JP2744874B2 - 軸穴加工装置 - Google Patents

軸穴加工装置

Info

Publication number
JP2744874B2
JP2744874B2 JP500193A JP500193A JP2744874B2 JP 2744874 B2 JP2744874 B2 JP 2744874B2 JP 500193 A JP500193 A JP 500193A JP 500193 A JP500193 A JP 500193A JP 2744874 B2 JP2744874 B2 JP 2744874B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
arbor
boring
boring arbor
shaft hole
elastic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP500193A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06210506A (ja
Inventor
宏之 福島
泰造 松山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP500193A priority Critical patent/JP2744874B2/ja
Publication of JPH06210506A publication Critical patent/JPH06210506A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2744874B2 publication Critical patent/JP2744874B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の軸穴を同時に加
工するラインボーリング加工用等に使用される軸穴加工
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、軸方向沿いに複数のバイトが設け
られたボーリングアーバの両端を一対のアーバサポート
により支持し、前記ボーリングアーバをモータで回転さ
せながら送りユニットで前進させることにより複数の軸
穴を同時に加工する装置が知られている。
【0003】このような軸穴加工装置として、例えば図
7に示すように、ボーリングアーバ71の基端をたわみ
軸継手72を介してモータ73の駆動軸74に固定し、
ボーリングアーバ71の先端及び根元を左右一対のアー
バサポート75で支持するようにした装置がある。前記
軸穴加工装置ではたわみ軸継手72としてギヤカップリ
ング式のものが使用されている。
【0004】アーバサポート75は、ハウジング76内
に軸受け77を介してブッシュ78を備えた構成となっ
ている。ボーリングアーバ71はブッシュ78に挿入さ
れるが、ボーリングアーバ71がブッシュ78に対して
すべり運動できるように、ボーリングアーバ71とブッ
シュ78との間には5〜10μmの隙間が設けられてい
る。
【0005】図7示の装置では、ボーリングアーバ71
をモータ73で回転させながら、送りユニットで前進さ
せると、ボーリングアーバ71の軸方向に沿って設けら
れた複数のバイト79が回転しつつ進むことにより、テ
ーブル80上のワークWに設けられた軸受孔の内周面8
1をボーリング加工することができる。
【0006】しかしながら、前記従来の装置では、ボー
リングアーバ71はバイト79がワークWを切削する際
に受ける切削抵抗の背分力によりたわみ、そのたわみ量
が変化するため、軸穴の真円度、面粗度等の加工精度が
低減するとの不都合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる不都
合を解消して、優れた加工精度が得られると共に工具寿
命の長い軸穴加工装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明の軸穴加工装置は、軸方向に沿って設けら
れた複数のバイトにより複数の軸穴を同時に切削するボ
ーリングアーバと、該ボーリングアーバを軸廻りに回転
させる回転駆動装置とを備え、該ボーリングアーバの基
端部がたわみ軸継手を介して該回転駆動装置の駆動軸に
接続され、該ボーリングアーバの両端を一対のアーバサ
ポートにより支持してなる軸穴加工装置において、該た
