JP2757884B2 - 洗浄/乾燥方法及び装置 - Google Patents

洗浄/乾燥方法及び装置

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JP2757884B2
JP2757884B2 JP3088542A JP8854291A JP2757884B2 JP 2757884 B2 JP2757884 B2 JP 2757884B2 JP 3088542 A JP3088542 A JP 3088542A JP 8854291 A JP8854291 A JP 8854291A JP 2757884 B2 JP2757884 B2 JP 2757884B2
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浩 飯田
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悟 浅野目
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  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)
  • Cleaning By Liquid Or Steam (AREA)
  • Detergent Compositions (AREA)
  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製造工程において高精
密に洗浄する必要があり、また生産効率や耐蝕性の点か
ら、洗浄後により短時間にかつ確実に洗浄液を乾燥する
必要がある、電子部品や電子デバイス部品などの洗浄、
乾燥に好適な洗浄/乾燥方法および精密洗浄/乾燥装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、汚れや塵埃の付着が許されな
い精密部品や電子デバイス部品の製造工程などにおける
精密洗浄は、フルオロカーボンによる洗浄が主流を占め
ていた。精密洗浄用の洗浄剤としては、フルオロカーボ
ンのほかに、トリクロロエチレンなどのような塩素系の
溶剤もあるが、金属製品の場合は、洗浄工程で遊離した
塩素が付着して錆の原因となり、また樹脂製品やゴム製
品の場合は、膨潤などによる変形や寸法変化などを来す
など、製品に対し悪影響を与えるという問題がある。こ
れに対し、フルオロカーボンの場合には、このような問
題はなく、また非常に短時間に乾燥するので、従来から
フロン113 (三井デュポンフロロケミカル(株)製フル
オロカーボン)による洗浄が採用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】フルオロカーボンは人
畜には無害であるが、近年フルオロカーボンによるオゾ
ン層破壊が世界的な問題となっており、地球規模の環境
保護のために、全世界的にフルオロカーボンの使用が全
廃に向かっている。このような観点から、各社において
も、フルオロカーボンによる洗浄方法の代替方法とし
て、将来的に規制の心配のない水による精密洗浄の開発
が進められている。
【0004】精密洗浄として肝要なことは、洗浄能力に
すぐれていることの他に、洗浄後の乾燥が迅速かつ確実
に行なえることである。また、前記の塩素系の洗浄剤の
ように、被洗浄物に対し悪影響を与えることの無いこと
が必要である。
【0005】ところが、水で洗浄した場合は、金属で構
成される精密電子部品に錆が発生しないようにする必要
があり、またフロン113 の沸点が47℃であるのに対し、
水は100 ℃と高いため、蒸発しにくく、複雑な形状をし
た部品やめくらタップ穴のある部品は、短時間かつ確実
に乾燥することが困難である。
【0006】本発明の目的は、このような問題に着目
し、フルオロカーボンを用いる方法以外の方法で、金属
及び非金属製の被洗浄物に悪影響を与えることなしに、
精密洗浄および精密洗浄後の乾燥を確実かつ効率的に行
なえるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、精密部
品又は電子デバイス部品の被洗浄物を洗浄/乾燥するに
あたり、C 12 〜C 18 疎水性アルキル基を有する炭化水素
系界面活性剤、C 6 〜C 12 疎水性アルキル基を有するフ
ッ素系界面活性剤及び疎水性シリコン系界面活性剤から
なる群から選ばれた少なくとも一種の溌水性を有する界
面活性剤を含む水溶液に被洗浄物を浸漬して、被洗浄物
の表面に溌水性界面活性剤を少なくとも1分子層付着さ
せ、次いで水の沸点が100℃未満となるように減圧し
た雰囲気において、100℃未満の水蒸気によって被洗
浄物を加熱させた後、真空乾燥、振り切り、気体ブロー
及び加熱からなる群から選ばれた少なくとも一つの乾燥
手段を用いて該被洗浄物を乾燥させることからなる洗浄
/乾燥方法が提供される。
【0008】本発明に従えば、また、溌水性を有する界
面活性剤を含む水溶液に被洗浄物を浸漬して、被洗浄物
の表面に溌水性界面活性剤を少なくとも1分子層付着さ
せ、次いで水の沸点が 100℃未満、好ましくは80〜95℃
となるように減圧した雰囲気において、 100℃未満、好
ましくは80〜95℃の水蒸気によって被洗浄物を加熱し、
更に、例えば真空乾燥、振り切り、空気などの気体ブロ
ー、加熱などのような公知の乾燥手法によって乾燥する
洗浄/乾燥方法が提供される。
【0009】本発明に従えば、更に、溌水性を有する界
面活性剤を含む水溶液に被洗浄物を浸漬して、被洗浄物
の表面に溌水性界面活性剤を少なくとも1分子層付着さ
せ、水の沸点が 100℃未満、好ましくは80〜95℃となる
ように減圧した雰囲気において、 100℃未満、好ましく
は80〜95℃の水蒸気によって被洗浄物を加熱し、空気な
どの気体をブローし、真空乾燥する洗浄/乾燥方法が提
供される。
【0010】本発明に従えば、更に、被洗浄物を真空室
に入れ、水の沸点が 100℃未満となるように減圧した雰
囲気において、 100℃未満の水蒸気によって被洗浄物を
加熱し、気体をブローし、真空乾燥する洗浄/乾燥方法
が提供される。
【0011】本発明に従えば、更に、溌水性を有する界
面活性剤を含む水溶液を入れる水槽、該水槽において被
洗浄物に付着した過剰の界面活性剤を除去するためのシ
ャワー洗浄装置及びシャワー洗浄後の被洗浄物を乾燥す
るための真空室を備えて成り、該真空室が、水の沸点が
100℃未満となるように減圧した雰囲気において、 100
℃未満の水蒸気によって被洗浄物を加熱できるように、
水蒸気の噴射手段及び気体をブローして水切りできるよ
うに、気体ブロー手段を具備している洗浄/乾燥装置が
提供される。
【0012】本発明に従えば、更に、電磁波照射装置に
より、被洗浄物に付着した水分を加熱できる手段を有
し、電磁波照射装置により加熱中もしくは加熱後におい
て、(i)気体をブローして水切りできる気体ブロー手
段、(ii)真空にして水を蒸発乾燥できる減圧手段又は
(iii) 遠心分離してスピン乾燥できる遠心分離手段を有
している乾燥装置が提供される。
【0013】本発明に従えば、更に、界面活性剤を含む
水溶液の循環系内に設けられた溶液を溜めるオーバーフ
ロー受槽及び該受槽の液排出部に配して溶液の排出ドレ
ンに空気が巻き込まない水位に受槽の水位を保つ弁手段
から成る泡発生防止装置が提供される。
【0014】図1は本発明による洗浄/乾燥方法の基本
原理を説明する工程図である。
【0015】本発明の第一の態様では、精密部品や電子
部品などの製造過程において洗浄/乾燥を行なう際に、
溌水性を有する界面活性剤を含む水溶液に被洗浄物を浸
漬することにより、被洗浄物の表面に溌水性界面活性剤
