JP2757996B2 - 空間光変調素子 - Google Patents

空間光変調素子

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JP2757996B2 JP63148232A JP14823288A JP2757996B2 JP 2757996 B2 JP2757996 B2 JP 2757996B2 JP 63148232 A JP63148232 A JP 63148232A JP 14823288 A JP14823288 A JP 14823288A JP 2757996 B2 JP2757996 B2 JP 2757996B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、画像の光学的二次元並列処理に必要な空間
光変調素子に係り、特に電場に応じて光吸収係数が変化
する効果(QCSE−Quantum Confined Stark Effect)を
持つ多重量子井戸(MQW−Mulitiple Quantum Well)構
造の材料によって光変調部を構成し、この光変調部と光
伝導層を積層して組み合わせた構造を有し、必ずしも偏
光を用いることなしに低電圧で高速動作ができる空間光
変調素子に関する。
[発明の概要] 本発明は、画像情報を光学的に二次元並列処理する際
に必要な空間光変調素子に関するもので、多重量子井戸
(MQW−Multiple Quantum Well)構造の材料から構成さ
れる光変調層と受光部としての光伝導膜とを積層し、量
子井戸中に閉じ込められた電子、正孔および励起子の振
舞いによって生じる電場による光吸収係数の変化(Elec
tro−Absorption,またはQCSE−Quantum Confined Stark
Effect)と入力光強度に応じて変化する光伝導層の抵
抗率とを結合して、ディスプレイ、画像間の演算、画像
の閾値動作などを低電圧で高速で行うことができるよう
にしたものである。
[従来の技術] 従来、空間光変調素子として主に用いられてきたもの
には、 (イ)光伝導効果と電気光学効果とを併わせ持つ結晶
(例えば、Bi12SiO20(BSO),Bi12GeO20(BGO),KD2PO4
(DKDP))を利用したもの (ロ)光伝導膜と液晶とを組み合わせたもの (ハ)光電子放出膜、マイクロチャンネルプレート(MC
P−Micro−Channel−Plate)および電気光学結晶を組み
合わせたもの などがある。これらを含めて、従来の空間光変調素子に
ついては次の文献に詳しく述べられている。
窪田恵一、西田信夫:「光空間変調素子」;光学、 Vol.14,No1,pp.19−28(1985) 一方、最近、極めて薄い薄膜結晶(数nm)の製作技術
の進展により、例えば、GaAsとAlAsやAlxGa1-xAsとの周
期的積層構造の結晶が比較的容易に得られるようにな
り、それらが示す新しい物性を利用したデバイスが開発
されつつある。量子井戸構造もこのような超薄膜構造の
一種であり、例えば、AlxGa1-xAs/GaAs/AlxGa1-xAsなる
積層構造でGaAs層の厚さが10nm程度以下の場合、電子や
正孔はGaAsとAlxGa1-xAsのポテンシャル差のためにGaAs
層に井戸形ポテンシャルの形で閉じ込められ、バルク結
晶中の振舞いとは異なった特性を示す。
その1つとして、電子と正孔が互いにクーロン力で束
縛された状態にある励起子の振舞いがあり、GaAsバルク
結晶では、室温では消滅したり、低温でも少しの電場で
消滅する励起子が、量子井戸中では室温で105V/cmの電
場の下でも安定に存在しうる。そして、この励起子の光
吸収スペクトルが電場によってシフトする現象が発見さ
れ(QCSE)、ある波長の入射光に対して、電場によって
光吸収係数を変化させて、出力光の強度を変化させる。
いわゆる光変調作用が可能なことがわかった。
第2図は、MQW構造を用いた従来の光強度変調器の基
本構成を示すもので、GaAsとAlxGa1-xAs(以下ではxを
明示する必要がある場合を除き、AlGaAsと表す)から成
るMQWをi(intrinsic)層101とし、p+−AlGaAs層102お
よびn+−AlGaAs層103で挟んだp−i−n構造をn+−GaA
s基板104上に設けている。105はp+−AlGaAs層102の上面
に設けたオーミックコンタクト用Au層、106は基板104の
下面に設けたオーミックコンタクト用Au/Sn層、107はAu
層105にあけた入射光受光用窓に配置したSi3N4窓層、10
8は基板108にあけた透過光取り出し用窓である。
ここで、p−i−n構造に加えられた逆バイアス電圧
を変化させることにより、MQW層101の光吸収係数を変化
させ、一定の強度の入射光に対して透過光の強度を変調
している。
p−i−n構造を用いているのは、単なるi−MQW層1
01のみでは、抵抗率が低く、電流損失による温度上昇が
生じるので、これを避けること、高抵抗にし電場が有効
に加えられるようにすること、p−i−n構造における
ビルトイン電場の利用により印加電圧の低減化が可能な
こと、逆バイアス電圧によりキャパシタンスが小さくな
ること、などの利点があるためである。
