JP2738733B2 - 磁性膜 - Google Patents

磁性膜

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Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は磁性膜に関し、詳しくは、光磁気記録媒体と
して特に有用であり、また、レーザー光を用いない一般
の磁気記録媒体としても好ましい、垂直磁気異方性を有
する磁性膜に関する。
〔従来技術〕 磁性膜を適当な基板(非磁性支持体)上に形成したも
のは記録媒体(磁気記録媒体、光磁気記録媒体)として
利用されている。
従来、磁性膜を形成する材料の代表例としては、
(1)六方晶最密充填(hcp)構造のマグネトプラムバ
イト型Baのフェライトなどや、(2)MnBi,PtCo(とも
に多結晶)、(YBi)(FeGa)5O12(単結晶)、TbFe,
TdDyFe(ともにアモルファス)などがあげられる。
だが、前記(1)のBaフェライト磁性材料の製膜は低
基板温度で行ないにくく、また、半導体レーザーの波長
域(例えば780nm、830nmなど)では大きな磁気光学効果
を得ることができないといった欠点がある。もっとも、
例えば三価の鉄イオンを二価のCoと四価のTiで置換して
フアラデー効果を大きくする試みもなされているが、こ
の場合には製膜温度が更に高温となり、基板材料の選択
が大幅に制限を受けるようになる。こうした傾向は他の
酸化物磁性体薄膜例えばガーネット薄膜などについても
同様にいえることである。
一方、前記(2)のうちの多結晶材料を用いた光磁気
記録媒体は粒界による光散乱のノイズが問題になり高い
S/N比が得られない。この多結晶材料に比べて、前記
(2)のうちの単結晶材料、アモルファス材料を用いた
光磁気記録媒体はそうした不都合が生じないため光磁気
記録材料の主流をなしているが、これらは酸化しやすく
安定性に不安があるといった欠点を有している。
これまでいろいろ述べた不都合な現象特に酸化するこ
となく安定性にすぐれた磁性材料の開発が進められてき
た結果、近時は、窒化鉄が注目され、それを用いた記録
媒体が提案されるようになってきている。その幾つかの
磁性薄膜をあげれば次のとおりである。
(i) 非磁性基板上に、垂直磁気異方性のある六方晶
系窒化鉄を主体とする磁性薄膜を形成する(特開昭59−
228705号公報)。ここで製膜された磁性薄膜は全体が結
晶構造を呈している。
(ii) 非磁性基板上に鉄の薄膜を形成した後、この鉄
薄膜中に窒素イオンを注入してFe3Nの単一層を形成する
(特開昭60−76021号公報)。
(iii) 窒素を反応ガスとして鉄とともにイオンプレ
ーティング法によってアモルファス窒化鉄薄膜を製膜す
る(特開昭61−259516号公報)。ここでの窒化鉄薄膜は
全体がアモルファス(非晶質)であり、また、金属元素
は鉄だけに限られている。
(iv) アモルファス窒化鉄を主成分とした磁性薄膜
(特開昭55−33093号公報、特開昭60−25204号公報)。
この磁性薄膜は水平磁化膜である。
(v) 基体上にCo−Ni,Co−Fe,Co−Cr合金などの強磁
性金属材料からなる磁性薄膜を形成し、この磁性薄膜の
表面を窒化する(特開昭62−103821号公報)。ここでの
表面処理層が窒化物の結晶形になっているか否か、物性
はどのようなものか等は特定されていない。
(vi) 非磁性基体上に導電性下地層を介して窒化鉄を
主成分とする磁性薄膜を形成する(特開昭61−110328号
公報)。
これらは全体又はそのうちの窒化物磁性体が結晶構
造、アモルファスのいずれかであるが、それはそれぞれ
目的とするところを異にしているためと思われる。しか
し、いずれにしても、これらの記録媒体では磁性薄膜の
耐食性、機械的強度などを向上させるとともに高密度記
録を意図していることは言うまでもないことである。
〔目的〕
本発明は良好な垂直磁気異方性を有し、かつ、大きな
ファラデー回転角が得られて光磁気記録に好適な磁性膜
(金属窒化物磁性薄膜)を提供するものである。
〔構成〕
