JP2760019B2 - 居眠り検出装置 - Google Patents

居眠り検出装置

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【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は、乗用車等のシートベルトにセンサを設け、
シートベルト装着者の呼吸数を測定し、測定された呼吸
数よりシートベルト装着者の居眠りを検出する装置に関
する。
(ロ)従来の技術 従来、乗用車等の運転者の居眠りを検出する装置とし
ては、受・発光素子からなる反射センサを用いて、運転
者のまばたきを検出する装置が知られている。この装置
は、反射センサの発光素子の光を運転者の眼に投射し、
眼球(角膜)又は目蓋で反射した光を受光素子で電気信
号に変換する。目蓋の反射率は眼球反射率よりも小さい
ので目蓋で反射した時の受光素子の受光信号は、眼球で
反射した時よりも小さくなる。従って、受光信号の小さ
い時間が一定以上続くということは、目蓋が閉じられて
おり、運転者が居眠り状態にあると判定することができ
る。そして、居眠りと判定された場合には、ブザー等を
鳴動させて居眠り状態を報知する。
(ハ)発明が解決しようとする課題 上記従来の居眠り検出装置では、反射センサを運転者
の目の近傍に設ける必要がある。その一つの方法として
は、眼鏡フレーム上に反射センサを設ける方法が知られ
ているが、やはり反射センサが目障りであり、眼鏡をか
ける必要のない者であっても眼鏡フレームをつけなけれ
ばならない不便がある。
また、従来の居眠り検出装置では、居眠りを音によっ
て報知していたが、居眠り状態では運転者の知覚が低下
しているので、音による報知では不十分である。
本発明は、上記に鑑みなされたもので、運転者に違和
感を与えることなく、居眠りのパラメータとなる生体情
報を測定する装置を用いた居眠り検出装置、さらにより
確実に居眠り検出を運転者に警告できる居眠り検出装置
の提供を目的としている。
(ニ)課題を解決するための手段及び作用 上記課題を解決するため、第1の発明(第1請求項)
の居眠り検出装置は、シートベルトの装着者の呼吸によ
り生じるベルトの張力又は曲げの変動を検出するセンサ
をこのシートベルトに備え、このセンサの出力信号より
呼吸成分を抽出する呼吸成分抽出手段と、この呼吸成分
抽出手段で抽出された呼吸成分より呼吸数を算出する呼
吸数算出手段と、この呼吸数算出手段で算出された呼吸
数が所定の値以下になる時に前記装着者が居眠り状態に
あると判定する居眠り判定手段とを備えてなるものであ
る。
シートベルトは、その装着者の腹部又は胸部に接して
いる。しかるに、呼吸に伴って装着者の腹部又は胸部
は、周期的に膨らんでへこむから、ベルトの張力や曲げ
もそれに従って変動する。ベルトの張力や曲げの変動
は、例えば圧電素子やひずみゲージ等のセンサを用いて
容易に電気信号に変換できる。
シートベルトには、乗用車の振動や装着者の体動も伝
わるので、前記センサの出力信号中には、呼吸成分の他
に振動成分や体動成分も含まれる。しかし、振動成分や
体動成分の周波数の帯域は、呼吸成分の周波数の帯域と
は一般的に異なるから、センサの出力信号より呼吸成分
を抽出することができる。このように抽出された呼吸成
分は、そのレベルが装着者の呼吸に応じて増減するもの
であるから、これにより容易に呼吸数を算出することが
できる。
また、一般に、覚醒状態から睡眠状態に移行していく
につれて、単位時間あたりの呼吸数は徐々に減少してい
くから、単位時間あたりの呼吸数が所定の値以下になっ
た時に居眠りと判定することができる。従って、第1の
発明の居眠り検出装置は、呼吸数検出のための器具を特
別に装着する必要はなく、運転者に違和感を与えること
はない。
さらに、第2の発明(第2請求項)の居眠り検出装置
は、第1の発明の装置に、前記シートベルトに振動を与
える加振手段を、このシートベルトの基端部に設け、前
記居眠り判定手段で居眠りと判定された時に、前記加振