また、入射光および透過光の波長に対してp−i−n
構造の部分は比較的透明であるが、GaAs基板104はこの
光を吸収するので、基板104のうち光路に当たる部分を
エッチングで除去して窓としている。
第3図の従来例は、基本的には第2図と同じ構成であ
るが、MQW層101に隣接する両側にイントリンシック
(i)のGaAs/AlGaAs超格子(SL−Super Lattice)層11
1および112を配置し、これら超格子111および112の両側
にp型およびn型のGaAs/AlGaAs超格子によるコンタク
ト層113および114を、それぞれ、配置して、特性の改善
を図っている。
すなわち、i−GaAs/AlGaAs−SL層111および112は、
界面近傍のMQWの結晶性を向上させるためと、p−i−
n構造におけるp層およびn層からの不純物がi−MQW
層101へ進入するのを阻止するため、ならびにp−i−
n構造におけるp−iおよびi−n界面近傍の高電場の
不均一性を緩和してi−MQW層101に加わる電場の均一性
を得るために導入されている。
また、p型およびn型SLコンタクト層113および114
は、結晶薄膜製作時にAl原料の蒸発量を一定にしてGaAs
層およびAlGaAs層の厚さ(時間に比例)を制御すること
により実効的にxを制御したのと同等なAlxGa1-xAs混晶
を得るために用いられている。
これまでに述べたMQW構造におけるQCSE作用は、ps程
度と非常に速く、かつ数V程度の低電圧で動作し、さら
に半導体レーザーと同一の材料が使用可能であるため、
発光素子および受光素子とのモノリシック集積化の可能
性も大きく、現在、光通信分野における光変調器/スイ
ッチなどへの応用を目指してQCSEを利用した光デバイス
の開発がきわめて盛んに行なわれている。
QCSEを光情報処理用デバイスに応用する試みも、まだ
初歩的段階ではあるが、追求されている。たとえば、第
4図は、MQWにおけるQCSEを利用した反射型の光変調器
である。GaAs基板120上にAlxGa1-xAsの平均のxが0.188
なる超格子層とAlAsを十数層積層してなるn型の反射鏡
層121を配置する。その上にGaAsとAlGaAsから成るi−M
QW層122、さらに層122の上にp型のAlGaAs層123を配置
したp−i−n構造を設ける。124はp型層123上に配置
したAu電極である。入射光をハーフミラー125およびレ
ンズ126を介してp−i−n構造に入射させ、MQW層122
で変調された光は反射鏡層121で反射され、再びMQW層12
2を通過して変調されてから、レンズ126を介してハーフ
ミラー125により受光素子127に導かれる。この反射型の
構成によれば、GaAs基板120での光吸収を避けることが
でき、さらにp−i−n層を往復することにより変調感
度を向上させることができる。
第5図(A)は、SEED(Self−Electrooptic Effect
Device)と称されるデバイスであって、光双安定動作を
通じて光情報処理用デバイスとして非常に期待されてい
る素子である。この素子はi−MQW層131をi−バッファ
層132および133ではさみ、さらにその両側にp層134と
n層135とを配置したp−i−nホトダイオード構造に
電源Voより抵抗Rを介した逆バイアス加えた構成であ
る。
逆バイアス電圧の減少と共に光吸収が増加する動作状
態にしておくと、入射光の増加→光吸収の増加→光電流
の増加→抵抗Rによる電圧降下の増加→素子への印加電
圧の減少→光吸収の増加なる正帰還動作により、第5図
(B)に示されるように光双安定動作が得られる。
すなわち、はじめは入射光の増加と共に出力光も増加
するが、ある入射光強度で出力光が低レベルにスイッチ
され、この低レベル状態で入射光強度を減少させると下
向きのスイッチングが生じた値より小さい入射光強度で
今度は上向きに高レベル状態へのスイッチングが起こ
る。
この光双安定特性を利用して、光メモリー、光論理演
算、光閾値動作などの情報処理を行うことができること
が原理的に実証されている。
さらに、この素子を二次元並列的な画像処理に適用す
るための初歩的な試みとして、第6図に示す構成を6×
6のアレイに構成した素子も報告されている。第6図に
おいて、141はGaAs基板、142は基板141にあけた窓、143
は基板141上に設けた、Alの平均的成分比の大きいGaAs
とAlGaAsのn型超格子層、144は層143上のGaAsとAlGaAs
のn型超格子層、145は層144上に配置したi−バッファ
層、146はi−MQW層、147は層146上に配置したi−バッ
ファ層、148は層147上に配置したGaAsとAlGaAsのp型超
格子層である。以上の層143〜148によりi−MQW層146を
含むp−i−nホトダイオードを構成する。このホトダ
イオードの上に、GaAsとAlGaAsの超格子によるp+層149
およびn+層150を配置し、その上にGaAsとAlGaAsとによ
る超格子の形態のn層151,i層152,p層153をこの順序で
配置して第2のp−i−nホトダイオードを構成する。
層145〜153の周囲を覆うようにしてポリイミド層154を
設け、この層154の表面をAu膜155で覆う。さらに、p層