本発明の磁性膜はFe,Co及びNiより選ばれる少なくと
も1種の金属の窒化物膜からなり、その窒化物膜は結晶
質と非晶質との混合物であって、かつ、非磁性支持体側
に近い方は非晶質含有率が多く、非磁性支持体から離れ
た方は結晶質含有率が多く少なくともその表面は結晶質
相のみが存在しており、全体として垂直磁気異方性を有
していることを特徴としたものである。
ちなみに、本発明者は既に下記からまでのことを
確めている。即ち、Fe,Co又はNiの少なくとも1種の
金属の窒化物のうち、hcp構造を有するとε相窒化物は
C軸配向することによって垂直異方性磁界が大きくなっ
て良好な垂直磁化膜となり、化学的安定性も良くなる。
また、窒素含有により透明性が向上し、C軸配向したも
のは特に良い。従って、この窒化物膜は磁気光学効果の
うち、ファラデー効果を利用した光磁気記録材料として
有効に用いることができる。前記のε相窒化物層に
アモルファス成分が加わると垂直磁気異方性磁界は少し
劣るようになるが、その反面、ファラデー回転角
(θ)は大幅に向上する(2〜4倍)。アモルファ
ス相は結晶相に比べて多少安定性に欠ける嫌いがある。
結晶相(C軸配向したε相窒化物)は大気中に6カ月放
置しても磁気特性は変化しないが、この結晶相にアモル
ファス相が含有されると(その含有量にもよるが)6カ
月後の飽和磁化は5〜8%低下する。勿論、純金属(F
e,Co,Ni)よりは窒化含有によって大巾に安定性は向上
している。
こうした認識にたって、本発明者はアモルファス含有
層の利点(θが大きいこと)を利用しつつ、その一方
で、及びアモルファス含有層の欠点である安定性を解決
する手段として、(イ)基板(非磁性支持体)側にアモ
ルファス含有層を設け、更に、(ロ)基板から離れた側
に安定なε相窒化物膜(C軸配向しているのが好ましい
ことは勿論である)を設ければ、望ましい結果がもたら
されることを確めた。本発明はこれによりなされたもの
である。
以下に、本発明を添付の図面に従がいながらさらに詳
細に説明する。
第1図及び第2図は本発明に係る磁性膜を光磁気記録
媒体に採用した二例の断面図である。図中、11は非磁性
支持体、12は反射層、13は結晶相とアモルファス相との
混合磁性薄膜、14は結晶相磁性薄膜、15は支持体11から
離れるに従って結晶相の比率が増す結晶相とアモルファ
ス相との混合磁性薄膜を示している。
第1図における磁性膜は、支持体11側に位置する結晶
相とアモルファス相との嵌合磁性薄膜13、及び、その上
に位置する結晶相磁性薄膜14の積層膜からなっている。
一方、第2図における磁性膜15は結晶相とアモルファス
相との混合磁性薄膜であるが、結晶相又はアモルファス
相は膜厚方向に濃度勾配が設けられており、支持体11側
から離れるに従って全体に占める結晶相の割合が大きく
なっている。そして、この磁性度15は、支持体11と反対
側に位置する表面にはもはやアモルファス相が含まれて
おらず結晶相のみが存在している。
第1図における結晶相磁性薄膜14において、並びに、
第1図及び第2図における結晶相とアモルファス相との
混合磁性薄膜13、15において、アモルファス成分がどの
程度含まれているかはX線回折法で調べることができ
る。即ち、ε相のC面の回折ピークはアモルファス相が
混合されるにつれて弱くなることを利用して測定が行な
われる。
なお、アモルファス相はε相〔Feの場合でいえばFexN
(x=2〜3)〕と混合されていなくては大きなθ
を得ることができないので、例えばε相でないFexNが含
まれていると垂直磁気異方性磁化膜としての特性は劣化
する。また、磁性膜全体がアモルファス相では良好な垂
直磁気異方性を示さないので高密度記録ができない。
本発明に係る磁性膜は、第1図及び第2図から容易に
推察されるように、非磁性支持体11より遠ざかるに従っ
て結晶化しており、少なくともその表面では結晶化され
たものが存在している。逆に、磁性膜は基板(非磁性支
持体)に近いほどアモルファス相の割合が多くなってい
る。このため、本発明に係る磁性膜は上記思想が反映さ
れるものであれば、その形態はいかような変更も可能で
ある。
