JP2871879B2 - 導波路型光スイッチ - Google Patents

導波路型光スイッチ

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JP2871879B2
JP2871879B2 JP3064989A JP6498991A JP2871879B2 JP 2871879 B2 JP2871879 B2 JP 2871879B2 JP 3064989 A JP3064989 A JP 3064989A JP 6498991 A JP6498991 A JP 6498991A JP 2871879 B2 JP2871879 B2 JP 2871879B2
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敏昭 片桐
豊 勝山
哲也 横田
克之 井本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伝搬する光の光路の切
り替え又は遮断のために用いられる導波路型光スイッチ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光通信システムが高度化するにつ
れて、低挿入損失,低クロストーク特性を持った空間分
割型光スイッチのニーズが高まってきている。
【0003】従来、上記方式のスイッチとしては、図5
に示すように光ファイバ(あるいは光導波路)a,b,
cの交差部にエアギャップGを設け、このギャップG内
の液体の注入/除去によって、光ファイバとギャップ界
面の全反射条件を制御して、光スイッチングを行う方法
が提案されている(金山,安東;液体注入による全反射
光スイッチングの検討,昭和63年電子通信情報学会春期
全国大会,c-419,P1-196)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図5の光スイッチは、
交差角θが90°に近い値において、反射状態及び透過
状態共に、低挿入損失且つ偏波面依存性の殆ど無いスイ
ッチングが可能である。この方式でスイッチング速度を
速くするためには、ギャップへの液体の注入及び除去を
高速で行わなければならない。
【0005】しかし、上記論文の光スイッチでは、液体
の注入及び除去を手動により行っており、高速スイッチ
ングが困難である。
【0006】本発明の目的は、前記した従来技術の欠点
を解消し、液体の注入及び除去を高速で行うことと、液
体の注入及び除去に用いる薄膜ヒータの位置をスリット
下部に設け、効率よく熱の供給を行えるような構造の導
波路型光スイッチを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の導波路型光スイッチは、光の伝搬する略矩
形状のコア(屈折率n)が交差すると共に、コアより
低屈折率のクラッド(屈折率n)で覆われた光導波路
が基板上に形成されており、そのコアの交差部に上記光
導波路を切断するように設けられ屈折率がコアと略等し
い液体を満たしたスリットと、該スリットの真下の基板
裏面に形成された穴に設けられ上記液体を局部的に加熱
して気化させることにより光路を変更するヒータからな
る加熱手段とによって構成されている。そして、加熱に
よりスリット部の液体を気化させる工程と、加熱を止め
て気化した液体を凝縮させて液体に戻す工程を伴う。
【0008】上記基板上のコアは少なくとも光の入射部
としての枝路と光の出射部としての2つの枝部とからな
り、これらの枝部は互いに直交配置され、上記液体を満
たされたスリット部は、この直交部においてそれぞれの
枝部のコア内を伝搬する光路に対して略45°の角度を
なすように設けられる。
【0009】上記液体はスリットの設けられた面に具備
された液体貯蔵タンクから供給される。
【0010】
【作用】加熱手段によりスリット中の液体を気化させる
と、光導波路に進入した光は、スリット界面において屈
折率の違いにより全反射して、当該光導波路枝路と直交
する光導波路枝路に導かれる。一方、加熱を止めて気化
した液体を凝縮させて液体に戻すと、スリットが光導波
路のコアの材料とほぼ等しい屈折率を持つ液体で満たさ
れることになり、光は恰もスリットが無いが如く直進す
る。かくして光がスイッチングされる。
【0011】この液体の注入及び除去動作は、加熱・冷
却による液体の気化・凝縮によって行われるため、高速
な光スイッチング動作が実現される。また、液体を気化
させるための加熱手段が、該スリットの真下の基板裏面
にあ加熱手段と液体とが直接接触することがないの
で光伝搬特性には全く影響がない。しかも熱の供給が効
率よく円滑に行われ、従って低消費電力で光スイッチン
グ動作を行うことができる。
【0012】光導波路材料としては、シリコン基板ある
