JP2735868B2 - 不定形耐火物 - Google Patents

不定形耐火物

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寿人 川崎
丈記 吉富
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、低水分でも流動性に優れた不定形耐火物に
関する。
〔従来の技術〕
不定形耐火物としての代表的なものとしてキャスタブ
ル耐火物がある。これは、調製と施工が容易であり、ま
た施工が迅速にできることから、適用窯炉の分野が広範
囲のものとなりつつある。
しかしながら、このキャスタブル耐火物は、結合剤と
してアルミナセメント類を10〜30重量%程度使用するこ
とから、アルミナセメント中に含まれるCaOによって、
得られる耐火物は耐火性が低く、高温域での熱間特性の
劣化が生じ易い。また一方では、800〜1000℃の中間域
でのアルミナセメント類の脱水に伴う強度低下を生じる
という欠点がある。
これらの欠点を解消するために、耐火粘土、耐火性微
粉末等を使用して強度を補強することによりアルミナセ
メント類の使用量を減少すること、さらに分散剤の添加
によって施工に要する水分量を減少せしめて、キャスタ
ブル耐火物の緻密化と高強度化が図られている。
例えば、特公昭51−9770号公報には、水硬性セメント
の少なくとも1種類を5〜8重量部と、粘土,カオリ
ン、微粉シリカ、微粉アルミナ、微粉マグネシヤ、微粉
クロム鉄鉱、それに、微粉フォルステライトからなる群
から選ばれた粉末耐火材料2.5〜4重量部と、アルカリ
金属燐酸塩、アルカリ金属ポリ燐酸塩、アルカリ金属炭
酸塩、アルカリ金属カルボン酸塩それにアルカリ金属フ
ミン酸塩からなる群から選ばれ、水性溶媒中のpHが11以
上で活性がある分散剤の少なくとも1種類0.01〜0.3重
量部と、耐火性骨材が86〜92重量部とからなるものが開
示されている。
また、特開昭57−118056号公報には、粒度調製した1
種以上の耐火骨材が84〜97重量%、粒子径が10μm以下
好ましくは1μm以下の1種以上の耐火性超微粉が2〜
8重量%、1種以上のアルミナセメントが1〜8重量
%、pHが7未満の1種以上の解膠剤が0.01〜0.5重量
%、アルミナセメントの硬化遅延剤が0.005〜0.1重量
%、アルミナセメントの硬化促進剤が0〜0.1重量%か
らなる耐火コンクリート組成物が開示されている。
これらは、上記分散剤等を適量使用することにより、
耐火性微粉末の分散を促し、自由水を極大化することに
よって、限界水分量で流動性を付与させ、水/セメント
比の改善による強度向上、絶対水分量の低下による施工
体組織の向上と、セメント類の低減による耐火性と耐蝕
性の向上を図るものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記従来の不定形耐火物に使用されて
いる分散剤は、吸湿性が大きくベトつき易いために、そ
の製造時において、秤量機や混和機に付着し、正確な秤
量ができなかったり、機器からの排出が困難であったり
する。この秤量の不正確さは耐火物の作業性と品質の劣
化をもたらすことにもなる。とくに、湿度の高い夏場で
はこの影響は顕著であり、製造上において生産性が著し
く低下する。さらには、長期保存中に空気中の水分を吸
収して加水分解し、品質の劣化が著しくなる等の問題が
ある。
本発明において解決すべき課題は、上記従来の不定形
耐火物の分散剤使用による問題点を解消することにあ
り、これによって低水分でありながら流動性に優れた不
定形耐火物を得ることにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の不定形耐火物は、粒度調整した耐火性骨材
に、水硬化性セメント0.5〜5重量%と粒径20μm以下
でかつ比表面積が1m2/g以上の耐火性微粉末1〜12重量
%とゼオライト0.01〜3重量%とを配合することによっ
て上記課題を解決したものである。
〔作用〕
本発明はゼオライトの機能を利用して、セメント類か
ら溶出する多価陽イオンの封鎖を、従来の分散剤による
化学的な封鎖方法とは全く異なる方法によって行うもの
である。
すなわち、本発明においては多価陽イオンをゼオライ
トの骨格内に物理的に取り込むことによって迅速に封鎖
し、且つ一方では、その際ゼオライトから放出されたNa
+イオンにより微粉末類の解膠状態を得て、従来以上に
