JP2761144B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2761144B2
JP2761144B2 JP11191192A JP11191192A JP2761144B2 JP 2761144 B2 JP2761144 B2 JP 2761144B2 JP 11191192 A JP11191192 A JP 11191192A JP 11191192 A JP11191192 A JP 11191192A JP 2761144 B2 JP2761144 B2 JP 2761144B2
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電式複写機やレーザ
ービームプリンタ等の、電子写真法を利用した画像形成
装置に利用される電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来技術】カールソンプロセス等の電子写真法は、コ
ロナ放電により、電子写真感光体の表面を均一に帯電さ
せる工程と、帯電した電子写真感光体の表面を露光し
て、当該表面に静電潜像を形成する露光工程と、形成さ
れた静電潜像に現像剤を接触させて、この現像剤に含ま
れるトナーにより、静電潜像をトナー像に顕像化する現
像工程と、トナー像を紙等に転写する転写工程と、転写
されたトナー像を定着させる定着工程と、転写工程後、
感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング工程
とを含んでいる。
【0003】近時、上記電子写真法に使用される電子写
真感光体には、毒性があるために取扱いが困難なセレ
ン、硫化カドミウム等の無機光導電体を主成分とするも
のに代わって、毒性の少ない有機光導電性化合物を使用
した、いわゆる有機感光体が種々提案されている。かか
る有機感光体は、加工性がよく、製造が容易であると共
に、機能設計が自由度が大きいという利点がある。
【0004】このような有機感光体には、一般に、光照
射により電荷を発生させる電荷発生材料と、発生した電
荷を輸送する電荷輸送材料とを含む機能分離型の感光層
が多く使用されている。上記電子写真感光体に使用され
る電荷発生材料として、特開平1−202757号公報
には特定のビスアゾ顔料が開示されている。このビスア
ゾ顔料は、下記の一般式(1) で表される。
【0005】
【化6】
【0006】(式中、A1 およびA2 は同一または異な
ってカップラー残基を示し、R1 は水素原子、アルキル
基、アリール基または複素環式基を示し、アルキル基、
アリール基および複素環式基は置換基を有していてもよ
い。nは0または1を示す。)かかるビスアゾ顔料(1)
は、熱および光に対して安定で、高い電荷発生効率を有
し高感度で繰り返し特性にもすぐれているという利点を
有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電荷発生材
料および電荷輸送材料を用いた機能分離型の有機感光体
を作成するためには、感度、電位保持性、電位安定性、
残留電位等の電子写真特性をすべて満足させるマッチン
グのよい材料を選択しなければならない。例えば、いく
ら電荷発生材料が充分な電荷を発生したとしても、その
電荷を効率よく注入し、搬送することが可能な電荷輸送
材料と組み合わせないと、満足のいく電子写真特性を得
ることが出来ない。
【0008】前記特開平1−202757号公報によれ
ば、一般式(1) で表されるビスアゾ顔料を種々の電荷輸
送材料(キャリャ−移動物質)と組み合わせて使用する
ことにより、熱および光に対して安定な感光体が得られ
る旨が開示されている。しかし、前記公報に開示されて
いる電荷発生材料は、通常使用される電荷発生材料であ
るフタロシアニン系、ペリレン系の顔料、フルオレン型
ビスアゾ顔料(特開昭57−96345号公報)、ペリ
ノン骨格を持ったカップラーを有するオキサジアゾール
型アゾ顔料(特開昭59−229564号公報)等と比
較して、複写機内で発生するオゾンや窒素酸化物NOx
、光等により酸化劣化しやすく、感光体特性の低下を
引き起こしやすいという欠点がある。かかるビスアゾ顔
料(1) の酸化劣化は、オゾン等がアゾ基に吸着してアゾ
基を分解するために生じると推測される。
【0009】このような酸化劣化は、上記ビスアゾ顔料
(1) を、電子供与性化合物である電荷輸送材料と組み合
わせて使用したときに促進される。これは、電子供与性
化合物の塩基性が強い場合、電子供与性化合物がアゾ基
に配位し、アゾ基の電子密度を増加させるため、オゾン
や窒素酸化物の攻撃を受けやすくなるためと考えられ
る。
【0010】また、電荷発生材料と電荷輸送材料とのマ
ッチングがよくても、これらの材料を結合して感光層を
構成する結着樹脂の物性に問題があると、総合的に電子
写真特性にすぐれた感光体は得られない。例えば感光層
の強度が十分でない場合や感光層の下地への接着性が十
分でない場合には、画像形成装置内において感光体表面
に圧接されたクリーニングブレード、トナー飛散防止用
のフェルト、帯電ローラ、転写ローラ等の部材や、画像
形成時に感光体表面に接触する紙等からの物理的な衝撃
により、表面に傷が付いたり感光層が剥離したりしやす
いため、いくら感度がよくても欠陥のない良好な画像が
得られず、またいくら繰り返し特性がよくても十分な耐
久性が得られないのである。
【0011】結着樹脂としては、前記特開平1−202
757号公報に開示された、ポリスチレン、(メタ)ア
クリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリエステル、
ブチラール樹脂、エポキシ樹脂等の各種高分子が一般に
使用される。特開昭57−4051号公報には、上記高
分子のうちポリカーボネートが、フィルム形成能にすぐ
れる上、耐擦傷性にすぐれた強靱な感光層を形成できる
ことが開示されている。しかしポリカーボネートは導電
性基体や下地層等との接着性が十分でないので、接着性
を向上すべく、層形成に先立って何等かの前処理が必要
となり、生産性やコストの点で問題となる。特開昭61
−132954号公報、特開平2−236555号公報
には、主鎖中にケイ素を導入したポリカーボネートの誘
導体を結着樹脂として使用することが開示されている
が、これらの誘導体も、通常のポリカーボネートと同様
に接着性が十分でない。
【0012】上記ポリカーボネートの欠点を解消し、感
光層の接着性を向上すべく、特開昭59−71057号
