JP2746347B2 - 物理的安定性の改良されたチューインガム組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は改良されたチユーインガム組成物、特に表面
湿度および脆化により劣化するシユガーレス組成物に関
する。本発明の組成物は過剰の水分を取り込まず同時に
柔らかな咀嚼特性を保持するシユガーレスチユーインガ
ム製品を提供する。

一般にチユーインガム組成物は水不溶性のまたはベー
スの部分と、種々として甘味料およびフレーバー成分を
含有する水溶性チユーインガム部分とから構成されてい
る。許容される程度に甘味のあるガム製品を得るために
ガム全体の組成物の両主成分とも考慮することが重要で
ある。従って良好な棚持ち寿命を保ちながら許容可能な
甘味、フレーバー、およびテクスチヤーを維持するには
異なるガム成分がその品質を維持し、水分や他のガム成
分によって劣化することのない環境を与えることが重要
である。水分の減損および増加は、共に、ガム製品の耐
久性に特に有害な影響を与えることが知られている。

シユガーレスチユーインガムの場合、とりわけアスパ
ルテーム等のような高強度の甘味料に対する水の有害な
影響を避けるためには、含水量の低いガム組成物を与え
ることが有利であるとされている。

従来のチユーインガム組成物は、一般に、チユーイン
ガムの処方がなされた後一度水を除去することにより水
分の含有率の低い最終製品が得られていた。従って、例
えば従来技術の組成物は通常、水および／または水分を
含有した成分即ちソルビトール溶液、コーンシロツプ溶
液等を含有し、そのため水を除去することにより特定の
水分含有量とするために組成物の加熱または精製を必要
とする。例えば、米国特許第4,035,572号は水分が0.5％
より少ないガムベース処方物を開示している。水分の含
有率がこの程度であるのはガムベースから水およびサリ
バント（salivant）を取り除く精製工程によるものであ
る。

米国特許第4,382,963号は、単独の可溶性増量剤とし
てポリデキストロースを用いる低カロリーチユーインガ
ムを開示している。最終製品における水分含有量は約１
〜５％であり、そしてこれはチユーインガム製品におい
て通常用いられる水性成分、例えばソルビトールシロツ
プまたはコーンシロツプを除外することにより達成され
る。

米国特許第3,262,784号は、約170°〜250゜Fの範囲の
温度で加熱して水を取り除くことにより、最終製品にお
ける水分が１％より少ないチユーインガム組成物を開示
している。

米国特許第4,150,161号は、ソーダ菓子（carbonated
candy）成分および柔らかい風船ガム成分の二成分から
なる菓子に関するものであり、ここで各成分は0.1〜0.3
に制御された水分活性を有し、そして該菓子は耐湿性材
料中に包装した場合、長期間の貯蔵に耐え得る。

該特許はまた、水分含有量の低い、および／または貯
蔵中における水分の取り込み（moisture pickup）の低
いチユーインガム組成物を提供するものとして知られて
いる。例えばGlass等の米国特許第4,683,138号は、低水
分でシユガーレスのセンター充填されたチユーインガム
を開示しており、ここで低水分で液体のセンター充填物
が実質的に無水のチユーインガム殻中の空洞内に組み込
まれる。Glass等の米国特許第4,683,138号の開示は、そ
の中に記載されているすべての参考文献（そのおのおの
は参考文献として本明細書に引用されている）ととも
に、砂糖入りのまたはシユガーレスのガムにかかわらず
チユーインガム組成物中の水分の量を減少させようとす
る意図にある。

しかしながら、無水ガム組成物の場合、シユガーレス
組成物に低い吸湿性を付与すると同時に、一定の期間、
柔らかいテクスチヤー（これは消費者に許容可能な咀嚼
特性を有する製品を提供する）をも維持するのに問題が
まだ残っている。

しかしながら、本発明は水分含有量が低くかつ水分の
取り込みを低くすることによりこれらの問題を克服し同
時に、一定の期間、柔らかい咀嚼特性を維持するシユガ
ーレスチユーインガム組成物を提供するものである。

本発明は、一定の期間その一体性を維持すると同時
に、柔らかい咀嚼特性を与える安定な構造を提供するこ
とを特徴とするシユガーレスの実質的に無水のチユーイ
ンガム組成物である。さらに本発明のチユーインガム組
成物は、また低い水分含有量とそして貯蔵の間の水分の
低い取り込みを付与し、その結果最終製品が良好な棚持
ち寿命を有する。

