JP2828216B2 - 光スイッチ及びその製造方法 - Google Patents

光スイッチ及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、伝搬する光の光路の切り替え又は遮断のた
めに用いられる光スイッチ及びその製造方法に関するも
のである。
[従来の技術] 光通信システムが高度化するにつれて、低挿入損失,
低クロストーク特性を持った空間分割形光スイッチのニ
ーズが高まってきている。
従来、上記方式の光スイッチとして、第4図に示すよ
うに光ファイバ(あるいは光導波路)a,b,cの交差部に
エアギャップGを設け、このギャップG内の液体の注入
/除去によって、光ファイバとギャップ界面の全反射条
件を制御して、光スイッチングを行う方式が提案されて
いる(金山,安東;液体注入による全反射光スイッチン
グの検討,昭和63年電子情報通信学会春季全国大会,C−
419,p1−196)。
ところで、第4図の光スイッチは、交差角θが90゜に
近い値において、反射状態及び透過状態共に、低挿入損
失且つ偏波面異存性の殆ど無いスイッチングが可能であ
る。この方式でスイッチング速度を速くするためには、
ギャップへの液体の注入及び除去を高速で行わなければ
ならない。
しかし、上記論文の光スイッチでは、液体の注入及び
除去を手動により行っており、高速スイッチングが困難
である。
そこで本発明者らは高速スイッチングが可能な光スイ
ッチを提案した。
第5図は本発明の前提となった光スイッチ基板の上面
図であり、第6図はそのA−A断面の拡大図である。
光導波路5は、単結晶シリコンの平面基板1上に、異
なる屈折率をもった酸化珪素の層を重ねた構造によって
形成されており、光の伝搬する略矩形状のコア(屈折率
nw)3と、該コアを覆う低屈折率ncの上下のクラッド2,
4とを有する。
基板上の光導波路コアは、少なくとも互いに直交する
ように構成された3つの枝路3a,3b,3cを有し、これら3
枝路は第5図に示すように軸線が交差する位置関係に置
かれている。このうち、枝路3aは光導波路コアへの光の
入射部として、残りの2つの枝路3b,3cは光の出射部と
して機能する。ここでは、光の入口側11の光導波路コア
(枝路3a)に対し、一方の出口側12の枝路3bは入口側11
の枝路3aの延長線上に、又、他方の出口側13の枝路3cは
入口側の枝路3aと直交するように形成されている。
光導波路5の途中には、屈折率がコア3のそれと略等
しい液体を挟み込む1本のスリット8が、それぞれのコ
ア枝路内を伝搬する光路に対して略45゜の角度をなすよ
うに設けられ、該スリット8によって光導波路の交差部
分が切断されている。
このスリット8の溝の中に、光導波路のコア3の材料
とほぼ等しい屈折率を持つ液体が満たされた場合、光は
恰もスリット8が無いが如く直進する。一方、このスリ
ット8の中の液体が気化した場合、光導波路5に入口側
11から進入した光は、スリット界面において屈折率の違
いにより、全反射して、前記の光導波路枝路3aと直交す
る出口側13の光導波路枝路3cに導かれる。
光スイッチ基板上の上面14及び前記スリット8の内面
は、第6図に示す如く、光導波路のコア3と同じ屈折率
を持つ液体6で満たされている。コア3の屈折率nwが1.
