JP2750789B2 - 洗浄剤組成物 - Google Patents

洗浄剤組成物

Info

Publication number
JP2750789B2
JP2750789B2 JP32598091A JP32598091A JP2750789B2 JP 2750789 B2 JP2750789 B2 JP 2750789B2 JP 32598091 A JP32598091 A JP 32598091A JP 32598091 A JP32598091 A JP 32598091A JP 2750789 B2 JP2750789 B2 JP 2750789B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkaline protease
activity
detergent
alkaline
protease
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP32598091A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0525492A (ja
Inventor
栄一 星野
一雄 森
哲 鈴木
潤 人見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=26358655&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2750789(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to TW81100273A priority Critical patent/TW226030B/zh
Priority to ES92100946T priority patent/ES2136604T3/es
Priority to US07/823,360 priority patent/US5312561A/en
Priority to EP92100946A priority patent/EP0496361B1/en
Priority to SG1996000437A priority patent/SG44442A1/en
Priority to DE69229806T priority patent/DE69229806T2/de
Publication of JPH0525492A publication Critical patent/JPH0525492A/ja
Publication of JP2750789B2 publication Critical patent/JP2750789B2/ja
Application granted granted Critical
Priority to HK98111989A priority patent/HK1011047A1/xx
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は洗浄剤組成物に関し、更
に詳細には蛋白質汚れに対する洗浄力に優れた洗浄剤組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】衣料用洗浄剤、自動食器洗浄機用洗浄剤
等には、従来より蛋白質汚れを除去する目的で種々のプ
ロテアーゼが配合されている。かかるプロテアーゼとし
てはアルカリ領域で作用するアルカリプロテアーゼが用
いられており、その代表的なものとしては、アルカラー
ゼ、サビナーゼ(ノボ・ノルディスク社製)API−2
1(昭和電工社製)、マクサカル(ギスト・ブロケイデ
ス社製)等が挙げられるが、これらのアルカリプロテア
ーゼは家庭洗濯で問題となっている襟、そで口等の水不
溶性蛋白質汚れに対し充分な活性を有しておらず、これ
を配合した洗浄剤は充分な蛋白質汚れ除去作用を発揮し
得ないという問題があった。
【0003】一方、界面活性剤に安定なものとしてYa酵
素(特開昭61−280278号公報)等が報告されて
いるが、これは活性領域が高温度側にあるため、一般的
に室温付近で洗浄を行う場合には適合しないという問題
があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、広い温度範囲
で活性を有し、更に水不溶性蛋白質に対し高い活性を有
するアルカリプロテアーゼを配合した、蛋白質汚れ洗浄
力に優れた洗浄剤組成物が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記課題を解決すべく鋭意検討したところ、水不溶性蛋白
質、特にヒト角質ケラチン線維に対して高い分解活性を
有するアルカリプロテアーゼを配合すれば、蛋白質汚
れ、特に襟、そで口等の水不溶性蛋白質汚れに対する洗
浄力の優れた洗浄剤が得られることを見出し、本発明を
完成した。
【0006】すなわち、本発明は40KFU/APU以
上のヒト角質ケラチン線維に対する分解活性を有するア
ルカリプロテアーゼを含有することを特徴とする洗浄剤
組成物を提供するものである。
【0007】本発明において、ヒト角質ケラチン線維分
解活性は、ヒト角質ケラチン線維分解活性能(KFU)
を水溶性蛋白質である尿素変性ヘモグロビン分解活性
(APU)に対する比として示されるものであり、具体
的には後記の方法により行われる。
【0008】本発明においてアルカリプロテアーゼと
は、その酵素がアルカリ性領域で安定であり、プロテア
ーゼ活性を示すものをいい、本発明においては特に次の
至適pH及び至適温度を有するものを用いるのが好まし
い。 (1)至適pH(カゼイン基質,40℃10分間反応) 10.0〜12.5 (2)至適温度(カゼイン基質,Ca2+無添加pH10.0
で反応) 50〜60℃
【0009】本発明に用いられるアルカリプロテアーゼ
としては、上記の条件を具備するものであれば特に限定
されないが、具体的にはアルカリプロテアーゼK−16
及びアルカリプロテアーゼK−14が挙げられる。
【0010】本発明に用いられるアルカリプロテアーゼ
K−16及びK−14は、バチルス(Bacillu
)属に属する微生物を培養し、該培養物から採取する
ことができるが、その微生物としては、例えば以下に示
すような菌学的性質を有するものが挙げられる。
【0011】アルカリプロテアーゼK−16生産菌 (A)形態的性質 (a)細胞の形及び大きさ:桿菌0.8〜1.0μm ×
2.2〜25μm (b)多形性:無し。 (c)運動性:周鞭毛を有し、運動性あり。 (d)胞子〔大きさ、形、位置〕:1.0〜1.2μm
×1.4〜2.2μm、楕円形、中央準端、胞子嚢の膨
潤ややあり。 (e)グラム染色:陽性 (f)抗酸性:陰性 (g)肉汁寒天平板上での発育形態:円形、葉状、表面
円滑、淡黄色、半透明のコロニー。 (h)肉汁寒天斜面上での生育:不規則な葉状、表面少
しだけ粗な円滑、淡黄色、半透明のコロニー。 (i)肉汁液体培養:生育良好で混濁あり菌膜無し。 (j)肉汁ゼラチン穿刺培養:生育良好で液化する。 (k)リトマスミルク:ペプトン化するが、ミルクの凝
固なし、リトマスの変化なし。
【0012】(B)生理的性質 (a)硝酸塩の還元:陽性 (b)脱窒反応:陰性 (c)MRテスト:陰性 (d)VPテスト:陽性 (e)インドール生成:陰性 (f)硫化水素生成:陰性 (g)澱粉加水分解:陽性 (h)クエン酸の利用:陽性 (i)無機窒素源の利用:硝酸塩を利用するが、アンモ
