JP2772615B2 - ロープ状ベルト及びロープ状ベルトユニット - Google Patents

ロープ状ベルト及びロープ状ベルトユニット

Info

Publication number
JP2772615B2
JP2772615B2 JP6091806A JP9180694A JP2772615B2 JP 2772615 B2 JP2772615 B2 JP 2772615B2 JP 6091806 A JP6091806 A JP 6091806A JP 9180694 A JP9180694 A JP 9180694A JP 2772615 B2 JP2772615 B2 JP 2772615B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
rope
woven
main body
warp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6091806A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0718538A (ja
Inventor
幸一 菊地
正夫 渡邉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KIKUCHI UEBU TETSUKU KK
Original Assignee
KIKUCHI UEBU TETSUKU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KIKUCHI UEBU TETSUKU KK filed Critical KIKUCHI UEBU TETSUKU KK
Priority to JP6091806A priority Critical patent/JP2772615B2/ja
Publication of JPH0718538A publication Critical patent/JPH0718538A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2772615B2 publication Critical patent/JP2772615B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の産業に使用され
るロープ又は組紐等を代替し得るロープ状の織物であ
り、更に高所作業用の安全帯やフレキシブルコンテナー
の吊り手として使用されるロープ又は組紐等を代替し得
る細幅織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来は長く且つ細い繊維製品として、丸
打ち紐やロープの様に外観が丸い形状のものと平打ち紐
やテープ・ベルトの様に偏平の帯状のものがありそれぞ
れ固有の用途に使用されてきた。しかし、近年織物で有
りながらその一部分を外観が丸い紐状のものにするいく
つかの提案がされている。
【0003】その一つは実願昭62ー148717「丸
紐付きテープ」であり、これにはテープ部を芯糸入りの
二重袋織りとし、丸紐部では多重袋織りとし外筒部と内
筒部をよこ糸により接結する構造が示されている。しか
し、筒部という名称が示す通り丸い紐状で有っても内部
まで充実したロープ状の織物にはならない。別の公知例
として実公昭62−14137「細幅織物」がある。こ
れは細幅偏平織組織と丸織組織とがあり、丸織組織は外
周部の縦糸が横糸で織成される際に一部の縦糸を芯糸と
してある。
【0004】しかし、この公知例は実質的には本願の構
成と以下の点で異なるもので、本発明の目的にこの技術
を採用することはできない。即ち、上記実公昭62−1
4137の明細書中に明記されているように、“一部の
縦糸を織組織から外して外周側と内側の縦糸織込み本数
を内側の方が少なくなるよう織込んだものである”ので
あって、本発明のように“該芯糸の合計繊度は、前記袋
状織組織部の経糸合計繊度の1.5倍以上となるように
構成され、”ているものではない。本発明明細書で後述
するように、袋状織組織部分の中に織り込まれる芯糸は
最小限上記した物量が必要であって、これよりも少ない
場合には、袋状内部は空隙が多く充填が不十分で断面は
丸くならない。
【0005】従って、前記公知例で“丸織部分はロープ
状に内部が充実状態で断面が丸い。”というのは極めて
疑わしいといわざるを得ない。 具体的な実施例が記載
されていないので断定することは困難であるが、その理
由を説明すると、例えば、該実公昭明細書の第5図、第
6図は三重織の偏平織組織とその第2層及び接結糸を芯
に織り込んだ丸紐部を示していて、芯糸は地糸の三分の
一と僅かな接結糸に過ぎない。当業者としての判断では
このような構成で断面が丸いままで使用できる製品が造
れるとは考えられない。その他種々の解決されなければ
ならない問題点があるが説明されていない。
【0006】別にロープ製品に関連するものとして次の
ものがある。即ち、高所作業用の安全帯は、安全帯に設
けた金具にロープの一端を取付け、別の一端にはフック
又はカラビナ等を取付けてあるのが一般的である。又、
フレキシブルコンテナーの吊り手は、コンテナー本体に
取付けた金具等にロープが連結されている。これらロー
プと金具等への連結は、ロープの端末をほぐしてストラ
ンドをロープ本体に組み込む、所謂、さつま加工を手作
業で行なうのが通常である。この加工は熟練を必要と
し、更に、非常に力が要る作業であるため、近年は作業
者を確保するのが困難な状況となっている。細幅織物で
あれば縫製加工が可能で縫製による連結が容易である
が、幅が比較的に広いのでハンドリングの点でロープに
劣ることが欠点で採用されなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、組紐
又はロープを代替し得る、断面をほぼ円形としその内部
が充実した構成のロープ状ベルトを提供すると共に、こ
のロープ状ベルトを本体部として、その端末を適当な幅
と厚さにしたベルト部を同時に製織して、縫製加工によ
る金具等への連結手段が可能となるロープ状ベルトユニ
ットを提供することにある。
【0008】本発明において明細書中で使用される用語
を次の様に定義する。即ち、「ロープ状ベルト」とは、
細幅織物でロープ状の織物を指し、ロープ状ベルト部分
と偏平ベルト形状部分及びこの両部分を接続する接続部
分からなる織物を「ロープ状ベルトユニット」と言う。
「ロープ状ベルトユニット」のロープ形状部分を以下に
「本体部」と称するが、この「本体部」と「ロープ状ベ
ルト」の実質の構成は同一のものである。
【0009】本発明を具体的にいえば、本発明者らは、
先に特願平4−272842「厚地ベルト及びその製造
