JP2773531B2 - 車両用自動変速機の変速制御方法 - Google Patents

車両用自動変速機の変速制御方法

Info

Publication number
JP2773531B2
JP2773531B2 JP9653692A JP9653692A JP2773531B2 JP 2773531 B2 JP2773531 B2 JP 2773531B2 JP 9653692 A JP9653692 A JP 9653692A JP 9653692 A JP9653692 A JP 9653692A JP 2773531 B2 JP2773531 B2 JP 2773531B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shift
speed
clutch
engagement element
time
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP9653692A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05296333A (ja
Inventor
泰裕 中嶋
克弘 八田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Priority to JP9653692A priority Critical patent/JP2773531B2/ja
Publication of JPH05296333A publication Critical patent/JPH05296333A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2773531B2 publication Critical patent/JP2773531B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用自動変速機の変
速制御方法に関し、特に、アップシフト時のエンジン回
転数の吹き上がりの防止を図った変速制御方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】車両用自動変速機は、油圧で作動するク
ラッチやブレーキ等の摩擦係合要素を多数備えており、
例えばアップシフトを行なう場合には、確立している低
速側の変速段の摩擦係合要素を係合解除する一方、確立
させようとする高速側の変速段の摩擦係合要素を係合す
るようにして、摩擦係合要素の切り換えが行なわれる。
このような摩擦係合要素の切り換え時に、結合側の摩擦
係合要素の係合が早過ぎると変速ショックが発生する一
方、解放側の摩擦係合要素の係合が完全に解除されても
結合側の摩擦係合要素の係合が開始しない場合には、変
速時にエンジン回転数が吹き上がり、許容最高回転数を
超える虞がある。そこで、解放側および結合側の摩擦係
合要素の各受持ち伝達トルクの最適化を図り、上述した
変速時のエンジン回転数のオーバーシュートや変速ショ
ックの発生を防止するようにしている。
【0003】結合側の摩擦係合要素を摩擦係合させるた
めには、これを、係合が完全に解除されて待機している
待機位置から、伝達トルクが生じる直前位置までの無効
ストローク区間をストロークさせ、次いで、結合側摩擦
係合要素に供給する油圧を所定の増加割合で漸増させて
結合側摩擦係合要素の係合を開始させる。そして、自動
変速機の入力軸回転速度が実変速開始点に到達するのを
待ち、入力軸回転速度が実変速開始点に到達すると、結
合側摩擦係合要素の伝達トルクをフィードバック制御し
て、入力軸回転速度変化率が目標変化率に一致するよう
に、入力軸回転速度を同期回転速度に向けて減少させて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、摩擦係合要
素に供給した作動油圧の大きさとその油圧を供給した時
間とから、摩擦係合要素が無効ストローク区間をどの程
度ストロークしたかを検出する方法が知られている。し
かしながら、従来の変速制御方法において、摩擦係合要
素の摩耗や劣化により無効ストローク区間が大になり、
パワーオンアップシフト時に摩擦係合要素がこの無効ス
トローク区間をストロークするのに時間が掛かると、係
合開始が必然的に遅れる。例えば、図1の破線で示すよ
うに、2速段から3速段へのパワーオンアップシフト時
に、結合側クラッチの係合開始が遅れると、解放側クラ
ッチの係合が解除されているのに、結合側クラッチの伝
達トルクが発生しないために、入力軸回転速度Ntが吹
