JP2560061B2 - シアン化第二金塩の製造方法 - Google Patents

シアン化第二金塩の製造方法

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    • C01C3/11Complex cyanides

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、金或いは金合金のめっき用シアン化金塩の
製造方法に関するものである。
(従来の技術) 従来、金或いは金合金めっきにおいてめっき浴として
酸性、中性、及びアルカリ性の浴がその目的、用途に応
じて適宜用いられており、そのいずれにおいてもめっき
用薬品としてシアン化第一金塩(Au(CN)2 -)が広く使
用されている。
しかし、シアン化第一金塩は酸性域において不安定な
ため、めっき操作上種々の工夫を要し、浴の管理も容易
でないという問題があった。
最近、金或いは金合金めっきにおいてシアン化第二金
塩(Au(CN)4 -)が酸性域においても安定的に挙動し、
めっき用薬品として好適であることで利用度が高まって
いる。
このシアン化第二金塩(Au(CN)4 -)の製造方法とし
てこれまでシアン化金(III)をシアン化アルカリ水溶
液中で加熱下で反応させる方法、或いは塩化金(III)
水溶液にシアン化アルカリ塩に加えて反応させた後、該
反応生成物を有機系溶剤で抽出する方法等が公知であ
る。
(発明が解決しようとする問題点) しかし、前者は、元原料物質であるシアン化金(II
I)が工業的に得にくい問題があり、後者は塩化金(II
I)を得る工程が必要でありしかもシアン化第二金塩(A
u(CN)4 -)中にシアン化第一金塩(Au(CN)2 -)を含
んでしまうという問題があった。
(問題点を解決するための手段) 本発明者は、上記従来の欠点に鑑み、研究の結果、簡
単な操作でしかも高品質の金或いは金合金めっき用シア
ン化第二金塩(Au(CN)4 -)の製造方法を提供するに至
った。
本発明は塩化金(III)酸溶液(HAuCl4)に水酸化ア
ルカリ水溶液を加えてpH3〜7に調整した後、該溶液温
度を70℃以下に保ちながらシアン化アルカリ水溶液を加
えて反応させることを特徴とするシアン化第二金塩(Au
(CN)4 -)の製造方法を提供するものである。
(作用) 本発明で用いる塩化金(III)酸溶液(HAuCl4)は金
を硝酸と塩酸の混酸に溶解し次式により塩化金(III)
酸溶液を生成する。
Au+HNO3+4HCl →HAuCl4+2H2O+NO↑ Au+3HNO3+4HCl →HAuCl4+3H2O+3NO2↑ 該溶液を加熱濃縮し脱硝後、溶液と撹拌しながら水酸
化アルカリ水溶液を加えてPH3〜7に調整する。
この工程は塩化金(III)酸溶液が強酸性を有してお
り、直接シアン化アルカリ水溶液を加えると毒性の強い
シアン化水素ガスを発生し危険であると共に適量のシア
ン化アルカリ塩の添加量にすることが困難となるためで
ある。
さらに該PH調整後の溶液温度を70℃以下に保ちなが
ら、反応当量のシアン化アルカリ塩を含むシアン化アル
カリ水溶液を加えて反応させシアン化第二金塩(Au(C
N)4 -)を生成させるが、過剰に加えても良い。
この工程においてPH調整後の溶液を70℃以下に保つの
は、70℃以上でシアン化アルカリ水溶液を加えて反応さ
せるとシアン化第一金塩(Au(CN)2 -)を生成しやすく
高品質のシアン化第二金塩(Au(CN)4 -)が得られにく
くなるためである。
上記反応が終わった溶液を撹拌しながら冷却し、シア
ン化第二金塩(Au(CN)4 -)を晶析させ、これを濾過分
離して得た晶出物を乾燥することにより、シアン化第二
金塩(Au(CN)4 -)の粉末を得ることができる。
ここで用いる水酸化アルカリ水溶液とシアン化アルカ
リ水溶液は製造すべきシアン化第二金塩に含まれるアル
カリ金属を共通に含む化合物であることが望ましい。
例えばシアン化第二金カリウム(KAu(CN))を得
るには水酸化カリウム(KOH)とシアン化カリウム(KC
N)は蒸留水又は純水に溶解して用い、シアン化第二金
ナトリウム(NaOH(CN))を得るには水酸化ナトリウ
ム(NaOH)とシアン化ナトリウム(NaCH)を蒸留水又は
純水に溶解して用いることで高品質のシアン化第二金塩
を得ることができる。
(実施例) Au濃度500g/の塩化金酸溶液1を撹拌しながら300
g/水酸化カリウム溶液を加えてPH下表右項の如く調整
し、さら該溶液温度を下表左項の如くに保ちながら300g
/シアン化カリウムを2.3加えてシアン化第二金カリ
ウム溶液を生成し、反応が終わった溶液を2℃/minの冷
却速度で15℃に冷却してシアン化第二金カリウムを晶析
させる。このシアン化第二金カリウムの晶出物を遠心分
離機で濾過分離した純水で洗浄し、遠心脱水後、真空乾
燥機にて80℃で12時間乾燥してシアン化第二金カリウム
の粉末を得た。その粉末のイオンクロマトグラフ法によ
る分析結果は下記の表−1の如くであった。この結果か
らPH調整はPH=3.5〜7.0シアン化カリウム水溶液を加え
てシアン化第二金塩を反応生成させる溶液温度は30〜70
℃が好ましいことがわかる。
(従来例1) シアン化金(III)試薬821g(純度85%)を300g/の
シアン化カリウム水溶液2.3に加えて撹拌しながら70
℃に加熱し、反応させた後、2℃/minの冷却速度で15℃
に冷却し、シアン化第二金カリウムを晶析させる。この
シアン化金カリウムの晶出物を遠心分離機で濾過分離
し、純水で洗浄し、遠心脱水後、真空乾燥機で80℃12時
間乾燥してシアン化第二金カリウム粉末を得た。その粉
末の分析結果は表−2の結果であった。
(従来例2) Au濃度500g/の塩化金(III)水溶液1に450g/
シアン化カリウム特級試薬を溶解して調整した溶液を加
えて撹拌下で反応させ溶液が淡黄色から無色透明になる
まで加え、上記反応が終わった溶液を液表面に皮膜が形
成し始めるまで100℃で加熱濃縮した後5℃まで冷却
し、晶出物を得た。次いで該晶出物をエチルアルコール
で抽出を行った後濾過して得られたエチルアルコール抽
出液を純水に加え撹拌後、80℃で蒸留を行い表面に結晶
被膜できるまで濃縮した。これを5℃まで冷却し、減圧
濾過し得た晶出物を80℃で真空乾燥12時間行いシアン化
第二金カリウムの結晶を得た。塩化金(III)水溶液に
シアン化カリウム溶液を加える際に有害なシアン化水素
ガスが大量に発生した。その結晶の分析結果は表−2の
結果であった。
(発明の効果) 本発明により工業的に得にくいシアン化金(III)を
使用せず、さらに塩化金(III)を得る工程も必要なく
簡単な操作でしかも製造されたシアン化第二金塩(Au
(CN)4 -)には従来法に比べシアン化第一金塩(Au(C
N)2 -)の含有率も少なく高品質のシアン化第二金塩(A
u(CN)4 -)を得ることができ、金或いは金合金めっき
分野の技術の発展に寄与するところ大なるものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化金(III)酸溶液に水酸化アルカリ水
    溶液を加えてpH3〜7に調整した後、該溶液温度を70℃
    以下に保ちながらシアン化アルカリ水溶液を加えて反応
    させることを特徴とするシアン化第二金塩の製造方法。
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