JP2747173B2 - 酸化物高温超伝導体単結晶薄膜形成方法 - Google Patents

酸化物高温超伝導体単結晶薄膜形成方法

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JP2747173B2 JP4211169A JP21116992A JP2747173B2 JP 2747173 B2 JP2747173 B2 JP 2747173B2 JP 4211169 A JP4211169 A JP 4211169A JP 21116992 A JP21116992 A JP 21116992A JP 2747173 B2 JP2747173 B2 JP 2747173B2
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  • Containers, Films, And Cooling For Superconductive Devices (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物単結晶基板上
へ、高品質の酸化物超伝導体単結晶薄膜を得るために、
酸化物超伝導体との格子整合性に優れ、結晶構造の類似
したバッファー層を導入し高品質の基板とする酸化物高
温超伝導体単結晶薄膜形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子デバイスの高性能化を目的として、
異種材料の複合化に関する研究が近年盛んになってい
る。特に、超伝導転移温度が液体窒素の沸点を越えたL
nBa2Cu37-y系(Ln:Yあるいはランタノイド
系元素)、BiSrCaCuO系、TlBaCaCuO
系酸化物超伝導体が発見されてからは、この新材料の電
子デバイス応用を目指し薄膜化の研究が様々な研究機関
で進められている。
【0003】この場合、最も重要となることは、内部の
みならず基板と薄膜との界面付近においても高臨界温
度、高臨界電流密度である薄膜を実現することである。
そのためにはへテロエピタキシャル成長した高品質の酸
化物超伝導体単結晶薄膜を形成する事が必須となる。
【0004】特に、斜方晶構造を有する酸化物超伝導体
において良好なへテロエピタキシャル成長を実現するた
めのには、堆積させる基板と薄膜との間での薄膜形成温
度における格子定数の整合性を良好としただけでは不十
分であり、整合性のみならず、基板の結晶性(クラッ
ク、ツイン、サブグレイン、表面の劣化層の存在)、基
板表面の平坦性を良好にすることが非常に重要であるこ
とを知見した。
【0005】かかる観点から従来の基板を検討した。
【0006】現在、酸化物超伝導体薄膜の形成用基板と
して最も良く用いられているものはSrTiO3であ
る。しかし、この材料は、高融点材料であるため単結晶
の育成方法はべルヌイ法に限られ、ベルヌイ法で育成し
た単結晶中にはサブグレインが形成され結晶性は著しく
悪い。これらの理由から、この基板上ヘ形成した酸化物
超伝導体薄膜の界面付近での結晶性は悪い。
【0007】最近、ヘテロエピタキシャル成長の観点か
ら、新基板材料として酸化物超伝導体との格子整合性に
優れたPrGaO3、NdGaO3が注目され始め、引き
上げ法によるバルク単結晶成長の研究が行われている。
【0008】しかしながら、PrGaO3においては、
その単結晶育成時にツイン、サブグレイン、クラックが
形成され、結晶性の良い単結晶が得られない。
【0009】また、NdGaO3においては、ツインフ
リーの単結晶が得られるが、その基板表面の平滑化は機
械研磨により行われる。そのため、NdGaO3単結晶
基板の表面には、機械研磨時に受けた応力により生じた
転位あるいは表面反応物を含む劣化層が存在し、これ
が、界面付近の酸化物超伝導体薄膜の結晶性を劣化させ
る。このように、PrGaO3、NdGaO3のような、
形成しようとする酸化物超伝導体との間における、格子
整合性に優れた酸化物超伝導体形成用の基板材料は存在
するが、直接基板として利用できる材料は存在しないの
が現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基板の結晶
性、表面平坦性に起因して、酸化物超伝導体薄膜(特に
界面付近)の結晶性、超伝導特性が劣化するという問題
を解決し、高品質であり、従来よりも高い臨界温度、臨
界電流密度を有する酸化物超伝導体薄膜を形成すること
が可能な酸化物高温超伝導体単結晶薄膜形成方法並びに
酸化物超伝導体単結晶薄膜形成用基板及びその形成方法
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の酸化物高温超伝
導体単結晶薄膜形成方法は、所定の温度に加熱された酸
化物単結晶基板上へ、バッファー層を介して酸化物超伝
導体薄膜を形成する方法において、前記酸化物単結晶基
板がSrTiO 3 ,PrGaO 3 ,もしくはNdGaO 3
のいずれかであり、前記バッファー層が前記酸化物単結
晶基板よりも結晶性、表面平坦性に優れたPrGa
3 ,もしくはNdGaO 3 であり、前記酸化物超伝導体
前記加熱温度において前記バッファー層に対する格子
不整合率が1%以下の材料であることを特徴とする。
【0013】上記酸化物高温超伝導体単結晶薄膜は、R
Fマグネトロンスパッタ法において、アルゴンと酸素
を、それぞれ、0.1mTorrから1Torr、0T
orrから1Torrの範囲で混合したガスをスパッタ
リングガスとし、RFパワーが50〜200W(パワー
密度1.9〜7.6W/cm2)、基板温度が550℃
から950℃の範囲である薄膜形成条件で上記バッファ
ー層を形成することが好ましい。
【0014】ここで、アルゴンの圧力を0.1mTor
r未満にするとターゲットをスパッタするために十分な
プラズマが発生しない。一方、1Torrを越えると、
プラズマが不安定となり、薄膜が不均一となってしま
う。酸素は、0Torr(すなわち酸素を含有しない)
でもよい。これは、ターゲットが酸素供給源となるから
である。しかし、酸素を1Torr以下で混合せしめる
ことが好ましい。酸素を混合せしめた場合、薄膜の結晶
性が良好となる(特に平坦性が良好になる。)。
【0015】RFパワーが50W未満あるいは200W
を越えるとプラズマの発生が十分ではなくなる。
【0016】基板温度が550℃未満では超伝導体薄膜
がアモルファス化してしまう。一方、950℃を越える
と組成が不均一な超伝導体薄膜が形成されてしまう。こ
れは一旦堆積した原子(特に低融点のもの)が再蒸発し
てしまうためと考えられる。
【0017】なお、バッファー層の層厚は100Å〜2
00Åとすることが好ましく、その平坦性は表面粗度を
max数Å〜数十Åとすることが、高臨界温度、高臨界
電流密度を有する超伝導薄膜を基板板上に形成する上か
ら好ましい。
【0018】また、酸化物単結晶薄膜が酸化物単結晶基
板よりも結晶性に優れるとは、酸化物単結晶薄膜が酸化
物単結晶基板よりもクラック、ツイン、サブグレイン、
表面の劣化層が少ないことを意味し、酸化物単結晶薄膜
が酸化物単結晶基板よりも表面平坦性に優れるとは、酸
化物単結晶薄膜の表面粗度が酸化物単結晶基板の表面粗
度よりも細かいことを意味する。
【0019】格子不整合率は、次の式により算出され
る。
【0020】 100(d1−d2)/{(d1+d2)÷2} d1は酸化物単結晶基板のa軸あるいはb軸の格子定
数、d2は酸化物単結晶薄膜のa軸あるいはb軸の格子
定数である。
【0021】
【作用】従来、酸化物超伝導体薄膜形成用の基板として
は、バルクの単結晶が用いられてきた。しかし、単結晶
基板の結晶性、表面平坦性が、その基板上に形成された
酸化物超伝導体薄膜の結晶性を劣化させる(特に界面付
近での結晶性を劣化させる)ため本来の超伝導特性は得
られていない。
【0022】本発明では、酸化物単結晶基板上に酸化物
超伝導体との薄膜形成温度における格子不整合率が1%
以下であり、結晶性、表面平坦性に優れた酸化物からな
るバッファー層薄膜が形成されているため、単結晶基板
の結晶性、表面平坦性に起因する、界面付近での酸化物
超伝導体薄膜の結晶性、超伝導特性の劣化を防ぐことが
でき、従来よりも高い臨界温度、臨界電流密度を有する
酸化物超伝導体薄膜を形成することができる。
【0023】
【実施態様例】以下図面を参照し、参考例を示して本発
明の実施態様例を詳細に説明する。
【0024】(第1参考例) 図1は本発明によって形成された酸化物薄膜形成用基板
の基本構成を示す概念図である。1は酸化物単結晶基
板、2はバッファー層である。
【0025】酸化物単結晶基板1は結晶性、表面平坦性
に劣っているため、直接この基板上に酸化物超伝導体薄
膜を形成した場合、界面付近での結晶性、超伝導特性を
劣化させる。この問題を解決するために、この酸化物単
結晶基板1上ヘ薄膜結晶成長によりバッファー層2を形
成する。バッファー層2は結晶性、表面平坦性に優れた
高品質の酸化物単結晶薄膜である。これら酸化物単結晶
基板1、バッファー層2とにより、結晶性、表面平坦性
が優れている酸化物超伝導体単結晶薄膜形成用基板3が
構成されている。従って、酸化物超伝導体単結晶薄膜形
成用基板3上には界面付近においても結晶性、超伝導特
性の優れた酸化物超伝導体単結晶薄膜4が形成されてい
る。
【0026】バッファー層2の材料系をへテロエピタキ
シャル成長の観点から明確にする。ヘテロエピタキシャ
ル成長を考える場合、基本条件の一つに薄膜形成温度に
おける格子定数の整合性がある。特に界面付近での薄膜
の結晶性を優れたものにするためには、これが重要とな
る。酸化物超伝導体との薄膜形成温度における格子不整
合率が〜1.0%であるSrTiO3をバッファー層2
としたときに表面平坦性、結晶性に優れた酸化物超伝導
体単結晶薄膜4が得られている事から、本発明において
許容されうるバッファー層2と酸化物超伝導体との格子
不整合率は1%以下とする。
【0027】従って、酸化物単結晶基板1と、酸化物超
伝導体単結晶薄膜4との格子不整合率が薄膜形成温度に
おいて1%以下であるバッファー層2とによって、結晶
性、表面平坦性に優れた酸化物超伝導体単結晶薄膜形成
用基板3が構成される。酸化物超伝導体単結晶薄膜形成
用基板3と酸化物超伝導体単結晶薄膜4との格子整合性
は極めて優れているため、この酸化物超伝導体単結晶薄
膜形成用基板3上にエピタキシャル成長した高品質の酸
化物超伝導体単結晶薄膜4が形成される。
【0028】(第2参考例) 第1の参考例で示したように、酸化物単結晶基板1上に
形成されるバッファー層2は基本的には酸化物超伝導体
単結晶薄膜4との格子定数の不整合が薄膜形成温度にお
いて1%以下の酸化物であれば良い。しかしながら、酸
化物超伝導体単結晶薄膜形成用基板3上に形成した酸化
物超伝導体単結晶薄膜4を実際の電子デバイスに用いる
場合には、界面にトラップ準位の無い、急峻な界面を持
った薄膜である必要がある。そのためにはバッファー層
2は酸化物超伝導体薄膜4の結晶構造と類似した材料で
有ることが好ましい。
【0029】第2の参考例ではバッファー層2を酸化物
超伝導体単結晶薄膜4の結晶構造であるぺロウスカイト
構造、あるいはこれに類似したGdFeO3構造を持つ
複酸化物とする。複酸化物は、熱的、化学的に安定であ
るため、酸化物超伝導体との界面反応を防ぐ効果もあ
る。したがって、バッファー層2は酸化物超伝導体単結
晶薄膜4との格子定数の不整合率が薄膜形成温度におい
て1%以下であり、ペロウスカイト構造、あるいはGd
FeO3構造を持つ複酸化物となる。このバッファー層
2と酸化物単結晶基板1とによって、結晶性、表面平坦
性に優れた酸化物超伝導体単結晶薄膜形成用基板3が構
成される。この酸化物超伝導体単結晶薄膜形成用基板3
と酸化物超伝導体単結晶薄膜4は、格子整合性に優れ結
晶構造も類似しているため、理想的なエピタキシャル成
長の関係となり酸化物超伝導体単結晶薄膜形成用基板3
上に高品質の酸化物超伝導体単結晶薄膜4を形成するこ
とが出来る。
【0030】(第3参考例) 第2の参考例で示したように、酸化物単結晶基板1上に
形成されるバッファー層2は酸化物超伝導体単結晶薄膜
4との格子定数の不整合が1%以下であり、ペロウスカ
イト構造、あるいは、GdFeO3構造を持つ複酸化物
である。この材料系を用いて、結晶性、表面平坦性の優
れたバッファー層2を形成するためには、酸化物単結晶
基板1はバッファー層2と格子整合性に優れた材料で有
ることが必要となる。第1の実施態様例で示したよう
に、薄膜と基板の薄膜形成温度における絡子不整合率が
1%以下のとき、表面の平坦性、結晶性に優れた酸化物
超伝導体が形成されていることから、第3の参考例で
は、許容される酸化物単結晶基板1とバッファー層2と
の格子定数の不整合率は、薄膜形成温度において1%以
下とする。
【0031】(第4参考例) 第3の参考例で示したように、基本的には酸化物単結晶
基板1はバッファー層2との格子定数の不整合が薄膜形
成温度において1%以下の酸化物であれば良い。しかし
ながら、エピタキシャル成長の観点から考えると、優れ
た結晶性、表面平坦性をもつバッファー層2を形成する
ためには、結晶構造が類似した酸化物単結晶基板1を用
いる方が好ましい。そこで、第4の実施態様例では、酸
化物単結晶基板1は薄膜形成温度におけるバッファー層
2との格子不整合率が1%以下であり、ペロウスカイト
構造、あるいはGdFeO3構造を持つ複酸化物とす
る。
【0032】(第実施態様例) 第の実施態様例ではバッファー層2の材料系を限定す
る。高品質の酸化物超伝導体単結晶薄膜4を実現するた
めには、バッファー層2と、酸化物超伝導体の構成元素
の相互拡散を考慮する必要がある。この観点から考える
