JP2769214B2 - イソブタンおよびメタクロレインの回収方法 - Google Patents

イソブタンおよびメタクロレインの回収方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、イソブタンを気相接触酸化して一段でメタ
クリル酸および/またはメタクロレインを製造する際
に、該反応ガスから未反応イソブタンと生成メタクロレ
インを回収する経済的に有利な方法に関するものであ
る。
(従来技術) 従来、イソブタンのような飽和炭化水素は不活性ガス
と考えられていたが、近年になり、イソブタンをイソブ
チレンを経由することなく、触媒の存在下、高温(300
〜500℃)で接触酸化し、直接メタクロレインあるいは
メタクリル酸とする製造法が研究され、注目をあつめて
いる。たとえば、英国特許第1340891号明細書、特開昭5
5−62041号公報、特開昭62−132832号公報、特開昭63−
145249号公報などに示されている。これらの方法では特
定の触媒を使用して、反応性の乏しいイソブタンを直接
メタクロレインあるいはメタクリル酸に転換させている
が、いずれもイソブタンのone pass転化率が10%以下
ときわめて低い。そこで、イソブタン濃度を高くしても
軟化率が変わらないことを利用して、高濃度のイソブタ
ンを反応させて、反応ガス中の生成物濃度を高くし触媒
の生産性を実用レベルにまで向上させている。しかしな
がら、大半のイソブタンが未反応のまま残るため、本法
の工業的実施のためには、特に未反応イソブタンを安価
に回収しなければならない。一方、メタクロレインは更
に酸化させることによりメタクリル酸に転化することが
できるため、生成メタクロレインを安価に回収し、反応
器にリサイクルすることが必要である。
ところで、イソブタンは液化ガスの一種であり、容易
に圧縮液化させ窒素ガスから分離することも可能である
が、非凝縮性ガス成分である窒素ガスなどの量が多い
と、これらに同伴されるイソブタンガスの損失が大きく
なる。このとき、イソブタンの損失を工業的に実施可能
な範囲にまで低減させようとすると、圧縮液化に要する
動力あるいは、冷却費用の負担がきわめて大きくなり実
用的でなくなる。しかも、反応ガス中の酸素濃度によっ
ては、イソブタンの圧縮液化によりイソブタンガス濃度
が低下する過程でガス組成が一時的にではあるが爆発組
成となる危険性があり、工業的実施にあたり問題とな
る。従って、圧縮液化により未反応イソブタンと生成メ
タクロレインを回収する方法は経済性、安全性という観
点からは、実用上の問題が多く好ましい方法とはいえな
い。
メタクロレインの回収方法についてはこれまでに種々
提案されており、例えば特公昭48−23409号公報、特開
昭55−100334号公報、特公昭60−41654号公報、特公昭6
0−59891号公報などを挙げることができる。これらはい
ずれもイソブテンまたはターシャリーブタノール(以
下、イソブテン類と称する。)の気相接触酸化により生
成したメタクロレインを溶剤で吸収し回収する方法であ
り、未反応のイソブテン類をも回収しようとしたもので
はない。イソブテン類から、メタクリル酸への接触酸化
は二段反応であり、未反応イソブテン類はむしろ溶剤で
吸収させないで、同伴ガスと共に第一段反応器にリサイ
クルし、メタクロレインは吸収液から蒸留もしくはスト
リッピングなどの方法で回収し第二段反応器へリサイク
ルする為、イソブテンとメタクロレインとは分離して回
収する必要があった。
しかるに、イソブタンを気相接触酸化した場合の未反
応イソブタンと生成メタクロレインはいずれも同一の反
応器へリサイクルする必要があるが、これまで、工業的
に成り立つ経済性の高いイソブタンとメタクロレインの
回収方法は提案されていなかった。
(発明が解決しようとする課題) 従って本発明が目的とするところは、イソブタン気相
接触酸化して一段でメタクリル酸および/またはメタク
ロレインを製造する際に、気相接触酸化反応ガスから未
反応イソブタンと生成メタクロレインを回収する経済的
でしかも安全性の高い回収方法を提供することである。
(課題を解決するための手段) 本発明者らはかかる課題に対処するため、鋭意研究を
重ねた結果、ある種の有機溶剤と該反応ガスとを接触さ
せイソブタンとメタクロレインを同時に吸収分離し、得
られた吸収液からイソブタンとメタクロレインをストリ
