JP2779340B2 - 揺動型スプレー式レトルト殺菌方法及び装置 - Google Patents

揺動型スプレー式レトルト殺菌方法及び装置

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JP2779340B2
JP2779340B2 JP8027806A JP2780696A JP2779340B2 JP 2779340 B2 JP2779340 B2 JP 2779340B2 JP 8027806 A JP8027806 A JP 8027806A JP 2780696 A JP2780696 A JP 2780696A JP 2779340 B2 JP2779340 B2 JP 2779340B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品や医薬品等の
内容物を容器(パウチ、缶詰、ビン詰等)内に密封充填
した製品を昇温、加熱、冷却のレトルトサイクルプロセ
スで加熱殺菌処理する揺動型スプレー式レトルト殺菌方
法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の加熱殺菌処理には、スプ
レー式レトルト殺菌機が提供されている。このスプレー
式レトルト殺菌機は、製品を載置したトレーを複数段積
み重ねて殺菌槽内に収容し、トレー間の隙間に向けて配
置したスプレーノズルから熱水あるいは蒸気等を噴霧し
て製品を加熱殺菌した後、スプレーノズルから冷却水を
噴霧して製品を冷却するものである(実公平3−319
7号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のスプレー式レト
ルト殺菌機は、殺菌槽内で製品を水平に静置して加熱殺
菌処理を行っているため、容器内の内容物への伝熱促進
効果が低い。特に、大型容器で粘度の高い液が入ってい
る場合、中心部の温度変化が大幅に遅くなる。このよう
な場合、加熱殺菌処理は内容物全体に施すことが必要で
あるため、中心部の温度が目標値に達するまでスプレー
ノズルから熱水等を噴霧し続ける必要があり、処理時間
が長くなっていた。
【0004】本発明の目的は、容器内の内容物への伝熱
促進効果を高めて殺菌処理時間を短縮し得る揺動型スプ
レー式レトルト殺菌方法及び装置を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、上述の
目的を達成するために、製品を載置したトレーを複数段
積み重ねて殺菌槽内に収容し、トレー間の隙間に向けて
配置したスプレーノズルから熱水あるいは蒸気等を噴霧
して製品を加熱殺菌した後、スプレーノズルから冷却水
を噴霧して製品を冷却するスプレー式レトルト殺菌方法
において、製品の加熱殺菌及び冷却処理中、製品を載置
したトレー及びスプレーノズルを殺菌槽内で左右に揺動
させて容器内の内容物への伝熱促進効果を高めて殺菌処
理するものである。
【0006】また、本発明の装置は、製品を載置したト
レーを複数段積み重ねて殺菌槽内に収容し、トレー間の
隙間に向けて配置したスプレーノズルから熱水あるいは
蒸気等を噴霧して製品を加熱殺菌した後、スプレーノズ
ルから冷却水を噴霧して製品を冷却するスプレー式レト
ルト殺菌装置において、複数段に積み重ねられたトレー
を殺菌槽内で左右に揺動可能に保持する回転体と、トレ
ー間の隙間に向けて熱水、蒸気、冷却水を噴霧するスプ
レーノズルを有し、回転体と一緒に揺動するように配置
したヘッダーパイプと、回転体及びヘッダーパイプを殺
菌槽内で左右に揺動させる揺動付与手段とを具備させ、
製品の加熱殺菌及び冷却処理中、製品を載置したトレー
及びヘッダーパイプを揺動付与手段により殺菌槽内で左
右に揺動させて容器内の内容物への伝熱促進効果を高め
て殺菌処理するようになしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】図1は本発明の方法の実施に使用
する殺菌装置の要部の概略構造を示す縦断正面図、図2
の(A)(B)は左右に揺動させた状態を示す動作状態
の説明図、図3の(A)は回転体の概略構造を示す斜視
図、(B)はトレーの概略斜視図、図4の(A)は揺動