装置」に於いて、「一定の幅に対して従来の常識の範囲
を超えた、厚さと破断強力を持つ細幅織物を提供するこ
とを目的とし、」更に、「ロープの形状にできる限り近
付けた厚地ベルト」とその「ベルトの端末を、縫製加工
が可能なように、広い幅と適当な厚さに製織」する方法
と手段を提案している。
【0010】この発明はシャトル織機の2丁シャトルを
使用して織り組織を4層以上とすることが特徴であり、
同実施例1に示したように幅が23.5mmと狭い幅であ
りながら6100Kgf もの高強力を実現した。これに対
して本発明は、前記発明とほぼ同様の形状で、前記発明
に対し比較的に低い要求強力に対応する製品を、一般的
な1丁シャトル織機又は、1本針ニードル織機で製織し
提供することが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を
達成するため、以下に記載されたような技術構成を採用
するものである。即ち、本発明の第一は、合成繊維の経
糸と緯糸からなる細幅織物であって、その外周縁部を構
成する袋状織組織部と、該袋状織組織部の中に配列され
ている芯糸とからなる構成を有し、且つ該芯糸の合計繊
度は、前記袋状織組織部の経糸合計繊度の1.5倍以上
となるように構成され、更に該袋状織組織部は、本発明
において定義する経糸密度係数が0.700以下に設定
されていることを特徴とするロープ状ベルトである。
【0012】本発明の第二は、合成繊維の経糸と緯糸か
らなる細幅織物であって、その長手方向に請求項1記載
のロープ状ベルトを本体部とし、偏平ベルト部及び該本
体部と偏平ベルト部を接続する接続部を有し、それぞれ
が所定の長さを以て配列されていて、該偏平ベルト部
は、該本体部の袋状織組織部分の経糸と共に、該本体部
の芯糸の一部又は全部を緯糸と交錯させた織構成を持
ち、且つ該本体部の幅に対して少なくとも2.0倍以上
の幅を有しており、更に該接続部は、その織り幅を徐々
に変更しながら、複数の段階に分けて織組織を変更し、
該本体部又は該偏平ベルト部の織組織に移行する様に構
成されていることを特徴とするロープ状ベルトユニット
である。
【0013】このロープ状ベルトユニットは、ロープ状
ベルトを本体部としてその前後に接続部を介して連続し
て織成された偏平ベルト部を有するものであるために、
当該偏平ベルト部を他の支持体に固着させるか、該偏平
ベルト部を互いに縫着する等の手段により本体部の取付
けを容易にするものである。本発明の第三は、該ロープ
状ベルト又は、少なくともロープ状ベルトユニットの該
本体部は、製織後にヒートセット加工処理を行って、緯
糸を収縮させるか、含浸された所定の合成樹脂をキュア
リングさせて、外観風合いの改善、引張強力の改善等を
行った後、望ましくは、適宜の成形熱処理装置を用いて
成形加工処理するものである。
【0014】該成形熱処理装置に於ける成形は、例え
ば、対向する2個の部品で構成され、且つそれぞれの部
品の互いに対向する接触面には、該ロープ状ベルト又
は、少なくともロープ状ベルトユニットの該本体部が挿
通されうる、所定の形状を有する溝部が設けられてお
り、且つ当該部品のそれぞれは、当該部品の温度を調整
しえる温度制御手段が設けられていると同時に、互いの
押圧力を調整しうる押圧力可変手段を有しており、更に
該部品の押圧力持続時間調整手段とが設けられている事
が望ましい。
【0015】
【作用】本発明に係るロープ状ベルト(ロープ状ベルト
ユニットの本体部)は、上記したような技術構成を採用
しているので、芯糸がかたまって一体となり、更に、表
層は経糸密度係数を低くし、緯糸が収縮する余地を大き
く持たせて芯糸を包み込み易いように構成されているの
で製織後に熱処理加工がされると内部の充実したほぼ円
形の断面が得られる。ロープ状ベルトユニットの偏平ベ
ルト部では、本体部で芯糸として織られたたて糸が表面
に織り出され経糸密度係数が高いので、幅が広がり易く
熱処理加工をした後の幅も収縮率が小さく縫製加工に際
して有利な形状が得られる。
【0016】成形熱処理装置によりロープ状ベルト(ロ
ープ状ベルトユニットの本体部)を熱処理加工すると強
制的に圧縮されるので、通常のヒートセット加工では得
られない、外観が優美で且つ充填密度の高い円形断面の
ロープ状ベルト(ロープ状ベルトユニットの本体部)と
することができる。
【0017】
【実施例】以下に、本発明に係るロープ状ベルト及びロ
ープ状ベルトユニットの具体例を図面を参照しながら詳
細に説明する。図1は、本発明に係るロープ状ベルトユ
ニットの全体の構成例を示す斜視図であり、図中、合成
繊維の経糸と緯糸から構成されている細幅織物10で
は、その長手方向にそれぞれ所定の長さを以て配列され
た本体部2、偏平ベルト部4及び該本体部2と偏平ベル
ト部4を接続する接続部3とを有しているロープ状ベル
トユニット1で有って、当該本体部2は、袋織部分22
の中に芯糸5を織り込む構成を有し、且つ該芯糸5の合
計繊度は、前記袋織部分22の経糸6の合計繊度の1.
5倍以上となる様に構成され、更に該袋織部分は、本発
明に於いて定義する、経糸密度係数が0.700以下に
設定されており、又該偏平ベルト部4は、該本体部2袋
織部分の経糸6と共に、本体部2の芯糸5の一部又は全
部を緯糸と交錯させた織構成を持ち、且つ該本体部2の
幅Wに対して、少なくとも2.0倍以上の幅Wを有して
おり、更に、該接続部3は、その織構成の織り幅を徐々
に変更しながら、複数の段階に分けて織組織を変更し、
該本体部又は該偏平ベルト部の織組織に移行する様に構
成されているものである。
【0018】即ち、本発明に係る図1に示したようなロ
ープ状ベルトユニットは、1丁シャトル織機、又は1本
針ニードル織機で製織されるが、いずれの場合もドビー
開口装置とおさの上下機構及び緯糸の打込数の可変機構
が必要である。ニードル織機の場合には、その他に織幅
の変動に連動する編み針の左右移動機構も必要とする。
前述の機構や装置は、予め織機メーカーに発注時に希望
すれば取付られて納入されるものであり、新規の機構や
装置ではない。
【0019】シャトル織機の場合、シャトルの移動方式
としてスライドフック方式とラックピニオン方式の2種
類があるが、本願のように単位寸法当たりの経糸トータ
ルデニールが通常のベルトに対して比較的に多い場合
は、ラックピニオン方式か又は特願平4−272842
で発表した溝付きスレーを持つスライドフック方式が望
ましい。
【0020】図に示したような織物を製織する織機の、
巻取ローラーもしくはプレスローラーは、特願平4−2
72842で発表した溝のあるローラーとすることが望
ましい。図2はロープ状ベルト(ロープ状ベルトユニッ
トの本体部)の斜視図である。一部の経糸6と緯糸7に
より袋状に織られている袋織部分22と、その内側に充
実配置された芯糸群5で構成されている。