を少なくとも1分子層付着させた後、真空乾燥、振り切
り、空気などの気体ブロー、加熱などのような公知の乾
燥手法によって乾燥を行なう。
【0016】溌水性界面活性剤の水溶液は、洗浄効果も
有るため、被洗浄物を溌水性界面活性剤の水溶液に浸漬
することにより、洗浄を行なってもよく、あるいは他の
工程で洗浄終了したものを溌水性界面活性剤の水溶液に
浸漬して、溌水性界面活性剤を少なくとも1分子層付着
させるだけでもよい。
【0017】このようにして、溌水性界面活性剤の水溶
液による洗浄に引き続いて、あるいは他の工程で洗浄さ
れたものを溌水性界面活性剤の水溶液に浸漬して、溌水
性界面活性剤を被洗浄物の表面に少なくとも1分子層付
着させてから、真空乾燥、振り切り、空気などの気体ブ
ロー、加熱などのような公知の乾燥手法によって乾燥を
行なう。
【0018】本発明の第二の態様では、前記のように、
溌水性を有する界面活性剤を含む水溶液に被洗浄物を浸
漬して、被洗浄物の表面に溌水性界面活性剤を少なくと
も1分子層付着させた後、水の沸点が 100℃未満、好ま
しくは80〜95℃となるように減圧した雰囲気において、
100℃未満、好ましくは80〜95℃の水蒸気によって被洗
浄物を加熱してから、真空乾燥、振り切り、空気などの
気体ブロー、加熱などのような公知の乾燥手法によって
乾燥を行なう。
【0019】本発明の第三の態様では、前記のように、
溌水性を有する界面活性剤を含む水溶液に被洗浄物を浸
漬して、被洗浄物の表面に溌水性界面活性剤を少なくと
も1分子層付着させた後、水の沸点が 100℃未満、好ま
しくは80〜95℃となるように減圧した雰囲気において、
100℃未満、好ましくは80〜95℃の水蒸気によって被洗
浄物を加熱し、次いで空気などの気体をブローした後、
真空乾燥することによって乾燥する。
【0020】本発明の第四の態様では、被洗浄物の種類
によって、あるいは汚れの原因物質の種類によっては、
必ずしも溌水性の有る界面活性剤の水溶液に浸漬しない
でも足りるので、通常の手法で洗浄した後に、溌水性界
面活性剤の整列分子層を付着させる工程を経ないで、被
洗浄物を真空室に入れ、水の沸点が 100℃未満、好まし
くは80〜95℃となるように減圧した雰囲気において、 1
00℃未満、好ましくは80〜95℃の水蒸気によって被洗浄
物を加熱し、次いで、水蒸気加熱を止め、同真空室中
で、続いて空気などの気体をブローし、真空乾燥によっ
て乾燥することによって所望の洗浄/乾燥を行なうこと
ができる。なお、この方法は、溌水性を有する界面活性
剤を含む水溶液以外の水溶液で洗浄した場合に適用され
る。
【0021】本発明の第五の態様は、溌水性界面活性剤
の水溶液を使用して洗浄/乾燥を行なう装置であり、図
2及び図3に示すように、溌水性を有する界面活性剤を
含む水溶液を入れる水槽6、該水槽6において被洗浄物
に付着した過剰の界面活性剤を除去するためのシャワー
洗浄装置及びシャワー洗浄後の被洗浄物を乾燥するため
の真空室12とを備えている。
【0022】本発明の洗浄/乾燥装置の真空室12は、水
の沸点が 100℃未満、好ましくは80〜95℃となるように
減圧した雰囲気において、 100℃未満、好ましくは80〜
95℃の水蒸気によって被洗浄物を加熱のできるように、
水蒸気の噴射手段を有し、さらに、次いで空気などをブ
ローして水切りできるように、エアーブローなどの気体
ブロー手段を有している。なお、水蒸気の噴射手段と気
体ブロー手段とは、ブロー手段(ノズル)を共用しても
よい。
【0023】前記した溌水性の界面活性剤としては、炭
化水素系、フッ素系又はシリコン系界面活性剤を使用す
る。炭化水素系界面活性剤では疎水基のアルキル鎖の炭
素数が12〜18、フッ素系界面活性剤では疎水基のアルキ
ル鎖の炭素数が6〜12、シリコン系界面活性剤では通常
の疎水性シリコン界面活性剤を使用する。
【0024】溌水性を有する界面活性剤を含む水溶液へ
の被洗浄物の浸漬条件には特に限定はなく、被洗浄物の
表面に溌水性界面活性剤の少なくとも1分子層を形成す
るに十分な条件であればよく、使用する界面活性剤の種
類にもよるが、一般には水溶液中の界面活性剤濃度300p
pm以上、好ましくは450ppm〜 5000ppm、温度30℃〜 100
℃未満、好ましくは40℃〜60℃、浸漬時間10秒以上、好
ましくは30秒〜2分とすることができる。
【0025】本発明の他の側面では、水で精密洗浄した
後の非金属製の精密部品や電子部品、および部品収納ケ
ース類に付着した水分を、電磁波の照射により、付着水
分を加熱しながら、もしくは加熱後、空気などの気体を
ブローして水切り乾燥をしたり、真空乾燥したり、又は
遠心分離乾燥したりする装置が提供される。
【0026】前記したように、本発明によればフルオロ
カーボンに代えて溌水性を有する界面活性剤、その他の
界面活性剤等を水に添加し洗浄力を高めているが、液の
清浄度を保つために用いる精密フィルターによる循環濾
過を行なう過程で発泡という問題が生ずる。図9は水に
界面活性剤を添加した洗浄液の液循環系統を示した、一
般的な洗浄システム図である。
【0027】すなわち洗浄液26は熱交換槽27からポンプ
により、フィルター28で精密濾過し、洗浄槽29に送られ
る。洗浄液26のポンプ液送に伴い、洗浄液は洗浄槽29の
上部から洗浄槽の縁に取りつけられたオーバーフロー受
槽30にオーバーフローする。このようにオーバーフロー
させるのは被洗浄物に付着していた油等の汚れが離脱す
ると、油は比重が水より軽いため洗浄槽の水面に浮き、
洗浄の終わった被洗浄物の出槽時に、油が再付着するの
を防ぐためである。オーバーフロー受槽30にオーバーフ
ローした洗浄液26は、ドレン配管31を通って再び熱交換
槽27に戻る。このように洗浄液26は絶えず循環濾過さ
れ、洗浄液26の清浄度が保たれる。また洗浄液26は洗浄
能力を向上させるため加熱するのが一般的であるが、水
分が蒸発し液レベルが低下し一定の濃度が保てなくなる
ため、蒸発した水分量を給水する必要がある。給水は熱
交換槽27に水位レベルセンサー32を取りつけ、水34を自
動弁35により自動給水するのが有効である。なお、36は
ヒーターを示す。
【0028】ところがオーバーフロー受槽30から洗浄液
26が、ドレン配管31に流れ込む際に空気が混入するた
め、熱交換槽27の水面上に泡33が発生する。泡33は連続
的に発生するため、やがては熱交換槽27から溢れるよう
になる。また前述の自動給水において、水位レベルセン
サー32が泡によって持ち上げられ、作動不能となってし
まう。
【0029】しかるに本発明の更に他の側面によれば、
泡の発生しやすい洗浄液を前述のような液循環を行なう
際に、泡の発生を効果的に防止することができる。
【0030】前記泡の発生は図9の循環ポンプの液送量
よりも、ドレン配管31からの洗浄液26の流出能力の方が
大きいために、空気も巻き込むことに起因する。逆に循
環ポンプの液送量よりも、ドレン配管31からの洗浄液流
出能力を下げると、オーバーフロー受槽30の水位が上昇
し、やがてはオーバーフロー受槽30から洗浄液が溢れて
しまう。
【0031】しかるに本発明の泡防止装置は、オーバー
フロー受槽30に空気が巻き込まれない水位まで洗浄液を
溜め、循環ポンプの液送量と平衡となるようドレン配管
31からの洗浄液流出量が自動的に調整されることによ
り、発泡が防止できるものである。
【0032】
【作用】本発明の第一の態様では、真空乾燥、振り切
り、空気などの気体ブロー、加熱などのような公知の乾
燥手法によって乾燥を行なう前に、溌水性(水をはじ
く)を有する界面活性剤を添加した水溶液に被洗浄物を
浸漬することにより、被洗浄物の表面に溌水性界面活性
剤を少なくとも1分子層付着させる。これは、被洗浄物
