JP2756379B2 - 導波路型光スイッチ及びその製造方法 - Google Patents

導波路型光スイッチ及びその製造方法

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JP2756379B2
JP2756379B2 JP13774891A JP13774891A JP2756379B2 JP 2756379 B2 JP2756379 B2 JP 2756379B2 JP 13774891 A JP13774891 A JP 13774891A JP 13774891 A JP13774891 A JP 13774891A JP 2756379 B2 JP2756379 B2 JP 2756379B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコア導波路の途中に設け
たスリット内の液体の相変化を利用して導波路内を伝搬
する光の光路の切り替え、あるいは遮断をおこなう導波
路型光スイッチ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光通信システムが高度化するにつれて、
低損失、低クロスト−ク特性を有する空間分割型光スイ
ッチのニ−ズが高まってきている。
【0003】上記光スイッチの方式として、本発明者等
は先に図9に示す光スイッチを提案した。この光スイッ
チは、図9(a)に示すようにT字形のコア導波路3の
直交する交差部分に略45°の角度をなすスリット9を
設けて、コア導波路3を略L字形に屈曲した部分と直線
状の部分に切断し、このスリット9の溝の中に、図9
(b)に示すようにコア導波路3とほぼ等しい屈折率の
液体6を充填した特殊な構造を有している。そしてスリ
ット9の周囲のクラッド4の上面に形成した電熱体(薄
膜ヒ−タ)11に配電線10を通して通電することによ
ってスリット9の極近傍だけを加熱し、スリット9内の
液体6を気化させることができるようになっている。す
なわちこの光スイッチは、スリット9内の液体6を気化
させると、スリット9内がコア導波路3の屈折率よりも
低屈折率の状態になること利用するものである。図9
(a)においては、発熱体11に通電し、スリット9内
の液体6が蒸発して気化しているときには、コア導波路
3内を矢印12A方向から矢印12B方向へ伝搬してい
た光は、スリット9の内面で反射し、直交するコア導波
路3へ光路が切り替えられて矢印12C方向へ伝搬す
る。一方、発熱体11への通電加熱を止めれば、伝熱に
よって直ちにスリット9周辺は冷却され、気体が凝結し
てスリット9内に液体6が注入されるので、光は再び矢
印12B方向へ直進する。以上のように、スリット9内
への液体6の注入及び除去動作を加熱・冷却による液体
の蒸発・凝結によっておこなうことにより、高速のスイ
ッチング動作を実現することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図9の光ス
イッチは、基板1上に低屈折率層2を介して形成した厚
みが約8μmのコア導波路3の表面を厚みが20〜30
μmのクラッド4で完全に覆った埋込み型導波路で構成
されている。そのため、スリット9はコア導波路3を完
全に切断するよう、コア導波路3とその下側の低屈折率
層2との境界面まで達するように形成されていなければ
ならない。つまり、スリット9の深さは28〜38μm
となる。このスリット9はクラッド4を形成した後、メ
タル膜(例えば、WSi膜)をマスクにして、ふっ素系
ガス(例えば、CHF3 )を用いたドライエッチングに
よりエッチングして形成される。ここで、上記メタル膜
の形成可能な厚みの上限値は、応力の発生による基板1
の反り、クラックの発生、さらにはエッチングパタ−ン
精度などを考慮すると、1μmである。したがって、こ
の厚みのメタル膜をマスクにして28〜38μmの深さ
のスリット9をエッチングするためには、クラッド4及
びコア導波路3からなるガラス膜のエッチング速度とメ
タル膜のエッチング速度の比(いわゆるエッチング選択
比)が28以上とれるエッチングガスおよびメタル膜を
用いなければならない。しかし現状では、上記エッチン
グ選択比は20程度が限界である。そのために、材質の
異なったメタル膜(例えば、Cr膜とWSi膜)を2層
に形成してエッチング選択比を大きくとる方法を用いて
いたが、この方法においてもメタル膜の厚みが増すほど
マスクパタ−ンの精度が劣化するため、所望のスリット
形状(幅6μm、長さ50μm、深さ28μm以上)を
