JP2755357B2 - 半導体レーザ素子 - Google Patents

半導体レーザ素子

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JP2755357B2
JP2755357B2 JP3220624A JP22062491A JP2755357B2 JP 2755357 B2 JP2755357 B2 JP 2755357B2 JP 3220624 A JP3220624 A JP 3220624A JP 22062491 A JP22062491 A JP 22062491A JP 2755357 B2 JP2755357 B2 JP 2755357B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,ダブルヘテロ構造を有
する半導体レーザ素子に関し,特にビームスポットが真
円に近い半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年,小型・高出力・低価格という利点
を有する半導体レーザ素子の実用化により,従来レーザ
光源の使用が困難であった一般産業機器や民生機器への
レーザの応用が進んでいる。なかでも,光ディスク装置
や光通信などの分野における進歩にはめざましいものが
ある。今後,半導体レーザ素子は,さらに多くの分野に
応用されて行くものと考えられる。
【0003】現在,開発されている半導体レーザ素子
は,基本的には,図6(A)に示すようなダブルヘテロ構
造を有する。これは,第1導電型の半導体基板61上に,
第1導電型の第1クラッド層62,活性層63,第2導電型
の第2クラッド層64およびコンタクト層65を順次成長さ
せた構造である。ダブルヘテロ構造では,光導波路を構
成して光を効率よく活性層63内に閉じ込めるには,活性
層63の屈折率はクラッド層62および64のそれより大きく
する必要がある。一般に,半導体材料の屈折率は禁制帯
幅と密接な関係があるので,活性層63の禁制帯幅をクラ
ッド層62および64のそれより小さくすればよい。
【0004】実際の半導体レーザ素子では,横方向の屈
折率導波路を作り付けるために,さらに,埋め込み構造
などの種々のストライプ構造が導波方向に形成されてい
る。しかし,図6(A)から明らかなように,従来の半
導体レーザ素子の活性層は,導波方向に対して層厚が均
一である。それゆえ,図6(B)および(C)に示すように,
出射端面の屈折率分布と,導波方向に平均した屈折率分
布とは一致している。
【0005】一般に,ダブルヘテロ構造の半導体レーザ
素子では,活性層とクラッド層との禁制帯幅の差は,注
入されたキャリアを有効に活性層で再結合させるため
に,最低300meV程度は必要である。このため,例えば活
性層63の構成材料としてAl0.13Ga0.87Asを用いた場合,
クラッド層62および64の構成材料としては,Al0.4Ga0.6
Asと同じかまたはそれ以上の禁制帯幅を有する材料を選
択する必要がある。したがって,活性層63とクラッド層
62および64との屈折率差は,図6(B)および(C)に示すよ
うに,必然的に大きくなる。この例の場合,屈折率差は
約8%という大きな値となり,基板に垂直な方向の高次
横モードをカットオフするためには,活性層の層厚を0.