の洗浄を兼ねており、また他の工程ですでに洗浄された
ものに関しては、単に乾燥工程の前処理として、被洗浄
物の表面に溌水性界面活性剤を少なくとも1分子層付着
させるのが目的である。
【0033】溌水性を有する界面活性剤を含む水溶液
は、それ単独では必ずしもすぐれた洗浄液ではないが、
例えば超音波洗浄などと併用したりすることで洗浄能力
を発揮する。また、被洗浄物の種類によって、あるいは
汚れの原因物質の種類などによっては、溌水性を有する
界面活性剤水溶液を洗浄液として用いることで、充分洗
浄可能なこともある。
【0034】このように溌水性を有する界面活性剤を含
む水溶液を洗浄液として使用できる場合は、溌水性を有
する界面活性剤を含む水溶液による洗浄の後に、被洗浄
物を水槽から引き上げる際に、被洗浄物の表面に、当該
界面活性剤が少なくとも1分子層整列した状態で付着す
る。その結果、洗浄後の被洗浄物の表面は溌水性に富
み、水分が玉になるため、その後に真空乾燥、振り切
り、空気などの気体ブロー、加熱などのような公知の乾
燥手法によって乾燥を行なうことで、容易にかつ迅速に
乾燥することができる。
【0035】溌水性を有する界面活性剤を含む水溶液で
洗浄した場合は、前記のように洗浄液自体が溌水性を有
しているため、乾燥性に富んでおり、引き続いて真空乾
燥、振り切り、空気などの気体ブロー、加熱などの通常
の手法で乾燥を行なうだけで、容易にかつ迅速に乾燥で
きる。
【0036】これに対し、溌水性を有する界面活性剤を
含む水溶液以外の水溶液で洗浄した場合は、その後の乾
燥が困難である。ところが、溌水性のない水溶液などで
洗浄した後であっても、洗浄後の乾燥を行なう前に、前
処理として、溌水性を有する界面活性剤を含む水溶液
に、被洗浄物を浸漬することが有効である。浸漬の後、
被洗浄物を引き上げる際に、前記のように被洗浄物の表
面に、当該界面活性剤が少なくとも1分子層整列した状
態で付着し、被洗浄物の表面に溌水性ができるため、そ
の後は真空乾燥、振り切り、空気などの気体ブロー、加
熱などの如き通常の乾燥手法のみで、確実にかつ迅速に
乾燥することができる。
【0037】本発明の第二の態様では、前記のように、
溌水性を有する界面活性剤を含む水溶液に浸漬すると、
被洗浄物の表面に、当該界面活性剤が少なくとも1分子
層整列した状態で付着し、被洗浄物の表面の水分が玉に
なるため、容易に除去し乾燥することができる。しかし
ながら、複雑な形状をした部品などのように、特に乾燥
が困難な物については、表面が溌水性を有していても、
真空乾燥、振り切り、空気などの気体ブロー、加熱など
のような公知の乾燥手法のみでは不十分な場合もある。
【0038】被洗浄物に水蒸気を吹きつけて加熱すれ
ば、水の粘度が低下し、しかも熱で蒸発し易くなるの
で、乾燥が容易となる。しかしながら、水の沸点は100
℃と高いので、普通に水蒸気を吹きつけるだけでは、被
洗浄物の種類によっては、熱が高すぎるために、被洗浄
物自体が損傷する恐れがある。また、折角付着させた界
面活性剤の整列分子層まで除去されてしまう。
【0039】そこで本発明は、水蒸気で加熱するが、 1
00℃といった高温にならないように、減圧した雰囲気に
おいて、水蒸気を吹きつけ加熱する方法を採っている。
減圧した雰囲気では、水の沸点が低下し、大気圧下にお
ける沸点である 100℃より低温になる。したがって、被
洗浄物の性状に応じて、また先に付着させた界面活性剤
の整列分子層が除去されない程度の沸点温度となるよう
に、水蒸気加熱処理部の雰囲気を減圧する。
【0040】このように、被洗浄物を損傷しないよう
に、また界面活性剤の整列分子層が除去されない程度の
比較的低温で水蒸気加熱することによって、被洗浄物の
表面に付着している水分の粘度が下がり、かつ蒸発潜熱
が与えられるため、以後は真空乾燥、振り切り、空気な
どの気体ブロー、加熱などのような通常の乾燥手段のみ
でも比較的容易に乾燥できる。
【0041】本発明の第三の態様では、前記のように、
被洗浄物を損傷しないように、また界面活性剤の整列分
子層が除去されない程度の比較的低温で水蒸気加熱すれ
ば、以後は真空乾燥、振り切り、空気などの気体ブロ
ー、加熱などの通常の乾燥手段でも比較的容易に乾燥で
きるが、乾燥に時間がかかり、また形状が非常に複雑な
ものは乾燥が困難である。
【0042】ところが、前記のように低温水蒸気加熱し
た後に、空気などのブローが行なわれるため、被洗浄物
の表面の水玉状の水分が容易に吹き飛ばされる。このと
きの空気などが、熱風であれば、先に水蒸気加熱された
被洗浄物が冷えないため、水分の蒸発に必要な潜熱が供
給され、蒸発によっても乾燥が進行する。
【0043】空気等のブローの後でも、窪みなどのよう
なブローの困難な個所には水分が残存するが、この方法
によれば次いで真空乾燥が行なわれるため、窪みなどの
水分が吸引除去され、形状が複雑で乾燥の困難な被洗浄
物でも確実・迅速に乾燥できる。
【0044】本発明の第四の態様では、前記のように溌
水性を有する界面活性剤を含む水溶液に浸漬して引き上
げた後、減圧下で水蒸気加熱し、空気などの気体ブロ
ー、真空乾燥を行なうのが最良の方法であるが、被洗浄
物の種類によっては、溌水性を有する界面活性剤を含む
水溶液への浸漬を行なわないで、 100℃未満、好ましく
は80〜95℃の低温水蒸気による加熱と、空気などのブロ
ー、真空乾燥を組み合わせるだけでも、充分乾燥可能で
ある。
【0045】すなわち、溌水性を有する界面活性剤を含
む水溶液以外の水溶液で洗浄した後に、真空室に入れて
減圧雰囲気とし、被洗浄物を 100℃未満、好ましくは80
〜95℃の低温水蒸気で加熱すると、水分の粘度が低下
し、かつ熱で蒸発し易くなる。この状態で、引き続いて
空気などのブローを行なうと、水分は容易に吹き飛ばさ
れる。そして、次の真空乾燥により、窪みなどにおける
水分も確実に吸引除去される。
【0046】なお、これら一連の処理は単一の真空室中
で行なうことができ、作業性にすぐれている。すなわ
ち、被洗浄物の入った真空室中を減圧して水蒸気加熱し
た後、水蒸気の供給を止めて、ノズルをエア源に切り換
えると、空気がブローされる。次いで、空気の供給を止
めて、真空乾燥のみを行なうと、一連の乾燥処理が完了
する。
【0047】本発明の第五の態様では、溌水性を有する
界面活性剤としては、前記したように、炭化水素系、フ
ッ素系、シリコン系などが有るが、洗浄、乾燥用として
は、炭化水素系とフッ素系のものが適している。中で
も、炭化水素系では疎水基のアルキル鎖の炭素数が12〜
18、フッ素系では疎水基のアルキル鎖の炭素数が6〜12
の界面活性剤が有効である。
【0048】本発明に従った、溌水性界面活性剤の水溶
液を使用して洗浄/乾燥を行なう装置は、溌水性を有す
る界面活性剤を含む水溶液を入れる洗浄槽の次に、シャ
ワー洗浄装置を有しているため、被洗浄物に付着した過
剰の界面活性剤がシャワー洗浄によって除去されるの
で、被洗浄物の表面には、常に必要最小限の溌水性界面
活性剤の整列分子層が付着することになり、溌水性効果
が安定して維持される。
【0049】また、シャワー洗浄後の被洗浄物を乾燥す
るための真空室を有しており、この真空室は、水の沸点
が 100℃未満、好ましくは80〜95℃となるように減圧し
た雰囲気において、 100℃未満、好ましくは80〜95℃の
水蒸気によって被洗浄物を加熱できるように、水蒸気の
噴射手段を有しており、さらに、次いで空気などをブロ
ーして水切りできるように、ブロー手段を有している。
【0050】そのため、単一の真空室によって、低温水
蒸気加熱と、空気などのブローと、真空乾燥の3つの処
理を連続的に行なうことができ、作業性に富み、かつ装
置が簡単になる。
【0051】本発明の他の側面の第一の態様では、水分