コア導波路3の所望のT字形交差部に精度良く形成する
ことができないという問題が生じ、低損失な光スイッチ
を実現することは現状レベルでは難しいということがわ
かった。また、上記のように深いスリット9を形成する
と、スリット9の深さが深くなるにつれてスリット9の
幅がアンダ−カッティングによりどんどん拡がり、設計
値(6μm)からずれるという問題があり、その結果、
このスリット9に上記液体6が充填されている場合に矢
印12A方向から伝搬してきた入射光がスリット9を通
過して矢印12B方向へ伝搬する際の損失が増大するこ
とが判った。すなわち、このスリットを光が通ることに
よる透過損失Ttは、
【0005】
【数1】
【0006】ただし、λは波長,Sはスリットの幅,n
c はクラッドの屈折率,ωは基本モ−ドのスポットサイ
ズ、で表わされ、スリットの幅Sが大きくなるにつれて
透過損失は増大する。これはスリット部で入射光電界分
布が拡がることによって生ずる入力導波路と出力導波路
中の光電界分布の不整合による損失である。さらにスリ
ット9の深さが増大すると、スリット9の内壁面の面荒
れの増大や垂直性劣化などの問題が生ずることが判っ
た。すなわち、スリット9内に液体6が注入されていな
い場合に、入射光はこのスリット9の内壁面で反射し、
スイッチングされるが、面荒れがあるとここで散乱損失
を生ずる。また、スリット9の内壁面の垂直性が劣化す
ると、反射後の光電界と出力導波路中の光電界との不整
合による損失を伴う。
【0007】以上述べたように、現状の技術レベルで
は、深さが28μm以上のスリットを幅、面荒れ、垂直
性等に関して精度良く形成する技術が実現されておら
ず、光スイッチの低損失化が困難である。
【0008】本発明は上記課題を解消すべく創案された
ものであり、その目的は寸法精度が良く、内壁面の面荒
れが少なく、垂直性の良いスリットを形成することが可
能な光スイッチ構造およびその製造方法を提供し、これ
により低損失な導波路型光スイッチを実現することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の光スイッチにおいては、少なくともその表
面に低屈折率層を有する基板上に、断面形状が略矩形状
のコア導波路をT字形状或いは十字形状の交差部を有し
て形成し、そのコア導波路表面を厚さが2〜5μmの低
屈折率のクラッドで覆ってリッジ形光導波路を形成し、
上記交差部において上記コア導波路を切断すべく、上記
クラッド上面から上記基板側に延出させてスリットを形
成し、そのスリット内に上記コア導波路と屈折率が略等
しい液体を充填し、上記スリット近傍に上記液体を加熱
するための電熱体を設け、スリット内の液体を加熱によ
って気化させたり、加熱を止めて凝結させたりしてスリ
ット内の屈折率を変化させることにより上記コア導波路
内を伝搬する光の進行方向を制御するように構成されて
いる。上記基板として全体が低屈折率の石英系ガラス基
板を用いてもよい。上記スリットは上記コア導波路内を
伝搬する光の光軸に対して略45°の傾きを有して形成
されていることが望ましい。また、上記コア導波路は単
一モ−ド伝搬構造を有していることが望ましい。そし
て、上記コア導波路を上記交差部を複数組み合わせて格
子状に形成し、各格子点位置に上記スリット並びに上記
電熱体を配設してもよい。
【0010】上記電熱体には種々の形態があり、例え
ば、電熱体を上記クラッド上に形成された薄膜の抵抗体
で構成し、その抵抗体と上記スリット内壁とを屈折率が
上記コア導波路のそれと等しい絶縁用ガラス膜で被覆し
てもよい。
【0011】また、電熱体を上記スリットを隔てて上記
クラッド上に配設された2個の電極で構成し、両電極を
少なくとも上記液体を通して導通させることにより上記
スリット内の液体を加熱するようにしてもよい。この場
合、スリット内の液体を通しての上記両電極間の導通を
助けるべく、両電極を補助導線で接続してもよい。
【0012】また、上記電熱体の設置位置はクラッド上
に限定されるものではなく、例えば、スリットの直下に
設けてもよい。
【0013】次に、本発明に係る光スイッチの製造方法
においては、少なくともその表面に低屈折率層を有する
基板上に、断面形状が略矩形状のコア導波路をT字形状
或いは十字形状の交差部を有して形成し、該コア導波路
表面を厚さが2〜5μmの低屈折率のクラッドで覆って
リッジ型光導波路を形成し、上記交差部において上記コ
ア導波路を切断すべく上記クラッド上面から上記基板側
に延出させてスリットを形成した後、該スリット内に上