ニウム塩は利用しない。 (j)色素の生成:陰性 (k)ウレアーゼ:陰性 (l)オキシダーゼ:陽性 (m)カタラーゼ:陽性 (n)生育の温度範囲:55℃以下 (o)生育のpH範囲:pH6.6〜10.3で生育可能。 (p)酸素に対する態度:好気的 (q)OFテスト:酸化型(O型) (r)塩化ナトリウムに対する耐性:10%塩化ナトリ
ウム存在下で生育する。 (s)糖からの酸生成及びガス生成
【0013】
【表1】
【0014】以上の菌学的性質について「バージェーズ
マニュアル オブ システマティック バクテリオロ
ジー(Williams & Wilkins社,19
84年)」(Bergey’s Mannual of
Systematic Bacteriology)
の記載に準じ検討したところ、本菌株は、バチルスズブ
チルス(Bacillus subtilis)に属さ
せることが妥当である。しかし、バチルス ズブチルス
がpH10の培地には全く生育しないのに対し、本菌株は
pH10でも良好に生育する。また、バチルス ズブチル
スが55℃では生育できないのに対し、本菌株は55℃
においても生育が可能であること等の相違点が認められ
る。
【0015】以上の結果から明らかなように、本菌株は
バチルス ズブチルスに属させることが妥当であるが、
いくつかの点においてこれと相違し、また他の公知の菌
株とも異なるので、本菌株をバチルス・エスピー(Ba
cillus sp.)KSM−K16と命名し、工業
技術院微生物工業技術研究所にFERM BP−337
6として寄託した。
【0016】アルカリプロテアーゼK−14生産菌 (A)形態的性質 (a)細胞の形及び大きさ:桿菌0.8〜1.0μm ×
2.5〜25.5μm (b)多形性:無し。 (c)運動性:周鞭毛を有し、運動性あり。 (d)胞子〔大きさ、形、位置〕:1.0〜1.2μm
×1.5〜2.2μm、楕円形、中央準端、胞子嚢の膨
潤ややあり。 (e)グラム染色:陽性 (f)抗酸性:陰性
【0017】(B)生理的性質 (a)硝酸塩の還元:陽性 (b)脱窒反応:陰性 (c)MRテスト:陰性 (d)VPテスト:陽性 (e)インドール生成:陰性 (f)硫化水素生成:陰性 (g)澱粉加水分解:陽性 (h)クエン酸の利用:陽性 (i)無機窒素源の利用:硝酸塩を利用するが、アンモ
ニウム塩は利用しない。 (j)色素の生成:陰性 (k)ウレアーゼ:陰性 (l)オキシダーゼ:陽性 (m)カタラーゼ:陽性 (n)生育の温度範囲:55℃以下 (o)生育のpH範囲:pH6.6〜10.3で生育可能。 (p)酸素に対する態度:好気的 (q)OFテスト:酸化型(O型) (r)塩化ナトリウムに対する耐性:10%塩化ナトリ
ウム存在下で生育する。 (s)糖からの酸生成及びガス生成
【0018】
【表2】
【0019】以上の菌学的性質について「バージェーズ
マニュアル オブ システマティック バクテリオロ
ジー(Williams & Wilkins社,19
84年)」(Bergey’s Mannual of
Systematic Bacteriology)
の記載に準じ検討したところ、本菌株は、バチルスズブ
チルス(Bacillus subtilis)に属さ
せることが妥当である。しかし、バチルス ズブチルス
がpH10の培地には全く生育しないのに対し、本菌株は
pH10でも良好に生育する。また、バチルス ズブチル
スが55℃では生育できないのに対し、本菌株は55℃
においても生育が可能であること等の相違点が認められ
る。
【0020】以上の結果から明らかなように、本菌株は
バチルス ズブチルスに属させることが妥当であるが、
いくつかの点においてこれと相違し、また他の公知の菌
株とも異なるので、本菌株をバチルス・エスピー(Ba
cillus sp.)KSM−K14と命名し、工業
技術院微生物工業技術研究所にFERM BP−367
0として寄託した。
【0021】これらの菌株を用いて、アルカリプロテア
ーゼK−16及びK−14を生産するには、当該菌体を
適当な培地に接種し、常法に従って培養すればよい。
【0022】使用される培地としては、通常の微生物の
培養に用いられ本菌株に利用可能なものであれば何れを
も使用することができるが、該培地中には資化しうる炭
素源及び窒素源を適当量含有せしめておくことが好まし
い。
【0023】この炭素源及び窒素源については特に制限
はないが、その例としては、窒素源としてはコーングル
テンミール、大豆粉、コーンスチープリカー、カザミノ
酸、酵母エキス、ファーマメディア、イワシミール、肉
エキス、ペプトン、ハイプロ、アジパワー、コーンミー
ル、ソイビーンミール、コーヒー粕、綿実油粕、カルチ
ベーター、アミフレックス及びアジプロン、ゼスト、ア
ジックス等が挙げられる。また、炭素源としては、資化
しうる炭素源、例えばアラビノース、キシロース、グル
コース、マンノース、フラクトース、ガラクトース、蔗
糖、麦芽糖、乳糖、ソルビトール、マンニトール、イノ
シトール、グリセリン、可溶性澱粉や廉価な廃糖蜜、転
化糖等、また資化しうる有機酸、例えば酢酸等が挙げら
れる。また、その他、リン酸、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Z
n2+、Co2+、Na+ 、K+ 等の無機塩や、必要であれば、無
機、有機微量栄養源を培地中に適宜添加することもでき
る。
【0024】斯くして得られた培養物中からの目的物質
であるアルカリプロテアーゼK−16及びK−14の採
取及び精製は、一般の酵素の採取及び精製の手段に準じ
て行うことが出来る。
【0025】すなわち、培養物を遠心分離、又は濾過等
することによって菌体を分離し、その菌体及び培養濾液
から通常の分離手段、例えば、塩析法、等電点沈澱法、
溶媒沈澱法(メタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコール、アセトン等)によって蛋白質を沈澱させた
り、また、限外濾過(例えばダイアフローメンブレンY
C、アミコン社製)により濃縮させて目的とするアルカ
リプロテアーゼを得る。塩析法では、例えば硫安(30
〜70%飽和画分)、溶媒沈澱では、例えば75%エタ
ノール中で酵素を沈澱させた後、濾過或いは遠心分離、
脱塩することによってこれを凍結乾燥粉末とすることも
可能である。ここで脱塩の方法としては、透析又は、セ
ファデックスG−25等を用いるゲル濾過法等の一般的
方法が用いられる。
【0026】このようにして得られる酵素液は、そのま
ま使用することもできるが、更に公知の方法により精製
結晶化して用いることも出来る。更に酵素を精製するに
は、例えばヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー等
の吸着クロマトグラフィー、DEAE−セファデック
ス、DEAE−セルロース、CM−セルロースやCM−
バイオゲル等のイオン交換クロマトグラフィー及びセフ
ァデックスやバイオゲルのような分子篩ゲルクロマトグ
ラフィーを適宜組み合わせて分別精製すればよい。
【0027】斯くして得られた本発明のアルカリプロテ
アーゼK−16及びK−14は、以下に示すような酵素
学的性質を有する。尚、以下において、酵素活性の測定
は次の如くして行った。
【0028】カゼイン分解活性 カゼイン1%を含む50mMホウ酸−NaOH緩衝液(pH1
0.0)1mlを0.1mlの酵素溶液と混合し、40℃、
10分間反応させた後、反応停止液(0.123Mトリ
クロロ酢酸−0.246M酢酸ナトリウム−0.369
M酢酸)2mlを加え、30℃、20分間放置した。次に
