JP2734813B2 - 化合物半導体単結晶の製造方法 - Google Patents

化合物半導体単結晶の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、垂直ブリッジマン法や
垂直温度勾配法によって化合物半導体の単結晶を製造す
る方法の改良に関し、特にGaAs,InAs,GaS
b,InSb等の様に融点温度における解離圧が約1気
圧以下の化合物半導体単結晶を高品質に製造することの
できる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】GaAsやInAs等の化合物半導体単
結晶の工業的製造法としては、水平ブリッジマン法(H
B法),液体封止引き上げ法(LEC法),垂直ブリッ
ジマン法(VB法)および垂直温度勾配法(VGF法)
等様々な方法が知られている。これらの方法のうちVB
法やVGF法は、(a) 単結晶直径制御の必要がなく円柱
状のインゴットを製造できること、(b) 低温度勾配下で
の結晶成長が可能であること等の利点を有し、他の方法
に比べて欠陥密度の低い良質の単結晶を低コストで製造
できる方法として有望視されている。VB法やVGF法
に関する従来技術としては、例えば公表特許昭58-50002
0号や特開昭63-79792号等に開示された技術が知られて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】GaAs等の化合物半
導体単結晶を光デバイスや電子デバイスの基板として用
いるには、(1) 単結晶中の結晶欠陥密度が低いこと、
(2) 単結晶の組成が制御されており、化学量論的組成で
製造できること、(3) 不純物(特に電気的に活性な不純
物)濃度が十分に低いこと、等の要件が要求される。こ
れらの要件のうち、上述の如くVB法やVGF法では、
上記(1) の要件を満足することはできるが、上記(2) 及
び(3) の要件を満足させることに関しては、これまでの
方法は不十分であった。
【0004】例えば公表特許昭58-500020号には、上端
部が解放されたるつぼに原料融液を充填すると共に、化
合物を構成する元素のうち解離性を有する元素の蒸気を
含む高圧の不活性ガス雰囲気中に前記るつぼを設置して
単結晶の製造を行なう技術が開示されている。しかしな
がらこの方法では、るつぼの上端が解放されているた
め、融液から解離性の成分が解離・蒸発し、製造される
結晶の組成が化学量論的組成から外れてしまうという問
題があった。解離性を有する元素の蒸気を含む高圧の不
活性ガス雰囲気中で操業を行なうことは、上記の様な不
都合を解消する目的でなされたものと言えるが、原理的
にも融液の組成を完全に保ち得る方法ではなかった。ま
たこの方法では、高圧容器やヒーター等の、製造装置構
成部材から、気相を介しての原料融液への不純物混入が
避けられないという欠点もあった。特にヒーターを構成
する部材からのカーボンの混入は、製造される単結晶の
電気的特性やその均一性に著しい悪影響を与えている。
【0005】一方特開昭63-79792号には、やはり上端部
が解放されたるつぼを用い、このるつぼに原料融液を充
填すると共に、該原料融液の液面を液体封止剤としての
酸化硼素(B23)融液で被覆した状態とし、高圧の不
活性ガス雰囲気内で単結晶の製造を行なう方法が示され
ている。この方法では原料融液面上のB23の存在によ
って、解離性成分の解離・蒸発が幾分制御されると言え
るが、それでもB23内を拡散し、大きな容積を有する
高圧容器内に蒸発して原料融液から失なわれる解離性成
分の量は無視できず、製造された単結晶に組成のずれに
由来した点欠陥等が導入され、結晶内での電気的特性の
均一性や熱的安定性が悪くなる。またヒーター等の部材
から気相を介して混入される不純物は、B23の存在だ
けでは完全に回避することはできず、例えば製造される
単結晶中のカーボン濃度は、3 ×1015atoms/cm3という
高い値であることも報告されている(Journal of Crysta
lGrowth Vol.94,p643-650,89) 。
【0006】また上述した方法はいずれも、結晶の製造
を高圧の容器内で行なう構成を採用しているので大がか
りな装置を必要とし、且つ大量の高純度不活性ガスを必
要とする等、結晶の製造コストが高くなるという問題も
あった。
【0007】本発明はこの様な状況のもとになされたも
のであって、その目的は、上述の従来技術における問題
