JP2764464B2 - ポリウレタンエラストマーの製造方法 - Google Patents

ポリウレタンエラストマーの製造方法

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JP2764464B2 JP2229559A JP22955990A JP2764464B2 JP 2764464 B2 JP2764464 B2 JP 2764464B2 JP 2229559 A JP2229559 A JP 2229559A JP 22955990 A JP22955990 A JP 22955990A JP 2764464 B2 JP2764464 B2 JP 2764464B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、耐熱性及び成型性に優れたポリウレタン
エラストマーの製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
ポリウレタンは、一般に、高分子ポリオールとポリイ
ソシアネートを原料とし、これを硬化剤または鎖伸長剤
と呼ばれる分子中に活性水素基を2個以上含有する低分
子化合物により硬化して製造されるものである。
こうして製造される熱硬化性ポリウレタンエラストマ
ーは、機械的特性、耐摩耗性及び耐油性が優れているた
め、従来より、ベルト類、ローラー類等の各種成形体と
して、さらには弾性シート等としても広く使用されてい
る。
ところで、熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、通
常、プレポリマー法すなわち、まずポリオールとジイソ
シアネートを反応させて末端にイソシアネート基を有す
るプレポリマーを生成させ、次に当該プレポリマーに硬
化剤を加えて硬化させるという方法により製造されてい
る。
このプレポリマー法としては、従来、トリレンジイ
ソシアネートとポリテトラメチレンエーテルグリコール
より生成したプレポリマーに、硬化剤として3,3′−ジ
クロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタンを加える方
法や、トリレンジイソシアネートとポリエステルポリ
オールより生成したプレポリマーに硬化剤として3,3′
−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタンを加え
る方法等が知られている。
しかし、前記従来方法により製造されたポリウレタ
ンエラストマーは、耐熱性特に耐熱老化性が不十分であ
り、高温となる場所や温度変化の大きい場所で使用する
には不適当であった。
また、前記従来方法により製造されたポリウレタン
エラストマーについては、の方法によるものに比べて
耐熱老化性に優れるものの充分とは言い難く、また高温
高湿の環境下では加水分解が容易に起こるため、短時間
で諸物性が低下する難点があった。このため、実際上、
高温高湿の環境下ではほとんど使用できなかった。
更に、ベルト業界では昨今の技術革新により高温環境
下においてのベルト使用が増加し、耐熱性ベルトの要求
度が拡大されてきている。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上のような現状に鑑み、本発明者らは、耐熱性、特
に耐熱老化性及び耐湿熱性に優れているだけでなく、成
形性にも優れているポリウレタンエラストマーの製造方
法を得るべく検討を重ねた結果、この発明を完成するに
至ったものである。
〔課題を解決するための手段〕
前記課題は、特定のカプロラクトンポリオールに特定
のイソシアネートを添加してプレポリマーを生成させ、
当該プレポリマーに1,4−ブタンジオール及びトリメチ
ロールプロパンを加えて硬化させることによって解決さ
れる。
すなわち、この発明のポリウレタンエラストマーの製
造方法は、パラフェニレンジイソシアネートと、平均分
子量が900〜3000で且つ分子量分布がMwを重量平均分子
量、Mnを数平均分子量としたときに、Mw/Mn=1.4〜2.1
であるポリカプロラクトンポリオールとを反応せしめて
末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを生成さ
せ、このプレポリマーに1,4−ブタンジオール及びトリ
