JP2761109B2 - プリント配線板およびその製法 - Google Patents

プリント配線板およびその製法

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JP2761109B2 JP3008778A JP877891A JP2761109B2 JP 2761109 B2 JP2761109 B2 JP 2761109B2 JP 3008778 A JP3008778 A JP 3008778A JP 877891 A JP877891 A JP 877891A JP 2761109 B2 JP2761109 B2 JP 2761109B2
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俊之 鈴木
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Matsushita Electric Works Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、熱伝導性にすぐれ高
放熱性であって、絶縁性が高く、しかも耐熱性もある
リント配線板、およびこのプリント配線板を製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プリント配線板の基板としては、
紙・フェノール樹脂積層板や、ガラス・エポキシ樹脂積
層板等の樹脂基板が多く用いられてきた。しかし、最
近、電子機器の高性能化、小型化、高密度化に伴い、そ
れによって生じる熱の高密度発生をいかに処理するかが
課題になってきたため、従来のこれらの樹脂基板では、
このような課題に対処することができない。すなわち、
これらの樹脂基板は、熱伝導性が低くて熱放散性が悪
く、特に大電流を流すように設計された集積回路では、
その熱によってコンデンサーやトランジスタ等を破損す
る恐れがあり、また、破損しないまでも電気特性が大き
く変化する欠点があったからである。
【0003】このような樹脂基板の欠点を克服するた
め、近年、樹脂基板に代えて、アルミニウム等の熱伝導
性のよい金属板を用い、その表面にエポキシ樹脂等の有
機系絶縁層を設けて、その上に銅箔などを貼付け、回路
を形成するようにする構造の金属プリント板が使われる
ようになってきた。しかし、このような構造では、回路
と金属板との間に熱伝導性の低い樹脂層が未だ存在する
ため、金属板の高熱伝導性を十分に活かすことが出来な
い。
【0004】このようなことから、金属基板表面に設け
る絶縁層を、熱伝導性の良好なアルミナ等のセラミック
溶射で形成する方法が考えられている。この方法によれ
ば、回路と金属板の間が熱伝導性の低い樹脂層で完全に
遮断されるというようなことがないため、プリント配線
板の熱伝導性が大いに向上する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、溶射により形
成されるセラミック絶縁層には気孔が存在し、耐電圧、
吸湿時の絶縁特性が低下する欠点がある。そこで、この
ような欠点を解消するため、特公昭57-39007公報記載の
技術では、前記セラミック絶縁層にプレポリマーやモノ
マーを含浸して、前記気孔を塞ぐようにしている。
【0006】しかし、そのために、折角向上させた熱伝
導性が落ちてしまい、かつ、耐熱性を低下するという問
題が生じる。そこで、この発明は、前記セラミック絶縁
層の長所を損なうことなく、その気孔を防ぐことができ
て、高絶縁性と高熱伝導性の両立を可能にするプリント
配線板およびその製造方法を提供することを課題とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記課題を
解決するために、セラミック絶縁層に対し無機絶縁材を
含浸するようにする。すなわち、この発明にかかるプリ
ント配線板は、金属基板表面にセラミック溶射による絶
縁層が形成され、このセラミック絶縁層に無機絶縁材が
含浸されてなるプリント配線板であり、また、この発明
にかかるプリント配線板の製造方法は、金属基板の表面
にセラミックを溶射して絶縁層を形成するようにする
リント配線板の製法において、セラミック溶射により形
成された前記セラミック絶縁層に対し無機絶縁材を含浸
するようにする工程を含むことを特徴とする。
【0008】このように、この発明では、セラミック溶
射により表面にセラミック絶縁層が形成された金属基板
の、前記セラミック絶縁層に対し無機絶縁材を含浸する
ようにするのであるが、このようなプリント配線板は、
次のようにして準備する。図1にみるように、まず、金
属基板1の表面を粗面化1aしたのち、この表面にプラ
ズマ溶射等により溶射セラミック層(セラミック絶縁
層)2を形成する。この場合、金属基板の材料として
は、アルミニウム、銅、鉄、ステンレススチール、アル
ミニウム合金、銅合金その他がある。また、溶射セラミ
ック層を形成するセラミック粉としては、例えば1〜1
00μm の粒径のもので熱伝導性が良く、絶縁性の有る
ものが用いられる。セラミック粉の材料としては、例え
ば、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、窒化アルミニ
ウム、窒化ホウ素などがある。窒化物を用いる場合は溶
射条件が特殊になることがある。
【0009】前記粗面化は、例えば金属基板の表面にサ
ンドブラストを行う等により実施される。この粗面化は
必須ではないが、このような粗面化により、表面積を拡
大すると同時にブランク面とし、結晶格子構造を部分的
に破壊して結合力を高めることができるので、溶射セラ