該組成物は組成物の重量に対して約10〜約75％の量で
存在することができるガムベース成分からなり、全体と
して約3.5重量％より少ない水分を含有する。本発明に
おいてはまた、テクスチヤーの一体性、一定の期間にわ
たる柔らかな咀嚼特性と吸湿性を低下させるのに十分な
量の低水分のテクスチヤー付与甘味化／増量剤（textur
izing sweetening/bulking agent）が含有される。

甘味およびかさ高さの両方を同時に付与する増量剤
は、好ましくはマルチトール、還元マルトースであり、
これは組成物全体の重量に対して約28〜約58％の量で含
有される。好ましくは甘味化／増量剤は約45〜約55重量
％の量で含有される。

甘味化／増量剤を補うために他の成分、例えば高強度
の甘味料を含有することができる。増量剤としてのマル
チトールが高度の甘味を有するため高強度の甘味料は0.
01重量％程度の少量で含有することができ、その量は約
３重量％まで増加することができる。好ましくは高強度
の甘味料は約0.025〜約1.5重量％の量で含有することが
できる。フレーバー成分のような他の成分もまた、約0.
05〜3.0重量％の量で含有することができる。

含有され得る他の成分としてはグリセリンが挙げら
れ、特にそれが甘味およびフレーバー成分の効力を保持
する組成物の能力を高めるため18重量％までの量で含有
される。グリセリンは吸湿性であるため水分を保持し取
り込む傾向があるため約２％〜約14％の範囲の非常に低
い量で有効に用いることができることが見い出された。

本発明のチユーインガム組成物は、柔らかな咀嚼特性
と同時に秀れた安定ガム構造を与えるため、糖アルコー
ル含有シユガーレスガム、特に甘味化／増量剤としてソ
ルビトールを用いて製造したものの代替品として秀れて
いることが見い出された。さらに本発明の組成物はまた
非常に低い吸湿性を示し、このことは水の存在下で劣化
または低下する傾向のある他の成分との使用を高める。
従ってアスパルテームのようなジベプチド甘味料は、よ
り大きな信頼をもって用いることができる。さらにマル
チトール成分は高度の甘味を有するため、高強度の甘味
料の必要性もまた著しく減少してきた。従って本発明の
組成物の改良の結果として、吸湿性および脆化が減少さ
れたチユーインガム製品が製造されるので、より良い棚
持ち寿命を保持し続ける。

本発明の低水分のシユガーレスチユーインガム組成物
は、所望のガム製品、所望のコンシステンシー並びにエ
ラストマー特性に依存して変化する量のガムベースを含
有する。一般に、ベースは最終チユーインガム組成物製
品中に約10〜約75重量％、好ましくは約15〜約４重量
％、最も好ましくは約23〜約35重量％の量で含有するこ
とができる。

特に、本発明のガムベースのエラストマー成分は、合
成エラストマースチレン−ブタジエンコポリマー、ポリ
イソブチレン、イソブチレン−イソプレンコポリマー
（ブチルゴム）、天然ゴム（ポリイソプレン）、並びに
天然由来の咀嚼物質、例えばゴムラテツクス固体、チク
ル、クラウンガム、ニスパロ（nisparo）、ロシジンハ
（rosidinha）、ジエルトン、ペンダール（pendare）、
ペリロ（perillo）、ニガーグツタ（niger−gutta）、
ツヌ（tunu）等から選択され得る。これらの物質の混合
物もまた有用である。

一方、樹脂成分は、ポリビニルブチルエステル、ビニ
ルエステルとビニルエーテルのコポリマー、ポリエチレ
ン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、ビニルア
セテート−ビニルアルコールコポリマー、ビニルアセテ
ートビニルラウレートコポリマーそして特に少なくと
も、約20,000MWUの高分子量のポリビニルアセテートか
ら選択され得る。

ベースガムは通常エラストマー溶媒を含有し、該溶媒
はテルペン樹脂、例えばα−ピネンまたはβ−ピネンの
ポリマー；水素化したまたは部分水素化したロジン誘導
体、例えば重合ロジンのグリセロールエステル、ロジン
のアルコールエステル、例えば水素化したロジンのグリ
セロールエステル、水素化したロジンのペンタエリスリ
ロールエステル、ロジンのグリセリルエストルおよびこ
れらの混合物を包含するロジン誘導体から選択される。

ベースは油性可塑剤、例えば水素化した植物油、ココ
アバター、天然ワツクス、ポリエチレンワツクスのよう
な石油ワツクス、パラフインワツクスおよび80℃より高
い融点を有する微結晶性ワツクスまたはこれらの混合物
を含有してもよい。これらの物質は一般に柔軟剤として
利用されうる。

ガムベースは無機補助剤、例えば炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ
酸アルミニウム、タルク、リン酸三カルシウム（trical
cium phosphate）等、並びにこれらの混合物を含有して
もよい。これらの無機補助剤は充填剤およびテクスチヤ
ー化剤として役に立つ。

脂肪酸もまた柔軟剤として作用するために含有され、
そして適当な脂肪酸としてはステアリン酸、パルミチン
酸、オレイン酸およびこれらの混合物が包含される。ガ
ムベースはまたしばしば乳化剤、特にベース中に含まれ
た場合、ビニルポリマーと相溶可能であるものを含有す
る。特にレシチン、モノステアリン酸グリセリル、脂肪
酸モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリ
ド、トリ酢酸グリセロール、モノステアリン酸プロピレ
ングリコールおよびこれらの混合物が用いられる。

ガムベース組成物はまた慣用の添加物、例えば酸化防
止剤、保存剤、着色剤等が含有されてもよい。例えば二
酸化チタンが着色剤として利用され、そして例えばブチ
ル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソー
ル、没食子酸プロピルおよびこれらの混合物のような酸
化防止剤もまた含有される。

勿論ガムベースは、慣用のガムおよび風船ガムを含め
て種々の製品のために製造され、そして本発明は特定の
ガムベース処方に限定されるものではない。

これまでに糖アルコール、例えばソルビトール、マン
ニトール、キシリトールおよびこれらの混合物から成る
群より選択されたものを使用することが、有用であるこ
とは見い出されている。糖アルコールは実質的に無水の
混合物または成分としてガム組成物に大量に加えられた
ので短長期間共に、望ましくない程度の水分の取り込み
を該組成物に与えていた。本発明によれば糖アルコール
を含有することは常に可能であるが、殆どすべての糖ア
ルコールを甘味化／増量剤であるマルチトールと代替す
ることが好ましい。従って含有される糖アルコールは約
10％までの量で、好ましくは約８％より少ない量とする
ことができる。

前述したように、高強度の甘味料もまた本発明のチユ
ーインガム組成物に混合することができる。しかしなが
ら、多くのシユガーレス組成物と違って高強度の甘味料
を主な甘味料としてあてにする必要はない。勿論それと
して用いてもよい。使用される高強度の甘味料としては
サツカリンおよびその種々の塩、例えばナトリウムまた
はカルシウム塩；シクラミン酸およびその種々の塩、例
えばナトリウム塩；ジペプチド系甘味料、例えばアスパ
ルテーム；アミノ酸系甘味料；ジヒドロカルコン；グリ
チルリチン；ステビオサイド（stevia rebau−dian
a）；塩素化スクロース誘導体例えばスクロロース（suc
rolose）；リカシン（lycasin）；そして他の高強度の
甘味料が挙げられる。本発明の組成物においては高強度
の甘味料は主な甘味料である必要がないため0.01〜約３
重量％の少ない量で、そして好ましくは0.025〜わず
か、約1.5重量％の量で含有することができる。

本発明の組成物に加えられる他の慣用の構成成分は、
例えば天然のまたは合成のフレーバー油および植物、
葉、花、果実等から誘導される抽出物およびその組み合
せから成る群より選択されたフレーバー剤のようなフレ
ーバー成分を包含する。代表的なフレーバー剤としては
スペアミント油、シナモン油、ウインターグリーン油
（メチルサリシレート）およびペパーミント油が挙げら
れる。また天然または合成のフルーツフレーバー、例え
ばレモン、オレンジ、グレープ、ライムおよびグレープ
フルーツを包含するシトラス油、およびアツプル、スト
ロベリー、チエリー、パイナツプルを包含するフルーツ
エツセンス等も使用できる。フレーバー成分において有
用な他の構成成分は、くえん酸、リンゴ酸、酒石酸等、
およびその混合物を包含する。

グリセリンは湿潤剤として考えられるが、それはまた
一定の期間にわたってチユーインガム組成物全体として
の保存を高めることが見い出された。それ故たとえ水分
の取り込みが好ましくなくとも、無水のガム製品中にグ
リセリンを含有することは望ましい。従って、グリセリ
ンは本発明の組成物中に、好ましくは無水の形態（例え
ば、米国薬局方（USP）等級で、商業的に入手できる）
で含有することができる。グリセリンを含有する場合、
好ましくは、組成の重量に対して約18％までの量で最も
好ましくは約２〜約14％の量を用いる。

しかしながら本発明の要点は、シユガーレスガム組成
物において、（１）一定の期間にわたって水分の取り込
みを著しく減少し、そして、（２）同時に構造的一体性
に柔らかな咀嚼特性を付与する、ために糖アルコールに
代替する量の低吸湿性の甘味化／増量剤を用いることが
可能だという発見である。特に、本発明で用いられる甘
味化／増量剤はマルチトールであり、これは還元マルチ
トースでありＯ−α−グルコピラノシル−Ｄ−グルシト
ールとして同定することができる。化学構造は、以下に
示す通りである。

マルチトールはスクロースと比較した場合、約0.80〜
0.90の相対甘味を有することが知られており、補助甘味
料を殆んど、またはまったく加える必要がないため吸湿
性の糖アルコールに代替する理想の甘味化／増量剤とな
る。その上、マルチトールの使用は低吸湿性を付与する
と同時に、長期の貯蔵期間後でさえも製品の咀嚼性を高
める。

本発明のチユーインガム組成物を糖アルコールで製造
されたシユガーレスの無水組成物と比較するために実験
を行なった。その測定値は本発明の組成物の使用により
達成された秀れた予想外の結果を明らかに示している。

実施例 シユガーレスチユーインガム組成物は、以下の処方を
用いて製造した。

第１図は、５週間にわたって行なった水分の取り込み
試験の結果を示す。試験は80゜F（27℃）の温度でその相
対室内湿度を80％に維持し、試料によって吸収された水
分の量を測定した。第１図を見てわかるように、マルチ
トールを含有するガムはソルビトールを含有するガムと
同じ量の水分を吸収しなかった。実際、５週間にわたる
マルチトール組成物による水分の取り込み量はソルビト
ール組成物によるものの約半分にすぎない。これは、５
週間後で36.37％という高い値となるシユガーレス、グ
リセリン−ソルビトール含有ガムに対する著しい改良点
である。

第２図は、柔らかい咀嚼特性の保持を表わすために行
なわれた促進（accelerated aging）インストロン試験
の結果を示す。本発明の組成物は各々「厚切り」の形状
を保持するのに十分な構造的一体性を有するため、かむ
固さ、または柔らかさを測定した。

使用した装置は、Valtec Sssociates Inc.社製の、デ
イジタル表示の備えたインストロン型1130である。各々
の実施例からガム数片を用いた。始めに未使用のガム片
をデシケーター中に23℃および23％の室内湿度で貯蔵し
た。基本的に3/16インチのプランジヤーをガムの表面に
押しあてて表面を突き抜けるまで制御された力を作用さ
せた。ポンド単位で測定した結果を第２図に示す。

本発明に従って製造されたガム片は、対照のソルビト
ール含有組成物に比較しておよそ２倍の柔らかさ（例え
ばまたは半分の硬さ）であることが見い出された。

試験用に以下の処方に従った組成物をさらに製造し
た。第２の対照および本発明の組成物は共に、グリセリ
ンを加えないで製造した。

対照２および試料２に関しての試験を対照１および試
料１と同様に行ない、その結果を第３図および第４図に
示す。第３図は、本発明の組成物による５週間にわたる
水分の取り込みが著しく低く、例えば対照試料による水
分の取り込みの約12％にすぎないことを示している。第
４図は、12週間にわたる試料の相対硬度を示しており、
本発明の組成物に関しては約半分より小さい。

これらの結果は、一定期間にわたる低吸湿性および柔
らかさを共に包含する本発明の組成物の特性を独特な組
み合せを非常に明確に示している。

従って現在のところ、本発明の好ましい実施態様と考
えられるものを記載したが、他の実施態様も本発明の真
の範囲に含まれることを当業者は認識されたい。

【図面の簡単な説明】

第１図および第３図は、本発明の組成物における水分の
取り込み率と、一般のシユガーレス組成物のそれを比較
したグラフである。 第２図および第４図は、本発明に従って製造した組成物
の柔らかさと、一般のシユガーレス組成物のテクスチヤ
ーを比較したグラフである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ダニエル・アンソニー・オーランデイ アメリカ合衆国ニューヨーク州（11367) フラツシング．ワンハンドレツドアンド フオーテイナインスストリート 61‐40 (72)発明者 ステイーブン・マイクル・フアウスト アメリカ合衆国ニュージャージー州 （07874）スタン ホープ．オードウボ ンコート４‐51 (56)参考文献 食品工業，27［24］（1984）ｐ．73− 80

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】下記成分： （ａ）10〜75重量％の量のガムベース、および （ｂ）28〜58重量％の量のマルチトールから実質的にな
   る低吸湿性のテクスチャー付与甘味化／増量剤 からなり、該マルチトールがテクスチャーの一体性、一
   定の期間に亘る柔らかな咀嚼特性および減少された吸湿
   性を組成物に与えることからなる実質的に無水なシュガ
   ーレスチューインガム組成物。