JP2759744B2 - トランスファー装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、重量の大きな被搬送物
を搬送するトランスファー装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、重量の大きな被搬送物を搬送する
トランスファー装置として、油圧シリンダを利用したも
のがある。これは、被搬送物の搭載位置と搬送位置との
間に配設されたガイド部の上に走行ビームを移動可能に
設けるとともに、ガイド部、走行ビーム及び被搬送物を
上昇または下降させる復動形の油圧シリンダを設けてい
る。そして、被搬送物が搭載位置にあるとき、油圧シリ
ンダの一方側から作動油を供給してガイド部、走行ビー
ム及び被搬送物を上昇させ、ついで、駆動モータにより
走行ビームを移動して、被搬送物を搬送位置へ移動させ
る。そこで、油圧シリンダの他方側から作動油を供給し
てガイド部、走行ビーム及び被搬送物を下降させ、被搬
送物を搬送位置に載置する。つぎに、駆動モータにより
走行ビームを元の搭載位置へ復帰移動させるというもの
である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述のトランスファー
装置においては、被搬送物を下降させるとき、油圧シリ
ンダのピストンには、油圧による下向きの力と、ガイド
部、走行ビーム及び被搬送物の総重量との合計の力が作
用するので、停止時における衝撃が大きく、これを緩和
するために大形の緩衝装置が必要であった。

【０００４】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、その目的は、被搬送物の搬送時における衝撃を少
なくして、装置を簡単になし得るトランスファー装置を
提供するにある。

【課題を解決するための手段】本発明は、被搬送物を搭
載位置から搬送位置まで搬送するトランスファー装置で
あって、被搬送物の搭載位置と搬送位置との間に配設さ
れたガイド部と、このガイド部上に移動可能に設けられ
被搬送物が搭載される走行ビームと、この走行ビームを
往復移動させる駆動モータと、前記ガイド部、走行ビー
ム及び被搬送物を上昇または下降させる上部室が常時大
気中に開放した空気シリンダと、この空気シリンダの下
部室と空気源との間に接続され高圧設定部、低圧設定
部、圧力切換部とから構成された圧縮空気供給装置とを
備え、前記被搬送物が搭載位置にあるとき前記圧縮空気
供給装置を高圧設定部に切換え前記空気シリンダに高圧
の空気を供給してガイド部、走行ビーム及び被搬送物を
上昇させ、前記被搬送物が搬送位置に移動したとき前記
圧縮空気供給装置を低圧設定部に切換え前記空気シリン
ダに低圧の空気を供給してガイド部、走行ビーム及び被
搬送物を下降させるところに特徴を有する。

【０００５】

【作用】本発明のトランスファー装置によれば、被搬送
物の搭載位置において空気シリンダの下部室に高圧の空
気が供給されると、ガイド部、走行ビーム及び被搬送物
が上昇される。そして、駆動モータにより走行ビームが
ガイド部上を移動して被搬送物が搬送位置へ搬送され
る。ここで、空気圧切換装置により空気シリンダの空気
圧力が低圧に切り換えられる。この低圧による空気シリ
ンダの上向きの付勢力は、ガイド部、走行ビーム及び被
搬送物の重量よりも若干下回るので、ガイド部、走行ビ
ーム及び被搬送物は徐々に下降して衝撃をともなわない
で停止し、被搬送物は搬送位置に載置される。また、空
気シリンダの下部室内の高圧空気は、空気圧切換装置を
通って大気へ放出される。そこで、駆動モータが逆方向
に駆動されて、走行ビームがガイド部上を元位置に復帰
移動される。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の第１の実施例につき図１〜図
９を参照して説明する。図１から図３において、フレー
ム１には被搬送物２を載置する複数のステーション３例
えばステーション３Ａ，３Ｂ，３Ｃが設けられており、
各ステーション３毎に、２個の空気シリンダ４と、この
空気シリンダ４の両側に案内部を有する昇降用ガイド５
が鉛直方向に設けられている。空気シリンダ４の上部室
が常時大気中に開放しており、下部室は後述する圧縮空
気供給装置に接続されている。２本のガイド部６は複数
のステーション３を跨ぐように所定の間隔を存して平行
に配設されており、これらを複数の連結杆６ａで連結し
ている。この連結杆６ａは、図４，５に示すように２本
の昇降用ガイド５に連結されるとともに空気シリンダ４
のピストンロッド４ａに連結固定されている。ガイド部
６には複数箇所にローラーガイド７が取着され、これに
水平方向及び垂直方向に回転する複数個のローラー８，
９が取着されている。