153の上面の一部分にはp−GaAs層156およびp+−GaAs層
157を設け、その表面をもAu膜155で覆う。さらに、p層
153の上面の一部分にはAu膜155で覆われていない窓158
を設け、この窓158より入射赤外光および赤色制御光を
上部のp−i−nホトダイオードに入射させる。この素
子ではi−MQW層146をi層として含むp−i−nホトダ
イオードの上に通常のp−i−nホトダイオードを積層
した構成となっており、上部のp−i−nホトダイオー
ドは第5図における抵抗Rの代りとして用いられてい
る。入射赤外光と透過赤外光の間の双安定動作は赤外光
によって得られるが、この時の動作点の設定は、上部の
p−i−nホトダイオードに別に入射させる赤色の制御
光の強度を変えることによってp−i−nホトダイオー
ドの抵抗を制御することにより行われる。
なお、この素子では、MQW層146をのぞき全ての層はGa
AsとAlGaAs超格子から作られており、Alの平均的成分比
を大きくして入射赤外光に対して吸収を少なくしてい
る。また、透過光を利用しているので、GaAs基板141の
一部分をエッチングにより除去して窓142を形成してい
る。
第7図はCCDとMQW光変調器を積層して構成した従来の
空間光変調素子の一例を示す。
第7図において、161はp+−AlGaAs基板、162は基板16
1上に配置したGaAs/AlGaAsによるMQW層、163はMQW層162
上のi−AlGaAs層、164は層163上のGaAsCCDのQWチャン
ネル層、165はチャンネル層164上に配置したn−AlGaAs
層、166は層165上に配置した不透明なCCDゲート、167は
層165において光の入射する部分に配置した透明なCCDゲ
ートである。
この空間光変調素子に対して、透明CCDゲート167より
画像パターンとして波長λの光を入射し、この光で生じ
た電荷をCCDチャンネル層164に貯え、この電荷によって
もたらされたMQW層162に加わる電場の変化により励起子
吸収に相当する波長λexの光を変調する。なお、ここ
で、CCDチャンネル層164の部分に、電荷を貯えるため
に、この層164としてシングルのQWが用いられている。
[発明が解決しようとする課題] 実用化されている上述の3つの空間光変調素子ならび
にMQW構造におけるQCSEの空間光変調素子への応用につ
いて分析し、その問題点とかかる問題点の解決を目指す
本発明の目的について述べる。
(イ)光伝導効果と電気光学効果を合わせ持つ結晶を用
いた素子(PROM−Pockels Read−Out Optical Modulato
r)は、結晶を透明絶縁膜で包み、両端面に透明電極を
つけた構成から成っており、電極間に1kV以上の電圧を
加えて動作させる。入射された画像情報としての光強度
分布は、光伝導効果により結晶内に電子と正孔を発生さ
せ、それぞれ、正電極および負電極側に移動し空間電荷
分布を生じさせるが、この空間電荷分布は結晶に加えら
れている電場を打ち消すように働くため、結晶内に空間
的に電場分布を与える。この電場分布は、電気光学効果
を通じて屈折率分布をもたらすので、この屈折率変化を
読出し光の偏光状態の変化として検出し画像として読出
す。この素子では、電場に対する屈折率変化が小さいた
め、高電圧を必要とする問題点があり、これに対応して
透明絶縁膜にも耐電圧の大きい材料(通常はパリレン)
を用いる必要がある。
(ロ)光伝導膜と液晶を組み合わせた素子(LCLV−Liqu
id Crystal Light Valve)の基本構成は、液晶セルと光
伝導膜を積層し、これを透明電極で挟んだ形となってい
る。入射光の強度分布に応じ、光伝導膜にインピーダン
スの分布が生じ、このため液晶に加わる電圧の空間的分
布が生じる。空間的電圧分布は液晶における複屈折の空
間分布を与えるが、この複屈折の変化を読出し光の偏光
状態の変化として検出し二次元並列的に画像として読み
出す。この素子は数十V程度の低電圧で動作するが、液
晶の応答速度が遅く、せいぜい30msと低速であることが
問題点である。
(ハ)光電子放出膜、MCP(マイクロ チャンネル プ
レート)および電気光学結晶を組み合わせた素子(MSLM
−Micro−channel−plate Spatial Light Modulator)
では、入射された光強度分布に対応して光電子放出膜か
ら放出される電子数の空間分布が得られ、この電子分布
はMCPで増倍された後、電気光学結晶上に誘電体を介し
て電荷パターンを形成する。この電荷パターンは電気光
学結晶に電場分布を与え、その結果、屈折率分布が生
じ、読出し光の偏光状態の分布として検出され、画像と
して出力される。この素子では、真空中に放出される電
子を利用するため真空を必要とすること、また、PROMと
同様に電気光学効果が小さいために高電圧を必要とする
点に加えて、MCPの動作のために高電圧を要することが
問題点としてあげられる。
以上、3つの主な空間光変調素子の分析とその問題点
について述べたが、このほかに共通していることとし
て、いずれの素子も偏光を用いている点がある。すなわ
ち読み出し光として直線偏光を用い、光変調部で偏光状
態の変化を受けた光を検光子で強度変化された光に変え
る。偏光の利用は光エネルギーの損失が原理的にないな