公報にはポリエステルカーボネートをブレンドすること
が開示されており、特開昭62−212660号公報に
はポリエステルまたはポリアリレートをブレンドするこ
とが開示されている。しかしこれらの高分子は主鎖が硬
直で、接着性に寄与するエステル結合部が導電性基体等
の下地に十分に作用しないので、接着性を向上するには
多量に添加する必要があり、分子中の極性基(電子吸引
性基)がキャリャ−トラップとなって感光体の感度を低
下させたり、あるいは高電界下において電荷発生材料、
電荷輸送材料の光酸化劣化を促進したりするという問題
がある。
【0013】とくに前記ビスアゾ顔料(1) は、従来のフ
タロシアニン系、ペリレン系の顔料のように平面性を持
たない分子であって溶媒に対する溶解性が高く、感光層
中において1分子ずつ分子分散している部数が比較的的
多いため、多数の分子からなる微粒子として感光層中に
分散している従来の顔料に比べて光酸化劣化を受けやす
い。このため、ポリエステルカーボネート等を多量にブ
レンドすることはできず、感光層の接着性を十分に向上
できない。
【0014】したがって、前記ビスアゾ顔料(1) が有す
るすぐれた特性を損なわずに、高い感度と繰り返し特性
を有する感光体を得ることができなかった。本発明は上
記のような事情に鑑みてなされたものであり、前記一般
式(1) で表されるビスアゾ顔料を電荷発生材料として用
い、高感度で耐久性にすぐれた高性能な電子写真感光体
を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、上記ビスアゾ顔料と組み合わせて使用する電荷輸送
材料ならびに結着樹脂について鋭意研究を重ねた結果、
導電性基体上に、電荷発生材料として前記一般式(1) で
表されるビスアゾ顔料を、電荷輸送材料として一般式
(2) :
【0016】
【化7】
【0017】(式中、R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6
よびR7 は同一または異なってアルキル基、アルコキシ
ル基、ハロゲン原子、アリール基、ニトロ基、シアノ基
またはアルキルアミノ基を示す。p,qは0〜3の整数
を示す。k,l,mおよびoは0〜2の整数を示す。)
で表されるジアミン系化合物を、結着樹脂としてポリカ
ーボネートおよび一般式(3) :
【0018】
【化8】
【0019】(式中A3 およびA4 は何れか一方が、主
鎖中に少なくとも芳香族環を含む2価の基を示し、他方
が、主鎖中に芳香族環を含まない2価の基を示す。)で
表される繰り返し単位を有するポリエステルをそれぞれ
含有する感光層を設けた電子写真感光体が、上記ビスア
ゾ顔料(1) の有するすぐれた利点を損なわずに、高感度
で高い繰り返し特性を発揮しうるという新たな事実を見
出し、本発明を完成するに到った。
【0020】すなわち、本発明においては、上記特定の
電荷発生材料と電荷輸送材料と結着樹脂とを組み合わせ
ることにより、オゾンや窒素酸化物、さらに光による酸
化劣化に対して安定で、しかも導電性基体等の下地に対
する接着性にすぐれかつ強靱な感光層を形成できるた
め、感度および繰り返し特性(耐久性)を従来の電子写
真感光体に比べて著しく向上させることができる。本発
明における上記電荷発生材料と電荷輸送材料と結着樹脂
との組合せによる作用は必ずしも明らかではないが、オ
ゾンや窒素酸化物等によって引き起こされる酸化劣化の
抑制作用については、以下のように考えられる。
【0021】すなわち、電荷輸送材料として使用する前
記ジアミン系化合物(2) は電子の非局在化が進んでお
り、かつ窒素原子をフェニル基が取り囲んだ立体的な障
害のため、ビスアゾ顔料(1) のアゾ基への配位が阻害さ
れており、そのためアゾ基の電子密度を増加させること
がないので、前記ポリエステル(3) の酸(アクセプタ
ー)基やオゾン等の攻撃を受けにくくなる。また後述の
ように、ポリエステル(3)の添加量を従来のものより少
なくできることも、ビスアゾ顔料(1) のアゾ基の光酸化
劣化の抑制に寄与していると考えられる。
【0022】加えて、上記ビスアゾ顔料(1) は高い電荷
発生効率を有し高感度であることと、上記ジアミン系化
合物(2) がイオン化ポテンシャルにおいてビスアゾ顔料
(1)と良い関係にあり、しかも耐光性、耐久性にすぐれ
移動度の電界強度異存性も少ないことから、これらの諸
特性が減じられることなく、最適な組み合わせとなって
電子写真感光体の高性能化となって発現したものと考え
られる。
【0023】また前記ポリエステル(3) は、従来のもの
に比べて主鎖が柔軟で、接着性に寄与するエステル結合
部が下地に十分に作用するので、少量の添加で感光層の
接着性を十分に向上できる。このため、感光体の感度を
低下させたり、ビスアゾ顔料(1) のアゾ基の光酸化劣化
を促進したりすることなしに、強靱な物性を有するポリ
カーボネート製の感光層の接着性を向上させることがで
きる。
【0024】なおビスアゾ顔料(1) とジアミン系化合物
(2) とがイオン化ポテンシャルにおいて良い関係にある
とは、両者のイオン化ポテンシャルが近似(ビスアゾ顔
料(1) のイオン化ポテンシャルは5.7〜5.9eV程
度、ジアミン系化合物(2) のイオン化ポテンシャルは
5.4〜5.7eV程度)しており、露光時にビスアゾ
顔料(1) からジアミン系化合物(2) への電荷の注入が、
障壁がなく容易に行われることを指し、イオン化ポテン
シャルの差がおよそ0.3eV以内となるビスアゾ顔料
(1) とジアミン系化合物(2) とを組み合わせれば、繰り
返し特性等が向上する。これに対し、電荷発生材料と電
荷輸送材料とが良い関係にない場合とは、イオン化ポテ
ンシャルの差が大きすぎることを言う。たとえば電荷発
生材料のイオン化ポテンシャルが電荷輸送材料のイオン
化ポテンシャルに比べてかなり大きい場合には、帯電時
(暗時)に電荷発生材料から電荷輸送材料へ電荷が注入
されやすくなるため、帯電能の低下が生じる。逆に電荷
輸送材料のイオン化ポテンシャルが電荷発生材料のイオ
ン化ポテンシャルに比べてかなり大きい場合には、とく
に低電界での電荷の注入が困難になり、残留電位が大き
くなる。
【0025】これらの事実は後述する実施例と比較例と
の対比から明らかにされる。
【0026】
【好適態様】前記一般式(1) で表されるビスアゾ顔料に
おいて、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチ
ル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭
素数1〜6のアルキル基があげられる。アリール基とし
ては、例えばフェニル基、o−ターフェニル基、ナフチ
ル基、アントリル基、フェナントリル基等があげられ
る。複素環式基としては、例えばチエニル基、ピロリル
基、ピロリジニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリ
ル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル
基、2H−イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリ
ル基、テトラゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピベ
リジル基、ピペリジノ基、3−モルホリニル基、モルホ
リノ基、チアゾリル基などがあげられる。また、芳香族
環と縮合した複素環式基であってもよい。
【0027】上記基に置換してもよい置換基としては、
例えばハロゲン原子、アミノ基、水酸基、エステル化さ
れてもよいカルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜6の
アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アリール基
を有することのある炭素数2〜6のアルケニル基等が挙
げられる。A1 、A2 で表されるカップラー残基として
は、例えば一般式(a) 〜(g) に示す基が挙げられる。
【0028】
【化9】
【0029】各式中、R30は、カルバモイル基、スルフ
ァモイル基、アロファノイル基、オキサモイル基、アン
トラニロイル基、カルバゾイル基、グリシル基、ヒダン
トイル基、フタルアモイル基、および、スクシンアモイ
ル基を表す。これらの基は、ハロゲン原子、置換基を有
してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル
基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、
カルボニル基、カルボキシル基等の置換基を有していて
もよい。
【0030】R31は、上記R30および水酸基を有するベ
ンゼン環と縮合して芳香族環、多環式炭化水素または複
素環を形成するのに必要な原子団を表し、これらの環は
前記と同様な置換基を有してもよい。R32は、酸素原
子、硫黄原子、または、イミノ基を表す。R33は、2価
の鎖式炭化水素または芳香族炭化水素を表し、これらの
基は前記と同様な置換基を有してもよい。
【0031】R34は、アルキル基、アラルキル基、アリ
ール基、または、複素環基を表し、これらの基は前記と
同様な置換基を有してもよい。R35は、2価の鎖式炭化
水素、芳香族炭化水素、または、上記一般式(e)(f)中
の、下記式(h):
【0032】
【化10】
【0033】で表される部分とともに複素環を形成する
のに必要な原子団を表し、これらの環は前記と同様な置
換基を有してもよい。R36は、水素原子、アルキル基、
アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アロフ
ァノイル基、カルボキシル基、カルボキシル基のエステ
ル、アリール基、または、シアノ基を表し、水素原子以
外の基は前記と同様な置換基を有していてもよい。
【0034】R37は、アルキル基またはアリール基を表
し、これらの基は前記と同様な置換基を有してもよい。
前記R31において、R30および水酸基を有するベンゼン
環と縮合して芳香族環を形成するのに必要な原子団とし
ては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、
ブチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
【0035】上記R31と、R30および水酸基を有するベ
ンゼン環との縮合により形成される芳香族環としては、
例えばナフタリン環、アントラセン環、フェナントレン
環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環等が挙げられ
る。前記R31において、R30および水酸基を有するベン
ゼン環と縮合して多環式炭化水素を形成するのに必要な
原子団としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロ
ピレン基、ブチレン基等の、炭素数1〜4のアルキレン
基があげられる。
【0036】前記R31において、R30および水酸基を有
するベンゼン環と縮合して多環式炭化水素としては、例
えばカルバゾール環、ベンゾカルバゾール環、ジベンゾ
フラン環等が挙げられる。また、R31において、R30
よび水酸基を有するベンゼン環と縮合して複素環を形成
するのに必要な原子団としては、例えばベンゾフラニル
基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、1H−イン
ドリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル
基、1H−インダドリル基、ベンゾイミダゾリル基、ク
ロメニル基、クロマニル基、イソクロマニル基、キノリ
ニル基、イソキノリニル基、シンノリニル基、フタラジ
ニル基、キナゾニリル基、キノキサリニル基、ジベンゾ
フラニル基、カルバゾリル基、キサンテニル基、アクリ
ジニル基、フェナントリジニル基、フェナジニル基、フ
ェノキサジニル基、チアントレニル基等があげられる。
【0037】上記R31と、R30および水酸基を有するベ
ンゼン環との縮合により形成される芳香族性複素環基と
しては、例えばチエニル基、フリル基、ピロリル基、オ
キサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イ
ソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリ
アゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、チアゾリル
基があげられる。また、さらに他の芳香族環と縮合した
複素環基(例えばベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリ
ル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キ