メチロールプロパンから成る硬化剤を加えて硬化させる
ことを特徴とするものである。
この発明によれば、耐熱性を改良するには、ポリイソ
シアネートとしてパラフェニレンジイソシアネートを用
いるのが最適であることが判明した。パラフェニレンジ
イソシアネートは、ベンゼン環の1位と4位にイソシア
ネート基を有する芳香族ジイソシアネートで、その融点
は95℃である。
また、パラフェニレンジイソシアネートと反応してプ
レポリマーを生成するポリオールとしては、ポリエーテ
ルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネ
ートポリオール等が知られており、代表的なものとして
は、ポリエーテルポリオールではポリテトラメチレンエ
ーテルグリコール、ポリエステルポリオールではポリエ
チレンアジペートポリオール、ポリテトラメチレンアジ
ペートポリオール、カプロラクトンポリオール、ポリカ
ーボネートポリオールでは1,6ヘキサンポリカーボネー
トポリオール等を挙げることができる。
しかし、この発明によれば、これらの中で特にポリカ
プロラクトンポリオールが好ましく、しかもその分子量
分布が小さいものが良いことが分かった。
この発明で使用する分子量分布の小さいポリカプロラ
クトンポリオールとしては、例えばε−カプロラクトン
を開環重合して得たポリカプロラクトンポリオール等が
挙げられ、その平均分子量は900〜3000の範囲のものが
適する。
市販されているポリカプロラクトンポリオールには、
平均分子量が1000、2000、3000等の各グレードがある
が、これらの実際の平均分子量は、正確に1000、2000あ
るいは3000になっているわけではなく、その値を中心と
して多少の幅がある。この発明では、平均分子量が900
〜3000の範囲に含まれるものであれば、いずれも使用可
能であるが、特に平均分子量2000のものが最適である。
このように、平均分子量が前記範囲に限ったのは、平
均分子量が3000より大きいと、ウレタンプレポリマーの
溶融時の粘度が高くなって成形性が悪くなるためであ
り、また900より小さいとポットライフ(流動性のウレ
タンプレポリマーに硬化剤を加えてから、粘度が上昇し
て作業ができなくなるまでの時間)が短くなり過ぎるた
めである。
また、この発明で使用するポリカプロラクトンポリオ
ールの分子量分布は、Mwを重量平均分子量、Mnを数平均
分子量とすると、 Mw/Mn=1.4〜2.1 であるものが適する。
通常、ウレタンプレポリマーを製造する場合に使用す
るポリカプロラクトンポリオールの分子量分布(標準分
子量分布)は、 Mw/Mn=2.8〜3.0 であり、従って、この発明における分子量分布は標準分
子量分布に比べてかなり小さいものである。
このように分子量分布を小さいものに限定したのは、
標準分子量分布のポリカプロラクトンポリオールでは、
硬化剤として使用する1,4ブタンジオールとトリメチロ
ールプロパンを混合した際に粘度上昇速度が大きくな
り、ポットライフがあまりにも短くなり過ぎて、混合、
注型等の作業が困難となるからである。これは特に、大
型品の製造作業の場合に著しい。ポットライフの短さ
は、エラストマーの内部組成が不均一となる要因であ
り、また使用中に比損する原因となるので、ポットライ
フを適正値に保つことは、エラストマーの製造面のみな
らず性能面においても極めて重要である。
パラフェニレンジイソシアネートとポリカプロラクト
ンポリオールの配合比は、NCO基とOH基のモル比NCO/OH
が1.4〜2.5となるようにするのが良く、特に1.8〜2.2と
するのが好ましい。
また、前記プレポリマーの硬化剤としては、分子内に
活性水素含有基を2個以上含む化合物である3,3′−ジ
クロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−メ
チレンジアミン、2,2′,3,3′−テトラクロロ−4,4′−
ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン、1,4−
ブタンジオール等のジオール、トリメチロールプロパア
ン等があるが、この発明に使用する硬化剤としては、1,
4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンが最適で
ある。
