JP2778053B2

JP2778053B2 - 音響再生装置

Info

Publication number: JP2778053B2
Application number: JP63268274A
Authority: JP
Inventors: 博行寒川; 潔文稲永; 康博飯田; 雅美三浦
Original assignee: Sony Corp
Current assignee: Sony Corp
Priority date: 1988-10-26
Filing date: 1988-10-26
Publication date: 1998-07-23
Anticipated expiration: 2013-07-23
Also published as: JPH02116296A

Description

【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野本発明は、イヤホン装置又はヘッドホン装置として利
用される音響管を用いた音響再生装置に関する。

B.発明の概要本発明は、外耳道と略同一の内径に形成された音響管
と、音響管の一側に放音面を管内方に臨まされて取付け
られるスピーカユニットとを有し、上記音響管は、その
一端側が耳介装着部となされ、他端側は音声の無反射端
とされる音響再生装置において、上記音響管の無反射端
側の音響管の内径をゆるやか且つ連続的に変化させて、
短い音響管で上記スピーカユニットから放音された音声
が鼓膜に達し聴取された後は、この鼓膜によって反射さ
れた音声が再び鼓膜側に反射されて聴取されないように
したものである。

C.従来の技術人の耳介にスピーカユニットを装着するようにしたイ
ヤホン装置，ヘッドホン装置等の音響再生装置は従来か
ら種々のものが提案されている。この従来の音響再生装
置では、例えばイヤホン装置において使用者が音声を聞
き取る場合、上記スピーカユニットから再生される音が
イヤホン筺体、外耳道を通り鼓膜に達し、鼓膜を振動さ
せることにより聴取される。

D.発明が解決しようとする問題点ところで、上記イヤホン装置等では、上述の如く鼓膜
に達した音は、この鼓膜によって反射され今度は外耳道
より外へ出ようとする。しかし、従来のイヤホン装置等
は、外耳道を被うようにしてイヤホン筺体が耳介に装着
されるため、この外へ出ようとする音はイヤホン筺体や
その内部のスピーカユニットで反射されて再び鼓膜に向
って外耳道に再入射されることになる。

従って、上記従来のイヤホン装置にあっては、スピー
カユニットから鼓膜へ直接入射された音と一度鼓膜で反
射され再びイヤホン筺体又はスピーカユニット等で反射
された音とを聴衆することとなる。この二つ音の時間間
隔が数百μsec以下のときには聴感上頭内定位現象や圧
迫感となって作用するため、良好な再生音として聴取で
きない。

そこで、鼓膜により反射される音声がイヤホン筺体等
により再び反射されることを防止するため、イヤホン筺
体の反射を少なくなるように耳介の外耳道に対向して設
けられているスピーカの振動板の中心部をくりぬき周辺
部のみから音を発する構造としたイヤホン装置が考案さ
れている。

しかし、外耳道より音源側を見た場合、この外耳道の
入り口部分において音響インピーダンスが外耳道内のイ
ンピーダンスと異なっているために、やはりイヤホン筺
体と外耳道の入り口部分との間で反射を生じ、反射波が
鼓膜へ戻って行くことが生ずる。このため、イヤホン受
聴時特有の頭内に音像が定位してしまうという現象を十
分に防止できないでいた。

さらに、上記イヤホン筺体等による反射を逆フィルタ
の技術で取り除こうとするものもある。

しかし、この逆フィルタによる技術は、受聴者によっ
て鼓膜のインピーダンスが異なるため、使用者個人毎に
逆フィルタを設計する必要性があり汎用性に乏しく実用
的でないという問題がある。

そこで、本発明は、外耳道の入り口より音源側を見込
んだときに音源側のイヤホン筺体やスピーカユニットに
よる反射や外耳道入り口部分におけるインピーダンスの
変化による反射を生じないようにした音響再生装置を提
供することを目的とする。

ところで、上記音響管は、この管内で反射音の減衰が
十分に図られるような所定の長さを必要とする。しか
し、上記音響管があまりに長尺となると本装置自体の小
型化が図れず又装着感を良好に保てなくなる。

そこでさらに本発明は、上記音響管内における反射音
の減衰を速やかに行えるようにして上記音響管の長さを
短かくすることを目的とする。

E.課題を解決するための手段本発明に係る音響再生装置は、上記課題を達成するた
め、外耳道と略同一の内径に形成された音響管と、音響
管の一側に放音面を管内方に臨まされて取付けられるス
ピーカユニットとを有し、上記音響管は、その一端側が
耳介装着部となされ、他端側は音声の無反射端とされる
音響再生装置において、上記音響管の無反射端側の音響
管の内径をゆるやか且つ連続的に変化させてなるもので
ある。