き上がり、その後に結合側クラッチの伝達トルクが立ち
上がって実変速が開始するので、入力軸回転速度Ntが
下がる、といった様に変速フィーリングが悪化しクラッ
チの摩耗も早める。
【0005】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、摩擦係合要素の磨耗や耐久劣化等が生
じたような場合にでも、エンジン回転数のオーバシュー
トを防止すると共に、変速時のトルク相の時間を安定化
して変速フィーリングの向上を図った車両用自動変速機
の変速制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明に依れば、それぞれが油圧で駆動さ
れ、低速側変速段を確立させる第1の摩擦係合要素と高
速側変速段を確立させる第2の摩擦係合要素とを備え、
アップシフト時に前記第1の摩擦係合要素に供給されて
いる油圧を開放して係合を解除する一方、第2の摩擦係
合要素に油圧を供給して係合を開始させ、これらの摩擦
係合要素の受持ち伝達トルクを切り換える、車両用自動
変速機の変速制御方法において、実変速開始点前の基準
時点から実変速開始点迄の経過時間を計測し、計測した
経過時間と所定標準時間との偏差を求め、求めた偏差に
応じて前記第2の摩擦係合要素への油圧供給速度を補正
することを特徴とする車両用自動変速機の変速制御方法
が提供される。
【0007】
【作用】本発明の変速制御方法では、図1を参考にし
て、基準時点、例えば変速指令時点や第2の(結合側
の)摩擦係合要素の油圧開始時点から実変速開始点Ns
までの経過時間Tstを計測する。この実変速開始点Ns
は、受持ち伝達トルクが結合側摩擦係合要素に切換ら
れ、軸トルクが復帰して実際に変速が開始される点であ
り、入力軸回転速度が減少に転じる。より詳しくは、結
合側摩擦係合要素による係合が開始されると同時に所謂
トルク相の変速が開始し、結合側摩擦係合要素の伝達ト
ルクが増加して入力軸回転速度が上述の実変速開始点N
sに到達すると、所謂イナーシャ相の変速が開始する。
このイナーシャ相の変速では、結合側摩擦係合要素の伝
達トルクをフィードバック制御すべき状態を意味し、例
えば、入力軸回転速度変化率が目標変化率に一致するよ
うに、入力軸回転速度を同期回転速度に向けて減少させ
る。
【0008】そこで、上述のように計測した経過時間と
所定標準時間との偏差に応じて結合側摩擦係合要素への
油圧供給速度を補正すると、上述のイナーシャ相が開始
されるまでの、無効ストローク時間とトルク相の合計時
間が、摩擦係合要素の磨耗等に関わり無く一定になり、
その間、解放側の第1の摩擦係合要素と結合側の摩擦係
合要素との受持ち伝達トルクの切り換えが安定して行な
われる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づい
て詳述する。図2は、本発明に係る変速制御方法を実施
する自動車の自動変速機の概略構成を示している。図中
符号1は、内燃エンジンを示し、このエンジン1の出力
は、自動変速機2を介して駆動輪(図示せず)に伝達さ
れる。自動変速機2は、トルクコンバータ4、歯車変速
装置3、油圧回路5及びコントローラ40等より構成さ
れている。歯車変速装置3は、例えば、前進4段後進1
段の変速段と、変速段位置を切り換えて変速操作を行
う、油圧クラッチや油圧ブレーキの摩擦係合要素を備え
ている。油圧回路5は、前述した各摩擦係合要素の各々
に対応するデューティソレノイド弁(以下、単にソレノ
イド弁と記す)を有しており、各摩擦係合要素、即ち、
各クラッチやブレーキを互いに独立して操作する。各ソ
レノイド弁は、後述するコントローラ(ECU)40の
出力側に電気的に接続されており、ECU40からの駆
動信号により摩擦係合要素に供給する作動油圧を調整し
ている。
【0010】図3は、歯車変速装置3の部分構成図であ
り、入力軸3a周りには、第1駆動ギヤ31及び第2駆
動ギヤ32が回転自在に配置されている。また、第1駆
動ギヤ31及び第2駆動ギヤ32間の入力軸3aには、
変速摩擦係合要素として油圧クラッチ33及び34が固
設されている。各駆動ギヤ31及び32は、それぞれク
ラッチ33及び34に係合することにより入力軸3aと
一体に回転する。
【0011】また、入力軸3aと平行に配置された中間
伝達軸35は、図示しない最終減速歯車装置を介して駆
動車軸に接続されている。この中間伝達軸35には、第
1被駆動ギヤ36と第2被駆動ギヤ37が固設されてお
り、これらの被駆動ギヤ36及び37は、前記駆動ギヤ
31及び32とそれぞれ噛み合っている。従って、クラ
ッチ33と第1の駆動ギヤ31が係合している場合に