ノリル基など)であってもよい。
【0038】前記R33,R35において、2価の鎖式炭化
水素としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチ
レン基等が挙げられ、2価の芳香族炭化水素としては、
例えばフェニレン基、ナフチレン基、フェナントリレン
基等があげられる。前記R34において、複素環基として
は、例えばピリジル基、ピラジル基、チエニル基、ピラ
ニル基、インドリル基等が挙げられる。
【0039】前記R35において、前記式(h) で表される
部分とともに複素環を形成するのに必要な原子団として
は、例えばフェニレン基、ナフチレン基、フェナントリ
レン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等があ
げられる。上記R35と、前記式(h) で表される部分とに
より形成される芳香族性複素環基としては、例えばベン
ゾイミダゾール基、ベンゾ〔f〕ベンゾイミダゾール
基、ジベンゾ〔e,g〕ベンゾイミダゾール基、ベンゾ
ピリミジン基等があげられる。これらの基は前記と同様
な置換基を有してもよい。
【0040】前記R36において、カルボキシル基のエス
テルとしては、例えばメチルエステル、エチルエステ
ル、プロピルエステル、ブチルエステル等があげられ
る。上記一般式(a) 〜(g) で表されるカップラー残基A
1 ,A2 の具体例としては、例えば以下のような基が挙
げられる。
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】
【化13】
【0044】
【化14】
【0045】上記ビスアゾ系化合物(1) の具体例として
は、例えば下記式(B1)〜(B11) に示す化合物があげられ
る。
【0046】
【化15】
【0047】
【化16】
【0048】
【化17】
【0049】前記一般式(2) で表されるジアミン系化合
物において、式中のR2 〜R7 に相当するアルキル基お
よびアリール基としては、例えば前記一般式(1) で示し
た基と同様のものが挙げられる。ハロゲン原子として
は、例えば塩素、ヨウ素、臭素、フッ素が挙げられる。
アルコキシル基としては、例えばメトキシ基、エトキシ
基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、
ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0050】アルキルアミノ基としては、例えばメチル
アミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ
基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチル
アミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基などが
あげられる。前記一般式(2) で表されるジアミン系化合
物の具体的化合物としては、例えば下記式(A1)〜(A13)
に示す化合物があげられる。
【0051】
【化18】
【0052】
【化19】
【0053】
【化20】
【0054】
【化21】
【0055】
【化22】
【0056】前記ジアミン系化合物(2) は、種々の方法
で合成することが可能であり、例えば、下記一般式(40)
で表される化合物と一般式(41)〜(44)で表される化合物
とを同時または順次反応させることにより製造すること
ができる。
【0057】
【化23】
【0058】(式中、R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6
7 ,k,l,m,o,p,およびqは前記に同じ。X
はハロゲン原子を示す。) 上記一般式(40)で表される化合物と一般式(41)〜(44)で
表される化合物との反応は、通常有機溶媒中で行われ、
溶媒としてはこの反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれ
ばいずれの溶媒も使用でき、例えば、ニトロベンゼン、
ジクロロベンゼン、キノリン、N,N−ジメチルホルム
アミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド
などの有機溶媒が例示される。反応は、通常、銅粉、酸
化銅、ハロゲン化銅などの触媒、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの塩基性物質の存
在下、150〜250℃の温度で行われる。
【0059】また、対称構造を有する一般式(2) で表さ
れる化合物は、置換基R2 ,R3 ,R4 およびR5 の置
換位置などが制御されており、例えば下記一般式(45)で
表される化合物と一般式(41)(43)で表される化合物との
反応により下記一般式(46)で表される化合物を得、次い
で一般式(46)で表される化合物を加水分解して脱アシル
化し、下記一般式(47)で表される化合物を得た後、さら
に一般式(42)(44)で表される化合物と反応させることに
より製造することができる。
【0060】
【化24】
【0061】(式中、R8 およびR9 はアルキル基を示
し、R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 ,R7 ,k,l,
m,o,p,およびqは前記に同じ。) 上記一般式(45)で表される化合物と一般式(41)(43)で表
される化合物との反応は、前記一般式(40)で表される化
合物と一般式(41)(42)(43)(44)で表される化合物との反
応と同様にして行うことができる。一般式(46)で表され
る化合物の加水分解による脱アシル化反応は、塩基性触
媒の存在下、常法により行うことができる。また、上記
一般式(47)で表される化合物と一般式(42)(44)で表され
る化合物との反応は、前記一般式(40)で表される化合物
と一般式(41)(42)(43)(44)で表される化合物との反応と
同様に行うことができる。
【0062】反応終了後、反応混合物を濃縮し、再結
晶、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー等の慣用の手
段で容易に分離精製することができる。前記一般式(3)
で表されるポリエステルは、前述のように式中のA3
4 の何れか一方が主鎖中に芳香族環を含み、他方が主
