JP2755666B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、液状で作業性が良好であると共に、ヒート
ショック性、耐湿性及び高電圧特性に優れた電気、電子
部品注型材料用エポキシ樹脂組成物に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
高温高圧下で使用される電子電気部品は、使用中に絶
縁破壊を生じることがしばしばある。エポキシ樹脂注型
材料においては、このような高電圧特性を改良するた
め、従来、固形エポキシ樹脂と固形又は液状酸無水物を
高温(150℃程度)で加熱溶融させて行なうのが一般的
であったが、固形の材料を使用するため作業性が非常に
悪く、自動化が行なえない欠点があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、高電圧特性を高水準に維持しながら、作業
性を改良し、自動化を行なえるエポキシ樹脂組成物を提
供することを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明はエポキシ当量400〜1000の常温で固形のビス
フェノールA型エポキシ樹脂とエポキシ当量250以下の
常温の液状のエポキシ樹脂とが20:80〜80:20(重量比)
があるエポキシ樹脂(A)、およびトリ又はテトラカル
ボン酸のモノ又はジ酸無水物と常温で液状のジカルボン
酸無水物とが10:90〜80:20(重量比)である常温で液状
の酸無水物(B)を主成分とすることを特徴とするエポ
キシ樹脂組成物である。
本発明で用いる常温で固形のビスフェノールA型エポ
キシ樹脂は、エポキシ当量が400〜1000であれば特に限
定されない。
エポキシ当量250以下で常温で液状のエポキシ樹脂と
しては、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物
であれば特に限定されない。例えば、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂
環式エポキシ樹脂等を例示することができる。
本発明に用いる常温で固形のビスフェノール型エポキ
シ樹脂は、電気特性、特に高電圧特性がすぐれ、可撓性
であるので耐ヒートショック性にもすぐれている。しか
しながら、前述のように固形であるので、作業性が劣る
という欠点がある。この欠点を改良するために低分子量
の液状エポキシ樹脂を配合する。
液状エポキシ樹脂は、その他電気特性などがすぐれて
いるのが好ましい。この液状エポキシ樹脂の配合量は作
業性が満足されれば少量の方が好ましいが、通常固形エ
ポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂の割合は重量比で20:80
〜80:20である。固形エポキシ樹脂の割合が20部未満で
は可撓性、高電圧特性が劣化し、80部を越えると作業性
が悪く自動化が困難となる。
本発明は用いるポリカルボン酸無水物はトリ又はテト
ラカルボン酸の無水物と常温で液状のジカルボン酸無水
物とを10:90〜80:20で混合した後において、常温で液状
を呈するものである。例えば、メチルヘキサヒドロ無水
フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルナ
ジック酸等のジカルボン酸無水物に無水トリメリット
酸、無水ピロメリット酸等の固型のトリ又はテトラカル
ボン酸無水物を溶解させたもの、あるいは混合分散させ
たもの等を例示する事ができる。
上記固型のポリカルボン酸無水物は高電圧特性を向上
させるものである。この固形のポリカルボン酸無水物の
配合量は高電圧特性が満足されれば少量の方が好ましい
が、通常固型のポリカルボン酸無水物と液状のポリカル
ボン酸無水物の割合は重量比で10:90〜80:20である。固
型のポリカルボン酸無水物の割合が10部未満では可撓
性、高電圧特性が劣化し、80部を越えると作業性が悪く
なり、自動化が困難となる。
両者の好ましい配合割合は20:80〜50:50である。この
割合においては、高電圧特性は十分にすぐれ、可撓性等
の特性も良好であり、作業性の点でも支障ない。
酸無水物の混合物は通常エポキシ樹脂1当量に対し
て、1.0〜2.0当量の割合で配合されるが、1.3〜2.0当量
が好ましい。1.0当量以下では目的とする硬化物特性が
得られず、1.3当量以下では高電圧特性が必ずしも十分
とは言えない。2.0当量以上では遊離の酸無水物のため
耐湿性が劣るようになる。1.4〜1.7当量の場合、高電圧
特性が特にすぐれ、耐熱性、耐湿性も良好である。
本発明において、高電圧特性を向上させるために無機
充填材を配合するのが好ましい。この無機充填材は特に
限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、水酸化ア
ルミニウム、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等を例示
することができる。無機充填材の含有量は通常前記エポ
キシ樹脂組成物に対して10〜60重量%である。
10重量%未満では、高電圧特性の向上効果が小さく、
60重量%を越えると粘度が高いため注型作業性が悪くな
り、自動化が困難となる。
〔実施例〕
第1表に示す配合組成にて無機充填材含有エポキシ組
成物を調製した。混合後直ちに粘度(60℃)を測定し
た。
次に、得られた組成物を100℃2時間、次いで150℃2
時間加熱して硬化させた。この硬化物について高電圧特
性及びヒートショック性を測定した。これらをまとめて
第1表に示す。
(測定方法の説明) 高電圧特性:110℃ 40KVで絶縁破壊を生じるまでの時間
を測定し、1000時間以上を良好とした。
1000時間以上 ◎ 700〜1000 ○ 500〜700 △ 500以下 × ヒートショック性:−30℃、30分120℃、30分のサイ
クルを50回くり返し、クラックの有無を調べた。
○ クラックなし 得られた結果をみると、実施例の樹脂組成物は、粘度
が低く、得られた硬化物はヒートショック性、高電圧特
性も優れている。
比較例1及び比較例3の樹脂組成物は粘度は低く作業
性はよいが、ヒートショック性及び高電圧特性が劣って
いる。
比較例2の樹脂組成物はヒートショック性、高電圧特
性が優れているものの、粘度が非常に高く、自動化が困
難である。
〔発明の効果〕
本発明は高分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂
を主成分のひとつとして用い、硬化剤として、同型の酸
無水物を用いているので、高電圧特性、耐ヒートショッ
ク性に優れ、かつ、常温で液状のエポキシ樹脂とおよび
常温で液状の酸無水物と組み合わせて使用しているため
注型作業性もすぐれており、自動化ラインで作業するこ
とができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エポキシ当量400〜1000の常温で固型のビ
    スフェノールA型エポキシ樹脂とエポキシ当量250以下
    の常温で液状のエポキシ樹脂とが20:80〜80:20(重量
    比)であるエポキシ樹脂(A)、およびトリ又はテトラ
    カルボン酸のモノ又はジ酸無水物と常温で液状のジカル
    ボン酸無水物とが10:90〜80:20(重量比)である常温で
    液状の酸無水物(B)を主成分とすることを特徴とする
    エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】エポキシ樹脂と酸無水物との当量比が1:1.
    3〜2.0であることを特徴とする請求項1記載のエポキシ
    樹脂組成物。
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