【0021】全経糸のうち、袋織り部分に配分される経
糸6と芯糸とする経糸5の配分比率は、加工後のロープ
状ベルト(ロープ状ベルトユニットの本体部)の断面形
状をほぼ円形とする為に重要な要素であり本発明の根幹
となる部分なので以下に具体的に説明する。説明に当た
って織物の設計時に必要なデータとして本発明者らが定
義した経糸密度係数の意味及びその求め方を以下に記
す。
【0022】先ず、本発明に係る経糸密度係数は、織物
に使用される糸条の太さを特定する必要があり、本願に
於いては使用する糸条の太さを、近似値として次の計算
式により算出する。 フィラメント糸の場合は、 0.0119・√(デニール÷繊維の比重)=糸直径
(mm) 計算例 ナイロン1680Dの場合は、次のように算出
される。
【0023】0.0119・√(1680÷1.14)
=0.4568(mm) スパン糸の場合は、 直径ファクター・(1÷√番手)=糸直径(mm) 直径ファクター=1.1125÷√繊維の比重 により算出される。
【0024】経糸密度係数を算出する基礎は、所定の単
位幅間に理論的に並列して配列され得る経糸の数であ
り、並列本数=単位幅÷糸直径 で表し、この理論的な
並列本数を本願では、経糸密度係数=1.000と定め
ることとする。実際の経糸密度係数は、織組織によって
異なる計算式を使用する。以下に平織と2/2綾織の場
合を例として具体的に説明する。
【0025】平織の場合は、経糸は1本の緯糸と次の緯
糸との間で毎回半分の経糸は上から下に織り込まれ、残
りの半分の経糸が下から上に織り込まれる構造である。
従って、全部の経糸が緯糸間に並ぶことになるので、全
幅が50mmの織物を経糸ナイロン1680Dで例を示す
と、50mm÷0.4568mm=109.5従って110
本で経糸密度係数1.005と算出される。
【0026】2/2綾織の場合は、平織の場合と同様に
それぞれの緯糸間を見ると、完全組織の4本1組の経糸
の内1本が下がり1本が上がり他の2本は緯糸と交錯し
ていない。従って、常に半分の糸しか交錯していないの
で単位幅の並列本数は2倍となる。全幅が50mmの織物
を経糸ナイロン1680Dで例を示すと、50mm÷0.
4568mm×2=218.9 219本で経糸密度係数
1.000と算出される。
【0027】平織や2/2綾織の多層織物では、それぞ
れの1層毎に同様に算出されるので、単純計算で2層が
同じ組織、同じ糸条であれば一層の2倍の本数が単位幅
の並列本数となる。単純計算でとしたのは多層織物では
接結糸を織り込むことが多く行われるので、接結糸につ
いてもその組織と糸条により算出してこれも組み込む必
要があるからである。接結糸は、細い繊度で本数も少な
い場合が殆どであり、大きな変動要素にならないので煩
雑な説明は省略する。尚、芯糸は緯糸と交錯しないので
経糸密度係数の対象外である。
【0028】その他にデータとして使用するものに次の
ものがある。これらは発明者らが長い期間に亘り蓄積し
てきた自社の量産品・試作品・他社品の分解結果をデー
タ化したものである。即ち、製品の材質・織組織・使用
糸繊度・本数・打込数・生機とセット品の厚さ及び幅・
使途別(例えば地糸、耳糸等)に糸の重量と分解長さ、
等から算出した次のデータを使用する。
【0029】(1)断面密度係数(g/mm2 )=製品の
重量g÷断面積mm2 (2)生機をセット加工したときの収縮率(厚さと幅)
と重量比率及び見掛け繊度の変化 (3)経糸密度係数と緯糸密度係数 (4)強力利用率(%)=引張強力÷(経糸強力×経糸
本数)×100
【0030】以上のデータを基に、本体部の袋部分と芯
糸部分の配分及び設計を客先要求に基づき以下の手順で
行う。設計はベルト部の構成と接続部の構成をそれぞれ
の外観を考慮しながら行う必要がある。
【0031】(1)要求される強力から、強力利用率を
考慮して全経糸の合計繊度を算出する。 (2)全経糸の合計繊度をまとめた糸の直径を算出し
て、完成品のできあがり太さを推定する。 (3)想定した出来上がり太さ又は客先要求太さからそ
の外周長さを算出する。 (4)要求強力が比較的に低く要求強力よりも要求太さ
が優先する場合は、ボリュームを増す為に芯糸に他の地
糸や芯糸と異なる糸を使用しても良い。但しこの糸は原
則としてベルト部でも芯糸とすることが望ましい。 (5)腰が強いものを要求される場合やその他の理由
で、前項と同様に芯糸にモノフィラメントを追加しても
良い。但しこの糸は原則として偏平ベルト部でも芯糸と
することが望ましい。水につけた後早く乾燥させる必要
のある分野にはモノフィラメントを併用することがのぞ
ましい。 (6)袋織り部分の組織と使用する糸の繊度を決定す
る。 (7)3項で算出した外周長さに対して6項の組織と糸
繊度から経糸密度係数を仮定して本数を仮に定める。経
糸密度係数を0.700以下に設定しないと、後加工で
幅方向の収縮が不十分で芯糸に空隙が多くなる。 (8)全経糸から袋織り部の経糸を除いた芯糸の合計繊
度から芯糸全体の糸径を算出する。要求太さが優先する
場合は芯糸の合計繊度を逆算して決める。 (9)後加工による芯糸の膨らみを推定して改めて袋部
分の外周長さが何mmになるか計算する。 (10)算出した経糸密度・材質・組織・繊度及び予定
の緯糸材質・繊度・打込数等のデータと過去の蓄積デー
タと比較して、予想される袋部の織物厚さや緯糸の収縮
率を推定する。これらが芯糸を包み込む袋部分として適
切かを判断し、適切で無ければ再計算して修正する。
【0032】ロープ状ベルト(ロープ状ベルトユニット
の本体部)の袋部分と芯糸部分の経糸比率は、完成品の
出来上がり太さが太いもの程、芯糸の配分が比較的に多
くなるが、最小限袋織部分経糸の合計繊度1に対して合
計繊度1.5の芯糸配分が必要である。芯糸の配分を加
減することによりロープで撚度を加減して硬さを変更す
る様にロープ状ベルトの硬さも変更することが可能であ
る。
【0033】尚、厳密には合計繊度そのものの比較では
なく繊度から算出される合計の太さの比較であることを
付記する。従来の技術で言及した実公昭62−1413
7は、上記したような様々な必要条件の記載がなく、
“丸織部分はロープ状に内部が充実状態で断面が丸い”
というのは極めて疑わしい、と発明者らが先に述べたの
は上記した必要条件から判断したものである。
【0034】図3は偏平ベルト部4の断面図である。即
ち本発明に係るロープ状ベルトユニット1の偏平ベルト
部4の断面構成は、図3より明らかな様に、経糸61と
緯糸71とで袋織部を織成し、その内部に所定の本数の
芯糸5が配置されている構成を有している。尚、図中、
51は、該袋織部を構成している表裏両面の織組織部を
接合する接結糸である。
【0035】偏平ベルト部4は製品として使用する際に
縫製加工されるのが通常である。縫製加工と加工後の縫
製強力からみたとき、縫製面の厚さと幅が適切である必