反射層12が非磁性支持体11と磁性薄膜13又は15との間
に形成されている場合(第1図、第2図)には、記録・
再生レーザー光は磁性薄膜14又は15側から照射されるた
め、支持体11は光に透明であっても不透明であってもか
まわない。また、反射層12は第1図、第2図に示した例
とは異なって、非磁性支持体上ではなく磁性薄膜14又は
15の上に設けられてもかまわない(図示されていな
い)。この場合には、記録・再生レーザー光は非磁性支
持体11側から照射されるため、支持体11は光に透明でな
ければならない。
磁性薄膜13、14及び15は、前記のとおり、特定金属
(Fe,Co,Ni)の窒化物からなり、しかも、その金属窒化
物は結晶質又は結晶質相とアモルファス相との混合相と
の混合物であって、支持体11側はアモルファス相が多
く、その反対側は結晶質相が多く、かつ、この反対側の
表面は結晶質のみからなっていて、全体として垂直磁気
異方性を有するように製膜されている。
磁性薄膜13,14及び15における結晶相は一般式 MxN (但し、MはFe,Co及びNiから選ばれる少なくとも1
種の金属であり、x=2〜3である。) で表わされ、結晶構造はhcp構造である。これら磁性薄
膜13,14及び15中にはC,O,F,Bなどを微量混入させてもか
まわない。
結晶のC面はC軸方向に配向しており、配向していな
いと垂直磁化膜とならないし、透明性に劣り、ファラデ
ー回転角(θ)は小さなものとなる。
磁性薄膜13及び15である混合相における結晶相は、従
って、上記MxN(x=2〜3)のε相でなければならな
いし、加えて、前記条件を兼ね備えたものである。一
方、この混合相におけるアモルファス相の構造は、未だ
詳しく解明されていないが、N(窒素)が含まれたアモ
ルファスと考えられ、このものはX線回折法で確認する
ことができる。
非磁性支持体11にはプラスチックフイルム(ポリイミ
ド、ポリアミド、ポリエーテルサルホン等の耐熱性プラ
スチックフイルムやポリエチレンテレフタレート、ポリ
塩化ビニル、三酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポ
リメチルメタクリレートなど)、セラミック、金属、ガ
ラスなどが用いられ、その形態としては例えばフイルム
状、テープ状、シート状、ディスク状、カード状、ドラ
ム状などである。
反射層2はAu,Al,Ag,Pt,Cr,Nd,Ge,Rh,Cu,TiNなどの材
料を用い、電子ビーム(EB)蒸着法等の各種蒸着法やイ
オンプレーティング、スパッタリング、PVD法、CVD法な
どの薄膜形成法により製膜される。反射層2の厚さは1
μm以下好ましくは0.05〜0.5μmくらいが適当であ
る。
なお図示されていないが、磁性薄膜14又は15の上面又
は磁性薄膜13又は15下面に誘電体層(SiO2,TiO2、窒化
シリコン、窒化アルミニウム、アモルファスSiなどの薄
膜)を設けてエンハンス効果を出すようにしてもよい。
また、表面層(第1図及び第2図の例では磁性薄膜14,1
5であり、図示されていないが前記の反射層又は誘電体
層が磁性膜上に設けられたものではその反射層又は誘電
体層である)上には、必要に応じて、保護層が設けられ
てもよい。保護層の材料は一部が前記誘電体層のものと
重複するが、SiN,Y2O3,Al2O3,ZnS,SiO,SiO2,AlN,Alなど
があげられる。これら誘電体層及び保護層の厚さは1μ
m以下好ましくは0.03〜0.5μmくらいが適当である。
反射層12、磁性薄膜13,14及び15は真空蒸着法、イオ
ンプレーティング法、スパッタ法、CVD法など通常の薄
膜形成法により製膜することができるが、磁性薄膜の製
膜についてはイオンビームスパッタ法によるのが有利で
ある。
第3図はそのイオンピームスパッタ法の実施に好適な
装置の一例の概略を示したものである。
この装置においては、真空槽2内部にイオン銃3の先
端部がつき出すように配置されている。イオン銃3はガ
スボンベ4から供給されるN2ガス(好ましくはN2ガスと
Arガスとの混合ガス)に数KVの直流電圧を印加してプラ