鎖中に芳香族環を含まないものである必要がある。式中
のA3 ,A4 が共に芳香族環を含む場合、主鎖が硬直と
なって、カルボニル基による接着性向上の効果が薄れて
しまう。一方、A3 ,A 4 が共に芳香族環を含まない場
合、ポリカーボネートとの相溶性がなく、均質な感光層
が得られない。
【0063】なお、主鎖中に芳香族環を含まない2価の
基が脂肪族基を含む場合、当該脂肪族基は主鎖に二重結
合または三重結合を含まない飽和脂肪族基であるのが好
ましい。脂肪族基が主鎖に二重結合または三重結合を含
む場合には、主鎖の硬直性が多少上昇すめため、カルボ
ニル基による接着性向上の効果が薄れてしまうおそれが
ある。
【0064】一般式(3) の主鎖末端には−OH基もしく
は−COOH基が付くが、そのうち−COOH基の量を
示す酸価が2(KOHmg/g)以下であるのが好まし
い。酸価が2を大幅に超えると、感光層の導電性基体等
への接着性は向上するが、電子供与性化合物であるジア
ミン系化合物(2) とコンプレックスを形成して感光層の
抵抗値が下がり、帯電能の低下を生じるおそれがある。
また、−COOH基がカチオンラジカルのイオントラッ
プとなって電荷輸送を妨げ、感度低下を生じるおそれも
ある。
【0065】上記ポリエステル(3) は、特に限定されな
いが、数平均分子量が10000〜50000である
か、もしくはガラス転移温度Tgが15℃以上であるの
が好ましい。数平均分子量が10000未満ではガラス
転移温度Tgの低下を生じ、ガラス転移温度Tgが15
℃未満になって、感光層の膜強度が低下するおそれがあ
る。また、数平均分子量が50000を大きく上回る
と、分子末端の−OH基、−COOH基が少なくなり、
接着性の低下を生じる。
【0066】上記ポリエステル(3) は、一般式(3a)で表
される酸成分と、一般式(3b)で表されるジオール成分と
を反応させることで得られる。
【0067】
【化25】
【0068】上記酸成分としては、例えば下記式(50)〜
(54)で表される化合物があげられる。
【0069】
【化26】
【0070】また、ジオール成分としては、例えは下記
式(55)〜(61)で表される化合物があげられる。
【0071】
【化27】
【0072】これら酸成分、ジオール成分は、前記一般
式(3) 中のA3 ,A4 の何れか一方が主鎖中に芳香族環
を含み、他方が主鎖中に芳香族環を含まないものとなる
よう、適宜組み合わせて使用される。また、酸成分、ジ
オール成分はそれぞれ、上記各式で表されるものを2種
以上混合して使用することもできる。ポリエステル(3)
の原料である酸成分、ジオール成分のうち、主鎖中に芳
香族環を含むものの割合は、特に限定されないが40〜
80モル%程度がよい。
【0073】上記ポリエステル(3) の具体的化合物とし
ては、例えば下記表1中に示す(J1)〜(J5)の化合物があ
げられる。
【0074】
【表1】
【0075】なお、上記表中、酸成分の欄の(53)u=2 は
前記式(53)中のuが2であるコハク酸、(53)u=4 はuが
4であるアジピン酸、(53)u=7 はuが7であるアゼライ
ン酸を示す。またジオール成分の欄の(55)v=2 は前記式
(55)中のvが2であるエチレングリコールを示す。結着
樹脂としてのポリカーボネートとポリエステル(3) のう
ち、ポリエステル(3) の含有割合は、0.5〜50重量
%であるのが好ましい。ポリエステル(3)の含有割合が
0.5重量%未満では、感光層の接着性を十分に向上で
きないおそれがあり、含有割合が50重量%を大幅に上
回るときは、前記のように、ポリエステル分子中の極性
基がキャリャ−トラップとなって感光体の感度を低下さ
せたり、あるいは高電界下において電荷発生材料、電荷
輸送材料の光酸化劣化を促進したりするおそれがある。
また、ポリカーボネートの含有割合が少なくなる分、強
度が低下して、耐擦傷性にすぐれた強靱な感光層が得ら
れなくなるおそれもある。
【0076】ポリエステル(3) とともに結着樹脂に使用
されるポリカーボネートとしては、従来公知の種々のも
のが使用できるが、とくに下記一般式(4)(5)および(6)
【0077】
【化28】
【0078】(式中R38および 39 は同一または異なっ
て水素原子、脂肪族基または芳香族基を示し、脂肪族基
および芳香族基は置換基を有していてもよい。またR38
およびR39は互いに結合して環を形成してもよい。
40,R41,R42,R43,R44,R45,R46およびR47
は同一または異なって水素原子、ハロゲン原子、脂肪族
基または芳香族基を示し、脂肪族基および芳香族基は置
換基を有していてもよい。R48およびR49は水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基およびアリール基を示し、ア
ルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよ
い。sおよびtは
【0079】
【数2】
【0080】の数を示す。)の何れかで表される繰り返
し単位を有する化合物のうち少なくとも1種が好適に使
用される。上記各式中の脂肪族基としては、前記と同様
なアルキル基やアルコキシル基があげられ、芳香族基と
しては前記と同様なアリール基や、ベンジル基等のアラ
ルキル基があげられる。これらの基は前記と同様な置換
基を有していてもよい。
【0081】上記一般式(4) で表されるポリカーボネー
トの具体的化合物としては、例えば下記(K1)〜(K3)の繰
り返し単位を有する化合物があげられる。
【0082】
【化29】
【0083】また、一般式(5) で表されるポリカーボネ
ートの具体的化合物としては、例えば下記(K4)の繰り返
し単位を有する化合物があげられる。
【0084】
【化30】
【0085】(上記式中sおよびtは
【0086】
【数3】
【0087】である。) さらに、一般式(6) で表されるポリカーボネートの具体
的化合物としては、例えば下記(K5)〜(K7)の繰り返し単
位を有する化合物があげられる。
【0088】
【化31】
【0089】本発明の感光体は、感光層として単層型お
よび積層型の何れにも適応可能である。但し、電荷発生
材料と電荷輸送材料と結着樹脂との組み合わせによる効
果は、特に各材料が同一の層内に含有された単層型感光
層においてより顕著に顕れるので、本発明は、単層型感
光層を備えた電子写真感光体に適用するのがより好まし
いといえる。
【0090】単層型の感光体を得るには、電荷発生材料
である前記ビスアゾ顔料(1) と、電荷輸送材料である前
記ジアミン系化合物(2) と、結着樹脂であるポリカーボ
ネートおよびポリエステル(3) 等とを含有する感光層を
塗布等の手段により導電性基体上に形成すればよい。ま
た、積層型の感光体を得るには、導電性基体上に、蒸着
または塗布等の手段により前記ビスアゾ顔料(1) と結着
樹脂とを含有する電荷発生層を形成し、この電荷発生層
上に、前記ジアミン系化合物(2) と結着樹脂とを含有す
る電荷輸送層を形成すればよい。また、上記とは逆に、
導電性基体上に電荷輸送層を形成し、次いで電荷発生層
を形成してもよい。積層型の場合、上下両層の結着樹脂
をともにポリカーボネートとポリエステル(3) で構成す
るのが、強靱でかつ接着性に優れた感光層を形成する上
でより好ましいが、何れか一方の層をポリカーボネート
とポリエステル(3) で構成するだけでもよい。
【0091】なお、電荷発生材料としては、前記ビスア
ゾ顔料(1) の他に、所望の領域に吸収波長域を有するよ
うに電子写真感光体の感度領域を拡げる等の目的の為、
さらに、従来公知の他の電荷発生材料を併用することも
できる。他の電荷発生材料としては、セレン、セレン−
テルル、セレン−ヒ素、アモルファスシリコン、ピリリ
ウム塩、前記一般式(1) で表されるもの以外のアゾ系顔
料、ペリレン系顔料、アンサンスロン系顔料、フタロシ
アニン系顔料、インジゴ系顔料、トリフェニルメタン系
顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系
顔料、キナクリドン系顔料、ジチオケトピロロピロール
系顔料等が挙げられる。
【0092】電荷輸送材料である前記ジアミン系化合物
(2) は、単独で使用する他、従来公知の他の電荷輸送材
料と組み合わせて使用することができる。従来公知の電
荷輸送材料としては、種々の電子吸引性化合物、電子供
与性化合物を用いることができる。電子吸引性化合物と
しては、例えば2,6−ジメチル−2, ,6, −ジte
rt−ジブチルジフェノキノン等のジフェノキノン誘導
体、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシア
ノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、
3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等の
フルオレノン系化合物、ジニトロベンゼン、ジニトロア
ントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノ
ン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレ
イン酸、ジブロモ無水マレイン酸等が例示される。
【0093】また、電子供与性化合物としては、2,5
−ジ(4−メチルアミノフェニル)、1,3,4−オキ
サジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4
−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル
系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系
化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン
系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系
化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化
合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、
イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾ
ール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物
が例示されている。
【0094】これらの電荷輸送材料は、1種または2種
以上混合して用いられる。なお、ポリビニルカルバゾー
ル等の成膜性を有する電荷輸送材料を用いる場合には、
積層型の場合、電荷輸送層の結着樹脂は必ずしも必要で
ない。結着樹脂としては、前記ポリカーボネートおよび
ポリエステル(3) の他に、感光層の強度や接着性を阻害
しない範囲で、種々の樹脂を併用することができる。例
えばスチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合
体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−
マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−ア
クリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩
素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、ポリエステルアルキド樹脂、ポリアミ
ド、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリスルホン、ジ
アリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラ
ール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリ
コーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、さら
にエポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の
光硬化性樹脂等があげられる。これらの結着樹脂は1種
または2種以上を混合して用いることができる。
【0095】単層型および積層型の各有機感光層には、
増感剤、フルオレン系化合物、酸化防止剤、紫外線吸収
剤等の劣化防止剤、可塑剤等の添加剤を含有させること
ができる。また、電荷発生層の感度を向上させるため
に、例えばターフェニル、ハロナフトキノン類、アセナ
フチレン等の公知の増感剤を電荷発生材料と併用しても
よい。
【0096】積層感光体において、電荷発生層を構成す
る電荷発生材料と結着樹脂とは、種々の割合で使用する
ことができるが、結着樹脂100重量部に対して、電荷
発生材料5〜1000重量部、特に30〜500重量部
の割合で用いるのが好ましい。電荷輸送層を構成する電
荷輸送材料と前記結着樹脂とは、電荷の輸送を阻害しな
い範囲および結晶化しない範囲で、種々の割合で使用す
ることができるが、光照射により電荷発生層で生じた電
荷が容易に輸送できるように、結着樹脂100重量部に
対して、電荷輸送材料10〜500重量部、特に25〜
200重量部の割合で用いるのが好ましい。
【0097】また、積層型の感光層の厚さは、電荷発生
層が0.01〜5μm程度、特に0.1〜3μm程度に
形成されるのが好ましく、電荷輸送層が2〜100μ
m、特に5〜50μm程度に形成されるのが好ましい。
単層型の感光体においては、結着樹脂100重量部に対
して電荷発生材料は0.1〜50重量部、特に0.5〜
30重量部、電荷輸送材料は20〜500重量部、特に
30〜200重量部であるのが適当である。また、単層
型の感光層の厚さは5〜100μm、特に10〜50μ
m程度に形成されるのが好ましい。
【0098】単層型感光体にあっては、導電性基体と感
光層との間に、また、積層型感光体にあっては、導電性
基体と電荷発生層との間や、導電性基体と電荷輸送層と
の間、または電荷発生層と電荷輸送層との間に、感光体
の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていても
よく、感光体の表面には、保護層が形成されていてもよ
い。
【0099】上記各層が形成される導電性基体として
は、導電性を有する種々の材料を使用することができ、
例えばアルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウ
ム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケ
ル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の
金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプ
ラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化
インジウム等で被覆されたガラス等が例示される。
【0100】導電性基体はシート状、ドラム状等の何れ
であってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるい
は基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電
性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するも
のが好ましい。上記各層を、塗布の方法により形成する
場合には、前記例示の電荷発生材料、電荷輸送材料、結
着樹脂等を、適当な溶剤とともに、公知の方法、例え
ば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシ
ェーカーあるいは超音波分散器等を用いて分散混合して
塗布液を調整し、これを公知の手段により塗布、乾燥す
ればよい。
【0101】塗布液をつくるための溶剤としては、種々
の有機溶剤が使用可能で、例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、
n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、等の脂肪族
系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭
素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチル
エーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エ
チレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチ
ルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸
エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムア
ルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド等があげられる。これらの溶剤は1種又は2種以上を
混合して用いることができる。
【0102】さらに、電荷輸送材料や電荷発生材料の分
散性、感光層表面の平滑性をよくするために界面活性
剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0103】
【実施例】以下、実施例および比較例をあげて本発明を
詳細に説明する。実施例1〜11、比較例1〜6(単層型感光体) 下記の各成分をペイントシェーカーにて2時間分散した
後、結着樹脂としてポリカーボネートおよびポリエステ
ル合計10重量部を40重量部のジクロルメタンに溶解
したものを加えてさらに1時間分散して、単層型感光層
用の塗布液を作成した。そしてこの塗布液を、アルミニ
ウムシリンダーの表面に浸漬塗工法によって塗工し、1
00℃で30分間乾燥し、膜厚25μmの単層型感光層
を形成して、正帯電型の単層型電子写真感光体を得た。
使用したビスアゾ顔料、ジアミン系化合物、ポリカーボ
ネートおよびポリエステルの具体的化合物は、表2中
に、前記した各具体例の化合物番号を用いて示した。
【0104】 (成分) (重量部) ビスアゾ顔料(電荷発生材料) 2 ジアミン系化合物(電荷輸送材料) 8 ジフェノキノン誘導体 2 ジクロルメタン 70 なおジフェノキノン誘導体としては、下記式で表される
TPDQを使用した。
【0105】
【化32】
【0106】
【表2】
【0107】上記表中、比較例3〜6で使用した符号(J
6)〜(J9)のポリエステルは、下記表3中に示す化合物で
ある。表3中の酸成分、ジオール成分の符号は前記と同
じ化合物を示す。
【0108】
【表3】
【0109】実施例12〜16、比較例7,8(積層型
感光体) ビスアゾ顔料1重量部とシクロヘキサノン40重量部を
ペイントシェーカーにて2時間分散した後、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体の10%シクロヘキサノン溶液2
0重量部を加えてさらに2時間分散した。得られた分散
液をアルミニウムシリンダー上に塗布乾燥し、膜厚0.
5μmの電荷発生層を形成した。
【0110】この電荷発生層上に、下記の組成からなる
電荷発生層用組成物の溶液を浸漬塗工法にて塗工し、1
00℃で1時間乾燥して膜厚23μmの電荷輸送層を形
成し、負帯電型の積層型電子写真感光体を得た。使用し
たビスアゾ顔料、ジアミン系化合物、ポリカーボネート
およびポリエステルの具体的化合物は、表4中に、前記
した各具体例の化合物番号を用いて示した。
【0111】 (成分) (重量部) ジアミン系化合物(電荷輸送材料) 80 ジフェノキノン誘導体(前記TPDQ) 20 結着樹脂 100 ジクロルメタン 400
【0112】
【表4】
【0113】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて以下の試験を行い、その特性を評価した。電気特性 各実施例および比較例で作成した電子写真感光体をドラ
ム感度試験機にセットし、その表面を±800V付近に
帯電させた際の表面電位(V)を測定した後、PPC用
感光体に最も必要な550nmの光を用いて半減露光量
の測定を行った。すなわち、キセノンランプから分光器
を用いて取り出した波長が550nmの光を強度0.3
mW/cm2 、露光時間1秒で露光して、半減露光量
(μJ/cm2 )を求めた。また、露光直後から0.5
秒経過した時点の表面電位を露光後電位(V)として求
めた。繰り返し特性 静電複写機DC−1670M(三田工業(株)製)で5万
回複写を繰り返した後の、表面電位(V),半減露光量
(μJ/cm2 ),露光後電位(V)を測定した。接着性 JIS K 5400「塗料一般試験方法」所載の碁盤
目試験に準じて、感光層の接着性を評価した。
【0114】以上の試験結果を表5ないし表7に示し
た。
【0115】
【表5】
【0116】
【表6】
【0117】
【表7】
【0118】これらの表から明らかなように、ポリエス
テルを含有しない比較例1は接着性が著しく低い。ま
た、ポリエステルの含有割合が50重量%を大幅に上回
った比較例2は感光層の強度が不十分で、連続複写によ
りクリーニングブレード圧接部分がへこんで5千枚前後
から画像不良が発生し、5万枚連続複写後の測定を行う
ことができなかった。
【0119】一般式(3) 中のA3 ,A4 がともに芳香族
環を含んでいる(J6)のポリエステルを使用した比較例3
は接着性が低く、1万8千枚前後で現像シール部より感
光層の剥がれが発生し、5万枚連続複写後の測定を行う
ことができなかった。同じ(J6)のポリエステルを使用し
た比較例7も接着性が低く、3万枚前後で電荷発生層と
電荷輸送層との界面で剥がれが発生し、5万枚連続複写
後の測定を行うことができなかった。
【0120】一般式(3) 中のA3 ,A4 がともに芳香族
環を含まない(J7)(J8)のポリエステルを使用した比較例
4,5は何れも、ポリエステルとポリカーボネートとが
相溶せず、均質な感光層を形成できず、上記の各試験を
行うことができなかった。酸価が2を大幅に上回る(J9)
のポリエステルを使用した比較例6,8は接着性にすぐ
れるものの、5万枚連続複写後の表面電位が著しく低下
し、また、半減露光量が大幅に上昇した。
【0121】これに対し、各実施例の感光体はいずれも
接着性がよい上感度が高く、通常の露光強度でも鮮明な
画像が得られ、また繰り返し複写によっても良好な画像
が得られた。
【0122】
【発明の効果】本発明によれば、電荷発生材料である一
般式(1) で表されるビスアゾ顔料を選択し、これに電荷
輸送材料として前記一般式(2) で表されるジアミン系化
合物と、結着樹脂としてポリカーボネートおよびポリエ
ステル(3) を組み合わせることにより、従来にない、き
わめて優れた電子写真特性を有する有機感光体を得るこ
とができる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体上に、電荷発生材料として一般
    式(1) : 【化1】 (式中、A1 およびA2 は同一または異なってカップラ
    ー残基を示し、R1 は水素原子、アルキル基、アリール
    基または複素環式基を示し、アルキル基、アリール基お
    よび複素環式基は置換基を有していてもよい。nは0ま
    たは1を示す。)で表されるビスアゾ顔料を、電荷輸送
    材料として一般式(2) : 【化2】 (式中、R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 およびR7 は同
    一または異なってアルキル基、アルコキシル基、ハロゲ
    ン原子、アリール基、ニトロ基、シアノ基またはアルキ
    ルアミノ基を示す。p,qは0〜3の整数を示す。k,
    l,mおよびoは0〜2の整数を示す。)で表されるジ
    アミン系化合物を、結着樹脂としてポリカーボネートお
    よび一般式(3) : 【化3】 (式中A3 およびA4 は何れか一方が、主鎖中に少なく
    とも芳香族環を含む2価の基を示し、他方が、主鎖中に
    芳香族環を含まない2価の基を示す。)で表される繰り
    返し単位を有するポリエステルをそれぞれ含有する感光
    層を設けたことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】上記一般式(3) で表されるポリエステルの
    酸価が2(KOHmg/g)以下である請求項1記載の
    電子写真感光体。
  3. 【請求項3】上記一般式(3) で表されるポリエステルの
    原料物質である、一般式(3a)で表される酸成分と、一般
    式(3b)で表されるジオール成分のうち、主鎖中に芳香族
    環を含む成分の割合が40〜80モル%である請求項1
    記載の電子写真感光体。 【化4】
  4. 【請求項4】結着樹脂としてのポリカーボネートおよび
    一般式(3) で表されるポリエステルのうち、ポリエステ
    ルの含有割合が0.5〜50重量%である請求項1記載
    の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】ポリカーボネートが、一般式(4)(5)および
    (6) : 【化5】 (式中R38および 39 は同一または異なって水素原子、
    脂肪族基または芳香族基を示し、脂肪族基および芳香族
    基は置換基を有していてもよい。またR38およびR39
    互いに結合して環を形成してもよい。R40,R41
    42,R43,R44,R45,R46およびR47は同一または
    異なって水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基または芳香
    族基を示し、脂肪族基および芳香族基は置換基を有して
    いてもよい。R48およびR49は水素原子、ハロゲン原
    子、アルキル基およびアリール基を示し、アルキル基お
    よびアリール基は置換基を有していてもよい。sおよび
    tは 【数1】 の数を示す。)の何れかで表される繰り返し単位を有す
    る化合物のうち少なくとも1種である請求項1記載の電
    子写真感光体。
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