JPS6339259B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 技術分野 本発明は、たとえば採血バツグと他の一以上の
子バツグとが連結管にて接続された複数個の血液
バツグを有する、いわゆるマルチプルバツグの血
液バツグに関するものである。

従来技術およびその問題点 輸血といえば全血輸血であつた時代は去り、現
在では血液を有効に利用するために、血液を各成
分に分画して患者毎に適切な成分輸血がおこなわ
れている。このような事情を背景にして複数個の
軟質プラスチツク製血液バツグを連結管で接続し
た、いわゆるマルチプルバツグが提供されてい
る。このマルチプルバツクは採血バツグに血液を
採取した後、これを遠心分離にかけて血液を血漿
と血球に分離し、上層をなす血漿を連結管を介し
て子バツグに移送して血液を二分画したり、さら
に血漿を遠心分離にかけて、これを血小板・白血
球等の血球成分と血漿成分とに分離し、上層をな
す血球成分を連結管を介して、さらに別の子バツ
グに移送して血液の三分画を、おこなつたりする
場合に用いられている。

さて、血液の遠心分離時に一部の血液が連結管
内に残溜するのを防ぐ必要がある。分離した血漿
を子バツグへ移送するとき、連結管内に残つた血
液が血漿と混和して血漿が純粋でなくなるからで
ある。そのために従来、採血バツグ近傍の連結管
内に薄膜を設け、これにより採血バツグと子バツ
グを遮断し、血液の遠心分離後に、この薄膜を突
き破り採血バツグと子バツグを連通し分離した血
漿を子バツグに移送することが、おこなわれてい
た。第１図に、その例を示す。

図中１は採血バツグと子バツグを接続する連結
管であり、薄膜２によつて遮断されている。連結
管内には薄膜を突き破るための破断針３が設置さ
れている（Ａ図参照）。血液移送時に連結管１の
外部から破断針３を移動させて、薄膜２を突き破
り、血液バツグ相互を連通する（Ｂ図参照）もの
である。

上記のような薄膜を利用した血液バツグ連通機
構は、連通操作がむずかしく初心者では扱いにく
く、また、その製作もめんどうなものであつた。

発明の目的 本発明の目的は製作が容易な、かつ取り扱いが
簡単で、遠心分離時に連結管内に血液の残溜がな
く、純粋な成分分画を得ることが可能な筒体の連
通装置を有する血液バツグを提供することにあ
る。

上記目的を達成するものは、両開口端を有する
軟質の合成樹脂製筒体内に、小断面形状の密封端
で終る小径部と開口端で終る大径部とから成る硬
質の合成樹脂製連通筒を該大径部の外壁と該筒体
の内壁とが密着するように固着し、該連通筒は該
小径部の外径が該筒体の内径より小さく、該大径
部の外径は該筒体の内径より若干大きくなつてお
り、該大径部の開口端から該小径部の途中の閉塞
壁まで中空状であり、該小径部の該閉塞壁からわ
ずかに離れた中空状壁には折り曲げたとき、該小
径部の開口を許容して筒体の連通を可能にする薄
肉部が設けられている筒体の連通装置と、一端に
子バツグを有し、他端が前記筒体の前記連通筒の
小径部側端部に接続された該小径部の外径より小
さい内径を有する連通管と、先端に採血針を取付
けた採血管を有し、前記筒体の前記連通筒の大径
部側端部に接続された採血バツグとを有すること
を特徴とする血液バツグである。

発明の具体的説明 以下に本発明の血液バツグの一実施例を図面に
沿つて説明する。

第２図に示したものは、軟質プラスチツク製の
いわゆるダブル血液バツグであり、血液の二分画
に用いられる。採血バツグ１１と子バツグ１４
は、例えば軟質ポリ塩化ビニルのような軟質プラ
スチツク製の連結管１３によつて接続されてい
て、両バツグ１１，１４は、この発明の特徴であ
る筒体の連通装置によつてＡ部分で遮断されてい
る。連結管１３は採血バツグ１１に設けられた筒
体１２内に嵌入接着されている。

採血針１６を被採血者の静脈血管に刺通し採血
管１５を介して採血バツグ１１に適当量の血液を
採取したのち、適当な条件のもとでこれを遠心分
離にかける。採血バツグ１１内の血液は血漿と濃
厚赤血球とに分離される。

つぎに、Ａ部分により採血バツグ１１と子バツ
グ１４の連通をはかつたのち、上層をなす血漿を
子バツグ１４に移送して血液の二分画が完結す
る。

第３図に本発明の製造例を示す。

まず、例えば軟質ポリ塩化ビニル製の両開口端
を有する筒体１２内の一端開口より、硬質の連通
筒１７を、その小径部１９側より挿入する。この
場合の連通筒は第４図ならびにこの図のＸ−Ｘ線
断面図である第５図に明らかにされているように
連通筒１７は密封端１８で終る小径部１９と開口
端２０で終る大径部２１とから成つており、該大
径部の開口端から該小径部の途中の閉塞壁までは
中空状であり、大径部２１の外径は筒体１２の内
径よりも、わずかに大きく、また小径部１９の外
径は、それより小さく構成されている。さらに、
第５図に示すように小径部１９の一個所すなわち
前記閉塞壁からきわめてわずかに離れた中空状壁
には折り曲げたとき、該小径部の開口を許容して
筒体の連通を可能にする薄肉部２２が形成されて
おり、連通筒１７を折り曲げることにより、この
薄肉部分から連通筒１７を２つに切り離すことが
できる。この切り離しによつて大径部２１を含む
連通筒部分は完全な通路が形成される。この連通
筒１７は射出成型によつて成型された硬質のポリ
塩化ビニル製が望ましい。連通筒１７は、好まし
くは大径部２１と小径部１９の間の段部をテーパ
ー状とする。第３図の左の図に示すように大径部
２１の先端個所１〜２mm程度のところで筒体内と
嵌合し、筒体と連通筒の接着に接着剤を使用する
場合には、筒体より露出する連通筒部分を該部分
の長手方向から垂直に筒体１２の端部が少し浸る
程度に完全に接着剤２３、例えば、テトラハイド
ロフランの中に浸漬し、取り出す。このとき、連
通筒の中空部は上部が密封され空気層を形成して
いるので接着剤は入り込まない。

