JP2767200B2 - 水中コンクリートの打設工法 - Google Patents

水中コンクリートの打設工法

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JP2767200B2
JP2767200B2 JP6153573A JP15357394A JP2767200B2 JP 2767200 B2 JP2767200 B2 JP 2767200B2 JP 6153573 A JP6153573 A JP 6153573A JP 15357394 A JP15357394 A JP 15357394A JP 2767200 B2 JP2767200 B2 JP 2767200B2
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邦男 田崎
利一 西川
浩 中野
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Japan Sea Works Co Ltd
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Japan Sea Works Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水中コンクリートの打
設工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にコンクリートはセメントに代表さ
れる結合される結合材に加えて種々の密度ならびに粒度
分布を持った骨材が使用されるが、打設から硬化に至る
までの間に、これら骨材粒子が沈降したり、また水が比
較的軽い微細物質を伴って表面へ上昇するブリージング
が発生し易い。
【0003】骨材沈降による分離が生じると、豆板、は
ちの巣、ジャンカなどと通称されるポーラスな部分が発
生する。このような部分のコンクリートは力学強度が極
端に劣り、また、水密性もなくなる。
【0004】他方、ブリージングを生じるような系で
は、表面だけでなく、内部においても水平鉄筋や粗骨材
の下側に水膜や空隙を形成し、また水みちを残したりす
る。その結果、鉄筋とコンクリートあるいは骨材とセメ
ントペーストとの付着力が低下し、コンクリートの水密
性の低下をもたらす。
【0005】従来より、沈降分離やブリージングを防ぐ
ための処法として単位水量を低下させることが行われ
た。しかし、単位水量を低下させるとスランプフロー値
の低いコンクリートとなる。このため、コンクリートが
細部まで行き渡らず、鉄筋とコンクリートの間に空隙を
残したまま硬化するので高密度配筋部や複雑形状部への
打設には適さない。
【0006】これに対して、単に単位水量を多くしてス
ランプを高くしても、材料分離が激しくなって強度不足
を生じる。そこで、締固め作業を要することなく高密度
配筋部や複雑形状部にコンクリートを密実且つ均質に打
ち込むことができる高流動コンクリートも開発されてい
る。
【0007】例えば、石粉と分散剤を利用することによ
りスランプフロー値を極めて高い値にすることができ、
しかもこのコンクリートは粘性が高く材料分離抵抗性が
大きくなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】水中でのコンクリート
打設は図3に示すようにトレミー管等のコンクリート打
設管1で打設することになるが、前記のごとき高流動コ
ンクリート2をこのコンクリート打設管1で打設する
と、流動勾配による凹凸が出来やすく、また、適宜にコ
ンクリート打設管1の移動を必要とされ、極めて手数が
かかる。
【0009】さらに、打設開始時に材料分離が生じ易
く、また、ブリージング大のため鉄筋との付着性が不良
であり、品質管理も強度管理が困難である。これに加え
て、打設形状が凹凸のため測点が多く、打設管理も困難
である(例えば、特開平5−1331105号公報など
が挙げられる。)。
【0010】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、締固め作業を要することなく高密度配筋部や複雑形
状部にコンクリートを密実且つ均質に打ち込むことがで
きる高流動コンクリートを水中に打設するのに、コンク
リート打設管を移動することなく、ほぼ水平に打ち上げ
ることができ、ブリージングの発生もなく、品質や打設
の管理も容易な水中コンクリートの打設工法を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、コンクリートに粘稠性を与え、水中での材料
の分離を防ぐ水中不分離性混和剤もしくは分離低減剤を
混入したもので、混和剤の主成分としては、高分子系水
溶性エーテル、水溶性セルロースエーテル、水溶性アク
リル系高分子化合物または非イオン性セルロースエーテ
ル系水溶性高分子などが粘稠剤としてあり、これに消泡
剤や硬化促進剤および流動化剤を適宜加えてなる水中不
分離コンクリートを、高流動コンクリートを打設するコ
ンクリート打設管の筒先が埋設する高さまで打設し、次
いで、単位水量:160〜180kg/m、水セメン
ト比:30〜70%の範囲において、細骨材および粗骨
材の一部を150〜300kg/mの石粉で置換し、
かつ分散剤を配合することによって所定のコンクリート
のスランプフロー値を得たうえ、さらにこのコンクリー
トミックス中にウエランガムを適量配置してなる高流動
コンクリートを、前記水中不分離コンクリートに筒先を
埋設したコンクリート打設管でこのコンクリート打設管
を上下に移動することなく、前記水中不分離コンクリー
トを押し上げながら、この水中不分離コンクリートで常
に蓋をされたような状態でほぼ水平に打ち上げることを
要旨とするものである。
【0012】
【作用】本発明によれば、水中不分離コンクリートを先
に打設し、この水中不分離コンクリートに筒先を埋設し
ながらコンクリート打設管で高流動コンクリートを打設
するので、この水中不分離コンクリートを押し上げなが
ら高流動コンクリートが打設されていく。従って、高流
動コンクリートは常に水中不分離コンクリートで蓋をさ
れたような状態で打設され、ほぼ水平に打ち上げること
ができ、流動勾配上の材料流下分離もなく、ブリージン
グの発生もない。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面について詳細に
説明する。図1、図2は本発明の水中コンクリートの打
設工法の1実施例を示す縦断正面図である。
【0014】本発明は高流動コンクリート2の打設に先
立ち、水中不分離コンクリート3を打設する。この水中
不分離コンクリート3は、コンクリートに粘稠性を与
え、水中での材料の分離を防ぐ水中不分離性混和剤もし
くは分離低減剤を混入したもので、混和剤の主成分とし
ては、高分子系水溶性エーテル、水溶性セルロースエー
テル、水溶性アクリル系高分子化合物または非イオン性
セルロースエーテル系水溶性高分子などが粘稠剤として
あり、これに消泡剤や硬化促進剤および流動化剤を適宜
加えたものである。
【0015】この水中不分離コンクリート3はコンクリ
ート打設管1を用いて打設しても、また、用いずに打設
してもよいが、いずれの場合もコンクリート打設管1の
筒先が埋設する高さまで打設する。
【0016】次いで、筒先がこの水中不分離コンクリー
ト3に埋設したままで、同コンクリート打設管1で高流
動コンクリート2を打設する。
【0017】この高流動コンクリート2は、単位水量:
160〜180kg/m、水セメント比:30〜70
%の範囲において、細骨材および粗骨材の一部を150
〜300kg/mの石粉で置換し、かつ分散剤を配合
することによって所定のコンクリートのスランプフロー
値を得たうえ、さらにこのコンクリートミックス中にウ
エランガムを適量配置するものである。
【0018】ウエランガムは周知のように菌体番号Al
caligenes ATCC 31555の菌によっ
て産出されるバイオポリマーの1種、すなわちエキスト
ラセルラーポリサッカライド(Extracell−u
lar polysaccharide)である。その
詳細な分子構造は例えばCarbohydrateRe
s−each,139(1985),p.217−22
3,Elsevier Science Publis
hers B.V.,Amsterdamに記載されて
いる。このウエランガムの配合量は30〜300g/m
とするのがよい。ウエランガムの使用量が少量なた
め、均一にコンクリート中に練りまぜられるように、前
もって石粉などと混合して配合するのがよい。
【0019】また、配合する石粉は平均粒度が15μm
以下(200メッシュ,75μmフルイを重量で70〜
100%通過する粒度)のものを使用し、分散剤として
はアルカリ溶解性の反応性高分子にβ−ナフタリンスル
ホン酸ホルマリン縮合物を配合したものが適切である。
【0020】このようにして、単位水量を従来と同様の
160〜180kg/mとし、且つ水セメント比も従
来と同様の50%程度でも、石粉と分散剤を利用すれば
スランプフロー値が50〜70cmという極めて高い値
にすることができ、しかもこのコンクリートは粘性が高
く材料分離抵抗性が大きくなる。
【0021】すなわち、細骨材および粗骨材の一部を粒
度が15μm以下(200メッシュ,75μmフルイを
重量で70〜100%通過する粒度)の石粉で置換して
練り混ぜると、前記の通常の単位水量および水セメント
比のもとで粘性が高く且つ材料分離抵抗性の高いコンク
リートミックス(未だ固まらないコンクリート)が得ら
れる。そのさい石粉の配合量は150〜300kg/m
とするのがよい。水セメント比は指定強度に応じて3
0〜70%の範囲で変化させることができ、この水セメ
ント比(W/C)の変量に応じて石粉の配合量も前記範
囲内において該比が高くなれば石粉の量も多くするとい
う具合に増減させる。
【0022】一方、石粉の配合によって高粘性で材料分
離抵抗性のあるミックスが得られるが、これに分散剤を
配合することによってスランプフロー値50〜70cm
の極めて流延性のあるミックスとすることができる。使
用する分散剤としては、アルカリ溶解性の反応性高分子
にβ−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物を配合し
たものが好適である。
【0023】このようにして石粉および分散剤を配合し
て混練したコンクリートミックスは少ない単位水量でス
ランプフロー値50〜70cmという高い流動性を示す
ようにしたものであるが、このスランプを得るには分散
剤を多量に配合することを要する。したがって、混練を
十分に行うことが必要であり、しかし、多量の分散剤の
配合によって混練バッチ毎にスランプにバラツキを生ず
ることもある。このバラツキは前記適量のウエランガム
の配合によって除去できる。
【0024】また、このウエランガムを配合すると、多
量のミックスを混練しても同一ミックス内での流動性が
経時変化することなく均一のまま維持される。
【0025】前記のごとく、水中不分離コンクリート3
を先に打設し、この水中不分離コンクリート3に筒先を
埋設しながらコンクリート打設管1で高流動コンクリー
ト2を打設すると、図2に示すように、水中不分離コン
クリート3を押し上げながら高流動コンクリート2が打
設されていく。
【0026】従って、高流動コンクリート2は常に水中
不分離コンクリート3で蓋をされたような状態で打設さ
れ、ほぼ水平に打ち上げることができ、流動勾配上の材
料流下分離もなく、ブリージングの発生もない。
【0027】このようにして打設された高流動コンクリ
ート2は、高密度配筋した箇所や複雑形状な打設位置で
も隙間なく自重で良好に流延し、且つその状態で材料分
離も殆ど起こさないので締固めを行わないままで密実充
填がなされ、且つ打設位置での流動性のバラツキも防止
されているので、強度の高い均質な硬化コンクリートと
なる。
【0028】
【発明の効果】以上述べたように本発明の水中コンクリ
ートの打設工法は、高流動コンクリートを水中に打設す
るのに、コンクリート打設管を移動することなく、ほぼ
水平に打ち上げることができるので、流動勾配上の材料
流下分離がなく、ブリージングの発生もないので鉄筋と
の付着も良好なものである。
【0029】また、前記ブリージングの発生もないこと
に加えて、レベリング性も高いので、天端部の構造物と
の付着性も良好であり、品質管理も容易で、しかも、レ
ベリング性状のため測点が少なく打設管理も容易であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水中コンクリートの打設工法の1実施
例を示す第1工程の縦断正面図である。
【図2】本発明の水中コンクリートの打設工法の1実施
例を示す第2工程の縦断正面図である。
【図3】従来例を示す縦断正面図である。
【符号の説明】 1…コンクリート打設管 2…高流動コン
クリート 3…水中不分離コンクリート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−182412(JP,A) 特開 昭61−191726(JP,A) 特開 昭64−51356(JP,A) 特開 平6−270134(JP,A) 特開 平6−167112(JP,A) 特開 平5−133105(JP,A) 特開 平4−297662(JP,A) 特開 平5−52041(JP,A) 特開 昭63−304876(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04G 21/02 103

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリートに粘稠性を与え、水中での
    材料の分離を防ぐ水中不分離性混和剤もしくは分離低減
    剤を混入したもので、混和剤の主成分としては、高分子
    系水溶性エーテル、水溶性セルロースエーテル、水溶性
    アクリル系高分子化合物または非イオン性セルロースエ
    ーテル系水溶性高分子などが粘稠剤としてあり、これに
    消泡剤や硬化促進剤および流動化剤を適宜加えてなる水
    中不分離コンクリートを、高流動コンクリートを打設す
    るコンクリート打設管の筒先が埋設する高さまで打設
    し、次いで、単位水量:160〜180kg/m、水
    セメント比:30〜70%の範囲において、細骨材およ
    び粗骨材の一部を150〜300kg/mの石粉で置
    換し、かつ分散剤を配合することによって所定のコンク
    リートのスランプフロー値を得たうえ、さらにこのコン
    クリートミックス中にウエランガムを適量配置してなる
    高流動コンクリートを、前記水中不分離コンクリートに
    筒先を埋設したコンクリート打設管でこのコンクリート
    打設管を上下に移動することなく、前記水中不分離コン
    クリートを押し上げながら、この水中不分離コンクリー
    トで常に蓋をされたような状態でほぼ水平に打ち上げる
    ことを特徴とした水中コンクリートの打設工法。
JP6153573A 1994-07-05 1994-07-05 水中コンクリートの打設工法 Expired - Lifetime JP2767200B2 (ja)

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