要があり、更に、経糸と緯糸の交錯点が少ないと縫製強
力が不十分となるので好ましくない。偏平ベルト部4に
おいては、本発明における前記した本体部袋組織部分2
2の経糸6の合計繊度に対する芯糸5の合計繊度の比率
が比較的に近い場合は、偏平ベルト部では地糸の約半分
を本体部2の袋織り部分22の経糸で織り、残り約半分
は本体部2で芯糸5として織られていた経糸で織る。本
体部2の芯糸5で残りの糸はそのままベルト部4でも芯
糸5として織るか又はその一部を接結糸に使用する。
【0036】前記本体部2の芯糸5の比率が比較的に大
きい場合は、偏平ベルト部4の地経糸の約三分の1は本
体部2の袋織り部分22の経糸6で織り、残り約三分の
二は本体部2で芯糸5として織られていた経糸5で織る
ことが望ましい。勿論、芯糸5を表面に織り出す割合は
上記に限定されるものではなく織り組織と外観から自由
に変更は可能である。いずれの場合も織り組織は芯糸を
入れる場合は二重織が好ましいが三重織であっても良
い。偏平ベルト部4の幅を特に広くする必要があれば二
重織を更に一重織としても良い。
【0037】上記した構成は、偏平ベルト部分4を縫製
加工に適した断面形状にする為に行われる。即ち、本体
部2の芯糸5を偏平ベルト部4の表面に織り出すと必然
的に表面経糸が多くなり幅を拡げなければならず、偏平
ベルト部分4は縫製加工に適した断面形状となる。偏平
ベルト部分4の厚さと幅を縫製加工に適した寸法とする
には、幅の変化を少なくとも本体部2の幅(つまり直
径)の2倍以上とする必要がある。
【0038】図4(A)〜(E)は本体部2と偏平ベル
ト部4の接続部3の組織図の一例を示したものである。
本体部2から偏平ベルト部4に移行する第一段階は、本
体部2の構成のままおさ幅を拡げていき、次いで第二段
階で芯糸5を表面に織り出す。例えば、袋部22の織り
組織が1/1平織である場合は、袋を形成していたそれ
ぞれの経糸6、2本と隣合う2本の間から芯糸5を2
本、袋部22の経糸の間に規則的に芯糸を織り出すと袋
部との境目の外観があまり損なわれないで織り込まれ
る。
【0039】第三段階では、更に幅を徐々に拡大してい
き設定の幅に近くなったときに芯糸の残りの一部を接結
糸として織り込むと幅が広がり易くなる。芯糸が多い場
合には、芯糸を偏平ベルト部地糸として織り込む場合
に、第二段階と第三段階の間にもう一段階設けて2回に
分けて織り込んでも良い。その場合前記第三段階は第四
段階となる。
【0040】以上の各段階は全て必要な場合もあるが、
その内の一つか二つの段階、例えば第一段階と第四段階
を省略しても良い。しかし、少なくとも二つの段階に分
けて移行しないと接続部の幅と厚さの変化が極端になる
部分が発生するので好ましくない。接続部では緯糸の打
込数の変化も同時に行われるのが通常である。上記は本
体部2から偏平ベルト部4に移行する場合について記し
たが、偏平ベルト部4から本体部2に移行する場合は上
記の逆段階を経て移行するものである。
【0041】接続部3をどのように製織するかは、幅の
変化と外観を損なわない為に本体部2の製織に次いで重
要な課題であるが、従来の技術で言及した実公昭62−
14137は、偏平織組織部分と丸織組織部分との接続
手段についての記載がない。同じく従来の技術で言及し
た実願昭62−148717には接続部に関する記載が
全くされていない。
【0042】此処で、一例として本発明に係るロープ状
ベルトユニットに於ける接続部3の織構成を図4(A)
〜図4(E)を参照しながら詳細に説明する。図4
(A)は、本発明に係る当該ロープ状ベルトユニット1
の本体部2の織構成の一例を示す織組織図である。即
ち、図4(A)に於ける織組織図のA−1部分とA−7
の部分は当該本体部2の袋織部22を構成する組織を示
すもので有って、表経糸F地、裏経糸B地、表緯糸F
一、F三、F五、F七、並びに裏緯糸B二、B四、B
六、B八とで2/2の綾織の袋織を構成すると共に、A
−2部分、A−3部分、A−4部分、A−5部分及びA
−6部分の各芯糸1〜3が、該袋織部22の内部に充填
されて配列された断面円形のロープ状構造体が得られる
ものである。
【0043】次に、本発明にかかる該本体部2に続く接
続部3の構成を図4(B)から図4(D)に沿って説明
すると、本発明に係るロープ状ベルトユニット1に於い
ては、本体部2から偏平ベルト部4に変化する過程、又
その逆の過程に於いて、略円形の断面形状をもつ織構造
体から、偏平状の断面形状をもつ織構造体に変化させる
必要があり、又係る変化は、急激な変化を避け外観も考
慮して、段階的に、且つ徐々に変化する様に構成されて
いる事が望ましい。
【0044】そこで、本発明に於ける該ロープ状ベルト
ユニット1の一具体例に於いては、該接続部3の織構造
変化を図1に示すように3段階に分割して、徐々に織構
造の断面を変化させる様に構成されている。つまり、第
1段階に於いては、図4(B)に該本体部2と直接接続
している接続部3−1の、織組織図が示されており、B
−1部分とB−7の部分は1/1平織の袋織部を構成す
る組織を示すもので有って、表経糸F地、裏経糸B地、
表緯糸F一、F三並びに裏緯糸B二、B四とで1/1の
平織からなる袋織を構成すると共に、A−2部分、A−
3部分、A−4部分、A−5部分及びA−6部分の各芯
糸1〜3の内、一部の芯糸A−5部分を当該袋織部に顕
出させて、当該袋織部の織成に関与させるものである。
【0045】従って、係る具体例に於いては、該A−5
部分に配置されている芯糸1を2グループに分割して、
その一部を表経糸F地として使用し又、残りの芯糸を裏
経糸B地として使用するものである。その結果、当該接
続部3−1の織幅は、当該A−5部分に配置されている
芯糸1が、袋織組織に加えられた事から必然的に拡大し
やすくなる。
【0046】次いで、当該接続部3に於ける該接続部3
−1に続く接続部3−2が織成される事になるが、当該
接続部3−2の織組織図は、図4(C)に示されている
様に、該B−3部分に配置されている芯糸1を図4
(B)に示されていると同様に2グループに分割して、
その一部を表経糸F地として使用し又、残りの芯糸を裏
経糸B地として使用して、該芯糸1を当該袋織部に顕出
させて、当該袋織部の織成に関与させるものである。
【0047】その結果、当該接続部3−2の織幅は、当
該A−3部分に配置されている芯糸1が、袋織組織に加
えられた事から必然的に更に拡大しやすくなり、しかも
織組織の外観は損なわれず自然に移行することができ
る。その後、該接続部3−2に引続き、該接続部3と該
偏平ベルト部4とを直接接続する為の接続部3−3が織
成される事になる。
【0048】該接続部3−3の織組織図は、図4(D)
に示されている様に、C−2部分、C−4部分、及びC
−6部分の各芯糸2と3の内、一部の芯糸3を当該袋織