は、入力軸3aの回転は、クラッチ33、第1の駆動ギ
ヤ31、第1の被駆動ギヤ36、中間伝達軸35に伝達
され、第1の変速段(例えば、第2速)が達成される。
また、クラッチ34と第2の駆動ギヤ32が係合してい
る場合には、入力軸3aの回転は、クラッチ34、第2
の駆動ギヤ32、第2の被駆動ギヤ37、中間伝達軸3
5に伝達され、第2の変速段(例えば、第3速)が達成
される。
【0012】第2速側のクラッチ33が係合している状
態から、このクラッチ33の係合を解除しながら、第3
速側のクラッチ34を係合させることで、自動変速機2
は第2速から第3速にシフトアップする。逆に、クラッ
チ34が係合している状態から、このクラッチ34の係
合を解除しながら、クラッチ33を係合させることで、
自動変速機2は第3速から第2速にシフトダウンする。
【0013】上述したクラッチ33,34は、例えば、
油圧式多板クラッチが使用され、図4はこのクラッチ3
3の一例を示す。クラッチ33は、多数の摩擦係合板5
0を有し、油路14からポート51を介してこのクラッ
チ33内に作動油が供給されると、ピストン52が往動
して各摩擦係合板50を摩擦係合させる。一方、リター
ンスプリング53により押圧されて、ポート51を介し
て油路14に作動油を排出させながら、ピストン52が
復動すると、各摩擦係合板50同士の摩擦係合は解除さ
れる。クラッチ34もクラッチ33と同様に構成されて
いる。
【0014】ECU40は、ROM,RAM等の記憶装
置、中央演算装置、入出力装置、カウンタ(いずれも図
示せず)等を内蔵している。このECU40の入力側に
は、種々のセンサ、例えば、歯車変速機3の入力軸、す
なわち、トルクコンバータ4のタービンの回転数Ntを
検出するタービン回転数センサ(Ntセンサ)21、図
示しないトランスファドライブギヤの回転数(歯車変速
装置3の出力軸回転数)Noを検出するNoセンサ2
2、エンジン1の図示しない吸気通路途中に配設され、
エンジン負荷を表すパラメータ値として、スロットル弁
の弁開度θtを検出するスロットル弁開度センサ(θt
センサ)23、エンジン1の回転数Neを検出するNe
センサ24等が電気的に接続されている。これら各セン
サ21〜24は、検出信号をECU40に供給してい
る。なお、ECU40は、Noセンサ22が検出するト
ランスファドライブギヤの回転数Noに基づき車速を演
算することができる。
【0015】次に、ECU40により実行されるアップ
シフト時の変速制御について、2速段から3速段にシフ
トアップする場合を例に説明する。図5は、ECU40
が第2速段から第3速段へのアップシフトを判別した場
合に実行するアップシフト変速制御の概略手順を示す。
ECU40は、先ず、ステップS10において、2速段
を確立させていたクラッチ33の伝達トルクが実質的に
0になるまで解放側のソレノイド弁のデューティ率を0
に設定して、クラッチ33に供給されていた油圧を解放
する一方、3速段を確立するクラッチ34のソレノイド
弁のデューティ率を、後述する油圧供給速度qに応じて
設定し、設定したデューティ率Daで、クラッチ34を
その待機位置から係合を開始する直前位置までの無効ス
トローク区間をストロークさせる(図7に示すt1時点
からt2時点間)。すなわち、解放側クラッチ33と結
合側クラッチ34の受持ち伝達トルクを切り換えるので
ある。
【0016】結合側クラッチ34が無効ストローク区間
をストロークし終わると(所謂がた詰め操作が完了する
と)、ECU40は、ステップS12に進み、結合側ソ
レノイド弁34のデューティ率Daを所定値Daoに設定
して、設定したデューティ率Daでソレノイド弁34を
駆動する。この所定値Daoは、例えば結合側クラッチ3
4のストローク位置を上述の結合開始直前位置に保持す
る値に、実験的に、或いは各変速制御時に学習して設定
される。
【0017】次いで、ECU40は、Ntセンサ21が
検出するタービン回転速度Ntを検出し(ステップS1
4)、検出したタービン回転速度Ntが2速同期回転速
度より所定回転速度ΔN2 (例えば、20rpm)だけ
低い値以下になったか否か、すなわち、同期外れを検出
したか否かを判別する(ステップS16)。上述のがた
詰め操作が完了した直後では、通常、同期外れは検出さ
れないので、ステップS16の判別結果は否定(No)
となり、ステップS18に進む。
【0018】ステップS18では、結合側ソレノイド弁
のデューティ率Daを、前回値Daに所定増分ΔDaoを
加えた値に設定し、その値で結合側ソレノイド弁を駆動
する。そして、再び前述のステップS14に戻り同期外
れの検出を繰り返しながら、結合側ソレノイド弁のデュ