記コア導波路と屈折率が略等しい液体を充填すると共に
上記スリット近傍に上記液体を加熱するための電熱体を
形成するようにしている。
【0014】
【作用】クラッドの厚さが2〜5μmであるため、コア
導波路の厚さが従来と同じく8μmであるとすると上記
交差部に形成されるスリットの深さは10〜13μmと
なる。これは、従来の光スイッチに形成されていたスリ
ットの深さ(28〜38μm)に比し半分以下であり、
膜厚が0.65μm程度の薄いメタル膜(WSi膜)を
マスクにしてCHF3 ガスを用いて充分にエッチングで
きる深さである。しかも、メタル膜の厚みが薄いので、
高寸法精度のマスクパタ−ンを実現することができる。
また、エッチング深さが浅いので、アンダ−カッティン
グによるスリット幅(2μmから8μmの範囲が好まし
い値)の拡がりが少なくなり、スリットを光が通ること
による透過損失を低減することが可能となる。さらに、
スリットの内壁面の面荒れを低減すると共に、垂直性良
くエッチングすることができる。これにより、スリット
内に液体が入っていない場合のスリット内壁面での反射
損失を大幅に低減することが可能となる。
【0015】基板として低屈折率の石英系ガラス基板を
用いた場合には、基板表面にさらに低屈折率層を形成す
る必要はない。
【0016】スリットを光軸に対して略45°傾けて形
成しておけば、スイッチングによって光の伝搬方向をそ
の光軸と略直交する方向に切替えることができる。
【0017】コア導波路を単一モ−ド伝搬構造とするこ
とにより、この光スイッチを広帯域の光回路に適用する
ことができる。
【0018】格子状に形成されたコア導波路の各格子点
位置に上記スリット並びに電熱体を形成しておくことに
より、コア導波路の各格子点においてスイッチングを行
うことができる。
【0019】電熱体を薄膜の抵抗体で構成することによ
り、これを金属蒸着等によって種々のパターンに容易に
形成することとが可能となる。また、抵抗体を被覆する
ための絶縁用ガラス膜でスリット内壁にも被覆を施して
おくことにより、スリットを形成する際に生じたスリッ
ト幅のアンダ−カットによる拡がり分を補償することが
できる。
【0020】スリットの両側に設けた2個の電極間をそ
のスリット内の液体を通して導通させると、液体は電流
によって直接加熱されて気化される。この場合、両電極
を補助導線で接続して電流が導通し易くしておくことに
より、液体の加熱がより効果的に実現される。
【0021】電熱体をスリットの直下に設け、スリット
内の液体を下方から加熱するようにすれば、スリット内
において液体は下側から先に気化するようになるので、
発生した気体の上昇によって残りの液体を押し上げてス
リット外に迅速に排出することができるようになる。
【0022】本発明の製造方法によれば、導波路型光ス
イッチを基板上にプレーナ技術によって形成することが
できるので、これを他の光回路素子と共に同一基板上に
一括形成することが可能となり、光スイッチの高品質・
多機能化が実現できる。
【0023】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
【0024】図1に本発明に係る単一モ−ドリッジ導波
路型光スイッチの一実施例を示す。これは一つの入力導
波路15a内に入射する矢印12A方向からの光を二つ
の出力導波路15b,15cのいずれかに光路を切り替
え、矢印12B方向あるいは矢印12C方向へ伝搬させ
ることができる1×2光スイッチを示すものである。な
お、同図(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面
図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【0025】この光スイッチは、表面に低屈折率層2を
有する基板1上に、断面形状が略矩形状のコア導波路3
をT字形状の交差部30を有して形成し、そのコア導波
路3の表面をクラッド31で覆ってリッジ形光導波路を
形成し、交差部30においてコア導波路3を切断すべ
く、クラッド31の上面から基板1側に延出させてスリ
ット32を形成し、そのスリット32内にコア導波路3
と屈折率が略等しい液体6を充填し、スリット32の両
側のクラッド31上に液体6を加熱するための電熱体3
3を設けて構成される。クラッド31上には、電熱体3
3へ電力を供給するための給電線10が配線されると共
に、電熱体33並びに給電線10の表面を覆う絶縁用ガ
ラス膜16が形成されている。上記液体6は、スリット