いはガラス(例えば石英)基板の上に成膜した酸化珪素
を主成分とする材料を用いる。一方、スイッチ部分に用
いる液体材料は、光導波路のコア部と屈折率がほぼ等し
く、且つ気化・凝縮動作を行うために、適当な沸点を持
つような液体が望ましい。例えば、フルオレベンゼン
(C6H5F 屈折率1.46412 沸点84.9℃)や、シクロヘキサ
ノール(C6H11OH 屈折率1.4656 沸点161.19℃)等が適
当である。
【0013】なお、上記の光導波路の形成方法,スリッ
トの形成方法,液体の種類等については、特願平2−2
69489号明細書に詳しく述べられている。
【0014】
【実施例】以下に本発明を図示の実施例によって詳細に
説明する。
【0015】図1は本発明の光スイッチ基板の上面図で
あり、図2はそのA−A断面の拡大図である。
【0016】光導波路5は、単結晶シリコンの平面基板
上1に、異なる屈折率を持った酸化珪素の層を重ねた構
造によって形成されており、光の伝搬する略矩形状のコ
ア(屈折率nw )3と、該コアを覆う低屈折率nc の上
下のクラッド2,4とを有する。
【0017】基板上の光導波路コアは少なくとも直線状
に存在する3a−3bの枝路と、これに直交するように
配置される3cの枝路によって構成された3つの枝路3
a,3b,3cを有し、これら3枝路は、図1に示すよ
うに軸線が交差する位置関係に置かれている。このう
ち、枝路3aは光導波路コアへの光の入射部として、残
りの2つの枝路3b,3cは光の出射部として機能す
る。ここでは、光の入口側11の光導波路コア(枝路3
a)に対し、一方の出口側12の枝路3bは入口側11
の枝路3aの延長線上に、また他方の出口側13の枝路
3cは入口側の枝路3aと直交するように形成されてい
る。
【0018】光導波路5の途中には、屈折率がコア3の
それと略等しい液体6(例えば、フルオレベンゼン,シ
クロヘキサノール等)を満たされた1本のスリット8
が、それぞれのコア枝路内を伝搬する光路に対して略4
5°の角度をなすように設けられ、該スリット8によっ
て光導波路の交差部分が切断されている。
【0019】光スイッチ基板上の上面14及び前記スリ
ット8の内面は、図2に示すように、光導波路のコアと
同じ屈折率を持つ液体6で満たされている。この液体は
クラッド4の上面に設けられた液体貯蔵タンクからスリ
ット8へ供給されるが、この液体貯蔵タンク15は、例
えば図3に示すように、金属製のパッケージ等に液体6
を封入することで構成できる。
【0020】スリット8下方近傍にあたる基板の下面に
は、スリット内の液体を局部的かつ効果的に加熱する手
段として、給電線10の付けられた抵抗発熱体からなる
薄膜ヒータ9が配設されている。ここで薄膜ヒータ9
は、導波路基板1の裏面にエッチング等の方法で明けら
れた基板穴7の中に配設されており、導波路真下から加
熱するようになっている。
【0021】外部に引き出した給電線10より薄膜ヒー
タ9に通電することによって、スリット8の近傍は基板
裏面より加熱され、スリット8内の液体を気化させるこ
とができる。このとき、光はスリット8の内面で反射
し、直交する光導波路枝路3c側(出口側13)へ折り
曲げられる。一方、通電加熱を止めれば、伝熱によって
直ちにスリット8の周辺は冷却され、気化した液体は直
ちに凝結し液体に戻るから、光は再び光導波路3b(出
口側12)の方へ直進する。
【0022】要するに、スリット8の溝の中に光導波路
5のコア3の屈折率とほぼ等しい屈折率を持つ液体を充
填しておき、且つ、スリット8の直下に薄膜ヒータ9を
形成し、この薄膜ヒータ9に通電することによってスリ
ット8の近傍を加熱し、スリット8内の液体を気化させ
る。それによって、コア3を入口側11から出口側12
方向に伝搬していた光は、このスリット内の液体が加熱
され気化しているので、スリット8の内面で反射し、直
交する光導波路コア枝路3cへ曲げられ、出口側13へ
伝搬する。
【0023】一方、薄膜ヒータ9への通電を止めれば、
熱伝導によって直ちにスリット周辺は冷却され、気化し
た液体は凝結して液体となりスリット内に戻るので、光
は再び出口側方向12方向へ直進する。このように、ス
リット8内への液体の注入及び除去動作を加熱・冷却に
よる液体の気化・凝縮によって行うことにより、高速の
スイッチイング動作を実現することができる。
【0024】図4は、図1及び図2に示した加熱手段の
変形実施例である。この例は、導波路基板1の下面に薄
膜ヒータを埋め込まずに、熱伝導性の良好な針状の熱伝
導体20を用いて、スリット8の周辺近傍のみを加熱で
きるようにしたものである。スリット8内の液体を加熱
するためのヒータ21は、該基板1の裏面に設けられて
いる。このヒータ21からの熱は、基板1にスリット8
の位置に対応して明けられた極細い穴23に通してある
針状熱伝導体20に伝えられ、該針状熱伝導体によって
効率よくスリット8の周辺近傍の狭い範囲にまで伝えら
れ、スリット8内の液体を加熱・気化することを可能と
する。
【0025】この針状値伝導体20を用いた実施例によ
れば、スリット8周辺の狭い範囲のみを加熱することが
可能となるため、光導波路5に対する加熱による悪影響
を最小限にすることができ、更に導波路基板1に明ける
基板穴7(図2)が小さくなるため、基板1の応力に対
する耐久性を高めることができる。
【0026】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
次のような効果を得ることができる。
【0027】(1) 微細・極少なスリット内の微量な液体
を局部的に加熱・冷却し、気化・凝縮させることによっ
てスイッチング動作ができるので、光スイッチングの高
速動作が実現できる。
【0028】(2) 光スイッチに可動部分がないので、シ
ステムの故障に対する信頼性が高い。
【0029】(3) 液体を加熱する部分と、液体の満たさ
れているスリットが、互いに基板の上下に孤立して位置
するため、構造が簡単であり、且つ唯一の通電部分であ
るヒータ部が液体と接触しない構造なので、電気的な絶
縁の必要がない。
【0030】(4) 製造方法が、リソグラフィとエッチン
グによって行えるため、素子の微細化・集積化が可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す光スイッチ基板の上面
図である。
【図2】図1のA−A部分の拡大断面図である。
【図3】本発明の光スイッチの全体の構成を示す断面図
である。
【図4】液体加熱部分についての変形例を示す光スイッ
チの拡大断面図である。
【図5】従来の光スイッチの構成図である。
【符号の説明】
1 基板 2 下側クラッド(低屈折率層) 3 コア 3a,3b,3c 枝路 4 上側クラッド 5 光導波路 6 液体 7 加熱部埋め込み用の基板穴 8 スリット 9 薄膜ヒータ 10 給電線 11 光の入口側 12,13 光の出口側 14 導波路基板の上面 15 液体貯蔵タンク 20 熱供給用針状熱伝導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横田 哲也 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社電線研究所内 (72)発明者 井本 克之 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社電線研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−243642(JP,A) 特開 昭62−119504(JP,A) 特開 昭63−191106(JP,A) 特開 昭53−120452(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 6/12 G02B 26/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光の伝搬する略矩形状のコアが交差する
    と共に、コアより低屈折率のクラッドで覆われた光導波
    が基板上に形成されており、そのコアの交差部に上記
    光導波路を切断するように設けられ屈折率がコアと略等
    しい液体を満たしたスリットと、該スリットの真下の基
    板裏面に形成された穴に設けられ上記液体を局部的に加
    して気化させることにより光路を変更するヒータから
    なる加熱手段とを具備することを特徴とする導波路型光
    スイッチ。
  2. 【請求項2】 加熱によりスリット部の液体を気化させ
    る工程と、加熱を止めて気化した液体を凝縮させて液体
    に戻す工程を有することを特徴とする請求項1の導波路
    型光スイッチ。
  3. 【請求項3】 上記基板上のコアは少なくとも光の入射
    部としての枝路と光の出射部としての2つの枝部とから
    なり、これらの枝部は互いに直交配置され、上記液体を
    満たしたスリット部は、この直交部においてそれぞれの
    枝部のコア内を伝搬する光路に対して略45゜の角度を
    なすように設けられていることを特徴とする請求項1の
    導波路型光スイッチ。
  4. 【請求項4】 上記液体はスリットの設けられた面に具
    備された液体貯蔵タンクから供給されるようにしたこと
    を特徴とする請求項1の導波路型光スイッチ。
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