JP2754232B2 - 血液バッグ及びその製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、血液の保存、遠心分離による血液成分の分
離に使用される血液バッグ及びその製造方法に関する。

特に袋状本体上端部のシール部内に、テーパー状の液
体流出口を形成して、赤血球が滞留しない漏斗状の構造
にすることにより、シール部付近に滞留している赤血球
が遠心分離により袋内部に押出され、赤血球と血漿が分
離される。

分離された上清の血漿は、滞留した赤血球の混入がな
く、他方のバッグへ流出させることができる。

以上のように流体の流出をスムーズに行うことのでき
る血液バッグ及びその製造方法に関するものである。

［従来の技術及び従来技術の課題］ 第９図は従来の血液バッグで、連通ピース72を装填し
た筒体81を２枚の可撓性合成樹脂製シート間に溶着した
ところの概略図を示す。

該筒体81を、血液バッグに取り付ける際は、第10図に
示すように筒体81の開口端部にコアピン82を挿入した
後、血液バッグを構成する２枚の合成樹脂製シート80、
80の端縁部に前記筒体81の径、及びシート80、80の厚さ
の和よりわずかに小さな直環状の溝83、83が形成された
高周波溶着用金具84、84をシート80、80の上下から押し
付けて溶着していた。

しかしながら、以上の様にして形成された血液バッグ
は、次の問題があった。

該筒体81の基端部を溶着したシール部71付近は、角状
になっているため液体は、血液バッグの上端部に滞留し
やすくなる。

液体は前記筒体81の開口端部74から連通ピース72、液
体導出チューブ73を介して流出されるが、途中に存在す
る連通ピース72によって流出する勢いが若干弱められ
る。

開口端部74付近に遠心分離した後も、赤血球が滞留し
ているため、上清の血漿に混入するので再度遠心分離す
る必要があった。

［課題を解決するための手段］ （１）本発明は、血液の保存、成分分離の際に、使用さ
れる血液バッグであって、袋状本体と連通ピースを充填
した筒体によって構成され、筒体の基部は前記袋状本体
の上端部に形成されたシール部内に、テーパー状の液体
流出口として形成され、テーパー状の流出口の上端部
が、連通ピースの大径部の開口端部の位置と一致して配
置されている血液バッグを提供する。

（２）本発明は、次の〜の工程からなる血液バッグ
の製造方法を提供する。

筒体の開口端部に、コアピンのテーパー部を嵌合して
拡径する工程、 の筒体を合成樹脂性シート間にはさむ工程、 の筒体及び合成樹脂性シートを金型で挟持して高周
波を印加する工程、 高周波熱により、筒体及び合成樹脂性シートの構成材
料を溶融して、シール部を形成し、同時に該シール部内
にテーパー状の液体流出口を形成する工程、 ［実施例］ 第１図は、本発明の方法により製造した血液バッグ１
の概略図、第２図は血液バッグ１の上端部の拡大断面図
を示す。

血液バッグ１は例えば、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂
製シート51、51（第５図参照）によって構成された袋状
本体２と該袋状本体２の上部に装着される液体導入チュ
ーブ３と、液体導出チューブ４と、口部５及び連通ピー
ス６を装填した筒体８により構成される。

液体導出チューブ４の基部は、筒体８に接続され、筒
体８の基部は、袋状本体２の上部に形成されたシール部
７内にテーパー状の液体流出口９として形成されてい
る。

第２図に示すように、シール部７は、連通ピース６を
装填した筒体８を合成樹脂シート51、51にはさみ込んで
高周波により溶着することにより形成されている。

この高周波溶着を行う際には、第３図に示すコアピン
30と第４図に示す金型40を使用する。

コアピン30にはテーパー部31が設けられており、また
金型40にもコアピン30のテーパー部31に対応するテーパ
ー溝部41が設けられている。

次に血液バッグ１の製造方法について説明する。

第５図及び第６図は、血液バッグ１を製造する際の概
略図である。

まず、第５図に示す様に、筒体８の中へ連通ピース６
を挿入し、その後、コアピン30のテーパー部31を筒体８
の開口端部8aに嵌合して、筒体８の端部を拡径し、該筒
体８を合成樹脂シート51、51にはさみ込み、これらを、
金型40、40により、第６図のように挟持して、高周波を
印加する。

高周波によって発生する熱により、筒体８及びシート
51、51を構成する合成樹脂は、溶融してコアピン30のテ
ーパー部31と、金型40のテーパー溝部41に沿って流動
し、その後硬化する。

以上のようにして、筒体８の端部を、合成樹脂シート
51、51に溶着することができ、同時に前記シート51、51
のシール部７内にテーパー状の液体流出口９を形成する
ことができる。

このように、テーパー状の液体流出口９を形成するこ
とによって、血液、血液成分は、筒体の開口端部8aに集
合しやすくなりかつスムーズに流出できるため、凝固や
血栓が発生しない。

また、液体流出口９が漏斗状のテーパーに形成されて
いるため、液体はスムーズに、しかも早く流出させるこ
とができる。

そのほかに、液体を流出させる口部５付近のシール部
に上述のようなテーパー部を形成することにより、同等
の効果を得ることができる。

血液バッグ１の上端部の形状は、第２図に示したよう
に、シール部７内の半分程度に、テーパー状の液体流出
口９を形成したものに限らず、コアピン30のテーパー部
31の形状と金型40のテーパー溝部41の形状を変えること
によって、例えば第７図に示すように連通ピース6aの大
径部の開口端部11aがシール部7a内に溶着されるように
しても良いし、あるいは第８図に示すように、シール部
7b内の全域にテーパー状の液体流出口9bを形成しても良
い。

第７図及び第８図の血液バッグ1a、1bでは、テーパー
状の液体流出口9a、9bの上端部9c、9dが、連通ピース6
a、6bの大径部10a、10bの開口端部11a、11bの位置と一
致して配置されているので、流体流出口9a、9b内に捕集
された血液、血液成分は、速やかに開口端部11a、11b方
向へ移行し、第２図に示した血液バッグ１よりもより一
層、血液、血液成分の流出をスムーズに行うことができ
る。

これに対して前記血液バッグ１は連通ピース６の大径
部10cの開口端部11cと液体流出口９の上端部9eの間に、
スペースＳが存在するので血液の流れがこのスペースＳ
により一時的に弱められ失速するので好ましくない。

［発明の作用効果］ 請求項１の発明は、テーパー状の液体流出口の上端部
が、連通ピースの大径部の開口端部の位置と一致して配
置されているので、液体流出口に捕集された血液、血液
成分を失速させることなく、よりスムーズに流出させる
ことができる。

請求項２の発明は、シール部内に確実に安定した形状
のテーパー状の流体流出口を形成することができ、また
シール部内に形成されるテーパー状の液体流出口の形
状、連通ピースの大径部の開口端部の位置を自由に調整
することができる。

等の効果を有する優れた発明である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明により製造される血液バッグの概略図、
第２図は第１図の血液バッグの上端部の拡大断面図、第
３図はコアピンの概略図、第４図は金型の概略図、第５
図及び第６図は本発明の血液バッグを製造する際の概略
図、第７図及び第８図は本発明の血液バッグの上端部の
実施例を示す拡大断面図、第９図は従来の血液バッグの
上端部拡大断面図、第10図は従来の血液バッグを製造す
る際の概略図である。 図中、１は血液バッグ、２は袋状本体、４は液体導出チ
ューブ、６は連通ピース、７はシール部、８は筒体、９
は液体流出口、30はコアピン、40は金型、51は合成樹脂
シートを示す。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】血液の保存、成分分離の際に、使用される
   血液バッグであって、袋状本体と連通ピースを充填した
   筒体によって構成され、筒体の基部は前記袋状本体の上
   端部に形成されたシール部内に、テーパー状の液体流出
   口として形成され、テーパー状の流出口の上端部が、連
   通ピークの大径部の開口端部の位置と一致して配置され
   ていることを特徴とする血液バッグ。
2. 【請求項２】次の〜の工程からなることを特徴とす
   る血液バッグの製造方法。 筒体の開口端部に、コアピンのテーパー部を嵌合して
   拡径する工程、 の筒体を合成樹脂性シート間にはさむ工程、 の筒体及び合成樹脂性シートを金型で挟持して高周
   波を印加する工程、 高周波熱により、筒体及び合成樹脂性シートの構成材
   料を溶融して、シール部を形成し、同時に該シール部内
   にテーパー状の液体流出口を形成する工程、