部に於ける接結糸として使用するものであり、それによ
って、該接続部3−3に於ける袋織部の表組織部と裏組
織部とが、強固に接合され、偏平な形状が固定的に形成
される事になる。
【0049】然も、本段階に於いては、当該接続部3−
2の織幅は、所定の偏平ベルト部4の織幅と一致する織
幅に最終的に拡大され、そのまま該本体部4の織成に繋
げる事が可能となる。図4(E)は、本発明に於ける該
ロープ状ベルトユニット1の偏平ベルト部4の織組織図
を示すもので有って、図4(D)に示されている様に該
接続部3−3の織組織図と同様な織組織図を有するもの
である。
【0050】次に製織後のヒートセット加工について説
明する。本発明でヒートセット加工というのは、通常仕
上加工の一つとして行われている織物を熱風又は湿熱に
よる熱処理加工を行うことをいう。本発明のロープ状ベ
ルト2又はロープ状ベルトユニットの本体部2では、緯
糸の収縮は重要な要素である。製織直後のロープ状ベル
ト(ロープ状ベルトユニットの本体部)の断面形状は楕
円形に織られているが、ヒートセット加工時に緯糸が収
縮して断面がほぼ円形になる。
【0051】JIS L1013「化学繊維フィラメン
ト糸試験方法」の7.15に熱水収縮率測定方法及び乾
熱収縮率測定方法が規定されており、これに基づく試験
結果が各原糸メーカーより報告されている。同種の繊維
のうち、この収縮率試験結果の大きいタイプの糸を緯糸
として使用することが望ましい。収縮率が大きい同一タ
イプの緯糸を使用しても、本願で説明した経糸密度係数
により織物としての横方向の収縮率は異なる。しかし本
発明者らの経糸密度計算や蓄積データによりその織物構
成であればどの程度の収縮が望めるか推定できるので、
これを判断資料として使用することにより収縮の大きい
織物構成とすることが容易にできる。
【0052】偏平ベルト部では、収縮率の大きい緯糸を
使用しても経糸密度係数が大きいので収縮は極く僅かの
収縮に留まる。ヒートセット時のテンションをフリーに
近い状態で行うと、本体部は実用上差支えない程度の硬
さを待つほぼ円形の断面形状となる。本体部の硬さをも
っと硬くする必要がある場合は前述したように通常のヒ
ートセット加工をする際、又は次の成形熱処理加工の前
に合成樹脂液に浸し乾燥してから熱処理して固着させる
ことにより硬くすることが可能である。使用する合成樹
脂は、ウレタン、メラミン、アクリル酢酸ビニール等か
ら選択される。
【0053】次に本発明において新たに採用される成形
熱処理方法について説明する。本発明において、感触上
の硬さだけでなく、ロープ状ベルト(ロープ状ベルトユ
ニットの本体部)の充填密度を高くしたい場合は、所定
寸法の半円形の溝を持つ一対のプレス金型又はローラー
等を用意し、これを加熱して溝部分にヒートセット後の
ロープ状ベルトユニットの本体部2または前記樹脂加工
後のロープ状ベルト(ロープ状ベルトユニットの本体
部)を挟み込み加圧することにより達成される。本発明
ではこの種の加工方法を成形熱処理加工という。
【0054】更にこの加工装置の一例を詳細に述べる
と、金型又はローラー等は、加熱装置が組み込まれてい
て温度コントロール可能にしてある。一方の金型又はロ
ーラー等は装置本体に固定されており、この金型又はロ
ーラー等に移動して圧力をかける装置にもう一方の金型
又はローラー等が取付けられていて、装置には圧力計が
付属している。圧力をかける時間も設定できるようにタ
イマーが組み込まれている。
【0055】勿論、金型又はローラー等は加工する製品
の太さ、形状に応じて交換可能なように設計されてい
る。加工条件の設定は、加工品の材質、太さ、原糸タイ
プ、経糸密度係数等から、金型又はローラー等の温度、
押圧力、圧力持続時間を設定して加工する。こうして行
われる成形熱処理加工後の製品は、通常のヒートセット
品に比較して全くの円形断面で充填密度が高く、表面外
観も平滑で特に優美なものになる。
【0056】上記の手段の他に成形熱処理の別の手段と
して、一対の金型の溝を入り口の円形を大きくし徐々に
直径を狭めて出口に至るものとしこの溝内を通過させて
熱処理を施す方法もある。以上製品の仕上がり断面を円
形として説明したが円形に限らず必要であれば楕円形や
俵形等であっても良いのは勿論のことである。
【0057】この樹脂加工及び成形熱処理により加工方
法は、本発明に係るロープ状ベルト(ロープ状ベルトユ
ニットの本体部)2のみでなく、特願平4−27284
2に示された「厚地ベルト及びその製造装置」のような
ロープ代替ベルトの加工にも効果を発揮する。
【0058】以下に本発明に係るロープ状ベルトユニッ
ト1の具体例を説明する。 実施例1 本具体例のロープ状ベルトユニットにおける目標は強力
4100Kgf 以上で本体部の直径は10mmである。本体
部2の構成 織り組織は2/2綾二重織 地糸 ナイロン 1680d/2を2本引揃え 28本 芯糸1 ナイロン 1680d/2を2本引揃え 48本 芯糸2 ナイロン 1680d/2 19本 芯糸3 ナイロン 1680d/1 18本 緯糸 ポリエステル 1000d/1 34ピック/3cm 絡み糸 ポリエステル 1000d/1 1本 地糸トータルデニールは188160d、 芯糸トータルデニールは416640d(地糸の2.2倍)
【0059】緯糸及び絡み糸にポリエステルを使用した
のは、ヒートセット加工を乾熱処理で行う為に乾熱収縮
率の明らかになっている原糸タイプを選択した為であっ
て、メーカーの報告で150度30分の収縮率が14.
5%の糸を使用した。織機はニードル織機を使用して、
上記の糸構成で製織した生機は以下の仕様である。 (1)断面は楕円形で中央部厚さは7.2mm、幅は1
6.8mm、外周長さは 40mm(2)地糸の経糸密度係
数は0.538
【0060】接続部第1段階 図4(B)に示すように、織り組織は1/1の袋織りと
し、先ず、おさ幅を拡げながら本体部2構成の表地糸と
裏地糸それぞれ2本毎に芯糸1の半分24本を2本づつ
挟み込むように表裏両面に織り出す。緯糸の打込数は徐
々に減らして織る。
【0061】接続部第2段階 図4(C)に示すように、芯糸1の残り半分の24本を
同様に表裏両面に織り出す。この間もおさ幅を拡げられ
つつあり、緯糸の打込数も徐々に減らされている。
【0062】接続部第3段階 図4(D)に示すように、芯糸3を接結糸として表裏両
面を接結させる。芯糸2はここでも芯糸のままである。
おさ幅はまだ拡げられつつあり、打込数もまだ減らされ
ている。ベルト部の構成 織組織は1/1平二重織 地糸 ナイロン 1680d/2を2本引揃え 76本 芯糸 ナイロン 1680d/2 19本 吊糸 ナイロン 1680d/1 18本 緯糸 ポリエステル 1000d/1 19.5ピック/3cm 絡み ポリエステル 1000d/1 1本 地糸トータルデニールは510720d 芯糸トータルデニールは63840d
