しかし、この溶液を用い
る場合、コンタクトレンズ表面が、その溶液中の重合体
物質のイオン電荷とは逆のイオン電荷を有している必要
があると共に、イオン電荷密度がある程度の大きさを有
していることが必要である。そのため、親水性化処理に
先立って、コンタクトレンズ表面の電荷密度を高めるた
めの余分な処理を行なう必要があり、処理が煩雑となる
問題がある。更にまた、その公報の実施例より明らかな
ように、処理時間が5分と長いうえ、親水性化の効果は
さほど大きくない等のいくつかの欠点を有している。
(解決課題) このような状況下にあって、高酸素透過性非含水性コ
ンタクトレンズを長時間、快適に装用し得るようにする
ために、換言すれば、該レンズに対する脂質汚れの付着
を低減するために、より安全且つ簡単な方法で、より短
時間にコンタクトレンズの親水性化処理を行ない得て、
しかもその効果の高いコンタクトレンズ用溶液が望まれ
ていたのである。
(解決手段) ここにおいて、上記課題を解決するために、本発明者
は鋭意研究を重ね、その結果、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレートを主成分とする水不溶性の重合体を溶解し
てなる溶液中に、疎水性のコンタクトレンズを浸漬し、
すぐに取り出して水道水で充分に濯ぐという簡単な操作
で、非常に良好にコンタクトレンズ表面の親水性化が為
され得る事実を見い出し、本発明を完成させるに至った
のである。
即ち、本発明は、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
トを主成分とする水不溶性の重合体と、該重合体を溶解
する溶媒とから、主として構成され、且つ該重合体の濃
度が、0.01〜1.5重量%とされているコンタクトレンズ
用溶液を、その要旨とするものである。
なお、かかる本発明にあっては、前記重合体として
は、好適にはa)2−ヒドロキシエチルメタクリレート
の80〜100重量%と、b)アルキルアクリレート、アル
キルメタクリレート、シロキサニルアルキルアクリレー
ト、シロキサニルアルキルメタクリレート、フルオロア
ルキルアクリレート、フルオロアルキルメタクリレー
ト、スチレン系モノマーおよびビニルエステル類の中か
ら選ばれた1種または2種以上のモノマーの0〜20重量
%とを重合させて得られる重合体が用いられるものであ
り、また、前記重合体を溶解する溶媒には、有利には、
一般式: HO−(CH2CH2O)n−R (但し、式中のRは水素またはメチル基、nは1〜20の
整数を表わす) にて示されるエチレングリコー系化合物:20〜100重量%
と水:0〜80重量%とからなる溶液が用いられるものであ
る。
また、本発明にあっては、上述の如きコンタクトレン
ズ用溶液を用い、かかる溶液にて疎水性コンタクトレン
ズの表面を濡らした後、該疎水性コンタクトレンズを水
に接触せしめることにより、該疎水性コンタクトレンズ
に付着せる前記溶液中の重合体を凝集させて、レンズ表
面に吸着せしめることを特徴とするコンタクトレンズの
親水性化方法をも、その要旨とするものである。
(作用・効果) このような本発明に従うコンタクトレンズ用溶液は、
その中に溶解せしめられている重合体、即ち2−ヒドロ
キシエチルメタクリレートを主成分とする重合体が水不
溶性であるため、所謂貧溶媒である水を注いで希釈する
と、該重合体が凝集する特徴を有しているものである。
そこで、かかる溶液を用い、該溶液中に疎水性のコン
タクトレンズを浸漬する等して、該溶液にてレンズ表面
の一部または全部を濡らし、次いで、すぐにかかるコン
タクトレンズを水で濯ぐといった処理を施すことによ
り、溶解せしめられていた前記重合体が凝集して、レン
ズ表面に付着するという現象が起こるのである。これ
は、凝集する際、重合体を溶解している溶液とコンタク
トレンズ表面とによって形成される固−液界面が、一つ
の界面として存在するところから、前記重合体が、コン
タクトレンズ表面に吸着されることとなるからである。
しかも、かかる親水性の重合体は、水不溶性であるた
め、コンタクトレンズ表面に強く吸着され、以て、コン
タクトレンズ表面が良好に親水性化されるのである。
要するに、かかる本発明に従うコンタクトレンズ用溶
液は、該溶液に疎水性のコンタクトレンズを浸漬して、
取り出し、すぐにそれを水で濯ぐといった極めて簡単な
操作を行なうことにより、疎水性のコンタクトレンズ表
面を良好に親水性化することが出来るものである。従っ
て、強い疎水性を有する高酸素透過性非含水性レンズで
