JP2743912B2 - Cdma干渉除去装置 - Google Patents

Cdma干渉除去装置

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  • Synchronisation In Digital Transmission Systems (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、符号分割多重アク
セス(CDMA)方式で用いられる干渉除去装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、直接拡散による符号分割多重ア
クセス(CDMA)方式は、加入者容量を大幅に拡大し
得る可能性があるため、移動通信システムなどにおける
多重アクセス方式として注目されている。CDMA方式
では、各ユーザ信号は固有の符号で広い周波数帯域に拡
散され、伝送路に送出される。受信側では符号多重され
た信号から逆拡散の過程を経て希望波信号が検出され
る。この際、各ユーザの拡散符号相互間に相関が存在す
る場合にはこれが干渉となり受信特性が劣化する。実用
的な干渉除去装置として、適応的に計算した直交化係数
で逆拡散を行う方式が提案された。文献として、吉田、
後川、柳、古谷による「高速フェージング伝送路に適し
た遅延検波形DS/CDMA適応干渉キャンセラ」(電
子情報通信学会論文誌B-II Vol. J77-BII No.11 199
4年11月)がある(特願平5−169092、特願平
6−307275)。
【0003】図5に本文献による従来のCDMA干渉除
去装置の例を示す。
【0004】直交化フィルタ201は、符号多重受信信
号を入力として、伝送路変動に独立な直交化係数で逆拡
散を行い、干渉波を抑圧しつつ希望波を検出する。直交
化フィルタ201は、トランスバーサル形のフィルタで
構成されており、そのタップ間隔は非同期干渉を考慮し
て分数チップ間隔に設計するとよい。通常のマッチトフ
ィルタを用いた逆拡散との違いは、フィルタ係数として
送信側で用いた拡散符号を用いる代わりに、直交化フィ
ルタ201では、適応的に決定した直交化係数が用いら
れる。検波器202は、検出された希望波のキャリヤ位
相同期を行う。シンボル判定器203は、検波器202
の出力から送信された最も確からしいシンボルを判定す
る。ここで、「シンボル」とは送信変調信号レベル(送
信変調点レベル)のことで、例えば、2値位相変調を例
にとると、1または−1である。この場合、シンボル判
定器203は、検波器出力(アナログ値)が正の場合は
1、負の場合は−1を出力する。多値位相変調を用いる
場合には、判定領域が2次元(複素数平面)となる。加
算器204は、シンボル判定誤差信号を抽出する。直交
化係数更新手段205は、加算器204の出力であるシ
ンボル判定誤差信号に基づき直交化係数を逐次的に更新
する。
【0005】直交化係数更新手段205は、直交化フィ
ルタ201の入力と検波器202の出力である再生キャ
リヤとシンボル判定誤差信号とを入力として、シンボル
判定誤差信号の平均電力が最小となるように直交化係数
を決定する。この制御は最小2乗平均誤差(MMSE)
制御と呼ばれる。MMSE制御を容易に実現する方法と
してLMSアルゴリズムが知られている。LMSアルゴ
リズムを用いた場合の直交化係数更新手段205の動作
の一例を次式に示す。直交化係数ベクトル
【0006】
【外1】
【0007】
【数1】 シンボル判定誤差信号e(i)は、
【0008】
【数2】 で表わされる。ここで、
【0009】
【外2】 は直交化フィルタ201の入力ベクトル、x(i)は検
波器202の出力である再生キャリヤ、d(i)はシン
ボル判定器203の出力である判定シンボルを示す。ま
た、* は複素共役、T は転置、Re[・]は実数部をと
る処理を示し、μはステップサイズを表す。
【0010】このように従来のCDMA干渉除去装置で
は、シンボル判定誤差信号に基づき直交化係数が逐次制
御されるため、干渉信号の拡散タイミングや電力の変化
に応じて適応的、かつ、容易に干渉除去が行える。しか
し、直交化係数の初期収束時には、通常、判定シンボル
に信頼性がおけないため、判定シンボルの代わりにトレ
ーニング信号が必要となる。トレーニング信号として
は、干渉除去装置側で既知のシンボルパターンが送信装
置側から伝送される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
