JP2780830B2 - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

無段変速機の制御装置

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JP2780830B2 JP34151989A JP34151989A JP2780830B2 JP 2780830 B2 JP2780830 B2 JP 2780830B2 JP 34151989 A JP34151989 A JP 34151989A JP 34151989 A JP34151989 A JP 34151989A JP 2780830 B2 JP2780830 B2 JP 2780830B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は無段変速機の制御装置に関し、特に無段変速
機が搭載されたエンジンの目標回転数の上下限値を、そ
の上下限値における目標エンジン回転数を定める性能
(特性)の値が等しくなるように設定する無段変速機の
制御装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、車両に搭載された無段変速機の変速制御におい
ては、変速機の入力回転数であるエンジン回転数の目標
値、すなわち目標エンジン回転数をエンジンの性能から
設定し、その値を中心にして目標エンジン回転数の上下
限値を設定して、制御の安定性を確保し、また変速回数
を減らすことによって変速中の伝達効率の低下を防止し
ていた。この点を第20図を用いて説明すると、横軸に時
間tをとり、縦軸にエンジン回転数NE/Gをとる。そし
て、例えばエンジンの最大動力曲線(P.O.L.)から定め
た目標エンジン回転数N*に向けてエンジン回転数NE/G
制御する場合、目標エンジン回転数に上下限値を設定し
ておかないと、図の点線のように目標エンジン回転数N*
の近傍で変速を頻繁に繰り返してエンジン回転数NE/G
目標エンジン回転数N*に近づけようとする。したがっ
て、変速制御は不安定になると共に、変速中に変速機の
伝達効率が低下するため伝達効率が低下してしまう。こ
れに対して、目標エンジン回転数N*にその上下限値N*
max、N* minを設けておくと、図の実線のように変速回数
は低減し、制御が安定化すると共に変速中の伝達効率の
低下を防止できる。このようにN* max、N* minを設け、エ
ンジン回転数NE/GがN*に達すると変速を停止し、N* min
<NE/G<N* maxの間は変速を行わずに、制御安定性を確
保し、変速中の伝達効率低下を防止していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、このような目標エンジン回転数N*の上下限
値N* max、N* minの設定の仕方としては、従来な単純に目
標エンジン回転数N*に所定量ΔNをプラス・マイナスし
て上下限値N* max、N* minを設定していた。しかしなが
ら、このように単純に目標エンジン回転数N*に等量の値
を増減してその上下限値を設定すると、一般には、上記
上下限値のエンジン回転数における目標エンジン回転数
を定めた性能(例えば、動力性能、燃費性能)の値は等
しくなく、目標エンジン回転数の上限と下限では異なっ
た性能となり、バラツキが発生すると共に、バラツキ幅
も大きいものとなってしまう。
この点をもう少し説明する。例えば、目標エンジン回
転数N*をエンジンの最大動力曲線(P.O.L.)から定める
場合は、第21図に示すように任意のスロットル開度θ
において目標エンジン回転数N*の上下限値N* max、N* min
はそれぞれN*+ΔN、N*−ΔNとなる。このようなエン
ジン回転数の上下限値のとき目標エンジン回転数を定め
た性能(この場合は動力性能)の変化を検討する。第22
図はエンジン回転数と軸トルク(エンジントルク)に対
してとった最大動力曲線(P.O.L.)を点線で示してお
り、実線で各スロットル開度を、一点鎖線で等馬力線を
示している。スロットル開度θのとき、エンジン回転
数がN*を中心に+ΔN、−ΔN変化したときの動力の変
化は、それぞれ、エンジン回転数がN*のときのスロット
ル開度θの曲線位置での馬力とエンジン回転数がN*
ΔNのときのスロットル開度θの曲線位置での馬力と
の差、及び、エンジン回転数がN*のときのスロットル開
度θの曲線位置での馬力とエンジン回転数がN*−ΔN
のときのスロットル開度θの曲線位置での馬力との差
である。拡大図を参照にすると、第23図のようにエンジ
ン回転数NE/Gの変化に対する馬力変化の関係が得られ
る。この図から明らかなように、馬力性能は目標エンジ
ン回転数N*を中心として上下限間で対称ではなく、目標
エンジン回転数の下限N*−ΔNのときの馬力L1とその上
限N*+ΔNのときの馬力L2とは等しくなく、かつ、馬力
のバラツキはエンジン回転数の変化範囲2ΔNでL0−L2
となり、L1の馬力を下げ、L2の馬力を上げてバランスを
とったときに比較して大きくなることが分かる。
また、目標エンジン回転数を最良燃費曲線(F.O.L.)