どの特長があるが、空間光変調素子など大面積の光ビー
ムが必要な場合には、大面積の偏光子や検光子を用いな
ければならず、高性能な素子を用いるときには高価とな
る。また、偏光子や検光子を用いない場合に比べて、装
置が大型かつ複雑になり、光の損失も増加する。
次に、MQW構造におけるQCSEを用いた画像処理用素子
の問題点について述べる。第4図〜第7図に示した素子
を二次元的にアレイ状に配列し、1画素に1素子を割り
当てるように構成すれば、極めて高性能な空間光変調器
が得られるので、米国を中心としてその実現に向けて精
力的に研究が進められている。しかし、現在、第6図の
素子については、精精10x10以下の素子についてアレイ
化ができるかできないかという段階であり、第7図の素
子についてはCCDおよびMQWの個別の動作が確認された段
階にしか過ぎず、大規模アレイ化には極めて先端的な超
薄膜結晶製作技術と微細加工技術の成熟を必要とするた
め、ここしばらくはその実現が困難視されている。そし
てまた、たとえ実現されても、当初はきわめて高価であ
ると予想される。そこで、本発明の目的は、上述した各
問題点の解決を図り、かつ簡単な構成となして、比較的
容易に実現可能となし、加えて、従来の空間光変調素子
に比べて低電圧かつ高速動作が期待できる空間光変調素
子を提供することにある。
本発明の他の目的は、上述した各問題点の解決を図
り、かつ簡単な構成となして、比較的容易に実現可能と
なし、加えて従来の空間光変調素子に比べて低電圧かつ
高速動作が期待できる双安定空間光変調素子を提供する
ことにある。
[課題を解決するための手段] このような目的を達成するために、本発明双安定空間
光変調素子は、2次元的入力光強度に応じて抵抗率が変
化する光伝導層と、電場に応じて光吸収係数が変化する
効果を有する多重量子井戸構造の材料で構成した光変調
層と、光伝導層と光変調層との間に配置された透明絶縁
層と、光伝導層と光変調層との間に直流電圧を印加する
手段と、光伝導層に制御光を導く手段とを具え、光変調
層に入力光を導き、光伝導層より双安定出力光を取り出
すようにしたことを特徴とする。
[作 用] 本発明では、MQW層と光伝導層の積層構造の両端面に
透明電極をつけた構成から成り、両層間に透明絶縁層あ
るいは反射層を介在させた構成であるから、素子の構成
が簡単であり、したがって、比較的容易に実現すること
ができる。しかもまた、本発明による空間光変調素子は
駆動電圧も数十V以下で動作し応答速度も1ms以下と予
想され、従来の空間光変調素子に比べて低電圧かつ高速
動作が期待できる。さらに加えて、本発明では、偏光を
用いないので、より簡易なシステム構成とすることも可
能である。
[実施例] 以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明す
る。まず、本発明の基礎となる空間変調素子について説
明する。
(空間光変調素子) 第1図は空間変調素子の最も基本的な構成を示し、こ
こで、光伝導層2とMQW光変調層4とを透明絶縁層3を
介して積層し、これら層2および4の両露出面に透明電
極11および12を、それぞれ、付着する。透明電極11と12
との間に直流電圧源5より直流電圧を印加する。入力光
パターンIPをダイクロイックミラー6を介して透明電極
11から光伝導層2に導く。出力光パターンOPは、MQW光
変調層4から透明電極12を経て取り出す。
この構成では、MQW光変調層4としては、例えば、第
3図に示したようなGaAs/AlGaAsから成るMQWをi層と
し、p型およびn型のAlGaAs(あるいはAlGaAs/GaAs−S
L)で挟んだp−i−n構造を用いる。
透明絶縁層3としては、第1図における読出し光RDの
波長に対して透明であり、かつ入力光パターンIPにより
光伝導層2で発生した光誘起キャリヤ(電子)がMQW光
変調層4に移動するのを阻止し得る材料を選ぶ必要があ
る。このような材料としては、たとえば、石英やサファ
イアの他に、後で述べるように、AlAsやAlの成分比の高
いAlGaAsあるいはAlGaAs/GaAs−SLがある。
さらに、光伝導層2には、入力光IPの波長に対し光伝
導効果を示すと共に、読出し光RDの波長に対しては透過
する材料を選ぶ必要があり、例えば、Cds,CdTe,Bi12SiO
20などがこれに該当する材料であるが、後述するよう
に、GaAs/AlGaAs−MQWを光変調層4とする場合には、Al
の成分比を適当に選んだAlGaAsを用いることもできる。
ここで、光伝導層2としては、入射光強度に対して抵抗
率が大きく減少する材料が好ましいが、光が入射されて
いないときには高い抵抗率を持つことも必要で、このた
め、AlGaAsなどを用いる場合には、無ドープの材料が使
われる。また、最近、超格子内での電子と正孔の有効質
量の差に基づいたトンネル効果の差(電子の方が2桁程
度トンネルしやすい)を利用して、より大きな光伝導効
果を1ms程度の速度で得た例もあり、このような材料も
利用可能と考えられる。
透明電極11および12としては、10nm程度の厚さの金属
(金など)または酸化錫やITO(Indium Tin Oxide)な
どを用いることができる。
第1図における空間光変調動作は、液晶空間光変調器