を悉く解消し、前記(1) 〜(3) の要件のいずれをも満足
する高品質な化合物半導体単結晶を製造する方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明とは、垂直ブリッジマン法または垂直温度勾配法に
よって化合物半導体単結晶を製造するに当たり、封管容
器内に存在する原料融液の液面を酸化硼素融液で完全に
被覆した状態とし、且つ封管容器内の空間のうち化合物
半導体結晶,原料融液および酸化硼素融液が占める部分
以外の残余の空間を、酸化硼素から放出された水蒸気
と、化合物半導体を構成する元素のうち解離性を有する
元素の単体を気化させた気体で充満した状態で操業する
点に要旨を有する化合物半導体単結晶の製造方法であ
る。
【0009】また上記構成において、解離性を有する元
素の単体を気化させた気体の代わりに、不活性ガスを用
いてもよく、こうした構成を採用することによっても同
様に目的が達成される。
【0010】
【作用】本発明の構成および作用効果を図面を用いて説
明する。図1は本発明を実施する為の装置の結晶製造時
の状態を模式的に示した説明図であり、図中1は封管さ
れたるつぼ(封管容器),2は化合物半導体の原料融
液,3は化合物半導体のすでに固化した単結晶,4はB
23融液,5は種結晶,6はるつぼ1内の上記2〜5の
充填物が占める部分以外の空間,7はヒーターを夫々示
す。
【0011】るつぼ1の材質としては、溶接によって容
易に封管できるという観点から、石英ガラス等のガラス
類が主に用いられるが、封管できるものであれば他の材
質であってもよい。また図1ではるつぼ1内に原料融液
2等を直接充填する一重構造としたけれども、後記図4
に示す様に原料融液2を充填するるつぼ41と外側の封
管されたるつぼ42からなる様な二重構造とすることが
より望ましく、この様な構成を採用することによって、
単結晶製造中のるつぼ1の破損事故を避けることができ
る。尚るつぼ1を二重構造とする際に、内側のるつぼ4
1に用いる材質についても特に限定するものではなく、
熱分解性窒化硼素(以下PBNと記す),石英ガラス,
カーボン,アルミナ等、様々なものが使用できる。
【0012】B23融液4は原料融液2よりも比重が小
さいので、B23および化合物半導体原料を融解した際
には、B23融液4が原料融液2上に浮き上がる。原料
融液2の液面を完全に被覆するには、必要量以上のB2
3を化合物半導体原料とともにるつぼ1内に充填して
おけばよい。但し、B23融液4は原料融液2とるつぼ
1内壁の間にもごく薄く入り込むので、必要量の算定に
はこの量も考慮する必要がある。原料融液2とるつぼ1
の内壁との間に入り込むB23融液4の厚さdは、使用
するるつぼ1の材質によっても異なるが、例えばPBN
製や石英ガラス製のるつぼ1を使用する場合には、2mm
以下である。従って充填すべきB23の必要量は、(A)
上記厚さdおよびるつぼ1内壁の表面積から求められる
23量と、(B) 原料融液2の表面積から求められるB
23量とを加えた値である。
【0013】図1に示した空間6は、高温でのるつぼ1
の変形を防止する為、大気圧とほぼ同じ約1気圧の気体
で充満されている。この気体は水蒸気と、化合物半導
体を構成する元素のうち解離性を有する元素の単体を気
化させた気体の混合気体、または水蒸気と不活性ガス
の混合気体である。このうち水蒸気は、B23に含まれ
る水分が融解の際に蒸発して放出されたものである。
【0014】上記の様な圧力と組成の混合気体で前記空
間6を充填するには、例えば次に示す様な手順で(i) 〜
(iii) に従えばよい。 (i) 空間6の容積を求める。 (ii)B23の水分含有量から、結晶製造時の空間6の温
度において水分(水蒸気)が空間6を満たす圧力を計算
により求める。 (iii) (ii)で求めた水の蒸気圧に加えて、単結晶製造時
の温度条件で空間6を約1気圧とするために必要な解離
性元素の固体、または不活性ガスをるつぼ内に充填す
る。
【0015】種結晶5,化合物半導体原料およびB23
等を充填し、真空排気およびガス導入の後、封管が可能
である様なるつぼの構造例および封管の手順を図面を用
いて説明する。まず図2に示す様に、るつぼ本体21と、
該るつぼ本体21と溶接可能な各種形状のキャップ22また
は23を用意する。次にるつぼ本体21内に種結晶31、化合
物半導体原料32およびB2333を充填した後、るつぼ本