が付着した非金属製の精密部品や電子部品、および部品
収納ケース類に、例えば 2450MHzの電磁波を照射するこ
とにより、被洗浄物自身はほとんど加熱されることな
く、表面に付着した水分のみが加熱される。表面に付着
した水分は、電磁波の照射出力が大きい程、また照射時
間が長い程、加熱速度は早くなる。加熱された水分は最
高で 100℃となるが、プラスティックなどの被洗浄物自
身は熱伝導率が小さいため、また空気などをブローしな
がら電磁波照射すれば、水滴は絶えず被洗浄物の表面上
を移動するため、被洗浄物自身はほとんど昇温せず、熱
変形等の悪影響を受けない。熱変形を起こしやすい被洗
浄物は、電磁波の照射出力を下げる、電磁波を間欠的に
照射する、あるいは、赤外線放射温度計により被洗浄物
の温度を感知しながら、電磁波の照射出力もしくは照射
をコントロールすることで、被洗浄物の熱変形等の悪影
響を受けないようにすることができる。
【0052】このように被洗浄物に付着した水分に、電
磁波照射し加熱しながらエアーブローすれば、被洗浄物
に熱変形等の悪影響を与えることなく、効果的に乾燥す
ることができる。また被洗浄物によっては、電磁波照射
による加熱をおこなった後、エアーブローしても悪影響
がない場合もある。被洗浄物の耐熱性が大きい場合、被
洗浄物が水溜りしにくい形状で高温水の停滞によるダメ
ージを受けにくい場合などである。
【0053】本発明の他の側面の第二の態様では、水分
が付着した非金属製の精密部品や電子部品、および部品
収納ケース類に、例えば 2450MHzの電磁波を照射するこ
とにより、被洗浄物自身はほとんど加熱されることな
く、表面に付着した水分のみが加熱される。表面に付着
した水分は、電磁波の照射出力が大きい程、また照射時
間が長い程、加熱速度は早くなる。加熱された水分は通
常の大気圧下では最高で100 ℃となるが、真空室内の減
圧下で電磁波照射による加熱を行なえば、真空度に対応
して水の沸点を任意に低下させることが可能となる。し
たがって被洗浄物の耐熱温度に対応した真空度以上の減
圧下で、電磁波照射による加熱を行なえば、被洗浄物自
身はほとんど昇温せず、熱変形等の悪影響を受けない。
【0054】このように被洗浄物に付着した水分は、真
空室内の減圧下で電磁波照射による加熱を行なえば、被
洗浄物に熱変形等の悪影響を与えることなく、効果的に
乾燥することができる。また被洗浄物によっては、電磁
波照射による加熱をおこなった後、真空乾燥しても悪影
響がない場合もある。被洗浄物の耐熱性が大きい場合、
被洗浄物が水溜りしにくい形状で高温水の停滞によるダ
メージを受けにくい場合などである。
【0055】本発明の他の側面の第三の態様では、水分
が付着した非金属製の精密部品や電子部品、および部品
収納ケース類に、例えば 2450MHzの電磁波を照射するこ
とにより、被洗浄物自身はほとんど加熱されることな
く、表面に付着した水分のみが加熱される。表面に付着
した水分は、電磁波の照射出力が大きい程、また照射時
間が長い程、加熱速度は早くなる。加熱された水分は最
高で 100℃となるが、プラスティックなどの被洗浄物自
身は熱伝導率が小さいため、また遠心分離をしながら電
磁波照射すれば、水滴は被洗浄物の表面上を移動するた
め、被洗浄物自身はほとんど昇温せず、熱変形等の悪影
響を受けにくい。変形を起こしやすい被洗浄物は、電磁
波の照射出力を下げる、電磁波を間欠的に照射する、あ
るいは、赤外線放射温度計により被洗浄物の温度を感知
しながら、電磁波の照射出力もしくは照射をコントロー
ルすることで、被洗浄物の熱変形等の悪影響を受けない
ようにすることができる。
【0056】このように被洗浄物に付着した水分に、電
磁波照射し加熱しながら遠心分離すれば、被洗浄物に熱
変形等の悪影響を与えることなく、効果的に乾燥するこ
とができる。また被洗浄物によっては、電磁波照射によ
る加熱を行なった後、遠心分離しても悪影響がない場合
もある。被洗浄物の耐熱性が大きい場合、被洗浄物が水
溜りしにくい形状で高温水の停滞によるダメージを受け
にくい場合などである。
【0057】
【実施例】次に本発明の洗浄/乾燥方法及び洗浄/乾燥
装置並びに乾燥装置及び泡防止装置の具体例を以下の実
施例に基づいて説明するが、本発明の範囲をこれらの実
施例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0058】図2、図3及び図4は、本発明の方法で洗
浄及び洗浄後の乾燥を行なう装置の実施例で、図2及び
図3は工程図及び装置の縦断面図である。この装置は、
溌水性を有する界面活性剤を含む水溶液による洗浄装置
1、第一シャワー洗浄装置2、第二シャワー洗浄装置
3、遠心分離乾燥装置4及び真空乾燥装置5の順に配置
されている。
【0059】図2において、洗浄装置1は、水槽6中
に、溌水性を有する界面活性剤を含む水溶液7を入れて
あり、また一般的な超音波発生装置8を内蔵している。
なお、この洗浄装置1は、洗浄によって発生した浮遊汚
物を回収し、例えばコイル加熱の加熱水槽9中で加熱し
た後、フィルター10で浄化し、再使用するようになって
いる。第一シャワー洗浄装置2と第二シャワー洗浄装置
3は、両方とも純水を被洗浄物に噴射し、先の洗浄液を
洗い落とす装置である。
【0060】図3において、遠心分離乾燥装置4は、被
洗浄物を入れたバスケット11をモータMで回転させ、遠
心力で水分を除去する装置である。真空乾燥装置5は、
真空室12中に被洗浄物を入れて密閉した状態で、真空ポ
ンプVPで減圧することにより、水分を吸引除去する装
置である。13は搬送機であり、処理の終わった被洗浄物
を吊り上げて次の工程に移送する装置である。
【0061】この装置において、洗浄及び乾燥を行なう
には、溌水性を有する界面活性剤を含む水溶液7の入っ
た水槽6中に被洗浄物を入れた状態で、超音波発生装置
8を駆動し、被洗浄物の表面の汚れや塵埃を洗浄除去す
る。洗浄が終わると、搬送機13によって被洗浄物を吊り
上げて、次の第一シャワー洗浄装置2に移送するが、被
洗浄物を吊り上げる際に、洗浄後の被洗浄物の表面に、
溌水性の有る界面活性剤が、少なくとも1分子層整列し
た状態で付着する。
【0062】実際には、1分子層だけ付着することは少
なく、複数分子層付着するので、次の第一シャワー洗浄
装置2において、溌水性を有する界面活性剤の水溶液を
純水で洗い落とす。この第一シャワー洗浄装置2による
純水噴射のみで過剰の溌水性界面活性剤が除去されれ
ば、純水シャワー洗浄は1工程のみで足りるが、不十分
な場合は、第二シャワー洗浄装置3に移送して、再度純
水シャワー洗浄を行なう。これによって、被洗浄物の表
面には、少なくとも1分子層程度、溌水性を有する界面
活性剤が付着した状態となる。
【0063】こうして過剰な溌水性界面活性剤が除去さ
れると、通常の手法による乾燥が行なわれる。すなわ
ち、遠心分離乾燥装置4において、被洗浄物をバスケッ
ト11に入れて、モータMで回転させ、遠心力で水分を除
去する。あるいは、真空室12中に入れて密閉した状態
で、真空ポンプVPによって減圧し、水分を真空吸引す
る。
【0064】前記の純水シャワー洗浄によって、過剰な
溌水性界面活性剤は除去されるが、どんなに水洗して
も、少なくとも1分子層は被洗浄物の表面に付着してお
り、これによって溌水性が維持され、水をはじくように
なり、その上に付着している水分は玉になる。その結
果、水分は自重のみで落下するので、溌水性の無い界面
活性剤を使用した場合、あるいは界面活性剤を使用しな
い場合に比べて、水の付着量は1/3程度となる。従っ
て、次の乾燥処理の負担が軽減される。
【0065】しかも、表面に付着している溌水性界面活
性剤の膜の表面は、前記のように水をはじき、水分が玉
