JP2764517B2 - チップ抵抗器、ならびに、これを用いる電流検出回路および電流検出方法 - Google Patents

チップ抵抗器、ならびに、これを用いる電流検出回路および電流検出方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、チップ抵抗器、並び
に、これを用いる電流検出回路および電流検出方法に関
し、DC/DCコンバータの保護回路内に電流検出セン
サとして組み込むことに適するように構成したものに関
する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】DC
/DCコンバータの保護回路内に電流検出センサ部分と
して抵抗が組み込まれる場合があり、回路の高集積化の
要請から、かかる抵抗としてチップ抵抗器が採用される
場合が多い。
【0003】上記のチップ抵抗器は、電流センサである
がゆえに、たとえば、0.1Ω程度の低抵抗値をもつも
のが求められる。
【0004】ところで、チップ抵抗器は、回路基板に面
実装することを前提として形成されており、一般に、図
9および図10に示すように、平面視矩形状をした所定
の厚みのチップ基板a上に、抵抗体bを厚膜印刷形成す
るとともに、この抵抗体bの両端部に、電極端子c,c
を形成することによって基本的に構成される。
【0005】上記抵抗体bの抵抗値を低めるための方策
としては、図11に示すように、抵抗体bの電極端子間
距離を縮める方法がある他、図12に示すように、抵抗
体部分として、両端の電極端子を形成するのと同じ導体
パターンを用い、その幅寸法を小さくするという方法が
ある。
【0006】いずれにしても、従来のチップ抵抗器は、
その抵抗値がいかにあろうとも、チップ基板上の中央部
に抵抗体bあるいは抵抗体部分が配置されるとともに、
これを挟むようにしてチップ基板の両端部に電極端子
c,cが形成され、かつ抵抗体bおよび電極端子c,c
の一部が保護コーティングdで覆われるという基本的構
成をもっている。
【0007】ところで、上記のような低抵抗値のチップ
抵抗器を構成する場合、電極間抵抗値を所定の範囲内に
そろえることが困難な場合が多い。その理由は次のとお
りである。
【0008】上記の構成をもつチップ抵抗器の抵抗値
を、たとえば、4端子法で測定する場合の等価回路は、
図13のようになる。図13においてR1 は抵抗体部分
の抵抗であり、R2 およびR3 は、電極端子部分の内部
抵抗を表している。抵抗体部分の抵抗値R1 が小さいゆ
えに、その両側に存在する電極端子の内部抵抗R2 ,R
3 の影響を受けることになる。
【0009】上記のチップ抵抗器の抵抗値を測定する場
合、図13に示すように、両端電極c,c間に一定電流
を流しながら、同時に両端電極に電圧測定プローブp,
pを当てるなどすることによって、両端電極間の電圧降
下を計測し、オームの式により、上記R1 ,R2 ,R3
の抵抗値の総和が求められる。
【0010】しかしながら、特に、電極端子c,cも厚
膜印刷法によって形成されることから、電極端子の内部
抵抗R1 ,R3 の値が、チップ抵抗器の製造条件によっ
てまちまちとなり、それゆえに、上記R1 、R2 、R3
の和によって与えられるチップ抵抗器全体としての抵抗
値の一定化が困難になるのである。
【0011】これにより、要求される定格抵抗値に対し
て許される誤差範囲が小さい場合には、歩留りの低下を
もたらすことになる。なお、抵抗値の調整は、図11に
示すタイプのものについては、抵抗体にトリミングを施
すことによって比較的容易に行えるが、図12に示すタ
イプの導体による細幅状の抵抗をもつものについては、
トミリングによる抵抗値調整は、実際上困難である。
【0012】また、抵抗値のばらつきが存在すれば、か
かるチップ抵抗器を電流センサ部分として用いるユーザ
側においても、正確な電流検出ができないという問題に
もつながる。そして、電流センサとしてのチップ抵抗器
を回路基板上にハンダ付けする場合、このハンダの内部
抵抗もセンサとしての全抵抗を増大させる傾向を与え、
チップ抵抗のメーカ側が提示する定格抵抗値と、実際の
使用時での抵抗値との間に整合がとれなくなり、その結
果として電流検出が正確に行えないということもありえ
た。
【0013】このように、従来のチップ抵抗器の構成
は、低抵抗値が求められ、かつ、電流センサとして用い
る場合において、好適なものとはいえないものであっ
た。
【0014】本願発明は、上記の事情のもとで考え出さ
れたものであって、低電流値測定のためのセンサ部分と
して用いるに適するように構成した新たなチップ抵抗