【０００７】走行ビーム１０はＨ形鋼から形成され、図
６に示すように水平方向及び垂直方向をローラーガイド
７のローラー８，９に案内されてガイド部６上を移動可
能に構成されている。フレーム１には走行ビーム１０と
平行に同期用ラック１１が移動可能に設けられている。
各ステーション３には、図３，５に示すように、夫々３
箇所に軸受１２が設けられ、これに軸１３が嵌合してい
る。また、軸１３には３個のピニオン１４ａ，１４ａ，
１４ｂが取着されており、１個のピニオン１４ｂは同期
用ラック１１に噛み合っており、他の２個のピニオン１
４ａ，１４ａは昇降用ガイド５の側面に形成された同期
用ラック１５に噛み合っている。次に図７及び図８にお
いて、正転及び逆転可能な駆動モータ１６は、ガイド部
６に取着されており、チェン１７を介してピニオン１８
を回転している。このピニオン１８は走行ビーム１０の
下面に形成されたラック１９に噛み合って走行ビーム１
０を移動させる。

【０００８】次に図９によりエアー回路（圧縮空気供給
装置）を説明する。空気源３０から順にフィルタ３１，
高圧設定部としてのレギュレータ３２，油滴装置３３，
手動式切換弁３４が接続されている。さらに、各空気シ
リンダ４には、低圧設定部としてのリリーフ弁付レギュ
レータ３５と、空気シリンダ４に供給される空気圧を高
圧及び低圧に切り換える空気圧切換装置としての電磁式
圧力切換弁３６が取着されている。そして、高圧空気
は、手動式切換弁３４から電磁式圧力切換弁３６を介し
て空気シリンダ４の下部室に供給され、低圧空気は、手
動式切換弁３４からリリーフ弁付レギュレータ３５、電
磁式圧力切換弁３６を介して空気シリンダ４の下部室に
供給される。尚、回路には圧力スイッチ３７が接続され
ている。

【０００９】このレギュレータ３２が設定する高圧は、
空気シリンダ４に供給されたとき、上向きの付勢力がガ
イド部６、走行ビーム１０、被搬送物２、駆動モータ１
６等上昇される部分の総重量を十分上回る圧力に設定さ
れており、リリーフ弁付レギュレータ３５が設定する低
圧は、空気シリンダ４に供給されたとき上向きの付勢力
が、下降される部分の総重量を若干下回る圧力に設定さ
れている。

【００１０】つぎに上記構成の作用について説明する。
搭載位置としてのステーション３Ａにある被搬送物２が
搬送位置としてのステーション３Ｂへ移動する場合につ
いて説明する。被搬送物２はステーション３Ａに載置さ
れている。空気源３０からレギュレータ３２及び電磁式
圧力切換弁３６が作動すると、空気シリンダ４に高圧が
供給され、空気シリンダ４のピストンが上昇して被搬送
物２が走行ビーム１０上に移載される。この場合、ガイ
ド部６は２本の昇降用ガイド５に案内されるとともに同
期用ラック１５が同軸にある２個のピニオン１４ａに同
時に噛み合いながら上昇するので、左右が同期して上昇
し、常に水平に保持される。一方、ピニオン１４ａと同
軸にあるピニオン１４ｂが同期用ラック１１に同時に噛
み合っているので、複数のステーション３間の上昇速度
も同期される。

【００１１】そして、ガイド部６、走行ビーム１０及び
被搬送物２が図１に二点鎖線で示す位置まで上昇する
と、駆動モータ１６が作動してピニオン１８を回転させ
る。このピニオン１８の回転に応じて走行ビーム１０が
矢印Ｄ方向へ移動し、被搬送物２がステーション３Ｂの
上に移動する。被搬送物２が搬送位置としてのステーシ
ョン３Ｂの上に移動すると、電磁式圧力切換弁３６が作
動して、リリーフ弁付レギュレータ３５、電磁式圧力切
換弁３６を通して空気シリンダ４へ低圧の空気が供給さ
れる。この低圧による空気シリンダ４の付勢力は、移動
部分の総重量を若干下回るので、被搬送物２はゆっくり
した速度で徐々に下降し、衝撃をともなうことなくステ
ーション３Ｂの上に載置される。また、下部室内の容積
が減少することにより発生した高圧の空気は、電磁式圧
力切換弁３６を通して大気中に放出される。つぎに、駆
動モータ１６が反対方向に回転して走行ビーム１０が反
矢印Ｄ方向へ元位置まで移動復帰する。