32を取り囲むようにして交差部30に形成された液体
貯蔵室13内に密閉収容されている。液体貯蔵室13
は、上記絶縁用ガラス膜16の形成後スリット32の近
傍に外付けされた壁体14によって構成される。スリッ
ト32はコア導波路3内を伝搬する光の光軸に対して4
5°の角度を有して形成されており、スリット32内の
液体6を加熱によって気化させたり、加熱を止めて凝結
させたりしてスリット32内の屈折率を変化させること
によりコア導波路3内を伝搬する光の進行方向を制御で
きるようになっている。すなわち、発熱体33に通電
し、スリット32内の液体6が加熱されて気化している
ときには、入力導波路15a及び出力導波路15b内を
矢印12A方向から矢印12B方向へ伝搬していた光
は、スリット32の内面(コア導波路3の屈曲部端面)
で反射し、直交する出力導波路15cへ光路が切り替え
られて矢印12C方向へ伝搬する。一方、発熱体33へ
の通電を止めれば、伝熱によって直ちにスリット32周
辺は冷却され、気体が凝結してスリット32内に液体6
が注入されるので、光は再び矢印12B方向へ直進す
る。
【0026】上記基板1にはガラス(石英ガラス、屈折
率制御用添加物を含んだ石英系ガラス、多成分系ガラ
ス、等)、半導体(Si、GaAs、InP、等)、電
気光学結晶(LiNbO3 、LiTaO3 、等)、磁性
体(Y3 FeO12)、及び高分子材料(ポリウレタン、
エポキシ、ポリカ−ボネ−ト等)を用いることができ
る。低屈折率層2、コア導波路3、及びクラッド31に
はガラス、高分子材料、半導体などを用いることができ
る。
【0027】この光スイッチは単一モ−ド用に構成され
るので、コア導波路3の厚み並びに幅は数μmから12
μmの範囲から選ばれ、またコア導波路3の屈折率nw
は、クラッド31の屈折率nc 並びに低屈折率層2の屈
折率nb よりも高く設定される。すなわち、Δ=(nw
−nc )/nw ×100%で定義される比屈折率差Δの
値が0.2%から0.8%の範囲から選ばれる。ここ
で、nc とnb は略等しい値か、あるいは基板1への放
射モ−ドによる損失を低減するためにはnc >nb が好
ましい。低屈折率層2の厚さが厚いほど伝搬損失を低減
することができるが、通常、10μm以上であれば問題
ない。クラッド31の厚さも厚いほどコア導波路3内を
伝搬する光の伝搬損失を低減することができるが、この
光スイッチにおいてはクラッド31の厚みは2〜5μm
の範囲から選れる。その理由は、エッチングにより精度
の良いスリット32を得るためである。なお、基板1に
石英系ガラス基板を用いた場合には、基板全体が低屈折
率であるのでその表面に別途上記低屈折率層2を有して
いる必要はない。
【0028】電熱体33にはTi薄膜あるいはCr薄膜
が用いられ、給電線10にはAu線、Al線などが用い
られる。たとえば、Ti薄膜(厚み0.2μm、幅10
μm、長さ2mm)を用いたとすると、そのヒ−タ抵抗
は約0.5Ωとなり、各々の電熱体33の両端に給電線
10を通して印加電力4Wを印加することにより、発熱
体33の表面温度を約120℃に加熱することができ
る。したがって、スリット32内に充填される液体6と
しては、例えばフルオロベンゼンC6 5 Fを用いるこ
とができる。この液体の沸点は84.9℃であるので、
上記印加電力で充分気化させることができる。尚、電熱
体3はスリット32の周辺に閉ル−プ状(直線、曲線、
ジグザグなどの)パタ−ンを形成することによって所望
の抵抗体になるように構成してもよい。また、給電線1
0は金属蒸着等により薄膜状に形成することもできる。
【0029】スリット32内に充填する液体6の屈折率
は、電熱体33に印加電力を加えない状態でコア導波路
3の屈折率と等しい値のものが選ばれる。ただし、液体
は一般に温度によって屈折率が多少変化するので、スリ
ット32内に充填する液体6として、気化する一歩手前
の状態における屈折率がコア導波路3のそれと等しくな
る液体を用い、スイッチング作用により光路を切り替え
ない状態(すなわち、矢印12A方向から伝搬してきた
光を矢印矢印12B方向へ伝搬させる状態)でも発熱体
33に通電しておくことにより、液体6をこれが気化し
ないすれすれの温度に加熱しておくようにしてもよい。
このようにすれば、発熱体33の印加電力を若干増加さ
せるだけでスリット32内の液体6を瞬時に気化させる
ことができ、極めて高速なスイッチング動作が実現でき
る。
【0030】絶縁用ガラス膜16は、電熱体33及び給
電線10の全面を覆い、給電線10相互間が液体6を通
して導通しないように構成されている。また、このガラ
ス膜16の屈折率はコア導波路3のそれと等しくなるよ
うに設定されている。そしてガラス膜16には、これを
スリット32の内壁面にも形成することにより、ドライ
エッチングによってスリット32を形成する際に生じた
スリット幅のアンダ−カットによる拡がり分を補償する
役目も持たせてある。このガラス膜16の膜厚は数千Å
から2μmの範囲内が好ましい。すなわち、アンダ−カ
ットによるスリット幅の拡がりが大きいときには厚い膜
を形成させ、その逆のときには薄い膜を形成させる。
【0031】本発明に係る光スイッチの他の実施例を図
2に示す。これは給電線10を絶縁用ガラス膜16に開
口した給電線取り出し口17より取り出した構成であ
る。図1及び2では液体貯蔵室13上には蓋が図示され
ていないが、実際には液体6の流出を防ぐために、図3
に示すように蓋18が設けられている。
【0032】本発明の光スイッチは、これまでに述べた
1×2型光スイッチ以外に、図5および図6に示すごと
くn×mおよびm×m(n≧1、m>2)光スイッチに
も適用することができる。すなわち、図5は4入力、8
出力の4×8光スイッチの例であり、図6は6入力、6
出力の6×6光スイッチの例である。格子状に形成され
たコア導波路の各格子点位置には、スリット並びに電熱
体が形成されており、コア導波路の各格子点においてス
イッチングを行うことができるようになっている。図5
において矢印A1 〜A4 はコア導波路41a〜41dへ
入射する光信号の方向を示し、矢印B1 〜B4、C1
4 はコア導波路から出射する光信号の方向を示してい
る。同様に、図6において矢印D1 〜D3 、E1 〜E3
は入射光信号の方向を示し、矢印F1 〜F3 、G1 〜G
3 は出射光信号の方向をそれぞれ示している。ここで、
隣接するコア導波路相互の間隔a1 〜a3 、b1 〜b3
はそれぞれ等しくてもよく、あるいは異なっていてもよ
い。
【0033】図7はスリット内の液体を加熱するための
他の実施例を示したものである。
【0034】図示するように、電熱体はスリット32を
隔ててクラッド31上に形成された2個の薄膜ヒ−タ
(電極)43で構成されている。これら2個のヒータ4
3はスリット32内の液体6を通して導通するよう構成
されており、給電線10間に印加電圧を供給することに
より両ヒ−タ43を加熱してスリット32内の液体6を
加熱することができるようになっている。なお、液体6
を通しての導通の不備を補うために両ヒ−タ43間をA
u、Ar等の補助導線で接続しておいてもよい。このよ
うに、本発明の光スイッチは導波路型構造を採用してい
るので、薄膜ヒ−タの構成として種々のものが適用でき
る。
【0035】図8も加熱方式の一例を示したものであ
る。この例においては、電熱体をクラッド31の上面に
形成する代わりに、スリット32の直下に位置させて基
板1の底面に穴44を形成し、その穴44の中に電熱体
たるニクロム線45が挿入して設けられている。したが
って、給電線10を通してニクロム線45に印加電圧を
供給することにより、スリット32内の液体6をその直
下から加熱することができる。このように、スリット3
2内の液体6を下方から加熱するようにすれば、スリッ
ト32内において液体6を下側から先に気化させ、発生
した気体の上昇によって残りの液体6を押し上げてスリ
ット32外に迅速に排出することができるようになり、
スイッチング速度の高速化が達成できる。
【0036】次に、本発明の光スイッチの製造方法を図
4に従って説明する。
【0037】工程1:基板1の上に低屈折率層2及びコ
ア層34を形成する。これらのガラス層はCVD法(化
学蒸着法)、火炎堆積法、電子ビ−ム蒸着法、スパッタ
リング法などのよく知られた方法で形成することができ
る。
【0038】工程2:上記ガラス層を高温(1000℃
〜1300℃)で熱処理して緻密なガラス層とする。
【0039】工程3:マスク用のメタル膜35をコア層
34上に形成する。このメタル膜35の形成も真空蒸着
法、スパッタリング法などのよく知られた方法で行うこ
とができる。
【0040】工程4:メタル膜35の表面にフォトレジ
スト膜36を塗布し、これを所望のコア導波路形状に合
わせてパタ−ニングする。
【0041】工程5:ドライエッチングプロセスに入
る。まず、フォトレジスト膜36をマスクにしてメタル
膜35をパタ−ニングする。次に、メタル膜35をマス
クにしてコア層34をパタ−ニングする。
【0042】工程6:フォトレジスト膜36を除去す
る。