ッピングすることによりこの目的が達成されることを見
いだし、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明はイソブタンを気相接触酸化して得られ
た反応ガスから未反応イソブタンと生成メタクロレイン
を回収するに際して、該反応ガスと有機溶剤とを接触さ
せイソブタンとメタクロレインとを同時に吸収分離し、
得られた吸収液からイソブタンおよびメタクロレインを
ストリッピングにより同時に反応器にリサイクルするこ
とを特徴とするイソブタンおよびメタクロレインの回収
方法である。
本発明の要点は、前記気相接触酸化して得られる反応
ガスを冷却し、メタクリル酸を凝縮分離した後の未反応
イソブタンと生成メタクロレインを含有したガスに、有
機溶剤を接触させ、イソブタンとメタクロレインとを同
時に吸収分離し、得られた吸収液から、イソブタンとメ
タクロレインの回収を蒸留ではなくストリッピングによ
り同時に回収することにある。従って、イソブタンとメ
タクロレインとを別々に回収する場合に比較し工程が短
縮され、吸収溶剤も一種類で賄えることになる。また蒸
留ではなくストリッピングすることにより、有機溶剤の
加熱に必要な熱エネルギーも節約することができる。ス
トリッピングガスとしては、酸化反応で使用する空気を
そのまま使うことができ、新たな用役を使用することに
はならない。
従って、本発明の方法によれば、(1)イソブタンと
メタクロレインとを同時に回収するため工程が短縮さ
れ、吸収溶剤も一種類で賄うことができる。(2)イソ
ブタンのone pass転化率が10%程度と低い場合でも、
極めて経済性の高い実用的なイソブタンとメタクロレイ
ンの回収方法を提供できる。(3)ストリッピングガス
として、酸化反応で使用する安価な空気を使用すること
ができ、さらに経済性の向上したプロセスにすることが
可能である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。イソブ
タンを水蒸気の存在下に分子状酸素含有ガス(多くは空
気)により気相接触酸化すると目的物であるメタクリル
酸、メタクロレインの他に酢酸、一酸化炭素、二酸化炭
素、未反応イソブタン、未反応酸素及び窒素などを含む
高温の反応ガスが得られる。この反応ガスは、そのまま
有機溶剤と接触させてもよいが、通常行われているよう
に、適当な方法により、該反応ガスを冷却または、水に
接触させ、気相と液相とに分離させる。この冷却工程に
より、反応で生成したメタクリル酸、高沸点生成物、そ
れに水蒸気を気相から予め低下させた後、有機溶剤と接
触させるのが好ましい。本発明で使用する有機溶剤より
も沸点の高い反応ガス成分は、冷却工程で実質上完全に
除去するのがより好ましい。このようにして得られた気
相は未反応イソブタン、メタクロレイン、アセトン、窒
素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素および水蒸気などを
含む。この気相を吸収工程に導き有機溶剤と接触させ
る。これにより未反応イソブタンおよび生成メタクロレ
インをほぼ完全に分離したガス体を塔頂から、また塔底
からは、イソブタンおよびメタクロレインおよび場合に
よっては若干の酸化副生物を吸収した吸収液を得ること
ができる。
吸収に用いる有機溶剤としては、炭化水素類、ハロゲ
ン化炭化水素類、ケトン類、エーテル類などが使用可能
ではあるが、吸収溶剤の選択は極めて重要であり、経済
性、安全性、有機溶剤の安定性などを考慮して決めねば
ならない。特にケトン類、エーテル類などは、過酸化物
を生じ易くこれはラジカル重合を引き起こす要因とな
り、該反応ガス中にメタクロレインなどのように極めて
重合しやすい物質が残っている場合には好ましい有機溶
剤とはならない。好ましいのは、炭化水素類であり、中
でも炭素数8〜20個からなる脂肪族炭化水素、脂肪族環
式炭化水素および/または芳香族炭化水素が好ましい。
より好ましくは、炭素数12〜18個からなる脂肪族炭化水
素、脂肪族環式炭化水素および/または芳香族炭化水素
である。炭素数が7以下の有機溶剤ではメタクロレイン
と有機溶剤との比揮発度が小さく、ストリッピングによ
りイソブタンおよびメタクロレインを回収する場合に、
ガスに同伴される有機溶剤の量が多く、有機溶剤のロス
による経済性の悪化及び反応器へ有機溶剤をフィードす
ることによる反応への悪影響などが考えられる。一方、
