JP2766692B2 - ガス分離膜を使用する空気から窒素の製造方法 - Google Patents

ガス分離膜を使用する空気から窒素の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 A.発明の分野 本発明はガスの混合物から一種のガスを分離するため
に役立つ方法に関する。さらに詳細には、本発明は多数
の直列に配置された中空繊維膜の束を使用する、空気か
ら比較的純粋な窒素を高度に効果的かつ能率的な手順に
より製造する方法に関する。
B.従来の技術 ガス混合物をいろいろな成分に分離するため選択的透
過の原理を用いる膜が従来採用された。それぞれのガス
は特徴的透過速度を有し、その透過速度は特定の膜の中
に溶解するおよびその膜を通して拡散するガスの性能の
関数である。また長い外筒の内に配置された一束の中空
繊維膜を使用して、ガスをそれらの膜を選択的に透過さ
せることによりガス混合物から一種または数種のガスを
分離することも知られている。例えば、細長い容器の中
にその長さ方向に走る、輪のまわりに近接して並べられ
た多数の中空膜繊維を充填された前記容器の一端に加圧
下に空気を送り込むことにより空気から比較的純粋な窒
素を製造することは周知のことである。酸素、二酸化炭
素、水およびその他のガスは膜繊維を通して透過する
が、窒素はより低い程度にしか透過しない。膜を透過し
て空気から分離されたガスは、膜の下流側から引き出さ
れる。結果として活性な膜表面と接触した後に膜を透過
しない空気の部分は比較的純粋な窒素である。その窒素
ガスは必然的に少量の酸素を含むことになる。普通に
は、中空膜繊維を収容する容器を通る空気の流速を減ず
れば、結果として窒素から高透過性の不要のガスをより
多く分離できることになる。空気の流速を遅くするとそ
の結果分離はより良くなるが、作業コストが結果として
高くなる。ガス分離膜における推進力は、ある流れの成
分の膜の上流側表面上の分圧と膜の下流側表面における
分圧の間の差である。明らかに、ある一定の流速および
推進力について、窒素をその他のガス(例えば、酸素、
二酸化炭素および水蒸気)により汚染されることのでき
るだけ少なく製造できれば、それは望ましいことであろ
う。
空気をガス源として使用して、空気のガス成分から酸
素の大部分を分離し、それにより最大限に窒素を残すこ
とにより比較的不活性なガスを製造するために膜ガス分
離機が商業上および経済上使用されている。不幸にし
て、酸素の除去は多くの用途に対して十分に完全ではな
い。しかし、膜ガス分離機を使用することにより酸素含
量を約0.5〜5%に減少させることは実行可能になって
きた。
直列に配置されたガス膜分離機は、例えば水素とメタ
ンの混合物から水素を回収するためのような、ガスを分
離するために従来開示された。直列に配置された分離機
を使用してかつ再循環用ループ管または中間段階の圧縮
機の必要なしに1000ppm以下の酸素水準の比較的純粋な
窒素を採取することは知られていない。
複数膜分離ユニットの直列運転がガス分離のために以
前に使用されたことがあるが、それはいつも高圧供給ガ
スが中空繊維の外側表面上にある場合および直列運転が
中空繊維膜の供給側でガスの混合および分配の効率を改
良するために主として使用された場合であった。その
上、膜分離機の直列運転が従来使用されたのは、第1の
分離機をその後に直列に並ぶユニットの中の各分離機よ
りも高い圧力で操作する場合であった。これらの場合に
もまた、供給ガスは中空繊維膜の外側表面に接触してい
た。
現在も空気から経済的に許容される処理速度でさらに
低い酸素水準の不活性ガスを製造する要求は残されてい
る。0.1%(1,000ppm)の程度の酸素水準を有する不活
性ガスは、不活性ガスがある種の化学プロセス、分析機
器、可燃性物質をパージまたはブランケットするためお
よびその他の用途に使用される場合に必要である。この
ために、そのように低い酸素水準の窒素を許容される処
理速度で製造することは膜分離機を使用して十分に達成
されたことがない。
1,000ppm以下の酸素を含む不活性ガスは現在例えば、
圧力スウィング吸収、触媒転化器、低温分離器などのよ
