JP2771896B2 - 管路をその内面から部分補修する装置 - Google Patents

管路をその内面から部分補修する装置

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Tokyo Gas Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、地中に埋設されたガス導管、水道管あるい
はその他の管路を、その内面から部分的に補修する装置
に関するものである。
[従来の技術] ガス導管等において、その一部に腐食が発生したり、
漏洩原因等が発生した場合の補修装置として、既設管ジ
ョイント部の補修装置(実公平1−18954)が公知であ
る。
この補修装置は第8図に示すように、管内移動中は中
央から両側に摺動して開放自在のカプセル101、102を閉
じて、補修材103の外周面の接着剤層を管内面との接触
から保護する構成である。
そして、前記カプセル101、102は前後一対の半殻体
で、これらの半殻体の外端には内方に向かって延出され
たピストンロッド109、110が形成されている。また、こ
のピストンロッド109、110の内端にはピストン107、108
が形成されており、ピストン107、108およびピストンロ
ッド109、110は本体100内に形成したシリンダ室105、10
6内に収納されている。
而して、カプセル101、102はシリンダ室105、106内に
流体を供給してピストン107、108を摺動せしめることに
より、摺動して管軸方向に開くように構成されている。
また補修材103を保持している保持体104は、前記本体
100の外周部に備えられており、本体100内に形成されて
いる流体通路(第3エアー通路)111に流体を供給する
ことにより膨張して、補修材103を管路の内面に密着さ
せる構成であって、前記シリンダ室105、106内に至る流
体の供給とこの保持体104に対する流体の供給通路は夫
々が独立している。
[従来技術の課題] しかしながら、上記公知例においては、次のような問
題がある。
a.カプセル101、102を開くために本体100内には2つの
シリンダ室105、106を設けたり、開放用の第1エアー通
路112、閉鎖用の第2エアー通路113を設けたり、更に保
持体104を膨張させる第3エアー通路111を設けている。
このため、本体100の外径寸法が大きくなり、大口径
の管には適用できても、例えば50m/m〜70m/m程度の管用
としては適用できない。
b.エアーの供給系路が3系路もあり、特にカプセル10
1、102の開閉と保持体104の開閉をタイミングよく行う
ために、第3エアー通路111側には2つのコントロール
バルブ114、115を挿入したりする必要があり、制御系が
複雑になると共に大型化と重量増大の一因となる。
本発明は、上記a〜bに記した問題を有しない補修装
置を提案するのが目的である。
[課題を解決するための手段] 本発明の構成は次のとおりである。
a.筒体の外側に流体圧で膨張する膨張膜を取り付けると
共にこの膨張膜の外側に補修材を配置し、更にこの補修
材の外側を閉塞部材にて覆った状態で管路内に挿入し、
補修箇所において前記閉塞部材を開放して補修材を露出
させ、次に膨張膜を流体圧により膨張させて補修材を管
路の内面であってその補修箇所に貼り付けて部分補修を
行う装置において、 b.中空状の筒体の前端部には環状突出部が形成され、か
つこの環状突出部の正面側には流体圧作動室が形成さ
れ、流体圧供給機とこの流体圧作動室間は筒体の肉厚内
に形成した流体通路で結ばれていること、 c.閉塞部材は先端側を開放した内管と外管から成る二重
管構造から成り、前記筒体はこの閉塞部材にその環状突
出部側から挿入されており、かつ筒体の内周面は内管の
外周面と気密に、そして摺動自在に接し、筒体の外周面
であって膨張膜の外側と外管の内周面との間には空間が
形成されていると共に前記流体圧作動室と対向する面に