461の酸化珪素を主成分とするガラスの場合、液体とし
てメチルシクロヘキサノールを選べば、屈折率はほぼ一
致する。この液体はクラッド4の上面に設けた液体貯蔵
タンクからスリット8へ供給されるが、この液体貯蔵タ
ンクは、例えば第6図に示すように金属性のパッケージ
20にメチルシクロヘキサノールを封入することで構成さ
れる。
スリット8近傍の表面には、この部分つまり上記液体
を局部的に加熱する手段として、抵抗発熱体から成る薄
膜ヒータ9が形成されている。この薄膜ヒータ9に通電
することによって、スリット8の極く近傍だけが加熱さ
れ、スリット8内の液体を気化させることができる。こ
のとき、光はスリット8の内面で反射し、直交する光導
波路枝路3c側(出口側13)へ折り曲げられる。一方、通
電加熱を止めれば、伝熱によって直ちにスリット8の周
辺は冷却され、気化した液体は直ちに凝結し液体に戻る
から、光は再び光導波路枝路3b(出口側12)の方へ直進
する。尚、薄膜ヒータ9の表面には、上面の液体6との
絶縁を取るために絶縁膜がコーティングされている(但
し、図には省略してある)。
要するに、スリット8の溝の中に光導波路5のコア3
の屈折率とほぼ等しい屈折率を持つ液体6を充填してお
き、かつ、スリット8の周囲のクラッド4の上面に薄膜
ヒータ9を形成し、この薄膜ヒータ9に通電することに
よってスリット8の極く近傍だけを加熱し、スリット8
内の液体を気化させる。それによって、コア3内を入口
側11から出口側12方向へ伝搬していた光は、このスリッ
ト8内の液体が蒸発して気化しているので、スリット8
の内面で反射し、直交する光導波路コア枝路3cへ折り曲
げられ、出口側13へ伝搬する。一方、薄膜ヒータ9への
通電加熱を止めれば、伝熱によって直ちにスリット周辺
は冷却され、気化した液体は直ちに凝結し液体に戻るか
ら、光は再び出口側12方向へ直進する。このように、ス
リット8内への液体の注入及び除去動作を加熱・冷却に
よる液体の蒸発・凝縮によって行うことにより、高速の
スイッチング動作を実現する。
以下に、上記光スイッチの製造方法について述べる。
先ず、単結晶シリコンの基板1の上に、直交する略矩
形状のコア光導波路5を形成する。これは、コア下側の
クラッド(以下、低屈折層と称する)2,コア3,コア上側
のクラッド4の部分が積層された埋込み光導波路構造で
ある。
コア3の部分については、ホトリソグラフィの手法
で、直交する光導波路枝路のパターンを形成する。低屈
折層2,クラッド4の部分は、SiO2、あるいはSiO2にP
2O2,B2O3等の不純物をドープし、一方、コア3の部分に
はTiO2,GeO2等の不純物をドープすることにより、コア
部分の屈折率をクラッド部分よりも高めて光導波路が形
成される。上記クラッド及びコア膜の成膜には、化学的
気相成長法(CVD,プラズマCVD等)スパッタリング法,
電子ビーム蒸着法,ゾル・ゲル法等を用いることができ
る。本例の場合、低屈折層2及びクラッド4の厚さはそ
れぞれ10μmと20μm、コア3の寸法は厚さ,幅ともに
約10μmである。
次いで、光導波路枝路の交差部分に、スリット8を加
工する。溝はコア層を完全に除去するまで垂直に堀込む
必要があり、本例の場合には30μm以上掘る必要があ
る。一方、スリット8の幅はできるだけ小さく、10μm
以下とすることが望ましい。この様な加工には、反応性
イオンエッチング(RIE)の手法が有効である。本例で
は、深さ35μm,幅8μmの溝を長さ60μmにわたって加
工した。
最後に、スリット8の周囲に、抵抗発熱体8及び給電
線10,10を金属材料の蒸着によって形成する。薄膜ヒー
タ9を構成する抵抗発熱体の材料としては例えばクロム
が適しており、また給電線10,10の材料としては金など
が適している。
上記光スイッチは、シリコン基板の上に、例えばコア
をm行n列(m,n2)のマトリックス状に構成し、こ
れに対して多数の光スイッチを集積することができる。
集積化した光スイッチの例を第7図に示す。ここでは
4×4の光スイッチが一基板上に形成されている。矢印