器、ならびに、これを用いる電流検出回路および電流検
出方法を提供することをその課題としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本願発明では、次の技術的手段を講じている。すな
わち、本願の請求項1に記載したチップ抵抗器は、チッ
プ基板上に、導体材料によって形成された細状抵抗体
と、この細状抵抗体の両端部から各一対枝分かれ状に延
びるとともに、上記細状抵抗体と同一導体材料によって
形成された端子とを厚膜印刷により一体的に設けたこと
を特徴としている。
【0016】
【0017】請求項2に記載したチップ抵抗器は、請求
項1のチップ抵抗器における上記合計四つの端子のう
ち、チップ基板の対角線方向に対向する各二つの端子
を、それぞれ、電流端子と電圧端子としたことを特徴と
している。
【0018】
【0019】上記抵抗体の抵抗値は、たとえば、0.0
1Ωから1.00Ωとすることができる。
【0020】そして、上記のような低抵抗値をもつ抵抗
体を形成するには、銀・パラジウムペースト、あるい
は、銀ペーストを用いて厚膜印刷法によって形成するこ
とができる。
【0021】請求項4および請求項5は、本願発明のチ
ップ抵抗器を用いて電流検出を行うための電流検出回路
および電流検出方法に関するものであり、請求項2また
は3のチップ抵抗器を用い、上記電流端子間に被測定電
流を流すとともに、上記電圧端子間の電圧降下を検出す
ることによって、上記被測定電流の検出を行うようにし
たことに特徴づけられる。
【0022】
【発明の作用および効果】本願発明の基本思想は、チッ
プ抵抗器におけるチップ基板上に低抵抗値をもつ導体材
料によって形成された細状抵抗体の両端部に、それぞ
れ、この細状抵抗体と同一材料による電流端子と電圧端
子とを厚膜印刷によって一体的に形成したというもので
ある。
【0023】これをチップ抵抗器の製造段階における抵
抗値検査についてみれば、電流端子間に一定電流を流し
ながら、電圧端子を介して、上記電流端子を含まない抵
抗体の両端部間の電圧降下を正確に検出することがで
き、オームの式より、抵抗体の両端部間の抵抗値を正確
に計測することができる。この場合において、上記抵抗
体はとくに細状としてあるので、この抵抗体の両端部の
位置が正確に規定され、したがってこの抵抗体の両端部
間の抵抗値がより正確に計測されることになる。
【0024】そして、かかるチップ抵抗器を、電流検出
回路のセンサ部分として用いる場合についてみれば、電
流端子間に被測定電流を流しながら、電圧端子間の電圧
降下を計測することになる。この場合、細状抵抗体の抵
抗値は上記のように正確に規定されているから、オーム
の式より、被測定電流を正確に検出することができるこ
とになる。
【0025】このように、本願発明によれば、チップ基
板上の抵抗体を挟んで形成される端子の内部抵抗あるい
は基板実装時のハンダの内部抵抗を全く考慮外におい
て、抵抗体そのものの抵抗値をもって、電流検出用セン
サとしての定格抵抗値とすることができるので、求めら
れる誤差範囲が小さくとも、容易にこの誤差範囲内に抵
抗体の抵抗値を収めることができる。
【0026】このように、本願発明のチップ抵抗器は、
低電流検出用のセンサ部分としての用途に対し、きわめ
て適したものとなり、その歩留りの向上も期待できる。
とりわけ、測定するべき電流が小さい場合において、こ
れを正確に検出するためのセンサとして好適なものとな
る。しかも、本願発明のチップ抵抗器における細状抵抗
体とその両端部に形成される各端子は同一材料によって
厚膜印刷法により一体的に形成されているので、簡便な
製造手法によって低コストで製造することができる。
【0027】
【実施例の説明】以下、本願発明の好ましい実施例を、
図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0028】図1および図2は、本願発明のチップ抵抗
器1の一実施例の平面および外観を示す。アルミナセラ
ミック等でできたチップ基板2の上面には、細状抵抗体
(以下、単に抵抗体3という)と、この抵抗体3の両
端部から枝分かれ状に延びる電極端子4a,4b,4
a,4bが形成されている。本実施例においては、上記
抵抗体3および各電極端子4a,4b,4a,4bが、
たとえば、銀・パラジウムペースト、あるいは、銀ペー
スト等の導体ペーストによって一体に厚膜印刷形成され
ている。抵抗体3を上記のような導体ペーストで形成し
ても、図1に表れているように、抵抗体部分の幅を縮め
て細状とするとともに、長さを一定に保持することによ