あっても、その装用に先立って、かかる処理を施すこと
により、表面の親水性化が為され得るのであり、脂質汚
れの付着が効果的に防止され得るのであって、異物感な
く快適に、長時間装用することが可能となるのである。
また、本発明に従うコンタクトレンズ用溶液にあって
は、溶解されるべき重合体を、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレートと所定のモノマー群より選ばれたモノマー
とを重合させて得られる重合体と為すことにより、該重
合体のコンタクトレンズに対する付着性をより向上せし
めることが出来るのである。
そしてまた、本発明に従うコンタクトレンズ用溶液に
あっては、前記所定の重合体を溶解する溶媒を、所定の
エチレングリコール系化合物の20〜100重量%と、水の
0〜80重量%とからなる溶液とすることにより、コンタ
クトレンズの規格を変化させることなく、重合体を溶解
することが出来るのである。
(具体的構成) ところで、本発明に従うコンタクトレンズ用溶液中に
溶解せしめられている重合体は、2−ヒドロキシエチル
メタクリレートを主成分とする水不溶性のものであり、
更に必要に応じて、他のモノマーを共に重合せしめるこ
とも可能である。
そして、特に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート
と共に重合せしめるべきモノマーとして、アルキル(メ
タ)アクリレート、シロキサニルアルキル(メタ)アク
リレート、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、ス
チレン系モノマーおよびビニルエステル類を使用する場
合には、得られる重合体のコンタクトレンズ表面に対す
る付着性を効果的に向上せしめることが出来るのであ
る。なお、かかるモノマーは、その中から選ばれた1種
類を用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい
が、その全量が重合体中20重量%以下となるようにする
必要がある。20重量%を越えて使用されると、得られる
重合体の疎水性が増大するため、本発明のコンタクトレ
ンズ用溶液の重要な作用である親水性化作用が劣ってく
ることとなって好ましくないからである。また、上記で
「・・・(メタ)アクリレート」とあるのは、「・・・
メタクリレート」または「・・・アクリレート」を表わ
し、以下についても同様である。
ここで、かかるモノマーのより具体的な例を挙げる
と、前記アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、フェニル(メタ)アクリレート等がある。
また、前記シロキサニルアルキル(メタ)アクリレー
トの具体例としては、トリメチルシリルメチル(メタ)
アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アク
リレート、ペンタメチルジシロキサニルメチル(メタ)
アクリレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピル
(メタ)アクリレート、メチルビス〔トリメチルシロキ
シ〕シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス〔ト
リメチルシロキシ〕シリルプロピル(メタ)アクリレー
ト、メチルビス〔トリメチルシロキシ〕シリルプロピル
グリセロール(メタ)アクリレート等を挙げることが出
来る。
さらに、前記フルオロアルキル(メタ)アクリレート
の具体例としては、2,2,2−トリフルオロエチル(メ
タ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル
(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2−プロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,
5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,
2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル(メ
タ)アクリレート等がある。
更にまた、前記スチレン系モノマーとしては、例えば
スチレン、パラ−メチルスチレン、tert−ブチルスチレ
ン、ペンタフルオロスチレン、トリメチルシリルスチレ