1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンは、
上記ウレタンプレポリマーに対して、OH基とNCO基のモ
ル比OH/NCOが0.8〜1.0となるように配合するのが良い。
硬化剤と配合量が上記範囲を下回る場合には、ウレタン
エラストマーの引き裂き強度が低くなり、また上記範囲
を上回る場合には、ウレタンエラストマーの永久伸びが
大きくなる。
前述したプレポリマーと硬化剤を混合して生成される
樹脂状組成物は、適宜成形型に流し込まれ、加熱・硬化
されてポリウレタンエラストマーとなる。こうして得ら
れたポリウレタンエラストマーには、必要に応じて充填
剤、着色剤、可塑剤を加えることができ、更には老化防
止剤、安定剤等の添加剤を添加してもよいことは勿論で
ある。
得られた樹脂状組成物を、加熱したベルト用金型に流
し込み、数時間加熱した後、金型より取り出し、その後
加熱空気で二次硬化させるとベルトを得ることが出来
る。
〔実施例〕
以下、実施例に従いこの発明をさらに詳細に説明す
る。
実施例1 平均分子量(数平均分子量を指す。以下同じ)が992
で分子量分布の小さい(Mw/Mn=1.5)ポリカプロラクト
ンポリオール(ダイセル社製、商品名:プラクセル210
N)100重量部に、パラフェニレンジイソシアネートを3
3.9重量部加え、窒素気流下、85℃で1時間反応させ
て、末端イソシアネート基を持つウレタンプレポリマー
を得た。得られたプレポリマーのイソシアネート基(NC
O)含有量は6.25%であった。
前記ポリカプロラクトンポリオールとパラフェニレン
ジイソシアネートの配合比は、NCO基位とOH基のモル比
が、 NCO/OH=2.1 となるように選定されたものである。
次に、得られたプレポリマー100重量部に、硬化剤と
して1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンを
7:2の当量比で加え、OH基とNCO基のモル比が、 OH/NCO=0.9 となるように配合して樹脂状組成物を生成させた。
そして、この樹脂状組成物を110℃に加熱したシート
成形用金型に注入し、110℃で10時間放置して硬化さ
せ、シート状成形物を得た。このシート状成形物の物性
は表1の通りであった。
続いて、耐熱老化性試験を行うため、得られたシート
状成形物をギヤーオーブンに入れ、140℃で20日間加熱
したところ、表1の各物性値の変化は表2に示す通りで
あった。表2によれば、シート状成形物の硬さ及び引張
強度はほとんど変化していなく、また他の物性について
も大きな劣化は認められない。
さらに、同シート状成形物をオーブンに入れ、70℃飽
和水蒸気中で7日間放置して、耐湿熱性試験を行ったと
ころ、物性値の変化は表3に示す通りであった。表3に
よれば、いずれの物性についても大きな劣化は認められ
ない。
なお、前記プレポリマーの粘度は1380cps/80℃、前記
樹脂状組成物のポットライフは約5分間であった。
実施例2 平均分子量1993で分子量分布の小さい(Mw/Mn=1.8)
ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル社製、商品
名:プラクセル220N)100重量部に、パラフェニレンジ
イソシアネートを16.3重量部加え、窒素気流下、85℃で
2時間反応させて、末端イソシアネート基を持つウレタ
ンプレポリマーを得た。得られたプレポリマーのNCO含
有量は、3.79%であった。
前記ポリカプロラクトンポリオールとパラフェニレン
ジイソシアネートの配合比は、NCO基とOH基のモル比
が、 NCO/OH=2.0 となるように選定されている。
次に、前記プレポリマーに1,4−ブタンジオールとト
リメチロールプロパンを実施例1と同じ割合で配合し、
シート用金型を用いてシート状成形物を得た。このシー
ト状成形物の物性は表1の通りであった。
同シート状組成物について、実施例1と同様にして耐
熱老化性試験及び耐湿熱性試験を行ったところ、表2及
び表3に示す通りの結果を得た。表2及び表3によれ
ば、いずれの物性値についても大きな劣化は認められな
い。
なお、前記プレポリマーの粘度は2290cps/80℃、前記
樹脂状組成物のポットライフは約11分間であった。
実施例3 平均分子量1986で分子量分布の小さい(Mw/Mn=1.7)
ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル社製、商品