から定める場合についてみてみる。第24図はF.O.L.をエ
ンジン回転数と軸トルク(エンジントルク)に対してと
った図であり、点線でスロットル開度を、一点鎖線で等
馬力線を、また実線で等燃費曲線を示してある。スロッ
トル開度θにおける目標エンジン回転数での点はA0、上
限での点はA1、下限での点はA2となる。スロットル開度
θでの最良の燃費のポイントはA0であり、等燃費曲線と
等馬力線から求められ、その時のエンジン回転数N*が目
標エンジン回転数となる。従来は、N*に対してN* max−N
*=N*−N* min=ΔNとしてその上下限値N* max、N* min
設定していた。点A0、A1、A2での馬力及び燃費をそれぞ
れP0、P1、P2、及びFC0、FC1、FC2とすると、車速Vで
の燃費は、 FC0=V/(P0・L0) FC1=V/(P1・L1) FC2=V/(P2・L2) であり、それらの間には次の関係がある。
FC0>FC1、FC0>FC2 しかしながら、FC1=FC2とは言えない。したがって、
エンジン回転数NE/Gの変化に対する燃費FCの変化は第25
図のようになり、前記した動力の場合と同様に、難費性
能は目標エンジン回転数N*を中心として上下限間で対称
ではなく、目標エンジン回転数の下限N*−ΔNのときの
燃費FC2とその上限N*+ΔNのときの燃費FC1とは等しく
なく、かつ、燃費のバラツキはエンジン回転数の変化範
囲2ΔNでFC0−FC1となり、FC2の燃費を下げ、FC1の燃
費を上げてバランスをとったときに比較して大きくなる
ことが分かる。
以上のように、目標エンジン回転数N*に等量の値を増
減してその上下限値を設定すると、一般には、上記上下
限値のエンジン回転数における目標エンジン回転数が関
係する性能の値は等しくなく、目標エンジン回転数の上
限と下限では異なった性能となる。しかも、上限値と下
限値の幅を一定のものとした場合に、上下限値間でのそ
の性能のバラツキが大きくなる。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであ
り、その目的は、目標エンジン回転数N*の上下限値N*
max、N* minの設定を、その上下限値における目標エンジ
ン回転数を定めた性能の値が等しくなるように設定する
無段変速機の制御装置を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
前述の課題を解決するために、本発明は、例えば第6
図、第13図から第16図を参照にして示すと、車両に搭載
された無段変速機の入力回転数NE/Gをエンジン性能に基
づいた特定の特性値、例えば動力性能が最適すなわち最
大になる目標回転数N*にするように変速比を制御する無
段変速機の制御装置であって、前記目標回転数N*に上下
限値N* max、N* minを設ける上下限値設定手段1011を備
え、前記上下限値設定手段は設定した上下限の入力回転
数N* max、N* minにおける前記特定の特性値、例えば動力
がほぼ等しくなるように上下限値N* max、N* minを設定す
るように構成されていることを特徴とするものである。
〔作用及び発明の効果〕
このように構成した本発明に係る無段変速機の制御装
置においては、第13図に示すように、目標エンジン回転
数N*に設ける上下限値N* max、N* minの幅N* max−N
* minは、従来技術と同様に2ΔNである。しかしなが
ら、この場合は、N* minにおける動力性能(馬力)とN*
maxにおける動力性能(馬力)とをほぼ等しくなるよう
に(図の場合、共に等馬力線L3上にある。)上下限値N*
max、N* minを選択している。エンジン回転数NE/Gの変換
に対する馬力変化の関係を第14図に示してあり、N* max
−N*とN*−N* minの幅は異なることになるが、上下限の
回転数における馬力はほぼ等しくL3になる。従来の場合
と比較すると明らかなように、このL3は従来の上限値に
おける馬力L2と下限値における馬力L1との間に位置する
から、スロットル開度θでの馬力のバラツキ範囲は、
従来はL0とL2の間であったものが、L0とL3の間に挟まる
ことになる。すなわち、本発明によると、エンジン回転
数の目標エンジン回転数をはさんだ許容変動幅が従来の
ものと同じである場合、例えば動力の変動幅が小さくな
ることになる。
このような目標エンジン回転数N*の上下限値N* max、N
* minを定めるためには、まず、上下限値の幅(2ΔN)
がスロットル開度θによってのみ決定される場合は、予
め各θに対して上記の条件を満足するN* max、N* minを求
めて第15図に示したようなテーブルを作成してこれを電
子制御装置中に記憶しておき、第6図のステップ1011に
おいて入力したスロットル開度θに応じたN* max、N* min
を読み出せばよい。この場合のデータの分解能は、スロ
ットル開度センサーの分解能と同様にしておけばよい。
また、スロットル開度θの分解能が高い場合には、θに
対するN* max、N* minを関数で近似して第16図に示したよ
うな関数N* max=f1(θ)、N* min=f2(θ)として、第
15図のテーブルの代わりに電子制御装置中に記憶してお
く。
なお、上記において、符号は図面を参照するためのも
のであって、本発明の構成を何ら限定するものではな
い。
〔実施例〕
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
第1図は、本発明の1実施例が適用されるトルクコン
バータを備えたVベルト式無段変速機(CVT)の一例の
断面図、第2図はこの実施例のシステム構成図である。
図中、1はエンジン、2は発進装置、3は前後進切換装
置、4はVベルト式無段変速部、5は油圧制御装置、6
は電子制御装置、7はパターン選択装置、8はシフトレ
バー、9はブレーキである。
第1図及び第2図に示すように、エンジン1には発進
装置2が連結されており、この発進装置2には前後進切
換装置3を介してVベルト式無段変速部(CVT)4が連
結されている。さらに、このVベルト式無段変速部4
は、カウンタギヤ機構103を介して差動歯車機構104に連
結されている。
エンジン1にはスロットル開度検出手段11及びエンジ
ン回転数検出手段12が配設されている。これらのスロッ
トル開度検出手段11及びエンジン回転数検出手段12はそ
れぞれ電子制御装置6に接続されていて、スロットル開
度検出手段11はスロットル開度信号θを、またエンジン
回転数検出手段12はエンジン回転数NE/Gを、それぞれ電
子制御装置6に出力するようになっている。
発進装置2は、ロックアップクラッチ21付のトルクコ
ンバータ22から構成されている。このトルクコンバータ
22のポンプ側がエンジン1の出力軸110に連結されてい
ると共に、タービン側がトルクコンバータ22の出力軸23
に連結されている。この出力軸23は前後進切換装置3の
入力軸ともなっている。これらのロックアップクラッチ
21及びトルクコンバータ22は、ともに油圧制御装置5に
よって制御されるようになっている。