濾紙(ワットマン社製、No.2)で濾過し、濾液中の蛋白
分解物をフォーリン・ローリー法(Lowry,O.
H.et al.,J.Biol.Chem.,vol
193,p265(1951))の改良法によって測
定した。また1P.U.は、上記反応条件下において1
分間に1mmolのチロシンを遊離する酵素量とした。
【0029】ヒト角質ケラチン線維分解活性 (1)尿素変性ヘモグロビンに対する分解活性 アンソン−ヘモグロビン法(Anson,M.L.
GenPhysiol.,Vol22,p79(19
38))の改良法によって測定される。即ち、基質とし
て用いる尿素変性ヘモグロビンの終濃度を14.7mg/
mlになるように調製した溶液中で、温度25℃、pH1
0.5にて10分間反応させた後、反応溶液にトリクロ
ロ酢酸を終濃度31.25mg/mlになるように添加す
る。トリクロロ酢酸可溶分をフェノール試薬によって呈
色させる。この呈色度を1mmolのチロシンの呈色度を1
APUとした検量線より反応10分間あたりの活性を求
め、これを1分間あたりに換算することによって測定し
た。すなわち、1APUとは、1mmolのチロシンがフェ
ノール試薬により呈色するのと同じ呈色度のトリクロロ
酢酸可溶分量を1分間に与えるプロテアーゼの量のこと
を示す。 (2)ヒト角質ケラチン線維に対する分解活性 (2−1)ケラチン線維の調製 ヒト踵皮(角質)をメスで削り取り、ハサミで細かく裁
断したあと、イオン交換水で洗浄する。角質1gを8M
尿素、25mMβ−メルカプトエタノールを含む50mMト
リス−塩酸緩衝液(pH8.0)の20〜50mlに懸濁
し、一晩スターラーで攪拌する。膨潤した角質をテフロ
ンホモジナイザーを用いてすりつぶした後、遠心分離
(30,000×g,30min )する。上澄液を濾紙を
用いて濾過後、濾液をイオン交換水に対して透析し、凍
結乾燥、粉末化したものをケラチン線維として用いる。 (2−2)分解活性の測定 0.1M炭酸緩衝液(pH10.5)に、調製したケラチ
ン線維を1mg/ml、プロテアーゼを2×10-3APU/
mlになるように添加する。温度30℃、マグネチックス
ターラーで回転数100rpm(スターラーピース35m
m)で一定時間インキュベート後、反応液にフェニルメ
チルスルホニルフルオライドを添加(終濃度2mM)し、
0.5μm メンブレンフィルターで濾過する。濾液中の
可溶化蛋白質をローリー法によりチロシン換算として測
定する。 (2−3)ヒト角質ケラチン線維分解活性の算出 1分間に1mgのチロシンに相当する可溶化蛋白質をヒト
角質ケラチン線維から分解生成物として生成させるプロ
テアーゼ量を1KFUと規定する。
【0030】アルカリプロテアーゼK−16の酵素学的
性質 (1)作用 高アルカリ性条件下で各種蛋白質に対して作用する。特
にヒト角質ケラチンに対し48KFU/APUの活性を
有する。
【0031】(2)基質特異性 アルカリプロテアーゼK−16の各種基質に対する特異
性を、他の市販プロテアーゼと比較した。用いた基質
は、カゼイン、尿素変性ヘモグロビン、獣毛ケラチン、
エラスチンでこれらに対する分解活性を測定した。50
mMホウ酸−NaOH緩衝液(pH10.0)に各基質を1%
(尿素変性ヘモグロビンは2.2%)加え、各酵素液
0.5×10-4P.U.(エラスチンは3.5×10-4
P.U.)を添加し、40℃、10分間反応を行った。
各々の基質におけるアルカリプロテアーゼK−16の活
性を100とした時の各酵素の活性を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】この結果からも明らかなように、アルカリ
プロテアーゼK−16は水可溶性及び水不溶性の蛋白質
を良好に分解し、現在洗剤用酵素として良く用いられて
いる市販酵素A、市販酵素Bと比較して、特にエラスチ
ンに対して優れた作用を示す。
【0034】(3)至適pH 各種pH緩衝液(50mM)中に最終濃度0.91%となる
ようにカゼインを加え、アルカリプロテアーゼK−16
を5.2×10-5P.U.加えて40℃、10分間反応
して活性を測定した。最適pHでの活性を100とし、各
pHでの活性を相対的に表した。結果を図1に示す。図1
からも明らかなようにアルカリプロテアーゼK−16の
至適pHは11.0〜12.3である。尚、使用した各種
緩衝液、及びそのpH範囲は次のとおりである。 酢酸緩衝液 pH3.9〜5.7 リン酸緩衝液 pH6.6〜8.3 炭酸緩衝液 pH9.2〜10.9 リン酸−NaOH緩衝液 pH10.9〜12.7 KCl−NaOH緩衝液 pH10.9〜12.6
【0035】(4)pH安定性 (3)で用いたのと同じ緩衝液(20mM)中に7.9×
10-3P.U.のアルカリプロテアーゼK−16を加
え、25℃で48時間放置した。この処理液を50mMホ
ウ酸−NaOH緩衝液(pH10.0)で40倍に希釈後、活
性を測定した。処理前の酵素活性を100%として各pH
での相対活性を求めた。結果を図2に示す。図2から明
らかなようにアルカリプロテアーゼK−16は、Ca2+
存在下ではその安定領域がpH6.0〜12.0であり、
2mM Ca2+存在下ではその安定域はpH5.0〜12.0
であった。
【0036】(5)至適温度 基質として0.91%のカゼインを含む50mMホウ酸−
NaOH緩衝液(pH10.0)に3.1×10-5P.U.の
アルカリプロテアーゼK−16を加え、10分間各温度
で反応を行った。40℃での活性を100%として各温
度での相対活性を求めた。結果は図3に示す。図3から
も明らかなように、アルカリプロテアーゼK−16の至
適温度は、Ca2+非存在下では55℃であり、5mM Ca2+
存在下では70℃であった。
【0037】(6)耐熱性 20mMホウ酸−NaOH緩衝液(pH9.5)に1.6×10
-3P.U.のアルカリプロテアーゼK−16を加え、各
温度で10分間熱処理し、氷冷後、50mMホウ酸−NaOH
緩衝液(pH10.0)で5倍希釈した。そして0.91
%カゼインを基質として活性を測定した。未処理時の活
性を100%として各処理温度での相対活性を求めた。
結果を図4に示す。図4からも明らかなように、アルカ
リプロテアーゼK−16はCa2+非存在下で50℃、5mM
Ca2+存在下では60℃まで上記熱処理条件下で、90
%以上の活性が維持された。
【0038】(7)分子量 アルカリプロテアーゼK−16の分子量をドデシル硫酸
ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動法により調べた。分子量マーカーには低分子量用マー
カーキット(バイオラッド)すなわち、ホスホリラーゼ
b(分子量:97,400)、牛血清アルブミン(分子
量:66,200)、卵白アルブミン(分子量:42,
700)、カルボニックアンヒドラーゼ(分子量:3
1,000)、大豆トリプシンインヒビター(分子量:
21,500)、リゾチーム(分子量:14,400)
を用いた。この方法によりアルカリプロテアーゼK−1
6の分子量は28,000±1,000と決定された。
【0039】(8)等電点 アルカリプロテアーゼK−16の等電点を等電点電気泳
動法により調べた。カラム用の両性担体にはサーバライ
ト9−11を用いた。この方法によりアルカリプロテア
ーゼK−16の等電点は10.5以上であることがわか
った。
【0040】(9)金属イオンの影響 各種金属イオンについて、アルカリプロテアーゼK−1
6に対して与える影響を調べた。まず、20mMホウ酸−