名:プラクセル220N)100重量部に、パラフェニレンジ
イソシアネートを16.2重量部加え、窒素気流下、85℃で
2時間反応させて、末端イソシアネート基を持つウレタ
ンプレポリマーを得た。得られたプレポリマーのNCO含
有量は、3.52%であった。
前記ポリカプロラクトンポリオールとパラフェニレン
ジイソシアネートの配合比は、NCO基とOH基のモル比
が、 NCO/OH=2.0 となるように選定されている。
次に、得られたプレポリマー100重量部に、硬化剤と
して1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンを
5:4の当量比で加え、OH基とNCO基のモル比が、 OH/NCO=0.9 となるように配合して樹脂状組成物を生成させた。
そして、この樹脂状組成物を、実施例1と同様にして
シート成形用金型に注入・硬化し、シート状成形物を得
た。このシート状成形物の物性は表1の通りであった。
同シート状成形物について、実施例1と同様にして耐
熱老化性試験及び耐湿熱性試験を行ったところ、表2及
び表3に示す結果を得た。この実施例3も、実施例1及
び2と同様に、試験の前後で物性の大きな劣化は認めら
れない。
前記プレポリマーの粘度は2900cps/80℃、前記樹脂状
組成物のポットライフは約15分間であった。
また、前記樹脂状組成物を110℃に加熱したベルト用
金型に流し込み、2時間加熱した後、金型より取り出
し、その後110℃の加熱空気で8時間二次硬化させて平
ベルトを得た。
第1図に平ベルトの製造に用いた円筒状金型(1)を
示す。この金型(1)は、外筒(12)と内筒(11)を備
え、外筒(12)及び内筒(11)間に形成された空間部
(13)に連通する反応器(18)が連結されている。そし
て、筒状空間部(13)の上端部には脱気口(15)が設け
られ、この脱気口(15)には脱気弁(16)が着脱自在に
装着されている。
上記金型(1)を用いた平ベルトの製造方法を具体的
に説明すると、まず金型(1)の脱気弁(16)を開き、
反応器(18)からウレタンポリマーと硬化剤との混合物
(ウレタン樹脂組成物)を注入口(14)を経て金型
(1)の空間部(13)内へ注入又は加圧注入する。組成
物が脱気口(15)より少量漏れ出した時に脱気弁(16)
を閉じ、反応器(18)の蓋体(18a)を押さえることに
より注入口(14)に注入時より高い圧力をさらに加え、
この状態で所定温度、所定圧力下に組成物を硬化させ
る。その後、外筒(12)を外して金型(1)の空間部
(13)から円筒状成形物を取り出し、この筒状成形物を
周方向に輪切りに切断して、適宜目的とする幅のベルト
を得る。
なお、金型(1)の空間部(13)の形状を変えること
により、Vベルト、歯付きベルトを製造することが出来
る。
歯付きベルトを製造するには、第2図に示す金型を使
用し、その他は第1図と同じ装置を使用して作製するこ
とが出来る。第2図に示す金型では、内筒(11)の外周
面に型軸方向に平行な複数の突条(111)が設けられて
おり、抗張体(112)がこの突条(111)の外周に周方向
に巻回される。抗張体(112)としては、例えば合成繊
維ロープ、スチールワイヤ、ガラス繊維ロープなどの索
状物あるいは、織状物などが用いられる。
次いで、筒状の空間部(13)内に組成物を注入し、そ
の後成形硬化させて溝付き円筒状硬化物を取り出し、幅
6.4mmに輪切りし、第3図乃至第5図に示す歯付きベル
ト(歯数50)を得た。
この歯付きベルトAの寸法は、第4図において、aは
2.30mm、bは1.27mm、cは0.25mm、dは2.57mm、θは50
゜である。
このようにして作製された各種ベルトは、後述するよ
うに、耐熱性に優れており、走行時間が長くなり、また
高温下の環境においても物性が低下することがない。
前記実施例1〜3との比較として、以下に比較例1〜
9を挙げる。各比較例によって成形したシート状成形物
の物性は表1の通りであり、また耐熱老化性試験及び耐
湿熱性試験の結果は表2及び3の通りである。
比較例1 平均分子量1228で標準分子量分布(Mw/Mn=3.0)を持
つポリカプロラクトンポリオール(ダイセル社製、商品
名:プラクセル212)100重量部に、パラフェニレンジイ
ソシアネートを27.4重量部加えて、NCO/OHのモル比が2.