体21にキャップ22または23を嵌め合わせ、図3(A) また
は図3(B) の状態とする。そしてるつぼ本体21の溶接部
34の外周を加熱して両者を溶接する。引き続き、必要
量の解離性成分固体を枝管35または36から挿入した後、
枝管35または36を真空排気装置に接続してるつぼ1内を
真空排気してから、或は枝管35または36を真空排気装
置に接続し、るつぼ1内を真空排気後、るつぼ1内に必
要な圧力の不活性ガスを導入してから、封管部37の部分
を加熱して溶接することによって封管する。
【0016】ところで本発明の目的を達成するには、前
記空間6の容積はできるだけ小さい方が好ましい。この
点については後に詳述する。但し、るつぼ本体21とキャ
ップ22,23 の溶接や、るつぼ1の封管を行なう際には、
化合物半導体原料32やB2333が高温にさらされない様
にする必要があるので、空間6を小さくすることにも技
術的に限界がある。本発明では技術的に可能な範囲で空
間6の容積を小さくするが、実際にはこの空間6の容積
を容易に0.5 リットル以下にすることができる。
【0017】原料融液2から解離する解離成分(例えば
化合物半導体原料32がGaAsの場合は、As)は、原
料融液2の液面を完全に被覆しているB23融液4中を
拡散し、空間6中にごく微量蒸発し、原料融液2から失
われる。しかしながら本発明の構成であると、空間6の
容積が小さいので、解離成分の蒸発量は無視できる程度
の量である。即ち前記特開昭63-79792号に開示されてい
る高圧容器を用いる方法に比べて、解離成分が蒸発し拡
散していく空間の容積がはるかに小さく、これによって
原料融液2中から失なわれる解離成分の量も一段と少な
い量となる。高圧容器を用いた結晶製造装置における解
離成分が蒸発して拡散していく空間の容積は、装置の構
成にもよるが、高圧容器内にヒーター等を設置しなけれ
ばならないことから、本発明方法の場合と比べて少なく
とも数十倍となり、この差がほぼそのまま解離成分蒸発
量に反映し、製造された単結晶中の組成のずれに由来し
た点欠陥の密度の差として現れる。また本発明では、前
記空間6内に解離成分単体の固体が気化した気体若しく
は不活性ガスを存在させているので、原料融液2から蒸
発によって失なわれる解離性成分の量を更に減少させる
ことができる。
【0018】更に本発明では、図1に示したヒーター7
等は封管されたるつぼ1の外に位置することになるの
で、ヒーター7等の部材から原料融液中への不純物の混
入は全く起こらない。るつぼ材から結晶中への不純物の
混入についても、原料融液2の液面がB23融液4によ
って完全に被覆されているので確実に防止できる。特に
るつぼ1の材質として石英ガラスを用いた場合に問題と
なるのは、石英ガラス中に含まれるシリコンの原料融液
2への混入であるが、B23はシリコンに対するゲッタ
リング効果を有するので、その混入を完全に防ぐことが
できる。
【0019】本発明では、空間6内の結晶製造時の圧力
は約1気圧であるので、るつぼ1の変形等を防ぐために
るつぼ1を高圧容器内に設置する必要がなく、大気圧雰
囲気中で単結晶製造を行なうことができる。
【0020】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいず
れも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0021】
【実施例】
実施例1 PBN製るつぼ41中にGaAs原料(GaAs多結晶)
1051g 、種結晶31(直径5mm,長さ30mm,重さ15.4g )
およびB23(固体)100gを充填し、これを石英るつぼ
42中に入れた。尚B23の水分含有量は100ppmであっ
た。
【0022】封入後の石英るつぼの容積から、種結晶
31の占める容積、融解後の原料32の占める容積、融
解後のB2333の占める容積、およびPBN製るつぼ
41の占める体積を差し引き、融液の上側の空間6の容積
を0.423 リットル(以下V1で表す)であると求めた。
【0023】単結晶成長中に空間6が、GaAsの融点
温度での解離圧である約1気圧の状態で水蒸気とAsの
気体で満たされる様に、0.711gのAs固体をるつぼ中に
充填し封入した。封入後のるつぼの状態を図4に示し
た。
【0024】尚固体Asの充填量は下記(i) 〜(Vii) の
手順に従って計算した。 (i) B23中から放出される水のモル数Noは、下記