は受圧面が形成されていること、 d.前記閉塞部材の内管の先端側外周面には溝状の第一流
入孔が形成され、この第一流入孔は閉塞部材が摺動して
ストッパーにより止った状態において、筒体の先端側で
あって筒体を貫通し、かつ筒体の外側に取り付けた膨張
膜の内側の気密空間に連通している第二流入孔に合致す
る構成であること、 e.を特徴とする管路をその内面から部分補修する装置。
[作用] 管路の外において、先ず閉塞部材を手で、又は流体圧
で摺動させて膨張膜を露出させ、この外に補修材を捲き
つけ、閉塞部材を閉じる。
この状態で管路内に挿入し、所定の位置で挿入を止
め、次に流体圧供給機から流体通路を経由して流体圧作
動室内に流体圧をかける。このようにして流体圧をかけ
ると、受圧面に流体圧が作用して、閉塞部材が摺動し、
補修材を露出する。そして、閉塞部材が終端まで摺動
し、ストッパーにより止められた位置において第一流入
孔と第二流入孔が合致して流体圧は流体通路→第一流入
孔→第二流入孔→気密空間と流れ、膨張膜を膨張させ、
補修材を管の内面に圧着する。
補修材は、この圧着している間に管の内面に密着して
漏洩箇所を塞ぐ。
補修材の密着が終了したなら、流体を吸引して流体通
路を負圧に制御する。流体圧はこのようにすると先ず膨
張膜の弾性による排圧作用が優先して先程とは逆に気密
空間→第二流入孔→第一流入孔→流体通路と流れ、やが
て気密空間内が零となり、膨張膜は完全に筒体の外面に
密着し、第二流入孔を塞ぐかたちとなる。このようにし
て第二流入孔が塞がれると、次に流体圧作動室内の流体
圧が流体通路を経由して排除され、この負圧の作用で受
圧面を有する閉塞部材が閉じる方向に摺動し、やがて膨
張膜全体を覆い、密閉の状態に戻る。
このようにして閉塞部材を閉じてから補修装置を管外
に引き出す。
つまり、上記作用において、筒体の環状突出部はピス
トンとして作用し、閉塞部材の内管はピストンロッドと
して作用し、外管はシリンダとして作用する。
[実施例] 図面は本発明の好ましい一例を示したものである。
符号の10は本体部材で、以下本体部材10について説明
する。
11は中空の筒体を示し、筒体11の外周面には気密空間
13を形成するように膨張膜14が設けられており、その両
端部が固定部材14′で緊締されている。
膨張膜14は筒状の三層構造で、内層には導電性フィラ
を添加したシリコーンゴム等の導電性耐熱ゴムを用い、
その外面に中層となるポリフェニルサルファイド等の耐
熱性繊維をニット状に編んだものを被せ、さらにその外
面に外層となるシリコーンゴム等の絶縁塗料を塗布した
発熱体である。それぞれの働きとして、内層の導電性耐
熱ゴムは電流を流すことによって発熱し、補修材の加熱
を行う。中層のニット状の耐熱性繊維は、導電性耐熱ゴ
ムが発熱によって軟化した際に過剰膨張による破裂を防
止する。外層の絶縁塗料は管路に導電性耐熱ゴムが接触
した際の電流のリークを防止している。
筒体11の先端部外周面には膨張膜14の外方まで突出し
ている環状突出部12が設けられている。
また筒体11の肉厚内には、流体通路19が後部から環状
突出部12の先端面まで貫通していると共に、第二流入孔
20が筒体11の内周面から外周面へ貫通して形成されてい
る。
さらに筒体11の肉厚内には、中空部25が内周面に向っ
て開口しており、その中空部25内には凸部材26が嵌入さ
れ、そしてこの凸部材26はスプリング27によって内周面
から突出するように付勢されている。
1は閉塞部材にして、外管2と内管3の前端部の間は
蓋部材4で接合されており、内管3と外管2との間の空
間でシリンダ室5を形成している。
内管3の先端外周面には、溝状の第一流入孔6およ
び、その第1流入孔6にテーパ面を有した凹溝7がそれ
ぞれ刻設されている。そして凹溝7と前記凸部材26で本
発明のストッパーを構成している。
而して、閉塞部材1は前記本体部材10の筒体11に被嵌
されて、本発明の補修装置を成している。