わみ軸継手は、該駆動軸が連結される第1の連結部材
と、該第1の連結部材から該駆動軸の軸線方向に離間し
て配置され該ボーリングアーバが連結される第2の連結
部材と、両連結部材の間に配置された仕切り部材と、該
第1の連結部材と該仕切り部材との間に互いに平行に配
置され各一端部が該第1の連結部材に連結され各他端部
が該仕切り部材に連結された複数の弾性板からなる第1
の弾性部材と、該仕切り部材と該第2の連結部材との間
に互いに平行に配置され各一端部が該仕切り部材に連結
され各他端部が該第2の連結部材に連結された複数の弾
性板からなる第2の弾性部材とを備え、該第1の弾性部
材の弾性板と該第2の弾性部材の弾性板とが互いに直角
方向を向くように配置され、該ボーリングアーバは、回
転するときに遠心力を生じ、該遠心力と該ボーリングア
ーバが受ける切削抵抗の背分力とにより、該ボーリング
アーバを該アーバサポートに当接させる合力を形成し該
ボーリングアーバのたわみを規制するようなアンバラン
ス量を付与されてなることを特徴とする。
【0009】前記ボーリングアーバは、その軸に対して
前記バイトが設けられている面の反対側の面にバランス
取り部を設け、該バランス取り部により前記アンバラン
ス量が付与される。
【0010】本発明の軸穴加工装置では、前記複数のバ
イトは、前記ボーリングアーバの軸周方向に角度位相差
をもって設けられている。
【0011】
【作用】本発明の軸穴加工装置によれば、前記たわみ軸
継手が前記弾性部材により構成されているので、前記回
転駆動装置の駆動軸の振動が互いに直角方向を向くよう
に配置されている前記第1の弾性部材の弾性板と第2の
弾性部材の弾性板との弾性変形により容易に吸収され、
前記一対のアーバサポートに円滑に挿通される。従っ
て、たわみ軸継手にギヤカップリングを使用するときの
ようなバックラッシュによる回転方向のガタが無くな
り、バイトのチッピングがさらに低減され工具の寿命が
長くなる。前記ボーリングアーバはアンバランス量を付
与されてなり、回転するときにこのアンバランス量によ
り遠心力を生じ、該遠心力と該ボーリングアーバが受け
る切削抵抗の背分力とにより、該ボーリングアーバを該
アーバサポートに当接させる合力が形成される。前記ボ
ーリングアーバはこの合力によりたわんで、その両端部
で前記アーバサポートの内周面に当接される。この結
果、前記ボーリングアーバのたわみは前記アーバサポー
トに規制されることになり、その変化量が低減される。
従って、前記バイトの前記軸穴の内周面に対する当接量
がほぼ一定になり、前記軸穴の加工精度が向上する。前
記ボーリングアーバはその軸に対して前記バイトが設け
られている面の反対側の面に設けられたバランス取り部
により前記アンバランス量が付与されることにより、前
記遠心力は前記背分力と同方向になる。
【0012】また、本発明の軸穴加工装置では、前記複
数のバイトを前記ボーリングアーバの軸周方向に角度位
相差をもって設けることにより、前記バイトが受ける切
削抵抗が前記各バイトが設けられている方向に分散さ
れ、前記バイトのチッピングが低減され工具の寿命が長
くなる。
【0013】
【実施例】次に、添付の図面を参照しながら本発明の軸
穴加工装置についてさらに詳しく説明する。図1は本実
施例の軸穴加工装置の概略図、図2はボーリングアーバ
の説明的断面図、図3は本実施例の軸穴加工装置に用い
られているたわみ軸継手の概略図、図4は図3のIV−
IV線断面図、図5はボーリングアーバにかかる力とた
わみ量の関係を示すグラフ、図6はボーリングアーバと
アーバサポートとの状態を示す説明的断面図である。
【0014】図1に示すように、本実施例の軸穴加工装
置1はシリンダヘッド(ワーク)Wに設けられた5個の
クランクジャーナル用軸受孔2の中ぐり加工を行う装置
であって、軸方向に沿って5個のバイト3が設けられて
いるボーリングアーバ4とボーリングアーバ4を軸廻り
に回転させる回転駆動モータ5とを備え、ボーリングア
ーバ4は、その基端近傍で位置決め部材6を介して上部
アーバサポート7に支持され、先端が下部アーバサポー
ト8に支持されて鉛直方向に保持されている。尚、位置
決め部材6とボーリングアーバ4との間にはベアリング
6aが配設され、ボーリングアーバ4が位置決め部材6
の内周面に沿って回転自在にされている。
【0015】ボーリングアーバ4は、図2示のように、
軸に対してバイト3が設けられている面の反対側の面