ズマ化し、先端部前面の穴から、そのプラズマをターゲ
ット5に向けて放射できるようになっている。
ここでは、ガスボンベ4から供給されるガスはN2ガス
又はN2ガスとArガスとの混合ガスとしているが、(a)
窒化物磁性薄膜が例えば酸素を含むもの(窒化物酸化物
混合磁性薄膜)である場合には供給ガス中に更に酸素ガ
スを加え、(b)酸素及び炭素を含むもの(窒化物炭化
物酸化物混合磁性薄膜)である場合には更にCOガス又は
CO2ガスを加えるようにすればよい。便宜上、磁性薄膜
はFexNであるとして説明を進めることにするが、製膜手
段及び使用金属又は合金等それ自体に本質的な差異があ
る訳ではない。いま、ターゲット5を純鉄(純度:99.99
%)にしておくと、プラズマ化された窒素原子(好まし
くは窒素原子及びアルゴン原子)はターゲット5の銃原
子をスパッタする。
スパッタされた鉄原子とターゲット前面のプラズマ中
の窒素原子とは反応しFexN(x=2〜3)となって非磁
性支持体11の表面に堆積し、薄膜(磁性体薄膜)を形成
する。
なお、第1図及び第2図に示したごとき非磁性支持体
11上に反射層12が設けられ、この反射層12上に磁性薄膜
13又は15を形成させるものにあっては、磁性薄膜13又は
15の製膜に先立って、非磁性支持体11上に反射層12が設
けられておくことは勿論である。
結晶相とアモルファス相との混合相(混合磁性薄膜)
の製膜及び結晶成分とアモルファス成分との混合比率を
変えるのは、選択する薄膜形成法によって異なるが、例
えばイオンビームスパッタ法では支持体を加熱すること
により、また、加熱温度を変化させることにより行なわ
れる。
こうして非磁性支持体11上に直接又は反射層12を介し
て本発明で意図した磁性薄膜13,14又は15を形成するこ
とができるが、この薄膜形成にあっては、非磁性支持体
11の裏面側であって非磁性支持体11の面に垂直方向にむ
いた磁束を主体とする磁界を存在せしめるように磁石6
を配設して行なうのが極めて望ましい。
非磁性支持体11はゆっくり回転する回転ロール7で移
動されるようになっているが、非磁性支持体11は、その
上に形成される磁性薄膜の全体又は一部を結晶層とする
か結晶層及びアモルファス相の混合相とするか等によっ
て、常温に維持したり、一定加熱温度に維持したり、加
熱温度に変化をもたせたりする手段が採用される。
イオン銃3に供給されるガスには、いずれの場合にお
いても、不活性ガスであるArガスを共存させておくのが
好ましい。
非磁性支持体11がフレキシブルでない場合や長尺テー
プでない場合には、回転ロール7を用いることなく、そ
の代り、その非磁性支持体11の保持具が用いられる。
磁石6は電磁石、永久磁石のいずれであってもよく、
また、磁石の個数は任意である。要は先に述べたとお
り、非磁性支持体11の面に対して垂直方向となる磁束を
主体とした磁界が形成しうるものであれば足りる。磁界
の強さは10〜5000ガウス好ましくは100〜1000ガウスに
設定される。
真空槽2内の真空度(ガス圧力)は1〜10×10-5Torr
好ましくは1〜5×10-5Torrである。
支持体温度は常温から200℃好ましくは常温から100℃
くらいの範囲である。
本発明の磁性膜を製膜する手段を実施例を用いて説明
すれば次のとおりである。
実施例1 第3図に示したイオンビームスパッタ装置を用いて下
記の条件によってガラス基板上に厚さ約1000Åの窒化物
磁性薄膜を製膜した。
ターゲット材料 FeCo(Fe含量50atomic%) ターゲットと基板との距離 17mm 真空槽内の背圧 1×10-6Torr 基板温度 80℃ イオン化ガス N2(25%)+Ar(75%) イオン銃電圧 9KV イオン銃電流 2.5mA イオン入射角 45度 得られた窒化物薄膜をX線回折法で調べたところ、hc
p構造を有するε相窒化物の(002)の微少な回折ピーク
が観察された。VSMで測定した磁気特性はHc(抗磁
力)=650 Oe,Hc (抗磁力)=200 Oe,Hs(飽和磁
化)=98emu/g、Sq(角型比)=0.27、HA(垂直磁気
異方性磁界)=4.5KOeであった。