【００１２】尚、搭載位置及び搬送位置は、ステーショ
ン３Ａ，３Ｂのみに限定されるものではなく、例えば、
ステーション３Ａ，３Ｂにある被搬送物２を同時にステ
ーション３Ｂ，３Ｃに移動することもできる。この場
合、一方の被搬送物２に対しては、搭載位置がステーシ
ョン３Ａ、搬送位置はステーション３Ｂとなり、他の被
搬送物２に対しては、搭載位置がステーション３Ｂ、搬
送位置はステーション３Ｃとなる。

【００１３】上記実施例によればつぎの効果を奏する。 １，空気シリンダ４の上部室を常時大気中に開放し、下
部室を空気供給装置に接続して、ガイド部６の上昇時に
は高圧を供給し、下降時には低圧に切り換えるようにし
たので、被搬送物２を衝撃をともなうことなくステーシ
ョン３の上に載置することができる。従って、下降時に
衝撃を伴わないので、緩衝用の機器を小形にすることが
できる。 ２，空気シリンダ４を使用したので、シリンダのストロ
ークを選択することにより上昇時、下降時のストッパが
省略できる。

【００１４】 ３，高圧設定部としてのレギュレータ３２、低圧設定部
としてのリリーフ弁付レギュレータ３５を設け、電磁式
圧力切換弁３６で空気圧を高圧及び低圧に切り換えるよ
うにしたので、単一の空気源３０を利用することがで
き、設備が簡単にすることができる。 ４，空気シリンダ４を使用したので、油圧シリンダを使
用していた従来に比して、圧力調整範囲を広く設定で
き、且つ消防設備等も簡略にすることができ、設備費を
低減できる。 ５，ガイド部６の上昇時及び下降時に、同期用ラック１
１及び１５をピニオン１４に噛み合わせるようにしたの
で、ガイド部６を常に水平状態を保持しながら移動でき
る。

【００１５】図１０は本発明の第２の実施例を示すもの
で、第１の実施例との相違は、各ステーション３毎に設
けた空気シリンダ４に代えて、同期用ラック１５を移動
させる大形の空気シリンダ４０を設けたものである。こ
の第２の実施例においては、空気シリンダ４０に高圧を
供給すると、同期用ラック１５が移動し、これに応じて
ピニオン１４ｂ及び軸１３が回転する。すると、ピニオ
ン１４ａが回転し、これに噛み合う同期用ラック１１即
ち昇降用ガイド５が上昇し、ガイド部６、走行ビーム１
０及び被搬送物２が上昇される。

【００１６】また、空気シリンダ４０の圧力が低圧に切
換られると、空気シリンダ４０の付勢力は移動物の重量
を下まわるので、ガイド部６、走行ビーム１０及び被搬
送物２即ち同期用ラック１１が下降しながらピニオン１
４ａ及び軸１３を回転させる。そして、ピニオン１４ｂ
を介して同期用ラック１５及び空気シリンダ４０のビス
トンが元位置に復帰する。この第２の実施例によれば、
第１の実施例の効果に加えて、ピニオン１４ａ，１４ｂ
と同期用ラック１１，１５の噛み合いが常に同一面で行
われるので、ピニオン１４ａ，１４ｂと同期ラック１
１，１５間にバックラッシュがあっても、上昇、下降時
に遊びが発生せず、ピニオン１４ａ，１４ｂ及び同期ラ
ック１１，１５の製作が容易になる。