に、放電加工、ドリルによる穴あけ加工および研削加工
等によりバランス取り部Gが設けられ、アンバランス量
が付与されている。ボーリングアーバ4は前記アンバラ
ンス量により軸の周囲で重量がアンバランスになるの
で、回転するときに遠心力F0 を生じ、この遠心力F0
とバイト3が軸受孔2の内周面を切削する際に受ける切
削抵抗の背分力F’とが同方向の合力Fを形成して、ボ
ーリングアーバ4をアーバサポート7,8に当接させて
ボーリングアーバ4のたわみを規制するようにされてい
る。
【0016】また、図1示のように、ボーリングアーバ
4の基端部はたわみ軸継手9を介して回転駆動モータ5
の駆動軸10に接続されている。回転駆動モータ5は基
盤11に立設された円筒形状フレーム12の上部側面に
設けられた送りネジ棒13に螺合された昇降台14に保
持されており、昇降台14は送りネジ棒13の上部に設
けられたフィードモータ15を回転駆動させることによ
り上下動自在に設けられている。
【0017】上部アーバサポート7及び下部アーバサポ
ート8は、フレーム12の下方に保持シリンダ16を介
して取着されている支持部材17の上方および下方から
それぞれ水平に突出して設けられている。上部アーバサ
ポート7にはボーリングアーバ4を支持する支持孔18
がその軸線を鉛直方向に向けて形成されており、支持孔
18に嵌合されたブッシュ19にボーリングアーバ4の
位置決め部材6が5〜10μmの隙間を設けて嵌挿でき
るようになっている。また、下部アーバサポート8には
ボーリングアーバ4を支持する支持孔20がその軸線を
支持孔18の軸線に一致させて鉛直方向に向けて形成さ
れており、支持孔20に嵌合されたブッシュ21にボー
リングアーバ4の先端が5〜10μmの隙間を設けて嵌
挿できるようになっている。
【0018】また、支持部材17には、シリンダヘッド
Wのフレーム12側への移動を阻止するストッパー24
が設けられている。
【0019】前記各バイト3は、図2示のように、ボー
リングアーバ4の周方向に20°づつの角度位相差をも
って設けられている。このようにすることにより、切削
抵抗Rがボーリングアーバ4上の各バイト3が設けられ
ている方向に分散され、前記バイトのチッピングが低減
される。
【0020】前記たわみ軸継手9はブロック状の金属材
料から一体的に切削されてなり、図3に示すように、上
部連結部材31と仕切り部材32とが一対の長方形状の
薄板33,33で接続され、仕切り部材32と下部連結
部材34とが一対の長方形状の薄板35,35で連絡さ
れた形状を有している。
【0021】上部連結部材31、仕切り部材32、下部
連結部材34は同一の軸線を有し、図4に示すように、
薄板33,33及び薄板35,35はそれぞれ前記軸線
を挟んで互いに平行に配置されている。また、薄板3
3,33と薄板35,35とは、互いに直角方向を向く
ように配置されている。薄板33,33と薄板35,3
5とは、前記形状に切削されたたわみ軸継手9に焼き入
れ処理を施すことによりバネ弾性が付与され、それぞれ
上部弾性部材36、下部弾性部材37を構成している。
【0022】たわみ軸継手9は、図1示のように、上部
連結部材31がフランジ25を介して駆動軸10に固定
され、下部連結部材34がフランジ26を介してボーリ
ングアーバ4に固定されている。弾性部材36,37
は、前記焼き入れ処理により前記バネ弾性が付与される
とともに適当な剛性をも付与されており、さらに前記の
ように長方形状で比較的広い幅を有するので、前記のよ
うに固定されることにより回転駆動モータ5の回転トル
クがボーリングアーバ4に効率よく伝達される。
【0023】本実施例の軸穴加工装置1では、支持部材
17に対向してワーク支持部材27が設けられており、
ワーク支持部材27はシリンダヘッドWの軸受孔2の軸
線を鉛直方向に向けた状態で、水平方向に前後動自在に
なっている。
【0024】次に、本実施例の軸穴加工装置1の作動に
ついて説明する。
【0025】まず、初期状態ではボーリングアーバ4は
上部アーバサポート7より上方に待機している。前記状
態では、バイト3はシリンダヘッドW側に向けられてい
る。
【0026】次に、シリンダヘッドWがワーク支持部材
27によりフレーム12に向けて前進動され、ボーリン
グアーバ4を挿通する所定の位置に移動される。前記の
位置では、シリンダヘッドWの軸受孔2の軸線は、上部
アーバサポート7及び下部アーバサポート8の軸線より
も僅かにワーク支持部材27側に偏心されている。