5′は突出部12の正面側に形成した流体圧作動室にし
て、この流体圧作動室5′の正面側には閉塞部材1の蓋
部材4側に形成した受圧面4aが存在している。
9は閉塞部材1の蓋部材4の正面側に突出した部分に
取り付けられた車輪で、スプリング9′により半径方向
に作動自在な車輪アーム9″により軸支されている。
18は本体部材10の後部に設けられたソリで、コイルセ
ンサ17が固定されている。
21、21′、21″は筒体11の肉厚内に穿設された通線孔
で、通線孔21および21′には膨張膜14の両端に通電を行
うための通電線22、22′が、通線孔21″には膨張膜14の
温度を検知するセンサ23が通されており、それぞれシー
リング材24、24′、24″で気密に埋められている。なお
センサ23は膨張膜14が膨張した際に断線しない様に弛ま
せてある。
28は本体部材10の後端にカップリング29により接続さ
れた挿入ケーブルで、挿入ケーブル28内には流体通路19
および通電線22、22′、センサ23、さらにコイルセンサ
17の電線が通されている。
15は後述する補修シート(補修材)33を固定するスト
ツパ、8および16は活管孔である。
次に、上記補修装置を使用しての補修方法を説明す
る。
第1図に示すように管路31の一部にピンホール32が発
生しているとする。
先ず、管路31を切断し、この切断口から挿入ケーブル
28を利用して補修装置を挿入する。補修装置は車輪9お
よびソリ18により管路31内をスムーズに移動する。
補修装置には、予め管路31の内周よりもわずかに長い
補修シートを33に巻き付けてオーバーラップさせてい
る。補修シート33としてシートモールディングコンパウ
ンド(以下SMCと言う)の表面に低融点のホットメルト
を被覆させたものを用いることが好ましく、そのSMCは
補強層となり、ホットメルトは加熱時にピンホール32へ
流入して気密層となる。なお補修シート33が巻き崩れな
い様に輪ゴム等で仮止めしておく。
次いでコイルセンサ17がピンホール32の位置を検知し
たなら、補修シート33の中央部をピンホール32に対向さ
せる様に所定の長さ分補修装置を後退させる。この状況
を第1図に示している。
補修装置を停止したなら、次にコンプレッサ(図示せ
ず)から流体通路19を介して流体圧作動室5′へ流体を
圧入し、受圧面4aの作用で閉塞部材1を前方へ移動さ
せ、補修シート33を露出させる。
閉塞部材1の移動は、係止手段である凹溝7に凸部材
26がスプリング27の働きで嵌合することにより停止し、
この状態で第一流入孔6は流体圧作動室5′と第二流入
孔20にまたがり、流体通路19と気密空間13を連通する。
この状況は第5図に示されている。
さらに流体通路19から流体を圧入すると、気密空間13
へ流体が圧入され、膨張膜14を半径方向に膨張させる。
そして膨張膜14の膨張によって補修シート33は管路31の
内面であってピンホール32の発生箇所に圧着する。この
状況は第6図に示されている。補修シート33の圧着を終
えたなら、次に給電装置(図示せず)から通電線22、2
2′を介して膨張膜14を発熱させると共に、センサ23で
温度制御を行いながら、補修シート33を加熱して硬化さ
せる。硬化が終了したなら給電を止める。
次に真空ポンプ(図示せず)により流体通路19から補
修装置内の流体の排除を開始すると、先ず、気密空間13
内の流体が排除されて膨張膜14が収縮し、膨張膜14は筒
体11の外周面に密着して、第二流入孔20の開口部を閉じ
る。第二流入孔20の開口部が閉じられると、流体圧作動
室5′内の流体の排除がはじまり、流体圧作動室5′が
負圧となって受圧面4aつまり閉塞部材1が本体部材10に
向かって後退する。
閉塞部材1が本体部材10に向かって移動しはじめると
きに、凹溝7のテーパ面によって凸部材26はスプリング
27を圧縮しながら中空部25内に納まり、係止手段が解除
される。
そして閉塞部材1が移動して初期の状態に戻ったなら
ば、挿入ケーブル28を引いて補修装置を回収し補修作業
