JP2773931B2 - 亜硫酸金塩の製造方法 - Google Patents

亜硫酸金塩の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ノンシアン系金メッキ液または、金合金メ
ッキ液の原料、無電解メッキ液の原料、金の微粉末を製
造するための原料、あるいは金の化合物を製造するため
の原料となる亜硫酸金塩の製造方法に関する。
(従来技術とその問題点) 従来は、塩化金酸溶液に水酸化ナトリウム溶液を加え
て該塩化金酸溶液のPHを2〜3に調整して、次いで、ア
ンモニア水を加えてPHを9〜10に調整して雷金を沈澱生
成させたのち、濾過洗浄して、該雷金に亜硫酸ナトリウ
ム溶液を加えて亜硫酸金塩溶液を製造していた。
上記方法において、中間物質として雷金を生成し濾過
洗浄しているが、該雷金は極めて不安定な物質であるば
かりでなく爆発などの危険性が高く工業的な製法として
は好ましくなく、また、該方法ではアンモニアイオンが
含有しているため、極めて不安定であり経時変化しやす
いという欠点も有していた。
(発明の目的) 本発明は、上記のように極めて応用性のある亜硫酸金
塩の化合物を製造するに際し、雷金を中間物質として生
成することがなく、安全な製造方法により目的とする亜
硫酸金塩を合成する方法を提供するものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、塩化金酸溶液に水酸化アルカリおよび/ま
たは炭酸アルカリ溶液を加えて水酸化金を生成し、次い
で炭酸アルカリ/または炭酸水素アルカリを加えて加熱
して該水酸化金を熟成し、該水酸化金を分離し、溶存酸
素を含まない水溶液で洗浄し、次いで加熱して水酸化ア
ルカリを加えて溶解し亜硫酸水素アルカリを加えて反応
させ熟成することを特徴とする亜硫酸金塩の製造方法で
ある。
以下、本発明を詳細に説明する。
塩化金酸溶液の濃度は金の濃度で100〜500g/が作業
し易いものである。
次いで、水酸化アルカリおよび/または炭酸アルカリ
溶液の濃度は25〜50wt%溶液を用いて撹拌下で加えてPH
を8〜9に調整すると水酸化金が生成する。
次いで、炭酸アルカリおよび/または炭酸水素アルカ
リを加えて撹拌しながら80℃に加熱し約1時間熟成させ
る。
次に、水を加えて室温で静置して生成した水酸化金を
沈降させ、上澄み液を傾斜分離し、炭酸アルカリおよび
/または炭酸水素アルカリ溶液を加えて再度撹拌しなが
ら80℃に加熱し約1時間熟成させ、水を加えて室温で静
置して生成した水酸化金を沈降させ、上澄み液を傾斜分
離する。
上記の操作中に用いられている炭酸アルカリや炭酸水
素アルカリは、反応溶液中で緩衝剤として特に有効であ
り、水酸化金を安定させるために効果のあるものであ
る。
次に、炭酸水素アルカリでPH8〜9に調整した溶存酸
素を含まない水溶液を加えて撹拌し、静置し傾斜分離す
る方法で水酸化金を洗浄した後、少量の水を加え80℃に
加熱し水酸化アルカリを加えて該水酸化金を溶解する。
上記の炭酸水素アルカリでPH8〜9に調整した溶存酸
素を含まない水溶液を用いて洗浄するのは水酸化金を酸
化させず洗浄するためである。
溶解後、水を加えて亜硫酸水素アルカリを金に対して
2.5当量分を撹拌しながら約1.5時間かけてゆっくりと加
えて反応させ、亜硫酸水素アルカリを加えた後さらに約
1時間撹拌を続け熟成させると溶液のPHが約6.5〜12で
亜硫酸金アルカリが得られる。
上記の亜硫酸水素アルカリを用いるのは、反応をゆっ
くり進行させ、安定した化合物を生成させるためであ