NaOH緩衝液(pH9.5)に各種金属塩を1mMの濃度で添
加し、そこに3.9×10-3P.U.の酵素を加えて3
0℃、20分間放置した。その後、50mMホウ酸−NaOH
緩衝液(pH10.0)で5倍に希釈して残存活性を測定
した。残存活性は、金属塩無添加で同様に処理した酵素
活性に対する相対値で表した。結果を表4に示した。こ
の結果から明らかなように、アルカリプロテアーゼK−
16は、Hg2+及びCu2+により活性が阻害されることがわ
かる。また、前記(5)及び(6)の結果よりCa2+によ
り熱安定性が向上することがわかる。
【0041】
【表4】
【0042】(10)阻害剤の影響 一般的な酵素阻害剤について、アルカリプロテアーゼK
−16に対して与える影響を調べた。10mMリン酸緩衝
液(pH7.0)に各種阻害剤を所定濃度になるように加
え、そこにアルカリプロテアーゼK−16 7.9×1
-3P.U.を添加し、30℃で20分間放置した。そ
の後、該処理液をイオン交換水にて20倍希釈し、残存
活性を測定した。残存活性は、阻害剤無添加で同様に処
理した酵素活性に対する相対値で表した。結果を表5に
示した。この結果から明らかなように、アルカリプロテ
アーゼK−16は、セリンプロテアーゼの阻害剤である
ジイソプロピルフルオロリン酸(DFP)、フェニルメ
タンスルホニルフルオリド(PMSF)、キモスタチン
で活性が阻害されることから、活性中心にセリン残基を
有するプロテアーゼであることがわかる。
【0043】
【表5】
【0044】(11)界面活性剤の影響 6.6×10-2P.U.の酵素液を、所定濃度の各種界
面活性剤を溶かした5mlの0.1Mトリス−塩酸緩衝液
(pH9.0、エタノールを10%含む)に加え40℃で
4時間放置し、その後50mMホウ酸−NaOH緩衝液(pH1
0.0)で20倍希釈後、残存活性を測定した。処理時
間0分での活性を100%とし残存活性を相対値で表し
た。結果を表6に示した。この結果から明らかなように
アルカリプロテアーゼK−16は、各種界面活性剤が高
濃度(1〜10%)存在しても高い安定性を示すもので
あった。このことより、アルカリプロテアーゼK−16
は界面活性剤を含有する洗浄剤成分として有用である。
【0045】
【表6】
【0046】アルカリプロテアーゼK−14の酵素学的
性質 (1)作用 高アルカリ性条件下で各種蛋白質に対して作用する。特
にヒト角質ケラチンに対し50KFU/APUの活性を
有する。
【0047】(2)至適pH 前記アルカリプロテアーゼK−16の場合と同様にして
検討した結果、図5から明らかなようにアルカリプロテ
アーゼK−14の至適pHは10.4〜12.0であっ
た。 (3)pH安定性 前記アルカリプロテアーゼK−16の場合と同様にして
検討した結果、図6から明らかなようにアルカリプロテ
アーゼK−14はCa2+非存在下ではその安定領域がpH7
〜11.5であり、2mM Ca2+存在下ではその安定領域
はpH5〜12であった。 (4)至適温度 前記アルカリプロテアーゼK−16の場合と同様にして
検討した結果、図7から明らかなようにアルカリプロテ
アーゼK−14の至適温度はCa2+非存在下では55℃で
あり、5mM Ca2+存在下では70℃であった。
【0048】(5)耐熱性 前記アルカリプロテアーゼK−16の場合と同様にして
検討した結果、図8から明らかなように、アルカリプロ
テアーゼK−14はCa2+非存在下で50℃、5mM Ca2+
存在下では60℃まで90%以上の活性が維持された。 (6)等電点 アルカリプロテアーゼK−14の等電点をロトフォア等
電点電気泳動法(バイオラッド社製)により測定した。
その結果、アルカリプロテアーゼK−14の等電点は1
0.0以上であった。
【0049】本発明の洗浄剤組成物中への上記アルカリ
プロテアーゼの配合量は、アルカリプロテアーゼが活性
を示す量であれば特に制限されないが、洗浄剤組成物1
kg当たり0.1〜6,000P.U.、特に5〜400
P.U.が好ましい。
【0050】また、本発明の洗浄剤組成物には、公知の
洗浄剤成分を配合することができ、当該公知の洗浄剤成
分としては、例えば次のものが挙げられる。
【0051】(1)界面活性剤:平均炭素数10〜16
のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
塩、平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル
基を有し、1分子内に平均0.5〜8モルのエチレンオ
キサイドを付加したアルキルエトキシ硫酸塩、平均炭素
数10〜20のアルキル基を有するアルキル硫酸塩、平
均10〜20の炭素原子を1分子中に有するオレフィン
スルホン酸塩、平均10〜20の炭素原子を1分子中に
有するアルカンスルホン酸塩、平均10〜20の炭素原
子を1分子中に有するα−スルホ脂肪酸メチルあるいは
エチルエステル塩、平均炭素数8〜20の高級脂肪酸
塩、平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル
基を有し、1分子内に平均0.5〜8モルのエチレンオ
キサイドを付加したアルキルエーテルカルボン酸塩など
のアニオン性界面活性剤;平均炭素数10〜20のアル
キル基を有し、1〜20モルのエチレンオキシドを付加
したポリオキシエチレンアルキルエーテル、高級脂肪酸
アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加
物などの非イオン性界面活性剤;その他ベタイン型両性
界面活性剤;スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エス
テル系界面活性剤、アミノ酸型界面活性剤、カチオン性
界面活性剤など。これらの界面活性剤は洗浄剤組成物中
5〜60重量%(以下単に%で示す)配合され、特に粉
体状洗浄剤組成物については10〜45%、液体洗浄剤
組成物については20〜55%配合することが好まし
い。また、本発明洗浄剤組成物が漂白剤である場合、界
面活性剤は一般に1〜10%、好ましくは1〜5%配合
される。
【0052】(2)二価金属イオン捕捉剤:トリポリリ
ン酸塩、ピロリン酸塩、オルソリン酸塩などの縮合リン
酸塩、ゼオライトなどのアルミノケイ酸塩、合成層状結
晶性ケイ酸塩、ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミン四
酢酸塩、クエン酸塩、イソクエン酸塩、ポリアセタール
カルボン酸塩など。この二価金属イオン捕捉剤は、0〜
50%、好ましくは5〜40%配合される。また、リン
を含有しない二価金属イオン捕捉剤を用いることがより
好ましい。
【0053】(3)アルカリ剤及び無機塩:ケイ酸塩、
炭酸塩、セスキ炭酸塩、硫酸塩、アルカノールアミンな
ど。これらは0〜80%配合される。
【0054】(4)再汚染防止剤:ポリエチレングリコ
ール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸コポリマー、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボ
キシメチルセルロースなど。再汚染防止剤は0〜10
%、好ましくは1〜5%配合される。
【0055】(5)酵素:セルラーゼ、アミラーゼ、リ
パーゼ、ヘミセルラーゼ、β−グリコシダーゼ、グルコ
ースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、上記
