JP2779690B2 - 穿孔装置及び穿孔方法 - Google Patents

穿孔装置及び穿孔方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、ロッドやロックボルト等の鋼棒を用いた、
穿孔装置及び穿孔方法に関するものである。
〈従来の技術〉 ロッドやロックボルト等の鋼棒の尾端から打撃、回転
を与えて穿孔する技術に対して、鋼棒の中間を把持して
打撃、回転を与えて穿孔する技術が開発されている。
この形式であると、尾端からエネルギーを与える形式
の装置に比較して打撃力や回転力が鋼棒のたわみによっ
て吸収されるといったロスがなく、作業足場の設置も容
易で迅速な作業が行える、といった長所を有する。
こうした装置においては、打撃と回転をいかに効率よ
く鋼能に伝達するか、またいかに効率良く鋼棒を把持し
続けるか、が重要な点である。
〈本発明の目的〉 本発明は、ドリフタの回転と打撃を、効率よく鋼棒に
伝達することができる穿孔装置及び穿孔方法を提供する
ことを目的とする。
〈問題点を解決するための手段〉 すなわち本発明は、両端開放型の中空ドリフタと、こ
のドリフタに貫通させた鋼棒と、この鋼棒を把持、開放
可能に配置したクサビを有し、かつ前記ドリフタと連結
した把持装置とよりなり、前記鋼棒の外周面にはネジ山
を突設し、また前記クサビの鋼棒を把持する面には、鋼
棒のネジ山と嵌合する溝を刻設した、穿孔装置である。
また、上記の穿孔装置を用いた穿孔方法であって、前
記クサビの溝と前記鋼棒のネジ山を嵌合させて、クサビ
により鋼棒を把持し、次に前記ドリフタを作動させて、
ドリフタの回転力をクサビに伝達し、クサビを鋼棒のネ
ジ山と反対回りで回転させるとともに、ドリフタの軸方
向の打撃力を、クサビを介して鋼棒に伝達して穿孔を行
う穿孔方法である。
〈本発明の説明〉 以下、本発明を詳細に説明する。
〈イ〉ドリフタ ドリフタDは特に両端開放の中空孔を貫通した公知の
装置を使用する。
すなわち中空のピストンD1と中空の伝達筒D2よりな
り、この伝達筒D2に対してピストンD1の軸方向の打撃運
動と、モータからの回転運動とが与えられる。
ピストンD1も伝達筒D2も、その中心には鋼棒1が自由
に貫通できる直径の中空孔を開口してある。
〈ロ〉鋼棒 鋼棒1は、穿孔に使用するロッドやロックボルトであ
り、その外周面には、右回りあるいは左回りのネジ山11
を突設する。
このネジ山11は、鋼棒1に回転及び打撃を十分に伝達
できるように、高さ及び巾、ピッチ等を設定する。
〈ハ〉把持装置の構造 把持装置2は以下の部材より構成される。
(1)クサビ収納筒(第3図) クサビ収納筒3は、中空の管体であって、軸方向に鋼
棒1を貫通させる貫通孔31を有し、かつ外面には、複数
のクサビ収納孔32を円周方向に並べて開設する。
クサビ収納孔32を開設する場合は、円周方向に二箇
所、三箇所、四箇所等任意に開設する。
このクサビ収納孔32は、クサビ収納筒3の軸とほぼ平
行な回転伝達面33と、軸とほぼ直角な打撃伝達面34とで
囲まれている。
クサビ収納筒3の一端には、拡径した中空の連結部35
を設ける。
この連結部35の内周面には内ネジ36を刻設し、また連
結部35の反対側の縁部には段差部37を形成する。
一方、クサビ収納筒3の連結部35の反対側の端部に
は、段差部38を設け、その段下部38の端部外周面には外
ネジ39を刻設する。
(2)クサビ(第2図) クサビ4は、クサビ収納孔32内に収納可能な形状に構
成する。
このクサビ4をクサビ収納孔32内に収納したときに、
クサビ収納筒3の軸心側に位置する鋼棒1の把持面41に
は、鋼棒1のネジ山11に嵌合する形状の溝42刻設する。
一方、把持面41の反対側の面には、一端に向かって次
第に肉薄になるように外斜面43を形成し、その外斜面43
の反対側の縁部には、係止部44を突設する。
なお、鋼棒1に嵌合したクサビ4を開放する手段とし
ては、周方向に配置した複数のクサビ4内に、弾性を有
するスプリングリングを周方向に埋め込み、スプリング
リングの拡径しようとする力によって開放する構造等を
採用できる。
(3)ピストン(第1図) ピストン5は、クサビ収納筒3に外装した中空の筒体
である。
このピストン5は、クサビ収納筒3の軸と平行に往復