ン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン等を
用いることが出来、そして前記ビニルエステル類として
は、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル等が用いられ得るものである。
ところで、本発明のコンタクトレンズ用溶液に用い
る、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを主成分とす
る水不溶性の重合体は、上記の如きモノマーを適宜に組
み合わせて、通常のラジカル重合を行なうことにより容
易に合成することが出来るのである。而して、一般にラ
ジカル重合には、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化
重合等の各種の方法が用いられているが、この場合は、
主成分である2−ヒドロキシエチルメタクリレートが、
それ自身にラジカルの連鎖移動反応を受け易いヒドロキ
シエチル基を有しているところから、例えば塊状重合等
では架橋反応が進行して溶媒に不溶性となってしまい好
ましくないため、連鎖移動剤を含有した溶液重合法、或
いはそれ自身が連鎖移動能力を有する溶媒を用いる溶液
重合法を採用するのが好ましい。
そして、上記の如く連鎖移動剤を併用する場合の連鎖
移動剤としては、例えば、n−ブチルメルカプタン、ド
デシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタ
ン類やクロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素等が挙げ
られる。これら連鎖移動剤の使用量は、重合させるべき
全単量体または全単量体混合物の100重量部に対して、
約0.05〜5重量部の範囲が好ましい。
さらに、前記重合反応を行なうに際しては、通常のラ
ジカル重合開始剤が使用されることとなる。かかるラジ
カル重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロ
ニトリル等が挙げられ、これらのうちから1種または2
種以上を選択して使用出来る。また、これら重合開始剤
の使用量は、重合させるべき全単量体または全単量体混
合物の100重量部に対して、約0.05〜5重量部の範囲が
好ましい。
そして、かかる溶液重合に用いられるべき溶媒として
は、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコ
ールモノメチルエーテル等のアルコール類やジメチルス
ルホキサイド等を挙げることが出来る。これらの溶媒
は、重合させるべき全単量体または全単量体混合物の10
0重量部に対して50〜1000重量部の範囲で用いるのが好
ましい。使用量が50重量部より少ない場合には、重合中
に架橋反応が進行し易く、しばしばゲル化を起こしてし
まうからであり、一方、1000重量部より多い場合には、
重合反応終了後の重合体を精製する過程において、沈澱
溶媒を大量に使用しなければならなくなって、好ましく
ないからである。
なお、重合反応は、室温〜120℃の温度条件下で、重
合反応が略完結するのに必要な時間行なわれることとな
る。次いで、重合反応終了後、重合生成物をメタノール
で希釈し、アセトンやジエチルエーテルのような貧溶媒
中に注ぎ込んで重合物を沈澱させる。そして、かかる沈
澱物を濾取し、減圧乾燥することにより、目的とする重
合体を得ることが出来るのである。
このようにして得られる重合体の数平均分子量は、約
1000〜約10000000の範囲が望ましく、より好ましい範囲
は、約2000〜100000である。数平均分子量が約1000より
小さい場合は、重合体の水に対する溶解性が増大する傾
向になるため、その重合体を用いて調整されたコンタク
トレンズ用溶液を用いた場合、その重合体は例え吸着さ
れても水道水で濯ぐことにより容易にレンズから脱離し
てしまい、十分な親水性化効果が得られなくなるからで
ある。また、数平均分子量が約10000000より大きくなる
と、その重合体の溶媒に対する溶解性が劣ってくるから
である。
一方、本発明に従うコンタクトレンズ用溶液に用いら
れるべき溶媒としては、コンタクトレンズの規格(ベー
スカーブ、パワー、サイズ等)を変化させることのない
ものが選択されることとなる。一般的なコンタクトレン
ズ用溶液の溶媒には、主に水が使用されており、コンタ
クトレンズの規格が良好に保たれているのであるが、本
発明においては、前記重合体が水不溶性であるため、水
