JP2756322B2 - 静電潜像現像用磁性トナー - Google Patents

静電潜像現像用磁性トナー

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JP2756322B2
JP2756322B2 JP1271052A JP27105289A JP2756322B2 JP 2756322 B2 JP2756322 B2 JP 2756322B2 JP 1271052 A JP1271052 A JP 1271052A JP 27105289 A JP27105289 A JP 27105289A JP 2756322 B2 JP2756322 B2 JP 2756322B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は電子写真法、静電記録法などに用いられる静
電潜像現像用トナーに関し、特に絶縁性の静電潜像現像
用磁性トナーに関する。
〔背景技術〕 従来電子写真法としては米国特許第2,297,691号明細
書、特公昭42−23910号公報(米国特許第3,666,363号明
細書)及び特公昭43−24748号公報(米国特許第4,071,3
61号明細書)等に記載されている如く、多数の方法が知
られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の
手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜
像をトナーで現像を行って可視像とし、必要に応じて、
紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力等
により定着し、複写物を得るものである。
静電潜像をトナーを用いて可視像化する現像方法も種
々知られている。例えば米国特許第2,874,063号明細書
に記載されている磁気ブラシ法、同第2,618,552号明細
書に記載されているカスケード現像法及び同第2,221,77
6号明細書に記載されているパウダークラウド法、フア
ーブラシ現像法、液体現像法等、多数の現像法が知られ
ている。これらの現像法において、特にトナー及びキヤ
リヤーを主体とする現像剤を用いる磁気ブラシ法、カス
ケード法、液体現像法などが広く実用化されている。こ
れらの方法はいずれも比較的安定に良画像の得られる優
れた方法であるが、反面キヤリヤーの劣化、トナーとキ
ヤリヤーの混合比の変動という2成分現像剤にまつわる
共通の欠点を有する。
かゝる欠点を回避するため、トナーのみよりなる1成
分系現像剤を用いる現像方法が各種提案されているが、
中でも、磁性を有するトナー粒子より成る現像剤を用い
る方法に優れたものが多い。
米国特許第3,909,258号明細書には電気的に導電性を
有する磁性トナーを用いて現像する方法が提案されてい
る。これは内部に磁性を有する円筒状の導電性スリーブ
上に導電性磁性トナーを支持し、これを静電像に接触せ
しめ現像するものである。この際、現像部において、記
録体表面とスリーブ表面の間にトナー粒子により導電路
が形成され、この導電路を経てスリーブよりトナー粒子
に電荷が導かれ、静電像の画像部との間のクーロン力に
よりトナー粒子が画像部に付着して現像される。この導
電性磁性トナーを用いる現像方法は従来の2成分現像方
法にまつわる問題点を回避した優れた方法であるが、反
面トナーが導電性であるため、現像した画像を、記録体
から普通紙等の最終的な支持部材へ静電的に転写する事
が困難であるという欠点を有している。
静電的に転写をする事が可能な高抵抗の磁性トナーを
用いる現像方法として、トナー粒子の誘電分極を利用し
た現像方法がある。しかし、かゝる方法は本質的に現像
速度がおそい、現像画像の濃度が十分に得られない等の
欠点を有しており、実用上困難である。
高抵抗の磁性トナーを用いるその他の現像方法とし
て、トナー粒子相互の摩擦、トナー粒子とスリーブ等と
の摩擦等によりトナー粒子を摩擦帯電し、これを静電像
保持部材に接触して現像する方法が知られている。しか
しこれらの方法は、トナー粒子と摩擦部材との接触回数
が少なく摩擦帯電が不十分となり易い。帯電したトナー
粒子はスリーブとの間のクーロン力が強まりスリーブ上
で凝集し易い、等の欠点を有しており、実用上困難であ
った。
ところが、特開昭55−18656号公報等において、上述
の欠点を除去した新規な現像方法が提案された。これは
スリーブ上に磁性トナーをきわめて薄く塗布し、これを
摩擦帯電し、次いでこれを静電像にきわめて近接して現
像するものである。この方法は、磁性トナーをースリー
ブ上にきわめて薄く塗布する事によりスリーブとトナー
の接触する機会を増し、十分な摩擦帯電を可能にした
事、磁力によってトナーを支持し、かつ磁石とトナーを
相対的に移動させる事によりトナー粒子相互の凝集をと
くとともにスリーブと十分に摩擦せしめている事、トナ
ーを磁力によって支持し又これを静電像に接する事なく
対向させて現像する事により地カブリを防止している事
等によって優れた画像が得られるものである。
このような現像方法に用いられる現像器は、簡単な構
成でひじょうに小さくできることが特徴である。
そのため、例えば高速機においては、感光体のまわり
に余裕ができるため、他の色の現像器をいくつか配置
し、ワンタツチで色の変更をしたり、アナログ光と同時
にレーザー光を用い、ページや文字の書き込みを複写と
同時に行うなどが容易になるというような利点がでてく
る。
特に小型機においては、全体を軽く、小さくできるた
め、複写機のパーソナル化には必要な技術となってきて
いる。
また、小型のLBP(レーザービームプリンター)に代
表されるようにプリンターにおいてもドツトプリンター
や熱転写プリンターにない音が静かで、しかも高速とい
う相反する性能を両立させるために現像器スペースをひ
じょうに小さくとれ、しかもシンプルで軽いということ
が、ひじょうに有効となっている。
しかしながら、この現像方式はシンプルで軽く、小さ
い現像器という特徴のため、逆にこの方式に使われるト
ナーは従来トナー以上に、より高性能でなければ、全体
としてすぐれた画像性、耐久性、安定性を得られないと
いう問題を含んでいる。すなわちかかるトナーの性能が
システムの性能にそのまま反映される場合が多いという
ことである。
今日、さらに小型軽量、高速化、特に、高画質化、高
耐久、長寿命化が求められている。
特に、感光体ドラムはより小径になる方向であり、さ
らに現像スリーブもより小径になる傾向になっている。
このように電子写真に関わるスペースが小さくできる
と、例えば、LBPのような機械では、多機能化のため記
憶装置部分や、レーザーに関わる部分のしめる体積を大
きくても、全体として、かなり小さく軽い高機能の機械
とすることができる。
しかしながら、ドラムの小径化により、ドラムやより
速く回らねばならず、そのため、感光体はより削れるよ
うになり寿命が短かくなる。また、機械がより小型にな
ると、機内の昇温も、激しくなるため、感光体へのフイ
ルミング、融着なども問題となってくる。さらに、スリ
ーブの小径化もスリーブ回転の増大により、トナーの帯
電を必要以上に上げるチヤージアツプ現象を起し、画像
濃度の低下や、バツクグラウンドの汚れ(以下、カブリ
という)を生じ問題となる。
また、高速機も、よりスピードアツプすることによ
り、特にアモルフアルシリコン感光体のように、表面の
ひじょうに堅い材料の場合、トナーの感光体への融着が
問題となってくる。反面、今日のように、OPC(有機感
光体)の耐刷枚数が向上してくると、高速機にも対応で
きるようになるが、この場合は、フイルミング、融着だ
けでなく、削れも問題となってくる。
特に、より高速になると、感光体の寿命、耐久性だけ
でなく、長期に高画質を安定に保つことは難しくなって
くる。特に、カブリ、シヤープネス、階調性などが長期
にしかも、環境変動もなく、安定化することは難しい。
一成分系トナーのように磁性体を含有するトナーは、
含有しないトナーに比して、研磨性が強くなるため、感
光体をひじょうに削るようになる。
このため、感光体ドラムの寿命が短かくなる傾向であ
り、特に小径の感光体ドラムではよりきびしくなってく
る。
これを改善するため磁性体量を減らすことが考えられ
るが、トナーの帯電量が必要以上に上がりまた、現像ス
リーブへのトナーの磁気拘束力が弱くなるためカブリや
すくなる。特に低温低湿環境下では、チヤージアツプが
進み、画像濃度が低下する場合がある。
また、特開昭59−64852号公報に球状もしくは丸味を
おびた磁性体を用いることにより、感光体の傷を防止す
ることが提案されている。しかしながら、高耐久性、感
光体の長寿命化を考えるとたかだか10〜15枚/分のスピ
ードで1万枚や2万枚の耐刷性では不充分であり、特に
高速化、あるいは、感光体ドラムのより小径化は、さら
に感光体の寿命を短くする。
また、特開昭56−16144号公報に、磁性トナー中にエ
チレン系オレフイン重合体を含有させることにより、感
光体の傷及びトナーの融着など感光体表面に対する悪影
響がなくなったとして提案されているが、ここでいうと
ころの感光体は表面にポリエステル樹脂よりなる絶縁層
をもつものが主であり、磁性粉も主には、0.2μm以上
を用いているため、今日主に用いられているOPCやアモ
ルフアスシリコンの感光体では、不適正と考えられ、画
像濃度も1.25より小さく、今日の高画像濃度、高画質の
きびしい要求には不充分である。これを機械調整により
高画像濃度としようとすると、文字がつぶれ、カブリ濃
度が上昇し問題となると考えられる。特に、今日のより
高速、小径の感光ドラムでは、このようなトナーでは、
例えば低温低湿環境下でチヤージアツプ現象を起しやす
く、画像濃度の低下やカブリの発生が起りやすい。すな
わち、感光体の表面に絶縁層のない今日広く実用化され
ているOPC(有機光導電体)やアモルフアスシリコン、S
eでは、長寿命化、メンテナンスフリーが不充分と考え
られる。
さらに、特公昭61−39662号公報に、トナー粒子中に
潤滑剤を含み研磨材として、CeO2をトナー粒子と独立の
粒子としてトナーに添加し、感光体の滑り性を良くし、
しかも研磨剤により成膜現象を防止することが提案され
ているがこれはトナー中に磁性体のごとき、研磨力の高
い材料を含む場合には、削れすぎて問題となる。さら
に、ここで述べている感光体は主に、感光層の上にさら
に絶縁層を設け、削れに対してかなり強い系であって、
今日のような、OPC感光体Se感光体のように削れに弱い
系やあるいはまったくほとんど削れないようなアモルフ
アスシリコン感光体の系では削れや、フイルミング、融
着などで高耐久、長寿命化は達成できない。また特に高
画質を長期に安定に保つという面でも、単純に潤滑剤を
加えた場合、トナー中での分散が悪く、問題となる場合
があり、トナーを独立に存在するCeO2も場合により現像
により、任意に消費されるためバランスがくずれ好まし
くない。
そこで、米国特許第4,051,077号明細書に上記のよう
な研磨材をトナーと別に入れることにより、削れすぎる
分を防ぐため潤滑剤を別に入れる方法が提案されてい
る。
しかしながら、現像時、常に決まった割合でトナーと
いっしょに消費されるわけではないので長期使用で、も
のによっては、現像器の中に多く残ったり、逆に少なく
なってしまうため、研磨と滑りのバランスがくずれ、削
れすぎたり、フイルミングや、融着、あるいは場合によ
っては、画像劣化さらに例えば画像濃度の変動、カブリ
の発生などが生じる。
また、流動性の改善、帯電の均質化をはかる目的で、
コロイダルシリカの添加をすることが知られている。コ
ロイダルシリカは、研磨性の少ない研磨剤と見ることが
できるが、また逆に核となってフイルミングや融着の原
因となる場合があり、特に、より高速機や小径の感光ド
ラムを用いた場合問題となることがある。
これらの問題を、添加したポリオレフインの量の調整
や若干の研磨剤の添加で改善することが考えられるが高
耐久性、高画質化などを考えたとき、きびしいものがあ
る。また、コロイダルシリカを添加したトナーは、特に
低温低湿環境下ではチヤージアツプしやすい傾向であ
り、問題となる場合がある。
また、高画質化をはかる目的でトナーの粒径を小さく
することが考えられている。従来、実用化されているも
のが体積平均径10〜13μであるのに対して、9μ以下と
したものである。しかし、単純に粒径を小さくすると、
帯電量が増加し、高速機や長期耐久でチヤージアツプ現
象を起し、画像濃度の低下や、画質劣化例えばカブリを
生じる。また、感光体の削れやフイルミング、融着が、
含有する材料の種類、量の少しの変化で生じやすく、実
用許容範囲が狭く問題となってくる。
以上のように、より小型軽量、高速、長寿命、高耐
久、高画質、高安定化などの種々の要望を満足するトナ
ーは今だできていない。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、かかる問題点を解決した静電潜像現
像用磁性トナーを提供することである。
さらに、本発明の目的は、感光体ドラムを必要以上に
削らず、長寿命化する静電潜像現像用磁性トナーを提供
することにある。
さらに、本発明の目的は、感光体ドラムへのフイルミ
ング、融着のない、静電潜像現像用磁性トナーを提供す
ることにある。
さらに、本発明の目的は、環境安定性、特に低温低湿
でチヤージアツプのない静電潜像現像用磁性トナーを提
供することである。
さらに、本発明の目的は、高耐久性で、高速機におい
ても、チヤージアツプやチアージダウンなどがなく、安
定性にすぐれた静電潜像現像用磁性トナーを提供するも
のである。
さらに、本発明の目的は、耐久においても階調性が良
く、カブリ、シヤープネスの良い静電潜像現像用磁性ト
ナーを提供するものである。
さらに、本発明の目的は、体積平均粒径9μm以下の
トナーに適した静電潜像現像用磁性トナーを提供するこ
とである。
〔発明の概要〕
本発明は、少なくとも結着樹脂、磁性体及びポリオレ
フィンを含有している静電潜像現像用磁性トナーにおい
て、 該磁性体は、球形状磁性体であり、該球形状磁性体
は、平均粒径が0.1〜0.2μmであり、かつ、標準偏差を
平均粒径で割って%で表した変化係数が40%以下であ
り、 該磁性トナーは、該磁性トナーの重量を基準にして、
該球形状磁性体を35〜60wt%及び該ポリオレフィンを0.
5〜4wt%含有していることを特徴とする静電潜像現像用
磁性トナーに関する。
〔発明の具体的説明〕
本発明において、球形状磁性体の平均粒径は、透過型
電子顕微鏡(TEM)による1万倍の写真をさらに4倍に
拡大し、4万倍としたものの磁性体250個をランダムに
選びその径を実測し、その径から個数分布、個数平均径
を出すものである。個数分布からは、さらにσ(標準偏
差)を出し、分布の広がりを変化係数とし、(σ/個数
平均径)×100から%で表わす。平均粒径は、さらに好
ましくは、0.14〜0.19μmであり、さらに好ましくは、
0.15〜0.19μmである。また、変化係数としては35%以
下が好ましく、さらには30%以下、さらには25%以下、
さらには20%以下が良い。変化係数は、大きくなりすぎ
ると、球形状磁性体の分散性が悪くなる傾向がある。
球形状磁性体の含有量は、35wt%未満であると、感光
体の研磨性がとぼしく、効果的でなく、さらに、カブ
リ、低温低湿環境下でチヤージアツプが問題となる。ま
た、60wt%より大きいと感光体を必要以上に削り問題と
なる場合がある上、画像濃度が低くなる傾向であり、ま
た特に長期の耐久では、画像濃度の低下、画質例えばシ
ヤープネスなどの劣化を生じ問題となる。
また、球形状磁性体の平均粒径は0.1μm未満である
とバインダーレジンへの分散性が問題となり、また、画
像濃度も出にくい方向である。0.2μmより大きいとポ
リオレフインの分散性が問題となる場合がある上、感光
体の削れが問題となる。
本発明において、球形状磁性体とは、長径/短径比が
1〜1.2の磁性体粒子を個数基準で80%以上含有してい
るものを意味し、わすかに六面体形状もしくは八面体形
状の磁性体粒子を含有している場合を含む。
球形状磁性体は、その形状からカサ密度が高く、磁性
体粒子間に空気を含みにくいため、バインダーレジンと
の分散性が良い傾向であるが、さらにポリオレフインの
分散性も向上させることができる。
この球形状磁性体のカサ密度は、0.6g/cm3以上が好ま
しく、さらには0.7g/cm3以上、さらには0.8g/cm3以上、
さらには0.9g/cm3以上が好ましい。カサ密度の測定は川
北式による。
また、トナーの粒径は、特に体積平均径(コールター
カウンターによる)9μm以下で、変化係数37%以下が
好ましく、さらには34%以下、さらには32%以下が良
い。
何ら理論にとらわれるわけではないが、磁性体の粒径
及び分布と含有するポリオレフインの均一微細分散性が
関係することを見い出した。そして、特に、感光体を均
一に、しかも必要最小限だけ、削り、感光体のフイルミ
ングや融着を長期にわたって防止することができる特定
の条件を見つけることができた。
これは0.1〜0.2μmの粒度分布の狭い球形状磁性体の
感光体の削り方が、ひじょうに均一であることと、トナ
ー中に均一に細かく分散されたポリオレフインのムラの
ない潤滑性が、調和しているためと考えられる。
さらに、0.1〜0.2μmの球形状磁性体は、従来実用化
されている0.2μmより大きい磁性体に比して、同じ重
量当りの個数がかなり大きいため、トナーが特に、低温
低湿環境下や、高速機での連続使用でもチヤージアツプ
することなく、帯電し安定化させる働きがある。さら
に、ポリオレフインの分散性が良いため、遊離したり、
トナー中に片寄ってポリオレフインが存在しないため、
カブリや画質の劣化がない。
また、特にコロイダルシリカを外添した場合でも、チ
ヤージアツプを抑えることができる。
本発明で用いることができるポリオレフインは、好ま
しくは低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレ
ン、低分子量プロピレン−エチレン共重合体であり、特
に融点が100〜200℃のものが良い。また、これらの低分
子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量
プロピレン−エチレン共重合体と、例えばマイクロクリ
スタリンワツクス、カルナバワツクス、サゾールワツク
ス等のワツクス状物質あるいは脂肪酸金属塩などとの混
合系も使用可能である。
また、球形状磁性体としては、磁場の中に置かれて磁
化とされる物質が用いられるが、マグネタイト、マグヘ
マイトが好ましい。特に磁性体を球形にする方法は、公
知の方法で良く、例えば湿式でマグネタイトを製造する
際の酸化工程のpHを中性付近に保つと球形化することが
知られている。
このような磁性体の中から、マグネタイトについて記
述する。
球形を呈した粒子からなるマグネタイトは、第一鉄塩
水溶液と該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し、1.0当量未
満のアルカリ性水溶液を混合して、温度70〜100℃の水
酸化第一鉄を含む懸濁液を生成し、次いで、温度70〜10
0℃の範囲で加熱しながら、酸素含有ガスを通気するこ
とによりマグネタイト粒子を生成する第一段と、該第一
段反応終了後残存Fe2+に対し、1.0当量以上のアルカリ
性水溶液を添加し、第一段反応と同一条件下で加熱酸化
する第二段との二段階から成る反応をすることにより得
られる。このようにして得られた球形を呈した粒子から
成るマグネタイトは、粒度が微細で粒度分布もシヤープ
である。即ち、変化係数が小さいものとなる。
アルカリ性水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ金属の水酸化物及び水酸化マグネシウ
ム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物
を使用することができる。
水酸化第一鉄を含む懸濁液中にケイ酸ナトリウム、ケ
イ酸カリウム等の水可溶性ケイ酸塩(Fe2+に対しSi換算
で0.1〜5.0原子%)を存在させると生成するマグネタイ
ト粒子の球径度、粒度分布及び温度安定性をさらによく
することができるので好ましい。
次に本発明に用いるマグネタイトの合成を実験例で詳
述する。
実験例−1 反応器として径35cm、内容積50lの気泡酸化型反応塔
を用いた。Fe2+1.6mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液20l、
3.07Nの水酸化ナトリウム水溶液20l(Fe2+に対し、0.96
当量に該当する。)、及びケイ酸ソーダ(3号)(SiO2
28.55wt%)20.2g(Feに対し0.3原子%)を用いFe(O
H)2を含む懸濁液を温度82℃で生成した。
上記Fe(OH)2を含む懸濁液を温度85℃に昇温した後
毎分100lの空気を240分間通気して、マグネタイト粒子
を生成した。次いで1.34N NaOH水溶液2lを加え(残存Fe
2+に対し1.05当量に相当する。)、温度85℃において毎
分100lの空気を、さらに30分間通気した。生成粒子は、
常法により、水洗、ろ別、乾燥、粉砕した。得られたマ
グネタイト粒子粉末を電子顕微鏡で観察した結果、平均
粒径0.18μm、変化係数18%の球形状マグネタイトであ
った。これをマグネタイトAとする。上記反応条件のう
ち、水酸化第一鉄を含む懸濁液を生成する際のFe2+
度、温度、アルカリ当量比、ケイ酸ソーダ添加量及び酸
化条件の温度、空気量を変えた以外は、実験例−1と同
一条件で、マグネタイトB,C…,Kを得た。反応条件と生
成したマグネタイトの平均粒子径及び変化係数との関係
は表1に示すようであった。
磁性体のカサ密度を上げる方法としては、例えばフレ
ツトミルなどにより加圧解砕すれば可能である。
トナーの結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリp−
クロルスチレン、ポリビニルトルエン、スチレン−pク
ロルスチレン共重合体、スチレンビニルトルエン共重合
体等のスチレン及びその置換体の単独重合体及びそれら
の共重合体:スチレン−アクリル酸メチル共重合体、ス
チレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリ
ル酸n−ブチル共重合体等のスチレンとアクリル酸エス
テルとの共重合体;スチレン−メタクリル酸メチル共重
合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレ
ン−メタクリル酸n−ブチル共重合体等のスチレンとメ
タクリル酸エステルとの共重合体;スチレンとアクリル
酸エステル及びメタクリル酸エステルとの多元共重合
体;その他スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチ
レン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ブタ
ジエン共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合
体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、
スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレンと
他のビニル系モノマーとのスチレン系共重合体;ポリメ
チルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ
酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹
脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、フエノー
ル樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、石油樹脂、塩
素化パラフイン、等が単独または混合して使用できる。
用いる重合体、共重合体、あるいはポリマーブレンド
はスチレンに代表されるビニル芳香族系またはアクリル
系のモノマーを40wt%以上の量で含有すると、より望ま
しい結果が得られる。
本発明において、結着樹脂100重量部に対して球形状
磁性体20〜150重量部、好ましくは30〜120重量部使用す
るのが良い。
磁性トナーには、球形状磁性体に加えて、任意の適当
な顔料や染料を使用しても良い。例えば、カーボンブラ
ツク、フタロシアニンブルー、群青、キナクリドン、ベ
ンジジンイエローなど公知の染顔料がある。
磁性トナーには必要に応じて添加剤を混合しても良
い。そのような添加剤としては例えばテフロン、ポリフ
ツ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛の如き有機系化合
物、あるいはCeO2,SrTiO3などの無機系化合物、また流
動性付与剤、ケーキング防止剤あるいは導電性付与剤と
して酸化スズの如き金属酸化物等がある。
また、コロイダルシリカとしては、一般的なものが使
用可能であるが、吸湿性の面から疎水化処理されたもの
が良く、例えばシランカツプリング剤、シリコーンオイ
ルで処理されたものなどが良い。
トナーの製造法としては、従来知られている一般的な
方法が用いられる。例えば、材料をヘンシエルミキサー
のような混合機で、粉体混合し、これをロールミルのよ
うな混練機で5〜30分熱混練し、得られた混練物を冷却
後、粗粉砕、微粉砕し(例えばジエツトミル)、必要な
粒度のトナーを得、必要に応じてアルピネ社のジグザグ
分級機で微粉、粗粉をカツトし、磁性トナーとする。
さらに必要な場合、コロイダルシリカなどの流動性付
与剤を粉体混合し、コロイダルシリカが外添された磁性
トナー(一成分系現像剤)とする。
実施例1 以上の材料をヘンシエルミキサーで粉体混合し、これ
を150℃に設定したロールミルで15分間熱混練する。得
られた混練物をカツターミルで粗粉砕し、ジエツトミル
を用いて、微粉砕し体積平均径(コールターカウンター
TA−II,100μアパーチヤー使用)7.5μmの粉砕物を得
た。これをアルピネ社のジグザグ分級機を用いて、分級
し、体積平均径8.0μm、変化係数30%の磁性トナーを
得た。これにアミノ変性シリコンオイル処理した正常電
性疎水性コロイダルシリカを磁性トナー100重量部に対
して0.6重量部粉体混合し外添した。
これを、70枚/分の高速複写機であるキヤノン製NP−
8570の感光体をOPC感光ドラムに変え、各帯電器を逆に
し、正帯電の磁性トナーを使用することができるように
した改造機を用いて評価した。通常環境下で、7万枚の
耐久テストを行ったが、OPC感光体表面の削れも問題な
く、また、フイルミング、融着も生じなかった。さら
に、画像濃度の変動もなく、初期から反射濃度1.4で変
動がなく、カブリ、階調性も良く、安定していた。
さらに、低温低湿環境下で1万枚を耐久テストを行っ
たが、チヤージアツプ現象もなく、画像濃度、カブリ、
階調性が良く安定し、他も問題がなかった。
比較例1 磁性体を0.23μ球形状マグネタイトBで変化係数41%
(カサ密度0.65g/cm3)とした以外は実施例1と同様に
磁性トナーを作成した。磁性トナーの体積平均径8.2μ
m、変化係数39%であった。
評価を実施例1と同様に行ったが、通常環境の耐久テ
ストでは、5万枚でOPC感光体表面の削れが顕著にな
り、画像濃度が初期の1.4から1.10に低下した。また、
カブリもやや悪く、階調性も5万枚で初期より悪くなっ
た。さらに低温低湿環境下では、耐久1万枚でカブリが
問題となるレベルとなった。
実施例2 上記材料を実施例1と同様に作成し、分級品(磁性ト
ナー)を得た。
磁性トナー100重量部にヘキサメチルジシラザンで処
理した負帯電性疎水性コロイダルシリカ0.7重量部を加
え、混合してシリカが外添されている磁性トナーを調製
した。磁性トナーの体積平均粒径は8.5μm、変化係数2
9%であった。評価は、高速複写機である複写機はアモ
ルフアスシリコン感光体を具備しているキヤノン製NP−
8580 80枚/分機を用いた。通常環境下、30万枚の耐久
テストを行ったが、アモルフアス感光体の削れ、フイル
ミング、融着も問題なく、また画像も安定し、画像濃度
は1.35〜1.45と安定し、カブリ、階調性、シヤープネス
も良く安定していた。
さらに、低温低湿環境下で、5万枚耐久テストを行っ
たが、チヤージアツプ現象もなく、まったく問題なかっ
た。
比較例2 球形状マグネタイト(C)を0.25μ球形状マグネタイ
ト(D)で(変化係数45%)(カサ密度0.25g/cm3)、
低分子量ポリプロピレン(Tm150℃)を8重量部とした
以外は実施例2と同様にして磁性トナーを作成した。磁
性トナーの体積平均粒径8.3μm、変化係数38%であっ
た。
実施例2と同様に評価を行ったところ、通常環境で12
万枚で感光体上に融着が発生し、画像上にも黒い点とな
って現れた。またカブリもやや悪く、画像濃度の変動も
ややあり、反射濃度初期1.42が1.15と低下した。
さらに低温低湿環境下で、5万枚の耐久テストを行っ
たが、チヤージアツプ現象が発生し、カブリがやや悪化
した。
実施例3 上記材料を使用して実施例1と同様にして磁性トナー
を調製した。磁性トナーの体積平均粒径が7.9μmであ
り、変化係数29%であった。磁性トナー100重量部に正
帯電性疎水性コロイダルシリカ0.6重量部を外添し、こ
れをOPC感光体ドラムが小径であるキヤノン製複写機NP
−1215機の改造機(スピードを15枚/分から20枚/分へ
スピードアツプした)で評価した。
通常環境で、5万枚の耐久テストを行ったが、感光体
の削れ、フイルミング、融着も問題なく、画像濃度も初
期から1.4〜1.45と高く、安定していた。また、カブリ
もなく、シヤープネス、階調性もひじょうに良く、安定
していた。
さらに、低温低湿環境下で3万枚耐久テストを行った
が、チヤージアツプ現象もなく、安定し、良好であっ
た。
比較例3 球形状マグネタイトEを0.24μm球形状マグネタイト
F(変化係数=42%,カサ密度0.60g/cm3)、低分子量
ポリプロピレンをステアリン酸Zn4重量部とした以外は
実施例3と同様に磁性トナーを作成した。これを実施例
3と同様に評価した。通常環境下での耐久テストでは3.
5万枚で感光体の削れムラにより、画像の濃度ムラが発
生した。さらに、低温低湿環境下での耐久テストでも、
2万枚でチヤージアツプ現象による、カブリと、画像濃
度低下がわずかに生じた。
実施例4 上記材料を使用して、実施例2と同様にして磁性トナ
ーを作成した。トナーの体積平均粒径は11.5μmであ
り、変化係数32%であった。磁性トナー100重量部に負
帯電性疎水性コロイダルシリカ0.3重量部を外添し、こ
れをOPC感光体ドラムが小径であるキヤノン製レーザー
ビームプリンターLBP−SXを改造し、6枚/分を12枚/
分とした改造機を用いて評価した。
通常環境下で、6000枚の耐久テストを行ったが、感光
体の削れ、フイルミング、融着などまったく問題がなか
った。また、チヤージアツプもなく、画像濃度も初期か
ら、1.45と安定で、シヤープネス、カブリもひじょうに
良かった。
さらに、低温低湿環境下でも、6000万枚耐久テストを
行ったが、チヤージアツプ現象もなく、ひじょうに良好
であった。
比較例4 球形状マグネタイトCを0.23μm球形マグネタイトG
(変化係数=25%,カサ密度0.7g/cm3)とした以外は、
実施例4と同様にして磁性トナーを作成した。
実施例4と同様の評価で、特に低温低湿下でカブリが
ややあり、耐久テスト4000枚で感光体上にフイルミング
が発生し、問題となった。
比較例5 低分子量ポリプロピレンを脂肪酸アミド5重量部とす
る以外は実施例4と同様に磁性トナーを作成した。実施
例4と同様な評価において、耐久テスト4000枚で、感光
体ドラムの削れすぎのため画像上に濃度ムラが生じた。
また、4500枚付近でフイルミング、融着も発生した。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−294260(JP,A) 特開 昭63−105901(JP,A) 特開 昭63−17222(JP,A) 特開 昭60−71529(JP,A) 特開 平1−185666(JP,A) 特開 平1−185653(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 9/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも結着樹脂、磁性体及びポリオレ
    フィンを含有している静電潜像現像用磁性トナーにおい
    て、 該磁性体は、球形状磁性体であり、該球形状磁性体は、
    平均粒径が0.1〜0.2μmであり、かつ、標準偏差を平均
    粒径で割って%で表した変化係数が40%以下であり、 該磁性トナーは、該磁性トナーの重量を基準にして、該
    球形状磁性体を35〜60wt%及び該ポリオレフィンを0.5
    〜4wt%含有していることを特徴とする静電潜像現像用
    磁性トナー。
  2. 【請求項2】該磁性トナーには、コロイダルシリカが外
    添されている請求項1記載の静電潜像現像用磁性トナ
    ー。
  3. 【請求項3】該球形状磁性体は、該変化係数が20%以下
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電潜
    像現像用磁性トナー。
  4. 【請求項4】該磁性トナーは、デジタル潜像を現像する
    ために用いられることを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれかに記載の静電潜像現像用磁性トナー。
  5. 【請求項5】該磁性トナーは、体積平均系が9μm以下
    であり、かつ、変化係数が37%以下であることを特徴と
    する請求項1乃至4のいずれかに記載の静電潜像現像用
    磁性トナー。
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