うないずれかの方法により商業用に製造されている。空
気から実質的に純粋な窒素(その場合に窒素中の酸素水
準が1,000ppmの水準より低い)を発生させるためのさら
に経済的な方法の提供が求められている。
発明の概要 本発明によれば、空気から1,000ppm以下の酸素水準を
有する不活性ガスを製造するための経済的な方法が提供
される。これは、直列に配置された複数の膜分離ユニッ
トを使用することによりその処理ガスに追加の圧縮力を
かけることなく達成される。特に好ましくは、膜分離ユ
ニットのそれぞれが細長い外殻または容器の内部に配置
された多数の中空繊維膜から構成される。
本発明の方法は空気から比較的純粋な窒素ガスの採取
を可能にする。最初に、空気はその供給源から圧縮され
る。その圧縮空気は配管を通って送られて供給入口端に
入り、そして第1組の多数の中空繊維膜の孔の通って移
動する。そのような膜は第1の分離機に収容されてお
り、そしてそれを通る酸素、二酸化炭素および水蒸気な
どの不純物の透過を選択的に許すが、窒素の通過を制止
するように適合されている。中空繊維膜の孔側表面と中
空繊維膜の外側表面との間に圧力差が維持される。不透
過ガスは長さ方向に中空繊維膜の孔を通して流れ、そし
て結局第1分離機の供給入口端と反対側の末端にあるそ
の組の中空繊維膜の孔の端を出る。それに続く一組のま
た数組の中空繊維束において第1組の膜からの不透過ガ
スは次に第2の分離機または後に直列に配置された分離
機の中に収容された中空繊維膜の束の入口端へ原料とし
て流れる。この透過した流れは捨てるために排出される
かまたは他の用途のために収集される。第2組の膜もま
たそれを通して酸素、二酸化炭素および水蒸気の透過を
選択的に許すが、それを通る窒素の通過を制止するよう
に適合されている。第1の分離機内の諸条件と同様に、
圧力差が中空繊維膜の孔側の表面と中空繊維膜の外側の
表面との間に第2の分離機の中で維持される。その不透
過ガスは第2分離機内の中空繊維膜の孔を通って長さ方
向に移動し、そして第2分離機の入口端と反対側の中空
繊維膜の末端から出る。その不透過ガスは実質的に全部
窒素から成っているが、最終の膜の束の出口端から取り
出されて、収集されるかまたは他の用途のために圧力下
に容器に詰められる。特に好ましくは、中空繊維膜は不
均整であり、そしてポリスルホンポリマーから構成され
る。さらに好ましくは、中空繊維膜は、適当なコーティ
ング剤(例えば、シリコーン)により被覆されたポリス
ルホンポリマーから構成される。実際には、そのように
被覆した中空繊維膜は細長い分離機の内部に長さ方向に
配置され、そして透過ガスが収集されるようにおよび/
または捨てられるように封じ込まれる。そして不透過ガ
スは最終の、直列配置された分離機から精製した製品と
して不活性化またはその他の用途に使用のため取り出さ
れることができる。
本発明の方法は圧縮された空気から実質的に全ての酸
素、二酸化炭素および水を効果的に除去する。このよう
にして、本発明は多くとも痕跡量の酸素しか含まない実
質的に純粋な窒素を空気から発生させるための効果的か
つ経済的な方法を提供する。多数の膜ガス分離機の直列
配置により、そのように低い水準の不純物ガス(例え
ば、酸素)を含む窒素を空気から製造するための分離効
率の著しい増加は驚異的かつ予想外である。直列的な多
数の分離機の使用は結果として、並列的に運転された2
台の同様な分離機の性能と比較すると、あるいは前記2
台の比較的小さな分離機の膜表面積の合計とほぼ同じ膜
表面積を有する1台の比較的大きな分離機の性能と比較
すると、著しい性能の向上をもたらす。
発明の詳細な説明 いま図面につき詳細に見ると、第1図に示されるよう
に数字1は圧縮空気を運ぶために適用される供給配管を
示す。従来の形式の圧縮器が空気を圧縮するために、ま
たガス分離機の膜を横切って適当な圧力差を与えるため
に使用されることができる。その圧縮空気は密閉された
区域2の内の分離機の管束の中へ流れ込む。区域2を第
1ガス分離膜3が2つの区域に分割している。分離機の
構造、膜の性質および膜を横切る圧力差により、空気中
の高透過性の成分(酸素、二酸化炭素、および水蒸気)
は膜を通して透過し、そして配管4を通って区域2の下