111〜114で示す独立な4本の入線がスイッチされて、矢
印121〜124及び131〜134で示す2系統の出線に振り分け
られる。尚、この図には煩雑さを避けるため、スイッチ
ング用の給電線は書き込んでいない。
以上のようにして、製作された光スイッチ基板は、メ
チルシクロヘキサノールに浸漬して封止される。このと
きに不純物ガスなどを混入させないことが、液体の蒸発
・凝縮温度を一定とし、確実に動作を行うために重要で
ある。
第8図は、光スイッチの全体の構成図である。基板は
金属性のパッケージ20に封じ、メチルシクロヘキサノー
ルを封入する際には、内部が純粋にメチルシクロヘキサ
ノールの気相21と液相22で満たされるように脱気を行
う。また、光ファイバ23及びスイッチングのための給電
線24は、ハーメチックシールでパッケージ20から外部に
引き出される。前記のパッケージ20は、周囲をヒータ25
と断熱材26で覆い、パッケージ温度を外気温度より高
く、しかもメチルシクロヘキサノールの沸点より低い温
度に保つようになっている。
上記光スイッチの特長は、光導波路5に形成されるス
リット8の寸法が小さいほど、スリット周辺の熱容量が
小さくなるので、薄膜ヒータ9に供給する電力が小さ
く、しかも高速なスイッチング動作が可能になる点にあ
る。また、上記例で述べたような製造方法をとれば、シ
リコン基板あるいは石英などのガラス基板上に、スイッ
チ素子を小さく作り込むことが可能であり、数十msの高
速なスイッチング動作が可能になる利点を持つ。
第9図は、第5図に示した薄膜ヒータ9の変形例であ
る。即ち、クラッド上面に設ける薄膜ヒータ9を“コ”
字状に形成し、その両端より給電線10,10により通電す
る構成である。このように、薄膜ヒータ9は種々の形状
に形成することができる。
第10図は、第6図に示した液体貯蔵タンクの変形例で
ある。即ち、液体6を基板1の下面側に設けた液体貯蔵
タンク15に入れておき、ここからスリット8の部分へ液
体6を供給する構成である。
[発明が解決しようとする課題] ところで、上記第5図〜第8図の従来例では、薄膜ヒ
ータ9が液体6と接しているので、給電線10,10は液体
6と接しないように絶縁体を覆って通電しなければなら
ない。また、薄膜ヒータ9が液体6と直に接しているた
め、この薄膜ヒータ9に通電したときに、スリット8内
の液体6以外に薄膜ヒータ9の上面付近の液体も加熱さ
れる。即ち、スリット8内の液体の加熱方式としては効
率が悪く、消費電力が増す。更には、薄膜ヒータ9が常
に液体6と接しているため、錆び,腐蝕等の点で長期的
信頼性に欠ける。
本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、消費
電力が低く、信頼性が高い光スイッチ及びその製造方法
を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の光スイッチは、基板上に屈折率nbの低屈折率
層が形成され、略矩形断面形状の高屈折率nw(nw>nb
のコアが低屈折率層の上にT字形状に直交配置され、低
屈折率層及びコアが低屈折率nc(nc<nw)のクラッドで
覆われ、コアの直交部にコア内を伝搬する光の光路に対
して略45゜の角度をなすスリットがクラッド上面からコ
ア層を貫通するように垂直に形成され、スリット内をコ
アの屈折率nwと等しい屈折率の液体で満たすように液体
貯蔵タンクがクラッド上面に設けられ、スリット内の液
体を加熱により気化させると共に加熱の停止により気化
した液体を凝結させて液体に戻すためスリットの設けら
れたクラッド上面に設けられると共に液体と接しないよ
うに絶縁体で覆われた給電線付き薄膜ヒータとを備え、
コア内を伝搬する光を直交部で直角に反射させるか或い
は透過させることにより、光路を切替えるものである。
上記構成に加え本発明の光スイッチのスリットは、ク
ラッド上面からコア層を貫通するように基板内に形成さ
れ、基板の下側に設けた液体貯蔵タンクからスリット内
に液体が供給されるようにするのが好ましい。
