JP2755278B2 - グリセロ糖脂質の製造法 - Google Patents

グリセロ糖脂質の製造法

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JP2755278B2
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  • Emulsifying, Dispersing, Foam-Producing Or Wetting Agents (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低カロリー食品素材を
はじめ、乳化剤、洗浄剤、保湿剤、化粧品基剤等として
有用なグリセロ糖脂質の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、油脂を酵素的に改質して新しい機
能を持った素材を開発しようとする研究が盛んに行われ
ている。なかでもリン脂質等は、酵素による改質法が多
数提案されており、一部は実用化されている。グリセロ
糖脂質も新しい素材としての可能性を秘めているにもか
かわらず、植物中に微量しか存在せず、現在まであまり
利用されていないのが現状である。
【0003】グリセロ糖脂質は、親水基として糖を含む
非イオン性物質であるために、洗浄剤、化粧品基剤とし
て用いる場合は、皮膚に対する刺激が少なく、溶液のp
Hによる溶解性への影響も少ない。また、油脂の高カロ
リーが現在問題にされており、低カロリーの食品素材と
しても期待される。また、近年、地球環境保護の立場か
ら安全性、生分解性の優れた天然素材が注目されてお
り、グリセロ糖脂質は植物に含まれる天然の界面活性物
質であり、安全性、生分解性が優れていると考えられ
る。
【0004】従来より、グリセロ糖脂質の製造法として
は、植物からの抽出法(特開昭62−178596
号)、化学合成法(特開平4−103594号)、酵素
合成法(ヨーロッパ特許第268461号)等がある
が、何れも工程が繁雑であり、特に後者の両合成法にお
いては糖とアルコールを反応させ、次いでこれに脂肪酸
を反応させて合成するという二段階以上の工程を要し、
かつ、何れも収率が低いなど、生産性の面から満足でき
るものではなく、グリセロ糖脂質の容易な工業的製造法
が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、グリセロ糖
脂質を1段階にて容易に製造することができる方法を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成すべく鋭意検討を行った結果、脂肪酸モノグリセ
リドと糖類又はそれらの誘導体とを、これらを溶解す
る、有機溶媒と水性媒体との混合溶媒中で糖加水分解酵
素の存在下に縮合・転移反応させることにより、一段階
での工程にて収率よく合成できるという、工業的に容易
にグリセロ糖脂質を製造できるという知見を得、本発明
を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明のグリセロ糖脂質の製造法
は、脂肪酸モノグリセリドと、単糖類もしくは二糖類以
上の糖類又はそれらの誘導体とを、これらを溶解する、
有機溶媒と水性媒体との混合溶媒中で糖加水分解酵素の
存在下に縮合・転移反応させることを特徴とするもので
ある。以下、本発明の方法について、詳述する。
【0008】本発明において合成されるグリセロ糖脂質
は、脂肪酸モノグリセリド1分子と単糖類1分子がエー
テル結合したものである。グリセロ糖脂質を構成する単
糖類としては、キシロース、グルコース、フルクトー
ス、マンノース、ガラクトース、アラビノースなどが挙
げられる。また、脂肪酸モノグリセリドとしては、グリ
セロールと飽和又は不飽和の直鎖、分岐鎖の炭素数6〜
24個の脂肪酸残基からなり、例えば、カプロン酸(C
6)、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)、ラウリ
ン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸
(C16)、パルミトレイン酸(C16:1)、ステアリン酸
(C18)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸
(C18:2)、リノレン酸(C18:3)、アラキドン酸(C
20:4)、エイコサペンタエン酸(C20:5)、ベヘン酸
(C22)、エルカ酸(C22:1)、ドコサヘキサエン酸
(C22:6)、テトラコサテトラエン酸(C24:4)などが
挙げられる。
【0009】上記の糖脂質を容易に工業的規模で合成す
ることは、酵素を用いる場合、基質となる脂肪酸モノグ
リセリドが水に難溶であるために、効率的でない、ある
いは全く反応しないなどの理由から産業的に行われたこ
とはなかった。そこで、本発明においては、基質となる
脂肪酸モノグリセリドと、単糖類もしくは二糖類以上の
糖類又はそれらの誘導体の両者を溶解する、有機溶媒と
水性媒体との混合溶媒を用いることによって、反応を効
率化するだけでなく、副反応である加水分解を抑えるこ
とができ、酵素によるグリセロ糖脂質の合成を可能なら
しめることができた。
【0010】即ち、本発明は、反応溶媒として、基質と
なる脂肪酸モノグリセリドと、単糖類もしくは二糖類以
上の糖類又はそれらの誘導体の両者を溶解する、有機溶
媒と水性媒体との混合溶媒を用いることを特徴とするも
のであり、該混合溶媒全体として前記基質を溶解するこ
とが必要である。水性媒体のみで反応を行うと、前述し
たように基質となる脂肪酸モノグリセリドが難溶である
ため、効率的でないか、あるいは全く反応せず、一方、
有機溶媒を添加することで基質の溶解性が向上し、ま
た、反応の平衡状態が変化することにより、副反応であ
る加水分解が抑制され、反応が効率的に進行する。
【0011】本発明に用いる有機溶媒としては、水と混
じり合うものが好ましく、例えば、アセトン、アセトニ
トリル、ジオキサン、ピリジン、t−ブタノール、ホル
ムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ドなどが挙げられる。これらは、単独あるいは複数で水
性媒体と混和し、脂肪酸モノグリセリドと単糖類もしく
は二糖類以上の糖類又はそれらの誘導体の両者が溶解す
る割合で使用することができるが、全反応系に対する水
性媒体の割合が5〜60%となるのが好ましい。水性媒
体としては、水又は各種緩衝液が用いられる。
【0012】また、反応に用いる酵素は糖加水分解酵素
であれば如何なる起源のものでもよいが、微生物由来の
ものが好ましい。例えば、エシェリヒア・コリ(Escher
ichia coli)由来のガラクトシダーゼ、酵母由来のグル
コシダーゼ、酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来の
インベルターゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillu
s nigar )由来のキシロシダーゼなどが例示でき、特に
エリェリヒア・コリ由来のガラクトシダーゼは脂肪酸モ
ノグリセリドに対する転移活性が高いので好ましい。
【0013】また、これらの酵素は適当な担体に固定化
することにより、有機溶媒に対して安定化でき、繰り返
し使用することができる。本発明において、基質となる
糖類は単糖類もしくは二糖類以上の糖類又はそれらの誘
導体であり、例えば、フルクトース、ガラクトース、グ
ルコース、マンノース、キシロース、アラビノースなど
の単糖類、フェニルガラクトピラノシド、ニトロフェニ
ルグルコピラノシドなどの単糖類の誘導体、ラクトー
ス、スクロース、マルトース、キシロビオースなどの二
糖類、シュガーエステル、オリゴ糖、アガロース、カラ
ギーナン、プルランなどが挙げられる。
【0014】また、反応温度は酵素が完全に失活しない
温度であればよく、通常5〜70℃であり、好ましくは
10〜50℃である。反応pHは用いる酵素の至適条件
で行うのが好ましい。
【0015】
【実施例】次に、実施例を示して具体的に本発明を説明
するが、本発明は実施例により限定されるものではな
い。 (実施例1) 〔ラクトースとモノカプリルグリセロールからのモノカ
プリルモノガラクトシルグリセロールの合成〕ラクトー
ス12gを1mMの塩化マグネシウムを含む50mMリ
ン酸緩衝液(pH7.3)50mlに溶解し、モノカプ
リルグリセロール20mlとアセトン50mlを加えて
溶解した。これに、エシェリヒア・コリ(Escherichia
coli)由来のβ−ガラクトシダーゼ(和光純薬社製)1
000単位を加えて、20℃で48時間反応した。反応
後、アセトンを留去し、酢酸エチルで転移物を抽出し
た。得られた固形物を液滴交流分配クロマトにより、生
成物を単離した。生成物はガラクトシダーゼによる分解
でガラクトースを遊離し、また、GC−MS分析からモ
ノカプリルモノガラクトシルグリセロールの生成が認め
られた。生成物は15.7モル%(収率)であった。
【0016】(実施例2) 〔スクロースとモノラウリルグリセロールからのモノフ
ルクトモノラウリルグリセロールの合成〕スクロース1
2gを25mM酢酸緩衝液(pH5.0)50mlに溶
解し、モノラウリルグリセロール20gとt−ブタノー
ル50mlを加えて溶解した。これに、酵母由来のイン
ベルターゼ(シグマ社製)1000単位を加えて、30
℃で24時間反応した。反応後、生成物をシリカゲルカ
ラムで分離し、単離した。生成物は10.5モル%(収
率)であった。
【0017】(実施例3) 〔グルコースとモノカプリルグリセロールからのモノカ
プリルモノグルコシルグリセロールの合成〕グルコース
10gを50mMリン酸緩衝液(pH7.0)50ml
に溶解し、モノカプリルグリセロール20mlとアセト
ニトリル50mlを加えて溶解した。これに、酵母由来
のグルコシダーゼ(合同酒精社製)500単位を加え
て、30℃で24時間反応した。反応後、シリカゲルカ
ラムで分離し、生成物を単離した。生成物は13.5モ
ル%の収率で得られた。
【0018】(実施例4) 〔フェニルガラクトピラノシドとモノラウリルグリセロ
ールからのモノラウリルモノガラクトシルグリセロール
の合成〕フェニルガラクトピラノシド10gを1mMの
塩化マグネシウムを含む50mMリン酸緩衝液(pH
7.3)50mlに溶解し、モノラウリルグリセロール
20mlとアセトン50mlを加えて溶解した。これ
に、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)由来のβ
−ガラクトシダーゼ(和光純薬社製)1000単位を加
えて、20℃で24時間反応した。反応後、生成物を酢
酸エチルで抽出後、シリカゲルカラムで分離し、生成物
を単離した。生成物は11.5モル%の収率で得られ
た。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、グリセロ糖脂質を1段
階にて容易に製造することができる。本発明方法によっ
て得られるグリセロ糖脂質は、低カロリー食品素材をは
じめ、乳化剤、洗浄剤、保湿剤、化粧品基剤としての利
用に適している。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪酸モノグリセリドと、単糖類もしく
    は二糖類以上の糖類又はそれらの誘導体とを、これらを
    溶解する、有機溶媒と水性媒体との混合溶媒中で糖加水
    分解酵素の存在下に縮合・転移反応させることを特徴と
    するグリセロ糖脂質の製造法。
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