アルカリプロテアーゼ以外のプロテアーゼなどの酵素。
上記アルカリプロテアーゼは従来公知のアルカリプロテ
アーゼよりも、セルラーゼ、リパーゼ等の酵素との相性
が良好であり、これらの酵素を併用すれば洗浄力をいっ
そう向上させることができる。
【0056】(6)水道水中の有効塩素の捕捉剤又は還
元剤:有効塩素の捕捉剤として、硫酸アンモニウム、尿
素、塩酸グアニジン、炭酸グアニジン、スルファミン酸
グアニジン、二酸化チオ尿素、モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、又グリシ
ン、グルタミン酸ナトリウム等で代表されるアミノ酸及
び牛血清アルブミン、カゼインなどの蛋白質、更には蛋
白質の加水分解、肉エキス、魚肉エキスなどが挙げられ
る。還元剤としては、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、亜ニチオ
ン酸塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等及び
ロンガリットC等が挙げられる。
【0057】(7)漂白剤:過炭酸塩、過硼酸塩、スル
ホン化フタロシアニン亜鉛塩又はアルミニウム塩、過酸
化水素等。
【0058】(8)蛍光染料:通常洗浄剤に用いられる
蛍光染料。
【0059】(9)可溶化剤:液体洗剤の場合には次の
ような可溶化剤を用いることができる。エタノールなど
の低級アルコール、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエ
ンスルホン酸塩などの低級アルキルベンゼンスルホン酸
塩、プロピレングリコールなどのポリオール類など。
【0060】(10)その他:上記以外に香料、ケーキ
ング防止剤、酵素の活性化剤、酸化防止剤、防腐剤、色
素、青味付け剤、漂白活性化剤等の洗剤に常用の成分を
必要に応じて配合することができる。
【0061】本発明の洗浄剤組成物は、上記アルカリプ
ロテアーゼ及び上記公知の洗浄成分を組み合せて常法に
従い、製造することができる。洗浄剤の形態は、用途に
応じて選択することができ、例えば液体、粉末、顆粒等
とすることができる。また、本発明洗浄剤組成物は、衣
料用洗浄剤、自動食器洗浄機用洗浄剤、配水管洗浄剤、
義歯洗浄剤、漂白剤等として使用することができる。
【0062】
【発明の効果】本発明の洗浄剤組成物は、アルカリ性領
域において高活性を有し、且つアルカリ耐性、更に強い
ヒト角質ケラチン線維分解活性を有するプロテアーゼ、
例えばバチルス・エスピー(Bacillus
p.)KSM−K16(FERMBP−3376)の生
菌の生産するアルカリプロテアーゼK−16、又はバチ
ルス・エスピー(Bacillus sp.)KSM−
K14(FERM BP−3670)の生菌の生産する
アルカリプロテアーゼK−14を含有し、蛋白質汚れに
対して優れた洗浄力を与えるものである。
【0063】
【実施例】次に参考例及び実施例を挙げ、本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例等により限定さ
れるものではない。尚、以下における%は特記しない限
り、重量%を示す。
【0064】参考例1 プロテアーゼ産生菌株の分離、採取: (1)土壌のサンプルの約1gを滅菌生理食塩水10ml
に懸濁し、80℃にて20分間放置し熱処理した。熱処
理上清液0.1mlをケラチンハロー寒天培地へ接種し、
30℃で48時間静置培養した。用いたケラチンハロー
寒天培地の組成は以下に示す通りである。 グルコース 1% 酵母エキス 0.2% 獣毛ケラチン 1% カルボキシメチルセルロース 1% リン酸第一カリウム 0.1% 硫酸マグネシウム・7水塩 0.02% 寒天 1.5%
【0065】(2)上記培地組成物に、別滅菌を施した
10%炭酸ナトリウムを1%添加し、最終pHを10.5
に調整後、平板培地を作製した。培養後、生育したコロ
ニーの周囲にハローを生じたものを選抜し、同培地で2
〜3回純化し、均一のプロテアーゼ生産菌を得た。
【0066】(3)上記(2)で得たこれらの菌株を以
下に示す液体培地へ接種し、30℃で好気的に48時間
振盪培養を行った。 グルコース 2.0% ポリペプトンS 1.0% 酵母エキス 0.05% リン酸第一カリウム 0.1% 硫酸マグネシウム・7水塩 0.02% 炭酸ナトリウム(別滅菌) 1.0% pH 10.5 培養終了後、得られた培養物を遠心分離(3000rpm;
10分間)して菌を除去し、得られた培養上清を酵素液
とした。
【0067】(4)上記(3)で得られた酵素液から凍
結乾燥により粗酵素サンプルを調製し、市販液体洗剤中
における40℃での保存安定性評価を行った。そのなか
から、最も安定性に優れる酵素を生産するものの菌株と
してバチルス・エスピー KSM−K16株及びバチル
ス・エスピー KSM−K14株を得た。
【0068】参考例2 菌体の培養、アルカリプロテアーゼK−16の精製: (1)参考例1で得られた好アルカリ性細菌、バチルス
・エスピー KSM−K16を以下の液体培地(3.0
l) に接種し、30℃で好気的に48時間振盪培養を行
い、アルカリプロテアーゼK−16を生産させた。 グルコース 2.0% 魚肉エキス 1.0% 大豆粉 1.0% 硫酸マグネシウム 0.02% リン酸第一カリウム 0.1% pH 10.0
【0069】(2)培養終了後、得られた培養物3l を
遠心分離(10,000rpm;5分間)して菌を除去し、
その上清液を凍結乾燥した。凍結乾燥粉末2gをイオン
交換水10mlに溶解(粗酵素液)した後、同溶液を透析
膜を用いて10mMトリス−塩酸緩衝液(2mM Ca2+
加、pH7.5)に対して一晩透析し、26mlの透析処理
液(活性3.15P.U./ml、比活性1.97P.
U./mg蛋白)を得た。次に、10mMトリス−塩酸緩衝
液(2mM Ca2+添加、pH7.5)で平衡化したCM−5
2セルロース担体を充填したカラムにかけ、同緩衝液で
カラム内を洗浄した後、0〜0.15M塩化ナトリウム
を含む同緩衝液でアルカリプロテアーゼK−16を溶出
させた。この活性画分を集めたところ全量は15ml、活
性は1.12P.U./ml、比活性は5.75P.U.
/mg蛋白であった。そして、当溶液を50mMトリス−塩
酸緩衝液(10mM Ca2+、0.2M塩化ナトリウム添
加、pH8.0)に対して一晩透析した後、限外濾過(ア
ミコン社製、分画分子量5,000)により濃縮し、5
0mMトリス−塩酸緩衝液(10mM Ca2+、0.2M塩化
ナトリウム添加、pH8.0)で平衡化したセファデック
スG−50(ファルマシア社製)のゲル濾過クロマトグ
ラフィーにかけ同緩衝液にて展開させた。ここで得られ
た活性画分は全量11.5ml、活性は0.9P.U./
ml、比活性は6.03P.U./mg蛋白であった。当溶
液を、イオン交換水に対して一晩透析後、活性0.56
P.U./ml、比活性5.60P.U./mg蛋白の溶液
を得た。当溶液を凍結乾燥し、酵素粉末を得た。得られ
た酵素の比活性は1.87P.U./mgであり、ヒト角
質ケラチン線維分解活性は48KFU/APUであっ
た。
【0070】参考例3 菌体の培養、アルカリプロテアーゼK−14の精製: (1)参考例1で得られた好アルカリ性細菌、バチルス
・エスピー KSM−K14を以下の液体培地(3.0
l) に接種し、30℃で好気的に48時間振盪培養を行