次いで、この窒化物磁性薄層上に支持体温度を加熱し
ないようにしてターゲット材料をFe(99.99%)とした
以外は前記の条件と同様にしてイオンビームスパッタ装
置を用いて窒化鉄薄膜を作製した。この新たに製膜した
窒化鉄薄膜をX線回折法で調べたところ、hcp構造を有
するε相窒化鉄であって(002)の回折ピークが観察さ
れた。膜圧は同じ1000Åであったが、ピーク強度はFeCo
の窒化膜の約13倍であった。窒化鉄単独層の磁気特性は
以下の通りであった。
Hc(抗磁力)=390 Oe,Hc (抗磁力)=120 Oe Hs(飽和磁化)=92emu/g、Sq(角型比)=0.30 HA(垂直磁気異方性磁界)=6.1KOe 続いて、この窒化物磁性薄膜上に蒸着法によって約20
00Å厚のAl反射層を形成して光磁気記録媒体をつくっ
た。
この光磁気記録媒体に最大12KOeの磁界を印加し、半
導体レーザー(波長780nm)を用いてファラデー回転角
(θ)を測定したところ、1.8deg/μmであった。こ
のθ値は製膜後6ケ月しても変化はなかった。
比較のために、前記と同様にしてFeCo窒化膜又はFe窒
化膜のいずれか一方からなる磁性体薄膜(厚さ約2000
Å)をガラス基板上に製膜し、これらの上にAl反射層
(約200Å厚)を設けて二種の光磁気記録媒体を作っ
た。
これらのファラデー回転角を測定したところ、FeCo窒
化膜は3.2deg/μm、Fe窒化膜は0.72deg/μmのθ
が得られた。Fe窒化膜は6ケ月後もθ値に変化はなか
ったが、FeCo窒化膜は6ケ月後に2.8deg/μmと減少し
ていた。
実施例2 実施例1と同様にしてガラス基板上にまずFeCo窒化膜
を作製し、製膜時間経過と共に支持体の加熱温度を徐々
に常温まで下げて、約2000Åの磁性薄膜を作製した。こ
れをX線回折法で調べたところ、hcp構造を有するε相
の(002)回折ピークが観察され、実施例1の1000Å厚
のFeCo窒化膜の約9倍のピーク強度が得られた。磁気特
性は以下の通りであった。
Hc(抗磁力)=540 Oe,Hc (抗磁力)=170 Oe Ms(飽和磁化)=108emu/g、垂直磁気異方性磁界=5.
5KOe このものにAl反射層を設けて光磁気記録媒体とし、フ
ァラデー回転角を測定したところ、2.0deg/μmであっ
た。このθ値は100時間5%食塩水に浸漬後測定して
も変化はなかった。
〔効果〕
本発明の磁性膜はFe,Co及びNiの窒化物よりなり、か
つ、垂直磁気異方性を有している結晶質及びアモルファ
スを有効に組合せたので、大きな磁気光学効果(ファラ
デー効果)が認められ、同時に高い耐環境性を確保する
ことができた。また、高密度な光磁気記録が行なえるば
かりでなく、良好な垂直磁気記録媒体として使用できる
ため、レーザー光を用いない一般の磁気記録媒体の提供
も可能である。更に、本発明の磁性膜は耐摩耗性にすぐ
れ、かつ低い支持体温度で製膜できることから多種類の
支持体が選択でき、その応用範囲は広いという利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明磁性膜を用いた光磁気記録媒
体の代表的な二例の断面図である。 第3図は本発明磁性膜の製膜に望ましい手段を説明する
ための図である。 2……真空槽、3……イオン銃 4……ガスボンベ、5……ターゲット 6……磁石、7……回転ロール 11……非磁性支持体、12……反射層 13,14,15……磁性薄膜

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe,Co及びNiより選ばれる少なくとも1種
    の金属の窒化物膜からなり、その窒化物膜は結晶質と非
    晶質との混合物であって、かつ、非磁性支持体側に近い
    方は非晶質含有率が多く、非磁性支持体から離れた方は
    結晶質含有率が多く少なくともその表面は結晶質相のみ
    が存在しており、全体として垂直磁気異方性を有してい
    ることを特徴とする磁性膜。
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