【0027】次いで、フィードモータ15を作動させる
ことにより、昇降台14を下降させ、ボーリングアーバ
4をシリンダヘッドWの軸受孔2に挿通させる。軸受孔
2の軸線は、前記のようにワーク支持部材27側に偏心
されているので、ボーリングアーバ4はバイト3が軸受
孔2に干渉されることなく挿通される。
【0028】そして、ボーリングアーバ4の位置決め部
材6を上部アーバサポート7に、また、ボーリングアー
バ4の先端部を下部アーバサポート8に嵌挿させる。駆
動軸10の軸線は、上部アーバサポート7及び下部アー
バサポート8の軸線と必ずしも一致せず、前記各軸線は
互いに偏心したり偏角を有していたりするが、ボーリン
グアーバ4はたわみ軸継手9を介して駆動軸10に接続
されているので、前記偏心または偏角が弾性部材33,
35の図5示のX−Y方向に変移する弾性変形により容
易に吸収され、ボーリングアーバ4は円滑に上部アーバ
サポート7及び下部アーバサポート8に嵌挿される。従
って、ボーリングアーバ4は上部アーバサポート7及び
下部アーバサポート8によりシリンダヘッドWの各軸受
孔2に対して適正な姿勢に保持される。ボーリングアー
バ4の下降は、各バイト3が図1示のようにシリンダヘ
ッドWの各軸受孔2の上方に位置した状態で停止され
る。
【0029】次に、シリンダヘッドWがワーク支持部材
27によりさらにフレーム12に向けてストッパー24
に当接するまで前進動され、所定の加工位置に移動され
る。前記の位置では、シリンダヘッドWは図示しない位
置決めピンなどで固定され、軸受孔2の軸線が上部アー
バサポート7及び下部アーバサポート8の軸線と一致さ
れる様に保持されている。
【0030】次に、回転駆動モータ5及びフィードモー
タ15を作動させ、ボーリングアーバ4を回転させなが
ら送りネジ棒13に沿って下降させることにより、シリ
ンダヘッドWの各軸受孔2の内周面を中ぐり加工する。
前記加工は例えば、外径45mmのボーリングアーバ4
により、回転数2400rpm、送り速度0.08mm
/revの条件で行われる。
【0031】前記加工の際に、ボーリングアーバ4はた
わみ軸継手9を介して回転駆動モータ5の駆動軸10に
接続されているため、たわみ軸継手9の弾性部材36,
37の弾性変形により回転駆動モータ5の回転振動が吸
収され、回転ガタが無くなるので、バイト3に生じるチ
ッピングが低減される。
【0032】また、ボーリングアーバ4は、前記アンバ
ランス量が付与されているのでボーリングアーバ4がア
ーバサポート7,8に当接されてそのたわみが規制さ
れ、前記たわみの変化量が低減されており、さらに、前
記のように鉛直に設けられているので、水平に設けられ
た場合のように自重によりたわむことがない。この結
果、バイト3が軸受孔2の内周面に安定して当接するよ
うになり、切削量が略一定になるので、軸受孔2の真円
度、面粗度等において優れた加工精度が得られる。
【0033】次に、ボーリングアーバ4に付与される前
記アンバランス量及びボーリングアーバ4のたわみの状
態について図2、図5及び図6に従って説明する。
【0034】軸穴加工装置1により前記のように中ぐり
加工を行うときには、図2示のように、ボーリングアー
バ4のワークWからフレーム12の方向に背分力F’が
働くが、本実施例ではさらに外径45mmのボーリング
アーバ4の軸に対してバイト3が設けられている面と反
対側の面を5g研削して図2示のバランス取り部Gを設
けてアンバランス量mを付与し、背分力F’と同方向の
合力Fを形成する遠心力F0 を生じるようにしている。
【0035】アンバランス量mに対する遠心力F0 は、 F0 =mrω2 =mr(2πN/60)2 (ω:角速度、N:回転数) …(1) で表されるので、式(1)に、m=0.005kg、N
=2400rpm、r=0.0225mを代入すると、
0 ≒7kgfとなる。
【0036】また、前記背分力F’は、図2示のよう
に、各バイト3に働く切削抵抗Rから前記方向に生じる
背分力Fn の合力であり、各バイト3の背分力Fn を図
2の左から順に背分力F1 乃至F5 とすると、 F’=F1 +F2 +F3 +F4 +F5 …(2) と表される。
【0037】背分力Fn を中央のバイト3を例に説明す
ると、バイト3に働く切削抵抗Rはバイト3から軸方向
に向かう分力Rtと、ボーリングアーバ4外周の接線方
向に向かう主分力Rcとに分けられ、このうちバイト3