摺動可能に装着し、かつクサビ4側の端部内面には、内
斜面51を形成する。
この内斜面51は、クサビ4の外斜面43と係合する寸法
に形成する。
また、内斜面51の反対側の端部は拡径し、その両端面
を、それぞれ油圧作用面52、53とする。
(4)シリンダ(第1図) シリンダ6は、ピストン5の外周囲に遊嵌状態で装着
した中空の筒体である。
このシリンダ6には、油圧ホース等を連結するため、
ドリフタDからの回転が伝わらないようにする。
そのためには、シリンダ6の内周面にオーリング等を
取り付けて、円周方向に摺動可能に構成する。
(5)油圧回路(第1図) 油圧回路は、ピストン5を、鋼棒1の軸と平行に往復
移動さるものである。
例えば、第1図に示すように、シリンダ6に油圧流出
入口61を開口し、この油圧流出入口61を環状の油圧室62
に連通させる。
一方、ピストン5をクサビ4に完全に係合させた状態
において、油圧作用面53の周囲に環状の油圧室63を設
け、この油圧室63とシリンダ6に開口した油圧流出入口
64を連通する。
(6)先端カバー(第1図) 先端カバー7は中空の筒体であり、シリンダ6のドリ
フタDと反対側の開放端を閉塞するカバーである。
この先端カバー7の一端には内ネジ71を刻設し、クサ
ビ収納筒3の外ネジ39と螺合させる。
また、先端カバー7の他端の外周には段差部72を形成
し、クサビ収納筒3とシリンダ6との間に位置させる。
なお、油圧室62の油圧漏れを防止するために、先端カ
バー7のクサビ収納筒3とシリンダ6との接触面に、オ
ーリング等を取り付けて密閉する。
〈ニ〉各部材の組立て(第1図) 先ず、ドリフタDの伝達筒D2の先端と、クサビ収納筒
3の内ネジ36を螺合する。
なお、伝達筒D2とクサビ収納筒3とは、予め一体に製
造しておいてもよい。
次に、クサビ収納孔32内に、クサビ4を収納する。
この場合、クサビ4の外斜面43を、連結部35の反対側
に向けて収納する。
次に、シリンダ6の一端を、クサビ収納筒3の段差部
37に遊嵌状態ではめ合わせ、クサビ収納筒3の周囲に位
置させた状態で、クサビ4とシリンダ6との間に、ピス
トン5を挿入する。
ピストン5は、内斜面51がクサビ4側に向くように装
着する。
そして最後に、先端カバー7の内ネジ71と、クサビ収
納筒3の外ネジ39を螺合させ、また先端カバー7の段差
部72を、クサビ収納筒3とシリンダ6との間に位置させ
て、先端カバー7を装着する。
〈穿孔方法〉 以下、上記装置を用いた穿孔方法について説明する。
〈イ〉鋼棒の把持 上記のように構成した把持装置2及びドリフタDに、
鋼棒1を貫通させる。
次に、油圧流出入口61から油圧室62内に圧力をかけ、
ピストン5の油圧作用面52を、クサビ4側に押圧する。
すると、ピストン5の内斜面51とクサビ4の外斜面43
が係合するため、クサビ4の嵌合溝42と鋼棒1のネジ山
11とが嵌合する。
従って、鋼棒1を確実に把持することができる。
〈ロ〉回転、打撃の伝達 上記のようにクサビ4と鋼棒1を嵌合させた後、ドリ
フタDを作動させて、ドリフタDの回転力をクサビ4に
伝達する。
ドリフタDの回転と打撃力は、伝達筒D2からクサビ収
納筒3に伝達され、クサビ収納孔32の回転伝達面34及び
打撃伝達面34から、さらにクサビ4に伝達される。
そして、クサビ4の把持力によって、鋼棒1にドリフ
タDの回転及び打撃力を伝達することができる。
〈ハ〉穿孔(第1、4図) 本発明の穿孔方法の特徴は、クサビ4を鋼棒1のネジ
山11と反対回りで回転させる点にある。
即ち、ネジ山11が左回りに突設されている場合は、ク
サビ4を右回りで回転させ、またネジ山11が右回りに突
設されている場合は、クサビ4を左回りで回転させるも
のである。
そして、ネジ山11と反対回りの回転を与えるととも
に、ドリフタDの軸方向の打撃力をクサビ4を介して鋼
棒1に伝達して穿孔を行う。
〈ニ〉鋼棒の開放 鋼棒1の推進とともに、把持装置2及びドリフタDは
地山等に接近する。
このとき一旦穿孔を中断し、クサビ4を開放し、把持
装置2及びドリフタDを後退させて、再び鋼棒1を把持
して穿孔を行う。
このようなクサビ4の把持、開放を繰り返しながら、
鋼棒1を地山内の所定の深度まで徐々に推進させるわけ
である。
鋼棒を開放する場合は、油圧流出入口64より油圧室63
に圧力をかけ、ピストン5の油圧作用面53を押し戻す。
これによって、クサビ4の外斜面43と、ピストン5の
内斜面51との嵌合が外れ、鋼棒1が開放される。
なお、クサビ4には、係止部44が設けられており、鋼
棒1を引き抜いた時に、係止部44がクサビ収納孔32の縁
部に係止されるため、クサビ収納孔32内に落ち込むのを
防止することができる。
〈本発明の作用〉 次に、本発明の作用について説明する。
先ず、クサビ4を鋼棒1のネジ山11と同じ方向に回転
させた場合について考えると、この場合にはクサビ4は
ネジ山11に沿って回転してしまい、鋼棒1を把持しない
で単独で推進方向に滑動し易くなる。
何故なら、クサビ4の滑動方向と、把持装置2及びド
リフタの移動方向(掘進方向)が同じであり、クサビ4
の滑動を助長するからである。
そのため、クサビ4の把持面41と鋼棒1の表面間の摩
擦抵抗が減少し、鋼棒1を確実に把持することが困難で
ある。
それに対して本発明は、クサビ4を鋼棒1のネジ山11
と反対回りに回転させる穿孔技術である。
そのため、クサビ4の滑動方向(反掘進方向)と、把
持装置2及びドリフタの移動方向が正反対になる。
従って、クサビ4の把持面41と鋼棒1の表面間の摩擦
抵抗が増大し、確実に鋼棒1を把持することができるわ
けである。
〈本発明の効果〉 本発明は上記したような構造であるから、次のような
効果を達成することができる。
〈イ〉本発明は、クサビの嵌合溝と鋼棒のネジ山とを嵌
合させて鋼棒を把持し、クサビを鋼棒のネジ山と反対回
りに回転させる穿孔技術である。
そのため、確実にクサビによって鋼棒を把持すること
ができる。
従って、ドリフタの回転と打撃を、効率良く鋼棒に伝
達することができ、穿孔作業の能率を向上させることが
できる。
〈ロ〉従来は、鋼棒の表面に軸方向及び周方向の突起を
加工し、この鋼棒の周囲にクサビを配置し、このクサビ
には鋼棒の突起と嵌合する凹凸面を形成し、この凹凸面
により鋼棒を把持するよう構成されていた。
そのため、鋼棒の製造コストが高くなるという問題が
発生する。
それに対して本発明の把持装置は、鋼棒の表面に周方
向のネジを突設するのみで、回転及び打撃力を効率よく
伝達することができる。
そのため、鋼棒に軸方向の突起の加工が不要であり、
鋼棒の製造コストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図:穿孔装置全体の断面図 第2図:クサビの斜視図 第3図:クサビ収納筒の斜視図 第4図:穿孔方法の説明図
フロントページの続き (72)発明者 大原 孝彦 東京都新宿区西新宿1丁目25番1号 大 成建設株式会社内 (72)発明者 松澤 邦彦 神奈川県相模原市田名3000番地 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E21B 6/00 E21C 1/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転力及び打撃力が与えられる伝達筒を有
    し、かつ両端を開放した中空ドリフタと、 このドリフタに貫通させた鋼棒と、 前記伝達筒と連結して回転力及び打撃力が伝達されるク
    サビ収納筒と、このクサビ収納筒に収納され、回転力及
    び打撃力が伝達されるとともに、前記鋼棒を把持、開放
    可能なクサビを有する把持装置とよりなり、 前記鋼棒の外周面にはネジ山を突設し、 また前記クサビの鋼棒を把持する面には、鋼棒のネジ山
    と嵌合する溝を刻設した、 穿孔装置。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載の穿孔装置を用
    いた穿孔方法であって、 前記クサビの溝と前記鋼棒のネジ山を嵌合させて、クサ
    ビにより鋼棒を把持し、 次に前記ドリフタを作動させて、ドリフタの回転力をク
    サビに伝達し、 クサビを鋼棒のネジ山と反対回りで回転させるととも
    に、 ドリフタの軸方向の打撃力を、クサビを介して鋼棒に伝
    達して穿孔を行う、 穿孔方法。
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