ーティ率Daを所定の増加割合で増加させ、従って、結
合側クラッチ34に供給される油圧も所定増加割合で増
加させ(図7参照)、同期外れが検出されるのを待つ。
【0019】結合側クラッチ34に供給される油圧が漸
増して同期外れが検出されると、ステップS16の判別
結果が肯定(Yes)となり、ステップS20に進んで
フィードバック変速制御が開始される。なお、このフィ
ードバック変速制御方法としては、特に限定されない
が、種々の公知の方法を適用することができ、例えば、
タービン回転速度Ntの時間変化率を目標変化率に合致
するように結合側クラッチ34の供給油圧、すなわち伝
達トルクをフィードバック制御し、タービン回転速度N
tを3速同期速度に向けて減少させる。
【0020】次いで、ステップS22においてタービン
回転速度Ntが3速同期回転速度に実質的に到達したか
否か、より具体的には、タービン回転速度Ntと3速同
期回転速度の偏差の絶対値が所定判別値ΔN3 (例え
ば、50rpm)以下になったか否かを判別する。判別
結果が否定の場合には、ステップS20を繰り返し実行
してフィードバック変速制御を継続させる。
【0021】3速同期が検出され、ステップS20の判
別結果が肯定の場合には、ステップS24に進み、解放
側のクラッチ33の油圧を完全に解放する一方、係合側
クラッチ34のソレノイド弁のデューティ率Daを10
0%に設定してクラッチ34を完全結合させる。この様
にして、2速段から3速段へのシフトアップが完了す
る。
【0022】図6は、過回転監視ルーチンを示し、この
ルーチンにおいて前述した作動油圧供給速度qが以下の
ようにして演算される。ECU40は、アップシフトの
変速制御を実行する毎にこのルーチンを実行し、先ず、
ステップS30において、結合側クラッチ34の油圧供
給が開始されたか否かを判別する。このクラッチ34へ
の油圧の供給開始時点(図7のt1時点)は、後述する
経過時間を計時するための基準となる。ECU40は、
アップシフトの変速指令が出力された後、クラッチ34
に実際に油圧が供給されるまでの無効時間を経過した時
点で、結合側クラッチ34の油圧供給が開始されたと見
做す。
【0023】ステップS30において、結合側クラッチ
34の油圧供給が開始されなければ、ステップS30を
繰り返し実行して油圧供給が開始されるまで待機する。
クラッチ34への油圧の供給が開始されると、ステップ
S32に進み、タイマをスタートさせて基準時間である
結合側クラッチ34の油圧供給開始時点からの経過時間
を計測し始める。
【0024】次いで、ステップS34に進み、実変速開
始点Nsを検出したか否かを判別する。Ns点は、イナ
ーシャ相の変速開始点を意味するが、実際には、ECU
40は、入力軸回転速度Ntの前回値と今回値とを比較
し、今回値が前回値より低い値を検出したとき、すなわ
ち、変速指令後入力軸回転速度Ntが初めて下降し始め
た時点を検出したとき(図1参照)、Ns点と見做し
て、これを検出する。ステップS34の判別結果が否定
の場合にはNs点を検出するまで待機する。
【0025】ステップS34において、Ns点を検出す
ると前述のタイマから経過時間Tstを読み出し(ステッ
プS36)、読み出した経過時間Tstと所定標準時間T
soとの偏差ΔTs (=Tst−Tso)を演算する(ステッ
プS38)。なお、タイマは経過時間Tstを読み出した
後リセットされる(ステップS36)。所定標準時間T
soは、前述した基準時点からイナーシャ相の変速開始点
までの最適時間であり、解放側摩擦係合要素と結合側摩
擦係合要素との受持ち伝達トルクの切り換えが最適に行
なうことが出来る適宜値に実験的に設定されている。
【0026】次いで、ECU40はステップS39に進
み、求めた偏差ΔTs に基づいて作動油供給速度qを次
式により演算する。 q=a+K・ΔTs ここに、Kは補正ゲイン(定数)であり、実験的に適宜
値に設定されている。aは、前回の変速までに学習した
累積値(前回値)であり、この値は、前述した記憶装置
に、エンジン1が停止した後も消去されずに記憶されて
いる。ECU40は、累積値aを今回演算した作動油供
給速度qに書き換えて、これを更新し、記憶する(ステ
ップS40)。
【0027】このように、本過回転監視ルーチンにおい
て学習された作動油供給速度qは、アップシフト変速制
御実行時の結合側クラッチ34のがた詰め操作時に使用
される。供給速度qは、供給時間と供給油圧により決め
られる値でもあるので、時間Tstを一定に保つために
は、(供給時間×供給油圧)も一定値をとらなければな
らず、結局供給速度qが設定されると、供給油圧の大き
さ、すなわちソレノイド弁のデューティ率が一義的に決
定することができる。摩擦係合要素の磨耗等により作動
油供給速度qが大きい値に演算されると、結合側デュー
ティ率Da は、図7に破線で示すようにq値に対応する
値に設定される。
【0028】なお、この実施例では、結合側クラッチ3
4のがた詰め操作時のデューティ率を供給速度qに応じ
て設定するようにしたが、これに代えて、或いはこれと
共にイナーシャ相における結合側クラッチ34への油圧
供給速度(図7のt2時点からNs 時点間)を供給速度
qに応じて設定するようにしてもよい。また、上述の実
施例においては、タイマをスタートさせる基準時点を結
合側クラッチの油圧供給開始時点としたが、これに代え
て変速指令が出力された時点を基準時点としてもよい。
また、実変速開始点Nsとして入力軸回転速度が減少に
転じた点を検出するようにしたが、エンジン回転数Ne
が減少に転じる点を検出してこれをNs点としてもよ
い。
【0029】上述の実施例の油圧回路は、結合側および
解放側の各摩擦係合要素(クラッチ,ブレーキ)に対し
て、それぞれソレノイド弁を備え、対応するソレノイド
弁によって各摩擦係合要素に供給される作動油圧が制御
された。本発明の変速制御方法は、この構成の油圧回路
を有する自動変速機に限定されるものではない。図8
は、本発明方法が適用される油圧回路の第2の態様を示
し、この油圧回路は、結合側および解放側摩擦係合要素
28,30に供給する作動油圧を1つのソレノイド弁6
7によって制御するものを例示している。1つのソレノ
イド弁で結合側および解放側摩擦係合要素の油圧を制御
する油圧回路の構成は、特開昭58−46258 号、特開昭60
−215143号等により類似のものが既に公知となってい
る。
【0030】2速段を確立させるキックダウンブレーキ
30は、その作動を往復動型液圧アクチュエータとして
のキックダウンサーボ80により制御され、キックダウ
ンサーボ80は、段付きシリンダ孔80cを規定するハ
ウジングと、段付きシリンダ孔80c内に摺動自在に嵌
合された段付きのピストン80eと、このピストン80
eからそのハウジングの外側に延びるピストンロッド、
つまり、アクチュエータロッド80fとを備えて構成さ
れており、このアクチュエータロッド80fの先端は、
キックダウンブレーキ30、即ち、キックダウンドラム
52の周面に巻付けられたブレーキシューに対し当接係
合可能となっている。そして、ピストン80eは、段付
きシリンダ孔80c内に第1及び第2圧力室80a,8
0bを区画して形成しており、第7図から明らかなよう
に第1圧力室80aは、ピストン80eの段差面と段付
きシリンダ孔80cの段差面との間で規定されている。
【0031】そして、キックダウンサーボ80の第1圧
力室80aには、油路65を介して、2−3シフト弁5
5が接続されており、この2−3シフト弁55は、更
に、油路62を介して変速制御弁69が接続されてい
る。また、油路65の途中からは、油路83が分岐され
ており、この油路83は、1−2シフト弁84に接続され
ている。この1−2シフト弁84は、更に、二股に分岐
した油路85,86に接続されており、これら2本の油
路のうち、一方の油路85は、キックダウンサーボ80
の第2圧力室80bに接続されており、また、他方の油
路86は、前述したフロントクラッチ28に接続されて
いる。尚、第7図に於いて、フロントクラッチ28は、
概略的にしか図示されていない。
【0032】ここで、2−3シフト弁55及び1−2シ
フト弁84は、その作動制御ポート87,88に供給さ
れる圧力によって開閉されるスプール型の開閉弁であ
り、また、作動制御ポート87,88への圧力は、具体
的には図示しない切換弁から導かれるようになってい
る。例えば、3速の変速段に於いて、2−3シフト弁5
5のスプール55aは、図8での図示の場合とは異な
り、その作動制御ポート87を通じて切換圧を受けるこ
とはなく、左端へ変位した状態にある。従って、この場
合、油路65は、2−3シフト弁55の排油ポートEX
に連通しており、これにより、キックダウンサーボ80
の第1圧力室80aは低圧側に接続されることになる。
この結果、キックダウンサーボ80のピストン80e
は、第2圧力室80c内の圧縮コイルばね80dのばね
力により、図8中、右へ戻されており、キックダウンド
ラム52に対するキックダウンブレーキ30の係合は解
除されている。また、このとき、1−2シフト弁84に
関しても、その作動制御ポート88を通じて切換圧が供
給されておらず、従って、そのスプール84aは、図8
中、図示の如く左端に変位した状態にある。従って、こ