手段が作動する物である。シートベルトの振動は、その
まま運転者に伝わるから、従来よりも確実に居眠り状態
を運転者に報知することができる。
(ホ)実施例 本発明の一実施例を図面に基づいて以下に説明する。
第1図は、乗用車運転席1において、シートベルト2
を装着した運転者Dを示す斜視図である。シートベルト
2は、運転者Dの胸部に接する胸部ベルト21及び腹部ベ
ルト22とより構成される。胸部ベルト21と腹部ベルト2
2、のそれぞれの一端部は、1つのバックル23にまとめ
られる。また胸部ベルト21、腹部ベルト22の他端は車内
の適所に取付けられている。
バックル23には、さらに係合金具24が設けられてお
り、バックル受け具3の図示しない係合爪と係合する
(第2図参照)。バックル受け具3内には、係合金具24
の係合を検出するスイッチ31が設けられている。バック
ル受け具3よりは連結部材32が下方に垂下しており、こ
の連結部材32の下端部には、クランク円盤41のピン42が
回転自在に挿通している。このクランク円盤41は、モー
タ(加振手段)4の回転軸に装着されている。モータ4
は、シート1下面又は車体に固定される。
腹部レベル22には、圧電素子又はひずみゲージよりな
るセンサ5が設けられている。このセンサ5は、図示し
ないリード線又はフレキシブル基板を用いて以下に説明
する回路部6に電気的に接続される。
回路部6は、センサ5からの信号を増幅する増幅器6
1、この増幅器61の出力信号より呼吸成分を抽出するロ
ーパスフィルタ(LPF、呼吸成分抽出手段)62、このLPF
62の出力を基準電圧Vcと比較するコンパレータ63、この
コンパレータ63よりの信号を取込み呼吸数を算出するMP
U64とで構成される。このMPU64は、運転者の居眠り状態
を判定する機能、及びモータ4の回転を制御する機能を
有している。さらに、MPU64には、表示器7が接続され
算出された呼吸数が表示される。この表示器7には、液
晶表示器、発光ダイオード表示器等よりなり、車内の適
所、例えば計器パネル内に取付けられる。
次に、実施例居眠り検出装置の動作を第4図、第5図
も参照しながら以下に説明する。
まず、運転席1に座ったドライバDがシートベルト2
を装着し、バックル23の係合金具24を受け具3内へ挿入
すると、スイッチ31がオンになり、居眠り検出が開始さ
れる。最初に、呼吸数nを零にリセットする〔ステップ
(以下STという)1〕。そして、タイマT1を零にリセッ
トして、カウントアップを開始する(ST2)。
ドライバDの腹部は呼吸に伴って、膨らんだりへこん
だりするので、腹部ベルト22の張力及び曲げも呼吸に伴
って変動する。よって、この変動がセンサに検出され
る。第4図(a)は、増幅器61で増幅されたセンサの出
力を示している。この出力信号中には、呼吸成分の他に
ドライバDの体動成分、乗用車の振動成分その他のノイ
ズ成分が含まれている。よって、LPF62を用いて、第4
図の(b)に示すように呼吸成分のみを抽出する。さら
に、コンパレータ63を用いて、第4図の(c)のように
パルス信号に変換する。このパルス1つ1つは、呼吸の
1つ1つに対応する。
ST3では、このパルスがMPU64に入力されたか否かを判
定する。この判定がYESの場合にはST4に、NOの場合には
ST5へ分岐する。ST4では、呼吸数nに1を加算する。続
くST5では、タイマーT1が60秒に達したか否かを判定す
る。この判定が、YESの場合には、ST6へ分岐し、NOの場
合にはST3へ分岐する。すなわち、T1が60秒に達するま
でパルスのカウントを続けるわけである。
ST6では、ST3〜ST5の反復により得られたn、すなわ
ち1分間あたりの呼吸数nを表示部7に表示させる。続
く、ST7では、この1分間あたりの呼吸数nを所定の値n
th以下か否かを判定する。この判定NOの場合には、ST1
へ分岐し、YESの場合には、ST8へ分岐する。ST8では、
一定時間モータ4が回転駆動され、シートベルト2に振
動が加えられ、この振動によりドライバに警告を与え