炭素数が20を越えると常用の吸収塔の操作温度では、高
粘度となり吸収効率が極めて悪化するため使用すること
ができない。好適な有機溶剤としては、例えば、オクタ
ン、イソオクタン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチ
ルヘプタン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデ
カン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オ
クタデカン、エイコサン、ブチルベンゼン、シメン、デ
ゥレン、メチルナフタレン、エチルナフタレン、プロピ
ルナフタレン、ジメチルナフタレン、ジフェニールなど
が挙げられるが、これらだけに限定されるものではな
い。これらは、それぞれ、単独であるいは混合物の形で
使用できる。また、酸化反応副生物などの高沸点成分が
蓄積してきた有機溶剤は、連続的あるいは間欠的に抜き
出し蒸留操作などにより、精製することもできる。
イソブタンとメタクロレインを含む反応ガスと上記有
機溶剤との接触の方式は、向流式でも並流式でも良く、
また、一段でも多段でも良いが、吸収効率を上げるため
には、多段向流接触がより好ましい。吸収塔の形式は、
充填塔、多孔板塔、泡鐘塔、スプレー塔などのいずれの
形式をもとることができる。
有機溶剤の供給量は、吸収塔の操作温度、操作圧力、
ガス量および有機溶剤の種類などにより変化するので、
一義的に規定するのは困難であるが、メタクロレインは
イソブタンに比較し少量である上に吸収され易いため、
一般には反応ガス中のイソブタンに着目し設定すればよ
く、未反応イソブタン1モルに対して、有機溶剤を0.5
から100モル、好ましくは1から20モル供給するのがよ
い。このように適正な量の有機溶剤を供給することによ
って、実質全量の未反応イソブタンと生成メタクロレイ
ンを回収することが可能である。
吸収塔の操作温度は、吸収塔の内部または外部にクー
ラーを設置するなどして制御することができ、好ましく
は−20℃から100℃、より好ましくは20℃から50℃の範
囲から選ぶことができる。操作圧力は、吸収塔単独の最
適化条件だけから設定されるべきものではないが、有機
溶剤の吸収効率を向上させるため、加圧下で操作し、操
作圧力を1から10kg/cm2G程度の範囲内で選ぶのが好ま
しい。また、加圧下で吸収塔を操作する場合には吸収塔
以前の反応器などすべての機器の操作圧力を吸収塔の操
作圧力を高くした分だけ昇圧して運転することも可能で
ある。
イソブタンおよびメタクロレインの吸収液は、放散塔
に供給され、ガスストリッピングによりイソブタンおよ
びメタクロレインを有機溶剤から分離する。塔頂から得
られるガスは再び反応器にリサイクルする。リサイクル
するガス中に有機溶剤成分が含まれると、有機溶剤の損
失につながる。また、反応に悪影響を与える場合もある
ため、塔頂から得られるガス中の有機溶剤量が1容量%
以下、より好ましくは100容量ppm以下に抑える。一方、
塔底から得られる、ほぼ全量のイソブタンおよび大半の
メタクロレインを分離した有機溶剤は、再度、吸収塔の
吸収溶剤として使用される。このとき、放散塔の塔底の
操作温度が低いと、イソブタンおよびメタクロレインの
切れが悪くなり、この有機溶剤を吸収塔にリサイクルし
た場合には該吸収塔の塔頂でイソブタンおよびメタクロ
レイン損失が大きくなるとともに、吸収効率が低下す
る。このため、塔底から抜き出される有機溶剤中のイソ
ブタン濃度は1重量%以下、より好ましくは0.1重量%
以下、メタクロレイン濃度は10重量%以下、より好まし
くは1重量%以下になるように塔底温度を設定する。
ストリッピングに用いるガスは、空気、窒素、酸素、
オフガスなどいずれをも用いることができるが、安価
で、酸化反応原料ともなりうる空気が最も好ましい。ス
トリッピングに用いるガスの供給量は、放散塔の操作温
度、操作圧力、吸収液量および有機溶剤の種類などによ
り変化するので、前記吸収塔における有機溶剤の供給量
と同様に一義的に規定するのは困難であるが、吸収液中
イソブタン1モルに対して空気を0.2から10モル量、好
ましくは1から5モル量供給される。空気量を0.2モル
以下の供給では、イソブタンが充分に回収できない。一
方、空気量が10モルを越えると放散塔塔頂よりストリッ
ピングされたガスが爆発範囲に入る場合がある為、安全