の場合、フロントクラッチ28に通じる油路86は、1
−2シフト弁84の排油ポート90を通じて低圧側に接
続された状態にあり、これにより、フロントクラッチ2
8の係合は解除されている。尚、この場合、油路85,
86は、常時連通されていることから、キックダウンサ
ーボ80に於ける第2圧力室80cもまた、低圧側に接
続された状態となる。
【0033】また、2速の変速段に於いては、2−3シ
フト弁55は、図示の切換位置に切り換えられており、
また、1−2シフト弁84もまた、図示の位置に切り換
えられている。従って、この場合、油路62,65を通
じて、キックダウンサーボ80の第1圧力室80aに圧
液が供給されることにより、そのピストン80e、即
ち、アクチュエータロッド80fは、左方向に移動して
キックダウンブレーキ30は係合し、これに対し、フロ
ントクラッチ28内の圧液は、油路86及び排油ポート
90を通じて排出可能され、これにより、フロントクラ
ッチ28の係合は解除されることになる。
【0034】更に、1速の変速段に於いては、2−3シ
フト弁55は、図示の切換位置のままであるが、これに
対し、1−2シフト弁84は、そのスプールが右方向に
移動された切換位置となり、これにより、油路83と油
路85,86とは、1−2シフト弁84を介して連通さ
れ、また、その排油ポート90は閉じられることにな
る。この場合、2−3シフト弁55を通じて、油路83
に供給された圧液は、1−2シフト弁84を介して、ま
た、油路86を通じてフロントクラッチ28に供給され
ることになり、これにより、フロントクラッチ28は係
合状態に至る。これに対し、キックダウンサーボ80に
於いては、油路86,85が常時連通状態にあるから、
フロントクラッチ28に供給される圧液は、その第2圧
力室80bにもまた供給され、また、同時に、第1圧力
室80aにも同圧の圧液が油路65を通じて供給される
ことになる。この場合、キックダウンサーボ80のピス
トン80eは、前述したように段付きのピストンである
から、その両端の受圧面積の差からピストン80eは、
アクチュエータロッド80fを伴って右方向に変位し、
これにより、キックダウンブレーキ30の係合が解除さ
れることになる。
【0035】更に、変速段が1速から2速にシフトされ
る場合にあっては、2−3シフト弁55及び1−2シフ
ト弁84の夫々は、図示の切換位置となり、この場合、
キックダウンサーボ80に関しては、その第1圧力室8
0aに圧液が供給されることにより、ピストン80e、
つまり、アクチュエータロッド80fは、キックダウン
ブレーキ30を係合させる方向に変位される一方、フロ
ントクラッチ28からは、油路86、1−2シフト弁8
4及び排油ポート90を通じて圧液が逃がされることに
より、その係合が解除されることになるが、この際、フ
ロントクラッチ28の係合解除は、後述するようにキッ
クダウンサーボ80のピストン80eが変位されると
き、その第2圧力室80bに発生される背圧により制御
されるようになっている。
【0036】このため、第2圧力室80bに適切な背圧
を発生させるために、1−2シフト弁84の排油ポート
90には、所定の絞り91が設けられており、また、1
−2シフト弁84に導かれる油路84にも所定の絞り9
2が設けられている。そして、前述した変速制御弁69
には、図7でみて、その左端に位置して油路61が接続
されているとともに、油路63が接続されている。油路
61は、オイルポンプに接続されているとともに、その
途中には、この油路61を開閉し、変速制御弁69を通
じて供給される圧液の圧力を制御するソレノイド弁67
が介挿されている。このソレノイド弁67は、電子制御
装置(ECU)40に電気的に接続されており、この電
子制御装置40は、デューティ制御でもって、ソレノイ
ド弁67の切換作動を制御する。また、油路63にも、
前述のオイルポンプから所定圧に調圧された作動油圧が
供給されている。油路61内の圧液は、デューティ率に
応じて開閉されるソレノイド弁67を介して低圧側に排
出され、従って、デューティ率に応じた油圧が変速制御
弁69のスプール69aの左端面に作用することにな
る。これにより、変速制御弁69は、油路63からの油
圧を調圧して、所定の油圧PKDを油路62に発生される
ことになる。
【0037】そして、ECU40は、図2に示したと同
じ各種センサから車両の運転状態の検出信号が供給さ
れ、前述したと同様の変速制御を実行して、1−2アッ
プシフトが行なわれる。なお、第2の態様の場合には、
1−2アップシフトの変速指令が出力されると、ECU
40は、解放側クラッチ28の油圧を解放しながら結合