付与手段の第1実施例を示す概略側面図、(B)は揺動
付与手段の第2実施例を示す概略側面図、(C)はその
縦断正面図を示している。
【0008】図1〜図4において、1は殺菌槽、2は回
転体、3はトレー、4はヘッダーパイプ、5は揺動付与
手段、aは製品を示す。
【0009】殺菌槽1は、図1及び図4に示すように、
基台6上に水平状態で固定支持された円筒状をなし、そ
の両端には蓋部材1a、1bが気密に取り付けられ、前
側の蓋部材1aは、製品aを載置したトレー3を搬入・
搬出するために開閉可能に装着されている。
【0010】回転体2は、図3の(A)に最もよく示す
ように、複数の円板2aと、各円板2aを適宜の間隔で
連結する複数の連結バー2bと、トレー3を段積みした
台車3aを収納するため各円板2aに形成された略矩形
の開口部2cと、各円板2aの略矩形の開口部2cの間
に亘って配設され、トレー3を段積みした台車3aを搬
入・搬出可能に保持する底部案内レール2dと、側面案
内ロール2eと、台車3aに段積みされたトレー3の最
上段のものを上から押えるトレー押え部材2fとを具備
し、殺菌槽1内に支持コロ2gを介して回転可能に支持
され、又は、前端側を支持コロ2gで支持し、後端側を
後述する回転軸5eにより殺菌槽1の後端側の蓋部材1
bの中央部に軸受を介して回転可能に支持させている。
底部案内レール2dは、台車3aの搬入・搬出を容易に
するためコロコンベアで構成されているが、単にレール
構造でもよい。また、側面案内ロール2eは、台車3a
に段積みされたトレー3の全体を両側面から案内保持す
るためのもので、各円板2aの間に1列ないし複数列で
設置されている。さらに、トレー押え部材2fは、各円
板2aの間の上部にエアシリンダその他の適宜の手段2
hによって上下操作可能に設置され、パンチングメタル
等で構成されている。また、支持コロ2gは、回転体2
の各円板2aに対応して、或いは、適宜の円板2aに対
応して殺菌槽1の一部に回転可能に設置され、円板2a
の円周上を下方の2点を含む複数箇所で支持するように
配置されている。
【0011】トレー3は、図3の(B)に最もよく示す
ように、台車3a上に段積み可能で、それぞれ複数個の
製品aを相互に重ならず、移動しないように仕切り板3
bで区画して位置決め保持し、かつ、段積みされた各ト
レー3の周囲から熱水等を噴霧可能とするために窓孔3
cが形成されており、また、底部からの排水を可能とす
るためにパンチングメタル等の適宜の排水構造が採用さ
れている。
【0012】ヘッダーパイプ4は、図1に最もよく示す
ように、多数のスプレーノズル4aを有し、回転体2内
に搬入された段積み状態の各トレー3の間の窓孔3cか
ら製品aに向けて熱水等を噴霧するためのもので、回転
体2の各円板2a間に縦方向又は横方向に配置され、回
転体2内に搬入された段積み状態のトレー3と一体的に
揺動するように構成されている。
【0013】ヘッダーパイプ4への熱水又は冷却水の供
給は、図1、図3の(A)、図4の(A)に示すよう
に、回転体2の両側に配設された主配管4bから分岐管
4cを介してそれぞれ分岐供給され、この両側の主配管
4bは、回転体2の後端において回転体2の中心軸線上
で合流管4dにより合流せしめられ、殺菌槽1の後端側
の蓋部材1bの中心部に配置された供給口管4eに回転
継手4fを介して接続されている。この供給口管4eに
は、図1に示すように、循環ポンプ7及び熱交換器8を
備えた熱水又は冷却水の循環供給配管9が接続されてい
る。循環ポンプ7の吸入管9aは、殺菌槽1の底部に接
続されており、循環ポンプ7の吐出管9bは、熱交換器
8の入口に接続され、熱交換器8の出口は、循環供給配
管9を介して前記供給口管4eに接続されている。熱交
換器8は、殺菌槽1の底部に滞留する水その他適宜の液
体を加熱蒸気s又は冷却水cにより加熱又は冷却(熱交
換)して熱水又は冷却水を作り出すためのものであっ
て、熱交換用の加熱蒸気と冷却水とが配管10、11か
ら切換弁12、13を介して切換供給され、また、冷却
水出口配管14と蒸気ドレン配管15が切換弁16、1
7を介して切換可能に接続されている。また、殺菌槽1
には、必要に応じて真空脱気手段18と乾燥用熱風供給
及び排気手段19が接続される(図1参照)。なお、ヘ
ッダーパイプ4への熱水又は冷却水の供給は、図1の実
施例のような熱交換器8を介さずに直接、供給口管4e
へ加熱蒸気又は冷却水を切換え供給させるようにしても
よい。
【0014】揺動付与手段5は、2つの実施例があり、
その1つは、図4の(A)に示すように、殺菌槽1の一
端外部の基台6上に設置したモータ5aから減速機5
b、歯車5c、5dを介して回転体2の一端に固着した
回転軸5eを回転させるように構成されている。この場
合、回転軸5eは、中空軸であって、その中心部を貫通
して回転体2のヘッダーパイプ4へ熱水又は冷却水が供
給されるものである。また、回転軸5eは、殺菌槽1の
後端側の蓋部材1bに回転可能に支持されている。
【0015】もう1つの実施例は、図4の(B)(C)
に示すように、殺菌槽1の外周一部にモータ5fを設
置し、回転体2の一部に環状歯車5gを固着し、前記モ
ータ5fからピニオン5hを介して環状歯車5gを噛合
回転させて回転体2を揺動させるようにしたものであ
る。
【0016】本発明は、以上の構成からなり、次にその
動作を説明する。先ず、殺菌槽1の前側の蓋部材1aを
開放し、製品aを載置したトレー3を台車3a上に積み
重ねた状態で搬入コンベア(図示省略)等により回転体
2内に順次収納し、蓋部材1aを閉じる。そして、トレ
ー押え部材2fを降下動作させて最上部のトレー3を押
圧保持させる。これにより、各トレー3の積み重ね体
は、回転体2内で、上下方向にはトレー押え部材2fと
底部案内レール2dとにより、また、両側方向には側部
案内ロール2eによりそれぞれ保持される。この状態で
熱交換器8に加熱蒸気を供給し、循環ポンプ7を運転し
て殺菌槽1内のヘッダーパイプ4に熱水を供給する。こ
れと同時に、揺動付与手段5を駆動して回転体2を所定
の角度で揺動させる。回転体2の揺動角度は、トレー3
の垂直状態から左右に最大90°まで、即ち、0〜90
°の範囲内で任意に設定され、通常は45°程度に設定
される。また、揺動周期は、製品a内に含まれる液体分
の粘性を考慮して、例えば、1〜10sec/1サイク
ルの範囲内で任意に設定される。
【0017】殺菌槽1内で回転体2を揺動付与手段5に
より上記のように揺動させることにより、各トレー3に
載置されている製品aは、トレー3と共に左右に揺動し
ながらヘッダーパイプ4の多数のスプレーノズル4aか
ら噴霧される熱水により加熱される。この場合、製品a
内に含まれる液体分が上記の揺動により、図2の(A)
(B)に示すように、容器内で左右に移動し、容器中心
部の内容物が容器周縁部と絶えず入れ替え移動せしめら
れ、容器内の内容物全体が早期に均一に加熱される。加
熱処理後の冷却工程でも上記と同様に揺動させて処理さ
せることにより、各部均一に、しかも、短時間で冷却す
ることができる。
【0018】図5の(A)〜(D)は、本発明の効果を
確認するために製作した実験装置の説明図であって、殺
菌槽の代用となる処理槽20と、この処理槽20内に収
容した回転体の代用となる製品載置台21と、この製品
載置台21上に製品の代用となるパウチ22を上下から
パンチング板23、23で挟んでボルト24により周囲
を固定し、処理槽20内の上部にスプレーノズル25を
設け、このスプレーノズル25には循環ポンプ26から
処理槽20内底部の滞留水を途中でスチームを加えて昇
温させつつ供給し、製品載置台21のパウチ22に上か
ら熱水を噴霧させると共に、製品載置台21を図5の
(E)に示すように、振り幅約90°で揺動サイクル4
secに設定して揺動させ、パウチ22内の溶液の昇温
状態を測定した。なお、図5の(A)において、符号2
7は回収ストップ弁を示しており、上記処理中は閉鎖さ
せている。この場合、温度センサ28をパウチ22の3
箇所(図5の(B)(C)(D)参照)に略等間隔にセ
ットし、それぞれの検出温度をT2、T3、T4で表示
するようにし、内部溶液の各部の温度が所定温度(12
5℃)に達するまで実験を行った。処理槽20内は密閉
状態とし、内部の温度T1は別の温度センサ(図示省
略)で測定し、圧力P1の変化を圧力計(図示省略)で
測定した。なお、温度センサ28のパウチ22へのセッ
ト方法は、図5の(F)(G)に示すようにシリコンゴ
ム等の耐熱材料で円錐栓形状としたセンサ保持部材29
の中心孔に貫通させて先端の感温部を液中に露出保持さ
せ、パウチ22の上面や底面に接触しないようにした。
また、製品が固形物を含む液体である場合を想定して、
この場合には、図5の(H)(I)(J)に示すよう
に、シリコンゴム等の耐熱材料からなる立方体(他形状
でも可)によりダミー固形物30を温度センサ28の先
端の感温部に差し込み装着し、ダミー固形物30の内部
の昇温状態を測定させるようにした。パウチ22の寸法
は、図6の(A)に示す数値(mm)の通りであり、製
品載置台21の揺動により、パウチ22内の溶液は図6
の(B)(C)(D)に示すような揺動特性(数値は各
部の厚みの変化をmmで表示)を示した。パウチ22内
の溶液は、CMC溶液(1.5wt%)を使用してお
り、この溶液の粘度特性は、JISのB型粘度計のロー
ター回転数と温度とに対して図7の(A)の検出データ
表及び(B)のグラフに示すような傾向のものを使用し
た。
【0019】図8は、前記実験装置により液状物を主体
とする内容物をパウチに充填した製品を想定して熱水加
熱・冷却(殺菌)処理した場合のパウチ22内の各部の
温度変化と、F値(殺菌度を表示する数値で、4以上で
ボツリヌス菌が死滅する)の分布を、製品載置台21を
揺動させることなく静置した状態で処理した場合(A)
と、揺動させながら処理した場合(B)との比較実験デ
ータを示している。
【0020】静置処理の場合:図8(A)参照 F2=25.1 F3=14.4 F4=15.5 図8の(A)に示す静置処理の場合では、処理槽内の温
度上昇カーブT1に比べ、パウチ内各部の温度上昇カー
ブT2、T3、T4が緩やかで、かつ、バラツキがあ
り、しかも、全体が所定温度(約120℃)に達する前
(約118℃付近)にF値が目標値をクリヤーして加熱
が終了し、この加熱終了時点(処理開始から約1時間4
0分経過)から、直ちに冷却工程に移行し、処理槽内の
温度T1が約65℃付近まで急降下して(この間に2〜
3分のタイムラグあり)冷却が開始され、この冷却工程
でも静置処理の場合では処理槽内の冷却温度カーブT1
に比べ、パウチ内各部の冷却温度カーブT2、T3、T
4が緩やかで、かつ、バラツキがあり、冷却終了時点に
おける処理槽内温度T1≒68℃に対し、T2≒80
℃、T3≒85℃、T4≒87℃と約12℃〜19℃高
温となっており、冷却開始時点(処理開始から約1時間
43分経過)から冷却終了時点(処理開始から約2時間
5分経過)までの冷却所要時間も約22分を要してい
る。その結果、F値は、F2=25.1、F3=14.
4、F4=15.5と大きくバラツキを生じている。要
するに、静置処理の場合では、加熱時間が約1時間40
分、冷却時間が約22分、全体の処理時間は、約2時間
5分程度かかっており、パウチ内の各部への伝熱作用の
バラツキが大きく、その結果、F値のバラツキも大きく
なっている。
【0021】揺動処理の場合:図8(B)参照 F2=16.3 F3=16.8 F4=17.5 図8の(B)に示す揺動処理の場合、処理槽内の温度上
昇カーブT1に対して、パウチ内の各部の温度上昇カー
ブT2、T3、T4がほぼ追従して急激で、かつ、バラ
ツキが少なく、しかも、処理開始から約25分経過した
時点で全体が所定温度(約120℃)に達しており、そ
の後F値が目標値をクリヤーして加熱が終了する時点
(処理開始から約40分経過=加熱所要時間)から、直
ちに冷却工程に移行し、処理槽内の温度が約65℃付近
まで急降下して(この間に2〜3分のタイムラグあり)
冷却が開始され、この冷却工程でも揺動処理により各部
の冷却温度カーブT2、T3、T4が比較的急激に降下
しており、パウチ内各部が一様に温度降下しており、冷
却開始時点(処理開始から約42分経過)から冷却終了
時点(処理開始から約55分経過)までの所要時間が約
13分程度となっており、冷却終了時点での処理槽内の
温度T1≒70℃に対して、パウチ内各部の温度はT2
=T3=T4≒76℃と温度差が小さい。このように、
揺動処理の場合は、パウチ内各部への伝熱作用が向上
し、バラツキも少なく、加熱時間が約40分に短縮さ
れ、かつ、冷却時間も約13分程度に短縮され、全体の
処理時間は約55分に短縮されており、F値について
も、F2=16.3、F3=16.8、F4=17.5
とバラツキが小さい。
【0022】図8の(A)(B)に示す比較実験データ
から明らかな通り、静置処理の場合(A)では、パウチ
内各部の温度変化(T2、T3、T4)及びF値の分布
(F2、F3、F4)に大きいバラツキがあり、処理時
間も長くかかっているが、揺動処理の場合(B)では、
パウチ内各部の温度変化(T2、T3、T4)及びF値
の分布(F2、F3、F4)のバラツキが小さく、処理
時間も短い。なお、T1は処理槽20内の温度、P1は
圧力を示し、処理槽20内の温度は約120℃に設定さ
れ、また、圧力P1は約2kg/cm2に設定されている。
【0023】図9の(A)(B)は、前記実験装置によ
り、レトルトカレーのような固形物を含む液体を内容物
とする製品aを想定して固形物の内部温度について前記
と同様な条件で実験した場合の比較実験データを示して
いる。
【0024】静置処理の場合:図9(A)参照 F2=27.1 F3=13.5 F4=14.2 図9の(A)に示す静置処理の場合、処理槽内の温度上
昇カーブT1に比べ、パウチ内各部の温度上昇カーブT
2、T3、T4が緩やかで、かつ、バラツキがあり、し
かも、全体が所定温度(約120℃)に達する前(約1
19℃付近)にF値が目標値をクリヤーして加熱が終了
し、この加熱終了時点(処理開始から約1時間38分経
過)から、直ちに冷却工程に移行し、処理槽内の温度T
1が約60℃付近まで急降下して(この間に2〜3分の
タイムラグあり)冷却が開始され、この冷却工程でも静
置処理の場合では処理槽内の冷却温度カーブT1に比
べ、パウチ内各部の冷却温度カーブT2、T3、T4が
緩やかで、かつ、バラツキがあり、冷却終了時点におけ
る処理槽内温度T1≒68℃に対し、T2≒80℃、T
3≒84℃、T4≒83℃と約12℃〜16℃高温とな
っており、冷却開始時点(処理開始から約1時間45分
経過)から冷却終了時点(処理開始から約2時間5分経
過)までの冷却所要時間も約20分を要している。その
結果、F値は、F2=27.1、F3=13.5、F4
=14.2と大きくバラツキを生じている。要するに、
静置処理の場合では、加熱時間が約1時間38分、冷却
時間が約20分、全体の処理時間は、約2時間5分程度
かかっており、パウチ内の各部への伝熱作用のバラツキ
が大きく、その結果、F値のバラツキも大きくなってい
る。
【0025】揺動処理の場合:図9(B)参照 F2=10.4 F3=11.7 F4=12.1 図9の(B)に示す揺動処理の場合、処理槽内の温度上
昇カーブT1に対して、パウチ内の各部の温度上昇カー
ブT2、T3、T4がほぼ追従して急激で、かつ、バラ
ツキが少なく、しかも、処理開始から約30分経過した
時点で全体が所定温度(約120℃)に達しており、そ
の後F値が目標値をクリヤーして加熱が終了する時点
(処理開始から約38分経過=加熱所要時間)から、直
ちに冷却工程に移行し、処理槽内の温度が約68℃付近
まで急降下して(この間に2〜3分のタイムラグあり)
冷却が開始され、この冷却工程でも揺動処理により各部
の冷却温度カーブT2、T3、T4が比較的急激に降下
しており、冷却開始時点(処理開始から約42分経過)
から冷却終了時点(処理開始から約1時間経過)までの
所要時間が約18分程度となっており、冷却終了時点で
の処理槽内の温度T1≒70℃に対して、パウチ内各部
の温度はT2≒72℃、T3=T4≒73℃と温度差が
小さい。このように、揺動処理の場合は、パウチ内各部
への伝熱作用が向上し、バラツキも少なく、加熱時間が
約38分に短縮され、かつ、冷却時間も約18分に短縮
され、全体の処理時間は約1時間に短縮されており、F
値についても、F2=16.3、F3=16.8、F4
=17.5とバラツキが小さい。
【0026】図9の(A)(B)に示す比較実験データ
から明らかな通り、静置処理の場合(A)では、パウチ
内各部の温度変化(T2、T3、T4)及びF値の分布
(F2、F3、F4)に大きいバラツキがあり、処理時
間も長くかかっているが、揺動処理の場合(B)では、
パウチ内各部の温度変化(T2、T3、T4)及びF値
の分布(F2、F3、F4)のバラツキが小さく、処理
時間も短い。なお、T1は処理槽20内の温度、P1は
圧力を示し、処理槽20内の温度は約120℃に設定さ
れ、また、圧力P1は約2kg/cm2に設定されている。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、製品の加熱・冷却処理
中、製品を揺動させながら熱水又は冷却水を製品に噴霧
するようになしたため、容器内の内容物が絶えず移動せ
しめられ、容器中心部まで一様かつ迅速に熱伝達され、
容器内の内容物への伝熱促進効果を高めて殺菌処理時間
を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施に使用する殺菌装置の要部
の概略構造を示す縦断正面図である。
【図2】(A)(B)は左右に揺動させた状態を示す動
作状態の説明図である。
【図3】(A)は回転体の概略構造を示す斜視図、
(B)はトレーの概略斜視図である。
【図4】(A)は揺動付与手段の第1実施例を示す概略
側面図、(B)は揺動付与手段の第2実施例を示す概略
側面図、(C)はその縦断正面図を示している。
【図5】(A)は本発明の実験装置全体の構成を示す概
略図、(B)は前記実験装置における処理槽と製品載置
台とパウチとの関係を示す横断平面図、(C)は縦断側
面図、(D)は縦断正面図、(E)は製品載置台の揺動
条件説明図、(F)は実験に使用するパウチ内の液温測
定要領の概略説明図、(G)は温度センサー保持部材の
斜視図、(H)はパウチ内の固形物の温度を測定する場
合の概略説明図、(I)はダミー固形物の斜視図、
(J)はダミー固形物の側面図である。
【図6】(A)は実験に使用するパウチ寸法の説明図、
(B)(C)は前記パウチの揺動状態における内部溶液
の状態説明図、(D)は(C)の平面図である。
【図7】(A)はパウチ内に充填したCMC溶液(1.
5wt%)のJIS−B型粘度計のローター回転数と温
度とに対する粘度特性の検出データ図表であり、(B)
はその傾向を示すグラフである。
【図8】(A)は内容物が液状物を主体とする製品の静
置処理状態の処理特性図、(B)は同じ製品の揺動処理
状態の処理特性図である。
【図9】(A)は内容物が固形物を含む製品の静置処理
状態の処理特性図、(B)は同じ製品の揺動処理状態の
処理特性図である。
【符号の説明】
1 殺菌槽 2 回転体 3 トレー 4 ヘッダーパイプ 4a スプレーノズル 5 揺動付与手段 a 製品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61L 2/04 - 2/06 A23L 3/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製品を載置したトレーを複数段積み重ね
    て殺菌槽内に収容し、トレー間の隙間に向けて配置した
    スプレーノズルから熱水あるいは蒸気等を噴霧して製品
    を加熱殺菌した後、スプレーノズルから冷却水を噴霧し
    て製品を冷却するスプレー式レトルト殺菌方法におい
    て、 製品の加熱殺菌及び冷却処理中、製品を載置したトレー
    及びスプレーノズルを殺菌槽内で左右に揺動させて処理
    することを特徴とする揺動型スプレー式レトルト殺菌方
    法。
  2. 【請求項2】 製品を載置したトレーを複数段積み重ね
    て殺菌槽内に収容し、トレー間の隙間に向けて配置した
    スプレーノズルから熱水あるいは蒸気等を噴霧して製品
    を加熱殺菌した後、スプレーノズルから冷却水を噴霧し
    て製品を冷却するスプレー式レトルト殺菌装置におい
    て、 複数段に積み重ねられたトレーを殺菌槽内で左右に揺動
    可能に保持する回転体と、 トレー間の隙間に向けて熱水、蒸気、冷却水を噴霧する
    スプレーノズルを有し、回転体と一緒に揺動するように
    配置したヘッダーパイプと、 回転体及びヘッダーパイプを殺菌槽内で左右に揺動させ
    る揺動付与手段とを具備していることを特徴とする揺動
    型スプレー式レトルト殺菌装置。
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