い、アルカリプロテアーゼK−14を生産させた。 グルコース 2.0% 魚肉エキス 1.0% 大豆粉 1.0% 硫酸マグネシウム 0.02% リン酸第一カリウム 0.1% pH 10.0 (2)培養終了後、得られた培養物から、参考例2と同
様の方法により、アルカリプロテアーゼK−14の精製
酵素粉末を得た。得られた酵素のヒト角質ケラチン線維
分解活性は50KFU/APUであった。
【0071】以下の実施例における洗浄試験は次の実験
条件のもとに行った。 1)天然襟布汚染布:木綿金布(♯2023布)をワイ
シャツの襟に縫い付け、成年男子に3日間着用させる。
着用後25℃、65%RHに1ケ月放置後、汚れの程度
を三段階に分け、このうち最も汚れのひどいもののう
ち、中心点に対し汚れが対称な布を選び出し、この汚れ
の対称点で布を半裁し実験に供した。
【0072】2)洗浄条件及び方法:天然汚染布を洗浄
する場合、9cm×30cmの天然汚染布を対称の位置で半
裁し、9cm×15cmの一対の汚染布の一方を基準洗剤で
ある酵素無添加洗剤で洗浄し、片方を比較洗剤である本
発明の洗剤でそれぞれ洗浄した。まず天然汚染布片15
枚を50cm×50cmの綿布に縫い付け、粉末洗剤の場合
には6l の0.417%の洗剤溶液に、この汚染布と綿
製肌着を合わせて1kg入れ、30℃で2時間浸漬後、東
芝製洗濯機「銀河」に移し、全量を30l とした後、強
反転で10分間洗浄し、乾燥後判定に供した。液体洗剤
の場合には20ccの洗剤液を汚染布に均一に塗付け、1
0分後、綿製肌着と合わせて1kgとし、東芝製洗濯機
「銀河」に移し、全量を30l とし、強反転にて10分
間洗浄し、乾燥後判定に供した。基準洗剤で洗った半裁
布と本発明の洗剤で洗った半裁布とを肉眼判定による一
対比較で評価した。汚れの程度を表わす10段階にラン
クづけした標準汚れを基準にし、洗浄布をランクづけし
た。洗浄性は基準洗剤の洗浄力を100としたときの本
発明の洗剤の洗浄力の点数で表わした。洗浄力指数の差
は0.5以上で有意の差とみなせる。
【0073】3)使用した酵素: (a)アルカリプロテアーゼK−16(参考例2で得ら
れたものを芒硝で200倍に稀釈して造粒したもの) (b)アルカリプロテアーゼK−14(参考例3で得ら
れたものを芒硝で200倍に稀釈して造粒したもの) (c)プロテアーゼ(ノボ・ノルディスク社,サビナー
ゼ4.0T) (d)プロテアーゼ( ギスト・ブロケイデス社,マクサ
カルP−400,000) (e)プロテアーゼ(昭和電工社,API−21H) (f)セルラーゼ(花王,微工研菌寄第1138号,5
00IU/g・造粒物) (g)セルラーゼ(ノボ・ノルディスク社,セルザイム
1.0T) (h)リパーゼ(ノボ・ノルディスク社,リポラーゼ1
00T)
【0074】実施例1 表7に示す配合組成の弱アルカリ性粉末衣料用洗剤を調
製した。
【0075】
【表7】
【0076】得られた各種洗剤による洗浄試験の結果を
表8に示す。尚、表中洗剤番号は、「実施例番号−使用
した酵素記号」で表示し、酵素を使用しないものは「実
施例番号−◎」と表示する。(以下、同様) 表8の結果より、本発明品は天然襟汚垢に対し、従来の
酵素を含有した洗剤に比べて優れた洗浄力を示すことが
わかる。
【0077】
【表8】
【0078】実施例2 実施例1の配合組成において、酵素を表9の如く種々組
み合わせて用いて弱アルカリ性粉末洗剤を調製した。得
られた各種洗剤による洗浄試験の結果を表9に示す。表
9の結果より、アルカリプロテアーゼK−16とセルラ
ーゼ及び/又はリパーゼとを組み合わせて用いることに
より、天然襟汚垢に対して、相乗的な洗浄力の向上効果
が得られることがわかる。
【0079】
【表9】
【0080】実施例3 表10に示す配合組成の弱アルカリ性粉末衣料用洗剤を
調製した。
【0081】
【表10】
【0082】得られた各種洗剤による洗浄試験の結果を
表11に示す。表11の結果より、本発明洗浄剤の効果
が各種ビルダーの使用下において有効に発現されること
がわかる。
【0083】
【表11】
【0084】実施例4 表12に示す配合組成の弱アルカリ性粉末衣料用洗剤を
調製した。
【0085】
【表12】
【0086】得られた各種洗剤による洗浄試験の結果を
表13に示す。表13の結果より、本発明品は天然襟汚
垢に対し、従来の酵素を含有した洗剤に比べて優れた洗
浄力を示すことがわかる。
【0087】
【表13】
【0088】実施例5 表14に示す配合組成の弱アルカリ性粉末衣料用洗剤を
調製した。
【0089】
【表14】
【0090】得られた各種洗剤による洗浄試験の結果を
表15に示す。表15の結果より、本発明品は天然襟汚
垢に対し、従来の酵素を含有した洗剤に比べて優れた洗
浄力を示すことがわかる。
【0091】
【表15】
【0092】実施例6 表16に示す配合組成の弱アルカリ性粉末衣料用洗剤を
調製した。
【0093】
【表16】
【0094】得られた各種洗剤による洗浄試験の結果を
表17に示す。表17の結果より、本発明品は天然襟汚
垢に対し、従来の酵素を含有した洗剤に比べて優れた洗
浄力を示すことがわかる。
【0095】
【表17】
【0096】実施例7 表18に示す配合組成の弱アルカリ性液体洗剤を調製し
た。尚、洗剤原液のpHは9.6であった。
【0097】
【表18】
【0098】得られた各種液体洗剤中における酵素の安
定性試験の結果を表19に示す。 1)使用した酵素 (i)アルカリプロテアーゼK−16(参考例2で得ら
れたものをグリセロール及び水で100倍に稀釈して溶
解したもの) (j)アルカリプロテアーゼK−14(参考例3で得ら
れたものをグリセロール及び水で100倍に稀釈して溶
解したもの) (k)プロテアーゼ(ノボ・ノルディスク社,エスペラ
ーゼ8.0L) (l)プロテアーゼ(ノボ・ノルディスク社,サビナー
ゼ8.0L)
【0099】2)安定性試験 各組成の液体洗剤を配合後、40℃の条件下で10日間
及び20日間放置した後、以下の測定法により各酵素の
活性を測定し、次式により酵素活性残存率を算出した。
【0100】
【数1】
【0101】各組成の液体洗剤を1%の水道水溶液(硬
度2.5°DH)とし、自動分析機オートアナライザー
(登録商標、テクニコン社)を使用して、酵素活性を測
定した。測定の詳細は、下記文献に従った。 文献:Analyst,96〔2〕,p159〜163
(1971)
【0102】
【表19】
【0103】
【図面の簡単な説明】
【図1】アルカリプロテアーゼK−16の活性に及ぼす
pHの影響を示す図面である。
【図2】アルカリプロテアーゼK−16の安定性に及ぼ
すpHの影響を示す図面である。
【図3】アルカリプロテアーゼK−16の活性に及ぼす
温度の影響を示す図面である。
【図4】アルカリプロテアーゼK−16の安定性に及ぼ
す温度の影響を示す図面である。
【図5】アルカリプロテアーゼK−14の活性に及ぼす
pHの影響を示す図面である。
【図6】アルカリプロテアーゼK−14の安定性に及ぼ
すpHの影響を示す図面である。
【図7】アルカリプロテアーゼK−14の活性に及ぼす
温度の影響を示す図面である。
【図8】アルカリプロテアーゼK−14の安定性に及ぼ
す温度の影響を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 人見 潤 栃木県塩谷郡高根沢町宝積寺2321−61 ハイツ和光101号 (56)参考文献 特開 平4−349882(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C11D 3/386 C12N 9/54