以外の溶媒が必要とされる。即ち、本発明にて使用され
得る溶媒は、コンタクトレンズの規格を変化させること
がなく、且つ前記重合体を溶解し得るものであり、その
ような溶媒として好適に使用され得るものとして、一般
式: HO−(CH2CH2O)n−R (但し、式中のRは水素またはメチル基、nは1〜20の
整数を表わす) にて示されるエチレングリコー系化合物:20〜100重量%
と水:0〜80重量%からなる溶液がある。
なお、上記の一般式において、n=0の場合は、水ま
たはメタノールであり、水であると重合体を溶解するこ
とが出来ず、またメタノールであるとコンタクトレンズ
の規格を変化させてしまう恐れがあるのである。また、
nが20より大きい場合は、化合物の分子量が増大し、溶
液の粘度が高くなって取り扱い難くなるため、好ましく
ないのである。
そして、かかる溶媒と、前記重合体とから、本発明に
従うコンタクトレンズ用溶液が主として調製されるので
あるが、その濃度(ここでは、重合体を溶解している溶
液における、重合体の溶媒に対する濃度をいう)が高い
と、水で濯ぐ際に重合体の凝集沈澱がすばやく起こり、
コンタクトレンズ表面に重合体粒子が沈着してしまう問
題が生じるため、該濃度は、0.01〜1.5重量%とするの
が望ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。か
かる濃度が0.01重量%より小さいと、重合体のコンタク
トレンズ表面への吸着量が少なくなって、親水性化の効
果が劣るようになるからである。
なお、上記の如く調製される本発明に従うコンタクト
レンズ用溶液に対して、その他必要に応じて、界面活性
剤、粘性基剤、等張化剤、防腐剤等を添加しても何等差
支えない。これらの各成分の配合により、親水性化剤と
しての機能の他に、洗浄剤、保存剤、洗浄保存剤として
の機能を付与することが出来るのである。
以上のようにして調整された、本発明に従うコンタク
トレンズ用溶液の使用方法は、該コンタクトレンズ用溶
液中にコンタクトレンズを浸漬したり、或いは該溶液を
コンタクトレンズ表面に噴霧または塗布した後、水道水
で十分に濯ぐだけでよく、かかる操作によって、該溶液
中に含まれる2−ヒドロキシエチルメタクリレートを主
成分とする親水性の重合体がコンタクトレンズ表面に吸
着されて、以て該コンタクトレンズに良好な親水性を付
与することが出来るのである。
しかも、該親水性重合体は水不溶性であるため、コン
タクトレンズ表面に強く吸着されるのであり、疎水性の
強いコンタクトレンズに適用した場合にも、良好に吸着
されて親水性を付与することが出来るのである。それ
故、脂質汚れの付着を効果的に防止し得て、コンタクト
レンズのくもりの症状を抑制し、長時間装用を可能とな
らしめるのである。
(実施例) 以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更
に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、その
ような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるも
のでないことは、言うまでもないところである。
また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上
記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限
りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修
正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべ
きである。
先ず、コンタクトレンズ用溶液に用いるべき6種類の
重合体(A〜F)を、何れも、溶液重合法により調製し
た。
各重合体を得るべく使用した単量体、連鎖移動剤、重
合開始剤及び溶媒等の種類と使用量は、下記第1表に示
す通りである。なお、重合開始剤には、何れもアゾビス
ジメチルバレロニトリルを0.191g用いた。また、具体的
な調製方法は、以下の通りである。
(i)モノマー、連鎖移動剤、重合開始剤及び溶媒を混
合溶解させて丸底フラスコに入れ、該フラスコ内部を窒
素置換した後、密栓し、恒温水槽中にて40℃で48時間重
合させた。
(ii)重合終了後、メタノールの50mlで希釈し、これを
2のジエチルエーテル中に投入して重合物を沈澱させ
た。
(iii)次いで、かかる沈澱物を吸引濾取した後、再び
