JP2750076B2 - ボルトポケット付き大型コンクリート二次製品の成形方法 - Google Patents

ボルトポケット付き大型コンクリート二次製品の成形方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、近年ますます大型化
されているコンクリートセグメント等のボルトポケット
付き大型コンクリート二次製品の成形方法に関するもの
で、脱型方法に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術およびこの発明が解決しようとする課題】
近年、コンクリートセグメント等のコンクリート二次製
品は、ますます大型化するとともに高精度化されてきて
いる。そのため、そのコンクリート二次製品を成形後、
二次製品をその形成用型枠から脱型する時には、大型化
で重量が大きいことや高精度化でボルトポケットの形成
部が多くなっていること等に伴って、従来の一般的な方
法での脱型作業が困難になってきている。
【0003】即ち、従来の一般的な脱型方法である、コ
ンクリート二次製品を吊り上げて支持し型枠台を下向き
に打撃する方法で脱型を行うと、コンクリート二次製品
の大型化につれて、作業の安全性が益々低くなる。ま
た、従来の一般的な脱型方法は、型枠の据え付けと脱型
角度の調整が困難であるので、ボルトポケット形成部が
多くなるにつれて作業性が悪いものとなる。さらに、従
来の一般的な成形方法では、大型化につれて、コンクリ
ート初期強度の発現性が遅い(スラグセメントの場合、
特に初期強度の発現が遅い)ものとなる。
【0004】この発明は前述した事情に鑑みて創案され
たもので、その目的は脱型作業の安全性を高めると共
に、作業性が良好であり、しかも、コンクリート初期強
度の発現性を速くすることのできる大型コンクリート二
次製品の成形方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の成形方法で
は、ボルトポケット形成部において、コンクリートと型
枠の鋼材との熱膨張率および熱伝達率の差を利用して、
無理なく脱型を行えるようにする。
【0006】詳述すると、コンクリートセグメント等の
大型コンクリート二次製品において、脱型時に無理がか
かって欠損したりクラックが入ったりするのは、図1の
(a)および(c) に示すような、ボルトポケット形成部が
殆どである。これは、この部分で、図3に示すように、
ボルトポケット形成型枠と吊り上げ角度(垂直)との間
の角度(脱型角度)が少ないためであり、コンクリート
二次製品を吊り上げて支持し、型枠台を下向きに打撃し
て型枠と二次製品とを分離する際に、ボルトポケット形
成部に無理な力が加わるからである。
【0007】そこで、この発明方法では、型枠台に打撃
を加えなくとも二次製品を吊り上げるだけで二次製品の
脱型を可能にする。そのため、型枠底板およびボルトポ
ケットを形成する型枠部分に予め熱を加えて、その型枠
の鋼材を膨張させておき、コンクリートを打設する。そ
して、打設コンクリートが硬化した後に、加熱した型枠
の鋼材を急速に冷やし収縮させてから脱型する。
【0008】このことにより、打設コンクリートと型枠
の鋼材との膨張係数および熱膨張伝導率の差を利用し
て、ボルトポケット形成部は無理なく脱型できる。ま
た、型枠に予め熱を加えることによって、打設コンクリ
ートにおける初期強度の発現も速めることができる。
【0009】
【実施例】以下、この発明の大型コンクリート二次製品
の脱型方法を、図示する実施例によって説明する。
【0010】大型のコンクリート二次製品は、通常、型
枠1を平面的に設置して、この型枠内へコンクリートを
打設すると共に、縦方向(上下方向)へ脱型している。
ところが、脱型角度(図3参照)を少しでも誤ると、コ
ンクリート二次製品におけるボルトポケット部にクラッ
クが入ったり、著しい場合には断面欠損となる場合さえ
ある。
【0011】そこで、コンクリートと型枠1の鋼材とを
比べた時の、熱膨張係数の僅かの差(コンクリートは7.
0 〜13.0×10-6/°Cで、鋼は11×10-6/°C)およ
び、比熱の差(コンクリートは鋼材の約1/2)を利用して
脱型を行う。
【0012】大型コンクリート二次製品としてコンクリ
ートセグメントの成形を例として説明する。
【0013】成形用の型枠1は通常のように、型枠台に
固定された型枠底板4、その両側の型枠側板、その両端
の型枠端板から構成され、型枠底板4は上を凸にして水
平に設置され、その上面にボルトポケット形成型枠2が
起立した形で取付けられている。(図1(a),(b))。そし
て、ボルトポケット形成型枠2の下側にはヒーター3が
取付けられ加熱されている。(図1(c))。
【0014】このように構成された型枠1にコンクリー
トを打設し、ボルトポケット付きコンクリートセグメン
トを成形する。
【0015】コンクリートの硬化後、型枠側板及び型枠
端板を開く。(図1(b))、図2)加熱されていたボルト
ポケット形成型枠2及びその周辺を急速に冷やして収縮
させてから、ボルトポケット付きコンクリートセグメン
トをボルトポケット形成型枠2及び型枠底板4から脱型
する。前述したコンクリートと型枠1の鋼材との熱膨張
係数の僅かの差および比熱の差により生じたコンクリー
トと型枠1との僅かな間隙により脱型を容易に行うこと
ができる。なお、脱型後のコンクリートセグメントは、
次の工程に移行される。
【0016】図4は、ヒーター3の配設例の別態様であ
り、ここでは、ボルトポケット形成型枠2周辺の型枠底
板4にもヒーター3を配設したものである。このように
すると、より一層脱型作業が容易になる。
【0017】
【発明の効果】この発明の成形方法によれば、脱型時に
破損し易いボルトポケット形成部をボルトポケット形成
型枠及び型枠底板から型枠に打撃ショックを加える必要
が無く、安全に脱型させることができる。脱型が容易に
なることにより、型枠の据え付けと脱型角度の許容範囲
が広がり調製が容易となる。さらに、型枠の加熱により
コンクリート初期強度の発現を速くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) はこの発明の成形方法を実施する型枠を示
す概略図で、(b) は(a) のA−A線矢視図で、(c) は
(a) のB部拡大概略図である。
【図2】この発明方法を実施する型枠における脱型作業
を示す概略平面図である。
【図3】ボルトポケット形成部での脱型状態を示す概略
図である。
【図4】この発明の成形方法を実施する型枠におけるボ
ルトポケット形成型枠の別態様を示す拡大概略図であ
る。
【符号の説明】
1…型枠、2…ボルトポケット形成型枠(ボルトポケッ
ト形成部)、3…ヒーター、4…型枠底板。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 型枠底板を水平に設置し、型枠底板上に
    ボルトポケット形成型枠を起立させて組立てた鋼材型枠
    内にコンクリートを打設してコンクリートを成形し、硬
    化後のコンクリート成形体を直上に吊り上げて、型枠底
    板及びボルトポケット形成型枠より脱型する、ボルトポ
    ケット付き大型コンクリート二次製品の成形方法おい
    て、ボルトポケット形成型枠を加熱し膨張させた状態で
    型枠内にコンクリートを打設して成形し、コンクリート
    の硬化後、ボルトポケット形成型枠を急冷して収縮させ
    た状態でコンクリート成形体を直上に吊り上げて脱型す
    ることを特徴とするボルトポケット付き大型コンクリー
    ト二次製品の成形方法。
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