上記構成に加え本発明の光スイッチの光導波路のコア
はm行n列(m,n>2)のマトリックス状に構成しても
よい。
上記給電線付き薄膜ヒータを絶縁体で覆った導波路型
光スイッチは、次の(a)〜(e)の工程で製造するこ
とができる。
(a)基板上に、光導波路用ガラス膜として、低屈折
率層,コア層,クラッド層を順次積層する工程、(b)
該クラッド層の上にメタル膜,フォトレジスト膜を形成
し、フォトリソグラフィによりパターン化工程、(c)
ドライエッチングプロセスにより、メタル膜,クラッド
層,コア層にスリットを形成する工程、(d)フォトレ
ジスト膜を剥離後、メタル膜上に再度フォトレジスト膜
を塗布し、パターン化した後、ドライエッチングプロセ
スによりメタル膜に薄膜ヒータと給電線とをパターン化
する工程、(e)その後で上記薄膜ヒータと給電線のパ
ターン上に絶縁膜を形成し、この絶縁膜上に液体を満た
す工程。
[作用] 加熱手段によりスリット中の液体を蒸発,気化させる
と、光導波路に進入した光は、スリット界面において屈
折率の違いにより、全反射して、当該光導波路枝路と直
交する光導波路枝路に導かれる。一方、加熱を止めて気
化した液体を凝結させて液体に戻すと、スリットが、光
導波路のコアの材料とほぼ等しい屈折率を持つ液体で満
たされることとなり、光は恰もスリットが無いが如く直
進する。かくして光がスイッチングされる。
給電線付き薄膜ヒータが絶縁体で覆われるように構成
することにより、薄膜ヒータが液体と接しないため、効
率良く加熱・冷却による液体の蒸発・凝縮を行わせるこ
とができ、従って低消費電力で光スイッチングさせるこ
とができる。また、長期的にも安定した光スイッチング
動作をさせることができる。
この液体の注入及び除去動作は、加熱・冷却による液
体の蒸発・凝縮によって行われるため、高速な光スイッ
チング動作が実現される。
更に、その素子構造を基板上に形成することにより、
多チャンネルのマトリックス型光スイッチを一基板に集
積化することができる。
光導波路材料としては、シリコン基板あるいはガラス
(例えば石英)基板の上に成膜した酸化珪素を主成分と
する材料を用いている。一方、スイッチ部分に用いる液
体材料は、光導波路のコア部分と屈折率がほぼ等しいも
の、例えばメチルシクロが適当である。
酸化珪素を主成分とするコア屈折率(nw=1.460〜1.4
68)に近い屈折率を持つ液体としては、次のようなもの
がある。
C Cl4テトラクロルメタン(n=1.4598,bp,76.5
℃) Cl3CNO2トリクロロニトロメタン(n=1.46075) CH3C3H10OHメチルシクロヘキサノール(n=1.461,b
p;155℃) (C2H5)GeCH2CH2COH(n=1.4612,bp;136℃) C6H11Cl シクロヘキシルクロライド(n=1.46216,b
p;143.3℃) C24H45 7−シクロヘキシルオダデカン(n=1.463
4,bp;179℃) HCF Cl C SO C2H5(n=1.4636,bp;71℃) C6H5F フロロベンゼン(n=1.46412,bp;84.85℃) C6H11OH シクロヘキサノール(n=1.4656,bp;161.1
℃) C6H16 テレピンオイル(n=1.4663,bp;155℃) 但し、nは液体の屈折率,bpは液体の沸点である。
しかし、固体部分と液体部分の屈折率を組み合わせる
ということに本発明の本質があるわけであるから、上記
の光導波路と液体材料の組み合わせは、その条件内で選
択の余地がある。例えば、相溶性のある2種類(あるい
は2種類以上でも良い)の液体AとBを混合することに
より、nwに近い屈折率の液体を表現しても良い。
[実施例] 以下に、本発明を図示の実施例によって詳細に説明す
る。
第1図に、この点を考慮した導波路型光スイッチの実
施例を示す。同図(a)は上面図であり、同図(b)は
その断面図である。
光導波路5は、第5図と同じ様に、T字形の光導波路
構造で構成され、直交した交差部にスリット8が設けら
れている。このスリット8は、入口側11から伝搬してく