1となるように配合し、窒素気流下、85℃で1時間反応
させて末端イソシアネート基を持つウレタンプレポリマ
ーを得た。得られたプレポリマーのNCO含有量は、5.91
%であった。
このプレポリマーに、実施例1と同様に配合比で1,4
−ブタンジオールとトリメチロールプロパンを加え、生
成した樹脂状組成物を用いて実施例1と同様にしてシー
ト状成形物を作製しようとしたが、樹脂状組成物のポッ
トライフが数十秒とあまりにも短かいため、注型作業が
できず、シート状成形物は得られなかった。
比較例2 平均分子量1934で標準分子量分布(Mw/Mn=3.0)を持
つポリカプロラクトンポリオール(ダイセル社製、商品
名:プラクセル220)100重量部に、パラフェニレンジイ
ソシアネートを17.4重量部加えて、NCO/OHのモル比が2.
1となるように配合し、窒素気流下、85℃で2時間反応
させて末端イソシアネート基を持つウレタンプレポリマ
ーを得た。得られたプレポリマーのNCO含有量は、4.06
%であった。
このプレポリマーを用いて、実施例1と同様の硬化剤
及び配合比でシート状成形物を作製しようとしたが、硬
化剤を添加して生成される樹脂状組成物のポットライフ
が約3分と短く、注型できなかった。
比較例2及び3により、ポリカプロラクトンポリオー
ルの分子量分布が大きいと、樹脂状組成物のポットライ
フが短くなり、成形不能となることが明らかである。
比較例3 平均分子量993のポリエチレンアジペートポリオール
(日本ポリウレタン社製、商品名:ニッポラン4002)10
0重量部に、パラフェニレンジイソシアネートを33.9重
量部加え、窒素気流下、85℃で1時間反応させて末端イ
ソシアネート基を持つウレタンプレポリマーを得た。得
られたプレポリマーのNCO含有量は6.66%であった。
このウレタンプレポリマーを用いて、実施例1と同様
の硬化剤及び配合比でシート状成形物を作製しようとし
たが、樹脂状組成物のポットライフが数十秒と短く注型
できなかった。
比較例4 平均分子量1022のポリテトラメチレンアジペートポリ
オール(日本ポリウレタン社製、商品名:ニッポラン40
09)100重量部に、パラフェニレンジイソシアネートを3
3.6重量部加え、窒素気流下、85℃で1時間反応させて
末端イソシアネート基を持つウレタンプレポリマーを得
た。得られたプレポリマーのNCO含有量は、6.96%であ
った。
このウレタンプレポリマーを用いて、実施例1と同様
の硬化剤及び配合比でシート状成形物を作製しようとし
たが、樹脂状組成物のポットライフが数十秒と短く注型
できなかった。
比較例5 平均分子量2055のポリテトラメチレンアジペートポリ
オール(日本ポリウレタン社製、商品名:ニッポラン40
10)100重量部に、パラフェニレンジイソシアネートを1
6.4重量部加え、窒素気流下、85℃で2時間反応させて
末端イソシアネート基を持つウレタンプレポリマーを得
た。得られたプレポリマーのNCO含有量は3.91%であっ
た。
このウレタンプレポリマーを用いて、実施例1と同様
の硬化剤及び配合比でシート状成形物を作製しようとし
たが、ポットライフが約2分と短く注型できなかった。
比較例6 平均分子量2007のポリカーボネートポリオール(大日
本インキ化学工業社製、商品名:ハイドールODX−239
8)100重量部に、パラフェニレンジイソシアネートを1
6.7重量部加え、窒素気流下、85℃で2時間反応させて
末端イソシアネート基を持つウレタンプレポリマーを得
た。得られたプレポリマーのNCO含有量は3.92%であっ
た。また、このプレポリマーの粘度は非常に高いもので
あった。
次に、得られたプレポリマー100重量部に1,4−ブタン
ジオールを3.8重量部配合し、この組成物を110℃に加熱
したシート用金型に注入し、110℃で10時間加熱して硬
化させ、シート状成形物を得た。
このシート状成形物は、耐熱老化性試験の後に引張強
度が大きく低下している。
比較例7 平均分子量2055のポリテトラメチレンエーテルグリコ
ール(デュポン社製、商品名:テラタン2000)100重量
部に、パラフェニレンジイソシアネートを15.6重量部加
え,窒素気流下、85℃で2時間反応させて末端イソシア
ネート基を持つウレタンプレポリマーを得た。得られた
プレポリマーのNCO含有量は3.47%であった。
次に、得られたプレポリマー100重量部に2,2′,3,3′
−テトラクロロ−4、4′−ジアミノジフェニルメタン
を12.5重量部配合し、この組成物を用いて比較例6と同
様にしてシート状成形物を得た。
このシート状成形物は、耐熱老化性試験の後に各物性
が大きく低下しており、耐熱老化性に欠けることが明ら
かである。
比較例8 従来のポリウレタンエラストマーの製法の一例とし
て、ウレタンプレポリマーに汎用されているハイプレン
L−80(商品名)(三井東圧化学社製、トリレンジイソ
シアネートとポリテトラメチレンエーテルグリコールか
ら成り、イソシアネート基含有量が2.80%である)を、
硬化剤に3,3′−ジクロロ−4、4′−ジアミノジフェ
ニルメタンを用い、ウレタンプレポリマー100重量部に
対し硬化剤8.0重量部の配合比で両者を混合し、実施例
3と同様にして注型・硬化させてシート状成形物を得
た。
このシート状成形物の物性は、各実施例に比べて耐熱
老化性試験の後に大きく低下している。
また、実施例3と同様にして、歯付きベルト及び平ベ
ルトを得た。
比較例9 従来のポリウレタンエラストマーの製法の他の一例と
して、ウレタンプレポリマーに汎用されているサイアナ
プレンA−8(商品名)(武田薬品工業社製、トリレン
ジイソシアネートとポリエステル系ポリオールから成
り、イソシアネート基含有量が3.15%である)を、硬化
剤に3,3′−ジクロロ−4、4′−ジアミノジフェニル
メタンを用い、ウレタンプレポリマー100重量部に対し
硬化剤9.0重量部の配合比で両者を混合し、実施例1と
同様にしてシート状成形物を得た。このシート状成形物
の物性は、各実施例に比べて、耐熱老化性試験及び耐湿
熱性試験の後に大きく低下している。
また、実施例3と同様にして、歯付きベルト及び平ベ
ルトを得た。
ベルトの性能試験 次に、実施例3、比較例8、比較例9で製作した歯付
きベルト又は平ベルトで、以下のような試験を行った。
実施例3、比較例8、比較例9で得た平ベルトを用
い、高温環境下ての耐久性を以下の通り比較した(n=
3)。
高温下の連続屈曲走行試験前後の軸荷重測定 実施例3、比較例8、比較例9で得た平ベルトを5mmW
×253mmL×0.5mmTの大きさに形成し、高温下における連
続屈曲走行試験前後に軸荷重測定を行い、試験後の軸荷
重の保持率(保持率=屈曲走行試験後の軸荷重/屈曲走
行試験前の軸荷重)を算出した。
軸荷重測定は、次のような条件で行った。
小型軸荷重試験機を使用し、平ベルトをφ28mmの二個
のローラー間にε=10%の取付伸張率で張設し、1.1m/s
ecのベルト速度で、23℃、60%の環境下で、平ベルトを
30秒回転駆動させた後に行った。
この軸荷重測定は、以下の屈曲走行試験の前後に行っ
た。
屈曲走行試験はミニフロ走行試験機を使用し、次のよ
うにして行った。即ち、平ベルトを取付伸張率ε=10%
で、φ4mm及びφ49mmの二個のローラー間に張設し、60
℃の環境下において、4.49m/secのベルト速度で750時間
走行させることにより実施した。
結果を次頁の表に示す。
この表よりわかるように、実施例3の平ベルトは比較
例8及び9の平ベルトに較べ、高温走行試験の経過後の
軸荷重の値が、経過前よりあまり低下しておらず、高い
保持率を維持している。
このように軸荷重の低下が小さいと、このベルトの使
用時に張力の変動が少なくなり、スリップが起こりにく
く、且つ、張力の低下による張り直しの必要が減ってメ
ンテナンスが格段に楽となる。
従来のベルトは張力低下が大きいため、設計張力は低
下を見込んで過剰に張ってあり、ベルトの負担が大きく
耐久性も悪かった。
この従来のベルトに対し、この発明に係る実施例のベ
ルトは軸荷重の保持率が高く耐久性に優れる。
過負荷耐久性試験 実施例3、比較例8、比較例9で得た歯付きベルトを