【0063】接続部第3段階で上記の糸構成に移行し、
製織した生機は以下の仕様である。 (1)断面は矩形で、厚さは2.9mm、幅は48.4mm (2)地糸及び吊糸の経糸密度係数は1.099 (3)重量は82.4g/m 次いで接続部第3、第2、第1段階と逆の経過を経て本
体部に移行する。
【0064】以上の各ステップを繰り返して製織した。
製織後のヒートセット加工をした製品は下記の仕様と物
性であった。 (1)本体部の断面はほぼ円形で直径は11.5mmであ
り、ロープと比較するとやや軟らかいが実用上差し支え
ない程度である。 (2)偏平ベルト部は厚さ2.7mmで幅は46.4mmに
変化した。 (3)引張強力は、4435Kgf である。
【0065】ヒートセット加工と樹脂加工を次の条件を
実施した。 (1)ウレタン樹脂250g/リッターの液に生機を浸
し、液を絞る。 (2)120度/5分で乾燥後、160度/3分でキュ
アリングした。 樹脂の効果でロープとほぼ同じ程度の硬さにすることが
できた。
【0066】樹脂加工後の品を次の条件で成形熱処理加
工を実施した。 (1)使用した金型は、直径10mmの円の半円の溝を彫
った金型の上下一対のものである。 (2)金型の温度は160度に設定した。 (3)押圧力は70Kgf に設定した。 (4)圧力持続時間は40秒に設定した。
【0067】成形熱処理加工後の製品本体部は、断面が
丸く直径10mmで手で握っても形状の変化はなかった。
【0068】実施例2 本体部直径を12mm目標とし芯糸の一部にポリプロピレ
ン糸(増量材)を使用する。本体部の構成 織り組織は
2/2綾二重織 地糸 ナイロン 1680d/2を2本引揃え 36本 芯糸1 ナイロン 1680d/2を2本引揃え 64本 芯糸2 ポリプロピレン 680d/2 92本 芯糸3 ナイロン 1680d/1 24本 緯糸 ポリエステル 1000d/1 34ピック/3cm 絡み糸 ポリエステル 1000d/1 1本 地糸トータルデニールは241920d 芯糸トータルデニールは595520d(地糸の2.5倍) 芯糸にボリュームを増す為、ポリプロピレン糸1251
20dを使用した。(これは、ナイロン糸であれば15
6700dの太さに相当する) 緯糸及び絡み糸にポリエステルを使用したのは、ヒート
セット加工を乾熱処理で行う為に乾熱収縮率の明らかに
なっている原糸タイプを選択した為であって、メーカー
の報告で150度30分の収縮率が14.5%の糸を使
用した。
【0069】織機はニードル織機を使用して、上記の糸
構成で製織した生機は以下の仕様である。 (1)断面は楕円形で中央部厚さは7.5mm、幅は1
7.4mm、外周長さは 42mm (2)地糸の経糸密度係数は0.559
【0070】接続部第1段階 図4(B)に示すように、織り組織は1/1の袋織りと
し、先ず、おさ幅を拡げながら本体部構成の表地糸と裏
地糸それぞれ2本毎に芯糸1の半分32本を2本づつ挟
み込むように表裏両面に織り出す。緯糸の打込数は徐々
に減らして織る。
【0071】接続部第2段階 図4(C)に示すように、芯糸1の残り半分の32本を
同様に表裏両面に織り出す。この間もおさ幅を拡げられ
つつあり、緯糸の打込数も徐々に減らされている。
【0072】接続部第3段階 図4(D)に示すように、芯糸3を接結糸として表裏両
面を接結させる。芯糸2はここでも芯糸のままである。
おさ幅はまだ拡げられつつあり、打込数もまだ減らされ
ている。ベルト部の構成 織り組織は1/1平二重織 地糸 ナイロン 1680d/2を2本引揃え 100本 芯糸 ポリプロピレン 680d/2 92本 吊糸 ナイロン 1680d/1 24本 緯糸 ポリエステル 1000d/1 19.5ピック/3cm 絡み ポリエステル 1000d/1 1本 地糸トータルデニールは672000d 芯糸トータルデニールは125120d
【0073】接続部第3段階で上記の糸構成に移行し、
製織した生機は以下の仕様である。 (1)断面は矩形で、厚さは2.9mm、幅は60.0mm (2)地糸及び吊糸の経糸密度係数は1.168 (3)重量は115.6g/m 次いで接続部第3、第2、第1段階と逆の経過を経て本
体部に移行する。
【0074】以上の各ステップを繰り返して製織した。
製織後のヒートセット加工をした製品は下記の仕様と物
性であった。 (1)本体部の断面はほぼ円形で直径は13.2mmであ
り、ロープと比較するとやや軟らかいが実用上差し支え
ない程度である。 (2)ベルト部は厚さ2.7mmで幅は57.5mmに変化
した。 (3)引張強力は、5500Kgf である。
【0075】ヒートセット加工と樹脂加工を次の条件で
実施した。 (1)ウレタン樹脂250g/リッターの液に生機を浸
し液を絞る。 (2)120度/5分で乾燥後、160度/3分でキュ
アリングした。 樹脂の効果でロープとほぼ同じ程度の硬さにすることが
できた。
【0076】樹脂加工後の品を次の条件で成形熱処理加
工を実施した。 (1)使用した金型は、直径12mmの円の半円の溝を彫
った金型の上下一対のものである。 (2)金型の温度は160度に設定した。 (3)押圧力は70Kgf に設定した。 (4)圧力持続時間は40秒に設定した。
【0077】成形熱処理加工後の製品本体部2は、断面
が丸く直径12mmで手で握っても形状の変化はなかっ
た。以上実施例はロープ状ベルトユニットの場合を示し
たが、ロープ状ベルト単体のものは上記実施例により容
易に類推することができると思われるので省略する。
【0078】比較例 従来の技術で言及した、図5、図6で示す実公昭62−
14137の図9及び10が袋部分と芯糸部分の比率が
分かり易いので、これを当業者として記載内容にできる
限り忠実に再現してみる。ベルト部の構成 織り組織は
1/1平三重織(図5に基づく構成) 地糸 ナイロン 1680d/2 97本 接結糸 ナイロン 1680d/1 15本 緯糸 ナイロン 840d/1 36ピック/3cm 絡み糸 ナイロン 840d/1 1本
【0079】上記の糸仕様でニードル織機で幅を30mm
仕上に設定したもので、極く一般的な細幅織物の仕様で
ある。三重織なので2層は32本として耳の糸のつなが
りの関係で1層のみ33本としてある。接結糸は表面か
ら見えない様に通常は地糸よりも細くされる。この織仕
様での織物は何も問題なく製織できる。丸織部の構成織
り組織は1/1平二重織(図6に基づく構成) 地糸 ナイロン 1680d/2 65本 芯糸 ナイロン 1680d/2 32本(ベルト部の第2層の糸) 芯糸 ナイロン 1680d/1 15本(ベルト部の接結糸) 緯糸 ナイロン 840d/1 24ピック/3cm 絡み糸 ナイロン 840d/1 1本
【0080】地糸トータルデニールは218400d、
芯糸トータルデニールは132720dで比率は地糸1