から軸方向に向かう分力Rtが即ち背分力F3 である。
尚、主分力Rcはボーリングアーバ4に捩りモーメント
を発生させる。
【0038】各バイト3は、ボーリングアーバ4の周方
向に20°づつの角度位相差をもって設けられているの
で、背分力F1 乃至F5 は分力Rtを用いて次のように
表される。
【0039】 F3 =Rt …(3) F2 =F4 =Rt・cos20° …(4) F1 =F5 =Rt・cos40° …(5) 前記加工を前記条件(ボーリングアーバ4の外径45m
m、回転数2400rpm、送り速度0.08mm/r
ev)で行うときにはRt=3kgfとなるので、式
(2)乃至式(5)から、F’=13kgfとなる。
【0040】従って、遠心力F0 とボーリングアーバ4
に働く背分力F’とから形成される合力FはF=F’+
0 ≒20kgfとなる。
【0041】ところで、ボーリングアーバ4は各バイト
3がワークWの軸受孔2の内周面に当接して切削するこ
とにより軸受孔2の中ぐり加工を行なうときには、外力
によりたわみが生じる。前記たわみは外力の大きさによ
り変化するが、図5示のように、外力が20kgf前後
の一定の範囲(図5示のグラフでは15〜25kgf)
にあるときにはその変化量が小さくなる。
【0042】軸穴加工装置1では、前記のようにボーリ
ングアーバ4にアンバランス量mを付与して、ボーリン
グアーバ4が回転するときに生じる遠心力F0 が前記背
分力F’と同方向で約20kgfの合力Fを形成するよ
うにしたので、合力Fが前記外力として作用し、前記条
件でシリンダヘッドWの軸受孔2の中ぐり加工を行うと
きには、ボーリングアーバ4が図6(a)に示すよう
に、アーバサポート7,8にA,B,C,Dの4点で当
接してその変化が規制される。この結果、たわみの変化
量が低減されるので、バイト3の軸受孔2に対する当接
量が略一定になり、軸受孔2の真円度、面粗度等の加工
精度が安定する。
【0043】軸穴加工装置1により、前記条件でシリン
ダヘッドWの軸受孔2の中ぐり加工を行ったところ、真
円度の平均値2.26μm(最大値と最小値との差:
0.78μm)、面粗度の平均値3.63μm(最大値
と最小値との差:1.55μm)との優れた加工精度が
得られた。
【0044】前記アンバランス量mは、遠心力F0 と背
分力F’とから形成される合力Fの大きさが、ボーリン
グアーバ4をアーバサポート7,8に当接させてボーリ
ングアーバ4のたわみを規制する範囲(図5示のグラフ
では15〜25kgf)になるようにされていればよ
い。
【0045】アンバランス量mが前記範囲以下のときに
は十分な合力Fが得られず、ボーリングアーバ4は図6
(b)に示すように、嵌挿されているアーバサポート
7,8との間に隙間61があるため、隙間61内でアー
バサポート7,8に拘束されることなく自由に変形する
ことができ、不安定になるなるものと考えられバイト3
の軸受孔2に対する当接量が一定になりにくく、軸受孔
2の真円度、面粗度等の加工精度が低減する。
【0046】アンバランス量mが前記範囲を上回るとき
には、合力Fが過大になるため、ボーリングアーバ4の
たわみをアーバサポート7,8で十分に規制することが
できず、アーバサポート7,8の同軸度が得られない。
【0047】尚、前記アンバランス量mは、本実施例と
加工条件が異なる場合にも、式(2)に所要の条件を代
入することにより算出される。
【0048】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、本発明
の軸孔加工装置によれば、前記ボーリングアーバがアー
バサポートの内周面に当接して規制されるのでそのたわ
みの変化量が低減される。従って、ワークに対するバイ
トの当接量がほぼ一定になり、ワークの真円度、面粗度
などにおいて、優れた加工精度を得ることができる。前
記ボーリングアーバでは、その軸に対して前記バイトが
設けられている面の反対側の面にバランス取り部を設け
て前記アンバランス量を付与することにより、前記背分
力と同方向の前記遠心力を得ることができる。
【0049】また、本発明の軸孔加工装置によれば、複
数のバイトを前記ボーリングアーバの軸周方向に角度位
相差をもって設けることにより、前記バイトが受ける切
削抵抗が前記各バイトが設けられている方向に分散され
るので、前記バイトに生じるチッピングが低減され、工
具寿命を延長することができる。さらに、前記たわみ軸
継手が前記弾性部材により構成されていることにより回