CDMA干渉除去装置では、初期収束時にトレーニング
信号が必要となるが、直交化フィルタ201のタップ数
は拡散符号長の整数倍に設計されるため、一般に収束に
は時間がかかる。この時間は用いる適応制御アルゴリズ
ムにも依存するが、タップ数の数倍から数十倍のトレー
ニング信号は少なくとも必要となる。したがって、特に
バースト伝送を行う場合にはデータ伝送効率が著しく低
下する。また、干渉除去装置では同期確立の検出、およ
びその検出信号の送信装置への伝送、送信装置ではトレ
ーニング信号からデータ信号への切り替えなどの処理フ
ローが必要となる。さらに、直交化フィルタ201が同
期はずれを起こした場合には、同期はずれの検出および
再収束のためのトレーニング信号の再送が必要となり、
処理が複雑となる。
【0012】タップ係数の初期収束にはトレーニング信
号を必要としないブラインド動作が望ましい。ブライン
ド形適応CDMA干渉除去装置に関して述べた文献とし
て、M.L.Honig, U.Madhow, S.Verduによる「Blind Adap
tive Interference Suppression for Near-Far Resista
nt CDMA 」(Globecom ’94,pp.379-384)がある。こ
の文献では、干渉除去を行う適応フィルタのタップ係数
更新手段として拘束条件処理付出力電力最小化法を用い
ているが、収束後の希望波電力対干渉電力比(SIR)
特性が余りよくない。
【0013】本発明の目的は、良好な収束特性を有する
ブラインド形適応CDMA干渉除去装置を提供すること
である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のCDMA干渉除
去装置は、符号多重受信信号を入力として、希望波拡散
符号波形で拘束条件処理を施した、伝送路変動に独立な
直交化係数で逆拡散を行い、干渉波を抑圧しつつ一定電
力の希望波を検出する直交化フィルタと、前記希望波の
キャリヤ位相同期を行う検波器と、検波器の出力から最
も確からしいシンボルを判定するシンボル判定器と、シ
ンボル判定器の出力と検波器の出力からシンボル判定誤
差信号を抽出する加算器と、直交化フィルタの入力と検
波器の出力である再生キャリアとシンボル判定誤差信号
と希望波拡散符号波形に基づき前記直交化係数を適応的
に制御する直交化係数制御手段とを有する。
【0015】本発明は、直交化フィルタ出力における希
望波電力を一定に保持する拘束条件処理を行うことで、
トレーニング信号を用いずにブラインドで直交化係数の
収束が行えるようにしたものである。その上、収束後の
SIRも大きく改善できる。したがって、特にバースト
伝送を行う場合に問題となる伝送効率の低下を回避でき
る。また、トレーニング信号の伝送に伴う送受信装置間
の制御信号のやりとりが不要となる。さらに、マルチパ
ス環境ではパスを特定して干渉除去受信を行えるため安
定な動作が期待できる。
【0016】また、本発明の実施態様によれば、前記直
交化係数制御手段は、シンボル判定誤差信号の平均電力
が最小となるように直交化係数を決定する最小2乗平均
誤差制御を行う直交化係数更新手段と、符号多重受信信
号に含まれる希望波に同期したタイミングで希望波の拡
散符号波形を用いて直交化係数更新手段の出力である係
数に拘束条件処理を施す直交化係数拘束手段とを含む。
【0017】また、本発明の他の実施態様によれば、前
記直交化係数拘束手段は、直交化フィルタの出力に含ま
れる希望波電力を一定に保持するために、符号ベクトル
空間において希望波拡散符号波形ベクトルに直交した拘
束平面上に更新係数ベクトルの射影を求め、射影ベクト
ルと希望波拡散波形ベクトルとの和を拘束条件処理後の
直交化係数ベクトルとして処理する。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0019】図1は本発明の実施形態のCDMA干渉除
去装置のブロック図である。
【0020】本実施形態のCDMA干渉除去装置は直交
化フィルタ101と検波器102とシンボル判定器10
3と加算器104と直交化係数制御手段105で構成さ
れている。
【0021】直交化フィルタ101は、符号多重受信信
号を入力として、希望波拡散符号波形で拘束条件処理を
施した、伝送路変動に独立な直交化係数で逆拡散を行
い、干渉波を抑圧しつつ一定電力の希望波を検出する。