【0043】工程7:メタル膜を35を除去する。低屈
折率層2上に断面略矩形状のコア導波路3が露出して形
成される。
【0044】工程8:コア導波路3の表面を厚さが2〜
5μmのクラッド層37で覆ってリッジ形光導波路を形
成する。このクラッド層37の形成も工程1のガラス層
形成と同様の方法を適用することにより達成することが
できる。
【0045】工程9:クラッド層37上にメタル膜(T
iあるいはCr)38を形成する。このメタル膜38も
前述のメタル膜35の形成方法と同様にして形成するこ
とができる。
【0046】工程10:メタル膜38の表面にフォトレ
ジスト膜39を塗布し、そのスリット形成部分にパタ−
ニング(穴あけ)を施す。
【0047】工程11:ドライエッチングによりメタル
膜38をパタ−ニングし、次いで、膜厚が0.65μm
程度の薄いメタル膜38をマスクにしてCHF3 ガスを
用いてクラッド層37およびコア導波路3をエッチング
し、スリット32を形成する。クラッド層37の厚さを
2〜5μmとしたことにより、内壁面の面荒れが少な
く、垂直性の良いスリット32が形成される。
【0048】工程12:エッチング処理した表面全体に
再度フォトレジスト膜を塗布した後、フォトリソグラフ
ィを行い、メタル膜38を薄膜ヒ−タ(電熱体)用にパ
タ−ニングする。すなわち、メタル膜38の不要部分を
除去する。
【0049】工程13:フォトレジスト膜を除去する。
【0050】工程14:クラッド層37上に給電線を形
成した後、薄膜ヒ−タ用のメタル膜38及び給電線を絶
縁用ガラス膜で被覆する。このガラス膜形成も工程1の
ガラス層形成と同様の方法により行うことができる。
【0051】工程15:液体貯蔵室の形成、液体貯蔵室
への液体の充填及び蓋の取り付けを行って導波路型光ス
イッチを完成させる。最後に、コア導波路3の端面への
光ファイバ40の結合、パッケ−ジング等を行って光モ
ジュ−ルとする。
【0052】このように、導波路型光スイッチをプレ−
ナ技術によって製造することにより、光スイッチを他の
光回路素子と共に同一基板上に一括形成することが可能
となり、光スイッチの高品質・多機能化が実現できる。
【0053】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、寸法精度
が良く、内壁面の面荒れが少なく、垂直性の良いスリッ
トを形成することができるので、低損失な導波路型光ス
イッチを実現することが可能となる。
【0054】また、導波路型光スイッチを基板上にプレ
ーナ技術によって形成することができるので、これを他
の光回路素子と共に同一基板上に形成することが可能で
あり、光スイッチの高品質・多機能化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導波路型光スイッチの一実施例を示す
図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断
面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【図2】本発明の導波路型光スイッチの他の実施例を示
す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A
断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【図3】本発明の導波路型光スイッチの他の実施例を示
す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A
断面図である。
【図4】本発明に係る導波路型光スイッチの製造方法の
一実施例を示す工程図である。
【図5】本発明の導波路型光スイッチをn×m光スイッ
チに適用した実施例を示す図である。
【図6】本発明の導波路型光スイッチをm×m光スイッ
チに適用した実施例を示す図である。
【図7】本発明の導波路型光スイッチの他の実施例を示
す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A
断面図である。
【図8】本発明の導波路型光スイッチの他の実施例を示
す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A
断面図である。
【図9】従来例を示す図であり、(a)は平面図、