る。ST8の処理が終われば、再びST1に戻り、居眠り検出
が続行される。なお、振動による警告と併せて、あるい
はこれに代えて音声による警告を行ってもよく、適宜設
計変更可能である。
上記実施例では、腹部ベルト22にセンサ5を設けてい
るが、第1図中5′で示すように、胸部ベルト21に設け
てもよい。あるいは、胸部ベルト21、腹部ベルト22の端
部のいずれかに、ベルトの張力を検出するセンサを設け
てもよい。また、モータ4も胸部ベルト21、腹部ベルト
22の端部で、バックル23と反対の側に設ける構成として
もよい。
第6図は、このような変形例の1つを示しており、腹
部ベルト22のバックル23と反対側の端部22aを、クラン
ク円盤41のピン42に結合している。また、バックル受け
具3に張力センサ35を設けて、バックル受け具3及びバ
ックル23を介して、胸部ベルト21及び腹部ベルト22の張
力の変動を検出する。
また、この実施例では、1分間あたりのパルスをカウ
ントして呼吸数を求めているが、パルスの周期より呼吸
数を求める構成としてもよく適宜設計変更可能である。
(ヘ)発明の効果 以上説明したように、第1の発明の居眠り検出装置
は、シートベルトの装着者の呼吸により生じるベルトの
張力又は曲げの変動を検出するセンサをこのシートベル
トに備え、このセンサの出力信号より呼吸成分を抽出す
る呼吸成分抽出手段と、この呼吸成分抽出手段で抽出さ
れた呼吸成分より呼吸数を算出する呼吸数算出手段と、
この呼吸数算出手段で算出された呼吸数が所定の値以下
になる時に前記装着者が居眠り状態にあると判定する居
眠り判定手段とを備えてなるものであり、居眠りを検出
するパラメータとして呼吸数を用いており、特別の器具
を装着する必要がなくなり、違和感を与えることなく居
眠りを検出することができる。
更に、第2の発明の居眠り検出装置は、前記シートベ
ルトに振動を与える加振手段を、このシートベルトの基
端部に設け、前記居眠り判定手段で居眠りと判定された
時に、前記加振手段が作動するものであるから、居眠り
をシートベルト装着者により確実に警告することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例に係る居眠り検出装置のシ
ートベルト及びモータを説明する斜視図、第2図は、同
シートベルト端部とモータとの連結を説明する図、第3
図は、同居眠り検出装置の回路構成を説明するブロック
図、第4図は、同居眠り検出装置の信号処理を説明する
図、第5図は、同居眠り検出装置の動作を説明するフロ
ー図、第6図は、同居眠り検出装置の変形例に係るシー
トベルト及びモータを説明する斜視図である。 2:シートベルト、4:モータ、 5:センサ、62:ローパスフィルタ、 64:MPU。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60K 28/06 B60R 22/48 B60R 22/12 A61B 5/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シートベルトの装着者の呼吸により生じる
    ベルトの張力又は曲げの変動を検出するセンサをこのシ
    ートベルトに備え、このセンサの出力信号より呼吸成分
    を抽出する呼吸成分抽出手段と、この呼吸成分抽出手段
    で抽出された呼吸成分より呼吸数を算出する呼吸数算出
    手段と、この呼吸数算出手段で算出された呼吸数が所定
    の値以下になる時に前記装着者が居眠り状態にあると判
    定する居眠り判定手段とを備えてなる居眠り検出装置。
  2. 【請求項2】前記シートベルトに振動を与える加振手段
    を、このシートベルトの基端部に設け、前記居眠り判定
    手段で居眠りと判定された時に、前記加振手段が作動す
    る特許請求の範囲第1項記載の居眠り検出装置。
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