を確保する上で好ましくない。
また、放散塔は加圧下で操作することもでき、この場
合は吸収塔および場合によっては反応器も同時に加圧で
操作することも可能で、プロセス全体に一貫して加圧下
で操作することもできる。
本発明の好ましい実施態様の一例として、第1図にメ
タクリル酸製造プロセスのフローシートを示し、それに
従って、以下に説明する。
反応器1へは、放散塔5の塔頂よりライン16を通り反
応原料である空気とイソブタンの大半およびメタクロレ
インがリサイクルされる。ライン6からはスチームおよ
び補給分のイソブタンが供給され、イソブタンは反応器
1で主としてメタクリル酸及びメタクロレインに酸化さ
れる。生成したメタクリル酸を含む反応ガスはライン7
を通り急冷塔2に入り、メタクリル酸と高沸点物は凝縮
され、ライン8より抜き出される。一方、未反応イソブ
タンおよびメタクロレイン含有ガスは、ライン9を通
り、吸収塔3へ導かれ、ここでライン13より供給された
有機溶剤に接触させ、ライン10よりイソブタンおよびメ
タクロレインの吸収液が得られる。そして排ガスはライ
ン11を通り、ガス焼却器で処理された後に大気に排出さ
れる。イソブタンおよびメタクロレインの吸収液は熱交
換器4で予熱された後、ライン14を通り、放散塔5に入
り、ライン15から供給された空気によって、吸収液中の
イソブタンおよびメタクロレインが放散され、この放散
ガスはライン16を通って反応器1にリサイクルされるこ
とになる。ライン12より抜き出された有機溶剤は、熱交
換器4で冷却された後、ライン13を通り吸収塔3にリサ
イクルされる。
次に実施例を挙げて、本発明を更に明確に説明する。
(実施例) 実施例1 イソブタンの気相接触酸化反応で生成した反応ガスを
急冷塔に導き、メタクリル酸および高沸点物を除いた
後、次のようなガス組成が得られた。
すなわち、イソブタン36.9モル%、メタクロレイン0.
3モル%、酸素7.4モル%、その他窒素、一酸化炭素、二
酸化炭素、アセント、水蒸気類が55.4モル%であった。
このガスを8.1Nl/minの流量で内径1.5B、長さ150cm(充
填物としてDixon Packing(径3mm,長さ4mm)を充填し
た。)の吸収塔下部から送入し、上部からn−パラフィ
ンを4.5kg/hrで供給した。このn−パラフィンはデカ
ン、ウンデカン、ドデカンの混合物であり、含有率は、
それぞれ22重量%,52重量%,26重量%であった。吸収塔
の外套管に−12℃の冷媒を循環させ常圧で操作したとこ
ろメタクロレインのほぼ全量および未反応イソプタンの
99.5%を回収することができた。このようにして得られ
た吸収液を前記吸収塔と同じ構造の放散塔上部から4.9k
g/hrで送入し、下部から空気を5.15Nl/minで供給した。
放散塔は外套管に30℃の温水を循環させ常圧で操作した
ところ、吸収液中メタクロレインの87%およびイソブタ
ンの99.8%を空気ストリッピングにより回収することが
できた。放散塔の塔頂から出てきたイソブタンおよびメ
タクロレイン含有空気は、反応器へ供給し、新たに補給
したイソブタンと共に、気相接触酸化反応に供した。な
お、この空気に同伴されたn−パラフィンは0.3容量%
以下であった。一方、塔底からは、少量のメタクロレイ
ンとごく微量のイソブタンを含有したn−パラフィンが
得られ、この液は、再び吸収塔での吸収液として使用し
た。
実施例2 イソブタンの気相接触酸化反応を2.4kg/cm2Gの加圧下
で実施し、生成した反応ガスを実施例1と同様に急冷塔
に導きメタクリル酸および高沸点物を除いたところ、次
のようなガス組成が得られた。すなわち、イソブタン3
5.7モル%、メタクロレイン0.4モル%、酸素5.6モル
%、その他窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、アセトン、
水蒸気類が58.3モル%であった。このガスを実施例1と
同一の吸収塔に8.3Nl/minで送入し、n−パラフィンを5
2kg/rhで供給した。このn−パラフィンはテトラデカ
ン、ペンタデカン、ヘキサデカンの混合物であり、含有
率は、それぞれ、76重量%、19重量%、5重量%であっ
た。吸収塔の外套管に20℃の冷水を循環させ2.0kg/cm2G
で操作したところメタクロレインのほぼ全量および未反
応イソブタンの99.7%を回収することができた。このよ
うにして得られた吸収液を実施例1と同一の放散塔に5.