(b)は(a)のA−A断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 低屈折率層 3 コア導波路 6 液体 16 絶縁用ガラス膜 30 交差部 31 クラッド 32 スリット 33 電熱体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井本 克之 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社電線研究所内 (72)発明者 横田 哲也 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社電線研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 26/08 G02B 6/12

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともその表面に低屈折率層を有す
    る基板上に、断面形状が略矩形状のコア導波路をT字形
    状或いは十字形状の交差部を有して形成し、該コア導波
    路表面を厚さが2〜5μmの低屈折率のクラッドで覆っ
    てリッジ形光導波路を形成し、上記交差部において上記
    コア導波路を切断すべく、上記クラッド上面から上記基
    板側に延出させてスリットを形成し、該スリット内に上
    記コア導波路と屈折率が略等しい液体を充填し、上記ス
    リット近傍に上記液体を加熱するための電熱体を設け、
    スリット内の液体を加熱によって気化させたり、加熱を
    止めて凝結させたりしてスリット内の屈折率を変化させ
    ることにより上記コア導波路内を伝搬する光の進行方向
    を制御することを特徴とする導波路型光スイッチ。
  2. 【請求項2】 上記基板として石英系ガラス基板を用い
    た請求項1記載の導波路型光スイッチ。
  3. 【請求項3】 上記スリットが上記コア導波路内を伝搬
    する光の光軸に対して略45°の傾きを有して形成され
    ている請求項1又は2記載の導波路型光スイッチ。
  4. 【請求項4】 上記コア導波路が単一モ−ド伝搬構造を
    有している請求項1乃至3のいずれかに記載の導波路型
    光スイッチ。
  5. 【請求項5】 上記コア導波路を格子状に形成し、該格
    子点位置に上記スリット並びに上記電熱体を配設した請
    求項1乃至4のいずれかに記載の導波路型光スイッチ。
  6. 【請求項6】 上記電熱体を上記クラッド上に形成され
    た薄膜の抵抗体で構成し、該抵抗体と上記スリット内壁
    とを屈折率が上記コア導波路のそれと等しい絶縁用ガラ
    ス膜で被覆した請求項1乃至5のいずれかに記載の導波
    路型光スイッチ。
  7. 【請求項7】 上記電熱体が、上記スリットを隔てて上
    記クラッド上に配設された2個の電極からなり、両電極
    間を上記スリット内の液体を通して導通させることによ
    り該液体を加熱するように構成されている請求項1乃至
    5のいずれかに記載の導波路型光スイッチ。
  8. 【請求項8】 上記スリット内の液体を通しての上記両
    電極間の導通を助けるべく、両電極を補助導線で接続し
    た請求項7記載の導波路型光スイッチ。
  9. 【請求項9】 上記電熱体が上記スリットの直下に設け
    られている請求項1乃至5のいずれかに記載の導波路型
    光スイッチ。
  10. 【請求項10】 コア導波路の途中に設けられたスリッ
    ト内の液体を加熱によって気化させたり、加熱を止めて
    凝結させたりしてスリット内の屈折率を変化させること
    により上記コア導波路内を伝搬する光の進行方向を制御
    するよう構成された導波路型光スイッチの製造方法にお
    いて、少なくともその表面に低屈折率層を有する基板上
    に、断面形状が略矩形状のコア導波路をT字形状或いは
    十字形状の交差部を有して形成し、該コア導波路表面を
    厚さが2〜5μmの低屈折率のクラッドで覆ってリッジ
    型光導波路を形成し、上記交差部において上記コア導波
    路を切断すべく上記クラッド上面から上記基板側に延出
    させてスリットを形成した後、該スリット内に上記コア
    導波路と屈折率が略等しい液体を充填すると共に上記ス
    リット近傍に上記液体を加熱するための電熱体を形成す
    るようにしたことを特徴とする導波路型光スイッチの製
    造方法。
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