流側からさらに加工するためまたは廃棄するために運ば
れることになる。
不透過性物質は膜3と接触の後、区域2から配管5に
より密閉された区域6内の第2の分離管束へ運ばれる。
第2のガス分離膜7が第2区域6を2つの区域に分割し
ている。分離機の構造、膜の性質、および膜を横切る圧
力差により、残留ガス(例えば、酸素、二酸化炭素およ
び水蒸気)は選択的に膜を透過して、排出配管8を経由
して区域6を出ることになる。高純度の窒素は不透過性
製品の配管10を通りさらに加工または使用のため区域6
を出る。不透過性ガスの中の酸素水準は非常に低く、現
実的に経済的なガスの処理速度で達成される2,000ppm以
下の範囲になることができる。不透過製品の窒素は配管
10を通り高い圧力で出るが、本質的に供給圧縮空気の圧
力は前記の分離径の透過により極く僅かの圧力低下をさ
せられたに過ぎない。
特に好ましくは、直列に配置されたガス分離機は1本
またはより多くの細長い不透過の容器の中に長さ方向に
配置された、中空繊維膜を並列させた束を使用するもの
であって、その中空繊維膜の壁を通してある種のガスを
選択的に透過させることにより混合ガスから1種または
より多くの成分を分離することを目的とする。本発明に
おいて、窒素とアルゴンが圧縮空気の供給原料中に存在
する他の高透過性ガス成分から選択的に採取されること
になる。中空繊維膜は好ましくは不均整でありかつポリ
マー材料、例えばポリスルホン、から造られたものであ
る。
供給原料のガス混合物は中空繊維の入口端で孔の中に
入りそして軸方向に孔に沿って移動し、同時に膜と接触
する。低透過率の不透過ガスは孔の出口端で排出され、
一方高透過率のガスは選択的に膜を透過してから下流
の、膜の低圧側へ輸送され、そしてそこで放出、廃棄の
ため排出されるか、または他の用途のために収集される
こともある。普通には、中空繊維は管状の外殻または同
様の容器の内部に長さ方向に配置される。中空繊維膜の
壁を通るガスの選択的透過の推進力は中空繊維膜の上流
(孔または内側)の表面におけるガスの分圧と、中空繊
維膜の外側表面における下流に存在するガスの分圧との
間の差である。したがって、中空繊維の孔または内腔に
沿いかつ通り加圧ガスが流れるとき、高透過率の成分、
例えば、酸素、二酸化炭素、水蒸気などは繊維の壁を通
って透過し、そしてそれらが容器の低圧区域を出るとき
収集されるか、または放出、廃棄あるいは他の用途に収
集のため排出される。空気の場合の不透過ガス(窒素)
は供給原料ガスと本質的に同じ圧力で分離機から出る。
最初の分離機からの不透過ガスは次に同様な第2の直列
に配置された膜分離機の入口に供給され、そしてそこで
さらに純度の高い窒素へのガスの追加の精製が同様な方
式で行われる。
2単位以上の膜ガス分離機を直列にして使用すること
はできるが、本発明に従って2台の分離機を直列に配置
して使用すると、空気から比較的純粋な窒素を採取する
すべての目的に全く十分かつ適当であることが発見され
た。
ある膜を通るガスの通過は孔を、すなわち、その膜の
供給および排出の両表面を連絡するガス流のための連続
した導管を通って進むことができる。小さい直径の孔は
クヌーセン(Knudsen)の流れまたは拡散によりガスを
分離させることができよう。他の一つの機構では、ガス
分離膜理論の現在の考え方によれば膜を通るガスの通過
はガスと膜物質と相互作用によるものであり得る。この
後者の仮定された機構において、膜を通るガスの透過率
は膜物質中へのガスの溶解度を含むと信じられており、
またある単一のガスについての透過係数は現在膜の中で
のガスの溶解度と拡散度の積と見られている。ある特定
の物質はある特定のガスとその膜の物質との相互作用に
よりそのガス通過についてある特別の透過係数を有す
る。膜を通るガス、すなわち流束、の透過速度は透過係
数に関係するばかりでなく、また膜の厚さ、密度、自由
体積、膜の物理的性質、膜を横切る透過するガスの分圧
の差、操作温度および同様な因子のような変数により影
響される。
適当なガス分離膜は米国特許第4,230,463号(引用に
よりここに組入れられる)に開示されている。多孔質の
分離膜に接触する被膜から成るガス分離用の多成分膜が