(1) 式によって求められる。 No=[100(g)×100 ÷106]÷18(単位モル) (1)
【0025】(ii)空間6内の水蒸気の圧力Poは、(2)
式によって求められる。尚(2) 式において、Rは気体の
状態方程式の定数であって0.082 をとり、Tは結晶成長
中に空間が保たれる温度(単位K)であり、本発明では
1514(K) に設定した。 Po=(No×R×T)/V1(単位atm ) (2)
【0026】(iii) 空間6を1気圧に保つ為には、(1
−Po)atm の圧力分に相当するAsを充填する必要が
ある。
【0027】(iV)GaAsの融点(1238℃)で、解離し
たAsはAs2およびAs4の2種類の分子のガスとして
存在し、存在比はおよそ1:1.975 であることが知られ
ている。従って、As2の分圧P1とAs4の分圧P2は、
夫々下記(3) 式および(4) 式で求められる。 P1=(1−P0)×1/(1+1.975 ) (単位atm ) (3) P2=(1−P0)×1.975 /(1+1.975 ) (単位atm ) (4)
【0028】(V) 空間中のAs2分子のモル数N1は、下
記(5) 式によって求められる。 N1=(P1×V1)/(R×T) (単位モル) (5)
【0029】(Vi)上記と同様にして、As4分子のモル
数(W2)は下記(6) 式によって求められる。 N2=(P2×V1)/(R×T) (単位モル) (6)
【0030】(Vii) 予めるつぼ1中に充填しておくべき
固体Asの量(M)は、下記(7) 式によって求められ
る。尚式中M1はAs2の分子量(149.8 )、M2はAs4
の分子量(299.6 )である。 M=N1×M1+N2×M2 (7)
【0031】前記図4に示した状態のるつぼ1を成長炉
中に置き、これに図4に併記した温度分布を与え、単結
晶成長を行なった。尚るつぼ1の空間6には、上記のA
s充填量の計算に用いた温度になる様に温度分布を与え
た。
【0032】単結晶の成長を行なった結果、下記(1) 〜
(7) に示す知見が得られた。 (1) 成長後の単結晶は表面が一様な金属光沢を有してい
た。 (2) 成長後のるつぼ中からは、固体Asが0.710g回収さ
れた。これは、成長前に充填した固体Asとほぼ同じ重
量である。 (3) 成長単結晶の重量は1066.4g で原料と種結晶の重量
の和と0.1gの精度で一致した。 (4) 成長直後の比抵抗は約5×107Ω・cmで半絶縁性を
示し、単結晶の固化率によらず一定であった。 (5) 成長単結晶に一般に用いられている2段階のアニー
ルを施しても、比抵抗は変化しなかった。 (6) 単結晶中の不純物濃度を二次電子質量分析法にて分
析した結果、カーボンの濃度は1×1015atoms/cm3以下
であり、珪素の濃度は1×1014atoms/cm3以下であっ
た。 (7) 単結晶中の転位欠陥の密度をKOHエッチング法で
測定した結果、エッチ・ピット密度(転位密度)は2×
1031/cm-2以下であった。
【0033】上記(1) 〜(3) の結果から、成長単結晶は
表面まで化学量論組成に制御された単結晶であることが
わかる。また上記(4) および(5) の結果から、点欠陥等
が発生せず、アニールなしでも比抵抗が高く、特性の熱
的安定性も良好な結晶が製造できていることがわかる。
更に(6),(7) の結果から、高純度で低欠陥密度の単結晶
が製造できていることがわかる。
【0034】実施例2 PBN製るつぼ41中にGaAs原料(GaAs多結晶)
1035g 、種結晶(直径5mm、長さ28mm、重量14.4g )お
よび酸化硼素100gを入れ、これを石英るつぼ42中に入れ
た。尚B23の水分含有量は50ppm であった。
【0035】封入後の石英るつぼ42の容積から、実施例
1と同様にして融液の上側の空間の容積を0.396 リット
ル(以下V1)であると求めた。
【0036】単結晶成長中の空間部が、GaAsの融点
温度での解離圧である約1気圧の状態で水蒸気とアルゴ
ンの気体で満たされる様に、室温で137Torr のアルゴン
ガスをるつぼ1中に充填し封入した。
【0037】尚アルゴンガスの充填量は下記(i) 〜(iv)
の手順に従って計算した。 (i) B23中から放出される水のモル数N0は、下記(8)
式によって求められる。 N0=(100 (g)×50÷106)÷18 (単位モル) (8)
【0038】(ii)空間6内の水蒸気の圧力P0は、下記
数式9によって求められる。 P0=(N0×R×T)÷V1 (単位atm ) (9) ここで、Rは気体の状態方程式の定数で0.082 である。