と、ペロウスカイト構造、あるいはGdFeO3構造を
持ち、酸化物超伝導体薄膜形成温度における格子整合率
が1%以下である複酸化物の中で、酸化物超伝導体の構
成元素である希土類元素を含む材料の方がバッファー層
2として好ましい事になる。
【0033】このことから、第4の参考例ではバッファ
ー層2を、薄膜形成温度において、酸化物超伝導体との
格子不整合率が0.02%であるPrGaO3、0.2
7%であるNdGaO3にする。この様に、酸化物単結
晶基板1上へ、バッファー層2としてPrGaO3、あ
るいは、NdGaO3が形成されている酸化物超伝導体
単結晶薄膜形成用基板3が構成される。この酸化物超伝
導体単結晶薄膜形成用基板3によって、この上にエピタ
キシャル成長した高品質の酸化物超伝導体単結晶薄膜4
を得ることができる。
【0034】(第実施態様例) 第の実施態様例では酸化物単結晶基板1の材料系を限
定する。第4の参考例で示したように、酸化物単結晶基
板1はバッファー層2との格子定数の不整合率が1%以
下であり、ペロウスカイト構造、あるいは、GdFeO
3構造を持つ複酸化物である。また、第の実施態様例
ではバッファー層2をPrGaO3、NdGaO3とし
た。
【0035】これらのことから、第の実施態様例では
酸化物単結晶基板1を、薄膜形成温度におけるPrGa
3、NdGaO3との格子不整合率が、1%以下の、ペ
ロウスカイト構造、あるいは、GdFeO3構造を持つ
複酸化物であり、かつ、その単結晶基板が存在する材料
とする。すなわち、SrTiO3、PrGaO3、NdG
aO3単結晶基板が適当となる。この様に、SrTi
3、PrGaO3、NdGaO3からなる酸化物単結晶
基板1上ヘ、バッファー層2としてPrGaO3、ある
いは、NdGaO3が形成されている酸化物超伝導体単
結晶薄膜形成用基板3が構成される。この酸化物超伝導
体単結晶薄膜形成用基板3によって、この上にエピタキ
シャル成長した高品質の酸化物超伝導体単結晶薄膜4を
得ることができる。
【0036】
【実施例】本実施例では、第の実施態様例で限定した
NdGaO3、PrGaO3薄膜のSrTiO3、PrG
aO3、NdGaO3単結晶基板上への形成方法を具体的
に説明する。
【0037】YBa2Cu37-y酸化物超伝導体の単結
晶薄膜形成を目的として、図1に示した酸化物単結晶基
板1上に、RFマグネトロンスパッタ法を用いてバッフ
ァー層2を形成した。薄膜形成の方法は以下の通りであ
る。ここで酸化物単結晶基板1はNdGaO3、バッフ
ァー層2は薄膜形成温度においてYBa2Cu37-y
化物超伝導体との格子不整合率が0.02%であるPr
GaO3とした。ターゲットは厚み5mm、直径4イン
チである化学量論組成のPrGaO3焼結体とし、チャ
ンバー内の銅製パッキングプレートにメタルボンディン
グによって装着した。
【0038】基板はNdGaO3(110)基板を用い
ターゲットから5cmの位置に、シャッタを介してター
ゲットと平行に設置した。
【0039】チャンバー内をロータリーポンプとクライ
オポンプによって真空引きし、10-5Torr以下の真
空度が達成された後、スパッタリングガスを導入した。
スパッタリングガスは、アルゴン、あるいは、アルゴン
と酸素の混合ガスとし、マスフローコントローラで流量
を制御してチャンバー内に導入した。
【0040】アルゴンガスの流量は40SCCM程度と
し、バルブの調整により圧力を0.1mTorrから1
Torrの間に設定した。また、酸素ガスの流量は0S
CCMから40SCCMの範囲とした。この時、酸素の
圧力は、0Torrから1Torrの間に設定した。こ
れらのスパッタリングガスに50Wから200Wの間の
RFパワーを印加し放電を開始した。この時のRFパワ
ー密度は、入力パワーとスパッタリングガスによってス
パッタされるターゲットの面積から算出すると1.9W
/cm2から7.6W/cm2となった。
【0041】基板加熱は直接通電加熱方式によって加熱
されたSi上へNdGaO3基板をはりつけることによ
って行った。基板温度は550℃から900℃の間とし
た。ターゲット表面の汚れ(空気中の水分とターゲット
が反応して生成した水酸化物など)を除去する目的で、
プレスパッタを10分間行い、その後、シャッターを開
けNdGaO3基板上へPrGaO3薄膜形成を開始し
た。
【0042】蒸着終了後、基板温度を室温まで降ろし薄
膜をチャンバーから取り出した。
【0043】この方法で形成したPrGaO3薄膜の結
晶性は、酸素分圧、及び基板温度の上昇と共に良好にな
る傾向を示した。前述した薄膜形成条件のなかで、基板
温度が650℃以上、酸素分圧が1×10-3Torr以
上で形成されたPrGaO3薄膜は、Ruthefor
d−Back Scattering(RBS法により
得られるχminの値が4%以下と、非常に優れた結晶
性を示した。
【0044】この薄膜のX−Ray Diffract
ometry(XRD)、Transmission
Electron Microscopy(TEM)、
Atomic Force Microscopy(A
FM)の結果について以下に述ベる。
【0045】図2に、2θ/θ法により得られたXRD
パターンを示す。このパターンには、PrGaO3
(110)面に相当する回折ピークのみが観測されてお
り、<110>の結晶軸が基板と垂直方向に配向した薄
膜である事がわかる。この回折ピークの半値幅は0.0
7゜と狭い。これは結晶性が優れていることを示してい
る。また、TEM観察により得られた制限視野回折像は
PrGaO3の(110)逆格子面に相当しており、N
dGaO3基板表面と平行な面内においても結晶軸が配
向していることを示している。したがって、このPrG
aO3薄膜は、結晶軸が一定方向に規則的に配向したエ
ピタキシャル成長膜であるといえる。
【0046】また、AFMの結果から、この薄膜は表面
の凹凸が10Å程度である非常に平坦な薄膜であること
が認められた。
【0047】これらの結果から、(110)面NdGa
3基板上に、表面平坦性に優れた(110)面配向の
エピタキシャル成長したPrGaO3薄膜が形成されて
いると結論できる。したがって、酸化物単結晶基板1上
に結晶性、表面平坦性に優れたバッファー層2がエピタ
キシャル成長した酸化物薄膜形成用基板3が形成され
る。
【0048】この酸化物薄膜形成用基板3上に、酸化物
超伝導体単結晶薄膜4を形成した。
【0049】薄膜形成温度におけるYBa2Cu37-y
酸化物超伝導体とPrGaO3との格子不整合度は0.
02%と極めて小さく、結晶構造がともにぺロウスカイ
ト構造であるため理想的なエピタキシャル成長の関係に
なり、さらに、基板表面の結晶性、表面平坦性も極めて
優れているため、急峻な界面を持った高品質の酸化物超
伝導体単結晶薄膜4が形成された。
【0050】
【発明の効果】このように本発明によって、基板と薄膜
との格子不整合率、また、単結晶基板の結晶性、表面平
坦性に起因する酸化物超伝導体薄膜の結晶性、超伝導特
性の劣化を防ぐことが可能となり、高品質の酸化物超伝
導体単結晶薄膜を形成することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によって形成された酸化物薄膜形成用基
板の基本構成を示す概念図である。
【図2】2θ/θ法により得られたXRDパターンであ
る。
【符号の説明】
1 酸化物単結晶基板、2 バッファー層、3 酸化物
高温超伝導体単結晶薄膜形成用基板、4 酸化物高温超
伝導体単結晶薄膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−17000(JP,A) 特開 平4−67692(JP,A) 特開 平4−263480(JP,A) 特開 平2−6394(JP,A) 特開 昭64−50313(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C30B 28/00 - 35/00 C23C 14/35 H01L 39/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の温度に加熱された酸化物単結晶基
    板上へ、バッファー層を介して酸化物超伝導体薄膜を形
    成する方法において、前記酸化物単結晶基板がSrTiO 3 ,PrGaO 3 ,も
    しくはNdGaO 3 のいずれかであり、 前記バッファー層が前記酸化物単結晶基板よりも結晶
    性、表面平坦性に優れたPrGaO 3 ,もしくはNdG
    aO 3 であり、前記酸化物超伝導体が 前記加熱温度にお
    いて前記バッファー層に対する格子不整合率が1%以下
    の材料であることを特徴とする酸化物高温超伝導体単結
    晶薄膜形成方法。
JP4211169A 1992-08-07 1992-08-07 酸化物高温超伝導体単結晶薄膜形成方法 Expired - Fee Related JP2747173B2 (ja)

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