2μm以下にする必要がある(例えば,H.C.Casey Jr. &
M.B.Panish著,"HETEROSTRUCTURE LASERS Part A",第
2章を参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】活性層の層厚を薄くす
ると,導波モードは図7に示すように,光強度分布の鋭
いピークが活性層の位置に存在する。このように非常に
狭い導波路に閉じ込められた光が自由空間に放射された
場合,光ビームは回折現象により広がることが知られて
いる。この現象により,従来の半導体レーザ素子におい
ては,基板に垂直な方向の遠視野像は,その半値幅が30
〜50゜であり,水平方向の値に比べて3倍以上となって
いる。このように光ビームの放射角が垂直方向と水平方
向とで大きな差を有するので,従来の半導体レーザ素子
を様々なシステムに応用した場合,ビームスポットを円
形に絞ることができず,出射光の一部しか利用できな
い,などの問題点が生じる。
【0007】上述したように,半導体材料の屈折率は禁
制帯幅と密接な関係がある。それゆえ,従来の半導体レ
ーザ素子では,活性層63とクラッド層62および64との禁
制帯幅および屈折率を独立に選択することはできない。
このため,図6(A)に示すような構造の素子の出射端面
に別の導波構造を付加し,垂直方向の光分布を広げる研
究もなされている。
【0008】しかし,出射端面に別の導波構造を付加し
た素子では,2種の導波構造の結合部での光の放射・散
乱損失が大きくなり,素子特性に悪影響を及ぼしたり,
2種の導波構造の界面の方向や荒れにより,光ビーム出
射方向の制御性・再現性が低下する,などの問題点があ
る。
【0009】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
であり,その目的とするところは,基板に垂直な方向の
導波路屈折率の分布を,キャリアの閉じ込めに必要な禁
制帯幅の差により決定される活性層およびクラッド層の
構成材料に固有の屈折率に依存することなく,自由に設
計することを可能にし,基板に垂直な方向における光ビ
ームの放射角を低減し,ビームスポットが真円に近いダ
ブルヘテロ構造の半導体レーザ素子を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体レーザ素
子は、活性層を挟んで、第1導電型の第1クラッド層及
び第2導電型の第2クラッド層が形成され、該活性層の
屈折率を該第1クラッド層及び該第2クラッド層の屈折
率より大きくした半導体レーザ素子であって,活性層
が導波方向に周期的な凹凸形状を有し,該凹凸形状の振
幅が該活性層の層厚の3倍以上であることにより,上記
目的が達成される。好ましくは、前記活性層の周期的な
凹凸形状の周期が素子内部における導波光の波長の半分
の整数倍である構成とする。
【0011】本発明の半導体レーザ素子では,活性層
と,これを挟むクラッド層との禁制帯幅の差に依存する
ことなく,活性層近傍の屈折率を導波方向に平均化した
平均屈折率navと,これらクラッド層の屈折率nclとが関
係式(nav-ncl)/ncl≦2%を満足するように,活性層の
凹凸形状を調整するだけで,平均屈折率分布を実際の活
性層の屈折率よりも小さくすることができる。それゆ
え,基板に垂直な方向における光ビームの放射角を水平
方向の値と同程度に小さくし,ビームスポットを真円に
近づけることができる。
【0012】活性層の凹凸形状としては,特に限定され
ないが,例えば,正弦波状,三角波状,矩形波状などが
用いられる。また,活性層の層厚は均一であっても,不
均一であってもよい。例えば,活性層が凹凸形状を有
し,層厚が周期的に変化しているような場合であって
も,導波方向における屈折率の平均化効果は充分に得ら
れる。ただし,周期的な凹凸形状の振幅は,活性層の最
も厚い部分の層厚の3倍以上でなければならない。さら
に,活性層は連続的な層ではなく,離散的に存在する部
分から構成されていてもよい。活性層が離散的な場合に
は,レーザ光は所定間隔で配置された活性層部分を貫く
ように導波される。
【0013】本発明は,従来のAlGaAs/GaAs系だけでな
く,InGaAlP/GaAs系,InGaAs/GaAs系,InAlAs/InGaAs/I
nP系などの様々な化合物半導体材料の系に適用すること
ができる。また,光導波路を規定する積層構造として
は,例えば,1組のクラッド層で活性層を挟んだダブル
ヘテロ構造だけでなく,活性層とクラッド層との間にキ