に対して芯糸0.61である。 ナイロン1680/2
の糸径は0.6460mmで地糸65本では並列幅は42
mmと算出される。従って1/1平二重織では、経糸密度
係数を1.000としても丸織外周は42mmで外径は1
3.4mmの大きさになる。外周丸織部の厚さは1.2mm
程度と推定されるので、丸織内径は約11.0mmと算出
される。一方芯糸は本願糸径の算出式で計算すると4.
06mmに過ぎないので丸織内部を充填するには大差があ
り明らかに断面は円形にならない。
【0081】この仕様で芯糸の外周を丸織で包み込む為
に逆算してみると、芯糸径は4.1mmとし、外周丸織部
の厚さは1.5mm程度としたとき断面直径は7.1mmで
外周は22.3mmにしなければならない。つまり、経糸
の並列幅42mmを22.3mmに織らねばならないことに
なる。このときの経糸密度係数を計算すると、(糸径
0.6460mm×65本)÷22.3=1.883とな
り、当業者としての経験及び知見では織物として成立し
ない密度係数である。
【0082】
【発明の効果】本発明のロープ状ベルトは、従来技術で
は細幅織物では実現できなかった内部の充実した断面が
円形もしくはほぼ円形の外観を有し、細巾織物でありな
がらロープ又は丸打ち組紐と同様の用途に使用できる。
又、ロープ状ベルトユニットは、従来技術では細幅織物
では実現できなかった内部の充実した断面が円形もしく
はほぼ円形の外観を有する本体部と共に、両端末に偏平
ベルト部があるので、従来ロープの接合部構造として止
むを得ず行われていた“さつま加工”を必要とせず、簡
便な縫製手段で接合できる効果がある。このような構成
は従来事実上は無かった構成なので、柱上安全帯のロー
プ代替として、フレキシブルコンテナーの吊り手として
のみならず、スリングベルトその他の新しい用途にも展
開使用することができる。
【0083】成形熱処理加工を施したロープ状ベルト及
びロープ状ベルトユニットは、形状が更に安定して外観
も優れていて商品価値が向上する。また本発明の実施例
1の本体部は、82.2g/mであるがこれはJIS
L2704ナイロンロープの規格と比較すると線密度か
ら11.5mm径に相当し、2600Kgf 以上の強力が必
要とされるのに対して、本体部とベルト部を含めて強力
を測定した結果は4435Kgf であった。
【0084】これはJIS規格を大幅に超え166.7
%に相当する。ロープに比較して強力利用率が格段に高
く同等の強力が低コストで製造することができる。更に
同等の強力を得るのに本願の構成に従えば約60%(2
600Kgf )の重量で済むことになり安全度を高めて7
0%(3030Kgf )としても、作業上望ましい軽量化
(マイナス24g/m)が達成できる。
【0085】本発明の実施例2のように要求太さが優先
する場合は本体部、接続部、偏平ベルト部を通じて比重
の低い繊維を芯糸として使用することが可能でこれもま
た低コスト、軽量化に効果が大きい。本発明で開示した
経糸密度係数を基にした織物設計手段により設計の理論
的根拠が明らかとなり、設計から製品の試作及び製品化
までの、材料、時間、労力が大幅に軽減される結果とな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るロープ状ベルトユニット
の構成例の概略を説明する斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係るロープ状ベルトに及びロ
ープ状ベルトユニットの本体部の構成例を示す拡大図で
ある。
【図3】図3は、本発明に係るロープ状ベルトユニット
に於ける偏平ベルト部の構成例を示す拡大図である。
【図4】図4は、本発明に於けるロープ状ベルトユニッ
トの接続部の織組織の一例を説明する組織図である。
【図5】図5(A)は、従来の公知例に於ける偏平織組
織部分の、又図5(B)は丸織組織部分の断面構成を示
す図である。
【図6】図6は、従来の公知例に於ける三重織の織構成
の例を説明する側面図である。
【符号の説明】
1…ロープ状ベルトユニット 2…ロープ状ベルト(ロープ状ベルトユニットの本体
部) 3…接続部 4…偏平ベルト部 5…芯糸 6…袋織部の経糸 7…袋織部の緯糸 10…細幅織物 22…ロープ状ベルト(ロープ状ベルトユニットの本体
部)の袋織部分 61…偏平ベルト部の経糸 71…偏平ベルト部の緯糸 51…接結糸 尚、図5及び図6に付された各符号は、本願明細書中で
引用している実公昭62−14137「細幅織物」の明
細書に添付されている各図面に記載されている符号その
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D03D 1/00 D03D 11/00 D04C 1/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成繊維の経糸と緯糸からなる細幅織物
    であって、その外周縁部を構成する袋状織組織部と、該
    袋状織組織部の中に配列されている芯糸とからなる構成
    を有し、且つ該芯糸の合計繊度は、前記袋状織組織部の
    経糸合計繊度の1.5倍以上となるように構成され、更
    に該袋状織組織部は、当該細幅織物が製織された状態で
    は、本発明において定義する経糸密度係数が0.700
    以下に設定されており、当該細幅織物の製織後に適宜の
    成型熱処理加工を施す事によって当該経糸密度係数を高
    めた事を特徴とするロープ状ベルト。
  2. 【請求項2】 合成繊維の経糸と緯糸からなる細幅織物
    であって、その長手方向に請求項1記載のロープ状ベル
    トを本体部とし、偏平ベルト部及び該本体部と偏平ベル
    ト部を接続する接続部を有し、それぞれが所定の長さを
    以て配列されていて、該偏平ベルト部は、該本体部の袋
    状織組織部分の経糸と共に、該本体部の芯糸の一部又は
    全部を緯糸と交錯させた織構成を持ち、且つ該本体部の
    幅に対して少なくとも2.0倍以上の幅を有しており、
    更に該接続部は、その織り幅を徐々に変更しながら、複
    数の段階に分けて織組織を変更し、該本体部又は該偏平
    ベルト部の織組織に移行する様に構成されていることを
    特徴とするロープ状ベルトユニット。
JP6091806A 1993-05-06 1994-04-28 ロープ状ベルト及びロープ状ベルトユニット Expired - Fee Related JP2772615B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6091806A JP2772615B2 (ja) 1993-05-06 1994-04-28 ロープ状ベルト及びロープ状ベルトユニット