F.作用本発明は、音響管の内径が外耳道と略同一にされてい
るため、鼓膜によって反射された音声が外耳道から外耳
道外に出て上記音響管内に入射されたときに音響インピ
ーダンスが変化しない。また、上記音響管の他端側は無
反射端とされているため、耳道外に出て上記音響管内に
入射された音声はこの音響管の他端側で再び鼓膜に向か
って反射されることがない。

さらに、本発明は上記音響管の無反射端側の内径がゆ
るやかに連続的に変化されているので、無反射端側にお
ける音声の減衰が早期に実現でき、この音響管の長さを
短かくすることができる。

G.実施例以下、本発明の好適な実施例を図面を参照しながら説
明する。

先ず、本発明をイヤホン装置として用いた場合の第１
の実施例を第１図及び第２図を参照しながら説明する。

この第１の実施例に係るイヤホン装置は、音響管１
と、この音響管１の管内方に放音面2aを臨まされて取付
けられるスピーカユニット２を主たる構成要素として構
成される。

上記音響管１はイヤホン筺体となるものである。そし
て、この音響管１の管内は音道として作用するものであ
って、この音響管１は一端側が耳道装着端３となされる
とともに他端側が音声の無反射端５となされている。そ
して、この音響管１の一側に放音面2aが管内方に臨むよ
うにスピーカユニット２を取付けるられている。このス
ピーカユニット２は音響管１のインピーダンスを乱さぬ
ように音響管１の内径に変化を与えないように取付ける
ことが好ましい。

上記音響管１の耳道装着端３側は、外耳道Ａの内径w₀
と略同一の内径ｗに形成されている。そして、この一端
部に外耳道Ａの入り口Ｃに上記音響管１を装着可能とす
るための耳介装着部材４が取付けられている。この耳介
装着部材４は可撓性を有する合成樹脂又はゴム材等によ
り構成され耳介Ｄへの装着感の向上を図っている。な
お、この装着部材４の内径も外耳道Ａの内径w₀と同一と
なるように設けられている。すなわち、ほぼ大人の外耳
道Ａの内径w₀の平均値は、約7.5mmといわれている。そ
こで、この音響管１の耳道装着端３側の内径ｗを6mm〜9
mmに設定することにより、音響管１と外耳道入り口Ｃの
断面積の差を抑え、耳道入り口Ｃにおける音響インピー
ダンスの相違による反射を無くすことができる。従っ
て、耳道入り口Ｃにおける定在波の発生を防止して鼓膜
Ｂへの反射音を生じさせないようにすることができる。

また、上記音響管１の他端側は、次の如く構成される
ことにより音声の無反射端５とされている。

すなわち、先ず、上記音響管１のスピーカユニット２
の取付け位置から無反射端５に向かってこの音響管１の
内径w₁がゆるやか且つ連続的に変化させられている。こ
の第１の実施例の場合にあっては、徐々に管内径w₁が小
さくなるようになされている。このように音響管１の内
径w₁を外耳道Ａの内径w₀に対してゆるやか且つ連続的に
徐々に小さくするのは、音響管１内の音響インピーダン
スを変更しない範囲で徐々に管内における反射音の減衰
を大きくなし、早期に音響管内で反射音を消滅するため
である。すなわち、この音響管１はスピーカユニット２
の取付け位置をさかいとして一端側の耳道装着端３側か
ら他端側の無反射端５側に向かってゆるやか且つ連続的
に内径の断面積を小さくすることにより、耳道装着端３
側から入射された反射音が無反射端５側に伝わるにつれ
て管内における振幅抵抗を増大せしめ、再生音が大きく
減衰され、ついには上記反射音を消滅させる。また、音
響管１の断面積はゆるやかに変化させるのであれば、音
響管１内における音響インピーダンスの変化を生じさせ
ることもなく、反射波を発生させない。

従って、上記音響管１内において、スピーカユニット
２により再生された音声が鼓膜Ｂにより反射され、再び
この音響管１内に入射された後は、再度外耳道側に向か
って反射することが防止され、この音響管１内で音声が
減衰されることとなる。

なお、第２図に示すように、音響管のスピーカユニッ
ト２により無反射端５側に吸音材等の音響抵抗部材６を
配設するようすれば、さらにこの音響管１内における反
射音の減衰を早めることができる。ここで上記音響管１
の他端側端部７は、この音響管１内において上記音響抵
抗部材６により、上記反射音の減衰が完全に図れるなら
ば、他端側端部７を第１図に示すように開放し又は第２
図に示すように閉塞したもののいずれであってもよい。