る光に対して、略45゜の角度をなすように設けられてい
る。そして、このスリット8内への液体6の注入及び除
去動作を加熱・冷却による液体の蒸発・凝縮によって行
うことにより、入口側11方向から伝搬してきた光を、出
口側12方向或いは出口側13方向へスイッチングする。
まず、構成から説明する。
基板1上に低屈折率層2(屈折率nb)が形成され、そ
の上に略矩形状のコア3(屈折率nw,nw>nb)が設けら
れている。そして、上記コア3は屈折率nc(nc<nw)の
クラッド4で全面が覆われた、いわゆる押込型光導波路
で構成されている。このクラッド4の上に薄膜ヒータ9
(例えばCr或いはTiで構成された薄膜層)と給電線10,1
0がパターン化されている。そして上記薄膜ヒータ9と
給電線10,10は、絶縁層16で全面が覆われている。この
絶縁層16の屈折率は、コア3の屈折率nwと略等しいこと
が好ましい。従って、この絶縁層16の材質としては、コ
ア3の材質と略等しいもの、例えば、SiO2にGe,P,Al,Zn
などの屈折率制御用添加物を含んだものを用いる。
この絶縁層16の上に液体貯蔵タンク7が設けられ、こ
のタンク7内に液体6が充填されている。液体6は薄膜
ヒータ9,給電線10,10とは接触しておらず、絶縁層16に
よって絶縁されている。スリット8の内壁面も絶縁層16
が形成されている。この絶縁層16は液体貯蔵タンク7内
の液体6の温度上昇を抑圧することができる。つまり、
より低い電圧源17でスリット8内の液体を気化させるこ
とができ、高速のスイッチングが可能となる。
上記第1図の実施例の具体例について述べる。
基板1には、Si或いはガラス(例えば、SiO2にGe,Ti,
P,B,Al,F,Znなどの添加物を少なくとも一種類含んだも
の)を用いる。低屈折率層2には、SiO2、あるいはSiO2
にB,P,F,Ge,などの屈折率制御用添加物を少なくとも一
種類含んだものを用い、またクラッド4も同様のものを
用いる。コア3にはSiO2にGe,Ti,P,Al,Zn,Er,Nd,Sm,Ce,
Tm,F,Na,Bなどの添加物を少なくとも一種類含んだもの
を用いる。
コア3(屈折率nw)に対するクラッド4(屈折率nc
或いは低屈折率層2(屈折率nb)の比屈折率差Δ、 又は は、0.2%〜1%の範囲内に、即ち、単一モード光導波
路となるように選ばれる。絶縁層16もコア3と同一の材
料のものが用いられる。
尚、低屈折率層2,クラッド4の厚みは10μm〜数10μ
mの範囲に設定され、コア3の厚み及び幅は数μm〜10
数μmの範囲から選ばれる。
絶縁層16の厚みは、数千゜R〜数μmの範囲から選ば
れる。スリット8の幅は数μmに、またその長さは数10
μm〜100μmの範囲から選ばれる。
液体6としては、コア3の屈折率nwと略等しい屈折率
の液体であることと、沸点ができる限り低いことが望ま
しく、例えば、フルオロベンゼンC6H5F(温度20℃にお
けある屈折率1.46412,沸点84.9℃)を用いることができ
る。
薄膜ヒータ9に、例えばTi薄膜(厚み0.2μm,幅20μ
m,長さ1mm)を用いたとすると、上記ヒータ抵抗は約0.5
Ωとなり、電圧源17の印加電力を約0.4Wにすることによ
り、上記薄膜ヒータ9の表面温度は約120℃となり、ス
リット8内の液体を気化することができる。
また、本光スイッチの応答速度が薄膜ヒータ表面の温
度変化の速度に依存すると考えると、その立ち上がり及
び立ち下がり時間は、1msを期待することができる。
第1図の実施例は、1入力、2出力のいわゆる1×2
型光スイッチの場合であったが、本発明は上記実施例に
限定されない。例えば、第2図に示すように、2入力,4
出力の光スイッチのように、n×m型光スイッチ(n,m:
≧2)にも適用することができる。
第2図において、矢印111,112は光ファイバ181,182か
ら導波路型光スイッチ30へ入力する光信号の方向を示
し、矢印121,122は光ファイバ183,184から出力される光
信号の方向を、矢印131,132は光ファイバ185,186から出
力される光信号の方向を示す。光導波路5のコア光路の