前後進切換装置3は、出力軸23に設けられたサンギヤ
34、この前後進切換装置3のプライマリシャフト35に連
結されたキャリヤ36、このキャリヤ36に支持されている
ダブルピニオンギヤ37及びこのダブルピニオンギヤ37を
囲むように配設されたリングギヤ38から構成されてい
る。さらに、トルクコンバータ出力軸23とキャリヤ36と
の間に配設されているフォワードクラッチ31及びリング
ギヤ38とトランスミッションケース105との間に配設さ
れたリバースブレーキ32を備えている。そして、フォワ
ードクラッチ31及びリバースブレーキ32は、それぞれ油
圧制御装置5によって制御されることにより前後進の切
換制御が行われるようになっている。
また、この前後進切換装置3にはオートマチックトラ
ンスミッション(A/T)油温検出手段33が設けられてい
る。このA/T油温検出手段33も同様に電子制御装置6に
接続されていて、A/T内の作動油の油温信号tを電子制
御装置6に出力するようになっている。
Vベルト式無段変速部4はプライマリシーブ41と、セ
カンダリシーブ42と、これらの両シーブ41,42に巻回さ
れたVベルト43とを備えている。プライマリシーブ41は
固定シーブ41aと可動シーブ41bとからなっており、その
固定シーブ41aはプライマリシャフト35に相対回動可能
にかつ軸方向に相対摺動可能に支持されていると共に、
可動シーブ41bは固定シーブ41aの筒状部41cにボールス
プライン機構41dを介して軸方向にのみ移動可能に支持
されている。同様に、セカンダリシーブ42は固定シーブ
42aと可動シーブ42bとからなっており、その固定シーブ
42aはVベルト式無段変速部4の出力軸45に相対回動可
能にかつ軸方向に相対摺動可能に支持されていると共
に、可動シーブ42bは固定シーブ42aの筒状部42cにボー
ルスプライン機構42dを介して軸方向にのみ移動可能に
支持されている。
プライマリシーブ41において、キャリヤ36及びプライ
マリシャフト35と固定シーブ41aとの間には、調圧カム
機構41eが設けられている。この調圧カム機構41eは、そ
れぞれ対向面が波面状に形成された入力側カム41f及び
出力側カム41gと、これらの両カム41f,41gの対向面間に
配設されたローラ41hとから構成されている。入力側カ
ム41fはキャリヤ36スプライン結合されていると共にプ
ライマリシャフト35にネジ結合されている。また、出力
側カム41gは固定シーブ41aにスプライン嵌合されている
と共に、ローラ41hと接触する面と反対側の面が皿ばね
を介して固定シーブ41aの背面に当接している。
また、可動シーブ41bの背部には、ボールねじ装置41i
が配設されており、このボールねじ装置41iは雄ねじ部4
1j及び雌ねじ部41kとこれらのねじ部41j、41kのねじ溝
間に配設された多数のボール41m、41m、・・・とからな
る。雄ねじ部41jは調節部材41n、ベアリング41o及び自
動車調芯機構41pを介してプライマリシャフト35の端部
に形成されたフランジ部35aに支持されている。調節部
材41nを回動させて、雄ねじ部41jを雌ねじ部41kに対し
て相対回転させることにより、プライマリシーブ41にお
けるベルト43の初期張力及びベルトの回動運動における
幅方向の中心を調節するようになっている。また、雌ね
じ部41kは自動調芯機構41q及びベアリング41rを介して
可動シーブ41bの背部に支持されている。
したがって、キャリヤ36及びプライマリシャフト35か
ら入力側カム41fに入力された伝達トルクは、調圧カム
機構41eによってこの伝達トルクの大きさに応じた軸方
向の力に変換され、この軸方向の力は出力側カム41gか
ら固定シーブ41aに加えられるようになる。一方、この
軸方向の力の反力が、入力側41fからプライマリシャフ
ト35、フランジ部35a、自動調芯機構41p、ベアリング41
o、調節部材41n、ボールねじ装置41iの雄ねじ部41j、ボ
ールねじ装置41iの雌ねじ部41k、自動車調芯機構41q及
びベアリング41rを介して可動シーブ41bに伝えられる。
これらの固定シーブ41a及び可動シーブ41bに加えられる
軸方向の力がベルト43の挟持力となり、したがってこの
ベルト43の挟持力はキャリヤ36から入力される伝達トル
クに応じた大きさとなる。また、キャリヤ36からの伝達
トルクは、調圧カム機構41eを介してプライマリシーブ4
1に伝達され、さらにVベルト43によりセカンダリシー
ブ42に伝えられる。
さらに、雌ねじ部41kの一端外周には歯車41sが形成さ
れており、この歯車41sはカウンタシャフト44bに設けら
れている歯車44fに噛み合わされている。このカウンタ
シャフト44bは減速歯車機構44cを介してCVT変速用モー
タ44の出力軸44dに連結されている。
一方、セカンダリシーブ42において、出力軸45と固定
シーブ42aとの間には、調圧カム機構42eが設けられてい
る。この調圧カム機構42eは、前述のプライマリシーブ4
1における調圧カム機構41eと同様のものであり、それぞ
れ対向面が波面状に形成された入力側カム42f及び出力
側カム42gと、これらの両カム42f,42gの対向面間に配設
されたローラ42hとから構成されている。そして、入力
側カム42fは固定シーブ42aにスプライン嵌合されている
と共に、ローラ42hと接触する面と反対側の面が皿ばね
を介して固定シーブ42aの背面に当接している。一方、
出力側カム42gはVベルト式無段変速部4の出力軸45に
固定されている。
また、可動シーブ42bの背部には、ボールねじ装置42i
が配設されており、このボールねじ装置42iは雄ねじ部4
2j及び雌ねじ部42kとこれらのねじ部42j、42kのねじ溝
間に配設された多数のボール42m、42m、・・・とからな
る。雄ねじ部42jは調節部材42n、ベアリング42o及び自
動調芯機構42pを介して出力軸45の端部に形成された出
力歯車45aに支持されている。調節部材42nを回動させ
て、雄ねじ部42jを雌ねじ部42kに対して相対回転させる
ことにより、セカンダリシーブ42におけるベルト43の初
期張力及びベルトの回動運動における幅方向の中心を調
節するようになっている。
したがって、プライマリシーブ41からセカンダリシー
ブ42に入力された伝達トルクは、入力側カム42fに伝え
られ、調圧カム機構42eによってこの伝達トルクの大き
さに応じた軸方向の力に変換される。この軸方向の力は
出力側カム42gから出力軸45、出力歯車45a、自動調芯機
構42p、ベアリング42o、調節部材42n、ボールねじ装置4
2iの雄ねじ部42j、ボールねじ装置42iの雌ねじ部42k、
自動調芯機構42q及びベアリング42rを介して可動シーブ
42bに伝えられる。一方、この軸方向の力の反力が入力
側カム42fを介して固定シーブ42aに加えられるようにな
る。これらの固定シーブ42a及び可動シーブ42bに加えら
れる軸方向の力がセカンダリシーブ42のベルト43の挟持
力となる。したがってこのベルト43の挟持力はプライマ
リシーブ41から入力される伝達トルクに応じた大きさと
なる。