【００１７】図１１は、本発明の第３の実施例であり、
第２の実施例との相違は、大形の空気シリンダ４０に代
えて小形の２個の空気シリンダ４１を設けたものであ
る。

【００１８】図１２，１３は、本発明の第４の実施例で
あり、第３の実施例との相違は、一方の空気シリンダ４
１よりも小容量の復動形の空気シリンダ４２とし、これ
をソレノイドバルブ４３で作動させ、図１２，１３に示
す矢印Ｆ及び矢印Ｇ方向に高圧空気を流すようにしたも
のである。この実施例においては、ガイド部６、走行ビ
ーム１０及び被搬送物２の上昇時には、図１２に示すよ
うに空気シリンダ４１に高圧空気を矢印Ｅ方向に供給す
るとともに、空気シリンダ４２に高圧空気を矢印Ｆ方向
に供給する。また、ガイド部６、走行ビーム１０及び被
搬送物２の下降時には、図１３に示すように空気シリン
ダ４１には高圧空気を矢印Ｅ方向に供給するとともに、
空気シリンダ４２にソレノイドバルブ４３を介して高圧
空気を矢印Ｇ方向に供給する。そして、これら空気シリ
ンダ４１，４２の付勢力の差によりガイド部６、走行ビ
ーム１０及び被搬送物２を若干下回る力を生成し、ガイ
ド部６、走行ビーム１０及び被搬送物２を下降させるよ
うにしたものである。第３及び第４の実施例においても
第１の実施例と同様の効果を奏するものである。

【００１９】

【発明の効果】本発明は、被搬送物を搭載位置から搬送
位置まで搬送するトランスファー装置であって、被搬送
物の搭載位置と搬送位置との間に配設されたガイド部
と、このガイド部上に移動可能に設けられ被搬送物が搭
載される走行ビームと、この走行ビームを往復移動させ
る駆動モータと、前記ガイド部、走行ビーム及び被搬送
物を上昇または下降させる空気シリンダと、この空気シ
リンダの下部室と空気源との間に接続され高圧設定部、
低圧設定部、圧力切換部とから構成された圧縮空気供給
装置とを備え、前記被搬送物が搭載位置にあるとき前記
圧縮空気供給装置を高圧設定部に切換え前記空気シリン
ダに高圧の空気を供給してガイド部、走行ビーム及び被
搬送物を上昇させ、前記被搬送物が搬送位置に移動した
とき前記圧縮空気供給装置を低圧設定部に切換え前記空
気シリンダに低圧の空気を供給してガイド部、走行ビー
ム及び被搬送物を下降させるので、被搬送物の搬送時に
おける衝撃を少なくして、単一の空気源で２種類の空気
圧を利用でき、装置を簡単になし得るという優れた効果
を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】装置全体の正面図である。

【図２】装置全体の平面図である。

【図３】装置全体の拡大側面図である。

【図４】図３中IV-IV線に沿って見た側面図である。

【図５】図３中V-V線に沿って見た側面図である。

【図６】ローラーガイド部分を拡大して示す側面図であ
る。

【図７】駆動モータ部分の平面図である。

【図８】駆動モータ部分の側面図である。

【図９】第１の実施例の回路図である。

【図１０】第２の実施例の回路図である。

【図１１】第３の実施例の回路図である。

【図１２】第４の実施例の上昇時の回路図である。

【図１３】第４の実施例の下降時の回路図である。

【符号の説明】

２ 被搬送物 ３ ステーション ４ 空気シリンダ ６ ガイド部 １０ 走行ビーム １１ 同期用ラック １４ ピニオン １５ 同期用ラック １６ 駆動モータ ３０ 空気源 ３２ レギュレータ（高圧設定部） ３５ リリーフ弁付レギュレータ（低圧設定部） ３６ 電磁式圧力切換弁（空気圧切換装置）

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被搬送物を搭載位置から搬送位置まで搬
   送するトランスファー装置であって、 被搬送物の搭載位置と搬送位置との間に配設されたガイ
   ド部と、 このガイド部上に移動可能に設けられ被搬送物が搭載さ
   れる走行ビームと、 この走行ビームを往復移動させる駆動モータと、 前記ガイド部、走行ビーム及び被搬送物を上昇または下
   降させる上部室が常時大気中に開放した空気シリンダ
   と、 この空気シリンダの下部室と空気源との間に接続され高
   圧設定部、低圧設定部、圧力切換部とから構成された圧
   縮空気供給装置とを備え、 前記被搬送物が搭載位置にあるとき前記圧縮空気供給装
   置を高圧設定部に切換え前記空気シリンダに高圧の空気
   を供給してガイド部、走行ビーム及び被搬送物を上昇さ
   せ、前記被搬送物が搬送位置に移動したとき前記圧縮空
   気供給装置を低圧設定部に切換え前記空気シリンダに低
   圧の空気を供給してガイド部、走行ビーム及び被搬送物
   を下降させることを特徴とするトランスファー装置。