その中に多成分膜の分離特性と共に開示されており、後
者は被覆の膜材料に比較して、主として多孔質の分離材
料の物質により決定される。
さらにまた、改良されたガス分離膜がヨーロッパ特許
公開第0257012号(本出願と共に共有の所有権を有す
る)に開示されている。このような出願は引用によりこ
こに組入れられる。これらの改良された膜、特に本発明
により改良された膜、は不均整なガス分離膜であり、そ
してそれらは密度勾配のある皮膜と大きな空隙を含まな
い構造を有し、ガラス質の疎水性ポリマーから成り、そ
の際膜は前記ガラス質、疎水性ポリマーの塊状試料の第
1熱Tgよりも大きい膜の第1熱Tgにより証明されるよう
に増大した自由体積を有する。これらの膜は、膜の多孔
欠陥が高透過性のシリコーンポリマーまたは類似の被覆
材料により封じ込められた後に実現された高い透過率お
よび固有分離係数についてのポテンシアルを示すことが
できる。これらの膜は、例えば米国特許第4,230,463号
により教示されたものと同じポリマーから造られた他の
既知の不均整膜よりもはるかに大きい透過率を示す。
被覆は本質的に中断されない膜、すなわち、本質的に
非多孔質の膜の形で多孔質の分離膜に接しているもので
あればよく、あるいは不連続のまたは中断されているこ
ともある。被覆が中断されている場合に、それは時には
閉塞材料と呼ばれるが、それはガス流のための経路、す
なわち孔を閉塞することがあるからである。特に好まし
くは、ガス分離膜の性能に逆効果を与えるほどに被覆が
厚くないことである。例えば、流束の不当な減少を起す
ことにより、あるいは被覆を施された膜の分離係数が本
質的に被覆のそれになるほどにガス流に抵抗を生じるこ
とにより前記の逆効果が起る。しばしば被覆は約10ミク
ロンまでの平均厚さを有することがよい。
ある膜の、特定の一対のガスaとbについての分離係
数(σ/b)は、その膜のガスaについての透過定数(P
a)のガスbについての膜の透過定数(Pb)に対する比
として定義される。分離係数はまた厚さ1の膜の、ガス
混合物のガスaについての透過率(Pa/1)の、同じ膜の
ガスbについての透過率(Pb/1)に対する比に等しい。
その際ある特定のガスについての透過率は、表面積の毎
平方cmにつき、毎秒につき、毎単位の厚さにつき膜を通
して水銀柱1cmの分圧低下についての、標準温度と圧(S
TP)におけるガスの体積であり、そしてP/1=cm3/cm2
sec−CmHgで表わされる。
実際には、ある特定の膜についてある特定の一対のガ
スに関する分離係数は、その一対のガスのそれぞれにつ
いて透過定数または透過率の計算のために十分な情報を
与える多数の方法を使用して測定されることができる。
透過定数、透過率、および分離係数を測定するための多
くの方法の内の若干がHwang,et al.,Techniques of Che
mistry,Volume VII、「分離における膜」(Membranes i
n Separations)、John Wiley & Sons,1975(引用によ
りここに組入れられる)の第12章、296〜322頁に記載さ
れている。
実際的に言えば、本発明による膜システムの透過率と
分離特性は供給原料の圧縮空気から不純物を効果的に除
去し、同時に著しく純粋な窒素(例えば、1000ppm、好
ましくは100ppm以下の酸素含有量を有する)を経済上許
容できる生産速度で製造する適当な効率を与えるために
十分でなければならない。酸素、二酸化炭素および水蒸
気の透過率もまた極めて低い酸素濃度、低い露点および
低い残留二酸化炭素濃度の窒素を生産するように原料圧
縮空気の精製を達成するために十分高くなければならな
い。選択性能、すなわち、酸素、二酸化炭素、および水
蒸気を窒素に比較して選択的に輸送するための諸特性
は、原料の過剰の損失を避けるように十分高くなければ
ならない。それはその方法が経済上魅力あるように実用
的な大きさとコストである膜精製システムを提供するた
めである。酸素、二酸化炭素および水蒸気の窒素に関す
る分離係数は、50〜500psig(3.45×105〜3.45×106P
a)の条件および約30℃で試験されたとき、それぞれ