を終了する。第7図は管路内面の補修終了状況を示して
いる。
なお、以上の実施例において、管路31内を流れる流体
は活管孔16から内管3内および筒体11の中空部を経由し
て活管孔8に通過しており、作業は活管のまま行われて
いる。
[本発明の効果] 本発明は以上の如き構成と作用により、次の如き効果
を奏する。
a.閉塞部材の外管と膨張膜の空隙に、ピストンとなる筒
体側の環状突出部を形成し、閉塞部材をシリンダとして
機能するようにしたことから、従来のように筒体内にシ
リンダを形成する必要がなく、装置を周方向に小さく製
作でき、小型化が実現できる。
b.流体作動室の流体が第一、第二流入孔を介して気密空
間に流入するようにしたことから、膨張膜の膨張を、筒
体から閉塞部材を移動せしめた流体を用いて連続的に行
うことができ、膨張を行うための流体通路を別個装置内
に形成したり、コントロールバルブを設ける必要がない
ので、装置を周方向に小さく制作でき、小型化が実現で
きる。よって、本発明の装置は小口径の管路でも用いる
ことができる。
c.管路移動中、閉塞部材の外管が補修シート(補修材)
を被っているので、補修シートは汚れたり傷ついたりす
ることがない。
d.装置は中空であるために作業は活管で行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係わる補修装置の縦断面図、第2図は
第1図II−II′線断面図、第3図は第1図III−III′線
断面図、第4図は第2図IV−IV′線断面図、第5図は筒
体から閉塞部材を移動させた状況を第3図V−V′線断
面から見た縦断面図、第6図は膨張膜を膨張させ、補修
シート(補修材)を管路内面に圧着させた状況の縦断面
図、第7図は補修終了状況を示す補修箇所の縦断面図、
第8図は公知例の説明図である。 1…閉塞部材 2…外管 3…内管 4a…受圧面 5′…流体作動室 6…第一流入孔 7…凹溝(ストッパー) 11…筒体 12…環状突出部 13…気密空間 14…膨張膜 19…流体通路 20…第二流入孔 26…凸部材(ストッパー) 31…管路 33…補修シート(補修材)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a.筒体の外側に流体圧で膨張する膨張膜を
    取り付けると共にこの膨張膜の外側に補修材を配置し、
    更にこの補修材の外側を閉塞部材にて覆った状態で管路
    内に挿入し、補修箇所において前記閉塞部材を開放して
    補修材を露出させ、次に膨張膜を流体圧により膨張させ
    て補修材を管路の内面であってその補修箇所に貼り付け
    て部分補修を行う装置において、 b.中空状の筒体の前端部には環状突出部が形成され、か
    つこの環状突出部の正面側には流体圧作動室が形成さ
    れ、流体圧供給機とこの流体圧作動室間は筒体の肉厚内
    に形成した流体通路で結ばれていること、 c.閉塞部材は先端側を開放した内管と外管から成る二重
    管構造から成り、前記筒体はこの閉塞部材にその環状突
    出部側から挿入されており、かつ筒体の内周面は内管の
    外周面と気密に、そして摺動自在に接し、筒体の外周面
    であって膨張膜の外側と外管の内周面との間には空間が
    形成されていると共に前記流体圧作動室と対向する面に
    は受圧面が形成されていること、 d.前記閉塞部材の内管の先端側外周面には溝状の第一流
    入孔が形成され、この第一流入孔は閉塞部材が摺動して
    ストッパーにより止った状態において、筒体の先端側で
    あって筒体を貫通し、かつ筒体の外側に取り付けた膨張
    膜の内側の気密空間に連通している第二流入孔に合致す
    る構成であること、 e.を特徴とする管路をその内面から部分補修する装置。
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