また、雌ねじ部42kは自動車調芯機構42q及びベアリン
グ42rを介して可動シーブ42bの背部に支持されている。
さらに、雌ねじ部42kの一端外周には歯車42sが形成され
ており、この歯車42sはカウンタシャフト44bに設けられ
ている歯車44eに噛み合わされている。
そして、CVT変速用モータ44の回転が減速歯車機構44c
によって減速されてカウンタシャフト44bに伝えられ、
さらに歯車44cを介して雌ねじ部41kに伝えられる。これ
により、雌ねじ部41kが雄ねじ部41jに対して相対回転す
る。一方、カウンタシャフト44bに伝えられたCVT変速用
モータ44からの減速回転が図示されていないもう一本の
カウンタシャフトを介して42sに伝えられる。これによ
り、雌ねじ部42kが雄ねじ部42jに対して相対回転する。
これらの雌ねじ部41k,42kの相対回転により、それぞれ
のボールねじ装置41i、42iを介して両可動シーブ41b、4
2bが実線で示すアンダードライブ側と二点鎖線で示すオ
ーバドライブ側との間で固定シーブ41a、42aに対して軸
方向に同期しながら移動する。これにより無段変速が行
われる。
したがって、CVT用変速モータ44を種々の走行条件に
応じて制御することにより、両シーブ41、42の可動シー
ブ41a、42aが適宜制御され、種々の走行条件に応じた自
動変速制御が行われるようになる。
また、このCVT変速用モータ44の保持用ブレーキ49が
設けられている。これらCVT変速用モータ44及びブレー
キ49はそれぞれ電子制御装置6からの制御信号に基づい
て作動制御される。さらに、CVT変速用モータ44にはモ
ータ回転数検出手段46が設けられており、モータ回転数
検出手段46はCVT変速用モータ44の回転数nmを電子制御
装置6に出力するようになっている。さらに、プライマ
リシーブ回転数検出手段47及びセカンダリシーブ回転数
検出手段48が、それぞれ電子制御装置6に接続されてお
り、これらの検出手段47、48は、それぞれ対応するシー
ブ41、42の回転数を検出してその回転数信号np,nsを電
子制御装置6に出力するようになっている。
油圧制御装置5は、ポンプ51、ライン圧制御装置52、
ロックアップ制御装置53、選速装置54及び背圧制御装置
55を備えている。ロックアップ制御装置53は電子制御装
置6からのロックアップ制御信号Ptによってオン・オフ
制御されるソレノイド56で作動されて、ロックアップク
ラッチ21を制御するようになっている。また、選速装置
54はフォワードクラッチ31及びリバースブレーキ32を制
御するようになっている。さらに、背圧制御装置55は、
電子制御装置6からの背圧制御信号Pbによってオン・オ
フ制御されるソレノイド57で作動されてフォワードクラ
ッチ31とリバースブレーキ32とのアキュムレータの背圧
を制御するようになっている。
パターン選択手段7は、エコノミーモードEまたはパ
ワーモードPを選択設定するためのものであり、その選
択信号Psが電子制御装置6に出力するようになってい
る。
自動変速のためのシフトレバー8にはシフトポジショ
ン検出手段81が設けられている。このシフトポジション
検出手段81は、シフトレバー8のシフトポジションを検
出してその検出信号sを電子制御装置6に出力するよう
になっている。
さらに、ブレーキ9は車両を制動するブレーキであ
り、このブレーキ9にはブレーキ検出手段91が設けられ
ており、このブレーキ検出手段91からのブレーキ信号b
が同様に電子制御装置6に入力されるようになってい
る。
したがって、電子制御装置6は、スロットル開度信号
θ、A/T油温信号t、エンジン回転数信号NE/G、モータ
回転数信号nm、プライマリシーブ回転数信号np、セカン
ダシーブ回転数信号ns、パターン選択信号Ps、シフトポ
ジション信号s、及びブレーキ作動信号bに基づいて、
ロックアップ圧制御信号Pt信号、背圧制御信号Pb、CVT
変速用モータ44制御信号m、及びモータ保持用ブレーキ
信号bmをそれぞれ出力して、油圧制御装置5及びCVT4を
制御する。
また、エンジン1は第3図(a)、(b)に示すよう
なエンジン性能を有するものである。ここで、図(a)
はエンジン回転数とエンジントルクに対してとった最良
燃費曲線(F.O.L.)と最大動力曲線(P.O.L.)を示して
おり、等燃費曲線も示してある。また、図(b)はスロ
ットル開度と目標エンジン回転数に対してとったF.O.L.
とP.O.L.を示している。これらのデータは電子制御装置
6の内部データとして保存されている。
第4図はその電子制御装置6が行う機能のブロック図
である。
第4図に示すように、電子制御装置6は入力部6a、演
算部6b及び出力部6cから構成されている。
入力部6aは、モータ回転数検出手段46からの信号nm
入力されるモータ回転速度算出部611、スロットル開度
検出手段11からの信号θが入力されるスロットル開度検
出部612、ソフトタイマーを勘案してこのスロットル開
度検出部612に入力されたスロットル開度θに基づいて
スロットル変化率を検出するスロットル変化率検出部
613、プライマリシーブ回転数検出手段47からの信号np
が入力されるプライマリシーブ回転数検出部614、セカ
ンダリシーブ回転数検出手段48からの信号nsが入力され
るセカンダリシーブ回転数検出部615、このセカンダリ
シーブ回転数検出部615に入力されたセカンダリシーブ
回転数nsに基づいて車両速度Vを検出する車速検出部61
6、エンジン回転数検出手段12からの信号NE/Gが入力さ
れるエンジン回転数検出部617、このエンジン回転数検
出部617に入力されたエンジン回転数NE/Gに基づいてエ
ンジン回転数変化率E/Gを検出するエンジン回転数変
化率検出部643、パターン選択手段7からのエコノミー
モードEまたはパワーモードPの信号psが入力されるパ
ターンスイッチ検出部618、シフトポジション検出手段8
1からの信号sが入力されるシフトポジション検出部61
9、このシフトポジション検出部619に入力されたシフト
ポジションsに基づいてシフトポジション変化を検出
するシフトポジション変化率検出部620、ブレーキ検出
手段91からのブレーキ作動信号bが入力されるブレーキ
信号検出部621、バッテリー電圧検出手段101からのバッ
テリー電圧信号Vpが入力されるバッテリー電圧検出部62
2、モータ電流検出手段102からの信号imが入力されるモ
ータ電流検出部623、及び油温検出手段33からの信号t
が入力される油温検出部624からなっている。
演算部6bは、加速要求判断部625、実際のトルク比算
出部626、最良燃費及び最大動力判断部627、目標トルク
比上、下限算出部628、CVT部変速判断部629、及びCVT部
変速速度算出部630からなっている。
出力部6cは、CVT変速用モータ44の制御信号出力部6
c1、CVT4における油圧制御装置5のアキュムレータの背
圧制御信号出力部6c2、及びロックアップ制御信号出力
部6c3からなっている。
CVT変速用モータ44の制御信号出力部6c1は、変速用モ
ータ制御部631、モータ部異常検出部632、ドライバ駆動