メタノールの100mlに溶解させ、これを2のジエチル
エーテル中に投入して再沈澱させた。
(iv)かかる沈澱物を吸引濾取して得られた重合物を、
50℃で3時間減圧乾燥させ、目的とする重合体を得た。
次いで、このようにして得られた各重合体A〜Fを、
下記第2表に示す溶媒のそれぞれに溶解せしめて、コン
タクトレンズ用溶液(実施例1〜8)を調製した。
そして、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピ
ルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2
−プロピルメタクリレートを主成分とする共重合体から
なるコンタクトレンズをハードコンタクトレンズ用保存
ホルダーに挿入し、それぞれのコンタクトレンズ用溶液
を満たしたハードコンタクトレンズ用保存ケース中にホ
ルダーごと5秒間浸漬した後、ホルダーごと取り出し
て、水道水で十分に濯ぐことにより、コンタクトレンズ
の親水性化処理を行なった。
しかる後、エアーコンプレッサーで各レンズの表面の
水滴を吹き飛ばし、次いでエルマ光学(株)製、ゴニオ
メーター式接触角計G−1型を用いて、液滴法による接
触角を測定した。その結果を第2表に合わせて示した。
また、従来から親水性化効果を付与するために代表的
に用いられているポリビニルアルコール水溶液およびポ
リN−ビニルピロリドン水溶液を用いて、上記と同様の
親水性化処理を行ない、その後、レンズの接触角を測定
し、比較例1及び2として同表に示した。さらに比較例
3は、親水性化処理を一切行なわなかったコンタクトレ
ンズについて、その接触角を測定したものである。
以上の結果から明らかなように、本発明に従うコンタ
クトレンズ用溶液を用いて、所定の親水性化処理を行な
った場合、著しい接触角の低下が認められるのであり、
疎水性コンタクトレンズの表面を良好に親水性化するこ
とが出来ることが分かる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2−ヒドロキシエチルメタクリレートを主
    成分とする水不溶性の重合体と、該重合体を溶解する溶
    媒とから、主として構成され、且つ該重合体の濃度が、
    0.01〜1.5重量%とされていることを特徴とするコンタ
    クトレンズ用溶液。
  2. 【請求項2】前記2−ヒドロキシエチルメタクリレート
    を主成分とする水不溶性の重合体が、a)2−ヒドロキ
    シエチルメタクリレートの80〜100重量%と、b)アル
    キルアクリレート、アルキルメタクリレート、シロキサ
    ニルアルキルアクリレート、シロキサニルアルキルメタ
    クリレート、フルオロアルキルアクリレート、フルオロ
    アルキルメタクリレート、スチレン系モノマーおよびビ
    ニルエステル類の中から選ばれた1種または2種以上の
    モノマーの0〜20重量%とを重合させて得られる重合体
    である請求項(1)記載のコンタクトレンズ用溶液。
  3. 【請求項3】前記2−ヒドロキシエチルメタクリレート
    を主成分とする水不溶性の重合体を溶解する溶媒が、一
    般式: HO−(CH2CH2O)n−R (但し、式中のRは水素またはメチル基、nは1〜20の
    整数を表わす) にて示されるエチレングリコール系化合物:20〜100重量
    %と水:0〜80重量%とからなる溶液である請求項(1)
    または(2)記載のコンタクトレンズ用溶液。
  4. 【請求項4】請求項(1)乃至(3)の何れかに記載の
    コンタクトレンズ用溶液を用い、かかる溶液にて疎水性
    コンタクトレンズの表面を濡らした後、該疎水性コンタ
    クトレンズを水に接触せしめることにより、該疎水性コ
    ンタクトレンズに付着せる前記溶液中の重合体を凝集さ
    せて、レンズ表面に吸着せしめることを特徴とするコン
    タクトレンズの親水性化方法。
  5. 【請求項5】前記疎水性コンタクトレンズが、非含水性
    コンタクトレンズである請求項(4)記載のコンタクト
    レンズの親水性化方法。
JP18530089A 1989-07-18 1989-07-18 コンタクトレンズ用溶液及びそれを用いたコンタクトレンズの親水化方法 Expired - Fee Related JP2781417B2 (ja)

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