の動作と類似しており、入力光パターンIPを照射するこ
とにより、光伝導層2に入力光パターンIPの光強度分布
に応じた抵抗率分布が生じ、このため、電圧源5から素
子の両端に加えられた一定の直流電圧に対してMQW光変
調層4に加わる電圧に空間的分布が生じる。この電圧の
空間分布は、MQW光変調層4に光吸収係数の空間分布を
与え、一様な強度分布をもつ読出し光RDをダイクロイッ
クミラー6を介して素子に照射することにより、その透
過光はMQW光変調層4の光吸収係数の空間分布を反映し
たパターンとして出力される。
ここで、光変調については、MQW構造における励起子
吸収の電場による変化を利用しているため、読出し光RD
の波長は励起子吸収線近くに選ぶ必要があり、例として
とりあげたGaAs/AlGaAs−MQWを用いる場合には、約860n
mの波長の光を使用する。また、入力光パターンIP用の
光としては、光伝導層2が860nm近傍の波長の光に対し
て透明であることが必要であるから、一般には、約800n
mより短波長領域に光吸収・光伝導効果を有する光伝導
層を選び、赤色光などを用いればよい。ここで注意すべ
き点は、入力光IPが光伝導層2で完全に光吸収されずに
その透過光がMQW構造にまで達すると、MQW層4内にキャ
リヤを生じ励起子吸収に悪影響を及ぼす惧れがあること
である。これを避けるためには、光伝導層2で完全に吸
収される波長を選ぶか、あるいは入力光IPを阻止し、か
つ860nmの非変調光を透過する層を光伝導層2と透明絶
縁層3との間に設ける必要がある。
以上に述べた動作に基づき、被変調光として約860nm
のレーザ光を読出し光RDとして用いることによって、イ
ンコヒーレント光で照射された入力光パターンIPをコヒ
ーレント光パターンとして出力でき、いわゆるインコヒ
ーレント−コヒーレント変換を行うことができる。ま
た、読出し光RDとして強い光を用いれば、弱い光の入力
パターンIPを強い光の出力パターンOPとして得ることが
でき、画像増幅が可能となる。そのほか、読出し光RDと
して画像を入力し、入力光パターンIPを種々変化させる
ことにより、入力光パターンIPに応じて処理された画像
を出力光パターンOPとして得ることができる。
(具体的構成) 空間光変調素子の基本的構成例を第1図に示したが、
第8図に、GaAsおよびAlGaAs系の化合物半導体により、
第1図におけるMQW光変調層4、透明絶縁層3および光
伝導層2を一体化して素子を構成する具体例を示す。
第8図において、MQW光変調層4は、第3図に示され
た構成と基本的に同じであり、p−GaAs/AlGaAs−SL層6
1とn−GaAs/AlGaAs−SL層62との間にi−GaAs/AlGaAs
−SL層71および72を、それぞれ、介して、i−GaAs/AlG
aAs−MQW層4を配置して成るp−i−n構造20である。
SL層71および72はバッファ層であり、MQW層4の界面
近傍の結晶性の向上とともに、p型およびn型GaAs/AlG
aAs−SL層61および62からの不純物のMQW層4への進入の
阻止ならびにMQW層4に加える電場の均一性の向上に寄
与している。
光伝導層2としてはi−AlGaAsを用い、光が照射され
ないときには高抵抗率で光の照射と共に抵抗率が低減す
る効果を利用する。この光伝導層2としては、AlGaAs混
晶の代わりにGaAs/AlGaAs−SLを用いることができるほ
か、先に述べたように、電子と正孔の有効質量差に基づ
く超格子内のトンネリング確率の差を利用した高感度光
伝導効果を利用することもできる。
光伝導層2とp−i−n光変調層20との間のi−高Al
−GaAs/AlGaAs−SLによる透明絶縁層31は、 Alの成分比の高い(薄いGaAs層とAlの成分比の高いAl
GaAs層とから成る)超格子であって、第1図における透
明絶縁層3に相当する。すなわち、AlxGa1-xAs混晶で
は、Al成分比(x)が高くなるほどバンドギャップが大
きくなり、透明領域が短波長に広がるとともに、GaAsと
の界面では伝導帯および価電子帯のポテンシャル差が大
きくなり、GaAs中の電子および正孔にとってバリヤーと
しての壁が高くなる。これと同等の機能がGaAs/AlGaAs
−SLでも実現でき、GaAs層を薄くかつAlGaAs層のAlの成
分比を高くするほど超格子としての実効的バンドギャッ
プを大きくすることができる。従って、Alの成分比の高
いAlGaAs混晶またはGaAs層が薄く、かつAlGaAs層のAl成
分比の高いGaAs/AlGaAs−SL層31は、読出し光RDに対し
て透明であり、かつ光伝導層2から隣接するMQW層4を
含むp−i−n構造20へのキャリヤの進入を阻止する機
能を果たす。第8図の光伝導層2の上にも、同じ機能を
もつi−高Al−GaAs/AlGaAs−SL層32を配置する。p+
よびn+−GaAs/AlGaAs−SL層51および52は不純物濃度が
大きい材料であり、それぞれ、透明電極11および12との
オーミックコンタクトを得るために用いられる。
以上、GaAs/AlGaAs系材料を用いた一体化素子の構成
例について述べてきたが、ここで、各層に用いる材料の
光吸収および透過特性を示すと第9図のようになる。Ga