になるので、遠心力や真空吸引などの如き通常の乾燥手
法でも容易にかつ確実に除去できる。なお、純水シャワ
ー洗浄後の乾燥には、遠心分離や真空乾燥などの他に、
空気などのブローや加熱などの手法を用いてもよい。
【0066】真空乾燥装置5の真空室12は、水の沸点が
100℃未満となるように減圧した雰囲気において、 100
℃未満の温度の水蒸気によって被洗浄物を加熱のできる
ように、水蒸気の噴射手段を有しており、また次いで空
気などの気体をブローして水切りできるように、ブロー
手段を有している。
【0067】そのため、減圧下において、水蒸気を噴射
することにより、前記したように、100 ℃未満、好まし
くは80〜95℃の水蒸気によって被洗浄物を加熱すること
ができる。水蒸気加熱によって、水分の表面張力が低下
し、また被洗浄物が加熱されて水分が蒸発しやすくな
る。同一の真空室12において、次に常温空気や熱風など
をブローして水分を吹き飛ばした後、真空乾燥によって
水分を吸引排除することができる。
【0068】また、このように水の沸点を下げた状態で
水蒸気加熱した後、エアーブローできる真空室12を設け
れば、本発明の第四の態様のように、溌水性界面活性剤
の水溶液を用いないで水洗浄した後の乾燥にも有効であ
る。
【0069】なお、低温水蒸気の温度は、圧力に依存す
るため、通常の真空ポンプの能力である−700mHg程度で
は、40℃程度までが限度であるが、真空ポンプの能力の
向上により、さらに低温化が可能である。
【0070】図2及び図3の装置は、溌水性界面活性剤
の水溶液によって洗浄を行ない、かつ洗浄後に被洗浄物
表面に付着した溌水性界面活性剤の溌水性効果を利用し
て、乾燥効果を高めることをねらったものであるが、機
械加工後の被洗浄物のように油の付着している物品の場
合は、溌水性界面活性剤と超音波発生装置を併用しただ
けでは充分洗浄できない。
【0071】このように油分の付着した被洗浄物のよう
な場合には、予め図4に示すような特別な洗浄槽14で油
成分を洗浄した後、シャワー洗浄装置15で水洗する。そ
の後、搬送機13によって、図2に示した溌水性界面活性
剤の水溶液による洗浄装置1に移送し、溌水性界面活性
剤を付着させる。なお、この場合は、水槽6中の超音波
発生装置8は必ずしも駆動する必要はないが、油成分除
去後の被洗浄物を溌水性界面活性剤の水溶液で再洗浄す
るのが好ましい場合は、該超音波発生装置8を駆動し、
洗浄も行なう。それ以降は、図2及び図3において説明
したとおりである。
【0072】なお、図4において、油成分洗浄槽14は、
油洗浄に適したアルカリ性脱脂剤(例えばファインクリ
ーナFC35(日本パーカライジング(株)製)を添加した
水溶液16が水槽中に入っており、かつ超音波発生装置8
を内蔵している。表面に浮遊した油成分は、コイル加熱
手段を有する回収装置17に回収された後、集油フロート
18で液面部分のみ回収され、次の油分離装置19で油成分
20が分離除去される。
【0073】次に溌水性を有する界面活性剤、洗浄及び
乾燥条件について説明する。本発明は、溌水性を有する
界面活性剤を添加した水溶液で洗浄したり、洗浄後の乾
燥の前処理を行なう。従って、洗浄効果及び溌水性効果
の双方において優れた界面活性剤が必要となる。すなわ
ち、表面張力を低下させる界面活性剤を使用して、湿潤
性及び浸透性を増加させることが重要である。一般的
に、界面活性剤としては、炭化水素系、フッ素系、シリ
コン系のものが有るが、本発明者らが検討した結果、フ
ッ素系の界面活性剤には、次のような特性を有し、本発
明の目的に最も望ましいものであることが認められた。
【0074】(1) 表面張力の低下能力が最もすぐれてい
る。例えば、フッ素系: 15dyn/cm、シリコン系: 22d
yn/cm、炭化水素系: 30dyn/cmであった。 (2) 溌水性及び溌油性を有する。 (3) 耐熱安定性にすぐれている。 (4) 毒性が小さい。
【0075】このように、表面張力が低く、溌水性を有
する界面活性剤を用いれば、洗浄性を高めるとともに被
洗浄物への水付着量が少なくなり、乾燥性を上げること
が期待できる。また溌油性もあるため、被洗浄物から遊
離した油の回収が容易になり、油分離装置で回収できる
とともに、被洗浄物への油分再付着も防止可能となる。
【0076】以下に、フッ素系界面活性剤として、アニ
オン系(パーフロロアルキルカルボン酸塩(S-113) とパ
ーフロロアルキルリン酸エステル(S-112)) 、ノニオン
系(パーフロロアルキルアミンオキサイド(S-141))及
びカチオン系(パーフロロアルキルトリメチルアンモニ
ウム塩(S-121)) を選択し、これらについて、被洗浄物
サンプルとしてアルミニウムA5052板 (50mm×50mm×1
mm) を用い、温度、処理時間を変化させて水付着量を低
下させる最適処理条件を検討した。結果は表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】表1に示すように、温度を、30℃〜70℃に
おいて10℃おきに変え、溌水性を有する界面活性剤を含
む水溶液への浸漬時間を、15秒、30秒、45秒、60秒、90
秒及び120 秒と変えて実験した。その結果、全体的な傾
向として、温度が高いほど、また浸漬時間が長いほど、
水の付着量が少なかった。また、アニオン系、ノニオン
系及びカチオン系の中では、アニオン系が最も水付着量
が少なく、次にノニオン系が少なかった。アニオン系の
中では、パーフロロアルキルカルボン酸塩が特に水付着
量が少なく、パーフロロアルキルリン酸エステルは、ノ
ニオン系のパーフロロアルキルアミンオキサイドとほぼ
同程度であった。
【0079】結局、アニオン系のパーフロロアルキルカ
ルボン酸塩が最も溌水性にすぐれていた。なお、アニオ
ン系のパーフロロアルキルカルボン酸塩の場合は、50℃
で90秒以上、60℃で60秒以上、70℃で45秒以上浸漬する
と、水付着量は零となった。
【0080】ところで、パーフロロアルキルカルボン酸
塩は図5に示すような鎖構造で被洗浄物の表面に付着し
ている。この図におけるアルキル鎖の炭素数は8である
が、フッ素系の溌水性界面活性剤におけるアルキル鎖の
炭素数は6〜12程度のものが溌水性にすぐれていた。ち
なみに、炭化水素系では、アルキル鎖の炭素数が12〜18
程度のものが溌水性にすぐれていた。
【0081】次に溌水性を有する界面活性剤として、パ
ーフロロアルキルカルボン酸塩を使用し、その濃度の影
響を検討した。即ち、40℃、50℃及び60℃において、パ
ーフロロアルキルカルボン酸塩濃度を 30ppm、150ppm、
300ppm、1500ppm 及び 3000ppmと変え、浸漬時間を1分
に固定して実験した。結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】表2の結果から明らかなように、40℃では
濃度 3000ppmの場合でも、水付着量は30%程度であっ
た。50℃では、濃度が 1500ppm以上になると、水付着量
は零となった。また60℃では、濃度300ppm以上で、全て
水付着量は零となった。従って、浸漬時間が1分、液温
60℃では、300ppm以上の濃度にすれば、水付着量を零に
できる。
【0084】次に、浸漬時間を30秒、1分及び1分30秒
と変えて、濃度300ppm付近で試験した。結果を表3に示
す。
【0085】
【表3】
【0086】表3の結果から明らかなように、50℃にお
いて1分30秒間浸漬し、かつ濃度を450ppm以上とする
と、水付着量は零となった。60℃においては、濃度450p
pm以上では、1分間の浸漬で、水付着量が零となった。
また、1分30秒の浸漬では、300ppm以上の濃度で、水付
着量が零となった。したがって、60℃で1分間浸漬する
ことによって、完全な溌水性を得るには、450ppm以上の
濃度とする必要がある。
【0087】ところが、パーフロロアルキルカルボン酸
塩による純水の表面張力低下は、300ppm程度の添加によ
り、 17dyn/cm程度に低下させることができるので、表
面張力の観点からは300ppm以上の濃度が望ましいが、処
理マージンを考慮すると、600ppm程度が好ましい。な
お、表面張力は、純水が 73dyn、フロン113 が 20dynで
ある。
【0088】次に、最適濃度であるパーフロロアルキル
カルボン酸アンモニウム濃度600ppmの水溶液中で、液温
60℃及び1分間の条件で超音波洗浄(条件:周波数 28K
Hz、出力 200W)した後の、水の付着量を検討すること
で、溌水性効果を評価した。その結果、パーフロロアル
キルカルボン酸アンモニウム濃度600ppmの水溶液中で超
音波洗浄したものは、純水のみで洗浄したものに比べ
て、水の付着量は約1/3となった。さらにエアーブロ
ー(条件:圧力6kg/cm2Gのエアーを50cmの距離から3
秒間ブロー)すると、純水のみで洗浄した後にエアーブ
ローしたものに比べると、1/1000以下の水付着量とな
った。すなわち、溌水性界面活性剤の水溶液で洗浄した
後に、エアーブローして水分を吹き飛ばすことにより、
乾燥効果が促進される。
【0089】しかしながら、水付着量が大幅に減少した
としても、完全乾燥とはならないため、本発明者らは、
完全乾燥を実現する手法として、被洗浄物の加熱を検討
した。被洗浄物を加熱すれば、水の粘度が低下し、しか
も熱で蒸発し易くなるからである。特に、蒸発潜熱が、
フロン113 の場合は 35cal/gであるのに対し、水は53
9cal/gと15倍も水の方が大きく、水蒸発に必要な熱量
が大きいので、被洗浄物に予めより大量の熱を与えてお
くことが肝要である。
【0090】そこで熱源を検討した結果、温水あるいは
熱風に比べて、水蒸気加熱が効果的であった。水蒸気は
熱保有量が大きく、高速で加熱できるため、水分が蒸発
するのに充分な熱量を与えることができる。
【0091】しかしながら、水の沸点は 100℃と高いの
で、被洗浄物の種類によっては、被洗浄物自体が損傷す
る恐れがあり、また、折角付着させた界面活性剤の整列
分子層まで除去されてしまう。
【0092】そこで本発明は、水蒸気で加熱するが、 1
00℃といった高温にならないように、減圧した雰囲気に
おいて、水蒸気を吹きつける方法を試みた。その結果、
水の沸点が 100℃未満、好ましくは80〜95℃となるよう
に減圧し、水蒸気を噴射したところ、水分が効果的に乾
燥され、しかも界面活性剤の整列分子層が除去されない
ことが判明した。従って、被洗浄物の性状などに応じ
て、噴射水蒸気の温度をこの範囲において任意に設定す
るのが望ましい。
【0093】このように低温水蒸気加熱は不可欠である
ことが判明したが、乾燥効果をさらに上げるために、次
のように種々の実験・改良を繰り返した。 1) 低温水蒸気加熱した後に、真空乾燥のみを行なう。 2) 低温水蒸気加熱した後に、真空乾燥し、ついで真空
室中で熱風供給する。 3) 低温水蒸気加熱した後に、真空室の蓋を開放して、
熱風をエアーブローし、その後真空乾燥する。 4) 低温水蒸気加熱した後に、真空室中で熱風供給 (ド
ライ置換) した後、真空乾燥する。
【0094】これらのうち、3)の低温水蒸気加熱の後
に、大気圧下で熱風をエアーブローし、その後に真空乾
燥する方法が最良の結果となった。すなわち、1)の方法
においては、真空乾燥を30分行なっても、水分が残っ
た。
【0095】前記のように、エアーブローは有効であっ
たため、低温水蒸気加熱の効果を損なわずに、しかもエ
アーブローの効果をねらって、熱風によるエアーブロー
を試みたところ、極めて良好な結果が得られた。熱風エ
アーブローを10秒間行なうだけで殆どの水が飛ばされ、
かつ加熱によって蒸発した。また、熱風エアーブローを
20秒間行なった後に真空乾燥を1分30秒行なったとこ
ろ、完全乾燥された。
【0096】形状が単純な被洗浄物であれば、真空乾燥
は必ずしも必要ないが、窪みが有るなど、複雑な形状を
したものの場合は、最後に真空吸引を行なうことで、完
全乾燥が可能となる。この真空乾燥は通常は雰囲気温度
で実施するが、必要があれば100 ℃未満の温度に加熱し
ながら真空に吸引してもよい。
【0097】以上により、最良の乾燥方法が確認された
が、被洗浄物の種類や性状、汚れの原因物質によって
は、図4のような特別の洗浄を行なわずに、乾燥の前処
理用の溌水性界面活性剤の水溶液でも洗浄可能であるこ
とが明らかとなった。
【0098】例えば、アロジン処理したアルミニウムサ
ンプルに、3種類の切削油(GM5(日本石油(株)
製)、GS5(日本石油(株)製)、FW68(日本石油
(株)製))を塗布し、前記のパーフロロアルキルカルボ
ン酸塩水溶液中で60℃で1分間超音波洗浄(条件:周波
数 28KHz、出力 200W)した後、純水でシャワー洗浄
し、乾燥した結果、3点とも油シミは認められず、良好
に脱脂されていた。
【0099】また塵埃の洗浄効果についても、従来のフ
ルオロカーボンによる洗浄よりも本発明による溌水性界
面活性剤の水溶液による洗浄の方が、残存塵埃個数が約
1/10以下とすぐれていた。
【0100】次に本発明の方法で洗浄/乾燥した場合の
被洗浄物への影響を検討した。即ち、被洗浄物として、
無電解ニッケルめっき品2種類、クロム酸化成処理めっ
き品2種類、電池酸化処理品1種類につき、耐蝕性試験
したところ、5点とも異常は認められなかった。また、
セロハンテープを貼りつけた後、剥がすことで密着性試
験したところ、5点とも異常は認められなかった。
【0101】本発明の第二の側面に従えば、図6に示す
ように被洗浄物上の水分が電磁波照射により、効果的に
加熱が行なえるよう、被洗浄物が回転できるテーブル21
を有し、付着した水分を加熱できるように、例えば 245
0MHzの電磁波が照射できる照射装置22を有し、更に被洗
浄物上の加熱された水分を空気などによりブローして、
水切りができるようにエアーブロー装置23から、例えば
HEPAフィルター24を介してエアーブローするように
構成されている。なお、被洗浄物の形状によっては、被
洗浄物が回転できるテーブル21は回転できる構造でなく
ても良い。なお、25はふたである。なお、この回転方式
はシャワー洗浄装置においても実用でき、その際は水ブ
ローノズルを一又は二方向からのみ噴射することもでき
る。
【0102】図7は水で精密洗浄した後の非金属製の精
密部品や電子部品、及び部品収納ケース類に付着した水
分を、電磁波の照射により、付着水分を加熱しながら、
もしくは加熱後、真空乾燥により、蒸発乾燥を行なう装
置である。図7に示すように、被洗浄物上の水分が電磁
波照射により、効果的に加熱が行なえるよう、被洗浄物
が回転できるテーブル21を有し、付着した水分を加熱で
きるように、例えば 2450MHzの電磁波が照射できる照射
装置22を有し、被洗浄物上の加熱された水分が真空乾燥
により、蒸発乾燥できるように真空室ポンプVPを有し
ている。なお、被洗浄物の形状によっては、被洗浄物が
回転できるテーブル21は回転できる構造でなくても良
い。
【0103】図8は水で精密洗浄した後の非金属製の精
密部品や電子部品、及び部品収納ケース類に付着した水
分を、電磁波の照射により、付着水分を加熱しながら、
もしくは加熱後、遠心分離により、スピン乾燥を行なう
装置である。図8に示すように、被洗浄物上の水分が電
磁波照射により、効果的に加熱が行なえるよう、被洗浄
物が回転できるテーブル21を有し、付着した水分を加熱
できるように、例えば2450MHzの電磁波が照射できる照
射装置22を有し、被洗浄物上の加熱された水分が遠心分
離により、スピン乾燥できるように、テーブル21は高速
でも回転できる構造となっている。
【0104】次に本発明の第三の側面によれば、液洗浄
循環系での発泡を効果的に防止することができる。以
下、そのいくつかの具体的実施例を説明する。図10及び
図11に示すように、本発明の泡発生防止装置によれば、
図9に示した洗浄液26の循環系の、洗浄液オーバーフロ
ー受槽30内に泡発生防止手段36を配置する。この手段36
としては種々の態様が考えられ、それらを図12〜図21に
示す。例えば図12及び図13の例では、フロート37又は38
の浮力に連動して開閉する弁39又は40を有し、溶液の排
出ドレン31に空気が巻き込まない受槽30の水位で、弁39
又は40が開閉するように構成している。この弁39又は40
は、受槽30に入る洗浄液の循環量と、弁を介してドレン
排出する流量がつりあった位置で浮上する。
【0105】図14及び図15に示した泡発生防止手段は、
洗浄液の循環系内のオーバーフロー受槽30、洗浄液の排
出ドレン31に連結され、洗浄液が浸入できる穴を有す外
筒41又は42、及びフロート43又は44の浮力に連動して外
筒41又は42の穴を開閉する内筒45又は44を有し、洗浄液
の排出ドレン31に空気が巻き込まない受槽30の水位で外
筒41又は42の穴を開閉する。この内筒45又は44は、受槽
30に入る洗浄液の循環量と、外筒41又は42の穴を介して
ドレン排出する流量がつりあった位置で浮上する。これ
らの穴はオーバーフローした液量が十分に排出できるよ
うにしておく必要がある。これは以下の態様においても
同じである。
【0106】図16及び図17に示した泡発生防止手段は、
洗浄液の循環系内のオーバーフロー受槽30、洗浄液の排
出ドレン31に連結され、洗浄液が浸入できる穴を有す内
筒46又は47、及びフロート48又は49の浮力に連動して内
筒46又は47の穴を開閉する外筒50又は49を有し、洗浄液
の排出ドレン31に空気が巻き込まない受槽30の水位で、
内筒46又は47の穴を開閉する。この外筒50又は49は、受
槽30に入る溶液の循環量と、内筒46又は47の穴を介して
ドレン排出する流量がつりあった位置で浮上する。
【0107】図18及び図19に示した泡発生防止手段は、
洗浄液の循環系内のオーバーフロー受槽30、洗浄液の排
出ドレン31に連結された内筒51又は52、及び洗浄液が浸
入できる穴を有し、かつフロート53又は54の浮力に連動
して穴が開閉される外筒55又は54を有し、溶液の排出ド
レン31に空気が巻き込まない受槽30の水位で、外筒53又
は54の穴を開閉する。この外筒55又は54は、受槽30に入
る洗浄液の循環量と、外筒55又は54の穴を介してドレ
ン排出する流量がつりあった位置で浮上する。
【0108】図20及び図21に示した泡発生防止手段は、
洗浄液の循環系内のオーバーフロー受槽30、洗浄液の排
出ドレン31に連結された外筒56又は57、及び洗浄液が浸
入できる穴を有し、かつフロート58又は59の浮力に連動
して穴が開閉される内筒60又は59を有し、溶液の排出ド
レン31に空気が巻き込まない受槽30の水位で、内筒60又
は59の穴を開閉する。この内筒60又は59が、受槽30に入
る溶液の循環量と、内筒60又は59の穴を介してドレン排
出する流量がつりあった位置で浮上する。前記した各フ
ロートは、内部が空洞で上部にエアー抜きできる手段を
有し、フロート内に洗浄液を浸入させ、浮力の調整を行
なうことができるようになされている。
【0109】なお、前記した各種内筒及び外筒の形状は
円筒に限らず断面形状が三角、四角及び多角形状であっ
てもよい。
【0110】以下に本発明の好ましい洗浄/乾燥装置に
ついて図22のブロック図を参照して説明するが、本発明
をこの態様に限定するものでないことはいうまでもな
い。図22において、Aは超音波洗浄槽、Bは第一シャワ
ー洗浄槽、Cは浸漬バブリング槽、Dは第二シャワー洗
浄槽、E,E′及びE″はそれぞれ第一、第二及び第三
真空乾燥槽を示す。
【0111】本発明によれば、被洗浄物は適当な搬送機
で被洗浄物を例えばバスケットに入れて、上記各槽を移
動させる。先ず被洗浄物はフッ素化界面活性剤水溶液を
循環する超音波洗浄槽A中に浸漬して、例えば60℃×60
秒間超音波処理する。次に被洗浄物は第一シャワー洗浄
槽Bに移送され、ここで例えば40℃の純水を60秒間スプ
レーしてリンスし、被洗浄物の表面に実質的に界面活性
剤の一分子層を形成せしめる。被洗浄物は浸漬バブリン
グ層Cで純水中に例えば40℃×60秒間浸漬すると共に清
浄な空気をバブリングさせて、窪みなどの界面活性剤層
を確実に一分子層となるようにし、更に第二シャワー洗
浄層Dで純水を噴射して(例えば40℃×60秒間)更に洗
浄する。
【0112】上記のようにして、表面にフッ素系界面活
性剤の一分子層を形成した洗浄物は、例えば(1) 例えば
40mmHgで低温水蒸気(例えば90℃)で加熱し、(2) 例え
ば90℃の熱風を大気圧下にブローし、そして(3) 例えば
40mmHgで真空乾燥する。本発明によれば、この (1)〜
(3) の乾燥工程を例えば真空乾燥槽E,E′及びE″の
各槽で順次行なって洗浄品を得ることができる(図22の
実線ライン参照)。しかしながら、更に好ましい態様で
は、上記 (1)〜(3) の乾燥工程をそれぞれの真空乾燥槽
E,E′及びE″で別々に行なうことができる(図22の
破線ライン参照)。乾燥時間は例えば3〜6分である。
このようにして、所望の洗浄品を得ることができる。
【0113】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、溌水性
界面活性剤の水溶液に被洗浄物を浸漬して洗浄すること
により、または他の工程で洗浄された被洗浄物を溌水性
界面活性剤の水溶液に浸漬することによって、被洗浄物
の表面に、溌水性界面活性剤が少なくとも1分子層付着
される。その結果、被洗浄物表面の溌水性効果によっ
て、水分がはじかれ、玉になるため、フルオロカーボン
を使用しなくても、被洗浄物に悪影響を与えることなし
に、精密洗浄及び精密洗浄後の乾燥を確実かつ効率的に
行なうことができる。
【0114】また、被洗浄物を真空室に入れ、水の沸点
が 100℃未満、好ましくは80〜95℃となるように減圧し
た雰囲気で水蒸気加熱するとか、この水蒸気加熱の後
に、熱風をエアーブローなどの気体ブローをし、最後に
真空吸引することで、形状が複雑で乾燥が困難な物品で
あっても、確実かつ迅速に乾燥できる。
【0115】更に本発明の乾燥装置によれば、水で洗浄
した後の被洗浄物、特に熱の影響を受けやすい非金属製
品を、熱による悪影響を与えることなく、効果的に乾燥
することができる。
【0116】更に本発明の泡発生防止装置によれば、洗
浄液循環系のオーバーフロー受槽に空気が巻き込まれな
い液位に洗浄液の液位を常に保持するので、系の発泡を
効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明による洗浄方法及び洗浄後の乾燥
方法の基本原理を説明する工程図である。
【図2】本発明の洗浄/乾燥を行なう装置の実施例を示
す工程図及び断面図である。
【図3】本発明の洗浄/乾燥を行なう装置の実施例を示
す工程図及び断面図である。
【図4】本発明の溌水性界面活性剤の水溶液以外の方法
で洗浄する装置の実施例を示す工程図及び断面図であ
る。
【図5】本発明の溌水性界面活性剤の一例であるパーフ
ロロアルキルカルボン酸塩の鎖構造及びそれが被洗浄物
に一分子層として付着したモデルを示す図である。
【図6】本発明の他の態様の乾燥装置の断面図である。
【図7】本発明の他の態様の乾燥装置の断面図である。
【図8】本発明の他の態様の乾燥装置の断面図である。
【図9】界面活性剤含有洗浄液を用いる一般的な洗浄シ
ステムを示す図面である。
【図10】本発明の泡発生防止手段の一例を示す図面であ
る。
【図11】本発明の泡発生防止手段の他の例を示す図面で
ある。
【図12】本発明の泡発生防止手段の他の例を示す図面で
ある。
【図13】本発明の泡発生防止手段の他の例を示す図面で
ある。
【図14】本発明の泡発生防止手段の他の例を示す図面で
ある。
【図15】本発明の泡発生防止手段の他の例を示す図面で
ある。
【図16】本発明の泡発生防止手段の他の例を示す図面で
ある。
【図17】本発明の泡発生防止手段の他の例を示す図面で
ある。
【図18】本発明の泡発生防止手段の他の例を示す図面で
ある。
【図19】本発明の泡発生防止手段の他の例を示す図面で
ある。
【図20】本発明の泡発生防止手段の他の例を示す図面で
ある。
【図21】本発明の泡発生防止手段の他の例を示す図面で
ある。
【図22】本発明の洗浄/乾燥装置の好ましい実施態様を
示す図面である。
【符号の説明】
W…被洗浄物 VP…真空ポンプ 1…洗浄装置 2…第一シャワー洗浄装置 3…第二シャワー洗浄装置 4…遠心分離乾燥装置 5…真空乾燥装置 6…水槽 7…溌水性界面活性剤の水溶液 8…超音波発生装置 12…真空室 14…洗浄槽 15…シャワー洗浄装置 16…アルカリ性脱脂剤の水溶液 21…回転テーブル 22…電磁波照射装置 23…送風機 26…洗浄液 27…熱交換槽 29…洗浄槽 30…オーバーフロー受槽 32…水位レベルセンサー 33…発泡した泡 37,38,43,44,48,49…フロート 39,40…弁 46,47,51,52,59,60…内筒 49,50,54,55,56,57…外筒 A…超音波洗浄槽 B…第一シャワー洗浄槽 C…浸漬バブリング槽 D…第二シャワー洗浄槽 E,E′,E″…真空乾燥槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // H05K 3/26 H05K 3/26 (72)発明者 飯田 浩 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 黒岩 福治 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 浅野目 悟 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 藤森 利治 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−217176(JP,A) 特開 昭57−198272(JP,A) 特開 昭62−194181(JP,A) 特開 昭63−315879(JP,A) 特開 平2−50073(JP,A) 特開 昭63−73626(JP,A) 実開 平1−179784(JP,U) 実開 平2−36994(JP,U) 特公 昭54−9135(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23G 1/00 - 5/06 B08B 3/00 - 3/14 C11D 1/00 - 19/00 H05K 3/10 - 3/26

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 精密部品又は電子デバイス部品の被洗浄
    物を洗浄/乾燥するにあたり、C 12 〜C 18 疎水性アルキ
    ル基を有する炭化水素系界面活性剤、C 6 〜C 12 疎水性
    アルキル基を有するフッ素系界面活性剤及び疎水性シリ
    コン系界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも一
    種の溌水性を有する界面活性剤を含む水溶液に被洗浄物
    を浸漬して、被洗浄物の表面に溌水性界面活性剤を少な
    くとも1分子層付着させ、 次いで水の沸点が100℃未満となるように減圧した雰
    囲気において、100℃未満の水蒸気によって被洗浄物
    加熱させ、 更に該被洗浄物を、真空乾燥、振り切り、気体ブロー及
    び加熱からなる群から選ばれた少なくとも一つの乾燥手
    段を用いて乾燥する精密部品又は電子デバイス部品の洗
    浄/乾燥方法。
  2. 【請求項2】 乾燥を、被洗浄物に気体をブローし、そ
    して真空乾燥することによって行なう請求項1に記載の
    洗浄/乾燥方法。
  3. 【請求項3】 被洗浄物を溌水性を有する界面活性剤に
    浸漬した後、超音波を適用して被洗浄物を洗浄し、そし
    て加熱乾燥する請求項1又は2に記載の洗浄/乾燥方
    法。
  4. 【請求項4】 精密部品又は電子デバイス部品の被洗浄
    物を洗浄/乾燥する装置において、 12 〜C 18 疎水性アルキル基を有する炭化水素系界面活
    性剤、C 6 〜C 12 疎水性アルキル基を有するフッ素系界
    面活性剤及び疎水性シリコン系界面活性剤からなる群か
    ら選ばれた少なくとも一種の 溌水性を有する界面活性剤
    を含む水溶液を入れる水槽、 該水槽において被洗浄物に付着した過剰の界面活性剤を
    除去するためのシャワー洗浄装置並びにシャワー洗浄後
    の被洗浄物を乾燥するための真空室を備えて成り、 該真空室が、水の沸点が100℃未満となるように減圧
    した雰囲気において、100℃未満の水蒸気によって被
    洗浄物を加熱できるように、水蒸気の噴射手段及び気体
    をブローして水切りできるように、気体ブロー手段を具
    備している精密 部品又は電子デバイス部品の洗浄/乾燥
    装置。
  5. 【請求項5】 前記溌水性を有する界面活性剤水溶液を
    含む水槽、第一シャワー洗浄槽、水浸漬バブリング槽、
    第二シャワー洗浄槽及び複数の真空乾燥槽をこの順に配
    して成り、該複数個の真空乾燥槽のそれぞれにおいて並
    列的に減圧水蒸気加熱、熱風ブロー及び真空乾燥を行な
    うようにした請求項4に記載の洗浄/乾燥装置。
  6. 【請求項6】 前記溌水性を有する界面活性剤水溶液を
    含む水槽、第一シャワー洗浄槽、水浸漬バブリング槽、
    第二シャワー洗浄槽及び複数の真空乾燥槽をこの順に配
    して成り、該複数個の真空乾燥槽において直列的に減圧
    水蒸気加熱、熱風ブロー及び真空乾燥を行なうようにし
    請求項4に記載の洗浄/乾燥装置。
  7. 【請求項7】 電磁波照射装置により、被洗浄物に付着
    した水分を加熱できる手段を有し、電磁波照射装置によ
    り加熱中もしくは加熱後において、(i)気体をブロー
    して水切りできる気体ブロー手段、(ii)真空にして水
    を蒸発乾燥できる減圧手段及び/又は(iii) 遠心分離し
    てスピン乾燥できる遠心分離手段を有している請求項4
    〜6のいずれか1項に記載の洗浄/乾燥装置
  8. 【請求項8】 前記水槽中に超音波発生装置を備えて成
    る請求項4〜7のいずれか1項に記載の洗浄/乾燥装
    置。
  9. 【請求項9】 界面活性剤を含む水溶液で被洗浄物を洗
    浄する循環系内に設けられ、洗浄槽からの溶液を受ける
    オーバーフロー受槽及び該受槽の液排出部に配して溶液
    の排出ドレンに空気が巻き込まない水位に受槽の水位を
    保つ弁手段から成ることを特徴とする泡発生防止装置。
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