その後、セツト用ピン２４等を用いて連通筒が
完全に筒体内に密着して納まるようにセツトさ
れ、前記接着剤２３により、連通筒の大径部２１
の外壁は筒体内壁に確実に固定される。セツト用
ピン２４は筒体１２の内径よりわずかに小さい外
径を有する先端部２５と、その基部２６とから成
り、余分な接着剤は先端部２５と筒体内壁との隙
間から流れでて接着部に余分の接着剤を残さな
い。このとき、接着剤は連通筒の開口部外周縁と
筒体との間隙を埋めるため、血液の残溜がない。
又、先端部２５の高さｈは約10mm程度であつて、
この高さｈ相当分が筒体１２の開口端から、連通
筒の開口端２０までの間隔であり空隙２７が形成
され、筒体１２の他開口端には、該筒体１２の内
径と略同一の外径を有する連結管１３の一開口端
が挿入接着される。連結管１３の他端は少なくと
も一つの子バツグ１４に接続するものであつて、
予め子バツグ１４に連結管１３を取りつけて準備
するのが良い。この段階で連通筒１７の密封端１
８から連結管１３の開口端までの間隔は、５mm以
上とするのがよい。これは連通筒１７の小径部１
９の外径は連結管１３の内径より若干大きいの
で、連通筒１７の切り離しによる密封端１８を含
む小径部１９の筒体内での浮遊を規制しない程度
の間隔である。なお、密封端１８は連結管１３の
開口を塞がないような小断面形状、すなわち凸状
あるいはＶ溝が形成される。

次に、採血バツグ１１を作成するための軟質ポ
リ塩化ビニル製の２枚のシート２８，２８を筒体
１２の連通筒１７を挿入した側の開口端を含む部
分を、その一周縁にはさみ込む様にしてシート２
８，２８を重ね合わせる。

さらに、高周波シールのために黄銅製（必ずし
もこれに限られない。）の治具２９を連結筒内の
空隙２７までに挿入し、金型３０，３０をその上
からはさむように固定し、高周波をかけシート２
８，２８の該周縁およびシート２８と筒体１２を
シールする。この時、採血バツグに必要な他のチ
ユーブ類（例えば血液排出用ポート、採血用管
等）も同様にシート２８，２８の該周縁にはさみ
こんで同時にシールすることも可能である。

シート２８，２８はこの後、残りの３つの周縁
においてシールされ採血バツグとなり、全体とし
て本発明の特徴である筒体の連通装置を備えた、
いわゆるマルチプルバツクができ上がる。

発明の具体的作用効果 本発明の血液バツグは、上記のような筒体の連
通装置を有するので、筒体内を連通させたい時に
は、筒体を曲げ、その内部の連通筒を、その薄肉
部より折つて２つに分離することにより、きわめ
て簡単に筒体内を連通可能にすることができる。
また、本発明においては薄肉部を連通筒の閉塞壁
からわずかに離れた中空状壁に設けたため、閉塞
壁から遠く離れた中空状壁に設ける場合に比し
て、筒体の連通後に分離された連通筒が筒体内の
流体の流れを邪魔することなく、円滑な流れを可
能にする。

また、本発明の血液バツグに用いた筒体の連通
装置は、連通筒の小径部の外径が、子バツグを有
する連通管の内径より大きいため、薄肉部より折
り曲げて連通筒を２つに分離した後においても、
子バツグ内に分離された連通筒が流入することが
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の血液バツグの連通機構を示す
断面図、第２図はダブル血液バツグを示す平平
図、第３図は本発明の連通装置の製造例を示す工
程図、第４図は本発明の血液バツグの連通装置部
分の一部破断拡大斜視図、第５図は第４図のＸ−
Ｘ線断面図である。 １１……採血バツグ、１２……筒体、１３……
連結管、１４……子バツグ、１７……連通筒、１
８……密封端、１９……小径部、２０……開口
端、２１……大径部、２２……薄肉部、２９……
治具。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 両開口端を有する軟質の合成樹脂製筒体内
   に、小断面形状の密封端で終る小径部と開口端で
   終る大径部とから成る硬質の合成樹脂製連通筒を
   該大径部の外壁と該筒体の内壁とが密着するよう
   に固着し、該連通筒は該小径部の外径が該筒体の
   内径より小さく、該大径部の外径は該筒体の内径
   より若干大きくなつており、該大径部の開口端か
   ら該小径部の途中の閉塞壁まで中空状であり、該
   小径部の該閉塞壁からわずかに離れた中空状壁に
   は折り曲げたとき、該小径部の開口を許容して筒
   体の連通を可能にする薄肉部が設けられている筒
   体の連通装置と、一端に子バツグを有し、他端が
   前記筒体の前記連通筒の小径部側端部に接続され
   た該小径部の外径より小さい内径を有する連通管
   と、先端に採血針を取付けた採血管を有し、前記
   筒体の前記連通筒の大径部側端部に接続された採
   血バツグとを有することを特徴とする血液バツ
   グ。