る。
以下、本発明に係わる実施例を記載するが、該実施例
は本発明を限定するものではない。
(実施例1) 塩化金酸溶液(金300g/)100mlを1のビーカに入
れ、水酸化ナトリウム49wt%溶液を撹拌しながらゆっく
り加えてPH8.5に調整し、次いで、炭酸ナトリウム2.8g
を加えて30分間撹拌し、80℃に加熱して1時間熟成させ
た後、水を加え室温で20分間静置した。
生成させた水酸化金を沈降させた後、上澄み液を傾斜
分離し炭酸ナトリウム3wt%溶液を150ml加えて、再び撹
拌しながら80℃に加熱して40分間熟成させた後、室温で
静置して水酸化金を沈降させて上澄み液を傾斜分離し
た。
次いで、炭酸水素ナトリウムでPH8〜9に調整した水
溶液を200ml加えて撹拌し、静置して傾斜分離する方法
3回くりかえして水酸化金を洗浄した後、水を加えて20
0mlとし、80℃に加熱して水酸化ナトリウム15gを加えて
水酸化金を溶解した。
溶解後、水を加えて400mlとし、亜硫酸水素ナトリウ
ム50gを1.5時間かけて少量ずづゆっくり加えて反応さ
せ、該亜硫酸水素ナトリウムを加え終えた後、さらに1
時間撹拌して熟成し、亜硫酸水素ナトリウム7gをさらに
加えて撹拌して1夜間熟成させたところ溶液のPHは6.7
であった。
該溶液をイオンクロマト分析したところ亜硫酸金ナト
リウムの溶液であった。
(実施例2) 塩化金酸溶液(金300g/)100mlを1のビーカに入
れ、水酸化ナトリウム40wt%溶液を撹拌しながらゆっく
り加えてPH8.5に調整し、次いで、炭酸カリウム3.2g加
えて30分間撹拌し、80℃に加熱して1時間熟成させた
後、室温で20分間静置した。
生成させた水酸化金を沈降させた後、上澄み液を傾斜
分離し炭酸カリウム3wt%溶液を150ml加えて、再び撹拌
しながら80℃に加熱して40分間熟成させた後、室温で静
置して水酸化金を沈降させて上澄み液を傾斜分離した。
次いで、炭酸水素カリウムでPH8〜9に調整した水溶
液を200ml加えて撹拌し、静置して傾斜分離する方法3
回くりかえして水酸化金を洗浄した後、水を加えて200m
lとし、80℃に加熱して水酸化カリウム17gを加えて水酸
化金を溶解した。
溶解後、水を加えて400mlとし、亜硫酸水素カリウム5
2gを1.5時間かけて少量ずづゆっくり加えて反応させ、
該亜硫酸水素カリウムを加え終えた後、さらに1時間撹
拌して熟成し、亜硫酸水素カリウム7gをさらに加えて撹
拌して1夜間熟成させたところ溶液のPHは6.7であっ
た。
該溶液をイオンクロマト分析したところ亜硫酸金カリ
ウムの溶液であった。
(実施例3) 塩化金酸液(金100g/)1000mlを2のビーカに入
れ、水酸化ナトリウム37wt%溶液を100ml加え撹拌して
冷却したのち、水酸化ナトリウム42wt%、炭酸ナトリウ
ム8wt%混合溶液を撹拌しながらゆっくり加えてPH8.5に
調整し、次いで、炭酸ナトリウム8gを加えて30分間撹拌
し、80℃に加熱して1時間熟成させた後、室温で30分間
静置した。
生成させた水酸化金を沈降させた後、上澄み液を傾斜
分離し炭酸ナトリウム3wt%炭酸水素ナトリウム1wt%溶
液を500ml加えて、再び撹拌しながら80℃に加熱して40
分間熟成させた後、室温で静置して水酸化金を沈降させ
て上澄み液を傾斜分離した。
次いで、炭酸水素ナトリウムでPH8〜9に調整した溶
存酸素を含まない水溶液を1000ml加えて撹拌し、静置し
て傾斜分離する方法3回くりかえして水酸化金を洗浄し
た後、水を加えて650mlとし、80℃に加熱して水酸化ナ
トリウム94gを加えて水酸化金を溶解した。
溶解後、水を加えて1400mlとし、亜硫酸水素ナトリウ
ム270gを2.0時間かけて少量ずづゆっくり加えて反応さ
せ、該亜硫酸水素ナトリウムを加え終えた後、さらに2
時間撹拌して熟成させたところ溶液のPHは12であった。
該溶液をイオンクロマト分析したところ亜硫酸金ナト
リウムの溶液であった。
(実施例4) 塩化金酸溶液(金100g/)1000mlを2のビーカの
入れ、水酸化カリウム40wt%溶液を100ml加え撹拌して
冷却したのち、水酸化カリウム35wt%、炭酸カリウム15
wt%混合溶液を撹拌しながらゆっくり加えてPH8.5に調
整し、次いで、炭酸カリウム6gを加えて30分間撹拌し、
80℃に加熱して1時間熟成させた後、室温で30分間静置
した。
生成させた水酸化金を沈降させた後、上澄み液を傾斜
分離し炭酸カリウム3wt%炭酸水素カリウム2wt%溶液を
350ml加えて、再び撹拌しながら80℃に加熱して40分間
熟成させた後、室温で静置して水酸化金を沈降させて上
澄み液を傾斜分離した。
次いで、炭酸水素カリウムでPH8〜9に調整した溶存
酸素を含まない水溶液を1000ml加えて撹拌し、静置して
傾斜分離する方法3回くりかえして水酸化金を洗浄した
後、水を加えて600mlとし、80℃に加熱して水酸化カリ
ウム97gを加えて水酸化金を溶解した。
溶解後、水を加えて650mlとし、亜硫酸水素カリウム2
82gを2.0時間かけて少量ずづゆっくり加えて反応させ、
該亜硫酸水素カリウムを加え終えた後、さらに2時間撹
拌して熟成させたところ溶液のPHは11.2であった。
該溶液をイオンクロマト分析したところ亜硫酸金カリ
ウムの溶液であった。
なお、実施例1で得られた亜硫酸金ナトリウム溶液と
市販の亜硫酸金ナトリウム溶液をイオンクロマト分析で
硫酸イオンと亜硫酸イオンを分析したところ、市販のも
のは硫酸イオン8対亜硫酸イオン1であったが、実施例
1のものは硫酸イオン4.5対亜硫酸イオン4.5であった。
また、実施例1〜4の方法で得られた溶液中の金濃度
は3〜5wt%であった。
(発明の効果) 以上に説明したように本発明の方法によれば、従来法
の欠点である、雷金を生成させることなく目的とする亜
硫酸金塩を製造することができ、極めて効果的である。
また、従来法では亜硫酸塩中の硫酸イオンが多量に含
まれる欠点があったが、本発明の方法ではこれを減少さ
せることができるという別の効果も得られるのもので、
亜硫酸金塩の応用範囲をさらに広げることが期待できる
ものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化金酸溶液に水酸化アルカリおよび/ま
    たは炭酸アルカリ溶液を加えて水酸化金を生成し、次い
    で炭酸アルカリおよび/または炭酸水素アルカリを加え
    て加熱して該水酸化金を熟成し、該水酸化金を分離し、
    溶存酸素を含まない水溶液で洗浄し、次いで加熱して水
    酸化アルカリを加えて溶解し亜硫酸水素アルカリを加え
    て反応させ熟成することを特徴とする亜硫酸金塩の製造
    方法。
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JP5623668B1 (ja) * 2014-05-22 2014-11-12 小島化学薬品株式会社 金めっき用ノンシアン金塩

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