ミック層と金属基板の密着を良くすることができる。他
に密着を良くする方法としては、表面をプラズマエッチ
ングする方法や、化学処理による表面処理を行う方法等
がある。
【0010】前述のような材料からなる金属基板の表面
に、前述のようなセラミック粉を用いてプラズマ溶射等
でセラミック絶縁層を形成するのであるが、この場合の
条件としては、例えば、20〜200kVの出力でセラミ
ック粉を溶射し、厚み30〜300μm 程度の溶射セラ
ミック絶縁層を形成するようにする。このようにして得
られたセラミック絶縁層付き金属基板の前記セラミック
絶縁層2に対し無機絶縁材を含浸するのであるが、この
含浸を真空含浸により行い、気孔中の空気を予め除いて
おくようにすると特に効果が大きい。このとき、付着水
があれば、加熱する等してこれを除いておくのが良い。
無機材料としては例えば金属アルコキシレート系のも
の、水ガラス系のもの、低融点ガラス等がある。この含
浸処理に際しては、絶縁材とセラミックとの濡れ性が悪
ければ、前処理としてセラミック絶縁層にカップリング
剤等を含浸する処理を施しても良い。含浸後には必要に
応じて絶縁材に対し硬化処理を施す。
【0011】このようにして表面に無機絶縁材含浸絶縁
層3を備えた金属基板1を得て、この無機絶縁材含浸絶
縁層3上に、図1にみるように、通常のとおりの回路4
が形成される。この回路形成は、銅箔圧着を行ってから
エッチングする方法で行われる。銅箔圧着は、アルミナ
含有エポキシ樹脂系接着剤を用いて行う。この発明にか
かるプリント配線板は、このような金属箔付きのもの
および、回路形成後のものを含む。
【0012】
【作用】この発明では、セラミック絶縁層に無機絶縁材
を含浸して気孔を防いでいるため、耐電圧特性や吸湿時
の絶縁特性低下が起きず、しかも、含浸するものが無機
物質であるため、熱伝導性の低下や耐熱性の低下が起き
ない。
【0013】
【実施例】以下に、この発明の実施例を比較例と併せて
説明するが、この発明の範囲は、これらの実施例に限定
されない。 −実施例1− 板厚3mmのアルミニウム板の表面に対し、密着力を上げ
るために♯320(320番)のサンドブラスト処理を
行った。次に、このアルミ板の表面に、粒径10〜30
μm のアルミナを使って、プラズマ溶射により、厚み1
00μm の絶縁層を形成した。プラズマ溶射条件は30
kWであった。
【0014】そして、このセラミック絶縁層付きアルミ
基板の絶縁層に対し、金属アルコキシ系の無機絶縁材を
真空含浸した。含浸条件は真空度10Torr、含浸時間約
3時間であった。その後、200°Cで12時間、硬化
処理を行った。 −実施例2− 実施例1において作製された絶縁層付き金属基板に、ア
ルミナ含有エポキシ樹脂系の高放熱性接着剤を10μm
塗布し、厚み35μm の銅箔を熱圧着して、前記絶縁層
に含浸しておいた金属アルコキシ系の無機絶縁材に対し
てアルミナ含有エポキシ樹脂系の高放熱性接着剤を結合
させた。
【0015】−比較例1− 樹脂系絶縁層(厚み40μm )を備えた金属基板(松下
電工株式会社製R0711)を比較例とした。 −比較例2− 実施例1において、無機絶縁材の代わりに、エポキシ樹
脂を含浸させ、厚み35μm の銅箔を張った。
【0016】以上のようにして製造された実施例、比較
例の絶縁層付き金属基板あるいはプリント配線板の耐電
圧と熱抵抗と半田耐熱性を測定し、表1に表した。
【0017】
【表1】 ────────────────────────────────── 実施例1 実施例2 比較例1 比較例2 ────────────────────────────────── 熱抵抗〔℃/W〕 0.12 0.22 1.20 0.28 破壊耐電圧〔kV〕 6.2 7.2 5.0 6.8 半田耐熱性 300℃ 300℃ 300℃ 300℃ 1時間以上 1時間以上 1分以下 15分 ──────────────────────────────────
【0018】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るため、この発明の方法により得られたプリント配線
は、耐電圧、吸湿時の絶縁特性に優れ、しかも、高放熱
性と高絶縁性を兼ね備えている。そのため、このプリン
ト配線板を用いれば、高出力回路を形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を工程順に示す説明図。
【符号の説明】
1 金属基板 2 セラミック絶縁層 3 無機絶縁材含浸セラミック絶縁層 4 回路

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基板表面にセラミック溶射による絶
    縁層が形成され、このセラミック絶縁層に無機絶縁材が
    含浸され、セラミック絶縁層の表面にアルミナ含有エポ
    キシ樹脂系接着剤を介して銅箔が熱圧着されてなるプリ
    ント配線板。
  2. 【請求項2】 金属基板の表面にセラミックを溶射して
    絶縁層を形成するようにする絶縁層付き金属基板の製法
    において、セラミック溶射により形成された前記セラミ
    ック絶縁層に対し無機絶縁材を含浸するようにする工程
    と、セラミック絶縁層の表面にアルミナ含有エポキシ樹
    脂系接着剤を介して銅箔を熱圧着する工程とを含むこと
    を特徴とするプリント配線板の製法。
JP3008778A 1991-01-28 1991-01-28 プリント配線板およびその製法 Expired - Lifetime JP2761109B2 (ja)

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