り、たとえば、0.01Ωないし1.00Ωという、低
抵抗値をもつ抵抗体として充分に機能させることができ
る。
【0029】本願発明のチップ抵抗器1は、後述するよ
うに、電流検出のためのセンサ部分として用いることが
予定されており、この抵抗体に電流を流すための電流端
子4a,4aと、抵抗体3の両端部間の電圧降下を検出
するための電圧端子4b,4bとが、単一チップ基板上
に形成されていることに特徴づけられる。
【0030】上記抵抗体3の各端部から枝分かれする二
つの電極端子4a,4bの一方(4a)が電流端子であ
り、他方(4b)が電圧端子である。抵抗体3の一端か
ら枝分かれする二つの電極端子4a,4bのうち、いず
れを電流端子とし、いずれを電圧端子とするかは特に問
われないが、チップ抵抗器1の方向性をなくすために
は、図1に表れているように、チップ基板2について対
角線方向に対向する二つの端子4a,4aおよび4b,
4bを電流端子および電圧端子とするのが好適である。
このようにすると、チップ抵抗器1が図1において18
0°反転しても、全く同様の形態となるので実装の便宜
上、都合がよい。
【0031】上記チップ抵抗器1の製造は、一般的なチ
ップ抵抗器と同様に行うことができる。図1は、完成さ
れた単一のチップ抵抗器1を示しているが、このチップ
抵抗器の製造は、矩形の単位領域が格子状のスリットに
よって複数行複数列形成された材料基板上に、上記抵抗
体3ないしその両端部からそれぞれ枝分かれする合計4
つの電極端子4a,4b,4a,4bからなる導体配線
パターンを、すべての領域について一括して厚膜印刷形
成し、そうして、この材料基板をスリットに沿って基板
分割して最終的に図1のような単位チップ抵抗器を得る
のである。上記導体パターンの厚膜印刷形成の後、必要
あれば、図1に示されるようなトリミング5を行うこと
により、抵抗体3の抵抗値の調整を行う。そして、電極
端子4a,4b,4a,4bの露出させるべき部分を除
くチップ基板上の表面は、保護ガラスコート6によって
覆われる。
【0032】上記のようなチップ抵抗器1の抵抗体(あ
るいは抵抗体部分)3の抵抗値の測定は、次のようにし
て行われる。
【0033】すなわち、両電流端子4a,4a間に一定
電流を流しながら、両電圧端子4b,4b間の電圧降下
を計測するのである。かかる計測は、いわゆる4端子法
によって行われ、本願発明のチップ抵抗器1について
は、かかる抵抗値計測は、図3に示す等価回路のように
なる。
【0034】この図3から明らかなように、電圧端子間
にはほとんど電流が流れないことを考慮すると、各電圧
端子4b,4bが、電流端子4a,4aとは別に抵抗体
3(R1 )の端部に直接接続されているため、仮に電流
端子4a,4aに内部抵抗(R2 ,R3 )が存在したと
しても、その影響を全く受けることなく、抵抗体3(R
1 )の正味の抵抗値を正確に計測することができる。こ
の点は、従来においては、図13の測定等価回路に示さ
れるように、測定電流が流れる端子c,c間の電圧降下
を測定していたために端子部の内部抵抗(R2 ,R3
を含んだ抵抗値(R1 +R2 +R3 )が計測されてしま
い、端子部の内部抵抗の変動によって、全体としての端
子部間抵抗が大きく変動していたことに比較し、著しい
改善となっている。
【0035】こうして、抵抗として機能させるべき部分
の抵抗値が正確に計測されることから、本願発明による
チップ抵抗器の特性の画一性が結果的に高まり、また、
歩留りの向上にもつながる。
【0036】上記のチップ抵抗器1を、低電流の検出回
路において、電流検出センサとして用いるには、たとえ
ば、次のようになされる。
【0037】図4は、本願発明のチップ抵抗器1を用い
て電流検出回路7を構成する場合の等価回路例である。
図4において、符号4a,4aは、チップ上の電流端子
を、符号4b,4bは、チップ上の電圧端子を、それぞ
れ示す。そして、抵抗体3の抵抗値がR1 として示さ
れ、各電極4a,4b,4a,4bの内部抵抗値が、そ
れぞれ、R2 ないしR5 として示されている。また、図
中R6 ないしR9 は、回路基板の線抵抗を示し、R10
11は、電圧検知器8内の内部抵抗を示している。
【0038】図4から明らかなように、電流端子4a,
4aに、測定するべき電流が流される。たとえば、DC
/DCコンバータにおける電流検出回路を構成する場合
には、上記電流端子間に電源電流を流すべく接続され
る。そして、電圧端子4b,4bには、電圧検知器8の
各入出力端子が接続される。
【0039】上述したことから明らかなように、かかる
検出回路8を構成するに際しては、チップ抵抗器におけ