側のキックダウンサーボ80に作動油圧の供給を開始す
る。このとき、ピストン80eの移動速度、すなわち、
キックダウンサーボ80への作動油供給速度が設定値に
合致するように、ソレノイド弁67のデューティ率を徐
々に変化させてキックダウンブレーキ30の押し付力を
増加させ、同期外れを待つ。次いで、同期外れを検出す
ると、タービン回転速度Ntを監視して、その変化率が
目標速度に合致するようにソレノイド弁67のデューテ
ィ率がフィードバック制御されることになる。そして、
この第2の実施例では、過回転監視ルーチンで検出され
た経過時間Tstと所定標準時間Tsoとの偏差ΔTs に応
じてキックダウンブレーキ30への作動油供給速度を設
定し、設定した作動油供給速度でピストン80eを移動
させて同期外れ(実変速開始)を待つことになる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明の方法によれ
ば、実変速開始点前の基準時点から実変速開始点迄の経
過時間を計測し、計測した経過時間と所定標準時間との
偏差を求め、求めた偏差に応じて結合側摩擦係合要素へ
の油圧供給速度を補正するようにしたので、摩擦係合要
素の磨耗や耐久劣化等が生じたような場合にでも、摩擦
係合要素の係合開始遅れをを無くしてエンジン回転数の
オーバシュートを防止することができ、変速時のトルク
相の時間を安定化して変速フィーリングの向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により変速制御される自動変速装置
の入力軸回転速度、クラッチ受持トルク容量、およびク
ラッチ油圧の各時間変化の関係を示すグラフである。
【図2】本発明に係る方法が適用される車両用自動変速
機の概略構成図である。
【図3】図2の歯車変速装置3のギアトレインの一部を
示す概略構成図である。
【図4】図2の油圧クラッチを示す断面図である。
【図5】本発明方法による、アップシフト時の変速制御
手順を示すフローチャートである。
【図6】過回転監視ルーチンのフローチャートである。
【図7】結合側クラッチのデューティ率の時間変化を示
すグラフである。
【図8】本発明方法が適用される自動変速機の油圧回路
の第2の態様を示す、油圧回路図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 自動変速機 3 歯車変速装置 5 油圧回路 22 トランスファドライブギァ回転数センサ 23 スロットル弁開度センサ 24 エンジン回転速度Neセンサ 28 摩擦係合要素(クラッチ) 30 摩擦係合要素(ブレーキ) 33 摩擦係合要素(クラッチ) 34 摩擦係合要素(クラッチ) 40 コントローラ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれが油圧で駆動され、低速側変速
    段を確立させる第1の摩擦係合要素と高速側変速段を確
    立させる第2の摩擦係合要素とを備え、アップシフト時
    に前記第1の摩擦係合要素に供給されている油圧を開放
    して係合を解除する一方、第2の摩擦係合要素に油圧を
    供給して係合を開始させ、これらの摩擦係合要素の受持
    ち伝達トルクを切り換える、車両用自動変速機の変速制
    御方法において、実変速開始点前の基準時点から実変速
    開始点迄の経過時間を計測し、計測した経過時間と所定
    標準時間との偏差を求め、求めた偏差に応じて前記第2
    の摩擦係合要素への油圧供給速度を補正することを特徴
    とする車両用自動変速機の変速制御方法。
JP9653692A 1992-04-16 1992-04-16 車両用自動変速機の変速制御方法 Expired - Lifetime JP2773531B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9653692A JP2773531B2 (ja) 1992-04-16 1992-04-16 車両用自動変速機の変速制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9653692A JP2773531B2 (ja) 1992-04-16 1992-04-16 車両用自動変速機の変速制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05296333A JPH05296333A (ja) 1993-11-09
JP2773531B2 true JP2773531B2 (ja) 1998-07-09