As単体では、約900nm付近に吸収端があり、これより短
波長の光は透過されない。GaAs/AlGaAs−MQWでは、電子
および正孔はGaAs井戸層に閉じ込められるため、その基
底準位はGaAsの伝導帯の底および価電子帯の頂よりエネ
ルギー的に高くなり、吸収端は短波長側にシフトすると
ともに、室温でも励起子吸収が安定に存在するようにな
り、したがって第9図に示すような透過特性を示す。
そして、この励起子吸収の電場による変化が光変調作
用を与えるので、読出し光としては、この近傍の波長の
光を用いなければならない。AlGaAs混晶では、Alの成分
比が高くなるほど、またGaAs/AlGaAs超格子では、GaAs
層が薄く、かつGaAlAs層のAlの成分比が高くなるほど、
バンドギャップが大きくなり、吸収端は短波長側にシフ
トするので、これらを制御することにより光吸収および
透過特性を設定することができる。
従って、光伝導層2としては、読出し光RDの約860nm
近傍の波長に対して透明であり、かつ赤色光より短波長
の光に対して十分吸収する比較的バンドギャップの小さ
いAlGaAs混晶またはGaAs/AlGaAs超格子を用い、第8図
でその前面に位置するp+−GaAs/AlGaAs−SL層51ならび
にi−高Al−GaAs/AlGaAs−SL層32としては、入力光パ
ターンIPの波長に対して十分透明であることが必要であ
り、バンドギャップの大きい、いわばGaAs層が薄く、Al
GaAs層のAl成分比が高い超格子を用いる。
また、第8図のp−i−n構造20におけるp,iおよび
n−GaAs/AlGaAs−SL層61,71,72,62および52は、MQW構
造における励起子吸収線の波長約860nmに対して透明で
あり、かつ透明絶縁層3に相当するi−高Al−GaAs/AlG
aAs−SL層31よりバンドギャップが小さいように設定す
る。
最後に、これまでに述べた構造は、分子線エピタキシ
ー(MBE−Molecular Beam Epitaxy)技術などの超薄膜
結晶製作技術を用いて形成され、第8図の構成の場合に
は、基板10としてGaAs結晶が用いられ、順次に各超薄膜
構造が育成されるが、第9図からわかるように、GaAsは
読出し光を吸収してしまうので、透過光を出力光として
得るときには、GaAsとAlGaAsとの選択エッチングにより
GaAs基板10の一部分を除去して窓15を形成する必要があ
る。
これまで、GaAs/AlGaAs−MQWを光変調層4として利用
することを前提にした場合について、空間光変調素子の
構成例について述べてきたが、MQW構造における励起子
吸収効果は他の材料系でも一般性を持っており、従っ
て、第1図および第8図と第9図に関して述べたことは
他の材料系についても適用できる。
例えば、InPを基板としたInGaAs(井戸層)/InGaAlAs
(バリア層),InGaAs/InAlAs,InGaAs/InP,GaSb基板上の
GaSb/GaAlSbなどのMQWにおけるQCSEについては既に報告
があり、将来的にはさらに多くの材料系、例えば、ZnSe
/ZnS1-xSexなど周期律表のII族およびVI族元素から成る
II−VI族化合物系の量子井戸および超格子構造の研究の
発展も期待されており、これらの材料に本発明を適用す
ればさらに広い波長領域の光での利用が可能となる。
(反射型空間光変調素子) 第10図は第1図の構成を変形して読出しを反射で行う
構成を示す。この構成では、入力光側から順次に透明電
極11,光伝導層2,反射層8,MQW光変調層4および透明電極
12を配置する。読出し光RDを半透鏡9を介して透明電極
12側より入射させ、出力光パターンOPを透明電極12から
半透鏡9を介して取り出す。
この構成においても、入力光パターンIPの強度分布に
応じた光伝導層2の抵抗率分布、さらにMQW光変調層4
における電場分布が生じることは第1図の実施例の構成
と同じであるが、この電場分布による光吸収係数の変化
の読出しを光伝導層2とMQW光変調層4との間に配置し
た反射層8での読出し光RDの反射によって行う。この構
成では、入力光パターンIPと読出し光RDとが空間的に分
離されているので、光伝導層2とMQW光変調層4を比較
的独自に設計でき、かつ用いる光の波長の範囲の自由度
も広げられる。すなわち、光伝導層2では、読出し光RD
の吸収や透過を考慮する必要はなく、例えばGaAs/AlGaA
s−MQW光変調層4に対して、第1図の構成ではGaAsを光
伝導層2として用いることはできなかったが、第10図の
構成ではGaAsを用いることもできる。また、読出し光は
MQW光変調層4を往復するので、変調感度が倍増し、そ
の結果、より低電圧の動作やコントラスト比の大きな光
変調が可能となる。
(具体的構成) 第11図は、GaAs/AlGaAs−MQWを光変調層4として用い
た場合の第10図示の反射型空間光変調素子の構成の具体
例である。ここで、第8図の具体例と同様の箇所には同
一符号を付す。
第8図に比べ、この具体例では、光伝導層2をi−Ga
Asで構成し、反射層8を、第4図の場合と同様に、AlAs
層とGaAs/AlGaAs−SL層を読出し光に対し4分の1波長
相当の厚さで積層した多層反射膜で構成する。また、こ