る抵抗体3の抵抗値R1 は、既知であり、しかも、この
抵抗値R1 は、正確に規定されている。したがって、こ
の抵抗体3(抵抗値R1 )間の電圧降下を計測すること
により、オームの式より、上記抵抗体3を流れる電流値
を正確に計測しうるのである。
【0040】電圧検知器の計測回路部分には、ほとんど
電流が流れないから、電圧端子4b,4bの各内部抵抗
4 ,R5 は、上記抵抗体3の両端部間の電圧降下を計
測する上でなんら不都合は生じない。
【0041】このように、本願発明では、上記電圧端子
4b,4bは、それぞれ、被測定電流が流れる電流端子
4a,4aとは別個に抵抗体3の両端部に直接接続され
ているため、電流端子4a,4aの内部抵抗R2 ,R3
に全く影響されることなく、被測定電流の電流値を正確
に検出することができるのである。
【0042】そして、本願発明のチップ抵抗器1はチッ
プ抵抗器であるがゆえの利点をも併せ有する。すなわ
ち、回路基板上に簡便に面実装することができ、かつ、
回路構成の高集積化を図ることができるのである。
【0043】図5は、本願発明のチップ抵抗器1の第二
の実施例を示している。この実施例では、図1に示した
単位チップ抵抗器1の構成を、横方向に二連式としたも
のである。各単位部分についての構成は、図1に示した
ものと同様である。
【0044】本実施例においては、次のような使用方法
の展開が可能である。
【0045】たとえば、抵抗体3の抵抗値が、それぞれ
0.1Ωとすると、0.1Ωの抵抗として用いる場合に
は、図6に模式的に示すように、並列する二組の単位構
成のうち、一方を用いればよく、また、図7に模式的に
示すように、各単位構成を並列的に接続することによ
り、0.5Ωの抵抗として用いることが可能となる。
【0046】
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明のチップ抵抗器の一実施例の平面図で
ある。
【図2】図1に示したチップ抵抗器の全体斜視図であ
る。
【図3】図1に示したチップ抵抗器の抵抗値測定におけ
る等価回路図である。
【図4】図1に示したチップ抵抗器を電流測定における
電流センサとして使用する場合の回路図例である。
【図5】本願発明のチップ抵抗器の他の実施例の平面図
である。
【図6】図5に示すチップ抵抗器の使用例を示す模式図
である。
【図7】図5に示すチップ抵抗器の使用例を示す模式図
である。
【図8】本願発明のチップ抵抗器のさらに他の実施例の
平面図である。
【図9】従来のチップ抵抗器の一般的構成を示す平面図
である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】低抵抗のチップ抵抗器の従来構成例を示す平
面図である。
【図12】低抵抗のチップ抵抗器の従来構成の他の例を
示す平面図である。
【図13】従来のチップ抵抗器の抵抗チップ測定におけ
る等価回路図である。
【符号の説明】
1 チップ抵抗器 2 チップ基板 3 抵抗器 4a 電流端子 4b 電流端子 7 電流測定回路

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チップ基板上に、導体材料によって形成
    された細状抵抗体と、この細状抵抗体の両端部から各一
    枝分かれ状に延びるとともに、上記細状抵抗体と同一
    導体材料によって形成された端子とを厚膜印刷により一
    体的に設けたことを特徴とする、チップ抵抗器。
  2. 【請求項2】 上記合計四つの端子のうち、チップ基板
    の対角線方向に対向する各二つの端子を、それぞれ、電
    流端子と電圧端子としたことを特徴とする、請求項1の
    チップ抵抗器。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかのチップ抵
    抗器を複数連成してなる多連チップ抵抗器。
  4. 【請求項4】 請求項2または3のチップ抵抗器を用
    い、上記電流端子間に被測定電流を流すとともに、上記
    電圧端子間の電圧降下を検出することによって上記被測
    定電流の検出を行うようにしたことを特徴とする、電流
    検出回路。
  5. 【請求項5】 請求項2または3のチップ抵抗器を用
    い、上記電流端子間に被測定電流を流すとともに、上記
    電圧端子間の電圧降下を検出することによって上記被測
    定電流の検出を行うことを特徴とする、電流検出方法。
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