4、20および50より大でなければならない。
次の例に説明されるような本発明の実施において、高
純度の窒素を必要とする用途のため高品質のガスを製造
する方法が示されるが、その方法は直径3インチ×長さ
3フィート(7.6cm×0.915m)のモジュールおよび直径
3インチ×長さ2フィート(直径10.16cm×0.610m)の
モジュールのような比較的小型のモジュールで、長さ方
向に配置された中空繊維の、空気から高純度の窒素ガス
を採取するためのガス分離膜を収容しているモジュール
を使用する。
10立方フィート/時(SCFH)までの流速の精製された
製品ガス、すなわち1,000ppm以下の酸素を有する窒素、
が供給原料の120psig(83×105Pa)の圧縮空気から直列
に配置された本発明の膜ガス分離システムの使用により
達成された。
初めに前記システムを出る不透過性製品ガスは、測定
がなされる前にシステム内で平衡を成立させるために1S
CFHに調整された。1SCFHは2.68×10-2N立方米/時(NM3
/H)に等しい。次の製品ガス組成の測定の示したところ
によると、90−150psig(6.2−10.3×105Pa)の範囲内
の供給圧縮空気圧力で、約+5〜+15℃の原料露点で、
および20−25℃の周囲の実験室温度において操作した場
合に、直列に配置されたシステムは、入口の供給空気組
成に比較して非常に低い水準の酸素を含む高品質の不透
過窒素ガスを生産した。不透過製品ガスの流速は約10SC
FH〜50SCFH(0.268〜1.34NM3/H)の範囲内の速度で試験
された。製品ガスの流速が低いほど、供給空気と活性の
膜表面との間の有効接触時間を長くする。したがって、
約10SCFH(0.268NM3/H)の流速において製品中の酸素含
有量は、他の条件を一定として、20SCFH(0.536NM3/H)
の速度などにおけるそれよりも低い。
次の例を含めて本発明の詳細な記述は単に説明のため
になされるものであり、また多くの部分的修正が本発明
の精神または範囲を逸脱することなくその中でなされ得
ることは理解されるべきである。実施例においてすべて
の百分率は特に限定されなければ容量に基いて与えられ
るものである。
実施例I この例は本発明に従って使用される膜ガス分離機の調
製を説明するものである。
前記の試験に使用されたすべての中空繊維は標準の湿
式紡糸法により紡糸された。まず、脱気されたドープを
20ml/分までの速度でチューブ−イン−オリフィス型の
紡糸口金へ送った。口金は適当なドープ流れを維持する
ために十分な熱をかけることにより約80℃までの温度に
保たれた。水を10ml/分までの割合で繊維の内腔に注射
して発生期の中空糸を形成させ、その糸を10m/分までの
速度で引張った。それらの糸は、約0゜−30℃の温度に
保たれた水浴を通って移動する間に延伸された。次にそ
の中空糸を水で洗った。それらの糸をボビンに巻いてか
ら、流水中で1〜5日間連続して洗った。中空糸のかせ
(併行した束)がそれから作られた。これらのかせを垂
直に吊して、約100℃で速やかに乾燥させた。
各実施例において使用されたポリスルホン中空繊維膜
は、N−メチルピロリドン溶媒(57重量%)とプロピオ
ン酸非溶媒(43重量%)の混合物中に溶解されたポリス
ルホンポリマー(P−500、Amoco Performance Polymer
s Co.)の溶液から紡糸された。その紡糸液は37重量%
のポリマーを含んでいた。紡糸、洗浄および乾燥の後に
中空糸の束を分離機モジュールの中へ封入し、それをシ
リコーン(Sylgard,Dow Corning Co.)のイソペンタン
溶媒中の希薄溶液(約0.5−2重量%)によりコーティ
ングした。コーティングの後、イソペンタン溶媒を蒸発
させて、仕上げコーティングを施された中空繊維膜分離
機を得た。
実施例II この例は各実施例において使用された分離装置ユニッ
トの調製を説明するものである。使用される分離モジュ
ールは多数の糸から構成され、それらの糸は封入用エポ
キシの中に各末端を注型封入されて管状シートを形成す
る。各管状シートを糸の軸に対して垂直に切断して、糸
の孔を開いて露出させ、両端のある分離機構造を形成す