Family

ID=14167844

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9653692A Expired - Lifetime JP2773531B2 (ja) 1992-04-16 1992-04-16 車両用自動変速機の変速制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2773531B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5551930A (en) * 1995-04-13 1996-09-03 Caterpillar Inc. Adaptive control method for an automatic transmission
JPH09280348A (ja) * 1996-04-10 1997-10-28 Komatsu Ltd 変速機のクラッチの摩耗検出方法及びその検出装置
JP3536537B2 (ja) * 1996-06-28 2004-06-14 トヨタ自動車株式会社 車両用自動変速機の変速制御装置
JP3486074B2 (ja) 1997-05-27 2004-01-13 アイシン精機株式会社 車両用自動変速機の制御装置
JP3472439B2 (ja) 1997-05-27 2003-12-02 アイシン精機株式会社 車両用自動変速機の変速制御装置
KR100527498B1 (ko) 2003-10-30 2005-11-09 현대자동차주식회사 자동 변속기에서 업 시프트 시 초기 유압 학습장치 및 그방법

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05296333A (ja) 1993-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8216110B2 (en) Shifting control system
KR960000593B1 (ko) 차량용자동변속기의 변속제어장치 및 방법
US6503165B1 (en) Hydraulic control device for automatic transmission
EP1517066A2 (en) System and method for controlling motor vehicle
KR950007154B1 (ko) 차량용 자동 변속기 및 그 제어 방법
JP3223640B2 (ja) 自動変速機の変速制御方法
JP2773531B2 (ja) 車両用自動変速機の変速制御方法
JP2884906B2 (ja) 車両用自動変速機の変速制御方法
JP3005348B2 (ja) 変速機の制御装置
JP3832196B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
JP3013603B2 (ja) 車両用自動変速装置の変速制御方法
JP2020085072A (ja) 制御装置及び、制御方法
JP2833344B2 (ja) 車両用自動変速装置の変速制御方法
JP2020101091A (ja) 制御装置及び、制御方法
JP3967877B2 (ja) 車両用自動変速機のスリップロックアップ制御装置
US6277051B1 (en) Method for controlling manual downshifting in an automatic transmission
JP2833345B2 (ja) 車両用自動変速装置の変速制御方法
JP2847733B2 (ja) 自動変速機用油圧制御装置
JP3623077B2 (ja) 自動変速機の変速過渡制御装置
JP2712753B2 (ja) 自動変速機用液圧アクチュエータのピストンストローク量判定装置
US10082204B2 (en) Control apparatus and method of automatic transmission
JPH05223166A (ja) 自動変速機のライン圧制御装置
JP3700493B2 (ja) 無段変速機のライン圧制御装置
JP3339430B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP2806142B2 (ja) 車両用自動変速機の変速制御方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19980324

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080424

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090424

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100424

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100424

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110424

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110424

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120424

Year of fee payment: 14

EXPY Cancellation because of completion of term