それぞれ用い、ベルトサイズ100XL025、プーリ歯数P24/
P24、回転数6500rpm.、負荷0.368Kw、初張力1.5kgfの条
件で、60℃オーブン中で500時間の走行試験を行い、過
負荷耐久性を試験した。
実施例3の歯付きベルトは、この試験で使用した試験
機の試験可能時間の最大限度である500時間を、異常無
く走行した。
これに対して、比較例8の歯付きベルトは150時間で
歯摩耗及びベルト切断が生じ、比較例9の歯付きベルト
は140時間で歯摩耗及びベルト切断が生じた。
即ち、この発明に係る実施例の歯付きベルトは、従来
の歯付きベルトに比べ、高温雰囲気下における走行条件
であっても、ベルト・ライフを大きく向上させることが
できた。
この発明に係る実施例のポリウレタンエラストマー
は、表2より明らかなように、耐熱老化性試験の前後で
硬さ及び引張強度はほとんど変化していないと共に、10
0%、300%の両モジュラス及び伸びについても大きな劣
化は見られず、しかも、表3から明らかなように、耐湿
熱性試験の前後において、いずれの物性について大きな
劣化は見られない。
また、この発明に係る実施例のポリウレタンエラスト
マーは、生成するプレポリマーの粘度が適当であり、か
つプレポリマーに硬化剤を添加して得られる樹脂状組成
物が成形に適したポットライフを持つため、成形性にも
優れている。
さらにこの発明の方法に係る実施例のポリウレタンエ
ラストマーから成るベルトは、優れた耐熱老化性、耐久
性を有し、歯付きベルト、平ベルト、Vベルト等の伝動
用ないし搬送用ベルト等の各種ベルトに公的に使用する
ことができる。
〔発明の効果〕
この発明の方法により製造されたポリウレタンエラス
トマーは、エラストマーとしての優れた物性及び耐久性
・耐熱性が、伝導用ないし搬送用ベルト、さらには各種
成形体等、あらゆる用途に非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の成形金型の断面図、第2図
は歯付きベルト製造用の金型の要部断面図、第3図は歯
付きベルトの一部切欠斜視図、第4図は歯付きベルトの
一部切欠側面図、第5図は第4図のV−V線断面図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−168617(JP,A) 特開 昭61−275324(JP,A) 特開 昭51−106197(JP,A) 特開 昭59−108022(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パラフェニレンジイソシアネートと、平均
    分子量が900〜3000で且つ分子量分布がMwを重量平均分
    子量、Mnを数平均分子量としたときに、Mw/Mn=1.4〜2.
    1であるポリカプロラクトンポリオールとを反応せしめ
    て末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを生成
    させ、このプレポリマーに1,4−ブタンジオール及びト
    リメチロールプロパンから成る硬化剤を加えて硬化させ
    ることを特徴とするポリウレタンエラストマーの製造方
    法。
  2. 【請求項2】前記ポリカプロラクトンポリオールの平均
    分子量が2000である請求項1記載のポリウレタンエラス
    トマーの製造方法。
  3. 【請求項3】前記パラフェニレンジイソシアネートとポ
    リカプロラクトンポリオールが、OH基とNCO基のモル比
    が、NCO/OH=1.4〜2.5となるように配合されている請求
    項1又は2記載のポリウレタンエラストマーの製造方
    法。
  4. 【請求項4】前記1,4−ブタンジオールとトリメチロー
    ルプロパンが、OH基とNCO基のモル比が、OH/NCO=0.8〜
    1.0となるように配合されている請求項1乃至3のいず
    れかに記載のポリウレタンエラストマーの製造方法。
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