交差部には、それぞれスリット81〜84が設けてある。
尚、同図には薄膜ヒータ91〜94へ電力を供給する給電線
は省略してあるが、実際の構成では当然設けられるもの
である。
第3図は、第1図,第2図の導波路型光スイッチの製
造方法を示したものである。
まず、(a)において、石英基板1上にコア3の膜を
形成し、その上にクラッド4の膜を形成する。第1図の
低屈折率層2は基板1に石英ガラスを用いているので、
この石英ガラスで低屈折率層2を兼用する。コア3及び
クラッド4は電子ビーム蒸着法,スパッタリング法など
の物理的蒸着法、或いは、火炎堆積法,CVD法(含むプラ
ズマCVD法)などの方法によって形成することができ
る。
次に、(b)に示すように、クラッド4の上にメタル
膜31、例えばCr,Ti膜などを形成する。このメタル膜31
は、上記電子ビーム蒸着法,スパッタリング法などで形
成する。そして、(c)に示すように、このメタル膜31
の上にフォトレジスト膜32を塗布し、フォトマスクを介
して露光,現像,焼付けにより、フォトレジスト膜32の
パターニングを行う。
次に、(d)に示すように、このフォトレジスト膜32
のパターンをマスクにして、ドライエッチングプロセス
によりメタル膜31のパターニングを行う。更に、上記フ
ォトレジスト膜32,メタル膜31のパターンをマスクにし
て、ドライエッチングによりクラッド4とコア3のドラ
イエッチングを行い、スリット8を形成する。
次に、(e)に示すように、まずフォトレジスト膜32
を除去後、メタル膜31上に再度フォトレジスト膜を塗布
する。そして薄膜ヒータ9と給電線10,10形成用のフォ
トマスクを介して、上記フォトレジスト膜にパターニン
グを行う。次に、このフォトレジスト膜のパターンをマ
スクにしてドライエッチングを行い、メタル膜31を薄膜
ヒータ9と給電線10,10にパターン化する。その後、上
記フォトレジスト膜を取り除く。
最後に、(f)に示すように、コア3の屈折率と同じ
屈折率の絶縁膜16を上記薄膜ヒータ9と給電線10,10上
に形成させ、全面を覆う。この絶縁膜16を形成は、スリ
ット8内の内壁面にもカバーできるように、減圧CVD
法、例えばプラズマCVD法によって行う。
上記の如くして製造された導波路型光スイッチは、液
体を蒸発,気化させる薄膜ヒータが絶縁体によって液体
と接していない。そのため、スリットの付近の液体のみ
を局所的に加熱することができ、低消費電力で効率良い
加熱方式である。また、給電線10,10も合わせて絶縁体
で覆われ、液体に接していないので、短絡する危険もな
い。更に、薄膜ヒータ,給電線が絶縁体で覆われている
ことから、長期的に安定であり、錆び,腐蝕などによる
劣化,抵抗値変化などの問題もない。また、製造方法
が、リソグラフィとエッチングによるものであり、素子
の微細化及び多チャンネルの光導波路のスイッチの集積
化が可能となる。さらに、微細なスリット内の微量の液
体を局部的に加熱・冷却し、蒸発・凝縮させることによ
ってスイッチング動作ができるので、光スイッチングの
高速動作が実現する。
[発明の効果] 以上述べたように、本発明によれば次のような効果が
得られる。
(1)給電線付き薄膜ヒータを絶縁体で覆うことによ
り、薄膜ヒータが液体と接していないため、効率良く加
熱・冷却による液体の蒸発・凝縮を行わせることがで
き、従って低消費電力で且つ長期的に安定して光スイッ
チング動作をさせることができる。
(2)光スイッチに可動部分がないので、システムの故
障に対する信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
第1図は薄膜ヒータを絶縁体で覆った本発明の導波路型
光スイッチの実施例を示したもので、(a)は上面図、
(b)はその断面図、第2図は第1図の導波路型光スイ
ッチを集積化した実施例を示す図、第3図は第1図の導
波路型光スイッチの製造方法を示す図、第4図は従来の
光スイッチの概略図、第5図は本発明の前提となった光
スイッチ基板の上面図、第6図は第5図及び第9図のA
−A部分の拡大断面図、第7図は多チャンネルの光導波
路のスイッチに集積化した光スイッチ基板の上面図、第
8図は本発明の前提となった光スイッチの全体の構成を
示す断面図、第9図は薄膜ヒータの変形例を示す光スイ
ッチ基板の上面図、第10図は液体貯蔵タンクの変形例を
示す第6図と同様の拡大断面図である。 図中、1は基板、2は下側クラッド(低屈折率層)、3
はコア、3a,3b,3cは枝路、4は上側クラッド、5は光導
波路、6は液体、7は液体貯蔵タンク、8はスリット、
9は薄膜ヒータ、10は給電線、11は光の入口側、12,13
は光の出口側、14は光スイッチ基板の上面、15は液体貯
蔵タンク、16は絶縁層(絶縁体)、17は電圧源、20はパ
ッケージを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井本 克之 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社電線研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−105603(JP,A) 特開 昭58−130320(JP,A) 実開 昭64−9213(JP,U) 特公 昭49−5475(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 26/08 G02B 6/12 - 6/125

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に屈折率nbの低屈折率層が形成さ
    れ、略矩形断面形状の高屈折率nw(nw>nb)のコアが上
    記低屈折率層の上にT字形状に直交配置され、上記低屈
    折率層及び上記コアが低屈折率nc(nc<nw)のクラッド
    で覆われ、該コアの直交部にコア内を伝搬する光の光路
    に対して略45゜の角度をなすスリットがクラッド上面か
    らコア層を貫通するように垂直に形成され、スリット内
    をコアの屈折率nwと等しい屈折率の液体で満たすように
    液体貯蔵タンクが上記クラッド上面に設けられ、上記ス
    リット内の液体を加熱により気化させると共に加熱の停
    止により気化した液体を凝結させて液体に戻すため上記
    スリットの設けられたクラッド上面に設けられると共に
    上記液体と接しないように絶縁体で覆われた給電線付き
    薄膜ヒータとを備え、コア内を伝搬する光を直交部で直
    角に反射させるか或いは透過させることにより、光路を
    切替えることを特徴とする光スイッチ。
  2. 【請求項2】上記スリットは、クラッド上面からコア層
    を貫通するように基板内に形成され、上記基板の下側に
    設けた液体貯蔵タンクから上記スリット内に液体が供給
    されるようにした請求項1に記載の光スイッチ。
  3. 【請求項3】上記光導波路のコアはm行n列(m,n>
    2)のマトリックス状に構成されている請求項1または
    2に記載の光スイッチ。
  4. 【請求項4】次の工程(a)〜(e)から成る光スイッ
    チの製造方法。 (a)基板上に、光導波路用ガラス膜として、低屈折率
    層,コア層,クラッド層を順次積層する工程、(b)該
    クラッド層の上にメタル膜,フォトレジスト膜を形成
    し、フォリソグラフィによりパターン化する工程、
    (c)ドライエッチングプロセスにより、メタル膜,ク
    ラッド層,コア層にスリットを形成する工程、(d)フ
    ォトレジスト膜を剥離後、メタル膜上に再度フォトレジ
    スト膜を塗布し、パターン化した後、ドライエッチング
    プロセスによりメタル膜に薄膜ヒータと給電線とをパタ
    ーン化する工程、(e)その後で上記薄膜ヒータと給電
    線のパターン上に絶縁膜を形成し、この絶縁膜上に液体
    を満たす工程。
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