の反射膜8は、p型の材料で構成され、i−MQW層4を
含むp−i−n構造20からのp型部分をも構成している
ほか、光伝導層2からMQW光変調層4へのキャリヤ流入
を阻止する役割も果たしている。残余の層は、第8図で
説明したのと同様の作用をする。
実施例1(双安定空間光変調素子) これまで述べた空間光変調素子はいわばアナログ素子
であり、基本的には、入力光パターンIPの光強度分布を
読出し光RDでアナログ的に読み出すものである。これに
対し、最近、アナログ信号である入力光パターンを2値
化したり、閾値処理を行うなど、画像のディジタル処理
技術が注目を集めており、このために第5図に関して述
べた光双安定機能を有する双安定空間光変換素子の要望
が高まっている。
第12図は、MQW光変調層4を利用した双安定空間光変
換素子の基本構成例であり、構造としては第1図におけ
る光伝導層2とMQW光変調層4の配置を入れ換えた形と
なっている。ただし、入力光IPの波長は、MQW構造中の
励起子吸収線近傍の波長であり、かつ、この波長の光に
対して光伝導層2は、その一部分を吸収し光伝導効果を
示すような材料から構成されている。
第5図のSEEDと同様に、MQW光変調層4における光吸
収係数が電圧の増加とともに減少する動作設定では、は
じめ入力光が弱い場合、光伝導層2の抵抗率は大きく直
流電圧の大部分は光伝導層2に加わっており、MQW構造
に加わる電圧は小さいため、MQW層4での光吸収は大き
い。
しかし、入力光強度を増加していくと、光伝導層2の
抵抗率が減少→MQW層4に加わる電圧が増加→MQW層4の
光吸収が減少→MQW層4の透過光が増加→光伝導層2の
抵抗率が減少、という正帰還動作がはたらくので、第13
図に示すように、ある臨界入力光強度で出力光強度に低
レベルから高レベルへのジャンプが生じる。
また、出力光強度が高レベルにある状態で入力光強度
を下げていくと、第13図に示すように、上向きのジャン
プの場合と異なった臨界値で下向きのジャンプが起こ
る。
二つの臨界値の間の入力光強度に対して出力光強度は
高低二つの状態を取り得るので、このような動作を光双
安定動作という。この動作を利用すると、例えば、上向
きの臨界値より大きな入力光強度に対しては、出力光強
度は高レベル,臨界値より小さい入力光強度に対して
は、出力光強度は低レベルとなり、入力パターンの2値
化や閾値動作ができるほか、2つの画像を入力すること
により、画像間の論理積や論理和などの論理演算を行う
こともできる。
第13図に示した動作の臨界値の制御やヒステリシスル
ープの大きさの制御は電源5による電流電圧を変化させ
ることによって可能である。あるいは、また、第12図に
示したように、外部から透明電極12側に制御光CLを照射
し、その光強度を変化させても可能である。この場合の
制御光CLは光伝導層2を動作させればよく、従ってその
波長には光伝導効果が生じる広い範囲のものを利用でき
る。
このほか、第13図はある一定の直流電圧を印加した場
合についての入力光強度と出力光強度との関係を示した
ものであるが、入力光強度を一定にしておいて直流電圧
と出力光強度または制御光強度と出力光強度の間の関係
を求めても、第13図と類似の双安定特性が得られる。
第12図示の実施例についての説明において、2つの画
像間の演算が可能であることを述べたが、この場合の2
つの入力光パターンには励起子吸収線近傍の波長の光を
用いる必要があった。これに対し、第14図に示すよう
に、第12図示の構成の透明電極11側より第1入力光パタ
ーンIP1を入射させると共に、第2入力光パターンIP2を
半透鏡9を介して透明電極12側に入射させ、ここで、第
1入力光パターンIP1については励起子吸収線近傍の波
長を用い、第12図における制御光の代わりに第2入力光
パターンIP2を用いても、2つの画像パターン間の演算
を行うこともできる。あるいはまた、2つの制御光を用
い、それぞれに第1および第2入力光パターンIP1およ
びIP2の画像情報を担わせ、同時に光伝導層2に照射さ
せ、一方、励起子吸収線近傍の波長の一様な強度分布を
持つ光をMQW光変調層4側から入射させることにより、
第1および第2入力光パターンIP1およびIP2の2つの画
像間の演算結果が励起子吸収線近傍の波長の出力光パタ
ーンOPとして得られる。これらの動作はいずれも先に述
べた制御光強度と出力光強度との間の双安定動作に基づ
いており、また、制御光は光伝導層2に感度を持てばよ
いので、2つの入力光パターンの波長にはかなり広い範
囲の自由度が得られる。
実施例2(具体的構成) 第15図は、i−GaAs/AlGaAs−MQWを光変調層4として
用いる場合の双安定空間光変調素子の具体的構成例であ
る。ここで、MQWをi−層としたp−i−n構造20,i−A
lGaAs光伝導層2,i−高Al−GaAs/AlGaAs−SL透明絶縁層3
1および32など、第8図と同じ構成であり、それぞれの
機能も同じであるが、ただ、p−i−n構造20の光変調
層4に関連する層62,72,4,71,61と光伝導層2に関連す
る層31,2,32とが構造的に入れ替わっていること、なら
びに光伝導層2がMQWの励起子吸収線近傍の波長の光の
一部分を吸収し、かつ一部分を透過させる必要があるこ
とが異なっている。後者に関してはAlGaAs光伝導層2の
Alの成分比を小さくし、第9図におけるAlGaAs混晶の透
過率曲線を長波長側にシフトさせ、励起子吸収線近傍の
波長で一部吸収を与え、光伝導効果を生じるようにすれ
ばよい。
[発明の効果] 従来の空間光変調器には、液晶と光伝導層を組み合わ
せたもの(LCLV)や光伝導効果と電気光学効果を合わせ
持つ結晶を用いたもの(PROM)が広く用いられている
が、前者では応答速度が数十msと遅いこと、後者では1k
V以上の電圧を必要とするなどの欠点があったが、本発
明によれば、MQW構造の電場による光吸収係数の変化を
光変調に用い、その光変調層と光伝導層とを組み合わせ
て空間光変調素子を構成することによって、数十V以下
の低電圧で動作し、その応答速度もms程度であるため、
従来の素子に比べて高速かつ低電圧の動作を実現するこ
とができる。本発明によれば、従来の素子と同様に、透
過型または反射型の素子も構成できる。
しかもまた、従来の素子が異種の材料をいわばハイブ
リッド的に組み合わせて構成されていたのに対し、本発
明の素子は、半導体薄膜製作技術を用いて積層一体化の
形態で製造できる利点もある。
さらにまた、光変調層および光伝導層のそれぞれの構
成は同じまま両層の配置を入れ換えることによって双安
定空間光変調素子を構成でき、この素子は画像の2値
化,画像の閾値動作および画像間の論理演算など画像の
ディジタル処理機能を有している。
そのほか、本発明素子は、必ずしも偏光を用いる必要
がないため、光源の選択範囲の拡大,および偏光子や検
光子を使わないため、システム構成が簡単になるなどの
利点もある。
【図面の簡単な説明】
第1図は光伝導層とMQW光変調層とを組み合わせて構成
した空間光変調素子の基本構成例をその動作法と共に示
す断面図、 第2図はi−GaAs/AlGaAs−MQWをi層に持つp−i−n
構造の光変調器の従来例を示す断面図、 第3図は第2図示の素子の構成の詳細従来例を示す断面
図、 第4図は反射型のGaAs/AlGaAs−MQW光変調器の従来例の
構成を示す斜視図、 第5図(A)はMQWをi層とするp−i−nフォトダイ
オードを利用した従来の光双安定素子(SEED)の構成を
示す断面図、 第5図(B)はその光双安定動作の説明図、 第6図は第5図(A)のSEEDにおける抵抗Rを通常のp
−i−nフォトダイオードに置き換えMQWフォトダイオ
ードと積層一体化した従来の素子の構成例を示す断面
図、 第7図はMQW光変調層とCCDとを積層一体化した従来の空
間光変調素子の構成例を示す断面図、 第8図はi−GaAs/AlGaAs−MQWにより光変調層を構成し
た場合の空間光変調素子の積層一体化構成の一実施例を
示す断面図、 第9図は第8図示の各層の設計に必要な材料の光吸収お
よび透過率を定性的に示す特性図、 第10図は反射型の空間光変調素子の基本構成例をその動
作法と共に示す断面図、 第11図はi−GaAs/AlGaAs−MQWによって光変調層を構成
した反射型の空間光変調素子の積層一体化構成の一実施
例を示す断面図、 第12図はMQW光変調層と光伝導層との組合せによる双安
定空間光変調素子の基本構成例をその動作法と共に示す
断面図、 第13図はその光双安定動作を説明する図、 第14図は本発明双安定空間光変調素子の別の動作法を説
明するための断面図、 第15図はi−GaAs/AlGaAs−MQWにより光変調層を構成し
た本発明双安定空間光変調素子の積層一体化構成の一実
施例を示す断面図である。 2……光伝導層、 3……透明絶縁層、 4……MQW光変調層、 5……直流電圧源、 6……ダイクロイックミラー、 8……反射層、 9……半透鏡、 10……GaAs基板、 11,12……透明電極、 15……窓、 20……p−i−n構造、 31,32……i−高Al−GaAs/AlGaAs−SL層、 51……p+−GaAs/AlGaAs−SL層、 52……n+−GaAs/AlGaAs−SL層、 61……p−GaAs/AlGaAs−SL層、 62……n−GaAs/AlGaAs−SL層、 71,72……i−GaAs/AlGaAs−SL層。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2次元的入力光強度に応じて抵抗率が変化
    する光伝導層と、 電場に応じて光吸収係数が変化する効果を有する多重量
    子井戸構造の材料で構成した光変調層と、 前記光伝導層と前記光変調層との間に配置された透明絶
    縁層と、 前記光伝導層と前記光変調層との間に直流電圧を印加す
    る手段と、 前記光伝導層に制御光を導く手段と を具え、前記光変調層に入力光を導き、前記光伝導層よ
    り双安定出力光を取り出すようにしたことを特徴とする
    双安定空間光変調素子。
  2. 【請求項2】前記光伝導層がi−AlGaAs層であり、前記
    多重量子井戸構造の材料で構成した光変調層がi−GaAs
    /AlGaAs多重量子井戸であり、前記透明絶縁層がi−高A
    l−GaAs/AlGaAs層であることを特徴とする請求項1に記
    載の双安定空間光変調素子。
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