緻密で高強度の施工体を得ることができる。さらにゼオ
ライトは、吸湿性が非常に少ないために空気中の水分の
吸収による防潤や潮解がない。
このゼオライトとしては天然,合成のゼオライトの何
れも使用可能であるが、化学的に安定したものが好まし
く、その物理的な性質としてそれを構成する細孔径が3
Å以上あれば良い。また、その基本構造としてAlに対す
るSiの原子比が小さいものほど多価陽イオンを封鎖し、
Na+イオンの含有量の多いものほど微粉末を解膠させる
ためにA型合成ゼオライトが良い。
またゼオライトの粒径は、速やかに多価陽イオンを封
鎖するためには粒径が小さい程良く、通常20μm以下で
あれば良いが、とくに0.4〜2μmの範囲のものがとく
に好ましい。
また、ゼオライトの添加量はその種類と粒径によって
若干左右されるが、0.01重量%未満では多価陽イオンの
封鎖のためには少なすぎて十分な流動性を得ることがで
きず、また、3重量%を超えるとゼオライト中のナトリ
ウムのようなアルカリ金属やシリカの増加により耐火性
が低下するので好ましくない。
また本発明に使用する耐火性骨材としては、アルミ
ナ,ボーキサイト,シャモット,ろう石,珪石,ジルコ
ン,クロム鉱,マグネシヤ,炭化珪素等、従来の不定形
耐火物に使用されて来た骨材が任意使用できる。
また、水硬性セメントとしては、一般にアルミナセメ
ントであり、使用条件によってはポルトランドセメント
も使用できる。
また、従来の不定形耐火物と同様に強度を向上させる
ために添加配合する耐火性微粉末として、粘土,ベント
ナイト,無定形シリカ,アルミナ微粉等が使用できる。
なお、その施工状態との兼ね合いで、可使時間を長く
採る必要がある場合には、施工体の硬化時間を調整する
ための硬化調整剤を使用する。
硬化時間は配合ゼオライトの量によってある程度調整
可能であるが、積極的な調整が必要となる場合には、グ
リコール酸,シュウ酸,コハク酸,マロン酸,グルタル
酸,リンゴ酸,酒石酸,グリセリン酸,クエン酸等の脂
肪属ジカルボン酸と、オキシカルボン酸,サルチル酸等
の芳香族オキシカルボン酸と、これらの塩、さらには硼
酸,硼砂等を添加すると効果的である。
〔実施例〕
第1表に示す組成を有する配合物から不定形耐火物を
調製しその特性を調べた。硬化調整剤としてはクエン酸
を使用した例を示している。
同表から明らかなように、特定量のゼオライトの使用
によって、従来の分散剤であるヘキサメタ燐酸ソーダを
配合した場合と同等あるいはそれ以上の減水性が得られ
た。さらに他の物理特性においても明らかな優位性が確
認でき、施工体としても緻密な組織が得られた。
第1図は、本発明におけるゼオライトと従来の分散剤
としてヘキサメタ燐酸ソーダの吸湿性を比較したもので
ある。同図を参照して、ヘキサメタ燐酸ソーダの場合に
は、放置後ただちに吸湿性を示し、放置時間に応じて重
量の増加が大きくなり24時間後では約15%も増加してい
る。これに対してゼオライトは、放置後、14日の放置で
も僅かに1%の増加を示しているに過ぎない。このよう
に吸湿性が少ないということは不定形耐火物の処理に際
して、秤量等の処理を容易にし生産性が向上することを
意味する。
〔発明の効果〕
本発明にかかる不定形耐火物は、施工体の特性を維持
した状態で、生産効率を上げることができると共に長期
保存が可能であり、さらには、その使用に際して、可使
時間の調整も任意に可能であり施工性も向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明におけるゼオライトと従来の分散剤とし
てのヘキサメタ燐酸ソーダの吸湿性を比較したグラフで
ある。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒度調整した耐火性骨材に、水硬化性セメ
    ント0.5〜5重量%と粒径20μm以下でかつ比表面積が1
    m2/g以上の耐火性微粉末1〜12重量%とゼオライト0.01
    〜3重量%とを配合したことを特徴とする不定形耐火
    物。
  2. 【請求項2】粒度調整した耐火性骨材に、水硬化性セメ
    ント0.5〜5重量%と粒径20μm以下でかつ比表面積が1
    m2/g以上の耐火性微粉末1〜12重量%とゼオライト0.01
    〜3重量%と硬化調整剤0.01〜0.5重量%とを配合した
    ことを特徴とする不定形耐火物。
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