転ガタが低減されるので、これによってもバイトに生じ
るチッピングが低減され、工具の寿命を延長することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる軸穴加工装置の一実施例の概略
図。
【図2】図1示の軸穴加工装置におけるボーリングアー
バの説明的断面図。
【図3】図1示の軸穴加工装置におけるたわみ軸継手の
概略図。
【図4】図3のIV−IV線断面図。
【図5】ボーリングアーバにかかる外力とたわみ量の関
係を示すグラフ。
【図6】ボーリングアーバとアーバサポートとの状態を
示す説明的断面図。
【図7】従来の軸穴加工装置の概略図。
【符号の説明】
1…軸穴加工装置、 2…軸穴、 3…バイト、 4…
ボーリングアーバ、5…回転駆動装置、 7,8…アー
バサポート、 9…たわみ軸継手、10…駆動軸、 3
1…第1の連絡部材、 32…仕切り部材、33,35
…弾性板、 34…第2の連絡部材、 36…第1弾性
部材、37…第2の弾性部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23B 41/12 B23B 39/00 B23B 41/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸方向に沿って設けられた複数のバイトに
    より複数の軸穴を同時に切削するボーリングアーバと、
    該ボーリングアーバを軸廻りに回転させる回転駆動装置
    とを備え、該ボーリングアーバの基端部がたわみ軸継手
    を介して該回転駆動装置の駆動軸に接続され、該ボーリ
    ングアーバの両端を一対のアーバサポートにより支持し
    てなる軸穴加工装置において、 該たわみ軸継手は、該駆動軸が連結される第1の連結部
    材と、該第1の連結部材から該駆動軸の軸線方向に離間
    して配置され該ボーリングアーバが連結される第2の連
    結部材と、両連結部材の間に配置された仕切り部材と、
    該第1の連結部材と該仕切り部材との間に互いに平行に
    配置され各一端部が該第1の連結部材に連結され各他端
    部が該仕切り部材に連結された複数の弾性板からなる第
    1の弾性部材と、該仕切り部材と該第2の連結部材との
    間に互いに平行に配置され各一端部が該仕切り部材に連
    結され各他端部が該第2の連結部材に連結された複数の
    弾性板からなる第2の弾性部材とを備え、該第1の弾性
    部材の弾性板と該第2の弾性部材の弾性板とが互いに直
    角方向を向くように配置され、 該ボーリングアーバは、回転するときに遠心力を生じ、
    該遠心力と該ボーリングアーバが受ける切削抵抗の背分
    力とにより、該ボーリングアーバを該アーバサポートに
    当接させる合力を形成し該ボーリングアーバのたわみを
    規制するようなアンバランス量を付与されてなることを
    特徴とする軸穴加工装置。
  2. 【請求項2】前記ボーリングアーバは、その軸に対して
    前記バイトが設けられている面の反対側の面にバランス
    取り部を設け、該バランス取り部により前記アンバラン
    ス量が付与されてなることを特徴とする請求項1記載の
    軸穴加工装置。
  3. 【請求項3】前記複数のバイトは、前記ボーリングアー
    バの軸周方向に角度位相差をもって設けられていること
    を特徴とする請求項1記載の軸穴加工装置。
JP500193A 1993-01-14 1993-01-14 軸穴加工装置 Expired - Fee Related JP2744874B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP500193A JP2744874B2 (ja) 1993-01-14 1993-01-14 軸穴加工装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP500193A JP2744874B2 (ja) 1993-01-14 1993-01-14 軸穴加工装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06210506A JPH06210506A (ja) 1994-08-02
JP2744874B2 true JP2744874B2 (ja) 1998-04-28