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5-105664 1993-05-06
JP10566493 1993-05-06
JP6091806A JP2772615B2 (ja) 1993-05-06 1994-04-28 ロープ状ベルト及びロープ状ベルトユニット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0718538A JPH0718538A (ja) 1995-01-20
JP2772615B2 true JP2772615B2 (ja) 1998-07-02

Family

ID=26433245

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6091806A Expired - Fee Related JP2772615B2 (ja) 1993-05-06 1994-04-28 ロープ状ベルト及びロープ状ベルトユニット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2772615B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101011312B1 (ko) 2003-02-07 2011-02-07 막스 가부시키가이샤 스테이플용 리필
JP5852542B2 (ja) 2012-10-10 2016-02-03 綾羽株式会社 炭素繊維強化複合材用織物およびその製造方法
CN109943969A (zh) * 2019-04-25 2019-06-28 北京天星博迈迪医疗器械有限公司 组合绳编织方法及编织装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63102783U (ja) * 1986-12-19 1988-07-04
JPH0639155Y2 (ja) * 1988-02-12 1994-10-12 株式会社三浦組紐工場 多層ベルト

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0718538A (ja) 1995-01-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003517109A (ja) 補強布地
KR101591536B1 (ko) 별개의 탄성사 시스템을 갖는 신장성 직조물
US3158984A (en) Porous fabric or structure and the method of making the same
JPS63152637A (ja) 樹脂の補強用プリフオ−ム材
JPS6050907B2 (ja) 成形ワイヤおよびドライヤフエルト用継目
JP2019505695A (ja) 導電性布、導電性布の製造方法、およびその装置
JP6678750B2 (ja) 多層織物要素
KR960012830B1 (ko) 로프 대체 벨트
HUT64114A (en) Oriented fibre structure and method for producing same
JPS5887392A (ja) 製紙用フエルト及びその製造方法
CZ2000669A3 (cs) Lisovací poduška
JP2772615B2 (ja) ロープ状ベルト及びロープ状ベルトユニット
CN100367889C (zh) 拉链带
KR100897362B1 (ko) 비탄성 섬유가 피복된 저융점 폴리우레탄 탄성섬유로제조된 런 발생 방지 환편물 및 그의 제조방법
JP3214647B2 (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂成形用材料およびその製造方法
JPH04281037A (ja) 補強炭素繊維織物およびその製造方法
WO2023045993A1 (en) Joint-free continuous ropes and belts
CN101258279A (zh) 具有高厚度和弹性的针刺带
CN211256218U (zh) 一种服装用弹性织带
PT1509394E (pt) Saco de gás insuflável e processo de produção de um saco de gás insuflável
JP3796934B2 (ja) 地割れ調の外観を呈する接着芯地
JPS6031930B2 (ja) ラフトップコンベヤベルト表面成形用布
CN217536281U (zh) 一种弹性网布
JPH01150532A (ja) 多軸方向に補強された補強芯地を有する加工製品
JP4163883B2 (ja) 歯付きベルト用織布

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090424

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090424

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100424

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100424

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110424

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110424

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120424

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130424

Year of fee payment: 15

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees