JP2773706B2 - 電気回路内蔵型生体用表面電極 - Google Patents

電気回路内蔵型生体用表面電極

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気回路内蔵型生体用
表面電極に関し、特に、その電気的回路と電極機能の実
施構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の電気回路内蔵型生体用表
面電極は、例えば、米国特許第4,967,038号,
(10/1990),明細書ドライ エレクトロード
ブレイン ウェーブ レコーディング システム(DR
Y ELECTRODE BRAIN WAVE RE
CORDING SYSTEM)に示されるように、生
体電気現象の計測において、生体より得られる電気的信
号検出の精度向上を目的として用いられる。
【0003】図3、図4(A)、(B)は上記米国特許
明細書に開示されている回路内蔵型電極の一例を示す断
面図、平面図及び部分拡大図である。
【0004】図3、図4において、複数の金属球電極1
7は頭皮上の脳波電位を検出する。信号線19は電極1
7の信号をピン30へ伝える。金メッキを施されたピン
30の一端には複数の信号線19が半田付けされてお
り、他端はプリント基板34上の接触ばね32と接触し
信号を伝達する。接触ばね32は1対の接触子を持ち、
ピン30と接触してプリント基板34上の信号用プリン
トパターンにつながるスルーホールに差し込まれ信号を
基板へと導く。信号用プリントパターン36は電気回路
を形成する。増幅器入力パッド39はプリント基板上の
裏と表の回路結合を実現する為のスルーホールである。
増幅器入力リード38は増幅回路の入力端である。前置
増幅器35aは入力リード38の信号を増幅する。
【0005】次にこの従来例の動作について説明する。
頭皮21に生じた電位は、複数の金属球電極17にて電
極糊の介在無く検出され、信号線19、金メッキを施さ
れたピン30及び接触ばね32、信号用プリントパター
ン36、半田40、増幅器入力パッド39を介して、増
幅器入力リード38へ入力する。複数の金属球電極17
は、ゴム製の支持体18にて、ある程度の接触圧に保た
れると共に若干の横方向への移動を可能として、頭髪の
上に金属球電極17が位置した場合にこれを避けて電気
的接触抵抗の増加を防ぐことができる。前置増幅器35
aは、1〜4個の電極(30、32)に関する増幅を受
け持ち、以降の電気回路へ信号を供給する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、叙上の
従来技術には下記の如き課題があった。
【0007】第1の課題は、構造が複雑で、電極形状あ
るいは電極配置に対する自由度が低いことである。
【0008】その理由は、電極部分と電気回路部分を個
々に制作し、これらを機械的に組み合わせて結合する構
成により、電極と電気回路の一体化を実施しているため
である。
【0009】第2の課題は、電極糊を使用しないと電気
的接触抵抗が高くなったり変動が大きく、生体電気信号
検出の精度が低下することである。
【0010】その理由は、電極糊を使用しないために、
その粘性による生体との接触面積の確保、また生体表面
と電極面間の動きに伴う変形の緩衝作用が期待できない
からである。
【0011】第3の課題は、本手法を脳波計測以外の計
測(例えば心電、筋電、眼振等)、特に頭部以外の体表
面における計測では電極の固定ができない。
【0012】その理由は、電極を支持する回路部分を帽
子のようにして頭部に固定する構造のためである。
【0013】本発明は従来の上記実情に鑑みてなされた
ものであり、従って本発明の目的は、従来の技術に内在
する上記諸課題を解決することを可能とした新規な電気
回路内蔵型生体用表面電極を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る電気回路内蔵型生体用表面電極は、電
極湖として着脱可能な導電性粘着ゲル(図1の7)を用
い、電極に適するようにメッキ処理を施した電極部分と
電気回路を同一のプリント基板上にて実現する手段(図
1)を含む。
【0015】
【実施例】次に、本発明をその好ましい各実施例につい
て図面を参照して具体的に説明す。
【0016】図1(A)〜(C)は、本発明による第1
の実施例を示す外観図であり、そのうち、(A)は電気
回路パターン、電気回路部品等の配列例を示す図、
(B)は導電性粘着ゲル、電極パターン等の配列例を示
す図、(C)は断面図である。
【0017】図1(A)〜(C)を参照するに、下面が
生体表面に接触させられる導電性粘着ゲル7の上面に
は、プリント基板1が貼設されている。プリント基板1
の上面には電気回路パターン3が、下面には電極パター
ン6がそれぞれ形成されており、これらの電気回路パタ
ーン3及び電極パターン6はスルーホール2によって電
気的に接続されている。基板1の上面には、また電気回
路部品4が搭載されており、この電気回路部品4は電気
回路パターン3と接続されている。電気回路部品4に
は、その出力信号を伝送するための、また部品4に電源
を供給するためのケーブル5が接続されている。
【0018】図1(A)〜(C)において、生体表面8
における電位は、導電性粘着ゲル7を介してプリント基
板1上に形成される電極を構成するパターン6に伝達さ
れ、プリント基板1の裏面と表面の回路パターンを結合
するスルーホール2を通して電極パターン6の信号は、
プリント基板1上の電極6と反対の面に位置する電気回
路を構成するパターン3へ導かれ、電気回路を構成する
部品4へと接続される。電気回路の出力信号及び電源は
ケーブル5を介して送受される。
【0019】次に、図1(A)〜(C)に示された構成
の動作について説明する。図1(A)〜(C)におい
て、導電性粘着ゲル7は生体表面8と電極パターン6と
の間に入り、導電性粘着ゲル7の作用により電極の固定
と電気的接触抵抗の低減化と安定化を実現している。こ
の導電性粘着ゲル7を張り替えることにより電極の再利
用も可能である。電極パターン6は化学的に安定した金
メッキを施され、それによってプリント基板のパターン
を腐食より保護すると共に、計測目的に適した範囲で十
分な接触面積を確保しながら生体の電位を検出する。
【0020】プリント基板1上に形成された電極を構成
するパターン6と反対の面に形成された電気回路パター
ン3にスルーホール2を介して信号が伝達され、電気回
路にて増幅などの電気的処理を加えられた信号は、ケー
ブル5を通して、以降の回路へ出力される。
【0021】また、本電気回路を作動させる為の電源も
ケーブル5を通して外部より供給される。スルーホール
2は回路及び部品保護の為に孔を閉じられ、電極パター
ン6以外の導電部分は必要に応じて絶縁処理が施され、
回路の安定動作及び安全性を確保する。
【0022】次に、本発明による第2の実施例について
図面を参照して説明する。
【0023】図2(A)〜(C)は、本発明による第2
の実施例を示す外観図であり、そのうち(A)は電気回
路部品、電気回路パターン等を示す図、(B)は導電性
粘着ゲル、電極パターン等を示す図、(C)は断面図で
ある。
【0024】図2(A)〜(C)に示された本発明によ
る第2の実施例では、1枚のプリント基板上に複数の電
極パターン6a、6b、6cが構成され、回路用電源は
内蔵された電池9より供給され、出力信号は光あるいは
電波を用いて無線にて外部へ伝送されるテレメータ送信
機方式である。即ち、第2の実施例においては、導電性
粘着ゲル7は、7a、7b、7cの3部分に分割され、
それぞれ独立したものとなっている。またこの第2の実
施例では導電性粘着ゲルは3個用いられているが、2個
または4個以上使用することも可能である。
【0025】プリント基板1aは、フレキシブル基板1
bを含む接合された基板かまたはフレキシブル基板1b
を含む積層基板を用いることにより、生体の曲面にも適
合するようになる。即ち、導電性粘着ゲル7a、7b、
7cが配設される部分にはプリント基板1aが、導電性
粘着ゲル7a、7b、7cが配置されない部分にはフレ
キシブル基板1bがそれぞれ使用され、プリント基板1
aとフレキシブル基板1bは端部で接合されている。プ
リント基板1aはまた、全体をフレキシブル基板とする
ことも可能である。
【0026】以上説明した第1、第2の実施例では導電
性粘着ゲルの形は円形に形成されているが、必要に応じ
て3角、4角、5角、6角形、8角形等種々の形状を採
り得ることは勿論である。
【0027】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成され、作用する
ものであり、本発明によれば以下に示す諸効果が得られ
る。
【0028】第1の効果は、構造が単純で量産化に適し
ている。
【0029】その理由は、従来のプリント基板の制作手
法にて電気回路内蔵型の生体用表面電極を実現できるか
らである。
【0030】第2の効果は、任意の電極形状あるいは電
極配置が可能となるばかりではなく、電気回路に於いて
も任意の回路構成が可能となる。
【0031】その理由は、プリント基板は電極部分を表
面に配置させる以外の制約は無いために、フレキシブル
基板または積層基板等の任意の構造にて設計が可能であ
るからである。
【0032】第3の効果は、導電性粘着ゲルを用いるこ
とにより、電極の固定が成されると共に電極糊を用いた
時のように洗浄あるいは拭き取り等の手間が省け取扱い
が容易である。
【0033】その理由は、導電性粘着ゲル自身が粘着性
を有していることと、導電性粘着ゲルを張り替えること
により、繰り返し使用ができるからである。
【0034】第4の効果は、生体電気信号の精度が向上
する。
【0035】その理由は、電気回路を電極の直近に配置
することが可能なために、電極から回路入力部までの経
路を最短にでき、この間に生じる外部誘導を受けにくく
することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)、(C)は本発明による第1の
実施例を示し、(A)は一方の外観(電気回路及びパタ
ーン面)図、(B)は他方の外観(導電性粘着ゲル及び
電極パターン面)図、(C)は断面図である。
【図2】(A)、(B)、(C)は本発明による第2の
実施例を示し、(A)は一方の外観(電気回路及びその
パターン面)図、(B)は他方の外観(導電性粘着ゲル
及び電極パターン面)図、(C)は断面図である。
【図3】従来例の断面図である。
【図4】(A)は従来例の平面図、(B)は部分拡大図
である。
【符号の説明】
1、1a…プリント基板 1b…フレキシブル基板 2、2a〜2c…スルーホール 3…電気回路パターン 4…電気回路部品 5…ケーブル 6、6a〜6c…電極パターン 7、7a〜7c…導電性粘着ゲル 8…生体表面 9…電池

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体用表面電極をプリント基板で実現
    し、電極面には電極に適したメッキ処理を施し、電極糊
    として導電性粘着ゲルを用い、前記電極を構成するプリ
    ント基板上に電気回路も構成することを特徴とする電気
    回路内蔵型生体用表面電極。
  2. 【請求項2】 下面が生体表面に接触させられる導電性
    粘着ゲルと、該導電性粘着ゲルの上面に貼設されたプリ
    ント基板と、該プリント基板の下面に形成された電極パ
    ターンと、前記プリント基板の上面に形成され前記電極
    パターンとスルーホールを介して電気的に接続された電
    気回路パターンと、前記プリント基板の上面に搭載され
    前記電気回路パターンに電気的に接続される電気回路部
    品とを有することを特徴とした電気回路内蔵型生体用表
    面電極。
  3. 【請求項3】 前記電極パターンに金メッキを施したこ
    とを更に特徴とする請求項2に記載の電気回路内蔵型生
    体用表面電極。
  4. 【請求項4】 前記プリント基板は一部にフレキシブル
    基板を含むことを更に特徴とする請求項1または2のい
    ずれか一項に記載の電気回路内蔵型生体用表面電極。
  5. 【請求項5】 前記プリント基板を、フレキシブル基板
    を含む積層基板としたことを更に特徴とする請求項1ま
    たは2のいずれか一項に記載の電気回路内蔵型生体用表
    面電極。
  6. 【請求項6】 前記電極パターン以外の導電部分に絶縁
    処理を施したことを更に特徴とする請求項1または2の
    いずれか一項に記載の電気回路内蔵型生体用表面電極。
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