信号発生部634、モータブレーキ異常判断部635からなっ
ている。
CVT4における油圧制御装置5のアキュムレータの背圧
制御信号出力部6c2は、背圧制御部636、背圧制御用ソレ
ノイド駆動信号発生部637、及び背圧制御用ソレノイド
異常判断638からなっている。
ロックアップ制御信号出力部6c3は、ロックアップ圧
制御部639、ロックアッップ用ソレノイド駆動信号発生
部640、及びロックアッップ用ソレノイド異常判断部641
からなっている。
そして、加速要求判断部625は、スロットル開度検出
部612からの信号、スロットル変化率検出部613からの信
号、及び車速検出部616からの信号がそれぞれ入力さ
れ、これらの各信号に基づいて加速要求がされているか
を判断し、その判断結果を最良燃費及び最大動力判断部
627に出力する。
実際のトルク比算出部626は、プライマリ回転数検出
部614からの信号及びセカンダリ回転数検出部615からの
信号が入力され、これらの各信号に基づいて実際のトル
ク比を算出してその算出結果をCVT部変速判断部629に出
力する。
最良燃費及び最大動力判断部627は、加速要求判断部6
25からの信号、パターンスイッチ検出部618からの信
号、及びシフトポジション検出部619からの信号かそれ
ぞれ入力され、これらの各信号に基づいて最良燃費特性
で制御するかあるいは最大動力特性で制御するかを判断
し、その判断結果を目標トルク比上、下限算出部628に
出力する。
目標トルク比上、下限算出部628は、最良燃費及び最
大動力判断部627からの信号、エンジン回転数変化率検
出部643からの信号、スロットル開度検出部612からの信
号、及び車速検出部616からの信号が入力され、これら
の各信号に基づいて目標トルク比の上、下限値T* max、T
* minを算出し、その算出結果をCVT部変速判断部629に出
力する。
CVT部変速判断部629は、目標トルク比上、下限算出部
628からの信号、モータ部異常検出部623からの信号、実
際のトルク比算出部626からの信号、シフトポジション
検出部619からの信号、スロットル開度検出部612からの
信号、及び車速検出部616からの信号が入力され、これ
らの各信号に基づいてCVT部のベルトトルク比を変更す
べきか否かの判断を行い、その変速信号をCVT部変速速
度算出部630、ドライバ駆動信号発生部633及びモータブ
レーキ駆動信号発生部634にそれぞれ出力する。
CVT部変速速度算出部630は、CVT部変速判断部629から
の信号、シフトポジション変化検出部620からの信号、
シフトポジション検出部619からの信号、車速検出部616
からの信号、スロットル変化率検出部613からの信号、
及びブレーキ信号検出部621からの信号が入力され、こ
れらの各信号に基づいて現時点での要求を実現するため
のCVT部変速速度を算出して変速用モータ制御部631に出
力する。
変速用モータ制御部631は、モータ回転速度算出部611
からの信号、バッテリー電圧検出部622からの信号、及
びCVT部変速速度算出部630からの信号に基づいてドライ
バ駆動信号発生部633に信号を出力する。この信号によ
り、要求されているCVT4部の変速を実現するためにモー
タ44回転方向とモータ44にかける電圧が制御される。
モータ部異常検出部632は、モータ回転速度算出部611
からの信号、バッテリー電圧検出部622からの信号、モ
ータ電流検出部623からの信号、及びモータブレーキ異
常判断部635からの信号に基づいて、モータ44の過電
流、モータ44の速度の飽和、及びモータ44のロック状態
等の異常を検出し、その検出信号をCVT部変速判断部629
に出力する。
ドライバ駆動信号発生部633は、変速用モータ制御部6
31からの信号及びCVT部変速判断部629からの信号に基づ
いて、CVT変速用モータ44に変速指令があった場合にモ
ータ駆動用ドライバーに与える電圧信号を発生させ、CV
T変速用モータ44に出力する。
モータブレーキ駆動信号発生部634は、CVT部変速判断
部629からの信号に基づいて、CVT変速用モータ44に変速
指令があった場合にモータ保持用ブレーキ49を開放する
ように信号を出力する。また、この信号はモータブレー
キ異常判断部635にも出力される。
モータブレーキ異常判断部635は、モータブレーキ駆
動信号発生部634からの信号に基づいて、ブレーキ動作
電圧を監視し、断線及び短絡等の異常を検出すると共
に、その信号をモータ異常検出部632に出力する。
背圧制御部636は、スロットル開度検出部612からの信
号、シフトポジション検出部619からの信号、シフトポ
ジション変化検出部620からの信号、及び油温検出部624
からの信号、及び背圧制御用ソレノイド異常判断部638
からの信号に基づいて、N→D、N→R切換時のシフト
フィーリングの制御行うべく、背圧制御用ソレノイド駆
動信号発生部637に制御信号を出力する。
背圧制御用ソレノイド駆動信号発生部637は、背圧制
御部636からの信号に基づいて、背圧制御用ソレノイド5
7にソレノイド駆動用信号を出力すると共に、背圧制御
用ソレノイド異常判断部638にも信号を出力する。
背圧制御用ソレノイド異常判断部638は、背圧制御用
ソレノイド駆動信号発生部637からの信号に基づいて、
背圧制御用ソレノイド57の断線または短絡等の異常を判
断検出し、その信号を背圧制御部636に出力する。
ロックアップ圧制御部639は、スロットル開度検出部6
12からの信号、プライマリ回転数検出部614からの信
号、エンジン回転数検出部617からの信号、油温検出部6
24からの信号、及びロックアップ用ソレノイド異常判断
部641からの信号に基づいて、ロックアップのオン、オ
フ、デューティのいずれを決定し、その結果をロックア
ップ用ソレノイド駆動信号発生部640に出力する。
ロックアップ用ソレノイド駆動信号発生部640は、ロ
ックアップ圧制御部639からの信号に基づいてロックア
ップ用ソレノイド56にソレノイド駆動用信号を出力する
と共に、ロックアップ用ソレノイド異常判断部641にも
信号を出力する。
ロックアップ用ソレノイド異常判断部641は、ロック
アップ用ソレノイド駆動信号発生部640からの信号に基
づいて、ロックアップ用ソレノイド56の断線や短絡等の
異常を判断検出し、その信号をロックアップ圧制御部63
9に出力する。
次に電子制御装置6が行う制御について説明する。第
5図はその制御のメインフローを示す図である。
まず、ステップ1000において一定時間t1が経過したか
否かの判断を行う。一定時間t1経過時にCVTの制御を開
示する。ステップ1001において各検出手段からの入力デ
ータの読み込みを行う。これは、各検出手段からの信号
を、入力部6aが電子制御装置6で処理できるようにデジ
タル値として読み込む。次にステップ1005で、実際のト
ルク比の算出処理を行う。これは、プライマリ回転数
np、セカンダリ回転数nsより、実際のトルク比(ベルト
比)Tpを、式 Tp=np/ns に基づいて算出する。
次にステップ1006で、目標トルク比の上、下限算出処
理を行う。これは、実際のスロットル開度θ、車速V、