7kg/hrで送り、下部から空気を5.25Nl/minで供給した。
放散塔は外套管に65℃の温水を循環させ2.4kg/cm2Gで操
作したところ、吸収液中メタクロレインの90%およびイ
ソブタンの99.8%を回収することができた。放散塔の塔
頂から出てきたイソブタンおよびメタクロレイン含有空
気は、実施例1と同様に反応器へ供給し反応に供した。
なお、この空気に同伴されたn−パラフィンは100容量p
pm以下であった。一方、塔底からは、少量のメタクロレ
インとごく微量のイソブタンを含有したn−パラフィン
が得られ、この液は、再び吸収塔での吸収液として使用
した。
実施例3 イソブタン32.6モル%、メタクロレイン0.4モル%を
含んだガスを、実施例2と同様な操作温度、圧力に制御
された吸収塔の下部へガス量8.5Nl/minで送入し、上部
からアルキルナフタレン系の溶剤(綜研化学KSK−OIL28
0)を7.0kg/hrで供給し吸収させたところ、メタクロレ
インのほぼ全量および未反応イソブタンの99.6%を回収
することができた。このようにして得られた吸収液を、
実施例2と同様な操作温度、圧力に制御された放散塔を
用い、吸収液を7.4kg/hrの供給量に対して空気を5.75Nl
/minで供給したところ、吸収液中のメタクロレインの92
%およびイソブタンの99.9%を回収することができた。
放散塔塔頂からの空気に同伴されたアルキルナフタレン
は100容量ppm以下であった。
(発明の効果) 本発明の方法によれば、(1)イソブタンとメタクロ
レインとを同時に回収するため工程が短縮され、吸収溶
剤も一種類で賄うことができる。(2)イソブタンの
one pass転化率が10%程度と低い場合でも、極めて経
済性の高い実用的なイソブタンとメタクロレインの回収
方法を提供できる。(3)ストリッピングガスとして、
酸化反応で使用する安価な空気を使用することができ、
さらに経済性の向上したプロセスにすることが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の好ましい一実施態様を示すフローシ
ートである。図中1は反応器、2は急冷塔、3は吸収
塔、4は熱交換器、5は放散塔を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 57/07 C07C 57/07

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イソブタンを気相接触酸化して得られた反
    応ガスから未反応イソブタンと生成メタクロレインを回
    収するに際して、該反応ガスと有機溶剤とを接触させイ
    ソブタンとメタクロレインとを同時に吸収分離し、得ら
    れた吸収液からイソブタンおよびメタクロレインをスト
    リッピングにより同時に反応器にリサイクルすることを
    特徴とするイソブタンおよびメタクロレインの回収方
    法。
  2. 【請求項2】該有機溶剤として炭素数8〜20の脂肪族炭
    化水素、脂肪族環式炭化水素および/または芳香族炭化
    水素を用いることを特徴とする特許請求範囲第1項に記
    載の方法。
  3. 【請求項3】該ストリッピングガスとして空気を用いる
    ことを特徴とする特許請求範囲第1項に記載の方法。
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