Family

ID=11599344

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP500193A Expired - Fee Related JP2744874B2 (ja) 1993-01-14 1993-01-14 軸穴加工装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2744874B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5173351B2 (ja) * 2007-10-19 2013-04-03 三菱マテリアル株式会社 内径加工方法
JP6099790B1 (ja) * 2016-03-31 2017-03-22 株式会社牧野フライス製作所 ワーク保持装置およびワーク保持装置を備える工作機械
WO2023188118A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 本田技研工業株式会社 切削加工機

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06210506A (ja) 1994-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4019423B2 (ja) 数値的に制御されたオービタル機械加工装置
US6974362B2 (en) System and method for automatically compensating for unbalanced resistance forces
US5478177A (en) Mass compensating device especially applicable to rotary boring heads
JPH1172122A (ja) 軸継手
JP2744874B2 (ja) 軸穴加工装置
JP6473772B2 (ja) 加工条件設定方法及び加工条件設定装置
US6292992B1 (en) Process for compensating eccentricities and imbalances of rotating parts
US6554291B2 (en) Housing and hub for an apparatus for securing a workpiece to a rotatable machine member
JPH0357413Y2 (ja)
JP4064786B2 (ja) 主軸の支持構造、工作機械
KR100210274B1 (ko) 회전절삭공구용 평형장치
US5183365A (en) Boring and surfacing machine
US6419427B1 (en) Adjustable rotary tool providing a counter balanced system
JPH0561042B2 (ja)
JPH06210505A (ja) 軸穴加工方法
JPH10238594A (ja) 回転体のバランス調整装置
KR100441626B1 (ko) 호닝용 진동 부속장치
GB2235259A (en) Spindle assembly with externally pressurised gas bearing
JPH067848Y2 (ja) ボーリング加工装置
JP6831604B1 (ja) 円筒研削装置
JPH0611682Y2 (ja) 工作機械用主軸
JPS61252062A (ja) スピンドルおよび研削車フランジよりなる研削ロ−タ
JP2001138194A (ja) ガラス板加工機の面取り装置
JP2561233Y2 (ja) 軸穴加工工具
SU1731591A1 (ru) Рабочий ротор

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080206

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090206

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100206

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100206

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 13

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110206

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees