JP2742224B2 - 耐錆び性が優れた炭素鋼用溶接ワイヤ - Google Patents

耐錆び性が優れた炭素鋼用溶接ワイヤ

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JP2742224B2 JP26127294A JP26127294A JP2742224B2 JP 2742224 B2 JP2742224 B2 JP 2742224B2 JP 26127294 A JP26127294 A JP 26127294A JP 26127294 A JP26127294 A JP 26127294A JP 2742224 B2 JP2742224 B2 JP 2742224B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動又は半自動溶接に
使用される炭素鋼用の耐錆び性が優れた炭素鋼用溶接ワ
イヤに関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】炭素鋼用溶接ワイヤの耐
錆び性を向上させるために、ワイヤ表面に銅等でメッキ
処理する方法が広く用いられている。ワイヤ表面全体に
均一に銅メッキすることによって、ワイヤ表面に発生す
る島状錆びの殆どは防止することができる。一方、銅メ
ッキをワイヤ表面に均一に施すには、高度な技術が必要
である。製造上のバラツキによって、銅メッキがワイヤ
表面に不均一に生成され、部分的に炭素鋼の地が露出す
ると、銅メッキと露出炭素鋼地の間で局部電池が生成す
る。局部電池が生成されると、炭素鋼地が優先的に酸化
され、島状錆びが発生する。また、ワイヤ表面に銅メッ
キ処理するためには、製造工程中にメッキ工程が必要で
あり、製造コストを高めてしまう。更に、島状錆びを防
ぐために十分な厚さの銅メッキを施された溶接ワイヤ
は、溶接時に割れが発生しやすいという欠点を有してい
る。表面に施された銅メッキは溶接時に溶接金属中に入
り、凝固過程において偏析し、凝固割れを発生させる。
【0003】銅メッキを使用せずに、耐錆び性が優れた
炭素鋼用溶接ワイヤを製造することが製造コスト及び溶
接部の割れの観点から望ましい。銅メッキを施さずに、
炭素鋼ワイヤを製造するために、種々の方法が採用され
ている。一般的に、ワイヤ表面に防錆用の油を塗布する
ことによって、島状錆びの発生を防止している。油塗布
によって、ワイヤの耐錆び性を向上させるためには、塗
布油組成(耐錆び性、送給性、化学的安定性等)の選
定、均一塗布技術の確立等の解決すべき問題点が多い。
油塗布の有無によらずワイヤの耐錆び性を向上させるた
めには、ワイヤ表面の鋼地とイオン化傾向が極端に異な
る部分が存在しなければよい。換言すれば、ワイヤ表面
の電気的特性が均一であれば、耐錆び性に優れた炭素鋼
用溶接ワイヤを製造することができる。しかしながら、
実際の炭素鋼地のワイヤ表面には、伸線潤滑剤が残留す
るために、電気的特性が不均一となり、局部電池が形成
され、所望する耐錆び性が得られないことが多かった。
【0004】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、炭素鋼用溶接ワイヤ表面に銅メッキするこ
となく、島状錆びが発生し難い耐錆び性が優れた炭素鋼
用溶接ワイヤを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る耐錆び性が
優れた炭素鋼用溶接ワイヤは、メッキ処理されていない
ソリッドワイヤ又はフラックス入りワイヤであって、
流端子と電圧端子を兼用する電極として、その先端形状
が半径1mmの曲率を有し、材質が1%Cr銅合金であ
り、表面粗さがエメリー紙#400で研磨したままの状
態であるものを使用し、この電極を押し付け力0.49
N±0.05N(50±5gf)で、ワイヤ表面に押し
付けてこのワイヤの任意に取り出された長さ10mの全
長にわたり複数点で接触電気抵抗を測定した場合、その
最大値が40Ω以下であり、その最大値と最小値との差
が30Ω以下であり、且つその測定値が0.02Ω以下
となる接触電気抵抗値の確率が0乃至0.2であること
を特徴する。
【0006】
【作用】ワイヤ表面に発生する島状錆びは、局部電池に
よって発生する。即ち、鋼地の表面が物理的又は化学的
に不均一であると、局部電池が生成され、ワイヤは錆び
る。溶接用ワイヤは隣り合うワイヤの表面が機械的に接
触してスプール又はパックに巻かれている。このワイヤ
表面の接触状態が良好である場合、局部電池はワイヤ長
手方向のみならず、接触した表面を介して、隣り合った
ワイヤ間にも形成される。例えば、12.5kgスプー
ルに層状に巻かれた直径1.2mmのワイヤを想定する
と、一層に巻かれているワイヤの長さは50m程度であ
る。ワイヤ間の接触状態が良好な場合の島状錆びの発生
状態を鋭意研究したところ、一層に巻かれたワイヤの5
分の1に相当するワイヤ10m間に物理的又は化学的不
均一な場所が存在すると、局部電池が形成され、島状錆
びが発生する。
【0007】ワイヤ表面の不均一さは次のような方法で
調べた。ここでは、便宜的にワイヤ表面の接触電気抵抗
を測定し、接触電気抵抗値という電気的特性をもってワ
イヤ表面の不均一さを知る指標とした。大気中にあるワ
イヤ表面には微量ながら水が存在する。この微量な水を
介して電流を流し、そこでの接触電流抵抗を測定すれば
簡易的にワイヤ表面の局部電池の形成のしやすさを知る
ことができる。
【0008】ワイヤ表面の接触電気抵抗は、図1に示す
ような装置により測定することができる。この図1に示
す装置は市販の電気接点シミュレータを本願発明者等が
改良したものである。ワイヤ1は矢印方向に連続的に移
動させる。このワイヤ1に電流端子2と電圧端子3とを
接触させ、電流端子2は電流リード線7を介して電源6
に接続されている。電圧端子3は電圧リード線9を介し
て接触電気抵抗計8に接続されている。また、電流端子
2と電圧端子3との間のワイヤ1の表面には、電極4が
荷重機構5により適宜の荷重を印加されながらワイヤ1
に接触するようになっており、この電極4は電流リード
線7及び電圧リード線9を介して夫々電源6及び接触電
気抵抗計8の他方の端子に接触されている。
【0009】前述したように10mにわたってワイヤ表
面の局部電池の形成のし易さを知るためには、10m全
長にわたって、接触電気抵抗を測定する必要がある。そ
のため、ワイヤ1を連続的に駆動しながら接触電気抵抗
を測定する。電圧端子3及び電流端子2は、接触電気抵
抗の測定に影響しなければ、ワイヤ1の両端に固定して
も、又は端子位置を固定してワイヤ1表面に摺動させて
もよい。ワイヤ1の移動速度を1mm/分から10m/
分まで変えて測定を行ったところ、1分間に1mm〜5
0cmの移動速度で測定すると、測定は可能であるが時
間がかかりすぎて実用的でなく、5m〜10mの移動速
度で測定を行うと、測定は可能であるが、振動等により
精度に問題があった。このため、適正な速度範囲は1分
間に50cm〜5mであるが、本発明においては速度を
1.2±0.4m/分とした。測定電流は交流でも直流
でも同様な接触電気抵抗値が得られるが、本発明は局部
電池の生成により近い直流電流を用いて接触電気抵抗を
測定した。電流は1μAから100Aまで変えて測定し
た。測定電流が1μA〜50mAの範囲でも接触電気抵
抗は測定できるが、起電力のバラツキが大きすぎるため
に精度が低い。測定電流が5Aから100Aの範囲でも
接触電気抵抗は測定できるが、電流が高すぎて電極4と
ワイヤ1との接点が変質し、酸化し、更には溶融してし
まう。また、電流が高いと、測定される接触抵抗の値及
びその差がいずれも小さくなり、耐錆び性が異なるワイ
ヤ間でもその差が不明確になる。適正な測定電流の範囲
は50mAから5Aの範囲である。本発明においては電
流を0.5±0.1Aとした。
【0010】電流を流したときの電極4とワイヤ1との
間に発生する電位差(V)を接触電気抵抗計8で測定
し、この電位差を測定電流で除すことによって接触電気
抵抗(Ω)を計算した。接触電気抵抗が不均一である
と、島状錆びが発生する。この電位差は測定距離を0.
01〜0.5mm間隔で行う必要がる。これは、微小な
付着物が溶接用ワイヤ表面に残留しても、その存在を検
知できるようにするためである。実際の測定は0.2±
0.07mm間隔で行った。
【0011】なお、この測定距離は、ワイヤ1を移動速
度1.2±0.4m/分で移動させつつ、所定の時間間
隔で接触電気抵抗を測定することによりその測定間隔を
0.2±0.07mmにするものである。また、接触電
気抵抗計8の記憶容量が十分でなく、ワイヤ10mを
0.2mm間隔で測定した場合の5万点の測定値を一度
に記録できなければ、記録容量分の測定を何度か繰り返
して、合計で長さ10mを測定すればよい。個別に測定
された測定値は解析段階で計算機によって統計処理を行
い、最大値、最小値、平均値、標準値差及び確率密度分
布を求めればよい。
【0012】また、接触電気抵抗計8のダイナミックレ
ンジが狭い場合、即ち、2桁の抵抗値と、小数点以下2
桁の抵抗値を同時に測定できない場合は、測定レンジを
切り替えて10mを2回測定すればよい。1回目の10
mは2桁の抵抗値を測定し、2回目の10mは小数点以
下2桁の抵抗値を測定すればよい。そして、測定終了後
全ての測定値を計算機によって統計処理を行えばよい。
【0013】電極4の材質は1%Cr銅合金を使用し
た。基準電極としては純銅の方が望ましいが、純銅では
摩耗が激しいという問題があった。測定される接触電気
抵抗の値は他の銅合金を用いて測定しても大差はなかっ
た。またこの電極4の厚さは2mmであり、先端にはR
1mmの曲率を付け、表面粗さはエメリー紙(#40
0)で研磨したままの状態にした。この電流端子電極4
を荷重機構5によりワイヤ1に押し付ける力は0.49
±0.05N(50±5gf)であった。この押し付け
力は、大きくするとワイヤの表面全体の接触電気抵抗の
値が小さくなり、電気的な不均一さの程度が小さくなっ
て、不都合が生じた。逆に押し付け力を小さくするとワ
イヤ表面の電気的不均一さが誇張されすぎて、不都合が
生じた、ワイヤ1と電極4の相対的な移動速度は1.2
±0.4m/分であるので、この速度で測定を行えば1
0mのワイヤについて10分弱で測定できる。10mの
ワイヤ全長にわたる測定は直線的に測定すればよい。必
要なら螺旋状に測定しても、ジグザグに測定してもよ
い。測定の軌跡は問題ではなく、どのような軌跡であっ
てもワイヤ10m全長にわたって順次接触電気抵抗を測
定すればよい。但し、測定装置の簡便の点で、直線的に
測定するのが好ましい。
【0014】接触電気抵抗がある範囲[R1、R2]に
入る確率P[R1、R2]は次のように求めればよい。即ち、
10mのワイヤ全長にわたり0.2mm間隔で接触電気
抵抗を測定すると、測定点は5万点となる。この5万点
の中で前記範囲[R1、R2]内にある接触電気抵抗の
測定個数がN個であれば、この範囲に入る確率P[R1、R2
]は P[R1、R2]=N/50000 と算出できる。
【0015】工業的に生産される溶接用ワイヤは伸線潤
滑剤を使用して伸線するために、製品としての溶接用ワ
イヤ表面に、この伸線潤滑剤が不可避的に残留して皮膜
を形成する。場合によっては島状に伸線潤滑剤がワイヤ
表面に残留し、この部分が電気的特性を不均一にし、ワ
イヤの耐錆び性を著しく損なう。また、伸線工程は大気
中で行われるため、ワイヤ表面は多くの場合酸化膜で覆
われている。この酸化膜によってワイヤ表面が均一に覆
われていれば耐錆び性に問題は生じない。
【0016】しかし、多くの場合酸化膜は不均一に生成
し、鋼地との間で局部電池を形成し、ワイヤの耐錆び性
を損なう。上述のように工業的に生産される溶接用ワイ
ヤ表面には電気特性が不均一な場所が存在し、局部電池
が形成される。本願発明者等は、局部電池の形成のし易
さは、ワイヤ表面の接触電気抵抗をもって評価できるこ
とを見いだした。接触電気抵抗が高い所と、接触電気抵
抗が低い所が、ワイヤ長手方向に混在すると、溶接ワイ
ヤの耐錆び性が悪くなる。そこで、本発明は、耐錆び性
が優れたワイヤが備えるべき条件として、接触電気抵抗
の最大値及び最大値と最小値との差が一定値以下であ
り、接触電気抵抗が極めて低いものの存在確率を低くす
ることを構成要件とする。
【0017】この接触電気抵抗の最大値は40Ω以下、
最大値と最小値との差が30Ω以下、0.02Ω以下と
なる接触電気抵抗の確率が0から0.2である。更に好
ましくは、接触電気抵抗の平均値が1Ω以下であり、な
おかつ接触電気抵抗の標準偏差が0.5Ω以下である。
【0018】接触電気抵抗の最大値が40Ωより大きい
か、又は(最大値−最小値)の値が30Ωより大きい
か、又は0.02Ω以下となる接触電気抵抗の確率が
0.2よりも大きいと、気温30℃、湿度80%、の環
境にワイヤを露出しておいた場合、1カ月中にワイヤ表
面全面に島状錆びが発生する。
【0019】接触電気抵抗の最大値が40Ω以下であっ
て、(最大値−最小値)の値が30Ω以下であり、更に
0.02Ω以下となる接触電気抵抗の確率が0.2以下
であると、気温30℃、湿度80%の環境にワイヤを露
出させておいても、少なくとも1カ月はワイヤ表面に島
状錆びは発生しなかった。この条件の耐錆び性は未開封
のままのワイヤにおいて2年間島状錆びが発生しないこ
とに相当する。
【0020】更に、ワイヤの接触電気抵抗の平均値を1
Ω以下にし、同時にその標準偏差を0.5Ω以下にする
と耐錆び性は飛躍的に向上した。気温30℃、湿度80
%の環境にワイヤを露出させておいても、少なくとも2
カ月はワイヤ表面に島状錆びは発生しなかった。この耐
錆び性は未開封のままワイヤにおいて4年間島状錆びが
発生しないことに相当する。
【0021】上述の接触電気抵抗を有するワイヤを製造
するためには、ワイヤ表面に残留する伸線潤滑剤及びワ
イヤ表面に生成される酸化膜を、ワイヤ長手方向に均一
化することが必要である。そのためには伸線時の潤滑剤
をワイヤ表面に均一に塗布する必要がある。ワイヤ表面
に局部的に潤滑剤が塗布されると、伸線終了時のワイヤ
表面に部分的に潤滑剤が残留し、局部電池を形成する。
また、酸化膜の不均一性を防止するためには伸線時のワ
イヤの温度を精度よく管理し、一定温度で伸線加工を実
施できるように、伸線ダイス及び伸線釜の冷却を行う必
要がある。伸線ダイスでワイヤが塑性加工されるとき、
潤滑膜が不十分であるとワイヤ表面と伸線ダイスが直接
接触し、ワイヤ表面が荒れる。この荒れが発生するとワ
イヤ表面に不均一に潤滑剤が残留する。よって、耐錆び
性が良好なワイヤを製造するためには、本願発明にて規
定した接触電気抵抗の範囲を満たすのに十分な潤滑性が
優れた潤滑剤を使用する。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例についてその比較例と
比較して説明する。フラックス入りワイヤ用フープ素材
として炭素鋼(JIS SPCC)を使用したワイヤ内
部に充填するフラックスは下記表1の配合で、重量比率
14%添加し、フラックス入りワイヤとした。
【0023】
【表1】
【0024】ワイヤ表面の接触電気抵抗を種々変えるた
めに、伸線潤滑剤を選択し、更に付着残留量を調整し
た。接触電気抵抗の値はワイヤ表面状態の影響のみを受
け、フラックスの有無には影響されなかった。図2〜図
13にワイヤ表面の接触電気抵抗を10mにわたって測
定した結果を示す。測定は0.2mm間隔で行い、測定
点数は5万点である。図中に5万点の測定データの最大
値−最小値、平均値、標準偏差及び接触電気抵抗が0.
02Ω以下になる確率[0、0.02]を付記した。
【0025】これらのワイヤの気温30℃、湿度80%
の環境にワイヤを露出させて錆び試験を行った。この評
価の結果を下記表2に示す。
【0026】
【表2】 但し、耐錆び性判定基準(気温30℃、湿度80%) ×:1カ月未満にワイヤ全面に島状錆びが発生 ○:1カ月以上島状錆びの発生なし ◎:2カ月以上島状錆びの発生なし。
【0027】接触電気抵抗の最大値が40Ωより大きい
か、(最大値−最小値)が30Ωより大きいか、又は接
触電気抵抗が0.02Ω以下になる確率P[0 0.02]
0.2より大きくなると、耐錆び性が悪くなる。図13
で測定されたワイヤ表面の接触電気抵抗の最大値は小さ
いが、接触電気抵抗が0.02Ω以下になる確率P[0
0.02]が0.2より大きい。そのために耐錆び性は良好
ではない。この理由は、接触電気抵抗が小さな部分が存
在すると、その部分で局部電池が形成される機会が増え
て、耐錆び性に悪影響をもたらすからである。溶接ワイ
ヤ表面の接触電気抵抗をできるだけ小さくし、0に近づ
けてしまうのは、耐錆び性の観点より好ましくない。
【0028】なお、同様の試験をJIS Z3312−
YGWに規定されている化学組成の炭素鋼ソリッドワイ
ヤについても実施した。図14はその測定例を示す。接
触電気抵抗が規定範囲にあるために2カ月以上島状錆
は発生していない。
【0029】図15〜図18はフラックス入りワイヤの
接触電気抵抗を、電流を種々変えて測定した結果を示
す。図17は通常の0.5A、0.49Nで測定された
値を示す。このワイヤは規定範囲を満足しているため、
2カ月以上島状錆びは発生していない。同じワイヤを荷
重0.49Nにおいて、5mA(図15)及び50mA
(図16)で測定すると、接触電気抵抗の値は大きくな
り、その分布は広くなる。これは測定電流が異なるから
である。
【0030】また、測定電流を10Aにすると、図18
に示すように接触電気抵抗の値及びその分布の幅が狭く
なる。同じワイヤの接触電気抵抗を、電流を0.5Aに
一定にして、荷重を変えて測定した結果を図19及び2
0に示す。荷重を0.01N(10gf)(図19)
すると、接触電気抵抗の値は大きくなり、この分布は広
くなる。荷重を2N(200gf)(図20)にする
と、接触電気抵抗の値は小さくなり、その分布は狭くな
る。図15〜図20に示したように、接触電気抵抗の値
は測定電流と荷重によって大きく変わる。耐錆び性と接
触電気抵抗の相関は、測定電流が0.5A、荷重が0.
49N(50gf)のときに最もよくとれた。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように発明に係る耐錆び性
が優れた炭素鋼用溶接ワイヤは、銅メッキ等の特別な表
面処理を必要とせずに、耐錆び性が著しく向上し、また
通電性及びアーク安定性も良好である。従って、本発明
により低コストで高品質な溶接施工を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接触電気抵抗の測定方法を示す図であ
る。
【図2】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ1
0m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図3】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ1
0m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図4】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ1
0m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図5】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ1
0m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図6】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ1
0m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図7】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ1
0m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図8】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ1
0m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図9】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ1
0m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図10】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ
10m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図11】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ
10m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図12】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ
10m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図13】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ
10m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図14】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ
10m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図15】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ
10m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図16】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ
10m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図17】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ
10m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図18】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ
10m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図19】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ
10m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【図20】ワイヤ表面の接触電気抵抗の実測値(ワイヤ
10m、0.2mm間隔、5万点)であり、横軸は距離
(cm)、縦軸は接触電気抵抗(Ω)である。
【符号の説明】
1;ワイヤ 2;電流端子 3;電圧端子 4;電流端子と電圧端子を兼用する電極 6;直流電源 7,9;電流及び電圧のリード線 8:接触電気抵抗計
フロントページの続き (72)発明者 立花 知之 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株式会社神戸製鋼所藤沢事業所内

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メッキ処理されていないソリッドワイヤ
    又はフラックス入りワイヤであって、電流端子と電圧端
    子を兼用する電極として、その先端形状が半径1mmの
    曲率を有し、材質が1%Cr銅合金であり、表面粗さが
    エメリー紙#400で研磨したままの状態であるものを
    使用し、この電極を押し付け力0.49N±0.05N
    (50±5gf)で、ワイヤ表面に押し付けてこのワイ
    ヤの任意に取り出された長さ10mの全長にわたり複数
    点で接触電気抵抗を測定した場合、その最大値が40Ω
    以下であり、その最大値と最小値との差が30Ω以下で
    あり、且つその測定値が0.02Ω以下となる接触電気
    抵抗値の確率が0乃至0.2であることを特徴する耐錆
    び性が優れた炭素鋼用溶接ワイヤ。
  2. 【請求項2】 前記接触電気抵抗の測定値の平均値が1
    Ω以下であり、標準偏差が0.5Ω以下であることを特
    徴とする請求項1に記載の耐錆び性が優れた炭素鋼用溶
    接ワイヤ。
JP26127294A 1994-09-30 1994-09-30 耐錆び性が優れた炭素鋼用溶接ワイヤ Expired - Lifetime JP2742224B2 (ja)

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