現在の走行モードps(パワーモードPまたはエコノミー
モードE)より、目標回転数の上、下限値を求め、この
目標回転数の上、下限値と車速Vとにより、目標トルク
比の上、下限値を算出する。すなわち、第6図(a)に
示すようにステップ1007で、ロックアップがオフか否か
を判断する。ロックアップがオフであれば、ステップ10
08で、目標トルク比T*を、スロットル開度θとエンジン
回転数NE/G、あるいはエンジン回転数NE/Gとプライマリ
回転数npより求められるトルクコンバータT/C22のトル
ク比Tと、車両及び駆動系の状態、例えばあらかじめ固
定メモリに記憶させてあるエンジン回転数NE/Gと、スロ
ットル開度θに対するエンジントルクTeと、エンジン回
転数変化率E/Gから算出するエンジン角速度変化率
と、エンジン、T/Cなどのインプット系の慣性モーメ
ントIと、無段変速部のトルク容量やタイヤのスリップ
限界から決まる必要駆動力から求まる必要出力トルクT
outとから、式 K=Tout/(Te−I・) で求められる係数Kとの比、すなわち式 T*=K/T から求める。
次にステップ1009で、求めた目標トルク比T*がアンダ
ードライブU/D状態のトルク比TU/Dより大きいか否かを
判断する。目標トルク比T*がアンダードライブU/D状態
のトルク比TU/Dより小さければ、ステップ1010で目標ト
ルク比T*の値を上限の目標トルク比T* maxとして決定す
る(T* max=T*)と共に、目標トルク比T*の値と下限目
標トルク比を算出する係数ΔTとの差を下限の目標トル
ク比T* minとして決定する。また、ステップ1007でロッ
クアップがオンのとき、及びステップ1009で目標トルク
比T*がアンダードライブU/D状態のトルク比TU/D以上の
ときは、ステップ1011でスロットル開度θと記憶されて
いるエンジン性能データ等から後述するようにして目標
エンジン回転数の上、下限値N* max、N* minを算出する。
次にステップ1012で、N* max、N* minを用いて、上限の目
標トルク比T* max及び下限の目標トルク比T* minを、それ
ぞれ式 T* max=N* max×α/V T* min=N* min×α/V から求める。
次に、第5図に示すようにステップ1013で、CVT部変
速判断処理を行う。これは、実際のトルク比、目標トル
ク比、車速、シフトポジション、ブレーキ、CVT用モー
タ44、及び保持用ブレーキ49の状態から、アップシフト
方向、またはダウンシフト方向へどれくらいの速さで変
速するべきかを判断する。このCVT部変速判断処理は、
第7図に示すフローにしたがって行われる。すなわち、
ステップ1017でCVT変速用モータ44が正常であるか否か
を判断する。CVT変速用モータ44が正常であれば、ステ
ップ1018でシフトポジションがD,SH,SLのいずれかであ
るか否かを判断する。シフトポジションがD,SH,SLのい
ずれかであれば、ステップ1019で車速が0でないかどう
かを判断する。車速が0でなければ、ステップ1020で実
際のトルク比Tpが下限の目標トルク比T* minより小さい
か否かを判断する。実際のトルク比Tpが下限の目標トル
ク比T* minより小さくなければ、ステップ1021で実際の
トルク比Tpが上限の目標トルク比T* maxより大きいか否
かを判断する。実際のトルク比Tpが上限の目標トルク比
T* maxより大きければ、ステップ1022で変速方向をアッ
プシフトに指令する。またステップ1020で実際のトルク
比Tpが下限の目標トルク比T* minより小さければ、ステ
ップ1023で変速方向をダウンシフトに指令する。ステッ
プ1022でのアップシフト指令後またはステップ1023での
ダウンシフト指令後、ステップ1042で目標変速速度を
算出する。この目標変速速度は、第8図に示すように
目標トルク比と実際のトルク比との偏差量xと現在の車
速Vとの関数{=f(x,V)}で表される。すなわ
ち、これら偏差量xと車速Vとにより、目標変速速度
が設定される。ステップ1017〜1019及び1021において、
それぞれの判断がNOであるときは、ステップ1041で変速
停止指令を行う。したがって、この場合には変速は行わ
れない。
次に、ステップ1014で、モータ制御処理を行う。これ
は、CVT変速部判断処理より算出された変速速度を実現
すべく現在のモータ回転数、バッテリー電圧に基づい
て、モータ駆動信号を制御する。すなわち、第9図に示
すフローにおいて、まずステップ1042でCVT変速部にア
ラームが有りか否かを判断する。アラームがなければ、
ステップ1043で実際のモータ回転数MVPを算出する。次
いで、ステップ1044で目標変速速度eと実際のトルク比
Tpとから目標モータ回転数MVTGTを算出する。この目標
モータ回転数MVTGTは、第10図に示すように目標変速速
度eと実際のトルク比Tpとの関数{MVTGT=f(,
Tp)}で表される。すなわち、これら目標変速速度と
実際のトルク比Tpとにより、目標モータ回転数MVTGTが
設定される。さらにステップ1045で実際のモータ回転数
と実際のバッテリ電圧とから基本デューティ比DBas{=
f1(MVP,Vp)}を算出する。次に、ステップ1046で目標
回転数と実際の回転数との差と実際のバッテリ電圧とか
ら補正デューティ比DCRT{=f2(MVTGT−MVP,Vp)}を
算出する。そして、これらDBas及びDCRTから制御デュー
ティ比DCTL(=DBas+DCRT)を算出する。その場合、各
デューティ比を算出するにあっては、第11図に示すモー
タ回転数とデューティ比との関係図が用いられる。ま
た、ステップ1042でアラームがあれば、ステップ1048で
制御デューティ比DCTL=0に設定する。最後にステップ
1049で、第12図に示すモータ駆動用ドライバ回路に制御
デューティ比が出力され、モータ44が駆動制御される。
次にステップ1015で、背圧用ソレノイド制御処理を行
う。これは、スロットル開度θ、シフトポジション、及
び油温に基づいて、アキュムレータの背圧を制御する。
最後にステップ1016で、ロックアップ用ソレノイド制
御処理を行う。これは、プライマリ回転数np、エンジン
回転数NE/G、スロットル開度θ、及び油温tに基づいて
ロックアップ圧用ソレノイド56を制御する。
ところで、本発明においては、目標エンジン回転数N*
の上下限値N* max、N* minを、従来のよう目標エンジン回
転数N*に等しいΔN増減して設定するのではなく、その
上下限値における目標エンジン回転数を定めたエンジン
性能の値がほぼ等しくなるように設定するものである。
すなわち、例えば、目標エンジン回転数を最大動力曲線
(P.O.L.)から定めた場合は、馬力がエンジン回転数N*
max及びN* minにおいてほぼ等しくなるように、また、目
標エンジン回転数を最良燃費曲線(P.O.L.)から定めた
場合は、燃費がエンジン回転数N* max及びN* minにおいて
ほぼ等しくなるように定めるものである。
まず、目標エンジン回転数N*を最大動力曲線(P.O.
L.)から定める場合について説明する。第13図に第22図
と同様の最大動力曲線を示す。本発明の場合、目標エン
ジン回転数N*に設ける上下限値N* max、N* minの幅N* max
−N* minは、第22図の従来技術と同様に2ΔNである。
しかしながら、この場合は、N* minにおける動力性能
(馬力)とN* maxにおける動力性能(馬力)とをほぼ等
しくなるように(図の場合、共に等馬力線L3上にあ
る。)上下限値N* max、N* minを選択している。エンジン
回転数NE/Gの変化に対する馬力変化の関係を第14図に示
してあり、N* max−N*とN*−N* minの幅は異なることにな
るが、上下限の回転数における馬力は等しくL3になる。
従来の第23図の場合と比較すると明らかなように、この
L3はL1とL2の間に位置するから、スロットル開度θ
馬力のバラツキ範囲は、従来はL0とL2の間であったもの
が、L0とL3の間に挟まることになる。すなわち、本実施
例によると、エンジン回転数の目標エンジン回転数をは
さんだ許容変動幅が従来のものと同じである場合、動力
の変動幅が小さくなることになる。
このような目標エンジン回転数N*の上下限値N* max、N
* minを定めるためには、まず、上下限値の幅(2ΔN)
がスロットル開度θによってのみ決定される場合は、予
め各θに対して上記の条件を満足するN* max、N* minを求
めて第15図に示したようなテーブルを作成してこれを電
子制御装置6中に記憶しておき、第6図のステップ1011
において入力したスロットル開度θに応じたN* max、N*
minを読み出せばよい。この場合のデータの分解能は、
スロットル開度センサー11の分解能と同様にしておけば
よい。また、スロットル開度θの分解能が高い場合に
は、θに対するN* max、N* minを関数で近似して第16図に
示したような関数N* max=f1(θ)、N* min=f2(θ)と
して、第15図のテーブルの代わりに電子制御装置6中に
記憶しておく。上記上下限値の幅がスロットル開度θの
みによって決まらない場合(ΔN=g(θ,x1,x2,・
・・)は、各θに対して軸トルクとエンジン回転数の関
係を電子制御装置6中に記憶しておき、第6図のステッ
プ1011において第17図のフローによってN* max、N* min
決定する。すなわち、まず、ステップ1050において、目
標エンジン回転数N*にそのスロットル開度θのときの上
下限値の幅N* max−N* min=2ΔNの2分の1のΔNを増
減してN* max、N* minを与える。次いで、ステップ1051に
おいて、記憶されているエンジン性能からそれからの上
下限値に対応する軸トルクt* max、t* minを求める。そし
て、ステップ1052において、求めたN* max、N* minとt*
max、t* minから上記上下限値における馬力P1、P2を求
め、ステップ1053において、P1、P2の大小関係をみるた
めに、X≧0においてSIG(X)=1、X<0においてS
IG(X)=−1なる関数SIG(X)を定義して、P1−P2
の符号を示すフラグFLG=SIG(P1−P2)を設定する。そ
して、ステップ1054においてこのフラグFLGの正負を判
定し、フラグFLGが正すなわちP1−P2が0以上の場合、
ステップ1055に進み、ステップ1050で与えたN* max、N*
minからエンジン回転の微小変化δ(δ≪ΔN)を減算
してこれらを新たなN* max、N* minとし、またフラグFLG
が負すなわちP1−P2が0より小さい場合、ステップ1056
に進み、ステップ1050で与えたN* max、N* minに微小変化
δを加算してこれらを新たなN* max、N* minとする。次い
で、ステップ1057に進み、ステップ1055又は1056におい
て新たに設定された上下限値に対応する軸トルク
t* max、t* minを求め、ステップ1058において新たな馬力
P1、P2を求める。そして、ステップ1059において、ステ
ップ1053において設定したフラグFLGを変数とする関数S
IG(FLG)と新たに設定した馬力の差P1−P2を変数とす
る関数SIG(P1−P2)の積からなる変数Jを定義し、ス
テップ1060において、この変数Jの正負を判定する。J
が正である限り、ステップ1055又は1056において微小変
化δを減算又は加算しても、P1とP2の大小関係が変化し
ないのであるから、ステップ1054に戻り、上記と同様な
処理を繰り返す。そして、Jが負になった瞬間、すなわ
ち、P1とP2が等しくなったか、P1とP2の大小関係が変わ
って一方が僅かに大きくなったときにこのサイクルが終
了し、そのときのN* max、N* minが馬力の等しい目標エン
ジン回転数の上下限値となる。
さて、次に、目標エンジン回転数N*を最良燃費曲線
(F.O.L.)から定める場合について説明する。この場合
は、目標エンジン回転数の上下限N* max、N* minにおいて
は、第18図に示したように、N* max−N* min=2ΔNのま
ま、N* maxにおける燃費Fc1=Fc2=Fc4となるように決定
すればよい。従来の第25図の場合と比較すると明らかな
ように、このFc4はFc2とFc1の間に位置する。このた
め、N* min<N*<N* maxの範囲での燃費のバラツキの幅WN
は、 WN=Fc0−Fc4(Fc0:N*での燃費) となり、従来の場合のバラツキの幅W0=Fc0−Fc1に比較
して、 WN<W0 であり、燃費のバラツキの幅が改善される。
このような条件を満足する目標エンジン回転数N*の上
下限値N* max、N* minの求め方を説明すると、スロットル
開度θのとき、エンジントルクtθはtθ=fθ(NE/G)
oしたがって、馬力Pは、 Pθ=NE/G・tθ=NE/G・fθ(NE/G) 一方、第19図(a)に示したような等燃費曲線a1
a2、a2・・・anとスロットル開度θの曲線から、同図
(b)のような単位馬力当たりの燃量消費率Lθとエン
ジン回転数NE/Gとの関係が求まり、これをLθ=g
θ(NE/G)とする。これにより、スロットル開度θでの
燃費Fcθとエンジン回転数NE/Gとの関係は、 Fcθ=V/(Pθ・Lθ)=V/(NE/G・fθ(NE/G)・
θ(NE/G)) となる。よって、Fcθ=Fcθ(NE/G)である。K=
Fc(NE/G)(ただし、K<Fco)を満たすNE/G=N1、N2
(N1>N2)を求め、N1−N2=2ΔNとなったとき、 N* max=N1、N* min=N2 とする。このようにして、予め各θに対して上記の条
件を満足するN* max、N* minを求めて、最大動力曲線の場
合と同様に、第15図に示したようなテーブルを作成して
これを電子制御装置6中に記憶しておき、第6図のステ
ップ1011において入力したスロットル開度θに応じたN*
max、N* minを読み出せばよい。
以上は、目標エンジン回転数N*を最大動力曲線、最良
燃費曲線から定める場合について説明したが、本発明は
これらに限らず、その他の性能、例えば最大トルク曲
線、最適フィーリング曲線から定める場合にも適用でき
ることは明らかであろう。
以上のように、本発明においては、無段変速機の入力
回転数である目標エンジン回転数の上下限値N* max、N*
minを、従来のよう目標エンジン回転数N*に等しいΔN
増減して設定するのではなく、上下限値の幅を変えない
でその上下限値における目標エンジン回転数を定めた動
力性能、燃費性能、トルク性能等のエンジン性能の値が
等しくなるように設定するものであり、こうすることに
より、特定のエンジン性能が目標エンジン回転数の上下
限においてほぼ等しくなるだけでなく、この範囲でのそ
の性能のバラツキがこのようにバランスをとらない場合
に比較して小さくなる。したがって、制御の安定性を損
なうことなしに、その性能を十分に発揮させることがで
きるようになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる無段変速機の制御装置の1実施
例が適用されるトルクコンバータを備えた無段変速機の
1例を示す断面図、第2図はこの実施例のシステム構成
図、第3図はエンジン性能を示す図、第4図は電子制御
装置のブロック図、第5図は電子制御装置による制御の
メインフローを示す図、第6図は目標トルク比の上下限
算出処理を行うためのフローを示す図、第7図はCVT部
変速判断処理を行うためのフローを示す図、第8図は目
標エンジン回転数と実際のエンジン回転数との偏差量に
対する目標変速速度の関係を示す図、第9図はモータ制
御処理を行うためのフローを示す図、第10図は目標変速
速度に対する目標モータ回転数の関係を示す図、第11図
はモータ回転数とデューティ比との関係を示す図、第12
図はモータの電気回路を示す図、第13図は本発明の1実
施例による上下限設定を示すためのエンジン回転数と軸
トルクに対してとった最大動力曲線、スロットル開度、
等馬力線を示すエンジン性能図、第14図は本発明の1実
施例のエンジン回転数の変化に対する馬力変化の関係を
示す図、第15図は本発明の1実施例において予め各スロ
ットル開度に対して求めた上下限値のテーブルを説明す
るための図、第16図はスロットル開度に対する上下限値
を近似した関数を説明するための図、第17図は第6図の
ステップ1011において上下限値を求めるフローの1例を
示す図、第18図は本発明の1実施例のエンジン回転数の
変化に対する燃費変化の関係を示す図、第19図は本発明
の他の実施例によって上下限値の求め方を説明するため
の図、第20は目標エンジン回転数に上下限値を設ける場
合と設けない場合の変速制御状態を示すための図、第21
図は従来の目標エンジン回転数の上下限値の設定の仕方
を説明するための図、第22図はエンジン回転数と軸トル
クに対してとった最大動力曲線、スロットル開度、等馬
力線を示すエンジン性能図、第23図は従来例のエンジン
回転数の変化に対する馬力変化の関係を示す図、第24図
はエンジン回転数と軸トルクに対してとった最良燃費曲
線、スロットル開度、等馬力線、等燃費曲線を示すエン
ジン性能図、第25図は従来例のエンジン回転数の変化に
対する燃費変化の関係を示す図である。 1……エンジン、2……発進装置、3……前後進切換装
置、4……Vベルト式無段変速部、5……油圧制御装
置、6……電子制御装置、7……パターン選択装置、8
……シフトレバー、9……ブレーキ、11……スロットル
開度検出手段、12……エンジン回転数検出手段、41……
プライマリシーブ、42……セカンダリシーブ、43……V
ベルト、44……CVT変速用モータ、46……モータ回転数
検出手段、47……プライマリシーブ回転数検出手段、48
……セカンダリシーブ回転数検出手段、81……シフトポ
ジション検出手段、91……ブレーキ検出手段、104……
ステアリング、628……目標トルク比上、下限算出部、6
29……CVT部変速判断部、630……CVT部変速速度算出
部、6c……出力部、6c1……制御信号出力部、6c2……ア
キュムレータの背圧制御信号出力部、6c3……ロックア
ップ制御信号出力部、1006……目標トルク比の上、下限
算出処理ステップ、1011……目標エンジン回転数の上下
限値算出ステップ、1012……上限の目標トルク比及び下
限の目標トルク比算出ステップ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジン性能に基づいた特定の特性値が最
    適になる目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、 該目標回転数を挟んで上限値と下限値を設ける上下限値
    設定手段とを備え、 無段変速機の実際の入力回転数が前記上限値と下限値と
    の間にある場合には変速を行わず、前記上限値と下限値
    との間にない場合には前記実際の入力回転数が前記目標
    回転数となるように変速比を制御する無段変速機の制御
    装置において、 前記上下限値設定手段は設定した上下限の入力回転数に
    おける前記特性の特性値がほぼ等しくなるように上下限
    値を設定するように構成されていることを特徴とする無
    段変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】前記目標回転数は最大動力曲線に基づいて
    設定された値であり、前記上下限値設定手段によって設
    定された上下限の入力回転数における動力がほぼ等しく
    なるように構成されていることを特徴とする請求項1記
    載の無段変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】前記目標回転数は最良燃費曲線に基づいて
    設定された値であり、前記上下限値設定手段によって設
    定された上下限の入力回転数における燃費が等しくなる
    ように構成されていることを特徴とする請求項1記載の
    無段変速機の制御装置。
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