ャリア・バリア層やグレーデッド・インデックス(GRIN)
層や光ガイド層を挿入したようなダブルヘテロ構造,活
性層を3段のクラッド層で挟んだ7層構造,活性層に多
重量子井戸を適用した構造,クラッド層や光ガイド層が
超格子層からなる構造などを採用することができる。こ
れらの積層構造を構成する各半導体層を成長させる方法
としては,例えば,有機金属気相成長法(MOCVD法),減
圧MOCVD法,分子線エピタキシャル法(MBE法),ガスソー
スMBE法,液相エピタキシャル法(LPE法),気相成長法(C
VD法)などの従来公知の結晶成長技術が用いられる。
【0014】
【作用】上記構成によれば,活性層が導波方向に周期的
な凹凸形状を有し,この凹凸形状の振幅が活性層の層厚
の3倍以上であるので,平均屈折率が最大で均一となる
部分の層厚が活性層の層厚より厚くなる。このため,平
均屈折率が最大で均一となる部分の層厚を厚くできる分
だけ、基板に垂直な方向における光ビームの放射角を小
さくすることが可能となる。その結果,垂直な方向にお
ける光ビームの放射角を水平方向の値と同程度にするこ
とができ,真円に近いビームスポットが得られる。
【0015】
【実施例】以下に,本発明の実施例について説明する。
【0016】(実施例1)本実施例の半導体レーザ素子
の概略構造を図1(A)に示す。これは,導波方向に垂直
な水平方向から見た断面構造である。この半導体レーザ
素子は,以下のようにして作製された。
【0017】まず,(100)面を主面とするn-GaAs基板11
上に,二光束干渉露光法と化学エッチング技術とを用い
て,正弦波状の凹凸構造16(周期(Λ)約1.0μm,深さ約
0.3μm)を形成した。次いで,凹凸構造16を有する基板
11上に,減圧MOCVD法を用いて,n-AlxGa1-xAs第1クラ
ッド層12(厚さ1.0μm),ノンドープAlyGa1-yAs活性層
13(厚さ60nm),p-AlxGa1-xAs第2クラッド層14(厚さ
1.0μm)およびp-GaAsコンタクト層15(厚さ0.5μm)を
順次成長させた。減圧MOCVD成長法では,基板温度を適
当に選択することにより,基板11の表面に形成した凹凸
構造16を成長表面の形状にほぼ反映させたままで成長を
進めることが可能である。実際,本実施例では,基板温
度620℃で結晶成長を行うことにより,活性層13の形状
は基板11に形成した凹凸構造16と同じ振幅約0.3μmの正
弦波状となった。
【0018】最後に,基板11の裏面にはn側電極(図示
せず)を形成し,コンタクト層15の表面には,絶縁膜
(例えば,SiO2膜,Si3N4膜,Al2O3膜など)をマスクと
して,電流注入領域を規定するストライプ状のp側電極
(図示せず)を形成した。このストライプ状のp側電極
の方向は活性層13の凹凸構造にほぼ直交する方向(つま
り,導波方向)とした。このようにして,図1(A)に示
すような断面構造を有する半導体レーザ素子を得た。
【0019】本実施例の半導体レーザ素子における活性
層13とクラッド層12および14の禁制帯幅の差は,従来の
半導体レーザ素子と同様に,それぞれを構成する半導体
材料により一義的に決定される。それゆえ,キャリアを
有効に閉じ込めるために,クラッド層12および14を構成
する半導体材料として,活性層13に比べて300meV以上大
きい禁制帯幅を有する半導体材料を選択すればよい。本
実施例では,Al混晶比として,x=0.42,y=0.13とした。
このようなAl混晶比を有する半導体材料を選択すれば,
発振波長約780nmの半導体レーザ素子が得られる。この
場合,活性層13とクラッド層12および14との禁制帯幅の
差は約350meVとなり,キャリアを活性層13内に有効に閉
じ込めるのに充分な値である。
【0020】図1(B)に本実施例の半導体レーザ素子の
出射端面部における屈折率分布を示す。この屈折率分布
は,活性層が平坦で凹凸形状を有しない従来の半導体レ
ーザ素子と同様である。しかし,本実施例の半導体レー
ザ素子の活性層内で発生した光は電極ストライプ構造の
方向(図1(A)の紙面上横方向)に導波されるが,導波
方向に存在する活性層13の凹凸構造の影響を受ける。活
性層13の凹凸構造の周期が約1μmと小さいので,光の
導波モードはこの凹凸構造に追随できず,ほぼ直進に近
い状態で進行する。このように,光が活性層13の凹凸構
造に追随せずに直線的に導波されるためには,この凹凸
構造の周期は素子内部における導波光の波長の10倍以下
であることが望ましい。また,凹凸構造による導波光の
散乱損失を最小に抑制するために,この凹凸構造の周期
は素子内部における導波光の波長の半分の整数倍である
ことが望ましい。
【0021】したがって,導波方向に平均化した平均屈
折率(光が直接影響を受ける屈折率)は,活性層13とク
ラッド層12および14とのバルクの屈折率を導波方向に積
分した値に一致する。本実施例の半導体レーザ素子の平
均屈折率を図1(C)に示す。活性層13近傍の平均屈折率n
avは3.49であった。この値は,活性層13の半導体材料に
固有の屈折率の値3.64に比べて低く,また,平均屈折率
navと,クラッド層12および14の屈折率ncl=3.42との差
も0.07と小さい。すなわち,(nav-ncl)/ncl=2%であ
る。(活性層が平坦で凹凸形状を有しない従来の半導体
レーザ素子では,この屈折率差は,0.22(6%)であ
る)。
【0022】本実施例の半導体レーザ素子では,上記の
屈折率差を小さくすることにより,活性層13で発生した
光を上下のクラッド層12および14に浸み出させて導波さ
せ,基板に垂直な方向における光ビームの放射角を,図
1(D)に示すように,約14゜と小さくすることができ
た。この値は,従来の半導体レーザ素子の基板に水平な
方向における光ビームの放射角12゜とほぼ等しい値であ
り,真円に近いビームスポットが得られることを示して
いる。
【0023】このように,充分な屈折率の平均化効果を
得るには,活性層13の凹凸構造の振幅は,その層厚の3
倍以上(平均屈折率の均一な部分の厚さが活性層13の層
厚の2倍以上)であることが必要である。本実施例で
は,活性層13の凹凸構造の振幅は0.3μmであり,その層
厚60nmの5倍に設定した。
【0024】以上のように,従来の半導体レーザ素子で
は,活性層およびクラッド層の禁制帯幅と屈折率とは独
立に制御することは不可能であったが,本実施例では,
禁制帯幅の差を変化させることなく,屈折率差のみを小
さくすることにより,真円に近いビームスポットを有す
る半導体レーザ素子が得られた。
【0025】(実施例2)本実施例の半導体レーザ素子
の概略構造を図3(A)に示す。これは導波方向に垂直な
水平方向から見た概略的な断面構造である。この半導体
レーザ素子は,以下のようにして作製された。
【0026】まず,n-InP基板21上に,MOCVD法を用い
て,n-InGaAsP第1クラッド層22(厚さ2.0μm)を成長
させた。次いで,第1クラッド層22上に,通常のホトリ
ソグラフィー技術と化学エッチング技術とを用いて,三
角波状の凹凸構造28(周期(Λ)約1.49μm,深さ約0.7μ
m)を形成した。なお,エッチングに際しては,飽和臭
素水系のエッチング溶液を用いた。引き続いて,凹凸構
造28を有する第1クラッド層22上に,MOCVD法を用い
て,n-InP第1キャリア・バリア層23(厚さ0.4μm),
ノンドープInGaAsP活性層24(厚さ0.15μm),p-InP第
2キャリア・バリア層25(厚さ0.4μm),p-InGaAsP第
2クラッド層26(厚さ2.0μm)およびp-InGaAsコンタク
ト層27(厚さ0.8μm)を順次成長させた。MOCVD成長法
では,原料ガスのV/III比と基板温度とを最適化するこ
とにより,活性層24の形状は第1クラッド層22の表面に
形成した凹凸構造28と同じ振幅約0.7μmの三角波状とな
った。
【0027】このようなダブルヘテロ構造を基本とし,
通常の埋め込みストライプ構造を採用することにより,
図3(A)に示すような断面構造を有する半導体レーザ素
子を得た。なお,この図において,電極の図示は省略さ
れている。
【0028】本実施例の半導体レーザ素子に用いられた
光導波路に関係する各半導体層の禁制帯幅およびバルク
の屈折率を以下の表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1から明らかなように,活性層24とキャ
リア・バリア層23および25との禁制帯幅の差は400meVで
あり,レーザ発振に充分な値である。このため,両層の
半導体材料に固有の屈折率差は,図3(B)に示すよう
に,0.09(3%)という大きな値になる。しかし,導波光
は活性層24およびキャリア・バリア層23および25の凹凸
構造に追随せずに直進するので,実際に導波光が影響を
受ける平均屈折率は,図3(C)に示すように,両層のバ
ルクの屈折率を導波方向に積分した値nav=3.14となる。
したがって,平均屈折率nav=3.14と,クラッド層22およ
び26の屈折率ncl=3.13との差(nav-ncl)/nclは,0.01(0.
3%)となる。
【0031】このようにして作製された本実施例の半導
体レーザ素子では,基板に垂直な方向における光ビーム
の放射角が約11゜と非常に小さく,真円に近いビームス
ポットが得られた。
【0032】(実施例3)本実施例の半導体レーザ素子
の概略構造を図4(A)に示す。これは導波方向に垂直な
水平方向から見た概略的な断面構造である。この半導体
レーザ素子は,グレーデッド・インデックス(GRIN;Gra
ded Index)構造を適用したものであり,以下のようにし
て作製された。
【0033】まず,(100)面を主面とするp-GaAs基板31
上に,二光束干渉露光法と化学エッチング技術とを用い
て,正弦波状の凹凸構造38(周期(Λ)約560nm,深さ約5
00nm)を形成した。次いで,凹凸構造38を有する基板31
上に,減圧MOCVD法を用いて,n-Al0.4Ga0.6As第1クラ
ッド層32(厚さ2.0μm),p-AlzGa1-zAs(z=0.5→0.2)第
1GRIN層33(厚さ0.3μm),GaAs量子井戸活性層34(厚
さ9nm),n-AlzGa1-zAs(z=0.2→0.5)第2GRIN層35(厚
さ0.3μm),p-Al0.4Ga0.6As第2クラッド層36(厚さ2.
0μm)およびn-GaAsコンタクト層37(厚さ0.5μm)を順
次成長させた。本実施例においても,実施例1と同様
に,基板温度を適当に選択することにより,活性層34の
形状は基板31に形成した凹凸構造38と同じ振幅約500nm
の正弦波状となった。
【0034】最後に,基板31の裏面にはn側電極(図示
せず)を形成し,コンタクト層37の表面には,電流注入
領域を規定するストライプ状のp側電極(図示せず)を
形成した。このストライプ状のp側電極の方向は活性層3
4の凹凸構造にほぼ直交する方向(つまり,導波方向)
とした。このようにして,図4(A)に示すような断面構
造を有する半導体レーザ素子を得た。
【0035】このようにして得られた半導体レーザ素子
の出射端面部における屈折率分布は図4(B)に示すよう
な形をしている。(活性層が平坦で凹凸構造を有しない
従来の半導体レーザ素子では,非常に光が活性層に集中
し易い構造である)。しかし,図4(A)に示すように,
活性層34に凹凸形状を与えることにより,実施例2と同
様に,屈折率の平均化効果が顕著になり,平均屈折率分
布は図4(C)に示すようになる。本実施例の半導体レー
ザ素子では,活性層34の層厚が9nmと非常に薄く,しか
も凹凸構造の振幅が0.5μmと比較的大きいので,活性層
34近傍の平均屈折率navは,実質的にGRIN層33および35
の屈折率により決定され,3.45であり,クラッド層32
よび36の屈折率ncl=3.41との差(nav-ncl)/nclは,0.04
(1.2%)となる。このようにして作製された本実施例の
半導体レーザ素子では,基板に垂直な方向における光ビ
ームの放射角が約11゜と非常に小さく,真円に近いビー
ムスポットが得られた。
【0036】(実施例4)本実施例では,離散的な部分
からなる活性層を有する半導体レーザ素子を作製した。
この半導体レーザ素子の概略構造を図5(A)に示す。こ
れは導波方向に垂直な水平方向から見た概略的な断面構
造である。この半導体レーザ素子は,以下のようにして
作製された。
【0037】まず,(111)B面を主面とするn-GaAs基板41
上に,MOCVD法を用いて,n-Al0.6Ga0.4As第1クラッド
層42(厚さ2.5μm)を成長させた。次いで,第1クラッ
ド層42上に,通常の電子ビーム露光技術とイオンビーム
エッチング技術とを用いて,周期的な垂直メサ43(周期
約0.8μm,幅約0.2μm,高さ約0.6μm,奥行き約0.6μ
m)を形成した。この垂直メサ43の側壁には{110}面が現
れるように制御した。なお,垂直メサ43の周期約0.8μm
は素子内部における導波光の波長の半分の約4倍に相当
する。
【0038】次いで,周期的な垂直メサ43の側壁上に,
MOCVD法を用いて,n-Al0.5Ga0.5As第1光ガイド層44
(厚さ0.1μm),GaAs量子井戸活性層45(厚さ9nm)お
よびp-Al0.5Ga0.5As第2光ガイド層46(厚さ0.1μm)を
順次成長させ,引き続いて,周期的な垂直メサ43の間を
埋め込むように,p-Al0.6Ga0.4As第2クラッド層47(厚
さ2.5μm)を成長させた後,その上にp-GaAsコンタクト
層48(厚さ0.5μm)を成長させた。ただし,結晶成長中
の基板温度は第2光ガイド層46までは710℃とし,それ
以降は620℃とした。MOCVD法では,高温(650℃以上)
で結晶させた場合,結晶は(111)B面上へ実質的に成長せ
ず,周期的に存在する垂直メサ43の側壁上にのみ結晶が
成長する。この特徴を利用することにより,図5(A)に
示すように,第1ガイド層44,活性層45および第2光ガ
イド層46を成長させることができた。他方,第2クラッ
ド層47以降の基板温度は低温(650℃未満)であり,結
晶面方位に対する成長速度の顕著な依存性が認められな
くなる。それゆえ,(111)B面上へも結晶は成長し,垂直
メサ43の間を埋め込むように,第2クラッド層47および
コンタクト層48を成長させることができた。このような
選択成長の技術を利用することにより,基板41の主面に
垂直な活性層45を周期約0.4μmで配列させることが可能
になった。なお,本実施例では,活性層45の層厚は基板
41の主面に平行な面内での厚み(9nm)で表され,周期
的な凹凸形状の振幅は活性層45の高さ(垂直メサ43の高
さ0.6μm)で表される。すなわち,本実施例の活性層45
は,矩形波状の凹凸構造を有する活性層が不均一な層厚
を有し,基板41の主面に平行な部分の層厚が零であるよ
うな場合に相当する。
【0039】このようにして作製された半導体レーザ素
子では,光は0.4μm間隔で配列された活性層45を貫くよ
うに導波される。このため,導波光に対する平均屈折率
の分布は図5(B)に示すような形となり,活性層45近傍
での平均屈折率nav=3.31と,クラッド層42および47の屈
折率ncl=3.29との差(nav-ncl)/nclは,0.02(0.6%)とな
る。このように小さい屈折率差では光はクラッド層42お
よび47に充分に浸み出して導波されるので,近視野像が
数μmに広がり,光ビームの放射角も小さくなる。実際
の放射角の値は活性層45の形状,つまり垂直メサ43の側
壁の形状に依存する。本実施例では,垂直メサ43の側壁
の形状は一辺が0.6μmの正方形であるので,基板に垂直
な方向における光ビームの放射角は約15゜となり,出射
レーザ光のビームスポットはほぼ真円となった。
【0040】以上の説明からも分かるように,本実施例
の半導体レーザ素子は一般に作製されている垂直共振型
面発光レーザ素子と同様の原理で発振する。ただし,本
実施例の半導体レーザ素子は,面発光レーザ素子に比べ
て,活性層の両側からキャリアを注入することが容易で
あるので,製造プロセス上の制約を受けることなく,1
つの素子に任意の(特に,多数の)活性層を作り込むこ
とが可能である。
【0041】また,本実施例の半導体レーザ素子の注目
すべき点は,活性層45の周期(0.4μm)が素子内部にお
けるレーザ光の波長(0.2μm)の半分の2倍に相当する
ので,利得領域(活性層45)がレーザ共振器内に励起さ
れる光の定在波の腹の部分と効率よく相互作用を起こ
し,レーザ軸モードを安定化させる効果が期待できるこ
とである。
【0042】なお,本実施例では,選択成長技術を適用
することにより,離散的な利得領域からなる周期的構造
を有し,かつ屈折率の平均化効果を利用した半導体レー
ザ素子を作製したが,選択成長特性を制御する方法とし
ては,本実施例のように基板温度を変化させること以外
に,原料ガスの種類を変化させる方法や,原料ガスのV/
III比を変化させる方法などを用いてもよい。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば,活性層が導波方向に周
期的な凹凸形状を有し,この凹凸形状の振幅を活性層の
層厚の3倍以上としたので,平均屈折率が最大で均一と
なる部分の層厚を活性層の層厚より厚くすることがで
き、その分だけ基板に垂直な方向における光ビームの放
射角を小さくすることができる。このため,導波路の活
性層部分とクラッド層部分との屈折率差を,各層を構成
する半導体材料の禁制帯幅とは独立に制御することが可
能であり,ビームスポットが真円に近いような半導体レ
ーザ素子が得られる。このような半導体レーザ素子は,
特に,出射光を有効に利用することができるので,光エ
レクトロニクス分野における有用な光源として幅広く応
用され得る。特に請求項2記載の半導体レーザ素子によ
れば,活性層の周期的な凹凸形状の周期を素子内部にお
ける導波光の波長の半分の整数倍とするので,凹凸形状
による導波光の散乱損失を最小に抑制することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1の実施例である半導体レー
ザ素子の概略構造を示す断面図,(B)は出射端面の屈折
率分布を示す概略図,(C)は導波方向に平均化した屈折
率分布を示す概略図である。
【図2】図1の半導体レーザ素子から出射される光ビー
ムの基板に垂直な方向における放射パターンを示すグラ
フ図である。
【図3】(A)は本発明の第2の実施例である半導体レー
ザ素子の概略構造を示す断面図,(B)は出射端面の屈折
率分布を示す概略図,(C)は導波方向に平均化した屈折
率分布を示す概略図である。
【図4】(A)は本発明の第3の実施例である半導体レー
ザ素子の概略構造を示す断面図,(B)は出射端面の屈折
率分布を示す概略図,(C)は導波方向に平均化した屈折
率分布を示す概略図である。
【図5】(A)は本発明の第4の実施例である半導体レー
ザ素子の概略構造を示す断面図,(B)は導波方向に平均
化した屈折率分布を示す概略図である。
【図6】(A)は従来の半導体レーザ素子の基本的構造で
あるダブルヘテロ構造を概略的に示す断面図,(B)は出
射端面の屈折率分布を示す概略図,(C)は導波方向に平
均化した屈折率分布を示す概略図である。
【図7】図6の半導体レーザ素子の導波方向における平
均屈折率と光強度分布との関係を示す概略図である。
【符号の説明】
11,21,31,41,61 基板 12,22,32,42,62 第1クラッド層 13,24,34,45,63 活性層 14,26,36,47,64 第2クラッド層 15,27,37,48,65 コンタクト層 23 第1キャリア・バリア層 25 第2キャリア・バリア層 33 第1GRIN層 35 第2GRIN層 44 第1光ガイド層 46 第2光ガイド層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猪口 和彦 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャー プ株式会社内 (72)発明者 中西 千登勢 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャー プ株式会社内 (72)発明者 滝口 治久 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャー プ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−244187(JP,A) 特開 昭61−184894(JP,A) 特開 昭61−212085(JP,A) 特開 昭62−144375(JP,A) 特開 平2−185087(JP,A) 特開 平2−296386(JP,A) 特開 平3−49283(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01S 3/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性層を挟んで、第1導電型の第1クラ
    ッド層及び第2導電型の第2クラッド層が形成され、該
    活性層の屈折率を該第1クラッド層及び該第2クラッド
    層の屈折率より大きくした半導体レーザ素子であって, 活性層が導波方向に周期的な凹凸形状を有し,該凹凸
    形状の振幅が該活性層の層厚の3倍以上である半導体レ
    ーザ素子。
  2. 【請求項2】 前記活性層の周期的な凹凸形状の周期が
    素子内部における導波光の波長の半分の整数倍である請
    求項1記載の半導体レーザ素子。
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