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 40KFU/APU以上のヒト角質ケラ
    チン線維に対する分解活性を有するアルカリプロテアー
    ゼを含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
  2. 【請求項2】 アルカリプロテアーゼが、次の至適pH
    及び至適温度を有するものである請求項1記載の洗浄剤
    組成物。 (1)至適pH(カゼイン基質,40℃10分間反応) 10.0〜12.5 (2)至適温度(カゼイン基質,Ca2+イオン無添加
    pH10.0で反応) 50〜60℃
  3. 【請求項3】 アルカリプロテアーゼが、バチルス エ
    スピー(Bacillus sp.)KSM−K16
    (FERM BP−3376)の生産するアルカリプロ
    テアーゼK−16又はバチルス エスピー(Bacil
    lus sp.)KSM−K14(FERM BP−3
    670)の生産するアルカリプロテアーゼK−14であ
    る請求項1又は2記載の洗浄剤組成物。
  4. 【請求項4】 バチルス エスピー(Bacillus
    sp.)KSM−K16(FERM BP−337
    6)の生産するアルカリプロテアーゼK−16又はバチ
    ルス エスピー(Bacillus sp.)KSM−
    K14(FERM BP−3670)の生産するアルカ
    リプロテアーゼK−14を含有する洗浄剤組成物。
JP32598091A 1991-01-22 1991-12-10 洗浄剤組成物 Expired - Lifetime JP2750789B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
TW81100273A TW226030B (ja) 1991-01-22 1992-01-16
SG1996000437A SG44442A1 (en) 1991-01-22 1992-01-21 Detergent composition
US07/823,360 US5312561A (en) 1991-01-22 1992-01-21 Detergent composition
EP92100946A EP0496361B1 (en) 1991-01-22 1992-01-21 Detergent composition
ES92100946T ES2136604T3 (es) 1991-01-22 1992-01-21 Composicion detergente.
DE69229806T DE69229806T2 (de) 1991-01-22 1992-01-21 Detergenszusammensetzung
HK98111989A HK1011047A1 (en) 1991-01-22 1998-11-13 Detergent composition

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2156591 1991-01-22
JP3439691 1991-02-28
JP3-34396 1991-02-28
JP3-21565 1991-02-28

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0525492A JPH0525492A (ja) 1993-02-02
JP2750789B2 true JP2750789B2 (ja) 1998-05-13

Family

ID=26358655

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32598091A Expired - Lifetime JP2750789B2 (ja) 1991-01-22 1991-12-10 洗浄剤組成物

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2750789B2 (ja)
TW (1) TW226030B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004106479A1 (en) 2003-05-28 2004-12-09 Kao Corporation Process for releasing fragrance

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5961662A (en) 1994-09-13 1999-10-05 Kao Corporation Washing method and clothes detergent composition
TWI308731B (en) 2006-06-09 2009-04-11 Htc Corp Light driving device
JP5401034B2 (ja) 2007-12-19 2014-01-29 ライオン株式会社 漂白助剤、および該漂白助剤を含有する漂白助剤粒子
WO2011027892A1 (ja) 2009-09-07 2011-03-10 ライオン株式会社 除菌剤組成物および除菌方法
JP5613677B2 (ja) 2009-10-15 2014-10-29 ライオン株式会社 液体洗浄剤組成物
CN105283531B (zh) 2013-06-12 2018-11-02 狮王株式会社 洗涤剂组合物
WO2022250123A1 (ja) 2021-05-28 2022-12-01 花王株式会社 酵素反応促進方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004106479A1 (en) 2003-05-28 2004-12-09 Kao Corporation Process for releasing fragrance

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0525492A (ja) 1993-02-02
TW226030B (ja) 1994-07-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5312561A (en) Detergent composition
EP0290568B1 (en) Enzymatic detergent additive
EP0495401B1 (en) Novel alkaline proteinase and process for producing the same
EP0277216B1 (en) Alkaline protease derived from bacilles production and use thereof
JP4030603B2 (ja) アルカリプロテアーゼ、その製造方法、用途及びそのプロテアーゼを生産する微生物
EP0290569B1 (en) Low-temperature active akaline protease from paecilomyces marquandii and its preparation
JP2750789B2 (ja) 洗浄剤組成物
JP3664804B2 (ja) 低温アルカリプロテアーゼx、それを生産する微生物、その製造法、並びに当該酵素を含有する洗浄剤組成物及び食品加工用酵素製剤
JPH01101884A (ja) 新規アルカリプロテアーゼlおよびその製造法
JP3664802B2 (ja) 低温アルカリプロテアーゼ、それを生産する微生物、その製造法、並びに当該酵素を含有する洗浄剤組成物及び食品加工用酵素製剤
JP3664801B2 (ja) 低温アルカリプロテアーゼs、それを生産する微生物、その製造法、並びに当該酵素を含有する洗浄剤組成物及び食品加工用酵素製剤
JP3664803B2 (ja) 低温アルカリプロテアーゼt16、それを生産する微生物、その製造法、並びに当該酵素を含有する洗浄剤組成物及び食品加工用酵素製剤
JP2985018B2 (ja) 新規微生物
JP3664800B2 (ja) 低温アルカリプロテアーゼt15、それを生産する微生物、その製造法、並びに当該酵素を含有する洗浄剤組成物及び食品加工用酵素製剤
JP3026111B2 (ja) 新規アルカリプロテアーゼ及びその製造方法
JP2509539B2 (ja) 新規アルカリプロテア―ゼを産生する新規微生物
JPH0763366B2 (ja) 新規プロテアーゼ
JPH0763367B2 (ja) 新規アルカリプロテアーゼ
JPH0416186A (ja) 新規アルカリプロテアーゼm及びその製造方法
WO1997043406A1 (fr) Protease alcaline froide, micro-organisme qui la produit, methode de fabrication, compositions detergentes et preparations d'enzymes pour la transformation des aliments a base de cette protease
JPS63101494A (ja) 酵素含有洗浄剤組成物
JPS6052197B2 (ja) アルカリプロテア−ゼ含有洗剤組成物
JPH07163338A (ja) 新規プロテアーゼを産生する新規微生物
JPH0762152B2 (ja) アルカリプロテア−ゼ含有洗浄剤組成物
JPH04349882A (ja) 新規アルカリプロテアーゼ及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080227

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110227

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

Year of fee payment: 14

EXPY Cancellation because of completion of term