また、Tは結晶成長中に空間が保たれる温度(単位K)
であり、この場合には1520(K)とした。
【0039】(iii) 空間6を1気圧に保つためには、15
20(K)で、 (1−P0)atm の圧力分のアルゴンガスを充填する必要がある。
【0040】(iV)予めるつぼ中に充填して置くべきアル
ゴン・ガスの室温での圧力は式によって求められる。 (1−P0)×300 /T (単位atm )
【0041】以下実施例1と同様にして単結晶成長を行
なった。その結果、実施例1の場合と同様に下記(1) 〜
(6) に示す知見が得られ、高品質の単結晶が製造されて
いることがわかった。 (1) 成長後の単結晶は表面が一様な金属光沢を有してい
た。 (2) 成長単結晶の重量は1049.3g で原料と種結晶の重量
の和と0.1gの精度で一致した。 (3) 成長直後の比抵抗は約5×107Ω・cmで半絶縁性を
示し、単結晶の固化率によらず一定であった。 (4) 成長単結晶に一般に用いられている2段階のアニー
ルを施しても、比抵抗は変化しなかった。 (5) 単結晶中の不純物濃度を2次電子質量分析法にて分
析した結果、カーボンの濃度は1×1015 atoms/cm3 以下
で、珪素の濃度は1×1014atoms/cm3以下であった。 (6) 単結晶中の転位欠陥の密度をKOHエッチング法で
測定した結果、エッチ・ピット密度(転位密度)は2×
1031/cm-2以下であった。
【0042】
【発明の効果】本発明の方法により、組成の制御された
化合物半導体単結晶の製造が可能となり、その結果、製
造される結晶は電気的特性の均一性が向上し、また熱的
安定性も優れたものとなる。
【0043】しかも不純物の混入が無い高純度の化合物
半導体の製造が可能であり、その結果、製造される単結
晶のカーボン濃度を1×1015atoms/cm3以下、珪素の濃
度を1×1014atoms/cm3以下とすることが可能となる。
更に、製造される単結晶の転位欠陥密度を、2×1031/c
m-2以下と低めることができる。
【0044】また本発明の方法では、高圧容器やその中
に設置したヒーター等の大がかりな製造装置や、多量の
高圧ガスを必要とせずに単結晶の製造が可能であるた
め、従来技術に比べて製造コストが低減できるという利
点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する為の装置の結晶製造時の状態
を模式的に示した説明図である。
【図2】本発明で用いるるつぼの構造例および封管の手
順を説明する為の図である。
【図3】るつぼ本体21内に種結晶、化合物半導体原料お
よびB23を充填した後、キャップ22または23を嵌め合
わせた状態を示す図である。
【図4】実施例における封管後のるつぼの状態を示す概
略説明図である。
【符号の説明】
1 るつぼ 2 原料融液 3 固化した結晶 4 B23融液 5 種結晶 6 空間

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 垂直ブリッジマン法または垂直温度勾配
    法によって化合物半導体単結晶を製造するに当たり、封
    管容器内に存在する原料融液の液面を酸化硼素融液で完
    全に被覆した状態とし、且つ封管容器内の空間のうち化
    合物半導体結晶,原料融液および酸化硼素融液が占める
    部分以外の残余の空間を、酸化硼素から放出された水蒸
    気と、化合物半導体を構成する元素のうち解離性を有す
    る元素の単体を気化させた気体で充満した状態で操業す
    ることを特徴とする化合物半導体単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 垂直ブリッジマン法または垂直温度勾配
    法によって化合物半導体単結晶を製造するに当たり、封
    管容器内に原料融液を充填すると共に、該原料融液の液
    面を酸化硼素融液で完全に被覆した状態とし、且つ封管
    容器内の空間のうち化合物半導体結晶,原料融液および
    酸化硼素融液が占める部分以外の残余の空間を、酸化硼
    素から放出された水蒸気と、不活性ガスで充満した状態
    で操業することを特徴とする化合物半導体単結晶の製造
    方法。
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