また、この音響管１内に配される音響抵抗部材６は、
一種類の音響抵抗体に限定されることなく、種々の音域
の音響抵抗体を複数配するようにしてもよい。このよう
にすれば広い帯域にわたって効果的且つ速やかに反射音
の減衰を図ることができる。

またさらに、上記音響管１自体を音響抵抗体として構
成してもよい。すなわち、上記減衰の大きな音響管１と
しては、例えば音響管１内の内壁面を梨地にする等、音
響管１内の空気摩擦を大きくしたものを用いればよい。

さらに、上記音響抵抗体により構成された減衰の大き
な音響管１内に吸音材等の音響抵抗部材６を配するよう
にすれば、さらに音声の減衰を早めることができ、音響
管の長さを短くすることができる。

そして、このように音響管１内での反射が生ずること
を防止できれば、頭内定位現象が生じないようにするこ
とができる。すなわち、外耳道Ａ側からイヤホン装置側
を臨むと外耳道Ａの音響インピーダンスでこのイヤホン
装置も終端されていることになり、原理的に終端での反
射が生じないこととなる。従って、鼓膜Ｂで反射された
音が再びイヤホン装置側で反射されて鼓膜Ｂ側に再入射
されることがない。また、たとえ多少の反射が生じても
反射音の時間遅れを数百μsec以上とすることができ
る。よって、イヤホン受聴時特有の頭内に音像が定位し
てしまう現象を生じさせないことができる。

上記例においては、本発明に係る音響再生装置をモノ
ラルタイプとして片耳側に装着するイヤホン装置として
説明した。しかし、本発明に係る音響再生装置は、上記
例に限定されることなく、例えば、上記イヤホン装置を
二つを接続して用いることによりステレオタイプのヘッ
ドホン装置として用いることもできる。

次に、本考案の第２の実施例について第３図を参照し
ながら説明する。

この第２の実施例に係るヘッドホン装置10は、今度
は、逆に音響管11の無反射端12側をゆるやか且つ連続的
に徐々に断面積を大きくしたものである。

このように音響管11の断面積をゆるやか且つ連続的に
徐々に大きくした場合にも、音響管11内の音響インピー
ダンスが急激に変化することがないので再生音の反射を
防止できるとともに、この音響管11内の音響インピーダ
ンスと外部の音響インピーダンスを早期に同化させるこ
とができ、鼓膜Ｂにより反射された再生音を早期に減衰
させることができる。

H.発明の効果本発明によれば、音響管の内径が外耳道と略同一にさ
れているため、鼓膜によって反射された音が外耳道から
外耳道外に出たときのインピーダンスを変化しないよう
にすることができる。

また、上記音響管の他端側は無反射端とされているた
め、外耳道外に出た音が再び鼓膜側に反射されることが
ない。

従って、本発明は、外耳道の入り口より音源側を見込
んだときに音源側のイヤホン筺体及び耳介からの反射を
生じないようにすることができ、受聴時における聴感上
の頭内定位現象や圧迫感を防止することができる。

しかも、本発明によれば、受聴者の鼓膜のインピーダ
ンスが相違に影響されることなく汎用性を有した音響再
生装置を提供することができる。

さらに本発明は、上記音響管の無反射端部をゆるやか
且つ連続的に変化させることにより、早期の反射音の減
衰を実現でき音響管の長さを短くすることができ、装置
全体の小型化及び装着感の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る音響再生装置をイヤホン装置とし
て用いた場合の第１の実施例を示す概略的な断面図であ
る。第２図は上記イヤホン装置の音響管内に音響抵抗部材を
配した場合の断面図である。また、第３図は第２の実施例に係るイヤホン装置を示す
概略的な断面図である。１……音響管２……スピーカユニット３……耳介装着端４……耳介装着部材５……無反射端６……音響抵抗部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者三浦雅美東京都品川区北品川６丁目７番35号ソニー株式会社内 (56)参考文献特開昭57−41095（ＪＰ，Ａ) 特開昭47−19821（ＪＰ，Ａ) 特開平２−86296（ＪＰ，Ａ) 特開平２−94997（ＪＰ，Ａ) 実開昭53−117227（ＪＰ，Ｕ) 実公昭39−24622（ＪＰ，Ｙ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H04R 1/10 104

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】外耳道と略同一の内径に形成された音響管
と、音響管の一側に放音面を管内方に臨まされて取付けられ
るスピーカユニットとを有し、上記音響管は、その一端側が耳介装着部となされ、他端
側は音声の無反射端とされる音響再生装置において、上記音響管の無反射端側の音響管の内径をゆるやか且つ
連続的に変化させてなることを特徴とする音響再生装
置。