検波器102は、検出された希望波のキャリヤ位相同期
を行う。シンボル判定器103は、検波器102の出力
を最も確からしいシンボルに判定する。加算器104
は、シンボル判定器103の出力と検波器102の出力
からシンボル判定誤差信号を抽出する。直交化係数制御
手段105は、直交化フィルタ101の入力と検波器1
02の出力である再生キャリアと加算器104の出力で
あるシンボル判定誤差信号と前記希望波拡散符号波形に
基づき直交化係数を適応的に制御する。
【0022】図2は直交化係数制御手段105のブロッ
ク図である。直交化係数制御手段105は直交化係数更
新手段106と直交化係数拘束手段107とからなる。
直交化係数更新手段106は、直交化フィルタ101の
入力と検波器102の出力である再生キャリヤとシンボ
ル判定誤差信号とを入力とし、MMSE制御に基づき直
交化係数を決定する。直交化係数更新手段106の動作
は、図5の従来のCDMA干渉除去装置における直交化
係数更新手段205の動作と同様である。直交化係数拘
束手段106は、受信信号に同期したタイミングで希望
波の拡散符号波形を用いて更新した係数に拘束条件処理
を施す。拘束条件処理とは、符号ベクトル空間において
希望波の拡散符号波形ベクトルに直交した拘束平面上に
更新係数ベクトルの射影を求め、この射影ベクトルと希
望波拡散符号波形ベクトルとの和を拘束条件処理後の直
交化係数ベクトルとする処理であり、直交化フィルタ出
力に含まれる希望波電力を一定に保持できる。直交化係
数拘束手段106の動作は、更新係数ベクトルを
【0023】
【外3】 、拘束条件処理後の直交化係数ベクトルを
【0024】
【外4】 とすると、次式で表わされる。
【0025】
【数3】 直交化係数拘束手段106の動作を図4を用いて更に詳
しく説明する。拘束条件処理では直交化係数ベクトルの
存在範囲を希望波拡散符号ベクトル
【0026】
【外5】 に直交した拘束平面上に限定することで直交化フィルタ
101出力における希望波電力を一定に保てる。すなわ
ち、拘束条件処理前の更新係数ベクトルを
【0027】
【外6】 とすると、拘束条件処理後の直交係数ベクトル
【0028】
【外7】
【0029】
【外8】 とそれに直交した符号ベクトル
【0030】
【外9】 との和で表され、この直交した符号と希望波との相関は
0となるため、
【0031】
【外10】 で逆拡散した出力における希望波電力は
【0032】
【外11】 で逆拡散した場合の希望波電力と常に等しくなる。
【0033】
【外12】 に直交した符号ベクトルは、
【0034】
【外13】 から
【0035】
【外14】 に同相な成分
【0036】
【外15】 を引くことで得られる。この
【0037】
【外16】 に同相な成分は
【0038】
【外17】
【0039】
【外18】 との相関をとり、
【0040】
【外19】 電力で正規化した後に再拡散することで得られる。
【0041】以上説明した拘束条件処理は図3に示す装
置で実現できる。相関検出器111は、更新された直交
化係数と希望波拡散符号波形との相関を検出する。希望
波拡散符号電力逆数計算手段112、乗算器113は、
希望波拡散符号電力で相関検出器111の出力を正規化
する。この正規化出力は一般に1以上の定数である。遅
延器114は、相関検出器111の出力が得られる時間
だけ希望波拡散符号波形を遅らせる。乗算器115は、
正規化出力を希望波拡散符号で拡散する。遅延器116
は、相関検出器111の出力が得られる時間だけ更新さ
れた直交化係数を遅らせる。加算器117は、更新され
た直交化係数から乗算器115の出力を減じる。加算器
118は、加算器117の出力に遅延器114の出力を
加える。なお、希望波拡散符号電力逆数計算手段11
2,乗算器113は、相関検出器111で更新係数との
相関をとる際に希望波拡散符号波形側に予め乗じておく
ことができるため、シンボル毎にこの演算を行う必要は
ない。したがって、拘束条件処理に要するシンボルあた
りの演算量は直交化フィルタ101のタップ数をnとす
ると乗算2n回、加算3n回となり、この演算量は直交
化係数更新手段106の演算量と比べてもそれほど多く
はない。
【0042】本発明では直交化係数更新手段106とし
てMMSE制御を用いているため、収束開始時における
低SIR条件ではキャリヤ位相同期にも信頼性がおけず
シンボル誤りが頻発する。このような条件で収束が可能
な理由として、低SIR時には適応制御が近似的に電力
最小化法として働くためと考えられる。拘束条件処理に
より直交化フィルタ101の出力電力は希望波電力で正
規化されているため、このときは、
【0043】
【数4】 である。したがって、d(i)=0と近似することで、
直交化係数制御手段105の動作としては、再生キャリ
アx(i)の影響が相殺され、次式に示す拘束条件処理
付出力電力最小化法の動作となる。
【0044】
【数5】 すなわち、本発明の特徴は、収束過程における低SIR
条件では、適応制御が電力最小化法として働き、SIR
の改善にしたがいMMSE制御に自動的に切り替わる点
にある。最終的には適応制御はMMSE制御として働く
ため、電力最小化法と比べ収束後のSIRを改善でき
る。
【0045】本発明のCDMA干渉除去装置の特性は、
別途行う希望波拡散符号のタイミング同期の影響を受け
るが、マルチパスフェージング環境において本発明をレ
イク合成形にする場合などにはより安定な動作が期待で
きる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、直交化フ
ィルタ出力における希望波電力を一定に保持する拘束条
件処理を行うことで、トレーニング信号を用いずにブラ
インドで直交化係数の収束が行え、その上、収束後のS
IRも大きく改善できる。したがって、特にバースト伝
送を行う場合に問題となる伝送効率の定価を回避でき
る。また、トレーニング信号の伝送に伴う送受信装置間
の制御信号のやりとりが不要となる。更にマルチパスの
環境ではパスを特定して干渉除去受信が行えるため安定
な動作が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のCDMA干渉除去装置の
ブロック図である。
【図2】直交化係数制御手段105のブロック図であ
る。
【図3】直交化係数拘束手段107の構成図である。
【図4】直交化係数拘束手段107の動作説明図であ
る。
【図5】従来のCDMA干渉除去装置のブロック図であ
る。
【符号の説明】
101,102 直交化フィルタ 102,202 検波器 103,203 シンボル判定器 104,204,117,118 加算器 105 直交化係数制御手段 106,205 直交化係数更新手段 107 直交化係数拘束手段 111 相関検出器 112 希望波拡散符号電力逆数計算手段 113,115 乗算器 114,116 遅延器

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 符号多重受信信号を入力として、希望波
    拡散符号波形で拘束条件処理を施した、伝送路変動に独
    立な直交化係数で逆拡散を行い、干渉波を抑圧しつつ一
    定電力の希望波を検出する直交化フィルタと、 前記希望波のキャリヤ位相同期を行う検波器と、 前記検波器の出力から最も確からしいシンボルを判定す
    るシンボル判定器と、 前記シンボル判定器の出力と前記検波器の出力からシン
    ボル判定誤差信号を抽出する加算器と、 前記直交化フィルタの入力と前記検波器の出力である再
    生キャリアと前記シンボル判定誤差信号と前記希望波拡
    散符号波形に基づき前記直交化係数を適応的に制御する
    直交化係数制御手段とを有するCDMA干渉除去装置。
  2. 【請求項2】 前記直交化係数制御手段は、前記シンボ
    ル判定誤差信号の平均電力が最小となるように前記直交
    化係数を決定する最小2乗平均誤差制御を行う直交化係
    数更新手段と、前記符号多重受信信号に含まれる希望波
    に同期したタイミングで希望波の拡散符号波形を用いて
    前記直交化係数更新手段の出力である係数に拘束条件処
    理を施す直交化係数拘束手段とを含む、請求項1記載の
    CDMA干渉除去装置。
  3. 【請求項3】 前記直交化係数拘束手段は、前記直交化
    フィルタの出力に含まれる前記希望波電力を一定に保持
    するために、符号ベクトル空間において前記希望波拡散
    符号波形ベクトルに直交した拘束平面上に前記更新係数
    ベクトルの射影を求め、前記射影ベクトルと前記希望波
    拡散波形ベクトルとの和を拘束条件処理後の直交化係数
    ベクトルとして処理する、請求項2記載のCDMA干渉
    除去装置。
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