る。注型封入された束を、アルミニウムまたは鋼のパイ
プのような耐圧器の中に置き、そこでO−リングガスケ
ットが管状シートと耐圧器の間で耐圧シールの効果をな
して、孔の供給入口および孔の出口(不透過ガスの)を
モジュールの外殻側(透過ガスの)空間から絶縁する。
供給原料の圧縮空気はモジュールの一端で孔の中へ加圧
下(代表的には85−130psig、5.9−9.0×105Pa)に導入
され、そしてガスは糸の孔を通って流れ、その流れる間
にガスは分離膜の内側表面と接触した。供給原料中の速
やかに透過する成分(主に酸素、水蒸気および二酸化炭
素)は選択透過により膜を横切って膜の低圧側(透過
側、通例大気圧にある)へ輸送された。供給原料中の低
透過率の成分(主に窒素および小さい割合のアルゴン)
は選択性膜により抑留されて、モジュールの供給入口と
反対側の出口端で糸の孔を出た。供給空気の中に初めに
存在した酸素、水蒸気および二酸化炭素のような不純物
を実質的に含まない不透過製品ガスは供給ガスの圧と本
質的に同じ圧で束を出たが、操作条件の下でモジュール
を通過するとき極く僅かの圧力(5psi、3.5×104Pa以
下)の低下を受けるに過ぎなかった。膜の透過物(外殻
側)の圧力は約1気圧であった。各膜装置の透過物は長
さ方向に向って、自然発生の向流の掃き出す流れを作
る。透過ガスの流れは輸送された酸素、水蒸気および二
酸化炭素をモジュールの外殻側から掃き出すため適当で
あり、かくして膜の透過側における酸素、水蒸気および
二酸化炭素の機能的に低い分圧を維持する。その掃き出
す流れは酸素、水蒸気および二酸化炭素のために、選択
性膜経由の分離、透過および輸送のため必要な推進力を
与えるため適当な膜を横切る分圧を維持した。
次の各例において使用される中空繊維膜分離機は不均
整ガス分離膜から構成されていた。それらの使用された
シリコーン被覆ポリスルホン中空繊維であり、中空繊維
の内側(または孔)へ供給された圧縮空気と共に外殻と
管の構造の中に閉じ込められたものであった。分離機外
殻の内部における繊維の充填係数は50%の程度であっ
た。個々の糸はそれぞれ約450−500ミクロンの外径と約
200−250ミクロンの内径を有していた。次の実施例III
とIVでは、3個の膜ガス分離機が同じ手順で組立てら
れ、そして同じ製造された紡糸かせの別々の部分から成
るものであった。
実施例III この例で使用された分離機(ユニットAとユニット
B)は直径4″×長さ3′(10.16cm×0.915m)の装置
として組立てられ、そして約120psig(8.28×105Pa)、
21−23℃の孔側供給空気につき、および大気中に放出さ
れた透過ガスにつき試験した。Teledyne Hastings Mode
l Nallリニヤーマスフローメーターが処理ガスの流れを
測定するために使用された。酸素濃度はServomex 540A
ディジタル読出し酸素分析計を使用して約0.2%までの
酸素のパーセント範囲を、また0.2%以下の低い範囲
(0−2000ppm)の酸素のためにはNeutronics Trace Ox
ygen Analyzer Model 5903を使用して測定された。物質
収支は各回の実験の間に操作を点検するために酸素につ
いて計算され、そして行われたすべての収支につき+/
−0.5%の精度であることが判った。痕跡水準(ppm)の
酸素分析計はゼロおよび較正用ガスについて各実験の直
前に検査された。使用されたゼロガスは小売業者からの
4.5級シリンダー窒素であった。標準的仕様書はこのガ
スが5ppm以下の酸素を含むことを示す。試験結果を下の
第1表に示す。
この例では同等の性能品質の2台の分離機(ユニット
AとユニットBと呼ぶ)を使用した。第2図に示された
曲線は、各分離機の連結結果を個々のユニットとして、
もし2つのユニットが並列で同時に運転された場合には
2つのユニットの代数和としての結果を、および2つの
ユニットを直列に運転した結果をグラフに画いている。
直列運転はユニットAからの不透過ガスをユニットBへ
の供給ガスとして使用した。すべての場合に各ユニット
の外殻側のガス(透過物)は大気中に放出された。
第2図の曲線に関して、線11は本発明に従って直列に
運転されたユニットAとユニットBの成績のプロットで
ある。線13はユニットA単独の成績のプロットである。
線14はユニットB単独の成績のプロットである。線12は
ユニットAとユニットBの成績の代数和であり、並列運
転を表現している。
第2図に示された曲線から次の結論を述べることがで
きる。比較的高い窒素製品ガス純度において、すなわ
ち、不透過物中に残る比較的低い酸素において、一定の
純度の不透過製品の量は、個々のユニットを並列に使用
する場合に対して分離機を直列に運転する場合に大きく
増加されることができる。次の表は2台の分離機の直列
配置システムの効率の増加を示す。第1表における効率
の増加(直列のための利得%)の値は製品不透過ガス中
に残留O23000ppmの水準における11%から残留O2200ppm
における150%以上の利得へと亘る改良を示しているこ
とは注意されるべきである。
実施例IV この例に使用された分離機はユニットBとユニットC
であり、そして実施例IIIとおなじ仕方で組立てられか
つ試験された。ユニットCは、試験を別に行ったとき、
ユニットAまたはユニットBのいずれよりも低い性能品
質の装置であると判定された。しかし、低品質のユニッ
トCをユニットBと直列に連結すると、低いppmの残留
酸素範囲(1000ppm以下)において単独で使用されたユ
ニットBと同等の性能品質を示す組合せを結果として与
えた。これは、直列運転がユニットCを、あたかもそれ
がより高い品質の分離機であるかのように行動するよう
に見せるという点で驚くべきことである。もっとも、良
性能ユニット(B)と劣性能ユニット(C)の直列運転
の成績は両ユニット共高品質である場合(実施例III、
第2図)ほど良くないのは当然である。さらにまた、前
記2つのユニットを直列に連結すると(ユニットBから
の不透過物がユニットCへの供給原料として使用され
る)、並列で運転された時よりも良い製品割合を生じ
た。これは特に驚かせかつ意外であった。なぜならば、
直列配置の第2のユニット(ユニットC)はより低品質
の分離機であったからである。
図面の第3図は、例として本発明の直列運転の意外な
改良を示す。前記の図に関して、線15は直列に運転され
たユニットBとユニットCの成績のプロットである。線
17はユニットB単独の成績のプロットである。線18はユ
ニットC単独の成績のプロットである。ここでユニット
Cの劣った性質品質は明らかにユニットBのそれと、そ
れぞれが単独に運転されるときに、明らかに比較され
る。線16はユニットBとユニットCの並列運転の場合の
成績の代数和のプロットである。第2表は直列に配置さ
れたユニットの成績の、同じユニットを個々におよび並
列に運転する場合の成績と比較したときの増加を示すデ
ータを記載している。
1000ppmの残留O2水準において直列運転は精製された
不透過製品ガスの流れにおいて13%の増加を、そして60
0ppm O2残留では製品の流れにおいて40%もの大きな改
良を結果として与えていることを認めることができる。
実施例V この例では2台の別の3″(7.62cm)直径の分離機ユ
ニットが使用された。一方のユニットは2′(0.66m)
の長さでユニットDと呼ばれ、そして他方のユニットは
3′(0.98m)の長さでユニットEと呼ばれる。これら
の分離機は個々に、および直列に運転され、その際短い
ユニット(ユニットD)は直列配置における2番目のユ
ニットとして用いられた。試験結果を第3表に示す。こ
の表のデータは直列運転により観察された成績の増加
を、同じユニットが個々におよび並列に運転された場合
と比較して、空気から採取された窒素中の低いppmの残
留酸素範囲において説明している。
不透過製品ガス中の50ppmの残留O2水準において直列
運転は製品ガスの流れで並列運転に比較して63%の利得
を与えることを認めることができる。
上記に見られるように、本発明の方法は、圧縮空気か
ら実質的にすべての酸素を有効に除去し、結果として比
較的純粋な窒素ガスを生産する。空気は第1の閉じ込め
られた区域内の第1のガス膜コンポーネントと接触させ
られ、そのような膜は選択的に酸素、二酸化炭素および
水を空気から透過することを許すが、窒素成分の透過を
制限する。第1の膜の接触側と下流または透過側との間
に分圧の差が存在する。第1の膜を透過しない窒素に富
む空気の部分は第2の膜コンポーネントを収容する第2
の閉じ込められた区域に送られ、そこでそれは第2の膜
コンポーネントユニットと接触する。第2の膜の接触側
と透過側との間に分圧の差が存在する。第2の膜は選択
的に本質的にすべての残留する酸素、二酸化炭素および
水蒸気の透過を許すが、窒素の透過を制限する。その結
果として、第2の膜コンポーネントから出る不透過ガス
は、1,000ppm以下の範囲の酸素含有量を有する非常に純
粋な窒素である。
上記の例は、本発明の方法に従って2台の直列に配置
されたガス膜分離機の使用は、10SCFH(0.268NM3/H)ほ
ども高い生産速度で1000ppm以下の酸素を含む精製され
た窒素を小さな分離機ユニットを使用することにより生
産することを説明する。その結果は非常に純粋な窒素ガ
スの経済的製造である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法を実施するために適当な装置を示
す略図である。 第2図および第3図は、膜ガス分離機が本発明に従って
直列的に使用される場合に、これらの図に個々の分離機
の成績の代数和として画かれているように、同じ分離機
が並列的に使用されたときと比較していろいろな流速に
おいて空気から酸素を除する改良された効率を説明する
グラフである。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】空気から、酸素水準が2000ppm以下である
    精製された比較的純粋な窒素ガスを製造する方法であ
    り、次の各工程、 a) 酸素、二酸化炭素および水蒸気の通過を許すが、
    窒素の通過を制止する選択性を有する第1組の多数の中
    空繊維膜を含む第1の分離機を準備すること、 b) 第1の分離機の中空繊維膜の孔に圧縮した原料空
    気を送ること、 c) 中空繊維膜の孔側表面と中空繊維膜の外側表面と
    の間に圧力差を維持すること、 d) その結果生じる不透過ガスを長さ方向に中空繊維
    膜の孔を通しそして中空繊維膜の末端からかつ第1の分
    離機から外へ移動させること、 e) 第1の分離機の膜の外側表面からかくして生じる
    透過ガスを排気すること、 f) 酸素、二酸化炭素および水蒸気の通過を許すが、
    窒素の通過を制止する選択性を有する第2組の多数の中
    空繊維膜を含む第2の分離機を準備すること、 g) 窒素含量が原料空気に比較して増加しかつその酸
    素含量は原料空気に比較して著しく減少している上記不
    透過ガスを、第1の分離機から追加の圧縮力を与えるこ
    となく、第2組の中空繊維膜に送ること、 h) 第2組の中空繊維膜の孔側表面と、第2組の中空
    繊維膜の外側表面との間に圧力差を維持すること、 i) その結果生じる不透過ガスを長さ方向に第2組の
    中空繊維膜の孔を通しそして第2組の中空繊維膜の末端
    からかつ第2の分離機から外へ移動させること、 j) 第2の分離機の膜の外側表面からかくして生じる
    透過ガスを排気すること、 k) その後、第2の分離機からの不透過ガスを圧力下
    に収集すること、 から成る前記の純粋な窒素ガスを製造する方法。
  2. 【請求項2】中空繊維膜はポリスルホンポリマーから構
    成されている請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】ポリスルホンポリマーはシリコーンまたは
    ゴムにより被覆されている請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】透過ガスと不透過ガスは両分離機において
    相互に関して向流として流れる請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】2台より多くのガス分離機が直列に配置さ
    れる請求項1記載の方法。
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